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日本フランス語教育学会員に向けて配布された参加 呼びかけ文
日本フランス語教育学会員に向けて配布された参加 呼びかけ文(2000 年) 【現代フランス研究会の呼びかけ】 SJDF学会員の皆さん 7月にパリで開かれたFIPF世界大会には日本から約50名が参 加し、発表も10数本の多くを数えました。しかし国内の春秋の大会 の発表申し込みはあまり多くありません。もちろん独協のジュルネ・ ペダゴジック、関西のランコントル、PEKAなどフランス語教授法 をめぐる研究交流は活発ですが、これらはいずれもSJDFが後援す るものの、学会の外のイニシアティヴで始められたものです。われわ れは学会の研究活動の一環としてフランスおよび仏語圏の文化社会研 究があって然るべきだと考えます。近い将来、学会内の研究会として 位置づけてもらうことを期待しつつ、とりあえず有志で勉強会を発足 させました。フランス語教育のために文化社会研究が必要と考えるの は、以下の理由によります。 1)フランスが文明大国で日本人にフランスへのあこがれが強く、だ まっていても学生がフランス語に集まってきた時代は終わった。われ われ教師もフランスというブランドにあぐらをかいてはおられず、教 師自身がフランス的価値を改めて問い直し、なぜフランス語学習に意 味があるかを説明する必要が出てきている。(フランス語教育のアカ ウンタビリティ=説明責任) 2)学生の文学離れが進み、移民問題や複合家族、ジェンダー、仏語 圏諸地域など社会や文化の問題がフランス語学習の新しい動機づけに なりつつある。(フランス語学習の新しい動機づけ) 3)日本では didactique を、フランス語を教える技術として狭く捉え る傾向があるが、didactique du FLE には本来 langue と civilisation の 両方が含まれる。civilisation には歴史地理だけでなく文学や思想も含ま れるが、進んだ文明への 「同化 assimilation」とは異なる interculturel の 問題が didactique の重要な課題になっている。(コンテントを伴った コミュニケーション能力) 4)90年代に進行した教養部の解体再編で、フランス語教師はフラ ンス語だけ教えていればいい時代ではなくなった。ここ数年の公募の 傾向をみても、フランス文化論、ヨーロッパ文化論、比較文化論、情 報コミュニケーション論など語学以外の教科も担当できる学際的で polyvalent な能力が求められている。(ダブル・メジャー化のための教 師の再訓練と養成) 5月に日仏学院で行ったE・トッドの『移民の運命』をめぐる小セ ミナー、10月の日仏会館シンポジウム「模索するフランス:国民・ 共和国・市民権」は一つのトライアルでした。11月18日には最初 の研究会を日仏会館で開きました。千葉大学助手の長谷川秀樹さんが 「コルシカの歴史・言語・政治」について密度の高い報告をし、活発 な討論が行われました。2回目は2月3日を予定しています。西山さ んのアリアンスフランセーズの起源、井形さんのサンパピエ、粕谷さ んのライ(ブールの音楽)、西尾さんのパリテ、井上さんの女性思想、 堀さんの反現代思想、澤田さんのマグレブ文学、立花さんのクレオー ル文学、辻村さんか糠塚さんの第五共和国憲法改正総ざらい、三浦の ケベックの言語法などテーマは目白押しです。 フランス語教育にかかわる方々を対象としますが、国際比較による 学際的アプローチを通してフランスを考えるため研究会は仏語仏文以 外の方々にも開かれたものにします。われわれの知的再訓練だけでは なく、新しいタイプの教師養成の場とするため院生の参加も歓迎しま す。仏語ネイティヴの同僚との協力、地方での研究会開催も検討して います。 研究会のメーリングリストにはこれまで30名以上が参加してい ます。参加ご希望の方は氏名・所属・メールアドレスを明記してカリ タスの山崎さんにお申し出ください。 呼びかけ人:堀茂樹・西山教行・三浦信孝