Comments
Description
Transcript
ニュースレター No37 20130827
カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化 プロジェクト The Project for Strengthening Human Resources Development System of Co-medical A News Letter from JICA HRD Project No.37 July 2013 法規程インベントリーの保健省HPでの公開準備 看護規則で規定される範囲は幅広 く、その内容には看護と看護師の規 定、病院での看護サービス、学校で の看護教育、登録と資格制度、そし て国家試験等が含まれます。看護規 則を策定する活動では、上記の内容 に関係する既存の法律、規程類、ガ イドラインなどを適宜参照して、既 出の規程類との整合性を維持してい く必要があります。しかし、日本の 六法、小六法のようなまとまった規 程集はカンボジアにはなく、各行政 官がばらばらと既出の規程類を保管 している状況でした。 そこで、プロジェクトでは看護規 則策定の活動支援の一環として、プ ロジェクト開始時から上記内容に関 係する既存の法規程類を幅広く収集 をしてきました。現在、収集された 既存の規程類は257となり、収集さ れた規程類のすべてをソフトデータ 化してインベントリーとして保存を しています。これまでに、プロジェ クトでは、3種類の法規程集(保健 医療人材育成関連規定集、病院サー ビス関連規程集、保健省事務関連規 程集)の作成を行い、WHOなどの 外国援助機関やカンボジア国内の中 央と地方の保健行政機関(保健 局)、保健人材教育機関(看護学校 等)や病院にも配布を行いました。 その後、ソフトデーターとして公開 をしてほしいという要望もあり、現 在、保健省法務部や計画部等の省内 関係各部とも調整の上、保健省HP にて公開をするための準備を進めて いるところです。ほとんどの近隣国 では、こうした法規程類をHP上で 公開しており、カンボジア保健省法 務部及び計画部からも法規程類のH P上での公開に対して強い要望が出 されています。 以下に、各国での法規程類公開状況 を紹介いたします。 Comparison Table of Web-based Legal Inventory (by country category) Country Institution MOH Brunei Nursing Board for Brunei Document Hierarchy Languag e Law Ordinance Type of Uploaded Document URL PDF www.moh.gov.bn PDF www.moh.gov.bn/bruneinursi ngboard/index.htm PDF www.depkes.go.id/en PDF www.moh.gov.la PDF www.moh.gov.my Eng Law Law Indonesia MOH Sub-Decree Prakas Native Guideline Lao PDR MOH MOH Malaysia Malaysia Nursing Division Myanmar Native Guideline & Regulation Eng Law Eng & Native Circular Native Policy Eng Law www.nursing.moh.gov.my Native PDF Guideline & Regulation Myanmar Nurse and Midwife Council Law Eng MOH Law Eng MOH Law www.mnmcmyanmar.org PDF www.moh.gov.mm Eng PDF www.moh.gov.sg Eng PDF http://www.hsa.gov.sg Guideline Singapore Health Science Authority Thailand Law Law Guideline MOH Law Eng Plain Text www.eng.moph.go.th Board of Nursing Philippines Law Eng PDF www.bonphilippines.org Department of Health Ordinance/Policy Eng PDF http://www.doh.gov.ph Law Philippines Circular カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化 プロジェクト Page 2 カンボジアの医療の現場から 歯科教育国際支援機 構 牧野由佳 歯 科 教 育 国 際 支 援 機 構 (Organization of International Support for Dental Education 以下 OISDE)は1991年内戦混乱後のカン ボジアにおいて国立ヘルスサイエン ス大学歯学部を対象とした教育支援 活動を開始いたしました。それから 20有余年、OISDEはカンボジアを はじめとする開発途上国における歯 科医学人材育成ならびに歯科医療水 準向上に寄与してまいりました。 今回、カンボジアにおいて当機構が 取り組んでおりますJICA草の根プ ロジェクト『カンボジア王国モンド ルキリ州住民に対する口腔保健活動 の普及・定着』についてご紹介いた します。 『カンボジア王国モンドルキリ州住 民に対する口腔保健活動の普及・定 着』 プロジェクトサイトであるモンドル キリ州はカンボジア首都プノンペン より約400Km離れた緑豊かな山岳 地帯に位置します。 エコツーリズムサイトとして最近脚 光を浴びつつあるモンドルキリ州で すが、実はカンボジアにおける最貧 州の一つであります。カンボジア政 府による貧困率調査によりますとモ ンドルキリ州の貧困率は32.9%でこ れはカンボジア全23州+プノンペン 特別市の中で5番目に高い貧困率に なります。 更に州人口の約80%が 少数民族であるためコミュニケー カンボジア地図(出典:UN Dept. of Field Support/ Cartographic Section; Map No.3860 Rev.4 ションの問題、識字率・教育レベル United Nations, January 2004) の低さ、山岳地帯であるが故のアク モンドルキリ州は国の北東部に位置する セスの難しさ、インフラの未整備等 多くの問題に直面しています。保健 分野に関しては医療施設ならびに医 療従事者が極端に不足しており、歯 科医療に関して言えば2007年まで 歯科医師が州に1人もおりませんで した。以上よりモンドルキリ州にお ける歯科医療に関して ①治療を受 けようにも病院にアクセスできない ②病院にアクセスできたとしても歯 科医師が1人しかいない③そもそも 治療を受けるためのお金を住民が 持っていない という悪循環が発生 しています。モンドルキリ州におい 緑豊かなモンドルキリ州の様子 て住民の歯科健診をしておりますと 小学校・地域におけるTraining of Trainers (TOT)の様子 Trainerは当団体作成の教材を用いて①歯ブラシの方法②健康な口腔保健を保つための知 識(ex.う蝕・歯周病の原因・予防方法等) について教育実施 カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化 プロジェクト Page 3 カンボジアの医療の現場から(続き) ほとんどの対象者において何らかの 口腔疾患が認められます。したがっ てできるだけ早くモンドルキリ州に おいて何らかの手立てを打つ必要が あります。 治療ももちろん重要なのですが、現 在の状況では住民に対して口腔健康 増進・予防活動を実施し、”皆”が口 腔疾患にならないようにすることが より現実的で効率的であると考えら れます。しかし州において口腔健康 増進・予防を主体となって実施する はずである州保健局、児童の健康を 管理する州教育局においてこれまで 口腔保健に関する活動はほとんど実 施されていませんでした。 以上より本プロジェクトでは『州保 健局ならびに教育局が自主的に口腔 保健に関する政策・計画を立案し、 継続的に州において口腔保健推進を 行う』を目標とし、現在①Training of Trainers ②州保健局ならびに教 育局に対する技術移転 を実施して います。 ①Training of Trainers (TOT) 本プロジェクト実施期間は2010年 11月~2013年11月の3ヶ年になりま すが、プロジェクト前半はこのTOT に重点を置きました。本プロジェク トでは小学生と地域住民を対象とし て口腔健康増進・予防のための教育 実施を計画しておりました。その為 には教育を実践する人材が必要にな ります。教育の効率性ならびにプロ ジェクト終了後の継続性を考えます とすでに州で教育活動経験があり、 ある程度の人数が確保できる小学校 教員ならびに保健センター職員やボ ランティアが教育を実施する人材 (Trainer)として適任であると判断 しました。TOTでは州保健局歯科医 師 に よ る Trainer に 対 す る 教 育、 Trainerによる小学生ならびに地域 住民に対する教育、州保健局歯科医 師 に よ る Trainer に 対 す る 活 動 フィードバック というサイクルを 繰り返しました。 ②州保健局ならびに教育局に対する 技術移転 本プロジェクトではTOTが実施さ れ、Trainerが小学生ならびに住民 に対して口腔保健教育を実施するよ うになりました。しかしプロジェク ト終了後、口腔保健教育をTrainer が継続的に実施し、口腔保健を持続 的に推進するには州保健局・教育局 が口腔保健推進活動を運営していく 必 要があ ります。したが ってプロ ジェクト後半では州保健局・教育局 に対する技術移転・協力に集中的に 取り組んでおります。具体的には州 自らが口腔保健に関する政策・計画 を作成できるよう計画立案支援のた めのワークショップの開催、口腔保 健に関するお祭りの企画実施 等 様々な取り組みを行ってきました。 最後に プロジェクトも残すところ半年とな りモンドルキリ州において徐々に口 腔保健が根付きはじめています。し かし、私たちのプロジェクトにおい てこれまで日本人職員が主体的に活 動 してき たため、現地の 人々より 『受け身な姿勢』『やらされている 感』が今も尚、漂っております。カ ンボジアは内戦後、様々な国・機関 より支援を受けており非常に支援慣 れしているように感じます。またカ ンボジアでは公務員の給与が非常に 低く兼業している者も多く、本プロ ジェクトに関わる余裕のない方も多 くおります。このような状況の中で 現地の人々に主体性を持たせるには どうすればよいのだろうかと最近悩 むことが多いのですが、やはり現地 の人々に問題に気づいてもらい『自 分たちで改善しなければならないん だ!』と強いやる気を起こすことが 非常に重要であると感じています。 そのためには現地の人々に口腔保健 の問題を十分理解してもらう必要が あり、現地の 人たち との 緊密なコ ミュニケーションならびに信頼関係 構築が重要になってきます。このプ ロジェクトに関わらずどこの社会で も言えることだと思いますが信頼関 係構築には非常に時間がかかりま す。特に文化・慣習の異なる異国の 地では尚更です。尊敬している恩師 より頂いた『国際協力は非常に時間 がかかる。自分が活動している間に 全く成果がでないことも多い。その ような状況に満足できなかったり、 国際協力という言葉の響きだけに憧 れているだけであったらこの仕事は 非常につらいかもしれない。』とい う言葉がいつも心に残っています。 その一方で実際に草の根で活動して いると現地の声がダイレクトに伝 わってくるので小学生から『ありが とう』と笑顔で言われたり、口腔保 健に対する現地の人々の姿勢が徐々 に変化してきているのを肌で感じる とこの仕事に従事できてよかったな と感じています。 口腔保健計画作成ワークショップの様子 口腔保健のお祭り『Happy Smile Festival』の 様子 カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化 プロジェクト Page 4 ブリッジ看護学士コース・カンボジア人留学生からの報告(No.24) Ms. Sok Heng Nurse, National Pediatric Hospital 3rd Batch, Impression toward the Study of BSN in Thailand First of all, I would like to express my profound thanks to Cambodia’s Ministry of Health and Japan International Cooperation Agency (JICA) for offering health staffs the opportunity to upgrade their knowledge and skills. Among them, I am one of the candidates who were selected for the 3rd Batch of Bridging Course of Bachelor of Sciences in Nursing (BSN) in Thailand for 18 months. My name is Sok Heng. I come from Phnom Penh, Cambodia. I am a nurse, working at National Pediatric Hospital. I have been given a good opportunity to pursue my study in “Bridging Course of Bachelor of Sciences in Nursing” in Thailand. There are 6 people in my group; those include Koy Thearith, Heng Ngim, Chhin Soknay, Mauv Siphath , Pak Sopheak, and me, who come from different hospitals, and we arrived Thailand as a pleasant to help us with our group on November, 1st 2012. study. Although my study is very difficult for me, I have It is the first time that I have tried my best to study until I stayed away from my lovely have completed this course family, friends, and my home successfully. country. Although Cambodia and Thailand have similar culture, things seem to be new to me, and I have to adapt myself to this new environment. Impression toward the Living in Thailand Thailand is one of the popular countries among ASEAN. Many foreigners come and do their business or work in this country. While coming to Thailand, I am so amazed to see tall buildings, especially at the Central Business District, shopping center, school, hospital, and apartment, etc. These indicate the economic development of this country. My Study at Saint Louis College I am very happy to study here because I have very good teachers, who are skilful at teaching and friendly to all Cambodian students, the same as to Thai students. And, they are always very カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化 プロジェクト Page 5 ブリッジ看護学士コース・カンボジア人留学生からの報告(No.24) After I finished this course, I get good knowledge from her, such as I am capable to make counseling and teaching to patients well. Community Practicum 63, which is located about 3 kilometers from Saint Louis College. My group, which had 3 members: Chhin Soknay, Koy Thearith, and me, arrived the center at 8 o’clock in the morning with Thai students and our teacher: Dr. Suwannee, who is very skillful and knowledgeable about the community such as setting priority as well as providing health education and nursing care to patients, who have chronic diseases in the community. At 8:30 am, head of nurse introduced about program and activities in Health Center 63. Next, she took us to see many places in the health center. For Thai students, they filled the form for patients to check up health. For me, I helped to draw the blood of the patients and prepared document for the patients to get the number until 12 o’clock. In the afternoon, we went with Dr. Suwannee to visit patients at home. She asked me to choose one family and write report to inform her about the problem of the patient, and then make a plan to take care From May 27th to June 26th, 2013, we started Community Health Nursing Practicum1 in Bangkok at Health Center ホ ー ム ペ ー ジ も ご 覧 下 さ http://www.jica.go.jp/project/cambodia/004/index.html Assignment: After class, we have many assignments to do, so we usually sit at the library searching for documents from many text books or surfing on the internet. Study schedule: From Monday to Wednesday, we go to community, and from Thursday to Friday, we study in the class. Especially, we study Thai language for every Tuesday to Friday from 5p.m to 7 p.m. Now, I can speak Thai a little. We would like to express our profound thanks to JICA again for adding Thai language to us. From 20th to 22nd June, 2013, we studied teaching and counseling in health. Our teacher is friendly and kind to us. She is very professional an experienced in teaching and counseling. the patient. On June 2nd, 2013, my group and Thai students together joined to observe Physical therapy at Mahidol University and made the presentation about tools for patients or elderly walking (crutches, canes, wheel chair) in order to train volunteers to take care the patient at home. On June 23rd, 2013, we participated in practicing Physical therapy at the village development committee. Moreover, I also participated in practicing it with Mahidol staffs and volunteers. い 。 カンボジア JICA 医療技術者育成システム強化 プロジェクト Page 6 ”Population Dynamics and Trends in Cambodia” 日本は少子化が問題となっています が、カンボジアでは、地方に出かけ ると、登下校時には学校の校門から あふれるように子供が出てきて、日 本と違いたくさんの子供を市中で見 かけます。7月に行われたドナー間 の会合で、カンボジアの人口動態に 関する発表が国連人口基金 (UNFPA)により行われました。 JICA事務所から参加したカレム久実 企画調査員によるメモをご紹介いた します。 先月、当地で開催さ れました非 公式DP会 合において、国連人口基 金(UNFPA)カンボジア代表が” Population Dynamics and Trends in Cambodia”という発表を行いま したの で、以下数点、発表時にと りました サマリーノートをご紹介 いたします。 ・ カンボジアでは1990年 代初め にベビーブームが起こり、現在全人 口における若者の比率が多いのはそ の結果である。クメール・ ルー ジュ政権はカンボジアの人口動態に 大きな影響を及ぼしたが、同政権崩 壊後、カンボジアでは出生率が一時 期飛びぬけて増加 した時期があ り、ベビーブームもその結果であ る。 · 子供の死亡率が急 速に減少した (それでもまだ比較的高率ではあ る)一方で、短期間のうちに人々の 平均寿命がかなり延び、人口の高齢 化が既に始まっ ている。しかし高 齢化問題は政府の政策アジェンダに は今のところ入っていない。 · CRUMP (Cambodia Rural-Urban Migration Project) 報告書 (2012)によると、多くの若い労働 者のプノンペンへの流入がトレンド として確認されている。農村部から プノン ペンに職を求めてやってく る人々の8割は一月以内に何らかの 仕事を見つけて いるという。その ため、失業者がスラムを形成すると いう現象がプノンペンでは見られて いない。 · タイやマレーシア など国外に出 稼ぎに出る労働者と、プノンペンに 出稼ぎに出る労働者の間で、仕送り 額にそれほど大きな差はない。 · 現在カンボジアは (労働者人口 比率の大きい)「人口ボーナス」を 享受できる時期にある。この時期は 前回の人口センサスが実施された 2008年以前に始まり、2038年ごろま で続くと推定され る。しかし、現 在全人口で大きな割合を占める労働 年齢層に属する人の多くは現在労働 市場で必要とされるスキルを持って おら ず、高度なスキルが必要とさ れる仕事は外国人によって担われる ことが多いという現状がある。 · 「人口ボーナス」 期の終わる頃 (2038年頃)以降は、高齢者などの 非労働・被扶養者人口が労働者人口 を上回ることとなる。この時期の到 来に備 えてしっかりした社会保障 システムを構築する必要がある。カ ンボジアは、タイやベトナムなど現 在高齢化社会の問題を抱える国 か ら学べることがあるかもしれない。 · 上記CRUMPプロジェクトはカンボ ジア政府計画省がUNFPAの支 援を得 て実施したもの。2014年からは フェーズ2を検討している。フェー ズ2では、(ゴムプランテーション での労働の機会がある)ラタナキリ やモンドルキリ、或いは(SEZなど での雇用機会がある)シハヌークビ ルへの人口移動なども調査すること が検討されている。また、出稼 ぎ のために労働人口が流出した農村部 などに取り残される人々(子供たち を含む)に何が起こっているのかも 調査する予定。 以下のカンボジア計画省ウェブサ イトから、関連参考資料にアクセス できます: http://www.mop.gov.kh/Projects/ CRUMP/tabid/213/Default.aspx プロジェクトを取り巻く動き 7月28日 カンボジア国総選挙 8月30日 SLC第4期生オリエンテーション 7月29日―8月17日 虎頭専門家 8月31日 SLC第4期生出発 7月30日―8月17日 望月専門家 9月3日 藤田CA赴任―10月29日 9月11日 虎頭専門家着任(看護教育/看護管理) 8月5日-9日 SLC第2期生WS 8月25日-9月1日 CP本邦研修