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現代経済理論 2012.11.22(いい夫婦の日) 長谷川 ゼミ大会:ユーロ危機
2012.11.22(いい夫婦の日) 現代経済理論 長谷川 ゼミ大会:ユーロ危機のなかでケインズとハイエクから学ぶ 最適通貨圏をハイエクの視点でとらえる(仮) ゼミ大会でのハイエク班の流れ 第 4 章(?) ハイエクとユーロ(仮) 第1節 ハイエクとケインズの貨幣論 第2節 貨幣と政府 第3節 貨幣発行自由化論 第4節 地域通貨(コミュニティマネー) 第5節 ユーロ問題点のハイエク的解決(仮) 第4節 地域通貨(コミュニティマネー) ここまで谷内君が担当 ☜いまここ 4-0 ハイエクと地域通貨 貨幣発行自由化論 →政府が貨幣発行独占の廃止、民間銀行が独自の通貨を発行 →各銀行は競争により通貨の安定を求める。 →次第に類似で安定な通貨が複数存在。 (→これが最適通貨圏なのでは?と予想) この考えを現実にあてはめてみると・・・地域通貨! (以上は前節に谷内君がまとめた部分を簡単に整理し、地域通貨へとつないでいく。 ) ハイエクの貨幣発行自由化論と地域通貨 目的:インフレ抑制 (ハイエク) デフレ脱却 (地域通貨) 共通点:独自通貨の発行 →目的は違えども、共通の試みをして経済を安定させるという結果に結びつくものである。 両者の意図を組み合わせれば安定とした通貨を創造できる。ゆえに地域通貨はハイエクの 貨幣発行自由化論を体現しているとし、これを通してユーロの通貨圏について考える。 4-1 ポイント制度のコミュニティマネー ○ポイントカード 消費者が財・サービスを購入した際に、企業が消費者に対し、その一定割合をポイント として還元する仕組みである。このポイントはその企業の提供する財・サービスとの交換 が可能。 特徴・無利子またはマイナス利子 →再度来店するインセンティブ ・複数企業間のポイント提携 →流通性、汎用性の拡大 ・ポイントの相互交換が可能 →外国為替市場に相当 消費者のお金を企業に預金させて、その企業内でのみ通用する預金証書(ポイントカード) を発行するという形とみることもできる。いったん法貨とのリンクも切れる。 4-2 コミュニティクレジット、コミュニティボンド ○コミュニティクレジット コミュニティに参加する企業が共同で出資し、信託プールを作り、相互に保証とモニタ リングを行い、融資が必要な企業に資金を融通する仕組みである。 →・地域に根差した企業間の資金融通 ・銀行などの外部資金を呼び込む効果 ○コミュニティボンド 地方自治体が民間から資金を調達するときに発行する地方債のなかでも個人向けの「ミ ニ市場公募債」がある。購入対象が地域内の個人に限定、購入単位も小口化し限度額が設定。 →・預貯金や国債より利回りが高い(ごくわずか) ・自治体業務への住民参加意識向上 ・地域貢献への満足感 メンバーは自らが持っている法定通貨を、コミュニティが発行するマネーと交換するこ とによって、コミュニティ内に資金を還流させている。資金拠出したメンバーは、見返り として一定の利子を受け取ることができる。 前項ではコミュニティ内に資金を預金することのみ可能であったが、この仕組みにより コミュニティ内でも資金を貸し出す機能を果たしていることが分かる。 4-3 現存するコミュニティマネー スイス「WIR」 (1934∼)→70 年以上の歴史を持つコミュニティマネー。国内全域が範囲。 通帳記載方式。無利子預金。メンバーに対する低利融資。 現在、WIR の仕組みは銀行組織となっており、これにはスイスの中小企業のうちの約 20% 2 (8 万社以上)が参加している。WIR 銀行は中小企業向けの金融機関として発展している。 法貨であるスイスフランとの併用(1WIR=1 スイスフラン) 。ただし、WIR をスイスフラン に交換は不可。しかし、参加者は顧客を得、低利融資を受けることができる。 4-4 減価するマネー ゲゼルの自由貨幣論 →貨幣に減価させていく仕組みを提案(マイナス利子) 。毎月印紙を 購入し貼り付けなければ使用できない貨幣を発行。 ケインズも評価、自著『一般理論』 (1936 年)内で紹介。 利子がつかないため、この貨幣は貯め込まれることなく、ただちに消費や投資に向かう ことが予想される。貨幣が減価する世界では、貨幣をコミュニティ内につなぎとめ、コミ ュニティ内で循環させることによって、域内の経済活動を活性化させる。 対照的に… 貨幣が増加する世界 ←グローバルかつ急激な資本移動。富める国はますます豊かに、貧 しい国は資本流出でますます貧しくなるという傾向。 例:アジア通貨危機(1997) 4-5 地域通貨いろいろ(おまけ) ○国内(地域レベル) 北海道栗山町「クリン」、千葉県千葉市「ピーナッツ」、石川県金沢市「もろみ」、「長町大 福帳」 、静岡県浜松市「だら」 、滋賀県草津市「おうみ」 、兵庫県宝塚市「ZUKA」などなど 他多数。 (経済レベル) ・T ポイント(TSUTAYA、ファミリーマート、ガスト、ENEOS、カメラのキタムラ、洋 服の青山など) ・Ponta ポイント(ゲオ、ローソン、ケンタッキーフライドチキン、昭和シェル石油、ビッ クカメラ、AOKI など) ○海外 カナダ・バンクーバー島コモックスバレー「LETS」(通貨単位はグリーンドル)、アメリカ・ ニューヨーク州イサカ市「イサカアワーズ」 、スイス「WIR」などなど。 3 表:ハイエクとコミュニティマネーの比較(仮) ハイエク 共通点 コミュニティマネー 独自通貨の発行 目的 インフレ懸念・抑制 デフレ脱却 他の通貨 可能 可能 交換比率(新聞掲載) ポイントの相互交換サイト なし あり(ない場合もある) との交換 法貨との 関わり 特徴 ・法貨を否定、廃止 ・法貨を担保に発行 ・政府の貨幣発行独占廃止 ・法貨との併用、補助 ・銀行の特典・プレミアムサービス ・特典やプレミアム ・競争による通貨変動幅が小さい ・コミュニティ内の相互依存強い =安定 ・無(マイナス)利子 ・銀行選択よりも貨幣選択が重要 ・ボランティア等の価値評価可能 →広がりが小さく限定的 ・内部貨幣1=域内限定流通 通貨圏の 国際的な通貨競争もできると想 範囲・領域 定? 経済、地域レベル単位 第5節 ユーロ問題点のハイエク的解決 「ある単一の通貨が独占的にカバーする範囲が拡大すればするほど、通貨政策の危険性は 大きくなることになる。多種多様な財や人々の期待形成の差異を考えれば貨幣供給への反 応はきわめて多様なものになるからだ。一つの政策による一元的な目的の達成の可能性は、 その範囲を拡大すればするほど困難になる。 」江頭(1999)p. 153 より引用 ○最適通貨圏について ・ユーロは最適通貨圏とは言えないのでは。 (PIIGS とか移民問題とかあるし…。 ) ・各国通貨を地域通貨とみなし、マルクやフラン、ドラクマなどを再度使用。ユーロは法 定通貨やバンコールというような決済としての役割のみ果たす。 (ケインズ案との折衷案み たいな) ・まずコミュニティ内の流通速度を上昇させ経済活性化を目指す。 1 共同体内部のみに使われる貨幣のこと。 4 ・ドル対抗基軸通貨としてのユーロよりも域内通貨としてのユーロの役割を重視させる。 ○リージョナル・インバランスについて ・一つの中央銀行(ECB)だけでは、ユーロ加入国圏は広すぎてカバーしきれていない。 ・各国の政府中央銀行にある程度の力、監視させる役割を持たせ、各国内で物価の安定を 努めるようにする。 ・すでにユーロ加入協定にある条項を厳守させればいいのでは。金融緩和の流行に飲み込 まれないように注意! ○おまけ 安倍さんがデフレ脱却に金融緩和をすすめていますがどう思いますか? (政府と日銀が接近するのはハイエクに言わせたらありえないことだけど・・・。) 地域通貨もデフレ脱却が目的だから有効かも? 参考文献 ・Hayek, F. A. (1976/1988) Denationalisation of Money –The Argunment Refind, The Institute of Economic Affairs, (邦訳川口慎二、 『貨幣発行自由化論』東洋経済新報社)。 ・猪木武徳(2012)『経済教室:通貨価値は誰が守るのか』日本経済新聞 2012 年 7 月 12 日 掲載。 ・江頭進(1995)「ハイエクと貨幣」 『経済論叢』京都大学第 156 巻第 1 号(pp. 47-64)。 ・江頭進(1999)『F.A.ハイエクの研究』(pp. 131-62), 日本経済評論社。 ・嵯峨生馬(2004)『地域通貨』日本放送出版協会。 ・西部忠(2011)『資本主義はどこへ向かうのか』NHK 出版。 ・松原隆一郎(2011)『ケインズとハイエク』講談社。 ・米山秀隆(2004)「デフレ克服の手段としてのコミュニティマネーの可能性」 『 Economic Review』(pp. 64-87)。 ・T ポイントと T カードの総合サイト[T-SITE] (http://tsite.jp/pc/r/al/list.pl)、2012 年 11 月 21 日閲覧。 ・提携店舗一覧|Ponta(ポンタ) (http://www.ponta.jp/c/partner/index.htm)、2012 年 11 月 21 日閲覧。 5