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カンボジアだより

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カンボジアだより
カンボジアだより
JICAカンボジア事務所
Sep 20, 2016
No. 61
上=カンボジア水泳連盟のヘム・キリーさん(左)と
生山さん
左=タイでの大会に出場したカンボジアの水泳選手た
ち。技術だけでなく、メンタルのトレーニングも重
要、と生山さんは言う
東京五輪へ、2023年SEAGAMESへ
二人三脚で育てるカンボジアの水泳
7月末、タイ・チェンマイで東南アジア諸国連合
(ASEAN)の学生たちによる水泳競技会が開か
れました。カンボジアからも男女4人の若者が出場
しましたが、その傍らに若い日本人コーチがいまし
た。JICAの青年海外協力隊の水泳隊員として派遣さ
れた生山咲(いくやま・さき)さん(24)です。
JICAの青年海外協力隊制度は約50年前に生まれま
したが、カンボジアは最初の派遣国でした。その中の
一人が、水泳隊員の中村昌彦さんでした。1966年1
月に着任した中村さんはこの国に新しい水泳の歴史を
刻むべく、熱心な指導を開始。数カ月で選手たちは次
々に記録を更新しますが、やがて内戦とポル・ポト時
代の混乱がカンボジアを戦場にしてしまいました。
1980年代、かつて中村さんの教えを受けた水泳選
手ヘム・トンさんが、内戦中ながらもカンボジア水
泳の復興に取り組み始めます。多くの人が生きること
に精いっぱいでスポーツに目を向ける余裕などない日
々、彼はカンボジアから水泳の灯を消すまいと水泳連
盟を立ち上げ、だれもやらないなら、と、自分の子ど
もたちに教え続けました。
ヘム・トンさんは2015年1月12日に亡くなりまし
たが、彼が最期に望んだこと、それが水泳指導のJICA
ボランティアの派遣でした。カンボジアへは、初代の
中村さんの後、1998年には柴田学さんが水泳隊員と
して派遣されましたが、その後は途絶えていました。
日本人による指導を、「厳しいけれど、ほかのどんな
国のコーチよりも信頼できた」というヘム・トンさん
は、この国の水泳のために自分ができる最後の仕事と
して、病をおして隊員派遣に奔走したといいます。
生山さんはヘム・トンさんの想いに導かれるように、
一周忌である2016年1月12日にカンボジアに降り立ち
ました。そして、ヘム・トンさんの息子で水泳連盟の事
務局長を務めるヘム・キリー(36)さんとともに、二人
三脚でナショナルチームの指導に当たっています。
10年ほど前まで自身も水泳選手だったキリーさん
は、シドニー、アテネ五輪に出場。「世界との差」
を身を持って知っています。「サキが来てくれて理
論的で体系的なトレーニングに取り組むことができ
るようになった。困難ではあるが、あきらめず一歩
ずつ前進したい。それが父から教わった大切なこと
だ」。2020年の東京五輪には特別枠ではない出場を
果たし、2023年に初めてカンボジアで開かれる「東
南アジア競技大会(SEA GAMES)」で輝かしい成績
をおさめたい、と言います。
現在、ナショナルチームには13人、ジュニアチーム
には20人余りの選手たちがいます。外国との圧倒的な
差に「勝てっこない」と思いこんでしまう若者たちにど
れだけ強い心を持たせるか。技術だけではなく、メンタ
ルなトレーニングも課題だと生山さんは言います。
生山さんのデスク脇には、初代水泳隊員の中村さん
やヘム・トンさんのモノクロの写真が飾ってあります。
「見守ってくれている」と、生山さん。50年余りの時
を超えて、その心はしっかりと受け継がれています。
Page 2
若手行政官の青年研修、42人が訪日へ
日本政府がJICAを通じて実施する「青年研修」
に、今年は42人のカンボジア人若手行政官たち
が参加することになりました。研修は日本で行わ
れ、9月から12月にかけて各グループが18日間
にわたり、専門家の話を聞いたり、実際に行政の
現場を訪れたりします。
青年研修は、国づくりを担う人材の育成、な
かでも若手行政官の育成を目的として、1984年
に創設されました。若手行政官を日本に招くこと
で相互理解を深め、将来にわたる関係を強化する
目的もあります。カンボジアは1995年からこの
研修に若手行政官を送り出しており、これまでに
982人が参加しました。
今年の参加者は「経済行政(産業振興)コー
ス」「職業訓練コース」「地域保健医療実施管理
コース」の3つに分かれて日本を訪問します。日
本にあるJICAの研修所を拠点に、各分野の専門家
による講義を受けるほか、教育機関や医療施設、
民間企業などを視察し、一部はホームステイも体
験します。
刻々と変化するカンボジア社会の成長に役立つ
研修となることを期待します。
出発前にプノンペンで実施されたオリエンテーション
梨花女子大の学生らがJICA訪問
韓国最大規模の女子大学・梨花女子大学から
8月下旬、7人の学生がJICAカンボジア事務
所を訪れました=写真。国際関係や開発学、環
境、教育などを専攻する学生たちで、小島岳晴
次長から日本の援助の動向などについて説明を
受けました。
JICAカンボジア事務所は、韓国の政府援
助実施機関であるKOICAのカンボジア事務所
と、定期的に情報交換の会議をするほか、文化
行事の共催、ボランティアの活動の一環として
共同でイベントを開催するなど、いろいろな形
で協力をしています。
JICAの事業について話を聞いた梨花女子大
学の学生からは、「日本人は政府開発援助につ
いてどう思っているのか」との質問が出まし
た。小島岳晴次長は「確かに日本国内にも課題
が山積しており、様々な意見があるが、経済活
動を含め、相互の良い関係を築くためにも重要
な手段と考えている人も多いと思う」と、答え
ました。
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広 が れ! JICAプロジェクト
小学校から中学校へ
広がる「体育コミュニティ」の形成
日本の特定非営利活動法人「ハート・オブ・ゴ
ールド」(本部・岡山市)が2006年から続けて
いる小学校の体育教育振興プロジェクトが、全国
へ、そして中学校へと広がりを見せています。
ハート・オブ・ゴールドは、元マラソン選手の
有森裕子さんが代表を務めるNGO。カンボジアで
は、体育や障害者スポーツの普及などの活動に取
り組んでいます。
JICAの草の根技術協力事業として2006年から実
施してきた小学校体育科教育振興プロジェクトで
は、体育の学習指導要領や指導書案を作成。それ
まで各学校で、指導の「目標」や「年間計画」も
なく実施されていた体育の授業を改善し、拠点州
で新しい教え方を広めるトレーナーの育成などに
取り組んできました。
こうした小学校での事業と並行して始まったの
が、中学校での体育振興です。小学校での学習指
導要領・指導書の普及事業は、カンボジア政府に
引き渡しますが、カンボジア側は続いて中学校で
の事業も要望。2015年にハート・オブ・ゴールド
と覚書を交わし、中学校の学習指導要領案の作成
が始まりました。今年末までに学習指導要領は完
成し、続いて2017年から2020年まで、指導書の
作成と普及が、プノンペン、バッタンバン、スバ
イリエンをモデル州として始まります。
ハ ー ト ・ オ
ブ・ゴールドの東
南アジア事務所
長、西山直樹さん
によると現在、中
学校の体育の授業
は、週2時間で年
間70時間。内容
研修で話す西山さん=ハート・オブ・
ゴールド提供
は、クメール体操
や、サッカー、
バレーボール、短距離走など。ただ、現場の先生た
ちからは「何を教えていいか分からない」「年間計
画といわれても競技や教え方を知らない」など、悩
みの声が上がっています。
指導要領・指導書に基づく小学校の体育教育の様子=ハート・
オブ・ゴールド提供
「先生たちの話を聞いて思うのは、体育とスポ
ーツの違いが明確ではないということです」と、
西山さんは指摘します。体育は、体力や技術だけ
でなく、そこから態度や協調性といった社会性や
リーダーシップ、創造性等も含めた「生きる力」
を身に付けるもの。学習指導要領や指導書も、競
技のルールや技術を教えるだけでなく、カンボジ
アの体育科教育が何を目指すのかを共有できるも
のにする必要があります。
体育を、スポーツの競技指導ではなく、教育
と考えることで、先生たちの教える姿勢も変わっ
てきます。小学校の先生たちを含め、これまで実
施してきたワークショップを通じてできた体育関
係の教育者のネットワークではフェイスブックな
どを通じて、情報の共有が始まっているといいま
す。「おもしろいな、と思った教え方を伝え合っ
たり、体育を教える楽しみを分かち合ったり、だ
んだんとこの国に体育コミュニティが形成されて
いるのを感じます」と、西山さん。
2020年の東京オリンピックや、カンボジア代表
選手が活躍をし始めた東南アジア競技大会(SEA
GAME)など、体育・スポーツへの関心が高まる
今、より幅広い国民の体力づくりに日本の力が貢
献しています。
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カンボジア援助ニュース
■開発パートナーによるカンボジアへの援助動向や、援
助に関係深い政府の動きを、報道からピックアップ。
■有権者登録開始(プノンペン・ポスト紙、9月1日)
http://www.phnompenhpost.com/national/taskcreating-voter-list-kicks
来年6月の地方選に向けての有権者登録作業が選
挙管理委員会(NEC)により今月開始された。公正
な選挙、ひいては政治・社会的安定の前提ともなる
プロセスであるが、今回からは日本及びEUの支援の
もと、初めて生体認証を含むITシステムが導入され
ている。本記事では登録の対象人口、プロセス、作
業に要するリソース等に関する解説図を掲載。
■中国、カンボジアからのコメ輸入枠倍増(クメー
ル・タイムズ紙, 9月9日)
http://www.khmertimeskh.com/news/29566/
china-doubles-cambodian-rice-quota/ 今月ラオスで開かれたG20サミット会期中の2カ国
首脳会談で、中国はカンボジアからのコメ輸入枠を
<Facebook掲載ニュースハイライト>
☆選挙人登録実施中(9月9日掲載)
☆北陸地方で農業ビジネス研修(9月16日掲載)
<その他>
9月30日(金)~10月3日(月)お盆
上記期間中、事務所は休みとなります
発行責任者
JICAカンボジア事務所広報班
P.O. Box 613, 6-8th Floors, #61-64,
Preah Nordom Blvd., Phnom Penh,
Cambodia
Tel: +855-23-211-673 Email: [email protected]
*掲載記事、写真、イラストなどの無断転載
を禁じます。
現行の10万トンから20万トンへの倍増することを合
意し、灌漑や国道の改修、中国への奨学生数増加、
アンコール遺跡群の修復支援などにも合意した。
■高校卒業試験:今年は62%の学生が合格(プノン
ペン・ポスト紙、9月12日)
http://www.phnompenhpost.com/national/62cent-students-pass-grade-12-exam 2013年に就任した教育大臣の指導下で、それま
での高校卒業試験(合格が大学入学の前提となる試
験)ではびこっていた不正の徹底排除が行われた結
果、2014年の合格率は前年までの80%台から26%
へと大きく下がった。今年も同様の厳しい不正排除
方針のもと同試験が実施されたが、今年の合格率は
62%まで上がった。教育省は、カリキュラム改訂や
教員養成などの諸改革の功が奏し、学生たちの意識
が変わってきた結果であるとしている。
■Webサイトでも、最新情報をご覧いただけます!
http://www.jica.go.jp/cambodia/
■Like us on Facebook!
http://www.facebook.com/JICACambodia
■We’re on Youtube!
http://www.youtube.com/user/jicacambodia
JICA PLAZA Cambodia
JICA事業と国際協力の情報窓
口です。興味のある方は是非
お立ちよりください。
JICAカンボジア事務所6階
Tel:023-211-673
開館時間:月~金
8:00-12:00、14:00-17:00
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