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No.82-2 - みやもと動物病院

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No.82-2 - みやもと動物病院
一〇
Toble l.基 質特異性拡張型 β―ラクタマーゼ産生菌が分離された症例の概要
Esch翻
θ
分離 日
症例
分離菌
カ
No.l i貴
ち雪
“
"
避妊メス
尿
皮下
No.3 ;腎
犬 8歳 齢 去勢オス
皮下
膀脱炎
部位
霞冥
基礎 疾 患 または
過 去 6ヶ 月以 内 の治
合併症
療歴
歴
なし
なし
下痢、直腸脱
メトロニダゾール 内服
入院
10歳 齢
メス
犬
8歳 齢
避妊メス
皮膚
膿皮症
No.6 ::lifi日
犬
4歳 齢
オス
皮膚
膿皮症
アトピー性皮膚炎 ζ
夢 :重タヒじR器
No.7 i:lifi日
犬
2歳 齢
避妊メス
尿
膀脱炎
なし
猫
不明
去勢オス
尿
膀脱炎
犬
9歳 齢
避妊メス
尿
膀脱炎
犬
不明
犬
4歳 齢
犬
12歳 齢 避妊メス
尿
膀脱炎
犬
10歳 齢
尿
膀脱炎
lT
]晶
No。
8〔
l晶
軍亀
9 itti晶
No.10 :腎
i晶
NQ ll:軍 亀
〔
No。
12
No。
13 ;費
t雪
:ittj:日
皮下膿瘍
肛門嚢 肛門嚢炎
避妊メス 肛門嚢 肛門嚢炎
メス
オス
子宮
`
治療
治療 経過
無
オフロキサシン内服
2週 間後 に治癒
有
ホスホマイシン内月
反
2週 間後 に治癒
無
ホスホマイシン内月
艮
2週 間後 に治癒
無
無
ホスホマイシン内月
長、クロル ヘ キシ
3週 間後 に治癒
ジン外用
ドキシサイクリン内月
艮、ゲンタマイシ
3週 間後 に治癒
ン外用
無
ゲンタマイシン外 用
オフロキサシン内月
艮
無
オフロキサシン内服
尿道閉塞
なし
有
脊髄損傷
ドキシサイクリン内服
有
なし
セフジニル 内服
無
セフポドキシム内服
有
膀脱腫瘍
オフロキサシン内服
無
ドキシサイクリン内服
膀脱結石、手術
ホスホマイシン内服
有
アミカシン注射、クラブラン酸・アモ 5ヶ 月後に治癒
キシシリン、スルファメトキサゾール (フ ァロペネム投
トリメトプリム、ファロペネム内服
与後 4週 間で治
子宮蓄膿症 なし
2週 間後 に治癒
2週
ミカシン注射 、ドキシサイク
鶴
2週 間後 に治癒
瀬
キシサイクリン、ホ
二部
賀 )が
奪3)ス第4倉
話
クラブラン酸 0ア モ
間後 に治癒
4週 間後 に治癒
4週 間後 に治癒
ファゾリン注射 、オフロキサシン内
4週 間後 に治癒
3週 間後 に治癒
0
B 口野 囲 鶯 諜 酬 湘 〓 中 一8 N
犬
セフジニル 内服、プレ
アトピー性皮膚炎 ドニゾロン内服、クロ
ルヘキシジン外用
`
アトピー性皮膚炎
χ tIメ
R眠
`プレ
アトピー性皮膚炎
`じど
こニス勇%串
Nα
θυ″ ο″′′θ
1歳 齢
犬 3ヶ 月齢 去勢オス
No.5 :腎
μ
犬
No.2 ittl晶
No.4 ;野
亜αθbsiena
聯彪
齢 剛 輯
炉年
笏
Toble 2.メ タ ローβ―ラクタ マーゼ産生 Acinelobocler lwof師 が分離 された症例の概要
症例
分離 日
動物種
年齢
性別 簿取材 病名
猫
5歳 齢
去 勢 オス
尿
膀脱炎
No.15 2011年 7月
11日
犬
1歳 齢
オス
皮膚
No.16 2011年 7月 24日
犬
9歳 齢
メス
No.17 2011年 8月
29日
犬
7歳 齢
No.18 2012年111月
10日
犬
No.19 2012年 111月
26日
猫
`腎後
亀仄治療
過 去 6ヶ 月以 内 の治療歴
治療 経過
ォフロキサシン内服
有
輸 液 、ドキシサイクリン 内服
膿皮症
アトピー 性 皮膚 炎 プ レドニゾロン内月
反
無
ドキシサイクリン 内 月艮、クロル ヘ
4週 間 後 に 治 癒
キシジン外 用
皮下
皮 下膿 瘍
アトピー 性 皮膚 炎
無
オ フロキサ シン内 服
3週 間 後 に 治 癒
オス
皮膚
膿皮症
アトピー 性皮 膚 炎
無
ドキシサイクリン 内月反
2週 間 後 に 治 癒
6歳 齢
オス
尿
膀脱炎
無
オ フロキサ シン 内 月長
2週 間 後 に治 癒
1歳 齢
去 勢 オス
皮膚
膿皮症
無
ドキシサイクリン 内 月艮
2週 間 後 に 治 癒
履 響 甲董
眈 結 石 、月
干障
響
アトピー 性皮 膚炎
鶏 ]ヽ お うラ煤 L
多論
ラ ス蘇 婚
股 彩
じラ嫌Ъ
ドキシサィクリン内月
反
影 品Fシ
ン内服 、プ レドニゾ
Tcble 3.分 離された Escherchic cO″ 、Klebsie〃 o ρneumonice、 Acinelobocler lwoffiiの 薬剤感受性率 (%)
Klebsiella pneumoniae
腸 あ あ あ 力 θ〔
ガ
系統
抗菌薬名
ESBLl)引 トテ
童 ESBL虐 三
昼
=(n=38)
NT3)
90
90
100
92
95
95
=(n=11
。
。 3 T T
0 0 M 0 3
N N
1
・
100
昼
T
T T
0 0 0 0 0 N 0 7
1 N N O M
95
100
(n=1)
MBL2)非 産 MBL産
T 。
O .
. 9. N l
9
9 M
生
一N
モ ノバ クタム 系
セファマ イシ ン系
オ キサ セ フェム 系
カル バ ペ ネ ム 系
カル バ ペ ネ ム 系
テトラサイクリン 系
アミノグリコシ ド系
アミノグリコシド系
フル オ ロキノロン 系
ホスホマ イシン 系
ST合剤
1)ESBL:基 質 特 異 性 拡 張 型 6-ラ クタマ ー ゼ
2)MBL:メ タロー6-ラ クタマ ー ゼ
3)NT:検 査 せ ず
95
100
100
100
100
=(n=8)
生
0 T T 7 T
3 0 0 0 T 5 0
0 7
N 4 ・ N N 2 N
セファゾリン (CEZ)
セフォチアム(CTM)
セフタジジム (CAZ)
セフトリアキソン (CTRX)
セフェピム (CFPM)
アズ トレオナ ム 仏 ZT)
セフメタゾール (CMZ)
ラタモ キセフ (LMOX)
メロペ ネム (MEPM)
イミペ ネム (IPM)
ミノサイクリン QttNO)
ゲ ンタマイシン (GM)
アミカシン KAMЮ
レボフロキサシン (Lヽ TX)
ホスホマイシン (FOM)
スル ファメトキサゾール・トリメトプ リム (ST)
68
74
82
90
昼
。 。。 T
。。
0
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 00 N
0 00 00 0
・ ・・
11
・
第 2世 代 セファロスポリン系
第 3世 代 セファロスポリン系
第 3世 代 セファロスポリン系
第 4世 代 セファロスポリン系
アン ピシ リン は BPC)
ピペ ラシリン (PIPC)
クラブ ラン酸・アモ キシシリン (C/AMP)
(n=12)
ESBL非 産 ESBL産
。 0 0 。 。。0 0 。。 T 8 80 8
0
。0
0 5
0 0 0 0 00 0 00
0
0 0
1 1 ・ ・ ・・・ ・ ・・ N 8 8・ 8
・
ペ ニ シ リン 系
ペ ニ シ リン系
ペ ニ シリン系
第 1世 代 セファロスポリン系
0 。 T 。 7 0 5 2 7
8 0
0 0 2
0
0
40 0 00 0 05 ・
・ N 5 6 ・ 2 9 6
6-ラ クタム 系
`上
Acinetobacter |woffii
2週 間 後 に 治 癒
B □野 園 鸞 諜 酬 ∬ 〓 中 N8 一
No.14 2011年15月 20日
患または
蓉俳 楚
18
第 39号
山 口獣 医学雑誌
2012
π″ιが分離 され 症例
%π θ
治癒 した。 ESBL産 生 K″ ι
は,C/AMP,ST,仙 IKの 投与 では治癒 せず ,ペ ネム
系 の フ ァ ロペ ネム の投与後 に治癒 した。 MBL産 生 4.
ESBL産 生E θθ が分 離 され た症 例 は ,薬 剤 感 受 性
試験 の結果 が得 られ る まで の期 間 ,セ フジエル や オ フ
Jグ
ロキサ シ ンな どの抗 菌薬 で 治療 を行 ったが ,分 離 され
た株 は これ ら抗 菌薬 に耐性 を示 し,治 療効 果 は認 め ら
励ρ
が 分離 された症例 は ドキ シサ イ ク リンやオフ ロ
′′
キサ シンの内服 によ り治癒 した。
れ なか った .そ の後 ,薬 剤感受性試験 の 結果 か ら,治
療 薬 をFOMな どに 変 更 した と こ ろ,す べ て の 症 例 が
考
察
ESBLの 検 査 法 と して は ,ク ラブ ラ ン酸 によ る活 性 阻害 を指 標 とす る表現 型 を基 にす る方 法 と,PCRと シー ク エ
ンス 解 析 を組 み 合 わせ た遺 伝子 的方 法 が用 い られ て い る
8)。
ESBLは CLSIが 推 奨す るス ク リーニ ング 試験 お よび 確
8).cLSI法 によ るESBL
認試験 ,ESBL検 出用 Etestま た はdouble disk synergy testで 検 出が可能 で ある とされ て いる
の検 出 は ,感 度 と特異度 は 94%,98%以 上 と信頼度 が高 く,現 在 最 も広 く利 用 され て いる 68■ ■0。 本研 究 で 分 離 さ
θ と 1株 のK夕 πι
ππθ
π″θは CLSI法 によ るESBLの 表現 型 の検 査 か ら,ESBL産 生菌 で あ る ことが示
れ た 12株 のE θ
しか
しなが
され
ら
た。
唆
,ESBLは 通 常 ,セ フ ァマ イ シ ン系 ,カ ル バ ペ ネム系薬 に対 して は活 性 を有 さず ,ク ラブ
い
―
θ 株 の 58%が C
ラ ン酸 な どの β ラクタ マーゼ 阻害 剤 によ り活 性 が 阻害 され る が ,今 回分離 され たESBL産 生E θ
J′
J′
/ANIPに 耐 性 で , セ フ ァ マ イ シ ン 系 の CMZに 42%が 耐 性 で あ っ た 。 ク ラス Cに 属 す るセ フ ァ ロ ス ポ リナ ー ゼ
(AmpC)型 β ―ラクタ マーゼ はC/AR/1Pと セ フ ァマ イ シ ン系 に耐性 で あ り,近 年 ,プ ラス ミ ド性 のAmpCtt β ―ラク
H・ °
。 したが って ,こ れ らの 株 は複 数 酵 素 同
タ マーゼ とESBL同 時産 生 菌 が 増加 しつ つ あ る ことが報 告 され て い る
―
時産 生菌 で あ る可 能性 が考 え られ たが ,今 回 ,AmpCtt β ラク タ マー ゼ の確 認 を行 つて い な い た め ,本 研 究 で は
証 明す る ことはで きなか った。
ESBL産 生菌 は人 にお いてICU患 者や長期 入 院患 者 か ら多 く分離 され ,院 内感 染 の原 因菌 と して知 られ て い る詢
.
本研 究 にお いて ,ESBL産 生菌 が分離 され た 12例 の うち入 院歴 が あ った の は 2例 で あ り,手 術 歴 が あ った のは 4例
で あ った .ま た ,ESBL産 生菌 が分離 され た 12例 中 10例 は基 礎疾 患 また は合併 症 の 治療 の た め に過去 に抗 菌 薬 の投
与 を受 け て お り,抗 菌 薬 の 選 択 圧 が ESBL産 生菌 の 分 離 に 関係 して い た 可能性 も考 え られ た。 近 年 ,人 で は ESBL
θ
′
′
は院 内感 染 の みな らず ,市 中感 染 の 原 因菌 と して も分 離 され るよ うにな り,院 内 へ の 持 ち込 み例 も増加
産 生E θ
り
して いる と報 告 され て い る 。 したが って 今後 ,動 物 病 院 で 分離 され るESBL産 生 菌 の 感 染源 や 感 染経路 に つ いて
詳細 に検 討す る必 要 が あ る と考 え る。
π υグ
加 で 感 受性 とな る ことが 多 い薬 剤 は , β ―ラクタム 系薬/β ―ラクタ マ ーゼ 阻害 薬
ESBL産 生菌 に対 して′
2D.し か し
セ フ ァマ イ シ ン系薬 ,第 四 世代 セ フ ァ ロスポ リン系薬 ,カ ル バ ペ ネム系薬 とされて いる
,人 由来 のESBL
―
―
/β
マ イ シ ン系薬 は
の
フ
マー
く
は
な
ゼ
は
ァ
ラクタ
阻害薬 有 効 例 報 告 少
,セ
産 生菌 に対 して は , β ラクタム系発
,
無効 とな る ことが 多 く,ま た第 四世 代 セ フ ァ ロス ポ リン系薬 はカル バ ペ ネム 系薬 に比 べ 肺 炎治 療 で 有効 率が劣 る と
り
の報告 が あ る。 以 上 の ことか ら,カ ルバ ペ ネム 系薬 が最 も信頼 のお け る有効 な薬剤 で あ る と考 え られ て い る 。 一
方 ,カ ルバ ペ ネム 系抗 菌薬 の過剰使用 は ,今 後 さ らな る耐性 菌 の 出現 を促す 可能性 が あ り,注 意す るべ き で あ る と
ο
′
′
が分
θ の 92%の 株 が FOMに 感 受性 を示 し,さ らにESBL産 生E ε
され て い るり。 本研 究 にお いて ,ESBL産 生E ε
Jグ
ο 感 染症 の治 療 にFOMは 有効 で あ る と考 え ら
離 され た 5症 例 が FOMの 投 与後 に治 癒 した ことか ら,ESBL産 生E θ
θ
πttι 感 染症 はESBL産 生E θ
%π θ
%π ο
πttθ のす べ て の株 はFOMに 耐性 で あ り,ESBL産 生κ 夕πθ
れ た .一 方 ,K′ πι
ロペ
の
で
が
で
フ
ネム 投 与 有効 あ
感 染症 よ りもさ らに治療 が 困難 にな りうる と考 え られ たが ,ペ ネム系抗 菌薬 ある ァ
J′
Jグ
る可 能性 が示唆 され た。
,通 常 は弱毒菌 で 日和見感 染 を起 こし,人 にお いて ,肺 炎 ,カ テ ー テル等 を介 した血 流感 染
によ る 院 内感 染が報告 され て い る
αππαππ′
グ
術 創感 染 ,髄 膜炎や尿路感 染 の原 因菌 とな り,犬 や猫 にお いて もA。 わ
べ
い は合 併症 を有 して お り,こ の う
の
る
いて
て
され
が基
あ
グ
礎
たす
症例
疾患
本研 究 にお
,MBL産 J.肋 ψ が 分 離
ち 4例 は治 療 の た め副 腎皮質 ステ ロイ ド剤 を投 与 され て い た。 したが つて ,本 菌 の感 染 に免疫 能 の低下 が 関係 して
4θ ′
πθ
わbα θ
″″spp.は
,
4)。
い た可能性 が あ る と考 え られ た。
Jし
πι
わbα θ
ttγ spp.の 増 加 が
人 にお いて は ,カ ルバ ペ ネム 系薬 の使 用 増加 に伴 い,欧 米 を中心 にカルバ ペ ネム耐 4θ グ
7氾 D._方
,当 院 にお いて は,カ ル バ ペ ネム 系薬
問題 にな ってお り,特 に耐性機 序 としてMBLが 注 目 され て いる
の 分 離 には カ
はす べ て の 症 例 にお いて これ まで一度 も使 用 した ことが な い た め , 当院 にお け るMBL産 生 4.Jω ψ ′
ル バ ペ ネム 系抗 菌 薬 の使 用 によ る選 択 圧 は 関係 して い な い と考 え られ た .し たが って , 当院 で 分離 され たMBL産
の感 染経路 は不 明 で あ つた。
生 4.肋 ψ グ
Aε グ
πι
わbα θ
ttγ 感 染症 は抗 菌 薬 によ る 治 療 が 困難 で あ る
3).4θ グ
πι
わbα ε
ttγ
spp.の 耐性 機 序 と して ,外 膜 の透 過 性 が
第 39号
nυ
山 口獣 医学雑誌
2012
極 端 に低 い こと,薬 剤 排 出ポ ンプ (emux pumps)に よ る抗 菌 薬 の 菌体 外 へ の排 出 , β ―ラクタ マー ゼ な どの抗 菌
薬 不活 化酵 素 によ る抗 菌 薬 の 失活 ,お よび 抗 菌薬 の作 用部位 へ の親和性 の低 下 が報 告 され て い る
この ため 一 般
助 さ らに
πι
わわ
αθ
ttγ spp.は ,ペ ニ シ リン系や 第 一 ,二 世代 セ フ ァ ロ ス ポ リン系 薬 に 耐性 を示 す
的 には ,4θ ′
。
菌体
外 に存在 す るDNA断 片 を取 り込 んで 自己 の 染 色体 DNAな どに組 み 込 む 機 構 を持 つ た め ,容 易 に種 々 の抗 菌薬 に耐
1)。
性 化 し得 る と報 告 され て い る m.本 研 究 で 分 離 され 趨 。励ψ グ
はテ トラサ イ ク リン系 のMINO,ア ミ ノグ リコ シ ド
系 のANIK,お よび フル オ ロキ ノ ロ ン系 のLVFXに 感 受性 が 高か ったが , これ は人 由来株 の薬剤感 受性 と似 て い た劉).
の 分離株 が感 受性 を示 した抗 菌薬 の投 与後 す べ て の症例 が治 癒 し,治 療 が 困難 とな った
グ
本研 究 にお いて ,4.ι
症例 はなか った。
"ψ
ESBL遺 伝 子 や MBL遺 伝子 は ,そ の 多 くが 伝 達 性 プ ラス ミ ド上 に存在 す る こ とが 明 らか にな ってお り,グ ラム 陰
7.9″ →
性拝 菌 の 間 で 拡 散 ・ 伝 播 して い る
。 したが って ,ESBL遺 伝子 や MBL遺 伝子 はグ ラム 陰性拝 菌 で あれば 菌種 を
越 えて 伝 達す る可能性 が あ るた め ,そ の動 向 を監 視 し,菌 種 に限定 しな い対応 が必 要 で あ る と考 え られ る。
これ まで 犬猫 か ら β ―ラクタマーゼ 産 生菌 が分離 され た とい う報告 は少 な い.し か しな が ら, β ―ラクタマ ーゼ
産 生 菌 は通 常 の 薬剤感 受性検 査 の みで は 判別 が で きな い た め に犬猫 にお い て も常在 して いる が これ まで 認識 され て
い な か った 可能性 が あ る.し た が って ,検 出 され た 細 菌 が ,第 二 世代 セ フ ァ ロス ポ リン系 薬 に耐 性 を示 す場 合 は
ESBL産 生 菌 の 出現 が疑 われ るた めESBLの 確 認 試験 を行 い, また カル バ ペ ネム 系薬 に耐性 を示す 場 合 はMBL産 生
菌 の 出現 が疑 わ れ るた めMBLの 確 認 試験 を行 うべ き と考 え る。 以 上 の よ うな 方 法 を用 いて ,動 物 病 院 にお いて β
―ラクタ マー ゼ 産 生菌 を早 期 に発見 し β ―ラクタマーゼ 生 が広 らな い
,
が
よ うに対 策 を行 う必 要 が あ る と考 え
産 菌
られ た。 さ らに,不 適 切 な 抗 菌 薬 の投 与 は β ―ラクタマーゼ 産 生 菌 を増や して しま う可 能性 が あ るた め,動 物病 院
にお ける抗 菌薬 の使 用法や使用 量 を見 直す必 要 が あ る と考 え る。
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万働″ θ
θ
′
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γ
グ
θ
λ′
α
θ
θ′
′and κ ι
bsグ θ
カ
レ タπι
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θ
ι
α
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山 口獣 医学雑誌
第 39号
2012
14)長 野則之・ 長野 由紀子 :わ が国 の医療機関 にお け る臨床分離細菌 の多剤耐性化 の現状 とそ の対応 (1)多 剤耐性
アシネ トバ クターやESBL産 生菌 の検 出 について。化学療法 の領域 ,27:1592∼ 1601.20H.
15)OIKeefe,A.,Hutton,T.A.,Schifferli,Do M。 ,Rankin,So C.:First detection of CTX― NI and SHV extended
―spectruin β ―lactamases in Esε あι
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ο u五 nary tract isolates from dogs and cats in the United States.
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脇″.,54:3489∼ 3492.2010。
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16)Robberts,Fo J.,Kohner,Po C.,Patel,R.:Unreliable extended― spectmm β -lactamase detection in the pres―
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″clinical isolates.ェ α物.″摩
ence of plasmid― mediated AmpC in Esttθ π働″ ω′
,47:358∼ 361.2009。
17)Shibata,N。 ,Doi,Y。 ,Yamane,K.,Yagi,T。 ,Kurokawa,H.,Shibayama,K。 ,Kato,H。 ,Kai,K。 ,Arakawa,Y.:PCR
typing of genetic deterlninants for meta1lo―
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β ―lactamases and integrases carrled by gran■ negative bacte五 a
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,41:5407∼ 5413.2003.
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が分離 された犬猫 の 4
忠・ 鳩谷晋吾 :メ タ ロ β ラクタマーゼ産 生ル グ
isolated in Japan,With focus on the class 3 integron。
18)嶋 田恵理子・ 宮本
例 。日獣会誌 ,65:365∼ 369.2012.
19)舘 田一博 :最 近話題 の耐性菌 による呼吸器感染症 の トビ ックス.化 学療法 の領域 ,27:601∼ 793.2011.
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20)Timofte,D.,Dandrieux,J.,Wattret,A。 ,Fick,J。 ,Williams,No J.:Detection of extended― spectrum β ″θ
′ in bile isolates from two dogs wlth bacterial cholanglohepatitis。
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V3414. 2011.
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, 49:3411ハ
21)渡 部 理 恵 ・ 本 田孝 行 ・ 蜂 谷 勤 ・ 佐 野 健 司・ 上 原 剛 :信 州 大 学 医 学 部 附 属 病 院 にて 検 出 され た ル 磁′わbα εルγ属
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π %励 ″ λ″物の 薬 剤 感 受 性 。信 州 医 学 雑 誌 ,52:171∼ 179。 2004.
お よ び S″ π″ ψ λο
22)八 木 哲 也 :腸 内 細 菌 科“,感 染 症 診 療 の 基 礎 と臨 床 ∼ 耐 性 菌 の 制 御 に 向 け て ∼ 飯 沼 由嗣 ・ 舘 田 一 博 編 ,第 1版
:
324∼ 327.医 薬 ジ ャ ー ナ ル 社 ,大 阪 。2010.
23)矢 野 寿 一
:わ が 国 の 大 学 (教 育 )病 院 に お け る 感 染 症 へ の 対 応
1633-1638. 2011.
(1)ESBLを
中 心 に 。化 学 療 法 の 領 域 ,27:
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