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第4回
「栄養成分表示検討会」
平成23年4月22日(金)
午後1時30分
○坂本座長
開会
皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第4回「栄養成
分表示検討会」を開催いたします。
ご承知のようにさる3月11日、東北地方を中心に大変厳しい地震、津波、さらに放射能
というもので、皆様大変苦労しておられまして、まだ避難されて違った地域で生活してお
られる方もいらっしゃいますし、本当に気の毒な状況でございますが、おかげさまで東京
あたりは無事に、私ども大学ですが、入学式もやって、やっと新年度が始まることになり
ましたので、ほっとしております。まだ、避難されている皆さん方には本当にお気の毒に
思っております。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
この検討会も実は3月の予定でございましたが、延期させていただきまして今日になっ
てしまいましたが、皆様方にはいろいろとご都合がおありだったと思いますけれども、ご
協力いただいてありがとうございました。
本日は、3月に開催する予定でございました内容につきまして、改めて議論をさせてい
ただきたいと思います。
本日は、全員出席でございますが、本日最初にご講演いただきますのは、清水教授でご
ざいまして、先生は途中で消費者委員会の会議がおありだそうで、中座をされますけれど
も、お許しください。
今日の検討のテーマは、論点③でございまして、「栄養成分表示制度の運用~制度の実
効性について~」ということで、最初に名古屋文理大学の清水教授、それから検討会の委
員からは塩谷委員、仲谷委員、鬼武委員、渡部委員、浜野委員らから発表していただいて、
その上で議論を進めてまいりたいと考えています。
今日は、大変な長丁場でございまして、今から始めまして終わりますのが、16時30分の
予定でございますので、途中大変お疲れになろうかと思いますが、いろいろな議題が詰ま
っておりますので、よろしくご協力ください。時間としては、16時30分を終了予定にして
おりますので、できるだけ円滑な議論の進行にご協力いただければと思います。
それでは、事務局より資料確認をしていただきますので、米倉衛生調査官からどうぞご
紹介してください。
○米倉衛生調査官
それでは、資料確認をさせていただきます。
お手元の議事次第にある配布資料の一覧にありますとおり、本日の資料といたしまして、
資料1として清水教授からのご提供資料、資料2として塩谷委員からのご提供資料、資料
3として仲谷委員からのご提供資料、資料4として鬼武委員からのご提供資料、資料5と
して渡部委員からのご提供資料、資料6として浜野委員からのご提供資料、資料7として
今後のスケジュール案、また、参考資料として事務局から資料を配布させていただいてお
ります。抜け等がございましたら、議論の途中でも構いませんのでお知らせください。
○坂本座長
お手元に資料は揃っておりましたでしょうか。
それでは、本日のテーマでございます「栄養成分表示制度の運用」と題しまして、検討
1
させていただきますが、先ほど申しましたように、前回の検討会では、消費者の栄養成分
表示に関するに認知状況、行動について議論させていただきました。委員の皆様方には科
学的な整理をご紹介いたしましたが、さらに学術的な整理も進められているということで
ございますので、国内外の栄養、健康、強調表示制度に大変造詣が深くていらっしゃいま
すConsumer Scienceに関するご研究を扱っておられます名古屋文理大学の清水俊雄教授に
今日はお話をしていただきたいと思います。
特に、消費者の視点から栄養健康表示制度と消費者の理解、行動に関する研究の国際的
動向ということで、ご講演をいただきたいと思います。先生の場合は15分間の時間をちょ
うだいいたしております。
清水先生、よろしくお願いいたします。
○清水(名古屋文理大学教授)
皆さん、こんにちは。清水です。よろしくお願いいたし
ます。
そ れ で は 、 資 料 1 の 「 栄 養 成 分 表 示 の 海 外 の 研 究 事 例 ~ Consumer Scienceを 踏 ま え て
~」ということで、お話をさせていただきます。
あまり聞きなれないConsumer Scienceという言葉が表題に入っておりますので、ここを
少しお話しさせていただいて、実際の研究事例、それと今後の展望ということにつなげた
いと思っております。
1枚開けていただきまして、2000年のEUの食品白書というものが書かれておりますけ
れども、ここには消費者は食品の品質と含有成分についての情報を知る権利があり、それ
によりInformed Choiceが可能となるという言葉が書かれています。
こ こ で Informed Choice と い う 言 葉 が 、 一 般 に 医 療 機 関 が 使 っ て お り ま す Informed
Consent、情報を与えて同意を得るということでは、食品のこの情報伝達の分野では十分
ではないということが考え方としてベースにあります。この意味は、情報を十分に与えて、
消費者が自ら選択するということになるわけですけれども、厚生労働省が保健機能食品を
つくった通知で2001年に「消費者に正しい情報を提供し、消費者自らの判断に基づき選択
する」ということが書かれておりますが、まさにこれがInformed Choiceの考え方だと思
っております。
私自身は食品の機能に関して、科学的根拠のある表示、または情報をどういうふうにつ
くっていくかというRegulatory Scienceの領域を主に研究してまいりました。最近、Food
Consumer Scienceという言葉が多く目につくようになりました。これは健康増進とか、消
費者の理解度、それから消費者が選択をする行動について、消費者のために役立つ施策や
指針をつくっていくための研究だということで、これがまさに厚生労働省が2001年に出し
た「消費者自らの判断に基づいて選択」していく、行動をとっていく、という後半の部分
につながるわけで、Regulatory ScienceとConsumer Scienceというのが消費者、国民の健
康増進、それから情報を正しく伝えるということで、車の両輪だなというふうに考えて、
最近、調査をしております。
2
次を開けていただきますと、これはECが2007年に出しました20ページほどのリーフレ
ットですけれども、Food Consumer Scienceと いうタイトルがついております。ここで、
Food Consumer Scienceとは、消費者の行動と思考を評価、分析する多くの技術を用いて、
広範な食品研究の構成要素を統合した科学であるとしております。特に大事な点は、従来
からの消費者調査とか、市場調査というのとは立脚点が違う。健康増進、維持、それから
消費者保護、健康生活に役立つことを目的としたサイエンスであるということです。科学
としては栄養学や食品化学や安全学、認知科学、遺伝学、食品微生物学、心理学、文化論
にまで及ぶということです。このECのFood Consumer Scienceのプ ロジェクトのゴール
としては、まず最初に消費者行動を正確に評価する。消費者が食品を購入しても、これを
本当に食べたかどうかわからない。本当に食べたということまで正確に評価ができるよう
にならなければいけない。
第2に、消費者が食品を選択するプロセス、まず情報を得て、買う場所に行って表示を
見て、そして実際にお金を払って購入するという一連のプロセスを包括的に見るモデルを
作成する。第3に消費者との効果的なコミュニケーションの道筋をつくる。それから第4
に、食事に関する健康情報を与える効果的な戦略を開発するということです。このような
目標を達成することによって、消費者の習慣、行動を正しい方向に変えていくというのが、
このECのプロジェクトの最終的なゴールということになっております。
次のページを開けていただきまして、Food Consumer Scienceに関 する行政及び大学の
関連プロジェクト、それから部署を箇条書きにしておりますけれども、まず行政としては
今お話ししたFood Consumer Scienceは、7th Framework Programという7年間で、7兆円
のEUの研究、これは原子力まで入っている非常に大きいEUの研究プロジェクトになる
わけですけれども、その中に食品、農業の分野でまずカテゴリーがあります。実際にFood
Consumer Scienceというタイトルのついたプロジェクトは、ちょっと網羅的には調べられ
ていないのですが、実際に今動いているものとして、2008年から2011年9月まで実施する
もので、3億円の基金、研究費を使って、果実・栄養のバランス、健康栄養表示を持って
いる食品、オーガニック食品、伝統食品、この4つのカテゴリーの中で、どういう情報を
与えたら、消費者はどういう消費行動、選択行動をとるのかということをバルカン半島の
地域においての研究が現在、進んでおります。
ま た 、 大 学 を 見 て み ま す と 、 ア メ リ カ で は ざ っ と 見 た と こ ろ だ け で 、 Food Consumer
Science、またはそれに関連したタイトルのついた学部や学科が6つもありますし、ヨー
ロッパでも4つ、それ以外にオーストラリア、ニュージーランドにもあるということであ
ります。少なくとも私が知る限り日本の大学でこのFood Consumer Scienceという名前 、
またはそれの日本語を名乗っている大学の学部はないのではないかと思います。
実際に、行政がいろいろ情報を伝えるということで、アメリカでもいろいろなことをや
っておりまして、この2月にAmerican Society for Nutritionのシンポジウムに参加した
のですが、10ブースのうちの4つがFDA、FTC、アメリカの公正取引委員会、それと
3
Office of Dietary Supplement、National Cancer Instituteと い う 行 政 の ブ ー ス で 、そ
して写真にありますような、こういうものを食べるとガンのリスクが減ります、増えます
というような消費者が手にとって理解し易いツールが置いてありました。このシンポジウ
ム に 参 加 す る 方 は 、 消 費 者 で は な い ん で す け れ ど も 、 消 費 者 に 情 報 を 伝 え る 医 療 機 関の
方々が来て、そういうものを見て、消費者に役立つようにPRしてもらうのが目的だと思
われます。行政が学会でブースを開いて、消費者の教育啓蒙に役立つツールを展示してい
るということで、ちょっと私としては驚いたわけです。ここまでがConsumer Scienceとは
何かという考え方についての概略になります。
具体的にこういうConsumer Scienceを調べていく中で、食品の表示と消費者行動という
観点で論文を調べてみました。それが6ページです。論文の数をちょっと見てみたのです
が、これはPubMedというデータベースを調べまして、2000年から現在までとりましたとこ
ろ、2004年、2005年ぐらいからだんだん増えてきまして、それまでも1年に10ぐらいある
わけですが、現在では昨年は50近くになっています。
ここに取り上げられている数としては、欧米が9割で、あとニュージーランド、オース
トラリア、アジアもタイがあるのですが、この194件の中で日本では1件だけということ
です。この1件は赤松先生の論文が採用されています。PubMedに出ている論文数から、日
本がいかにこの分野で学術的に遅れているかということが言えるのではないかと思います。
次のページが同じように、食品の栄養表示に関する消費者の行動について私が調べた以
上の広範囲のデータベースを使って、1901年から2007年まで、実際の消費者行動にどうい
う影響を与えたかという観点で調べて、120件が抽出されました。ここには日本の論文は
採用されておりません。このうち、やはり9割がアメリカ、ヨーロッパということになっ
ております。
次のページを見ていただきますと、120件の論文をレビューしたものがまとめて書いて
ありますけれども、これは以前赤松先生のほうからまとめられたものと重複するものが多
くなっております。ちょっと線を引いたところだけお話しいたします。
例えば、家族数が多いほど、または子供の数が多い人ほど栄養表示をよく見て利用して
いる。それから、食事指針に関心がある人は栄養表示をよく利用する。これはどっちが原
因か結果かというのは判断しにくく、逆かもしれません。また、売り場で過ごす時間が長
い人は栄養表示をより利用している。それから、一般の消費者は栄養表示が非常に重要だ
と思っているけれども、簡潔な表現を望んでいる。それと利用頻度は理解力と関係してい
る。それと数字のような情報というのは消費者、一般には非常に難しいということで、栄
養表示の重要さはわかっているけれども難しいものになるとなかなか理解できない、また
は実際によく見て選択するというところまではいかないということがあります。
次に、具体的にSystematic Reviewで引用されたわかり易いものを1つ選んでおります。
これは、製品表示の受け入れ易さと有効性について、消費者のテストをしています。オ
ーストラリアで約800人のスーパーマーケットに入ってこられる方、または出てこられた
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方を研究者がつかまえて、表示の理解し易さを質問しています。食品の表示として、第1
に今までこの委員会でも出ておりますTraffic Lightの表示、オーストラリアではこれら
に 相 当 す る も の に プ ラ ス し て 、 総 合 的 な ス コ ア と い う も の を つ け て お り ま す が 、 こ れは
Overallという名称が使われており、Traffic LightにOverallを加えた表示、第3にDaily
Intakeの数字とパーセントが並んだ表示の白黒カラー版の4つについて、消費者にどうい
うものがわかり易いか。理解し易いかというのを聞いております。
それが次のページに結果として出ているわけですけれども、裏面に義務表示として栄養
成 分 の 含 有 量 が 並 ん で い る わ け で す け れ ど も 、 そ れ よ り も 今 お 見 せ し た こ の Traffic
LightやDaily Intakeのように図示された表示が見やすいということ。Traffic Lightに総
合スコアOverallがついたものが理解もし易いし、購入の選択に非常に役立つということ
が結果として出されております。
次の11ページでありますけれども、これは栄養表示ではないのですが、健康表示でアメ
リカのFDAが条件付きの健康表示という制度をつくっておりますけれども、これを具体
的に条件付きの健康表示を実際のクラッカーに、きれいな包装をつくりまして、消費者に
どれが信頼性があって、購入する意思が働くかどうかというのを調査しております。この
結果が、12ページで、当然と言えば当然なのですが、健康表示の科学的根拠のレベルが高
くなると、消費者の商品に対する信頼性が高まって、これを購入したいという意欲がわく
ということであります。
1点、注意していただきたいのが、一番レベルの低い表示で、「科学的根拠のレベルが
非常に低い」ということが書かれていると、何も健康表示が書かれていないものよりも選
択行動の意思は減少するということがあります。
次のページが、これは昨年消費者委員会の新開発食品調査部会において、特保の注意表
示というのが議論されたことがありまして、そこで消費者に誤認を与える可能性があると
いう表示が委員から指摘されております。
1つが問1と書いてあります「食生活は主食、主菜、副菜を基本に栄養バランスを」と
いうことが特保に書かれているわけですけれども、こういうことが書いてあると、①に書
いてありますように、この製品を食べただけで、食事のバランスがよくなるというふうに
誤認されるのではないかということがあります。
こ れ に 対 し て は 、 誤 認 す る 方 が11% 、 約90% の 方 は 正 し く 理 解 さ れ て い る の で す が、
10%ぐらいの方が誤認されることがやはりある。それから、ガムに「1日2粒をめどにお
召し上がりください」と書くとお召し上がりというのは呑み込んでもいいということにな
るのではないかという誤認が考えられるということです。私が調べた200人の範囲では、
誤認する方が2%だったということで、こういうことでも誤認されることがあるんだなと
いうことです。トータルで見ますと90%の人は注意表示を正しく理解しているけれども、
少数ではあるけれども一定の割合で注意表示を誤認する人がいるということであります。
以上のことを14ページにまとめて書いてありますけれども、日本は海外に比較して消費
5
者研究というのが学術的には非常に研究数が少ないということが言えると思います。10年
間 で 200あ る 学 術 論 文 の う ち の 日 本 は 1 件 だ け と い う こ と で す し 、 ま た 大 学 と し て Food
Consumer Scienceを学部に標榜している大学は海外には15以上あるのに、日本はゼロとい
うことです。
このような形で、消費者による栄養表示の理解度、利用度について考えてみますと、収
入、学歴、家族数、それから食習慣で栄養表示の理解度や利用度が大きく異なるというこ
とが海外の研究事例からわかっているわけですけれども、こういうことが日本ではどれだ
けあてはまるのか、消費者の理解度の目標というのをどこに持ってくるべきなのか、そし
て、その結果、消費者が行動を正しい方向に持っていくということに役立てるための表示
とはどういうふうにやるべきなのかということを日本ではまだ十分に研究されていないの
ではないかと考えます。
1つ言えることは、消費者が栄養健康表示を100パーセント理解するということはどう
しても難しいわけです。いかに理解度を上げていくか。または理解者の質を上げ、それと
極 端 な 理 解 で き な い 方 を ど の よ う に レ ベ ル を 上 げ て い く か と い う こ と が こ の Consumer
Scienceをすることでできるはずですけれども、それが少ない。
今後は、特に消費者の啓蒙、情報の伝達を国家プロジェクト、それから大学で実施して
い く 必 要 が あ る だ ろ う と い う こ と で 、 今 後 の 展 望 に つ な が る わ け で あ り ま す 。 Consumer
Scienceは企業が実施する市場調査や消費者調査という「売る」という目的のために調査
するということではなくて、中正公正な消費者の研究で、日本人に本当に役立つ栄養表示
に関する理解度、利用度を明確にして、どのように健康増進、政策立案に役立てていくか
という観点から、消費者行動の研究を大学、国家プロジェクトでやっていく必要がありま
す。また実際に食品には栄養表示があるわけで、いかに現在のものを利用しやすい、わか
りやすい表示にしていくかということも重要だと思います。
また、消費者への情報提供、啓蒙、啓発という観点では、消費者の誤解を解いていく、
例えばここの検討会でも前からお話しされていますけれども、食品にリスクゼロはないわ
けです。リスクを最小限にするためにいかにバランスをとっていくかということも重要だ
と思います。そして、情報提供、情報ツールをいかに利用していくか。そしてオピニオン
リーダーを育成、活用することで、消費者のレベルを上げ、啓蒙活動を進めていくことで、
最終の目標としては消費者の行動変容、健康増進につなげられるConsumer Scienceという
ものをもっと進めるべきだろうというふうに考えております。
以上です。
○坂本座長
どうもありがとうございました。
反省させられることがたくさんございまして、これからの議論中で恐らくこの中で要求
されていることがディスカッションの対象になり得るのではないかという感じがいたしま
すが、どなたかご質問はございませんか。
○蒲生委員
お話をありがとうございました。
6
2点ほど教えてください。まず、1点目は3ページにあるFood Consumer Scienceのゴ
ールのところです。ゴールが4つ掲げられていて、その下に矢印で「消費者の習慣、行動
をチェンジする」とあります。矢印でつながっているということは、この消費者の習慣、
行動を適切なものにチェンジするということが真の目的だと思いました。そこで、その真
の目的に対して、4つのゴールが適切に貢献したかどうかを測る、どのようなゴールが行
動変容を起こしたかを評価する方法に関して、ECで何か検討されていたら教えてくださ
い。
それから、もう1つが、9ページ目のOverall Ratingについてです。非常に興味深く伺
いましたけれども、この計算方法について教えてください。
○清水(名古屋文理大学教授) ECのゴールについてですけれども、マーカーとしてそ
のゴールがどこまで達成されたかということを見ていくというのは非常に重要で、それを
2007年のスタートの計画にマーカーをどのように決めていくかということが書いてありま
す。ただし、どのようなマーカーがこのゴールのマーカーになるかはプロジェクトを進め
な が ら や る と い う こ と に な っ て お り ま す 。 私 が 注 目 し て い る の は 、 Food Consumer
Science in the Balkans で す 。 今 年 の 9 月 に 、 次 の ペ ー ジ に 記 載 さ れ て お り ま す Food
Consumer ScienceのプロジェクトとしてできているプロジェクトというのがこのFocus in
the Balkansです。ここで、果実・栄養のバランス、健康栄養表示、オーガニック食品、
伝統食品、それぞれについて今、マーカーを検討しておりまして、これの発表が今年6月
に途中経過が報告されて、9月までがこのプロジェクトの最終ですので、そこで何らかの
マーカーが示されるのではないかと思います。
このマーカーというのは全体に共通するマーカーというのは中々ないわけで、それぞれ
の栄養表示、または健康表示、それから伝統食品、伝統食品のどういうものがどういうふ
うに使われるのかという、それぞれのカテゴリーごとにマーカーが決まってくるというふ
うに思っております。
それとOverall Ratingについてなんですけれども、これはオーストラリアの行政がつく
っていて、たしか1から10までありまして、私も具体的な計算法まで十分調べてないので
すけれども、例えばカルシウムとか、高度不飽和脂肪酸とか必要な量がこの食品にはどの
くらい含まれていて、それが健康にプラスになるのかマイナスになるのか、得点として表
すようになっていて、ネガティブなものについては、食塩とカロリーが多すぎるとネガテ
ィブなファクターとして計算されて、Overall Ratingのスコアが出されます。
○蒲生委員
栄養成分の種類によって、重みづけは変えられていますか。
○清水(名古屋文理大学教授) もちろん重きが置かれて、それぞれウェイティングされ
て、量がかけられるという形になっています。
○坂本座長
よろしいですか。ほかに。
○飛田委員
お話ありがとうございました。
消費者の習慣、行動をチェンジすることの積極的な取組が我が国は遅れていて、欧米で
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既に進められているということが、まず大変印象的でございました。
それから、消費者テストについて、オーストラリアが取り組まれているとご紹介いただ
いた9ページですが、ここにあります表示の、消費者テストをなさったときのラベリング
の大きさ等、実際にスーパーの利用者に対するテストということでございましたけれども、
ここにある4種類の表示、これが特定の商品を対象にして、このような形で表示されてい
るものをとらえたのか、あるいは無作為に印象を尋ねたものなのか。表示面積等、これに
は信号の表示ですから、カラーで表示されたものとモノクロのパーセンテージ表示のもの
等々ございますけれども、一見しただけでもどうしても数字、モノクロ等で表示されてい
るものは長くそれだけ詳細に載せられておりますのでスペースを取りますけれども、面積
や表示場所等についての何か情報はございますでしょうか。
○清水(名古屋文理大学教授) これはもう一度この論文を読み直さないと定量的なこと
は言えないんですけれども、少なくともわかっていることとしては、このシリアル、スナ
ック、冷凍食品について、実際の商品と同じようなパッケージをつくって、そしてそれを
その中にTraffic LightやDaily Intakeの数字 を書いたもの、それと 裏に栄養成分を書い
たものがつくられて、消費者にお示しするということで、私のイメージとしては次の11ペ
ージにアメリカのFDAがやったものですけれども、これは本当のクラッカー、30センチ
20センチぐらいの大きいクラッカーがありますが、あれのパッケージをつくって、この5
種類、それぞれの消費者に見せて、どういうふうに信頼性があり、買いたいと思うかどう
か。それを聞いていますので、同じようなことをやったんだというふうに私は理解してお
りますけれども。
○飛田委員
ありがとうございます。通常売られているパッケージ等を基本にですね。
○清水(名古屋文理大学教授) そうです。そういうふうには書いてあります。
○飛田委員
あまり意図的であることを消費者に教えないような形でやられている。
○清水(名古屋文理大学教授)
もちろんそうだと思います。これは何かを売るためにや
っているわけではなくて、研究として消費者の行動を大学の研究としてやっているもので
すから。
○飛田委員
大学とそれから先ほどの行政のガン撲滅キャンペーンなのかもしれませんが、
そこの展示で相当行政の方々が力を入れておられるというご報告も大変印象的に伺わせて
いただきました。これから先、バルカン半島の結果等もまた情報として参考にさせていた
だけたらありがたいと思っております。ありがとうございました。
○坂本座長
1つだけお伺いしてもよろしいでしょうか。
4ページに、Food Consumer Science関連の学部プロジェクトということで、行政プロ
ジェクトというのがあるんですが、このプロジェクトはそれぞれの大学がインディペンデ
ントにプロジェクトを持っているとか、学部を持っているという意味なのか、US、UK、
それからサウスアフリカ、ニュージーランド、オーストラリアがありますが、そういうと
ころが一緒になってやっているのか、あるいは行政プロジェクトと大学のプロジェクトが
8
一緒になってこういうことをやっているのか。
○清水(名古屋文理大学教授) これはちょっと誤解を受けやすい書き方だったのかもし
れないのですが、一番上が行政プロジェクトとしてEUの行政プロジェクトが調べられて、
Consumer Science in the Balkansがありました。大学についてはこういうFood Consumer
Scienceという名前を標榜している大学がパッと調べただけでも15ありました、という意
味で、行政プロジェクトと大学とのコネクションとかコーポレーションということまでの
調査ではないということです。
○坂本座長
こういう会議を始めますと、大学としては日本には一つもこういう学部、学
科がないと言われて、世界中がこういうConsumerのことに興味を持っていて、今やってい
る会議はConsumerをどう動かすかというのが根底にあるわけですから、こういうことが行
政と大学が一緒になってやるというプロジェクトがあってもいいのではないかなと感じま
した。また、いずれ行政にお考えいただきたいと思います。
それでは、ちょっと時間も詰まってまいりましたので、次にまいりたいと思います。
本日の議題になっております、栄養成分表示の運用ですが、制度がより効果的に運用さ
れるための実効性に関する側面について、事業者の方々から、あるいは自治体のお立場か
ら海外の状況等にも及んでご意見をいただきたいと思います。
まず、事業者については、食品産業センターの塩谷委員。それから、その次が日本チェ
ーンストア協会の仲谷委員。そして、日本生活協同組合連合会の鬼武委員に順にご発表い
ただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まずは、塩谷委員、どうぞ。
○塩谷委員
資料2をご覧いただけますか。
制度の実効性というのが主題でございますけれども、副題として事業者の栄養成分表示
制度の活用状況、それと義務化の課題・問題点ということでお話し申し上げます。
1枚めくっていただきますと、内容としてはまず私どもで行いましたアンケート調査の
結果をお示しします。そのアンケート調査から導かれた義務化実施への課題、問題点につ
いて述べて最後まとめということにいたしたいと思います。
3ページでございますが、このアンケートは、平成22年度に私どもが実施した食品産業
構造調査の第2回目でございまして、調査の対象としては当センターの会員等で計255社
においてアンケート調査をいたしまして、回答が125社、回答率49%ということでござい
ます。このアンケートはほかのアンケート、内容もありますので、今回は栄養成分の設問
に関する回答を抜粋して後ほど述べたいと思います。
そして、その解析方法としては、大手企業と中小企業に分類いたしました。中小企業の
定義としては、従業員300人以下、または資本金3億円以下のものということでありまし
て、分析対象数としては大手が65社、中小企業が60社でございました。詳細については私
どもホームページにこのアンケート調査を載せておりますので、ご参照ください。
次の4ページでありますけれども、設問9ということで、消費者へ製品の安全性や消費
9
者ニーズに応じた情報の開示・提供の方法はどういう方法で行っていますか、ということ
の回答でございます。
一番多いのは、自社のホームページ、もしくは商品の容器・包装等に表示するというの
が大手で90%以上。中小においても90%から80%ということで、ホームページまたは包装
に表示ということが多いという内容でございます。
次のページでございますけれども消費者への積極的な情報の提供・開示の内容は何です
かという設問でございます。その設問に対して、お答えで一番多いのは、栄養成分の情報
について、積極的に提供を開示しておりますよというのが、ほぼ全部で大手が96%、それ
と中小においても70%ということで、栄養成分についても積極的に内容を公表していると
いうことであります。ほかに開封後、原料原産地の情報というのが高い回答率を得られて
おります。
次に、栄養成分表示が義務化された場合はどうですか、ということであります。ここに
ありますようにブルーで囲んだものは、分析費用、人的費用、それと費用面の部分につい
て大手、中小とも60%から50%の問題点があるというお話であります。
もう1点は、2番目に多いのは、やはり包装表示するスペースが限られているという回
答率が中小でも60%ということでございます。
そのほかに、次のグリーンで示してありますが、原料・配合変更で意図しない誤記があ
るとか、ばらつきが大きいという部分の問題点があります。この中で一番注目していただ
きたいのは、特に、課題・問題点はないという9の設問に対しての回答率が大手でも15%、
そして中小でも10%しかないということでございます。
次のページで、栄養成分表示が義務化された場合、どのような栄養成分を表示すること
が可能な製品は何ですかということであります。
一番上にありますのは中間製品を除く全ての最終製品、これは業者間のという言葉が前
につきますけれども、これにおいても約30%、そして中小においては20%前後ということ
で、いずれも低い回答率になっているということでございます。
次に、栄養成分表示が義務化された場合、どのような表示項目になりますかということ
ですが、一番多いのは熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物というものが90%から80%とい
うことでありまして、その後はガクンと落ちまして、糖とか、繊維の量という部分が回答
として示されております。
これが内容でございますけれども、次のページにアンケート調査の結果のまとめという
ことで述べておりますが、大手、中小企業ともホームページとか容器包装等に表示の手段
で情報の開示を提供しているということが1点あるということですが、栄養成分に関して
は、情報を開示・提供している企業において、大手企業ではほぼ全てが、中小企業では約
9割が積極的に情報を開示しているという内容がありました。
ところが、栄養成分表示が義務化された場合はどうですかという質問に対しては、大手
でも3割、中小でも2割にとどまるということでありまして、この1と2の乖離というも
10
のは何かというふうに考えますと、栄養成分に関して積極的に情報は提供しています。し
かし、それは一部の商品、多分主要製品でありますけれども、一部の商品にのみなされて
いるという実態がうかがわれるという内容であります。
このアンケート内容から、次の課題、問題点が3つ指摘されると考えられます。1つは、
分析費用負担の増加という部分、2つ目はやはり分かり易さというものはどういうものか
という部分であります。そして、3番目はその数値の担保はどのようなものであるかとい
う課題・問題点があると思います。
次に、分析費用の負担の増加という部分は除きますけれども、義務化の実施への課題・
問題点、そして分かり易さ、そして数値の担保という部分がやはり重要でありますので、
その点について述べております。
次のページを開いていただきますが、分かり易さという部分で、加工食品の包装容器に
はいろいろな制約があります。現在でもあるということです。いわゆる一括表示という部
分がありますが、既に共通の義務表示事項というものは、このように定められております。
基本形として名称、原材料名、そして原材料名の中には食品添加物以外の原材料を先に書
いて、そしてその後、食品添加物を書くとか、遺伝子組み換え食品である旨、アレルギー
物質、そして内容量、消費期限、または賞味期限、そして保存方法、そして製造者、輸入
者等を書くということであります。
これは一括表示でありますが、枠外への記載も可能というのが下に書いた部分でござい
ますけれども、いずれにしてもこれが既に義務化表示、義務として表示しなければいけな
い部分でありますし、これに加えて個別の加工食品の品質表示基準というものも定められ
ておりまして、その部分も義務表示になっております。例として述べますが、使用方法、
そして調理方法、殺菌方法というのが表示の部分です。
一方、資源という部分で見ますと、プラとか紙とかPETとか、こういう部分のデザイ
ンが決められておりまして、サイズもこのように決められて表示方法も必ず1カ所に記し
なさいということでありますので、これはもう既にこのような部分が義務化されていると
いうことであります。
このような事項について、物理的な紙面の制約があるかということが、次のページであ
りますが、面積とサイズという2つの部分があります。面積の部分は30平方センチメート
ル以下という区切りが1つありますが、30平方センチメートル以上のものについては全て
書き込まなければいけないという読み方でありますし、文字サイズについては基本的には
8ポイントでありますが、面積が150平方センチメートル以下にあっては5.5ポイントの活
字の大きさを使用しなさいという決め事があります。横にイメージとしてここに書きまし
たが、最低30平方センチメートル以上のものについては、全て記載しなければいけません
ので、このように切手6枚分、裏表になりますので、表面に商品名を書いて、裏面にその
表示を書くということになります。これは文字の大きさとして6ポイントと書いてありま
すが、このようなものについても、義務化になると全て記載する必要があるということで、
11
物理的紙面上の制約があるということを認識していただきたいと思います。
次のページにありますが、数値の担保ということになります。これは栄養成分の含有量
の表示根拠ということでありますが、これは現在、事業者が運用している栄養表示の運用
状況を述べていますが、これは分析値か計算値なのかということになります。計算値にお
いては、必ずしも分析が行われなければならないものでないだろう。そして、ある成分表
などを用いて得られた計算上の積み上げの値を記載してもよいということであります。
ただし、これは上限下限のことを書いてありますが、プラスマイナス20%という部分が
ありますので、下にありますようにこの幅を超えた場合には、不適正な表示と見なすとい
う決まり事もあるということでございます。このような決まり事になっておりますが、日
本食品標準成分表に記載のないものはどうしたらいいかという疑問が1つあります。成分
は分析のみにする。原料の季節変動の数値はどういう扱いにしたらいいか。特に、地方の
特産物とかおみやげとかお菓子、道の駅にあるものについては自前で分析しなければいけ
ないのかということも出てきます。
右側にありますが、食品製造業の実態はどのような企業規模かの話をしますと、中小企
業の数値の根拠という部分がありまして、上の表にありますように出荷額で食品製造業は
中小企業が69%、大手企業が30%ということでありますので、中小企業は少量多品種を生
産しているということがここから言えるかと思います。
そしてその下にありますが、中小企業の従業員の規模別事業所数でありますけれども、
このように300名以下というものは中小企業になりますけれども、4人から9人の事業者
が1万4,000事業者で、それをこのように合わせて、中小企業の人員的パワーということ
も限られているということでありますので、このような形の食品製造業が実態であるとい
うこともご認識いただきたいと思います。
次のページがまとめになります。
私が述べましたような実態の中で、もう一度消費者が食品を選択する上で、適切な情報
提供手段とは、何であろうかということであります。そして、栄養成分を容器包装上に義
務表示するということは、最適な情報提供手段なのかという疑問もあります。義務表示と
いうものは全ての商品が対象になるということになるわけでありますので、そこには分か
り易さ、数値の担保というものが当然必要になってくるわけですが、先ほど来、述べてお
りますように、現行の表示義務項目は多数ございますので、それらも含めてやはり栄養成
分の項目についても、それらを全てを含めて優先順位を決める必要がある。そうしません
と物理的な面において記載する面積が足りませんということになります。
もう1点は、数値の担保ということであります。分析ということの手段もございますけ
れども、それだけでは事足りない場合には、やはり公的資料整備を図っていただきたいと
いうことであります。このような形で義務表示をしますと、全ての商品が対象となるとい
うことで、もう一度戻って、他の情報提供手段はないかということであります。現行の栄
養表示制度を充実しての任意表示というのではやはりご満足いただけないのか。ホームペ
12
ージ、店頭POPなどにおいて、その適切な情報手段としてはならないのかということが
考えられるわけです。
以上でございます。
○坂本座長
大変具体的に、表示をする場合の困難性について、たくさんご指摘いただき
ました。何をどうするかというのはこれからの議論になろうかと思いますけれども、実際
におつくりになる方々からすれば、これを義務づけるというのは大変なことではないかと
いう気がしないでもありませんが、どなたかご質問はございませんか。
○飛田委員
ご報告ありがとうございました。
6ページ目のところでちょっとお伺いしたいんですけれども、いろいろな課題、問題点
について、具体的に尋ねられたところでございますが、大手さんと中小と両方ございます
けれども、4番目の原料配合変更で意図しない誤記が生ずる可能性があるというパーセン
テージとそれからあと5番目のところで、同一製品間でもばらつきが大きい、というこの
数字が大変に印象に残っているんですが、特に原料配合変更によらないで同一製品間でも
ばらつきが大きいということが書かれているとすれば、それは具体的にはどういうことを
課題として懸念されておられるのでしょうか。お教えいただければと思います。
○塩谷委員
5番目の同一製品でのばらつきが大きいということで、それは4番にもかか
りますけれども、やはり事業者としては製品の味とか、そういうものを均一に提供すると
いう部分で、原材料がいろいろなところから来たとしても、それを配合という部分で、均
一にして皆さんに安定的に提供しなければいけませんので、そういうふうなレシピの変更
とか、そういうことをします。そうしますと当然のことながら原材料由来の、今は栄養成
分ですけれども、その部分についてのばらつきというものが出てきておりますので、その
ばらつきをどのように吸収するのかということが1つの問題になるという中身でございま
す。
○飛田委員
そういたしますと、味の均一性ということで、原料配合変更以外でレシピが
変わった場合ということをご指摘になられましたが、そのレシピが変わったということ、
そのときにその都度チェックすることは大変であるということでよろしいのでしょうか。
○塩谷委員
配合レシピが変わったというふうに、そうしますと先ほども言いましたけれ
ども、季節性のものとかその部分が入った場合に、成分がどういう影響をするのかという
のを皆さんに正確にお知らせするためには、非常に大変なことになるということでござい
ます。
○飛田委員
わかりました。ありがとうございました。
○坂本座長
どうもありがとうございました。ただいまは、実際におつくりいただける企
業のサイドからのご意見でしたが、次はそれを販売されるチェーンストア協会の仲谷委員
にお願いします。
○仲谷委員
日本チェーンストア協会の食品委員の仲谷でございます。よろしくお願いい
たします。
13
最初に今回の大震災とその後の原子力発電所事故で被災された方々と地域の一日も早い
復旧、復興をお祈りしたいと思います。
それでは、私のほうから資料3をご覧いただきまして、栄養成分表示制度の運用という
ことで、現在の小売りの店頭を中心として栄養成分表示の状況についてご報告をしたいと
思います。
1ページ、高齢化の進む中、国民の健康維持・増進は重要な社会的な課題でございます。
栄養に関しましても、5ADAYとか、そういった活動に取り組んでいるところでござい
ます。そのために、消費者の商品選択に資する情報提供するのは事業者としての責務であ
るということは十分認識しております。当然、栄養成分情報につきましても、重要なその
うちの提供情報の1つであるというふうに認識しております。
めくっていただきまして、そういった意味で、私どもの会員事業者の店頭商品を中心に
観察した結果をご報告したいと思います。まずは加工食品におきましては、特に各社の自
社ブランドにつきましては、ほとんどの商品に栄養成分表示がございました。一般的な5
項目表示というものを前提に表示されているようでございます。中には、アイコン化した
り、カロリー、熱量等を特にわかりやすく表示されている商品もございました。
次、めくっていただきます。
生鮮食品につきましては、栄養成分表示をされている会員事業者は決して多くはござい
ませんでしたが、パッケージングされた商品につきましては特に農産品などを中心に栄養
情報の提供の取組をされているところが多く見受けられました。
次、めくっていただきます。
また、店頭のパンフレット等を使用いたしまして、栄養成分情報の提供の取組も見られ
ております。
めくっていただきます。
日本チェーンストア協会では、加工食品、これは弁当、惣菜ということでございますが、
それらのカロリー表示、または栄養成分表示について、POP等を活用し表示するように
努めることを指針といたしております。
したがいまして、特に店外加工された弁当、惣菜につきましては、栄養成分表示がされ
ているものが多く見受けられました。ただ、店内で加工したものにつきましては、対応は
一定ではなく推奨された表示がされているものは少なかったというふうに感じております。
めくっていただきます。
次に、海外での栄養成分表示の状況でございますが、イギリス、フランス、アメリカと
いう事例を見てみますと、パッケージの表による表示に加え、アイコンの表示や充足率を
表示しているものが多く見受けられました。
現在、グローバルな消費材、流通業界組織では自主的な取組として栄養成分表示をパッ
ケージの前面に表示するとともに、消費者の栄養情報の理解と利用促進に取り組むことが
検討されていると聞き及んでおります。
14
次に、少し内容を変えまして、一方、消費者の栄養情報に対する認識について少し触れ
たいと思います。1例といたしまして、会員企業の1社の自社ブランド商品に対する消費
者からの申し出情報でございますが、消費者の栄養成分に関する問い合わせは申し出件数
全体の2.7%と比較的低い順位でありました。また栄養成分に関する問い合わせのうち、
次のページでございますが、エネルギーに関するもの、ナトリウムに関するもの、糖質に
関するものが多く、それ以外にカフェイン、ポリフェノールという栄養表示基準の項目以
外のものに対する質問も多くいただいているということでございます。
次に、会員企業の店頭を活用させていただきまして、来店されるお客様に簡易的なアン
ケート調査を実施いたしました。お客様に健康管理にどのようなことに取り組んでいます
かというふうな質問をさせていただきますと、食生活に気を配っているというお答えが約
64%という非常に高い結果でした。それでは、注意している食品の表示内容はどういうも
のでしょうかとお尋ねしますと、賞味期限でありますとか、原産国といったものが非常に
高い比率を示しております。
栄養成分という情報につきましては16%という数字に留まっておりました。また、栄養
成分表示の記載が期待される食品はどういうものでしょうかという質問に対しましては、
やはり弁当、惣菜、それに加工食品というふうなところが高く支持されたということでご
ざいます。また、栄養成分表示で、参考にされている栄養成分は何でしょうか、という質
問に対しましては、やはりエネルギー、ナトリウムというところが非常に高い数値を示し
ております。
一方、先ほどから出ておりますように、弁当、惣菜というもののお客様のニーズを満た
すために、栄養成分表示をするとした場合に、先ほどありましたように、誤差の問題が1
つは出てくるだろうと思います。これは、流通業のところで実際に1年かけて実験された
データをお借りいたしましてご報告したいと思います。
分析された商品は、9品目ということでございます。分析の方法は、1つは1年に3回、
4カ月単位で分析実測をする。それと計算で出された数字、計算値を比べるというふうな
ところでございます。
この結果を見てみますと、分析実測の最大値と最小値、これの差異で現在誤差許容範囲
とされております20%を逸脱するものは脂質で5件ということで、9件中5件が実測をし
ても最大ブレが発生するのではないかということでございますし、また計算値と実測値の
平均ということになりますと、ナトリウムで9件中8件、脂質で9件中4件というふうな
逸脱が見られたということで、実際に弁当、惣菜に栄養成分値を書くということになれば、
計算値と実測値、あるいは固体間でのばらつきが非常に大きいものになるのではないだろ
うかというふうなことが予測されます。
こういうところを受けまして、今後の検討ということで、委員としての個人的意見を申
し述べたいと思います。消費者からは弁当、惣菜の表示要望が多いなどの事例に見られま
すように、いわゆるパッケージングされた加工食品だけではなく、消費者が栄養摂取を行
15
っている食品に幅広く表示を行い、数多くの消費者に栄養成分の認知を高め、関心を持っ
ていただくということが重要ではないかと思います。
2つ目に、国民、もしくは消費者の健康維持増進という目的を達成するために、提供が
必要な栄養成分を科学的に設定する必要があるということで、先ほども出ましたが、事業
者が栄養成分表示を行うためには、表示値の確定やその担保のための分析などの費用が当
然のことながら発生し、一義的には事業者がその負担を担うとしても、最終的には商品を
購入される消費者が全体で負担することになると思います。したがって、合理的根拠に基
づいた社会的コンセンサスが必要だというふうに考えます。
3つ目に、同時に大規模な事業者から小規模な事業者まで栄養成分表示に取り組むため
には栄養成分表示が容易にできる社会制度を検討しなければならないと考えます。例えば、
実測値もしくは分析値もしくは栄養成分表示を基本としたインボイスによる伝達方針で、
サプライチェーン全体で取り組むなど、特定の事業者に過度の負担とならない方法を検討
してはどうかというふうに思います。
次に、生鮮食品や弁当、惣菜などについては、栄養成分値の担保は非常に難しいという
ところで、栄養成分表示を栄養管理のための参考値と提供という視点でとらえ、許容誤差
を拡大するなど、表示基準の見直しをしてはどうかというふうに思います。
次に、親しみやすくわかりやすい、消費者に活用される栄養成分情報提供という観点か
ら、アイコンを活用したり、充足率を表現するなど、消費者が認識しやすい表示を検討し、
表示方法のガイドラインを策定するなど事業者の表示が標準化されるような施策を講じて
はどうかというふうに思います。
いわゆる加工食品につきましては、各種調査にありますようにその実施率は既に高い状
況にありますことから、加工食品に表示を義務づけるよりも他の分野の事業者も自主的に
取り組めるような環境をつくることが重要ではないかというふうに思います。事業者は消
費者のニーズに真摯に対応しなければ、競争力を維持・強化することはできません。消費
者の栄養成分への関心が固まれば、事業者はおのずと一層の情報提供に進むというふうに
考えます。
最後に、栄養成分表示を価値として訴求する商品につきましては、厳格な数値管理を求
め、監視を強化することは消費者への間違った情報提供を防止する観点からも必要である
というふうに思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○坂本座長
どうもありがとうございました。
こちらもいろいろなご要望、あるいはこういうものがあったほうがいいのではないかと
いうご意見がございました。
どなたかご質問はございませんか。
もし、ないようでしたら、次の方に。
○飛田委員
ありがとうございました。
16
1つお尋ねさせていただきます。
ご説明の中で、海外での栄養成分表示の取組事例のところで、栄養成分表示がパッケー
ジ前面に記載しているということも特色としてご報告いただきましたことは大変参考にな
りました。それから、8ページのところで、問い合わせ集計をされておられるんですが、
ある特定の会社の事例ということでございますけれども、ここで下から2番目、商品苦情
の上のヘルス&ビューティという項目がございますが、これはどのような内容なんでしょ
うか。
○仲谷委員
これは食料品そのものではなくて、化粧品とか、シャンプー、リンス、こう
いったものに関する問い合わせでございます。上は、食料品ということでございます。
○飛田委員
わかりました。ありがとうございました。
○坂本座長
それでは、続きまして、鬼武委員よりご発表をいただきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○鬼武委員
それでは、報告させていただきます。
前回、いろいろ問い合わせ等での消費者の行動ということで、報告させていただきまし
て、今回は実際に食品に栄養成分をラベル表示して、生活協同組合ではおよそ30年経って
おります。その取組概要の中でも何点か課題と言いますか、問題点もありますので、その
ご報告をさせていただいて、今後の本検討会での討議素材に資していただければと思って
おります。
はじめに、1980年代初頭ですが、そのころを考えていただきますと、今みたいに栄養成
分なり強調表示がそんなに多く世の中の市場の商品にはなかったというふうに記憶してお
ります。そういう中で、日常的に食生活の中で活用されてこそ、栄養表示が役に立つとい
うことで、多くの加工食品に表示を行うということで、1食量も含めてボランタリーに表
示しております。1食量を書くことによっての消費者らの問い合わせ・反応等についても
後ほどご報告をさせていただければと思います。
1980年に生活防衛の一環として、1つのスローガンとしてバランスの食生活と安心でき
る食品で健康を守りましょうということで、82年にこういうふうなパンフレットをまずつ
くりまして、その中で栄養成分表示の重要性について私どもの商品にラベル表示をして、
活用してきたのが始まりでございます。それ以降、1984年には食品表示、ラベル表示の私
どもの基準をつくりまして、それ以降、取組をしてきているということでございます。
実際に、どのくらいの商品があるかと申しますと、2ページ目、現在食品への栄養成分
表示の概要ですが、一応、基本的な考え方としては、強調表示があるなしにもかかわらず、
コンシューマーパックされた食品について、できる限り栄養成分表示をしていこうという
ことで、今回、カウントをしてみまして、商品として3,569品目中、栄養成分表示がある
のが3,167品、大体実施率が約9割でした。強調表示をしているのが、309品で大体1割程
度ということです。実施できない幾つかの理由もありますので、順次ご報告をします。
それから、2番目として食塩相当量と糖類の表示については、条件つきと言いますか、
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ある程度の量が入っているものについては、パッケージのほうにラベル表示をしていこう
ということで、これは日本生協連では昔から保健医療従事者がナトリウムの量だけではな
く、食塩の量で栄養指導を行った関係から原材料として食塩、ナトリウムを含む、もしく
は食品添加物もそうですが、そういうものからの由来について栄養成分表示にナトリウム
量を加えて、食塩相当量という名称を付した両方を記載います。
下のちょっと小さい字で、コピーしておりますが、左のほうが、インスタントラーメン
の栄養成分表示でありまして、右のほうがシュークリームの栄養成分表示で、糖類の表示
では、糖類とはということで、欄の外に、しょ糖、乳糖、麦芽糖というようなことで、実
際に分析した数値で書いてございます。ここはしょ糖をカタカナにしたりしていろいろ苦
労したんですが、今はひらがなでしょ糖、カタカナ書きにすると何となく消費者の方が化
学的で受け入れられないということもあって、それでたしかしょ糖とひらがな書きに、砂
糖と書いてもいいのですが、砂糖と書いていると実際に添加しているのかとの質問が寄せ
られ、いわゆる果汁由来、天然由来で果汁からしょ糖などの糖類がくる分があります。苦
労して最終的に、現行の表示はしょ糖とひらがなで記載しております。このように消費者
の方も認知が少ないこともあると思いますので、なるべく誤解を与えないようにというこ
とでやってきたということです。
それから、1食量当たりの表示ということで、下にありますが、左は青のり、右はドー
ナツということで、左の青のりとしては1食1グラムということで、事例として青のりは
適切ではないので、ふりかけを例にとると、小さじ1杯とか、2.5グラム当たりがどれ位
の栄養成分になるかということで、1食当たりの表示をやっております。
3ページのところを見てください。
これが栄養成分表示のフォームになっておりまして、このようなフォームで必須表示と
いうことでエネルギー、たんぱく質、脂質、糖質、食物繊維、ナトリウム、それ以下のと
ころは任意表示、それから条件つき必須表示ということで、糖類、食塩相当量ということ
で表示する基準の順番を設定し、欄外にはこの1食量当たりのことを記載しています。
それから、3ページの下でございますが、実際にこれは私ども法律で決まっておりませ
んので、過去にいろいろ試行錯誤した1例でございます。
実は、アメリカの場合にもPercent Daily Valueということで、摂取目安量というもの
が あ り ま し た 。 し た が い ま し て 、 4 ペ ー ジ に あ り ま す よ う に 、 私 ど も 生 活 協 同 組 合 では
2006年までは栄養成分表示として、大人のその当時の目安量として目標量に対するパーセ
ント表示や棒グラフによる記載をしていました。
ただ、これは2004年に第6次の日本人の栄養摂取量ということで、摂取量基準の考え方
が従来の所要量という絶対的な概念からエネルギー、栄養素の真の望ましい摂取量が個人
によって違うということ、それから確率的な考え方が必要という前提に基づいて、私ども
考え方を変えないといけないということで、摂取量に対する目安量表示の再検討をしまし
た。実際にはこういうパーセント表示をすると、消費者の方は実際にこれがあったほうが、
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どのくらいの目安量になるかわかりやすいということで、商品からパーセント表示を外し
たときには、何でなくなったのかということで、問い合わせが随分来ました。今までパー
セント表示がしてあった経緯と、なぜ外す必要がでてきたのか、その理由について、1年
半ぐらい議論をして、実際には組合員(メンバー)の方にアンケートをとり、その集約を
行い、さらに意見を聞きました。国の考え方も変わりましたし、個々人で所要量も違いま
すということで外してきたということでございます。実際に所要量の概念が変わってきた
ことなどを組合員の方々に丁寧に説明し、慎重なる表示切替を実施しました。
5ページのところですが、実際に商品として先ほど食品産業センターさんから、もしく
は流通のほうからお話がありましたように、やはり水産とか、加工食品、コンシューマー
パックされた中でも、特に魚介加工品でいうスモークサーモン、しめ鯖、もしくは食肉製
品というのは固体差によってかなり脂質がばらつくというものがあって、こういう商品群
は従来、平均値で表示をしておりましたけれども、今は表示を外したりしてきております。
それがばらつきの大きい商品ということで、これはいわゆる加工調理した食品であるの
ですが、やはりより生鮮品に近いものがあって、その場合は脂質がかなりばらついており、
例えば鯖の場合ですと、脂質は固体差がありますので、20検体中の鯖を取って全体で脂質
を測りますが、20%以上のブレがあるということで、この表示は今のところやってきてい
ないということです。同じくスモークサーモンによっても、同じようにサーモンの部位に
よって脂質の量が違ってくるということです。
それから、次に私どもは1食量ということで、これも海外で1食量という表示がなされ
ていましたので、是非私ども取り入れるべきだろうということで、ワンサービングサイズ
ということで、この間を表示してきました。ただし、この1食量というのが、日本の消費
者にはまだ馴染みないので、例えばカレーライスが3人前と書いて、1人前が何グラムで
すと記載していますと、消費者の方から電話がかかり、カレーライスが何人前であるか決
めてほしくないという要望が出されました。自分で決めたいのに、何でそういうふうに1
食量を決めて書くんだ、というようなことがあって、他の商品群でも同じような問い合わ
せが来ています。私どもはこういう形で1食量を表示する意図は栄養成分が過量になった
り、少なく見せるということで誤認させないための措置として、1食量あたりの栄養成分
表示をしていますと説明をしております。しかし、日本の中では、全体的に栄養成分が1
食量あたりの表示はほとんどされておらず、そのことの認知というのは低いのではないか
と思っています。
これが生活協同組合として1食量ということについて定義を定め、意気込んでやってき
たのですが、今後検討する場合は、1食量についてもかなり慎重にやらないといけないと
思っています。むしろ現時点では、1パッケージとか、1回で食べきるもののサイズのほ
うで栄養表示している方が消費者の方からすると、非常にわかりやすい情報ではないかと
考えられます。
今回の報告をまとめるにあたり、まず1点目は栄養成分表示の義務化についての問題意
19
識、これからいろいろな方のご意見や委員間の意見交換や協議を含めて論点整理がされて
いるといくと理解しています。栄養成分表示については、目的を明確にすべきだというこ
とで、最初に義務化ありきではなく、栄養成分表示が食生活の中でどのように活用するか
といった議論ということが、必要だと思います。そういう状況の中ではいきなり義務化と
いうことではなくて、段階的な検証、レビューというような組合せをしたアプローチとい
うものが必要だと考えています。
それから、2点目ですが、やはり日本はまだ任意表示ということで、海外への事例とい
うのは、いろいろな委員から報告されていますように、栄養成分表示が義務化された国、
特に表示がどのように活用されているか。またそれによって健康が増進しているのか。よ
りよく活用されているのかということで、先ほどもありましたが、例えば米国の場合はF
D A を 初 め 、 The US Institute of Medicine 等 に よ っ て 先 ほ ど 出 て い ま し た Front-ofpack、栄養成分表示の検討が行われています。EUのほうでは、前回からもいろいろご報
告がありましたように、ヨーロッパにおける義務的栄養成分表示を含む食品表示の規則に
関する議論がされていまして、中でもヨーロッパ委員会が提案したり、ヨーロッパ議会の
中で、それが議論されたり、理事会の見解、それからヨーロッパ委員会に対するヨーロッ
パ議会に対する伝達文書ということで、その中でもそれぞれの栄養成分についてどれが優
勢になるか、これは義務化、これは任意だということで、議論がまだ完全には煮詰まって
いないというふうに理解しています。このような海外の事例、特に欧米を含めて、現在進
行形の栄養政策を十分に調査した上で、この検討会の論点整理の参考にしていただければ
と思います。さらに日本の制度ということを考えますと、栄養成分表示を実施する事業者
の負担ということもある程度検討すべき課題であると考えます。
3点目に、栄養成分表示を求める食品や食品事業者の範囲については、例えば生鮮、先
ほど報告したばらつきの大きい食品、それから茶葉なども対象にするのかということで検
討していただきたいということでございまして、下のほうの報告に弊会の実施率というこ
とで、消費者庁の調査の商品の大分類とは違いますが、ここを見ていただきます。上から
アイスクリームとかチルドデザート、パン、こういうばらつきの少ない商品群は実施率が
高いわけですが、加工肉、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、これは食肉加工品の分類では、
7割程度と低くなっています。
魚肉練製品、これはお正月用品、冬場の一時期、スポットで扱う商品がありまして、こ
れら商品群での実施率が低くなっています。水産というのはもともとほとんどが未加工と
言いますか、魚の頭と尻尾を落としただけのような冷凍の水産加工品がありますから、こ
れら商品群での実施率が低くなってきています。一番下の嗜好飲料という、いわゆるお茶
とか、それからコーヒーそのものとか、ティーバック、コーヒー豆とか、このような商品
群は抽出方法によっても栄養成分が違ってきますので、これは栄養成分を書けないという
ことで、今のところは実施率が低くなっているという現状であります。
こ の よ う な 生 活 協 同 組 合 の 商 品 に お け る ボ ラ ン タ リ ー な 栄 養 表 示 に つ い て 、 過 去 30年
20
間やってきました。食品における栄養表示は実効可能性の高い点と低い点を合わせてご報
告させてもらいました。
以上でございます。
○坂本座長
ありがとうございました。
一番大きなone of themですけれども、表示の単位をどうするかというのはサービング
サイズにするのか、パッケージにするのか、グラムにするのか、そういうところがなかな
かディスカッションがまとまらないだろうなという気がいたしますが、いいご意見をあり
がとうございました。
徳留委員。
○徳留委員
3ページから4ページにかけまして、Percent Daily Value、あるいは1日
摂取目安量はあえて表示しないということなんですが、今の食事摂取基準という概念から
しますと、推定平均必要量を使うのもまずいし、推奨量を基準にするのもまずいというの
はおっしゃるとおりです。先ほど仲谷委員から発表がありました7ページに、諸外国では、
食事摂取基準を使いパーセントを掲示してあるわけであります。そのあたりを今後どうす
るかというのは、もちろんこの検討会でディスカッションする必要があるのですが、鬼武
委員は、今でもこの生協のディシジョンが正しいと思われるのでしょうか。不足するとま
ずいもの、過剰摂取するとまずいものがあるわけですよね。食品によって対応が異なる可
能性があるんですけれども、例えばコーデックスとかアメリカの対応で、推定平均必要量
を使うのか、推奨量を使うのかが違うと聞いておりますが、そのあたりのお考えがありま
したらお聞かせ下さい。
○鬼武委員
選択は正しかったか否かの判断は難しいですが、実際に過去には所要量に対
するパーセント表示をしたり、グラフ表示は非常に価値がある表示だと確信していました
ので、外すのにはやはり涙するような思いで決断しました。今となってはいろいろな形で、
栄養成分の議論が国際会議でも煮詰まっていませんでしたので、もう一度冷静に考えるべ
きあるとして一旦外してということで考えればよかったと思います。ただし、どうしても
気になったのは、一般の食品群で、栄養成分のグラフ表示をしていますと、地方の行政局
の方から栄養成分について強調しているかのように消費者が誤認してしまうのではないか
と指摘も受けました。これは法規制としては過剰とも考えられますが、法を守る観点から
は必要であると考えました。
弊会では個別の商品ではなく、食品群全体として統一したフォーマットで栄養表示して
いるのです。栄養政策に基づき、意味があるのですと説明しようとも考えました。しかし、
規制・監督する側は、市場にある1つずつのパッケージにある栄養表示を見て、法律で決
まってないパーセントやグラフ表示をやっているわけですから、規制する立場からすると
消費者への誤認のおそれからの取締りは実施して当然であるとも考えられます。このよう
な視点から、今は拙速にそのことをずっと続けていくことでやはり世の中に誤った方向に
もっていってはいけないということで、外す決断をしました。組合員(メンバー)の方か
21
らは何で外すんだということで、あったほうがよかったという意見がたくさん寄せられた
ということは事実です。
○坂本座長
ありがとうございました。
摂取基準が誰なのか、それが問題でして、パーセントは非常に合理的なんですが。
それでは、次に自治体における栄養表示の基準制度の運用について、実際に動いておら
れます東京都福祉保健局の渡部委員よりお話をいただきたいと思います。よろしくお願い
いたします。
○渡部委員
よろしくお願いいたします。
自治体におけると題名がついておりますが、東京都の例を基本的にお話いたしますが、
私どもが都としてどのように取り組んでいるのかということを資料として持ってまいりま
したので、ご説明したいと思います。
まず、前半部分、今さらという話になるかもしれませんが、栄養表示基準制度等々の規
定にも少し触れさせていただき、どういう形で運用しているのかをご紹介します。
1ページをおめくりいただきまして、この基準制度について説明します。基本的に栄養
表示基準に従った表示をしなければならないということが定められていますが、表示され
るからには正しい表示でなければいけないため、私たちが取り組んでおります。
3ページです。表示における注意事項ですが、注意事項は通知にたくさん記載されてい
ますが、ピックアップして資料にお示ししています。平成8年の通知では必ず分析を行わ
なければならないものではなく、結果として表示された含有量が正確な値であればいいと
いうことが記載されています。
それから、栄養成分表示以外の成分の表示については、基本的には販売者の責任におい
て行われることが現状です。こういう形の通知が出ておりますが、実際に事業者さんから
いろいろな相談を受け、さらに指導を行ってきた状況がありますので、後ほど、指導をど
のように行っているのか説明したいと思います。
4ページでございます。これもおさらいという形ですが、栄養表示基準に従って表示を
していない場合は、最終的には罰則が適用されるような仕組みにはなっています。しかし、
都としては、基本的に指導というレベルに留まっているという状況でございます。
次に5ページです。実際に、表示されているものについてチェックするやり方について
ですが、これは法律のほうで検査、収去についての定めがあり、都としてはこれに則った
形でしかるべく検査と収去を実施しています。基本は特別用途食品の検査、収去というの
がもともと実施されており、その事業とあわせて、販売に供する食品であって栄養表示さ
れたものについても準用して事業を実施しております。実際、この検査をどれぐらいして
いるのかと、後ほど検査の検体数もご説明いたしますが、限られた範囲で対応しているの
が現状です。
次に6ページです。栄養表示基準の活用のための相談指導業務等について、国の通知の
抜粋をこちらのほうにお示ししています。基本的に保健所が窓口になって実施する役割分
22
担となっています。東京都では、私がいる部署は健康増進法の法律を所管しておりますが、
この栄養表示基準の活用は、都の保健所が窓口となり、事業者指導を行っています。実際、
事業者、製造者の方々は、管内の保健所に相談するという形になっていますが、制度を運
用していく上では、いろいろな問題も出てきている部分があると思います。
次のページです。実際の東京都内における監視指導体制についてですが、東京都と特別
区とはそれぞれ基礎的自治体ですので、都は多摩地区の管内、特別区につきましては、23
区がそれぞれ独自に保健所の業務として健康増進法のこの部分については対応しています。
しかし、都内の指導として、東京都と特別区の全てと同じ歩調ではない部分があるようで
す。情報共有しながら進めておりますが、これは自治事務でございますので、それぞれの
自治体でという判断が一部ございます。
東京都のほうは、取扱要領、マニュアル等々を作成しまして、都保健所が監視、表示の
改善指導、表示相談について実施しています。
次のページです。本庁と保健所の業務分担になります。私どものほうが、本庁業務とし
ていろいろな判断も含めて企画部門として対応しておりますが、実際の指導は先ほどの国
の通知にもあるように保健所が行っており、保健所がどこまで対応できるのかというのは、
常に課題として持っております。保健所でこの業務にあたるスタッフも非常に限られてお
り、さらに表示指導以外の業務も担当している職員が実施しております。基本的には、栄
養士の資格を持った職員がこの業務に当たっておりますが、保健栄養の関係の業務も行っ
ている中で、こういう仕事をしているというのが現状でございます。
次のページです。ここがいわゆる実績になります。どれぐらいやっているのかという数
字になります。
先ほどの紙にもありましたけれども、東京都は現在、島も含めて6つの保健所で事業を
行っています。全体の収去数は、平成22年度で55件になります。特別用途食品も含めた収
去数は、例年ほぼ同様の規模で進めています。相談指導につきましては、ここにまた数字
が書いてあるとおりですけれども、大体500件前後になります。通報等による指導という
のが下の表に書いてありますけれども、これは他の自治体から東京都管内の保健所の事業
者に対して指導が必要な事例についてはそういう通知がまいりますので、それに対応した
ものです。
次は、10ページ目でございます。監視指導の概要のところにあえて書かせていただきま
したが、普及啓発事業を行っています。栄養表示は、規定も事業者さんが読み説くにもか
なり難しい、細かな部分も定められておりますので、わかりやすくお伝えするということ
で、この普及啓発事業に力を入れています。食品表示につきましては、この健康増進法で
定められているもの以外でも、先ほどの委員からもありましたが、一括表示ですとかいろ
いろな表示をしなければいけない規制がありますので、東京都としては事業者さんがわか
りやすくそれを理解して、しっかりと制度を守っていただくということでの普及啓発に力
を入れているところです。
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ホームページでも情報提供しておりますので、ここにホームページの情報を書かせてい
ただきました。本日は、委員向けには資料を机上で配布させていただきましたが、これは
ホームページのほうで実際に見られるようにもなっています。「食品に栄養表示をすると
きは…」という冊子を作成し、詳細にいろいろな表示事項が勉強できるようなものとなっ
ています。
ここに記載されている内容ですが、このパンフレット自体はかなり前から作成しており、
現在は表示に関しては消費者庁が所管となっていますが、厚生労働省所管のときから、記
載内容について相談させていただき、アドバイスをいただきながら作成した経緯がありま
す。一部法令に書かれてある表現どおりでない部分もありますが、都としては、このよう
な形で過去から含めて事業者さんの指導を行ってきました。
それから、次のページです。表示の正確性を担保するための取組になります。先ほど、
収去件数につきましては年間50件前後とお話しましたが、実際に市場で売られているもの
を収去し検査しております。特別用途食品、これはかなり厳格に表示しなければいけない
という部分がありますけれども、それ以外に栄養表示された食品を選び、収去しています。
それから、栄養機能食品も任意表示ではなくて、栄養機能について強調表示するような
場合は、義務になりますので、そのような検体も含め、収去検体数として検査しています。
検査内容につきましては、まさに表示されている事項について、その表示どおりなのか
どうかという検査をしています。しかし、実際に収去できる件数が限られていますので、
その中でしっかりとわかることをまとめて実施しています。判定のところに書いてござい
ますが、当然、表示の正確性が担保されていないものにつきましては、通報して指導する
という形になっております。
検査体制でございますが、栄養成分検査につきましては、東京都の健康安全研究センタ
ー、これは地方衛生研究所ですが、東京都ではこういう名称で呼んでおります。センター
には、栄養成分を検査する部署があります。通常の食品成分の検査というのは規格とか基
準があるものについてはルーチンでいろいろな検査が行われていますが、この栄養表示に
ついては特定の研究室が担当し、分析をしています。
現在、栄養表示基準の分析法が国から示されていますが、栄養表示自体の分析対象は広
範となっており、それを一手に引き受けてやらなければならないので、人的なものも含め
て、かなり苦労しているのが現状でございます。義務表示となったときに、どれぐらい検
体を処理して検査できるのかということは重要な課題と考えています。
12ページ目になりますが、検査結果になります。
これは先ほどの55検体、もしくは50検体前後ぐらいの検査結果でございますが、特別用
途食品については全て適正でした。過去数年間の例を見ても適正という結果です。それか
ら、栄養機能食品、栄養表示食品についてはここに書いてあるとおりですが、不適正が3
割ぐらいあります。この点については、机上配布資料として置かせていただきましたが、
健康安全研究センターで栄養表示に関して研究した結果です。分析の結果や違反の傾向に
24
ついて、2報ほど公表しており、これもインターネット上で見ることができます。今回は
机上配布させていただきましたが、基本的には市販されている食品のうち、独自に事業者
自身が分析を行っているものについては、高い確率で適正な表示となっていますが、計算
値で求めるようなものにつきましてはかなりばらつきがありました。私の前の発表で何名
かの委員が報告をされたと思いますけれども、計算値で出すものについては、やはり基準
の中に収まらないというケースが散見されますので、そこの部分について課題があると思
っております。
次のページ、13ページ目でございます。これは実際に表示が正確でなかったときに、ど
のような措置が行われるかを改めて書き起こしたものでございます。これは、指導対象と
なる事業者が都内に存在する場合、都保健所が適切な指導を行うというのがルールです。
しかし、自治体が指導する場合に、自治体ごとに保健所の役割、製造者もしくは販売者の
とらえ方に差があることがあります。現状では措置する中で、都内の事業者さんであれば、
この結果を速やかに伝えて指導につながりますが、他の自治体に通報した場合は指導の仕
方に現段階では差があると思っております。
この四角の囲みに書いていますが、実際に違反が疑われる表示として指導を行った例、
もしくは通報した例については栄養機能食品としての規格基準を満たしていないものにか
かわらず、強調表示とかそういったものを含め、通報しております。
それから、表示の検査もしております。内容の検査、成分検査だけではなくて、表示検
査もしております。ポイント数が規定よりも小さいという間違いも多々ある状況です。
14ページ目になります。監視指導を進めていく上での検討課題です。栄養成分表示の義
務化に向けた検討として、この会が設置されておりますが、現行制度、任意でされている
部分、それが義務化になったときに、どういう影響が出てくるかということを十分に考え
なければいけません。現状として、保健所が事業者の指導を行っていますが、その指導体
制につきましても、都以外の自治体では、収去、検査、事業者に対する指導についてかな
り差があるかと思います。東京都の規模感で全ての自治体の対応というのを同じように考
えられないと思います。全国の中では東京都の実施体制や規模が大きいと考えられますが、
都としてもかなり限局された中で、できる範囲で一生懸命やっているというような状況で
す。これが全国的な広がりになると、どこまで、どういった形で行うかというのはよくよ
く検討しなければいけない問題です。表示が正確であるというのは、やはり成分検査をし
っかりしなければいけないですし、その検査機関もどこまで正確な値を出しているのか。
検査機関に対する検査と言いますか、そういったものも必要なのかなというふうに思って
おります。このような部分が今後の検討課題になるのかなというふうに思っております。
それから、下のほうに書いてございますけれども、行政指導という部分で言いますと、
制度ができてから、どこまで私どものほうが事業者さんに対して指導を行っていくのかと
いうので、非常に苦慮してきており、いろいろ検討したり、相談したりしてきた部分がご
ざいます。地方自治体としてどこまで何をするのかということについてはやはり明確にし
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ていかないと、義務を逸脱したものについてどこまで指導するのかを明確にしていく必要
があると思っています。
それから、下のほうに書いていますが、関係の法令もあることから、他法令との整合性
も含め、連携して、取り組んでいかなければいけないと考えております。
最後のスライドの説明になります。ここも繰り返しになりますけれども、栄養成分の試
験検査をしていく上で、東京都はこの栄養成分を検査する部署を持っておりますけれども、
どういうところが担うべきかが今後の課題と思っております。通常の食品衛生法で定めら
れている成分規格を検査するところが、そのまま栄養成分表示の検査を担っていくことが
できるかというのが、自治体ごとにいろいろな対応、温度差があると思います。
それから、広域的に流通する食品について、東京は人口で言えば1割強住んでおります
けれども、どこが主体的に監視して検査するのかを考える必要があります。やはり全国同
じように義務化するのであれば、全国でやっていかなければいけないと思いますが、その
監視体制、精度管理も含め、公平性が担保されなければいけないと思います。
特に検査精度ですが、これは実際に検査を行っている担当の方からもヒアリングをして
きました。検査に当たっては、その表示値の下限値、定量下限、そういったものが検査に
際 し て 、 非 常 に 難 し い と い う こ と で す 。 で す か ら 、 栄 養 成 分 を ど こ ま で の レ ベ ル ( 下限
値)で表示をしなければいけないのかはしっかり考えていかないと、検査するほうも大変
ですし、表示の信頼度にかかわると思います。
それから、表示値の根拠ということですが、先ほどの報告、机上に参考で配布させてい
ただいている報告の中にもありますが、食品の栄養成分表の計算値から表示するものにつ
いては、計算した値があっても、それが実測値として本当にあっているのかというのが非
常に難しい状況です。仕組み上は、表示をした人がその数字が正しいことを確認しなけれ
ばなりませんが、現状では、大規模な事業者さん以外の事業さんについてはなかなか検査
費用をかけて検査するというのは難しいと思います。どの範囲の食品、どれぐらいの規模
を流通しているものについて、その表示をさせるのかといったこともしっかり検討してい
かなければいけないと思います。
最後になりますが、先ほど触れたとおり、分析機関の精度管理が必要です。検査を正確
にやるというのは当たり前のことなんですが、その検査が本当に正確なのかとチェックす
る仕組みをつくらなければいけないと思います。そういったものもしっかり整備した上で、
義務化をするのであれば進めていかなければいけないと考えております。
駆け足でございましたけれども、以上でございます。
○坂本座長
ありがとうございました。
やはり行政でこれだけのことをするのは大変な力が必要なんだろうというふうに感じま
すが、これもまた後々のディスカッションの対象になろうかと思います。
質問はございますか。
もし、なければ時間も押しておりますので、次にまいりたいと思います。
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最後になりますが、国際事情に詳しい浜野委員より諸外国等における栄養成分表示制度
ということで、コーデックスでの「栄養表示ガイドライン」の改定に関する討議内容につ
いてご発表いただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○浜野委員
ありがとうございます。
たくさんのご発表がありまして、もうお疲れかなと思いますが、最後ですのでご辛抱い
ただければと思います。
資料6のコーデックス「栄養表示ガイドライン」の改定に関する討議の経緯ということ
で、これはコーデックスの食品表示部会で栄養表示のガイドラインは既にあるのですが、
栄養表示のガイドラインの見直しの作業がここ数年行われております。結論はまだ出てお
りませんが、ここ数年のうちに出ると思います。その経緯をご紹介させていただきます。
今日、各委員からお話になりました部分とかなり重複する部分が出てまいりますが、ご紹
介をさせていただきます。
2ページです。この見直しの議論がコーデックスにおいて始まりましたのは、2004年に
WHOが、食事、運動と健康に関する世界戦略を発表しました。これは文字通り食事だけ
ではなく、運動も含めた健康戦略ですが、この中の食事に関する部分を抜粋しますと、こ
こにありますように、摂取エネルギーバランスと適正体重の達成、脂質からのエネルギー
摂取の制限、飽和脂肪酸から不飽和脂肪酸へ、トランス脂肪酸の排除。果実、野菜、豆類、
全穀粒、ナッツ類の摂取促進。糖類摂取の制限。食塩摂取の制限と食塩のヨード強化とい
うことが戦略として挙げられました。
さて、その戦略が次の3ページになりますが、この戦略を実行するに当たって、重要な
役 割 を コ ー デ ッ ク ス の 各 部 会 に 委 ね ま し た 。 1 つ が 食 品 表 示 部 会 、 そ し て も う 1 つ は栄
養・特殊用途食品部会です。この2つに作業を委託したところで、2005年のコーデックス
総会で、その詳細についてはWHOより資料を提供するとしましたが、最終的に提供され
ましたのが2006年、約1年半後になりました。
4ページ、その文書を受けて、表示部会ではその具体策を考える上で作業部会をつくる
ことが合意され、その作業部会で何を検討するかというところが幾つか議論がなされまし
た。
緑で示してありますが、現在コーデックスでは栄養表示は任意ですが、それを義務化す
べきではないのか。必須の栄養成分についてこれも決められていますが、必要であれば拡
大する必要があるのではないか。例えば、現在、熱量、たんぱく質、消化性糖質、脂肪が
必須になっていますが、加えて例えばナトリウム、糖類、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、
食物繊維等々があるのではないか。
わかりやすさという意味から、栄養表示の形式はどうあるべきか。それから、ちょっと
カテゴリーが異なりますが、量的原材料表示の諸問題について検討する。この量的原材料
表示の諸問題については別途議論が終了しておりますが、本日は触れません。こんなとこ
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ろが提案としてなされました。
5ページです。具体的には4点について表示部会で作業が始まっております。前のペー
ジが2007年の話ですが、今回は2009年、一昨年、その前から具体的なお話になっています
が、比較的近々のお話としますと、2009年5月の段階で、表示成分は何と何が必要だろう
かというところです。
3.2.1.2と書いてありますが、英語で恐縮ですが、現在コーデックスで定められている
部分がブルーで書いてあります。それ以外に、飽和脂肪、トランス脂肪酸、コレステロー
ル、ナトリウムあるいは食塩、それから総糖類、添加糖類、食物繊維、こういうものが検
討課題として挙げられました。
そのうち、これは先ほどの戦略にもありましたが、飽和脂肪、グリーンで書いてありま
す。それから、総糖類についてはほぼ意義なく加えるべきだろうということで合意され、
コレステロールにつきましては赤線を引いていますが、下に注釈をしておきました。WH
O世界戦略では特に言及されていません。また、既にご存じだと思いますが、心血管疾患
との関わりについても議論のあるところ、日本でも議論のあるところだと思います。検討
リストから削除されました。不必要という意味ではないですが、この必須の要素としては
削除されました、という状況です。
トランス脂肪酸、ナトリウム、食塩、それから添加糖類、食物繊維については、カッコ
が示されていますが、削除も加えるということについても両方について合意がなされてい
ないという意味です。2010年になりまして、昨年ですが、そのうちの添加糖類については、
赤線で示してありますが、食品構成成分としての糖類と生体利用面及び食品分析的にも区
別できないということ。WHOとしては表示目的としては糖類でいいのではないか。この
場合、会議の途中でWHOに問い合わせして回答を得るという経過を経てこのような結果
を得ております。
食物繊維につきましては、これも同じく世界戦略では特に名指しで取り上げているわけ
ではない。健康上、非常に重要ではあるけれども、これは国ごとに対応すればよいという
ことで、いずれもこのリストから削除されております。
脚注にありますトランス脂肪酸の取扱ですが、トランス脂肪酸については、この必須リ
ストに載せるというよりもトランス脂肪酸の摂取状況、あるいは摂取レベルが国民衛生上
懸念される国にあっては栄養表示においてその表示を検討するべきであるということとし
て、コーデックス全体として、これを取り上げるという形にはいたしておりません。最終
的に、ナトリウムと食塩については、これもいろいろ議論があって、最終的にどういう形
にするかという議論がまとまらず依然としてカッコ表示のままで、今年の5月連休明けに
ケベックでこの議論が継続してなされます。このカッコを取るのか、ナトリウムにするの
か、食塩にするのか、両方にするのかというところが議論になるところだろうと思います。
2つ目の課題、義務化についてです。当初、コーデックスにおいても義務化という議論
が特にアメリカ、カナダ等では既に義務化をしておりますので、強く意見が出ました。最
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終的には、それぞれの国の判断でよいのではないかという結論になりました。ただ、その
議論の過程でいろいろな問題が議論されました。せっかくいろいろな議論が出てきていま
すので、それを1つの資料としてまとめて日本のように義務化するのかしないのかの議論
をするときの材料にしてほしいということから、報告書の付属資料としてまとめられてお
ります。次の8ページにその内容を、英文4ページほどの資料ですが、簡単にまとめさせ
ていただきました。
重要なのは1番、2番かなと思いますが、1番はコストとベネフィットについて考えて
おく必要があるということです。この部分については、それは消費者にとっても政府にと
っても、それから産業界にとっても両方あるだろうということです。
消費者にとってコストとして考えられることはどういうことかと言うと、価格転嫁に至
る可能性があるし、それから情報、表示の内容の理解力が求められるということになりま
す。一方、斜線で2つを区別してありますが、以降はベネフィットになります。一方、選
択のための情報が得られる。あるいは比較、選択が可能になる。健康な食生活への貢献、
それから医療費の削減につながるというところが消費者に対するコストとベネフィットで
す。
政府にとっては、これも幾つか先ほどの議論がありました。インフラ、あるいは人員の
増加、指針の策定、食品成分表などのデータベースの充実、それから大変重要なそれらを
理解する消費者教育、消費者教育は誰の責任でやるかという議論も大いにあるとは思いま
すが、これがコストに反映してくる。一方、ベネフィット、利益としては健康な食生活へ
の支援になるし、医療費の削減につながるのではないだろうか。
産業界にとりましては、これも既に幾つか議論が出ていましたが、表示にかかわるコス
ト、分析、あるいは印刷、在庫管理等々にかかわるコストアップの要因になる。一方では、
ベネフィットとしては消費者の信頼を獲得することになるであろうし、製品の差別化につ
ながるというところです。三者三様にそれぞれがコストとベネフィットがあります。とい
う中で議論をすべきでしょうということです。
実施に係る諸問題についてですが、ここも既に幾つも問題点は出てきております。やは
りある意味では例外規定を設ける必要があるのではないだろうか。生鮮食品などの非包装
食品、あるいはスペースとの関わりもあると思いますが、少量包装食品、無視できる量し
か含まない特定の食品、技術的課題については、これもたくさん出ていましたが、分析機
関の問題、分析方法、あるいは正確性、信頼性の充実、ものによりましては、地域性、季
節性の成分含有量の差異、それからデータベースの充実、全てを義務表示にするのかどう
か、義務表示の対象となる食品の選択。さらにはその支援体制として食品成分表のお話が
何人かの委員からも出てまいりましたが、食品成分表などのデータベースが必要になるで
しょう。それから、それを表示の根拠としてそういうものが使えるのかどうか。あるいは、
分析をするにしても公的機関の分析、あるいは自社分析でいいのか。あるいは計算値でい
いのか。実施に際しては、十分な実施の猶予期間が必要となるであろう。と同時に、本当
29
に何が求められているのかという消費者調査と教育ということが大変必要になるというと
ころです。
3番、遵守と施行というところでは、その遵守と罰則規定、あるいは監視・モニタリン
グ、それから先ほどの技術的課題とも大いに関わりますが、分析法の多様性と許容誤差を
どうするのか。
4番は、これはコーデックスならではですけれども、国際貿易上の視点から、国際的な
整合性はどうなっているのかということも考慮すべきというところです。
したがって、表示の義務化を考えるには、一応少なくともここに挙げられている幾つ
かの点について、まさにコストとベネフィットを考えつつ議論をすべきかというふうに思
います。
3つ目のポイントです。表示の読みやすさの原則に関する討議、これも2、3の委員か
らのご意見がありました。例えば、Front-of-pack labeling、それから色によるカラーコ
ーディングとか、交通信号表示のようなところが幾つか議論の対象にはなりました。ただ、
基本的には消費者、それぞれの国の消費者の理解度にもよるということがあり、基本的に
は各国の判断に委ねるとして、基本的に考えるべきこととして、表示の形式、下にカッコ
で示しましたが、形式、順序、あるいは大きさ、見やすさ、それから表示単位、先ほど1
包装か、1サービングサイズ云々というのがありましたが、ここの部分も考えるべきとい
うまとめになっております。
次のページです。これに関して、先ほど鬼武委員からも説明がありましたが、ヨーロッ
パにおいて栄養成分表示についての議論がなされているところですが、たまたまその中に
ある表示例としてここにちょっと抜き出してみました。これで決定しているわけではあり
ませんが、お気づきかどうかわかりませんが、その表示の順番も、従来はエネルギーの次
にたんぱく質であったものが、脂肪、炭水化物、たんぱく質、そしてヨーロッパの場合に
は食塩という表示を提案しております。
ちなみに5月の連休明けにカナダで同じくこの表示に関しての議論がありますが、EU
は事前提出の意見書でこの様に言っています。情報は非常に大切であるが、大きすぎる情
報、多すぎる情報はかえって消費者にとってオーバーロードとなり、読むことも使用する
こともしなくなる、危険があるということを言っております。したがって、全ての食品に
義務表示化することに対してはやや懸念があって、例えば栄養強調表示をする場合に限る
というような、現在ヨーロッパがそうですが、そういう場合に限定すべきではないだろう
かという意見と同時に、表示をするのであれば、今ここに出ていますように、熱量の次に
脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖類、たんぱく、食塩、という順番をコメントとして出して
おります。
11ページ、先ほどの3つ以外に糖類或いはシュガー、食塩或いはナトリウムについて、
これらには既に強調表示の基準というのが決められておりますが、必要であればその見直
しが必要であろうということ、それからトランス脂肪酸に関しても、例えばトランス脂肪
30
酸フリーの基準についての作業部会が今年から始まります。本会議の前に行われますが、
今後の動向を注視する必要があろうかと思います。
最後になります。これはわかりきったことですが、今検討しようとしているこの栄養表
示のガイドラインの目的についてこのようなことが書かれております。もう既にご承知の
ことだろうと思います。食品について消費者が賢明な選択ができる情報提供。それから、
含有栄養成分についての情報を表示する手段であるということ。それから、これは業界に
とっても製造者にとっても、公衆衛生上、有益な栄養原則の使用を活かすことができると
いうこと。それからさらには食品に含まれる補助的な栄養成分に関する情報を提供すると
いうことが挙げられております。
以上です。取り急ぎご説明いたしました。
○坂本座長
どうもありがとうございました。
いろいろな国で、いろいろなディスカッションがされていて、概ね日本も同じようなデ
ィスカッションかなという気がいたしますが、これをどう日本人向きにまとめるかという
のが私どもの仕事かとも思いますが、ご意見をください。
○蒲生委員
お話をありがとうございました。
1つ、質問させてください。8ページのベネフィットのところで政府の項目に「医療費
(生活習慣病に係る)の削減」とあります。このように挙がっている根拠と言いますか、
諸外国で実際に削減された事例等があってのことなのか教えてください。
○浜野委員
医療費の削減の可能性ということで具体的な実例が挙げられての項目ではな
く、その可能性があるという意味です。本当にそうであれば非常に望ましいと思うんです
が、可能性として、あるいは期待ということだと理解しております。
○坂本座長
なかなか難しい問題だと思います。アメリカで、ファットフリーのケーキを
つくって売り出して、これで脂肪の摂取量を減らして、体重を減らそうとしたら、むしろ
どんどん肥満が増えたという話は有名な話です。やはり食べ物というのは、なかなか考え
たとおりには人は食べていってくれないという大きな難問があるようです。
どなたか、もし、質問がなければ、次に移行したいと思います。今日は、それぞれに多
くの方々から、それぞれの立場からいろいろな意見を聞いて、かなり私たちも消費者サイ
ド、あるいはつくるサイドからこの表示について、どういうふうに考えているかというこ
とを大体皆さんご理解いただけたと思います。
以上に関連いたしまして、事務局から補足説明があるようですので、お願いしたいと思
いますが、平中さん、よろしくお願いいたします。
○平中食品表示課長補佐
事務局より、参考資料として提出している「日本食品標準成分
表」の概要をご覧ください。先ほど各委員のご発表の中でも食品成分のデータベースとい
うご発言がございましたので、参考としてご紹介させていただきます。
我が国における食品成分のデータベースの一つとして「日本食品標準成分表」がござい
ます。これは、食品に含まれる栄養成分の基礎的なデータ集ということで、昭和25年から
31
取りまとめが始まっておりまして、現在、文部科学省のほうで取り組まれているものでご
ざいます。
最新のものが2010年に出ておりまして、これが「日本食品標準成分表2010」という名称
となっております。ここでは1,878の食品、50の成分について、標準成分が記載されてい
るというものでございます。この成分表の趣旨、目的が(2)にございますが、学校給食
などの集団給食や栄養指導の場、あるいは一般家庭での活用などで広く利用されるという
目的でございます。
具体的な目的は、次のページの上半分に図がございます。この「日本食品標準成分表」
は、国民生活に関係するものとして病院などの集団給食施設での栄養管理、あるいは生活
習慣病患者の栄養指導などで活用されているというものでございます。
左側ですが、このほか教育、研究の場でも小中高校の家庭科や保健体育、栄養学などの
学問における基礎資料としても利用されております。
右側でございますが、行政の場におきましては、食事摂取基準の作成や食料需給表の作
成などの基礎資料としても利用されているというものでございます。
1ページ目に戻っていただきまして、一番下になお書きがございますが、この食品の成
分値というものがどういう値かということでございますけれども、食品の成分値というの
は品種や生産環境、加工方法などの違いによって、かなり変動幅があるというところでご
ざいますけれども、この成分表におきましては、年間を通じて普通に摂取する場合の全国
的な平均値というような概念のもとで、標準成分値が決定されているという特徴がござい
ます。
以上、補足説明でございました。
○坂本座長
ありがとうございました。
それでは、これから意見交換に入りたいと思いますが、かなり時間が押しておりまして、
最初の予定は60分でしたが、ずっと押して、30分しかなくなりました。したがいまして、
まずは栄養成分表示制度の運用について、制度がより効果的に運用されるための実効性の
ある側面について少し議論をいただきたいと思います。
まず最初に、今までのご意見の中で、何を優先すべき表示内容にするかということが最
初に決まらないと、それをどうするかと後に続かないという気がいたしますが、これにつ
いてちょっとご意見を伺わせていただきたいと思います。
それぞれにご意見がございまして、義務にするか、任意にするか、あるいは消費者への
教育は誰がどういうふうにしていくかとか、あるいは表示の単位をグラム単位にするか、
パッケージ単位にするか。そのほかサービングサイズにするか。表示の量を実測するか、
最後のお話でしたけれども、実測にするか、あるいは計算上にするか、これは大変難しい
問題ではないかと思います。また、表示に必要なものは何かというようなことも問題にな
っておりましたし、それから外国のものはカラーで示してあるんですね。交通信号と同じ
なんですが、そういうふうなものも必要な人にはグリーンとか、ちょっと危険な人に赤と
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いうような色分けをした表示にするとか、いろいろあろうかと思いますが何を優先すべき
だとお考えか、ちょっとご意見を伺わせてください。
○飛田委員
たくさんの検討すべき課題がございますけれども、今日はご報告いただきま
した皆様のご意見の中で、私は特に実測値の問題が重要ではないかというふうに考えてお
ります。やはり実測値と標準成分表からも引用してきた計算値との差を指摘されておられ
るご報告が幾つかございました。それで私たちがたくさんのものに表示していただきたい。
できる限り絞らずに多くのものに栄養成分を表示していただきたいという願いがあるもの
ですから、そういう意味では、それとの兼ね合いで難しい面も出てくるのかもしれません
が、今、食の外部化も進んでおりますし、また多様な食品の選択に迷う消費者が大勢いる
ものですから、標準食品成分表についても対象品目がぐっと増えてきて、1,878というこ
とが最新版でそのようになっているというお話もございましたが、食品数の増大というこ
とは、今後もさらにこの成分表においてもご検討いただけるものと思いますが、この標準
成分表にあまりにも依存してしまいますと、問題点も出てくるのではないかという気がい
たしております。
○坂本座長
実測値と計算値でお話の中にあったのは、どちらでしたか。ちょっとそれに
ついてお話ししてください。つまりばらつきがあるというようなこと、これはもう両方あ
るんですね。算出したものも、それから計算したものも。そのどちらを信じるかというよ
うなことになろうかと思いますが、ちょっとご意見をください。
○仲谷委員
どちらを信じるかと言われるよりも、私たちが果たさなければならないのは、
表示した数値と実際のものがある許容範囲内に収まっているということを担保しなければ
ならないわけです。
そのためには、当然定期的なモニタリング検査をして、常にその範疇に収まっている。
もし、先ほど言いましたように、例えば生鮮品であったら、部位、あるいはシーズンによ
って栄養価も違いますし、当然、そういったことを踏まえて、商品の使用上は、部位をで
きる限りコントロールできる、あるいは原料の産地をある程度限定してくるということで、
コントロールしながら、やはり定期的なモニタリングをして、その範疇に収まっていると
いうことはやはり担保していくということで、私どもでは必要になってくるわけです。
やはり実際的には例えば弁当といったものは、とは言え、当然及ばないところでありま
すので、その範疇に収めるということになれば、弁当類については事業者として表示する
のが困難になってくるというふうなところになってくると思います。
○坂本座長
どうぞ。
○浜野委員
本日、委員の皆さんのお話を伺っていて、幾つかありますが、栄養成分表示
は鬼武さんのお話にもあり、また第1回のときに国の調査報告にあったと思いますが、既
に7割から8割が栄養成分表示がなされており、なぜ、義務化しなければならないのかと
いう議論が1つあるのと、それからもう1つは、やはりお弁当とか、レストランとかそう
いうどちらかと言うと生鮮食品に近いものは比較的できていない。でも、一方では、そう
33
いう情報を欲しがるという意見もたしかどなたからかあったと思います。
その場合に、その情報というものの意味するところ、何のためかと言えば、消費者は正
確な数字というよりも脂肪が豊富なものであるのか、糖分を多く含むものであるのか、カ
ロリーが多いものであるのかという、そういう目安を知りたいのだと思います。これらの
食品の場合、通常の加工食品の表示の規則のように、プラスマイナス20%というところに
入れることはもうほとんど不可能だろうと思われます。とすると別枠にするかどうかは別
ですけれども、これは目安という取扱であるほうが望ましいのではないか。そのかわり違
反したらというよりも、もうその枠内に入れることは物理的、技術的には不可能だと思い
ます。あくまでも目安であるということを前提に制度をつくり、もっと大事なことは消費
者がそういうものであるという認識を持ってもらうことが重要だと思います。
どっちを先にするかなんですが、これは栄養成分の義務化にも関わりますが、消費者が
栄養成分の書いてあるものを望むならば、メーカーは嫌でもその方向に進む。お弁当とか、
それからその他のものについての栄養成分表示というのは、非常に、ある意味では加工食
品よりももっと重要かもしれません。そのときにできないからといってやらないというの
は、非常におかしい。やる方法を見つける。そのためには消費者の一部は文句を言います。
間違いなく、違うという文句が出ますが、それはやはりこういうものである、一つの目安
であるということを理解してもらう努力をしなければならないと思います。
それをきちんとしておけば、ある程度理解されれば、そういった多少の数値の誤差の問
題も許容できるというルールはつくれるのではないかと思います。それがない限りは、そ
のルールはやはり厳しくやらざるを得なくなってしまいます。実施するのであれば、消費
者の教育という言葉はあまり好きではありませんが、いわば賢い消費者になってもらうた
めの努力をする過程で、本当に消費者は何を欲しいのか。色分けは本当にいいのかという
判断をするべきであるという気もします。
カロリーにしろ、脂肪にしろ、糖類にしろ、あるいはナトリウム、食塩にしろ、ニーズ
なり問題は人ごとで違い、例えばカラーコーディングの場合、Aさんにとってはグリーン
な食品でも、Bさんにとっては黄色かもしれない食品がグリーンでいいのかという話にな
ります。そこはもう一段消費者とコミュニケーションをした上でということだと思います。
従いまして、私は何を優先するべきかと言えば、そういう賢い消費者をつくることをま
ず優先、努力して、その過程でどういう表示がいいのか。これにはいろいろな調査はあり
ますが、本当に消費者とコミュニケーションして、何をどのように表示するべきかについ
て、情報としては出てきてないように思います。同時に我々はサイエンスベースできちん
と表示すべきもの、表示の仕方を検討していくという必要があると思います。
せっかくこういう検討会でありながら、消費者教育が先だと言うとひっくり返してし
まうようで申し訳ないのですが、それがないとどうしてもこの先に議論が行かないと思っ
ています。
○坂本座長
それはよくわかります。
34
食品の安全性と心配というのは常にくっついていて、どうにも離れないというのがあっ
て、安全を信じていただけないという苦労がありますので、それと同じようなことなのか
なと思います。
塩谷さん。
○塩谷委員
今後の議論の中で、認識が違うと違う方向に行くというふうには思いますの
で、一言申し上げますけれども、今おっしゃったように、加工食品は7割から8割表示さ
れているという認識に立つのか、私の認識はそうではありません。いわゆる量販店とかそ
ういうものであって、私どもが一番心配しているのは、地方の特産物とかそのものについ
てはほとんど表示されてないと認識しています。
私の資料にもありますように、中小企業というのは地方がほとんどであります。義務化
になった場合には、今、言ったように7割、8割はもう既に義務化に対応できるような表
示をされているんだから、そこをプラットホームとして、そこから議論しようという部分
が入りますと、すごいバイアスがかかりますので、一番ポイントになるのは、本当に今、
世の中で流通されているものが、いわゆる栄養成分表示がされているのは何パーセントぐ
らいあるのかというベーシックな値をきちんと採らない限り、今の議論の中では義務化と
任意と2つの方向性があるわけで、その部分をコンプリートにしていただきたいと思いま
す。
○坂本座長
行政の方に聞きますが、それは調査されていますか。何種類ぐらいあるかと
いうのは。
○相本食品表示課長
どれだけアイテムが表示されているかということに関しまして、私
どもとしては第1回検討会のときにお示しした量販店の調査がございますので、地方まで
含めた、中小まで含めたアイテムでどのくらいかということについてのデータは、今は持
ち合わせておりません。
○塩谷委員
ですから、そういう消費者庁が出したデータがもう既成の事実として皆さん
の頭の認識の中に入っていて、7割、8割、すぐにでもできるんだという認識でまず議論
を進めるのか、いや、全国津々浦々を見ると、半分にも満たないんだということから入る
かによって、この先の議論の展開が変わってくると思います。
○山根委員
今の塩谷委員の最初の説明で、9ページですけれども、アンケート調査から
の説明の中で、大手企業でも中小企業でも9割以上ほぼ全てが積極的に栄養成分表示をし
ている。ただし、義務化になると可能な商品が3割、2割に留まってしまうという結果が
出て、その理由として、今は積極的にしているけれども、それは一部の商品のみになされ
ている実態が想像できるという、こういった考察というか、記述になっているんですけれ
ども、ちょっとこれだけではよく読み取れないなと思います。ほかの理由というか、恐ら
く私が思ったのは現状で厳しい義務化ということになった場合には、表示の根拠というか、
数値的な、正確な数値をあらわす担保が困難というか、不適正表示をして、指摘などがあ
ることを心配してのこういう表示が無理だというような答えになっているのではないかと
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いうふうに感じたんですけれども、そういった理由もあるのではないかと思います。
それから、ちょっとほかの意見ですけれども、たびたび消費者が本当に望んでいるのは
なんだろうという議論になりますけれども、私は本当に消費者が望んでいることは一人一
人まちまち、多様だというふうに思っています。ですから、可能であれば、多くの表示を
望みたいと思っています。ただし、正確な表示であることがもちろんであると思って、い
ろいろお願いしているわけなんですけれども、ただなんて言うんですかね、WHOの議論
とか、コーデックスの議論とかの説明がありますけれども、日本人が今気をつけるべきこ
ととか、そういったことを医学的な見地から、何の摂り過ぎに注意したほうがいいのか、
もっと摂ったほうがいいものは何なのかということをきちんと整理したものを私たちに情
報提供していただいて、それをきちんと理解した上で、表示も整理されて、それが正しく
利用されて、健康に役立つという順番が必要だと思いますので、きちんと国の方針として
医学的な根拠などを示すこともいただきたいというふうに感じています。
○坂本座長
ありがとうございました。
先ほどから表示の実測か、計算値かというディスカッションで、これはいくら繰り返し
ても、ローリングしていくだろうと思いますが、今、山根委員がおっしゃいました優先す
べき内容をどうするかというのが、1つ問題ではないかというふうに考えているんですが、
浜野さんの資料の何ページか、EUにおける栄養成分表示というのがありますね。これは
日本みたいに特にエネルギーがあって、たんぱく質、脂肪なんとかというような5つのも
のの並び方と違って、ここはエネルギーからいきなり脂肪に入って、脂肪の中の種類が4
つ、5つ出ております。その下にいろいろな、シュガーがあって、あとたんぱく質に入っ
ているんですが、これは各国によって大幅に違っているんですね。それで、私が先日、事
務局がお見えになったときに差し上げたのは、韓国のなんですが、あれは全部脂肪なんで
すよ。脂肪だけしか入ってないんです。脂肪酸の種類が入っていて、しかもその製品は韓
国ののりなんです。最後にエネルギーがあって、それが1つの正式な表示になっています。
あれを見てびっくりしましたので、この前お見えになったときにお渡ししたんですけれど
も、これを見ていくと、最近国によって、もう1つフランスでもらってきたお菓子のこれ
があるんですが、これは色分けです。
ところが、栄養素が日本と違って全然違うのから順に並んでいて、つまりその国でどの
栄養素が人の健康にとっていいか、悪いか、摂取量がどうだ、こうだ、今、佐々木先生と
赤松先生のほうで分析しておられると思いますけれども、そういうものも順位をつける大
きな要因になるのかなというふうに私は考えますが、消費者団体の方はいかがでございま
すか。
○蒲生委員
栄養成分表示制度の目的は国民の健康維持・増進や生活習慣病の予防に資す
ることです。国民の健康状態は国によって違いますので、対策を打つべき栄養素は日本の
現状に合わせたものを検討する必要があります。今の日本で過剰な栄養素と不足している
栄養素について、個別のデータで判断するのではなく、国民全体における確率論的な視点
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で、多くの国民のニーズに合った栄養素を優先して検討すべきだと思います。
○坂本座長
ありがとうございました。
どうぞ。
○飛田委員
高齢化が進む中で、生活習慣病が大きな問題としてあがってきておりますの
で、食習慣というのは、生活習慣病に即結びついてくる要因だと思っておりますので、そ
ういう意味では、生活習慣病の実態、それから、それを未然に防止するための情報提供と
して望ましいもの等、それから病院の中で栄養指導をされておられますけれども、そのよ
うな指導をされておられる方のご意見なども伺うとまたそういう問題点が明確になってく
るのではないかというふうな気もいたします。
○坂本座長
ありがとうございました。
○山田委員
私は、今、日本がやっている任意表示の成分をまず土台に考えて、それにプ
ラスアルファするか、マイナスアルファするかという方向で、進んだほうが具体的で現実
的だろうと考えています。コーデックスで現在議論している食塩については、日本では、
もし任意表示の中で表示するなら、食塩、あるいはナトリウムを入れるということを先進
的にやっていることです。国際的には新たに入れましょうということをどうしようかとい
うところです。日本のこれまでの栄養事情が戦後変わってきたことを加味してこれを入れ
てきた。
そういう流れをくみながら、もし任意表示のままでいく場合にはどういう対策をしたら
もっとベターな消費者への食品情報がわたるか、あるいは健康に寄与するかを中心に考慮
するべきでしょう。義務表示にするということであれば、私は分析業務をやっていました
ので、誰かがモニターしなければいけないと考えます。監視しなければいけない。それを
国全体として綿密に行わなければならない。東京都でも厳しい現状とのことです。これを
サポートする体制をきれいに予算化したり、人的あるいは消費者がわかるような、そうい
うものをはっきりと目標を立てておかないと、とても無理のような気がします。そういう
ことで、今やっていることを基本にそしてプラスマイナスを考えていくほうが現実的では
ないかと思っています。
○坂本座長
どうぞ。
○赤松委員
ありがとうございます。私も山田委員と同じような意見を持っているんです
けれども、私は3つ、考えなければいけないなと思っていて、1つはまず国の狙い、これ
はこの前も申し上げたとおり、何を目的としているかというところをはっきりさせるとい
うこと。例えば、飽和脂肪酸が日本で問題であれば、飽和脂肪酸を取り上げなければいけ
ない。もう1つは実施可能性を考えると、事業者のほうができると考える、今日は、塩谷
委員が見せてくださった8ページのものですと、熱量、たんぱく質、脂質などはやはりほ
とんどの事業者ができるというふうなことをお答えになっていると見せてくださったので、
実施可能性といった部分、もう1つはやはり消費者のニーズというところもとらえていか
なければいけないということで、今日の仲谷委員から10ページの資料にありましたとおり、
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消費者の方の聞き取り調査では、エネルギー、ナトリウム、脂質というようなものをニー
ズとして挙げているということと、あとどういった食品を期待しているかということでも、
お弁当、加工食品、飲食店のメニューというものを挙げているというあたりが参考になっ
てくるのではないかと思います。まずは、今ここで議論しているのは、国としての狙いと
いうところを整理していかないと進んでいかないかなと思います。
○徳留委員
多くの意見が出ているわけですけれども、栄養成分表示は何のためにするか
ということです。皆さんおっしゃるとおりで、国民の健康を増進する、生活習慣病を予防
する、あるいは食の安全、安心のために明記するというような目的があるんだと思います。
それで、山田委員がおっしゃったように、これまで任意ながらやっているもののミニマ
ムリクワイアメント言いますか、すなわちエネルギー、たんぱく、炭水化物、ファット、
それから特に高血圧等を考えたナトリウム、この5つです。義務化するのであれば、これ
をミニマムリクワイアメントとするのが私としては基本的なスタンスではないかと思いま
す。
それから、実測値なのか計算値なのかということなんですが、義務化した場合に、全て
実測値にすると、これは特に小企業の方が対応できない可能性がある。あるいは中企業の
方も対応できない可能性がある。そういう意味で、計算値で対応する余地も残しておく必
要があるのではないか。それは先ほど浜野委員がお話になったとおり、世界的にもあるい
は、欧米諸国でもその2つを取り入れているということです。
それから、小中企業の場合に、やはりこれは先ほども申し上げたことなんですけれども、
費用対便益をしっかり考える必要がありますので、義務化する場合はそこを押さえておく
必要があります。
それから、今のところプラスマイナス20%という制限があるんですけれども、義務化す
る場合には、これを再考する必要があると考えます。ただ、先ほど申し上げたように過剰
摂取するとまずいもの、あるいは欠乏するとまずいもの、そのことを勘案する必要がある
のではないかと思います。
また、ポーションサイズにするかパッケージにするか、100グラム単位にするかとか、
あるいは消費者のエデュケーションをどうするかとか、いろいろ問題があると思われます。
私の基本的な考えはそういうところです。
○坂本座長
こちらから、審議官からお話がございます。
○原審議官
今の制度での任意表示と今後義務化した場合ということですけれども、今の
制度で押さえておきたいのは、任意でも例えば表示を行って、基準に従っていなければ、
健康増進法上、違反で取締りの対象になる。任意で表示をしているものというのは、制度
上当然プラスマイナス20%以内に収まっていなければ、法律違反。そういう基準をそのま
ま義務化にした場合に、現行、任意で表示している商品は大丈夫かもしれませんけれども、
制度の問題で表示ができないものが無理に表示をしたときに問題になるという形だと思い
ますので、いろいろな成分等から見て、今、任意で必要なものを表示しているものが、さ
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らに表示してないものも強制的と言いますか実際に全て表示させるべきなのかどうなのか
というところが、多分、義務化を検討するにあたっての問題になってくると思います。
任意表示だったら緩くてもよくて、義務化になれば厳しくなるというような議論があり
ましたが、そういった問題ではなく、例えば、プラスマイナス20%というのをもう少し広
げるという形にするのかどうかというのは、任意であろうが、義務であろうが変わりませ
んので、これを再確認させていただければと思います。
○坂本座長
ありがとうございました。
ちょっと簡単にお願いいたします。
○迫委員
赤松委員がおっしゃられたことについて、1つだけ私のほうで追加をさせてい
ただければと思っております。
今、審議官もおっしゃったところですけれども、制度の実効性を確保していくという意
味合いで、私は実は健康増進法を所管して、都道府県でこの栄養表示の部分を担当してお
りました。東京都に今日ご発表いただいたんですが、各都道府県の実状といたしましては、
東京都のような検査体制を持っているところはほとんどないと言っていいと思います。実
際に、表示に関してものを見て、その表示が適正かどうかという部分での指導はする。そ
して、通報を行う。そして、先ほどの一般のようなものがあれば当然ながら個別の指導を
していくという状況になります。
その一方で、検査を伴わないで、データを伴わない指導というふうになってしまうと、
ここでの本当に正しいものかどうかというところではかなり不安があります。厚生労働省
の指示のもとに年に1回都道府県で収去し、その食品を国立健康・栄養研究所で検査をし
ていただいておりました。これが唯一全国的な制度管理のための仕組みというふうになっ
てございます。これを先ほど審議官がおっしゃった任意表示の中での表示義務であっても、
また義務表示に移行したとしても、どちらであってもここのモニタリング体制をもう少し
強化しない限り、この表示そのものの信頼度という意味で弱いのではないか。全国の衛生
検査機関、それからまたは国の健康・栄養研究所、こちらがきちんとした体制をとってい
ただく、それをもとにしながら全国の行政の栄養指導員が指導体制を組んでいくというと
ころができてきて、初めてどちらの制度であっても生きていくのではないかと思います。
以上です。
○坂本座長
簡単にお願いします。時間が押せ押せです。
○蒲生委員
義務化について、少しコメントさせてください。今日のお話を伺っています
と、義務化すると事業者、消費者にとってはコストや価格面でデメリットがあり、規制面
でも負荷がかかるということでした。このように、デメリットはとても具体的なものが出
てきたんですけれども、ベネフィットは医療費の削減に関しても、期待であるということ
で、デメリットと比較してメリットはとても見えづらいなというのが印象でございます。
そうだとすると、冒頭の清水先生のお話にありましたFood Consumer Scienceで、行動
変容を促す適切なマーカーについての報告が今年7月ぐらいに出るということですから、
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義務化ありきではなく、7月に出される報告なども参考にしながら、消費者の適切な食習
慣・行動を促すための目標を設定して、その効果を検証しながら段階的に進めていくやり
方のほうが妥当なのではないかと感じました。
○坂本座長
ありがとうございました。
議論は果てしなく続くようでございますが、まだ今日が最後ではありません。これから
まとめの段階に入って、さらにうまい具合に丸めていかなければいけないと思いますので、
今日の討議はこれだけにしておきまして、今後のスケジュールについて事務局よりお話し
してください。
○平中食品表示課長補佐
ご議論ありがとうございました。
資料7、今後のスケジュール案をご覧ください。この検討会におきましては、本日まで
3回にわたって、検討の論点として、各委員からの発表及び関係者からのヒアリングを中
心に論点の洗い出しをしていただきました。今後でございますけれども、次回、第5回、
第6回の2回を通じまして、論点の整理を行っていきたいと考えております。それを踏ま
えまして、第7回、第8回で報告書を取りまとめていくというスケジュールを考えており
ます。
次回でございますけれども、本日もたくさんご議論いただきましたけれども、もう一度、
この栄養成分表示というものがなぜ必要であるのかというところに舞い戻りまして、この
栄養成分表示の位置づけ、さらに表示が必要な栄養成分についての考え方というものをも
う一度ご議論いただければと思っております。
この際には、やはり国民の健康増進の観点からの必要性というものの議論は必ず出てく
ることになろうと思いますので、この検討会でも何度かご指摘がございました、我が国の
健康栄養政策でございます、食生活指針でありますとか、健康日本21というもののご紹介
もさせていただく予定にしております。
これらの施策は、厚生労働省が所管しておりますので、できれば厚生労働省の方にご出
席いただければと思っておりますけれども、今、厚生労働省は震災対応で奔走されている
ということなので、時間が合えばということで引き続きお願いしたいと思っております。
さらに、現在、佐々木委員、赤松委員にお忙しい中、お願いしております国民健康・栄
養調査の再分析につきましても、もし間に合うものがございましたら、何か提出していた
だければ大変参考にさせていただけると思っております。
栄養成分表示がなぜ必要であるのかということにつきまして、国民の健康増進の観点か
らの必要性についてさらに議論していただくほかに、何か必要性について考えるべきこと
があるのか。例えば、消費者の商品選択という観点からの必要性があるのかどうか。ある
いは今日もご議論がありましたけれども、現在の制度が任意であるということで、何か足
りない部分があるのかということも併せてご議論いただければと思います。
それからもう1つの大きな議論としまして、本日もたくさんご議論いただきましたけれ
ども、栄養成分表示というのが誰のためのものなのかというところについてももう少し詳
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しくご議論いただければと思います。これが国民全体にとってわかりやすい栄養成分表示
であるべきなのか、あるいはこのような表示を読み取る力を持っているような方をターゲ
ットにしていくべきか、健康についての意識の高い、健康や栄養の情報を必要とする方を
ターゲットにしていくべきなのかということについてもう少し議論をいただいて、この表
示のあり方というものを考えていければと思っております。
続きまして、第6回の5月30日では、これらの議論の続きをさせていただくとともに、
制度設計に向けた課題というものをもう少し議論していければと思っております。
本日、執行についていろいろご議論いただきましたけれども、効果的な執行のあり方、
あるいは表示の適用範囲、誤差などの考え方についても議論いただければと思っておりま
す。これらの論点整理を踏まえまして、報告書案の取りまとめに向けていきたいと考えて
いるところでございます。
以上です。
○坂本座長
ありがとうございました。
今の詳しいご説明で次回の第5回からの検討会がどういうふうに進むかということがよ
くおわかりいただけたと思います。
ただいまのご説明に何かご質問、あるいは追加はございますか。
○渡部委員
今日までで基本的に委員のほうからのヒアリングとして、いろいろな意見を
集約し、データも集められたと思います。しかし、実際に制度設計していく上で、やはり
実効性を担保しなければいけないと思います。私どもの取組を今日説明させていただきま
したが、実際にもう義務化されている国で、どういう形で実効性を確保しているのかとい
うのは、非常に興味がある問題です。そのようなデータが今までの議論の中ではちょっと
欠けている部分があると思います。義務化している国の状況を全て調べるというのは非常
に難しいかと思いますが、1つの国でも構いませんので、義務化しているものについては、
どういう形で制度を担保しているのかというのをわかる範囲でお示しいただいて、そうい
った形でまた検討を深めていければいいのかなと思います。これは要望になりますけれど
も、よろしくお願いいたします。
○坂本座長
大変大事なことだと思いますが、事務局でそれをお探しになれますか。それ
とも浜野さんにお願いするか、あるいは最初の、世界中でどういうふうにやっているかと
いう例をお出ししていただくか。日本では東京都だけしかないわけで、最高にやってらっ
しゃるということなんですけれども。
○浜野委員
私ども専門の研究者ではないので、難しいですが、事務局とちょっと調整の
上で、できる範囲内でご報告させていただければと思います。限られた国というか情報が
限られていまして、限られた形になると思いますが、何とかしたいと思います。
○坂本座長
よろしくお願いいたします。
それでは、本日は、大変長時間にわたり、貴重なご意見をたくさんいただきまして、あ
りがとうございました。
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次回の開催につきましては、事務局からの説明にありましたとおり、5月18日でよろし
ゅうございますね。同じくこの全国都市会館で開催を予定しておりますので、また万難を
排して、ご出席していただければありがたいと思います。
今日は、長い間、ありがとうございました。
午後4時25分
42
閉会
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