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カンボジアだより

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カンボジアだより
カンボジアだより
■注目の鉱物資源、行政能力向上で開
発を支援 1
■数字で見るカンボジア「カンボジア
の鉱業」
1
■バッタンバンで稲作の技術普及セミ
ナー/4年半の成果を全国に
2
■ 日本カンボジア絆フェスティバル
2015 JICAカンボジア展!
2
■カンボジアひと模様 つばさ橋をつ
くった人たち① 3
■カンボジア事務所から 3
■カンボジアの新聞から
4
■活動のご案内
4
■鉱山での装薬作業(爆薬を発破
孔に詰める作業)の監査
JICAカンボジア事務所
Feb 20, 2015
No. 42
注目の鉱物資源、行政能力向上で開発を支援
カンボジアは、鉱物資源が豊かな国だとされている。しかしその全
体状況が明らかになってきたのは、ごく最近のことだ。
これから成長が見込まれるカンボジアの鉱業を安全で安定した産業
とするため、関係法の策定、人材育成などの側面から支援をするJICA
のプロジェクトがこのほど、始まった。鉱業エネルギー省の鉱物資源
総局をカウンターパートとし、2020年まで実施される長期的な事業
だ。
JICAは、2008年から「鉱業振興マスタープラン調査」、2011年か
らは鉱業資源セクターアドバイザー派遣を実施している。支援を始め
たころ、カンボジア全体の鉱物資源に関するデータは1970年代のも
のしかなかったという。
また、鉱山では作業員の安全が十分に確保されておらず、事故がた
びたび起きていた。2011年にはクラチェの金鉱山で8人のカンボジア
人が死亡する大事故も起きた。
今回のプロジェクトでは、カンボジアの鉱山での事故件数を減らす
ことなどを目標に、鉱山保安関連法案の策定、この法案に基づく鉱山
の査察方法の確立、鉱山保安に携わる人員の能力向上といった側面で
活動をする。また、鉱物資源や鉱山の情報を集めたデータベースを充
実させ、その維持管理も徹底する。
人材育成面では、日本でカンボジア人担当職員らの短期研修プログ
ラムを行うほか、日本で鉱業分野の修士号を取得する長期研修も実施
される予定だ。
カンボジア政府は、鉱業セクターの育成を国家開発の重点項目の一つ
と位置付けている。この分野に民間企業を呼び込み、外貨獲得、雇用創
出の機会として投資を促進したい考えだ。鉱業分野の法体系や、行政の
管理体制の整備は、そのためにも急ぐ必要がある、としている。
数字で見るカンボジア <カンボジアの鉱業> 6000
カンボジアの鉱物資源生産量 (出典:カンボジア鉱工業エネルギー省)
1500
千トン
石灰石
5000
1200
砂
4000
砕石
900
3000
600
2000
ラテライト
砂利
1000
0
2008年
2009年
300
2013年<推定>
0
リン酸塩
2008年
2009年
2013年<推定>
カンボジアには、モンドルキリ州やバッタンバン州にボーキサイト鉱床、ストゥントレン
州やプレアビヒア州などに鉄鉱床、プレアビヒア州にマンガン鉱徴(鉱床の可能性がある場
所)、さらにウドーミエンチェイ、コンポンスプー州などには金・銀鉱床があることが分か
っている。しかし、統計的に生産量が報告されているものは石灰石や砂利など数種類に限ら
れている=グラフ。現在、金やボーキサイトを中心に、100か所以上で国内外の民間企業に
よる探鉱が実施されており、今後の成長が見込まれる。
Page 2
バッタンバンで稲作の技術普及セミナー
4年半の成果を全国に
■バッタンバンで開かれた技術普
及セミナーの様子
バッタンバン、プルサット、コンポンチュナンの3州の農業局への技術支
援を通じて、稲作の生産性向上、農家の所得向上を目指した「トンレサッ
プ西部地域農業生産性向上プロジェクト(APPP)」が、3月に終了する。
4年半にわたる事業の成果を、より多くの農家に普及するために、1月
26、27の両日、バッタンバン市内で「稲作技術広域普及セミナー」が
開かれた。プロジェクトの対象となった3州以外にも主なコメの産地で
ある7州から農業局普及担当職員や普及員、農家等が招かれ、農業NGO
や精米業者らも含め、全部で約200人が参加した。
2010年10月に事業を開始したAPPPは、3州の37コミューンの農家を
対象に、稲作技術の普及に取り組んだ。期間中、デモ農家を拠点にした
「農民圃場(ほじょう)学校」が1,700回以上開かれ、その参加者は累
計で2万6千人を超えた。また、プロジェクトで支援してきた種子生産農
家が全国農業技術大会で第1位を獲得、支援稲作農家の生産物が、品評
会で軒並み上位入賞するなど高い評価を得ている。
所得向上の面では、2014年9月に実施した農家へのヒアリング調査で
は「収入が向上し、子供を上の学校へ行かせられるようになった」とい
う回答も寄せられた。
さらに、農業局の職員や普及員らの技術レベル・普及実施能力向上が
成果を見せ、カンボジア側が主体となった技術指導が可能となった。ま
たカンボジアの農家や生産現場の実情に合った技術マニュアル、現場指
導用教材の作成にも積極的な取り組みが図られ、その結果、多数の成果
が本となり、全国へ配られた。プロジェクト終了後も、農業局やプロジ
ェクト参加者による技術普及はさらに広がるものと期待されている。
日本カンボジア絆フェスティバル2015 JICAカンボジア展!
今年で4回目になる「日本カンボジア絆フェスティバル2015」が3月5 日 (木) ~3月8日
(日) にCJCCで開催されます。昨年は約10,000人の来場がありました。
今年もJICAカンボジア事務所は展示ブースを出します。
今年のテーマは「JICA×Agriculture×Volunteer」で、7日
(土)は農業、8日(日)は教育分野のボランティアに焦点をあ
て、パネルやスライドを利用しJICA
の事業を紹介します。たくさんの
JICAボランティアやプロジェクト関
係者にもブースに立っていただく予定
です。
また、今年の4月に完成予定のつば
さ橋の紹介もいたします。シニア海外
ボランティアの指導の下、国立技能専
門学校(NPIC)の学生が、絆フェス
ティバルに展示する為に、橋の模型を作成しています=写真上。
本年もたくさんのご来場お待ちしております!
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カンボジアひと模様 <シリーズ つばさ橋をつくった人たち ①>
メコン河を渡る橋 「土木技術者の原点に返った仕事だった」
プロジェクトマネジャー 北田郁夫さん
いよいよ4月に開通するメコン架橋の「つばさ橋」(ネ
アックルン橋梁)。3回にわたり、橋の建設に携わった
人々を紹介する。
つばさ橋の建設現場のすべてをとりまとめる責務
を負ったプロジェクトマネジャー、北田郁夫さん(三
井住友建設)は、2011年1月にカンボジアに着任。ま
だ橋が影も形もなかった最初から、この地で大勢のス
タッフたちと寝食を共にして建設に取り組んだ。
つばさ橋は、1,575mのアプローチ橋とメコン河を渡
る主橋640mから構成されており全長が2,215mある。
アプローチ道路を含めると全長で5.4kmの長さとなる。
主橋は、斜めに張ったケーブルが美しい斜張橋
で、橋を支える主塔の間の距離が330メートルあ
る。北田さんによると、コンクリート製の斜張橋と
しては、カンボジア最大であるだけでなく、日本最
長の橋よりも長いのだという。
北田さんたちにとって最大の危機の一つは2012
年7月に発生した不発弾の爆発だった。主橋を支え
る河川内の杭を築造するために、土砂を吸い上げ
て排出する作業をしていたところ、河床から10メ
ートルほどの深さで対戦車砲が排泥管の中で爆発し
た。地中深いところだったので、負傷者は出なかっ
たが、工事を中断せざるをえなかった。
橋の建設地付近には、1970年代後半にカンボジ
アを支配したポル・ポト派の弾薬庫があったとい
う。工事前にすでに4,000発余りの不発弾を撤去し
カンボジア事務所から
ていたが、それでも「負の遺
産」は消えなかった。工事は
このために4カ月近く中断さ
れ、北田さんたちはその遅れ
を取り戻すためにさまざまな
対策を実施した。
さらに工事は「水との追
いかけっこだった」と、北
田さんは言う。橋を架ける
地点のメコン川の水位は、
雨季と乾季とでは7メート
ルも違う。杭工事の後に施
工するパイルキャップとい
う部分の施工は、乾季の間
に工事をしないと、次の年の雨季明けまで1年間工事が
出来ない状況になる。気の休まらない毎日だった。
今、完成間もない橋を見て、北田さんはこう話す。
「この橋は、バンコクからプノンペン、ベトナムのホ
ーチミン市をつなぐ南部経済回廊の一部を形成しま
す。カンボジア一国だけでなく、アセアン地域の発展
に貢献できる仕事に携われたことがうれしい」
「橋の完成を心待ちにしているという声を聞くと、
人々の暮らしを良くするための仕事をしているのだと再
認識しました。まさに市民のための技術者、シビルエン
ジニヤー(土木技術者)の原点に返る気がしました」
つばさ橋の開通は、4月のクメール正月前に予定さ
れている。
JICA事務所で主に投資促進・都市交通分野を担当しています、三浦です。日系企業の進出について
は、2010年以降縫製業から電子・輸送機器部品製造業やサービス業などへ徐々に多様化しており、商業省
への企業登録数(2014年246社)や商工会への会員数(2015年2月現在191社)も右
肩上がりで増加しています。
過去10年間の投資許可額では中国・韓国が圧倒的ですが、昨年8月に着任して半
年、日系企業が経済成長への貢献に加え、社内人材育成や福利厚生などを通して、日
本の経験や知見の移転という重要な役割を果たされていることを実感するとともに、
これら日系企業に対するカンボジア政府の信頼や期待の高さを随所で感じます。
一言で投資促進といっても、法制度の整備、物流や電力などのインフラ整備、人材育
成など、課題は多岐に亘ります。大使館、JETRO、開発評議会(CDC)、日系企業の方々
とも協力し、投資環境を一歩一歩改善していくことが、今後10年、20年後、カンボジ
アのよりよい方向への発展に繋がると期待しています。(民間セクター担当 三浦彩)
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■カンボジアの新聞から、
政治、経済、社会などのニ
ュースをダイジェストでお
伝えします。
カンボジアの新聞から(2015年1、2月)
■プノンペン日本人学校、4月に開校へ
カンボジアで初めてとなる日本人学校が4月に開校する。始業式は4月20
日、入学式は4月22日に予定されている。小学校1年生から中学校3年生までを
受け入れ、校長先生を含む7人が日本の文部科学省から派遣され、5人の教員
が現地で採用された。
■ホテルオークラが2019年にプノンペンで開業へ ホテルオークラは2月7日、シンガポールに本社のあるTEHO
INTERNATIONALの子会社とともに、プノンペンに「オークラ・プレステー
ジプノンペン」を開業させることを発表した。同社の発表によると、地上45
階建で総客室数250室。カンボジア日本友好橋を渡った地域に建設を予定し
ている。
■マルハンジャパン銀行、サタパナ社と統合へ
マルハンジャパン銀行は1月27日、同銀行グループの一員であるマイクロ
ファイナンス機関・サタパナ社と統合するため、交渉を開始する覚書に調印
した。年内の統合申請を目指している。新銀行名は「サタパナ銀行」となる
予定。
■Webサイトでも、最
新情報をご覧いただけま
す!
http://www.jica.go.jp/
cambodia/index.html
■Like us on Facebook!
http://www.facebook.
com/JICACambodia
■We’re on Youtube!
http://www.youtube.
com/user/jicacambodia
●ご案内
<開催予定イベント>
3月5日(木):国立博物館沖縄県協力案件特別展示開会式
3月6日(金):トゥールスレン博物館沖縄県協力案件特別展示会開会式
3月5日(木)~8日(日):日本カンボジア絆フェスティバル
<Facebook掲載ニュースハイライト>
☆稲作技術を発信!~バッタンバンから全国へ~(1月29日掲載)
☆ Let the Festival Begin!日本カンボジア絆フェスティバル2015(2
月12日掲載)
<その他>
3月8日(日):国際女性デー
発行責任者
JICAカンボジア事務所広報班
P.O. Box 613, 6-8th Floors, #61-64,
Preah Nordom Blvd., Phnom Penh,
Cambodia
Tel: +855-23-211-673 Email: [email protected]
*掲載記事、写真、イラストなどの無断転載
を禁じます。
JICA PLAZA Cambodia
JICA事業と国際協力の情報窓
口です。興味のある方は是非
お立ちよりください。
JICAカンボジア事務所6階
Tel:023-211-673
開館時間:月~金
8:00-12:00、14:00-17:00
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