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イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに
イ・ブ ル 展:私 か ら あ な た へ 、私 た ち だ け に プ レ ス リ リ ー ス VOL.2 2 0 11 年 12 月 7 日 イ・ブル展:私からあなた へ 、私 た ち だ け に 2012 年 2 月 4 日( 土 )ー 5 月 27 日( 日 ) 森 美 術 館( 六 本 木 ヒ ル ズ 森 タ ワ ー 53 階 ) 究 極 の 身 体 、理 想 の 社 会 を 求 め て ア ジ ア を 代 表 す る 韓 国 女 性 ア ー テ ィ ス ト 、世 界 初 の 大 規 模 個 展 森美術館は、2012 年 2 月 4 日( 土 )から 5 月 27 日( 日 )まで、 「イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに」を 開催します。イ・ブル(1964 年生まれ)は、1990 年代、ニューヨーク近代美術館やリヨン・ビエンナーレ、 ヴェネチア・ビエンナーレなど数々の国際的な美術館での展覧会や国際展に参加し、以降、現代アジアを 代 表する韓 国 人アーティストとして国 際 的な評 価を確 実なものにしてきました。 1980 年 代 末 以 降、韓国が国家として民主化、近代化、経済発展を遂げていく過程でアーティストとして のキャリアを築いたイ・ブルは、20 世紀のさまざまなユートピア理論や文学、社会政治学に言及し、同時 に韓国の近代史や自身の個人史を編み込みながら、理想の社会の在り方や人間像を問い続け、その普遍的 な価値を模索してきました。 本 展は、自 身の身 体を使った初 期のパフォーマンスから、人 間を超 越した存 在としての彫 刻 シリーズ、 建築や都市模型をイメージさせる近年の作品まで、究極の身体、理想の社会を追い求めてきたイ・ブルの 思考プロセスを、新作を含む代表作約 45 点を通して一望する世界初の大規模個展です。 《ブルーノ・タウトに倣って( 物 事の甘きを自 覚せよ)》 2007 年 ビーズ、ステンレススチール、金 網、ポリ塩 化ビニル、チェーン 258 展 示 風 景: 「すべての新しい影の上に」カルティエ現 代 美 術 財 団、パリ 所 蔵:ギャルリー・タデウス・ロパック、ザルツブルグ、パリ x 200 x 250 cm Courtesy: the artist and Fondation Cartier pour l ’ art contemporain, Paris Photo: Patrick Gries プレ ス リ リ ー ス お問い合わせ 森 美 術 館 広 報:渡 邉、瀧、品 川、桐 木 Tel: 03-6406-6111 Fax: 03-6406-9351 E-mail: [email protected] Web: www.mori.art.museum 106-6150 東 京 都 港 区 六 本 木 6-10-1 六 本 木ヒルズ森タワー 森 美 術 館 1 /4 イ・ブ ル 展:私 か ら あ な た へ 、私 た ち だ け に プ レ ス リ リ ー ス VOL.2 2 0 11 年 12 月 7 日 本 展のみどころ ■ 世 界 初の大 規 模な個 展—ミッドキャリア・レトロスペクティブ * 1 イ・ブ ル は 、1990 年 代 か ら 国 際 的 に 注 目 を 浴 び 、ニ ュ ー ヨ ー ク 近 代 美 術 館 の プ ロ ジ ェ ク ト( 1997 年 )、ヴ ェ ネ チ ア・ビエンナー レの韓 国 館( 1999 年 )をはじめ、数々の国 際 展に参 加してきました。アジアを代 表するアーティストとして日 本でも何 度も紹 介されて い ま す が 、本 展 は 20 年 に わ た る 彼 女 の 活 動 を 網 羅 し 、新 作 を 含 む 代 表 作 約 45 点 が 一 堂 に 会 す る 世 界 初 の ミ ッ ド キ ャ リ ア・レ ト ロ スペクティブです。 *1 ミ ッ ド キ ャ リ ア・レ ト ロ ス ペ ク テ ィ ブ:ア ー テ ィ ス ト の キ ャ リ ア の 晩 年 や 没 後 に 開 催 さ れ る イ メ ー ジ が 強 い「 回 顧 展 」に 対 し て 、一 定 の ス タ イ ル を 確 立 し た 中 堅 アーティストが数十年間の仕事を網羅的に見せる展覧会。 ■ 本 展のための新 作 展 覧 会 の サ ブ タ イ ト ル で あ る「 私 か ら あ な た へ 、私 た ち だ け に 」は 、ア ー テ ィ ス ト か ら 広 く 社 会 に 訴 え る メ ッ セ ー ジ で あ り な が ら 、 それを政 治 的、プロパガンダ的な方 法ではなく、むしろ政 治 的、社 会 的な変 革の波に翻 弄される個 人の感 情、パーソナルな関 係 性を重 視 するイ・ブルの姿 勢を表しています。理 想の社 会を考えるうえで、全 体と個 人の関 係 性を意 識させる示 唆に富んだ言 葉です。この姿 勢 は展 示の最 後で披 露される本 展のための新 作に見ることができます。 ■ 美 術の歴 史と韓 国の近 代 史、イ・ブルの個 人 史が融 合した普 遍 的な世 界 観 1964 年 生まれのイ・ブルは軍 事 独 裁 政 権 下に育ち、1987 年の民 主 化 宣 言を経て国 家が急 速な近 代 化や経 済 発 展を遂げて行く過 程に アーティストとしてのキャリアを構 築しました。植 民 地 時 代、南 北の分 断、クーデター、革 命など韓 国の政 治 史や社 会 史を踏まえつつ、 人 類 史 上 人々が希 求した理 想の社 会、ユートピアの普 遍 的な価 値を模 索し、そこに彼 女 自 身の個 人 史を重ねあわせることで創 出された 独 自の世 界 観をご覧いただけます。 ■ ガラス、ビーズ、チェーンなど、素 材を駆 使した輝かしい世 界 イ・ブルは、木や石、粘 土といった伝 統 的な彫 刻 素 材ではなく、ガラス、ビーズ、チェーンなどモダニズムを象 徴する工 業 製 品や素 材を 駆使しながら、モダニズムが否定した過剰なほどの装飾性を通して、価値の転換や美と醜の関係性を示唆します。これらの作品はドラマ ティックな照 明のなかで、超現実 的な輝かしい世 界を創 出します。 ■ アーティストのスタジオ再 現 洗 練されたスタイリッシュな作 品や展 示は、アーティストの大 量のドローイングや模 型を通した試 行 錯 誤から生み出されます。本 展 では、 「 スタジオ」と題したスペースで、それらのドローイングや模 型、作 品 素 材などを展 示。アーティストの脳 内を覗き見るかのような 思 考プロセスを視 覚 化します。 主 催:森 美 術 館 後 援:駐 日 韓 国 大 使 館 韓 国 文 化 院、在 日 本 大 韓 民 国 民 団 中 央 本 部 協 賛:株 式 会 社 大 林 組、トヨタ自 動 車 株 式 会 社、Soo Seok Trading Co., LTD. 、Ilshin Foundation 、三 建 設 備 工 業 株 式 会 社、 新菱冷熱工業株式会社 特 別 協 力:株 式 会 社 菱 晃 協 力:シャンパーニュ ニコラ・フィアット、ボンベイ・サファイア 企 画:片 岡 真 実( 森 美 術 館チーフ・キュレーター) 会 場:森 美 術 館 東 京 都 港 区 六 本 木 6-10-1 六 本 木ヒルズ森タワー 53 階 開 館 時 間:10:00 – 22:00 | 火 10:00 –17:00 | *いずれも入 館は閉 館 時 間の 30 分 前まで * 会 期 中 無 休 *ただし 3/20( 火・祝 )は 22:00 まで、3/24( 土 )は「 六 本 木アートナイト 2012 」開 催に伴い翌 朝 6:00 まで開 館 入 館 料:一 般 1,500 円、学 生( 高 校・大 学 生 )1,000 円、子 供( 4 歳 - 中 学 生 )500 円 * 表 示 料 金に消 費 税 込 * 本 展のチケットで「 MAM プロジェクト 016:ホー・ツーニェン」展、展 望 台 東 京シティビューにも入 館 可(スカイデッキを除く) *スカイデッキへは別 途 料 金 300 円がかかります お問い合わせ:Tel: プレ ス リ リ ー ス 03-5777-8600(ハローダイヤル) お問い合わせ 森 美 術 館 広 報:渡 邉、瀧、品 川、桐 木 Tel: 03-6406-6111 Fax: 03-6406-9351 E-mail: [email protected] Web: www.mori.art.museum 106-6150 東 京 都 港 区 六 本 木 6-10-1 六 本 木ヒルズ森タワー 森 美 術 館 2 /4 イ・ブ ル 展:私 か ら あ な た へ 、私 た ち だ け に 2 0 11 年 12 月 7 日 プ レ ス リ リ ー ス VOL.2 展覧会概要 イ・ ブル( 1964 年 生 まれ)は、1990 年 代 以 降、 世 界 のア ー ト シ ー ンが 急 速 にグロ ー バル 化 する 中、 現 代 アジアを 代 表 する ア ー テ ィ ストとして 国 際 的 に 注 目 を 浴 びてきました。1997 年 には ニ ュ ー ヨ ー ク 近 代 美 術 館 のプロジ ェ クトで 紹 介 され、1999 年には リヨン・ビエンナーレに参加、ヴェネチア・ビエンナーレでは韓国館代表 アーティストにも選ばれます( 二人展 )。その後は、イスタンブール、 上 海 など 各 地 の 国 際 展、カルテ ィ エ 現 代 美 術 財 団(パリ)などでの 個 展、さらに欧 米やアジアを中 心として世 界 各 地でのグループ展に 《 切 望 》 1989 年 屋 外パフォーマンス、長 興(チャンフン)、韓 国 Courtesy: Studio Lee Bul 参 加してきました。本 展は彼 女の 20 年にわたる活 動の中からその 代 表 作 約 45 点が一 堂に会する初めての大 規 模な個 展です。 1980 年 代 後 半 、 軍 事 独 裁 政 権 下 で ア ー テ ィ ス ト を 志 し た イ・ブルは 、1987 年 の 韓 国 の 民 主 化 宣 言 と 時 を 同 じ くして 作 品 を 発 表 しは じ めま す。新 しい 社 会 へ の 期 待 と 先 の 見 え ない 不 安 は 、 自 身 の 身 体 を 使 っ た 初 期 のパフ ォ ー マンスで 彼 女 が 身 に つけた モンスタ ー( 怪 物 )のようなソフト・スカルプチ ャ ー に 窺 うことが できますが、それは後に独立した彫刻シリーズ「モンスター」 ( 1998 年~)やそのドローイングとして発表されます。また、ひとつの価値 観や輝かし い 時 代 が 崩 壊 し て 行 く 様 は 、派 手 な 装 飾 を 施 し た 生 魚 が 腐 敗 するプロセスを見せた《 荘 厳な輝き》 ( 1997 年 )で表 現され ました。これはニューヨーク近 代 美 術 館で展 示されましたが、その 《サイボーグ W1 》 1998 年 シリコン、ポリウレタン、塗 料 用 顔 料 185 x 56 x 58 cm 所 蔵:アートソンジェ・センター、ソウル 腐 敗 臭 のために 撤 去 される 結 果 となり、イ・ ブルにとっ ては「 芸 術 の終 焉 」を象徴する作品となると同時に、アートの根源的な意味への 問い掛けへと繋がります。 同じ時期、イ・ブルは完璧さへのビジョンや人類を超越したポスト・ ヒューマンなど、時 代を越えて人 類が思い描いてきた理 想の人 間 像 を、 「 サイボーグ」 ( 1997 年~)や「アナグラム」シリーズとして発 表 しはじめます。古典的な西洋の立像から映画やアニメのディストピア ( 暗黒郷 )世界にみる人間と機械のハイブリッドな生命体まで多様な 参 照が可 能 な「サイボ ー グ」は、いずれも 頭 部 や 手 足 の 無 い 不 完 全 な形を通して理 想の身 体の意 味を問い掛けます。また、言 葉を入れ 替 えて 新 しい 言 葉 をつくるシリ ー ズ 名 どおり、 「 アナグラム」では 有 機的な形 態が多様な間接で接続されており、人間を超越した未 来 の生命 体のようにも、古 代地 図にある知らない世界の神 話的な生物 プレ ス リ リ ー ス 《アマリリス》 1999 年 ポリウレタンパネル、アルミニウム、エナメル塗料 210 x 120 x 180 cm 所 蔵:アラリオ・コレクション、ソウル Courtesy: Studio Lee Bul Photo: Rhee Jae-yong お問い合わせ 森 美 術 館 広 報:渡 邉、瀧、品 川、桐 木 Tel: 03-6406-6111 Fax: 03-6406-9351 E-mail: [email protected] Web: www.mori.art.museum 106-6150 東 京 都 港 区 六 本 木 6-10-1 六 本 木ヒルズ森タワー 森 美 術 館 3 /4 イ・ブ ル 展:私 か ら あ な た へ 、私 た ち だ け に 2 0 11 年 12 月 7 日 プ レ ス リ リ ー ス VOL.2 のようにもみえます。 一 方、2005 年に始まった建 築、都 市 模 型を連 想させるシリーズ 「 モ ン・グ ラ ン・レ シ 」 ( 私 の 大 き な 物 語 )で は 、理 想 の 社 会 を 構 想 したブルーノ・タウトの「アルプス建築 」 ( 1919 年 )やウラジミール・ タ トリ ン の「 第 三インター ナショ ナル記 念 塔 」 ( 1919/1920 年 ) な ど 20 世 紀 初 頭 の ユ ー ト ピ ア 論 が 参 照 さ れ て い ま す 。 ま た 、 《 雪解け( 高 木 正 雄 )》のように韓 国の軍 事 独 裁 政 権を築いた朴 正 煕 (パク・チ ョ ンヒ) ( 1917-1979 年 )の 日 本 語 名 を 冠 した 作 品 や、 中 国 と 北 朝 鮮 の 国 境 地 帯 にあり 朝 鮮 半 島 の 霊 山 でもある 白 頭 山 (ペクト ゥ サン)の 頂 上 のカルデラ 湖、天 池(チ ョ ンジ)をモチ ー フ 《 朝の曲 》 2007 年 にした《 天と地 》など、朝 鮮 半 島や韓 国の近 代 史にも言 及すること アルミニウム、LED、ワイヤー、ビーズ 400 x φ 200 cm で、シリーズ全 体は時 代や地 域を越えた普 遍 的な価 値としての理 想 カルティエ現代美術財団、パリ 社 会を考えさせます。 展覧会の最後に展示される新作は、 「 私からあなたへ、私たちだけ 展示風景: 「すべての新しい影の上に」 Cour tesy: the ar tist and Fondation Cartier pour l’art contemporain, Paris Photo: Patrick Gries に」という展覧会のサブタイトルと連動しています。アーティストは表現を通して広く社会との関係性を 求めつつ、それは政治的、プロパガンダ的な方法や意味ではなく、むしろ政治的、社会的な変革の波に翻弄 される個人の感情、パーソナルな関係性を重視しています。理想の社会と個人の幸福、全体と個の関係性 について考えさせる示唆に富んだ作品です。 今年 3 月の東日本大震災と原発事故によって、明治以降の近代化と戦後の経済発展を経てきた日 本 社 会 は 、全 く 異 な る 状 況 に 置かれました。政 治 的、経 済 的な価 値 基 準によらない理 想の社 会とは何か を強 烈に問われている今 日の私たちにとって、隣 国 韓 国で 20 年にわたって活 動を続けて来たイ・ブル の挑 戦を追うことは、未 来に向けた示 唆に富んだものになることでしょう。 展 覧 会 構 成: セクション 1 つかの間の存 在 セクション 2 人 間を越えて セクション 3 ユートピアと幻 想 風 景 セクション 4 私からあなたへ、私たちだけに スタジオ イ・ブル 1964 年 生まれ、ソウル市 在 住。弘 益(ホンイク)大 学で彫 刻を専 攻。1990 年 代 後 半には国 際 的にも高い評 価 を 受 け、グロ ー バル 化 以 降 のア ー トシ ー ンの 中 でアジアを代表す る ア ー テ ィ スト と して の 位 置 を 確 立 し た 。 ニ ュ ー ヨ ー ク 近 代 美 術 館( 1997 年 )、ル・コンソルシウム(ディジョン、2002 年 )、国 際 交 流 基 金フォーラム ( 東京、2003 年 )、カルティエ現代美術財団(パリ、2007-08 年 )などで個展のほか、欧米、アジアを中心にグループ 展 多 数 。1998 年 に は ヒ ュ ー ゴ・ボ ス 賞 フ ァ イ ナ リ ス ト 。1999 年 の 第 48 回 ヴ ェ ネ チ ア・ビ エ ン ナ ー レ で も 受 賞 歴がある。 最 新のプレス画 像は、森 美 術 館ウェブサイトにて申 請いただけます www.mori.art.museum プレ ス リ リ ー ス お問い合わせ 森 美 術 館 広 報:渡 邉、瀧、品 川、桐 木 Tel: 03-6406-6111 Fax: 03-6406-9351 E-mail: [email protected] Web: www.mori.art.museum 106-6150 東 京 都 港 区 六 本 木 6-10-1 六 本 木ヒルズ森タワー 森 美 術 館 4 /4