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第2 電気設備の基準
第2 電気設備の基準 電気設備は、危険物令第9条第1項第17号(他の規定において準用す る場合を含む。)の規定により「電気設備に関する技術基準を定める省 令」(昭和40年6月15日通商産業省令第61号)によるほか、次の基準に よるものとする。 1 防爆構造の適用範囲 電気設備を防爆構造としなければならない範囲は、次のとおりとする。 (1) 引火点が40度未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合 (2) 引火点が40度以上の危険物であっても、その可燃性液体の引火点以 上の状態で貯蔵し、又は取り扱う場合 (3) 可燃性微粉が著しく浮遊するおそれのある場合 2 危険場所の分類 (1) 0種場所 0種場所とは、持続して危険雰囲気を生成し、又は生成するおそれ のある場所で、爆発性ガスの濃度が連続的に、又は長時間持続して爆 発下限界以上となる場所をいう。 0種場所となりやすい場所を例示すれば、次のとおりである。 ア 引火性液体の容器又はタンク内の液面上部の空間部などのように、 通常、爆発性ガスの濃度が連続して爆発下限界以上となる場所 イ 可燃性ガスの容器、タンクなどの内部 ウ 開放された容器における引火性液体の液面付近又はこれに準ずる 場所。ただし、蒸気の濃度が爆発下限界以上に達する範囲が狭く、 これらの場所に電気設備を設置しないことが明らかな場合には、特 に0種場所として指定しなくてよい。 (2) 1種場所 1種場所とは、通常の状態において危険雰囲気を生成するおそれの ある場所で、次のような場所をいう。 ア 爆発性ガスが通常の状態において集積して危険な濃度となるおそ れのある場所 イ 修繕、保守又は漏えいなどのため、しばしば爆発性ガスが集積し て危険な濃度となるおそれのある場所 ウ 機械装置などの破壊又は作業工程における誤操作の結果、危険な 濃度の爆発性ガスを放出し、同時に電気機器にも故障を生ずるおそ れのある場所 1種場所となりやすい場合を例示すれば次のとおりである。 (ア) タンクローリー、ドラム缶などに引火性液体を充てんしてい る場合の開口部付近 (イ) レリーフバルブがときどき作動し、爆発性ガスを放出する開 口部の付近 (ウ) タンク類のガスベントの開口部付近 (エ) 点検修理作業で、爆発性ガスを放出する場合の開口部付近 (オ) 室内又は換気の妨げられる場所で、爆発性ガスが放出される おそれのある場所 (カ) フローティングルーフタンクのルーフ上のシェル内の部分 (キ) 爆発性ガスの漏出するおそれのある場所で、ピット類のよう にガスが集積する場所 (3) 2種場所 2種場所とは、特殊な状態において危険雰囲気を生成するおそれ のある場所で、次のような場所をいう。 ア 可燃性ガス又は引火性液体を常時取り扱っているが、それらは 密閉した容器又は設備内に封じられており、その容器又は設備が 事故のため破損した場合又は操作を誤った場合にのみそれらが漏 出して危険な濃度となるおそれがある場所 イ 確実な機械的換気装置により、爆発性ガスが集積しないように してあるが、換気装置に故障を生じた場合には、爆発性ガスが集 積して危険な濃度となるおそれのある場所 ウ 1種場所の周辺又は隣接する室内で、爆発性ガスが危険な濃度 でまれに侵入するおそれのある場所 2種場所となりやすい場合を例示すれば次のとおりである。 (ア) 可燃性ガス又は引火性液体の容器類が腐食劣化などにより破 損して、それらが漏出するおそれがある場所 (イ) 装置の運転員の誤操作により、可燃性ガス又は引火性液体を 漏出するおそれのある場合 (ウ) 強制換気装置の故障により、爆発性ガスが停滞して危険雰囲 気を生成するおそれのある場所 3 危険場所の範囲 (1) 屋内における危険場所の範囲 ア 屋内における危険場所の範囲は、次によるものであること。 (ア) 引火性危険物(前1、(1)及び(2)に掲げる危険物をいう。以 下同じ。)を建築物(当該危険物を取り扱っている部分が壁に よって区画されている場合は、当該区画された部分とする。以 下同じ。)内において取り扱う場合は、原則として当該屋内の 全域を危険場所とするものであること。 (イ) 引火性危険物を取り扱う開放設備で移動して使用するものに あっては、その移動範囲内のすべてに危険物があるものとみな すものであること。 (ウ) 屋内であっても実態上通風がよく有効に可燃性蒸気が排出さ れる場合にあっては、屋外における危険場所の範囲の例による ことができる。 イ 危険場所の範囲の例 (ア) 開放容器、詰替装置等の危険場所は、次の2図の例によるも のであること。 図4-2-1 図4-2-2 (イ) ポンプ室は、室内のすべてを2種場所として扱うものである こと。 (ウ) 屋内貯蔵所にあっては、次の図の例によるものであること。 図4-2-4 屋内貯蔵所の例 (エ) 屋内タンク貯蔵所のタンク専用室については、前(エ)の例に よるものであること。 (オ) 販売取扱所の配合室については、室内の部分は2種場所とす るものであること。 (2) 屋外における危険場所の範囲 ア 屋外における危険場所の範囲は、次によるものであること。 (ア) 移動性のある設備については、前(1)、ア、(イ)の例によるも のであること。 (イ) 屋外であっても、周囲の状況から実態上通風が悪く可燃性蒸 気が滞留するおそれがある場合は、前(1)の屋内における危険 場所の例によるものであること。 イ 危険場所の範囲の例 (ア) 開放容器、詰替装置等による危険場所は、次の2図の例によ るものであること。 例1 例2 図4-2-5 開放容器の例 図4-2-6 詰替装置の例 例1 例2 (イ) 屋外貯蔵タンクの危険場所は、次の図の例によるものであること。 例1 コーンルーフタンクの例 例2 フローティングルーフタンクの例 図4-2-7 屋外貯蔵タンクの例 (ウ) 地下貯蔵タンクの危険場所は、次の図の例によるものであること。 図4-2-8 計量口の例 (エ) 貯蔵タンクの遠方注入ロの危険場所は、次の図の例によるも のであること。 図4-2-9 遠方注入口の例 (オ) 通気管の危険場所は、次の図の例によるものであること。 図4-2-10 通気管の例 (カ) 簡易貯蔵タンクの危険場所は、次の図の例によるものであること。 図4-2-11 簡易貯蔵タンクの例 (キ) 給油取扱所における危険場所は、次の3図の例によるもので あること。 例1 地上式固定給油設備の例 例2 懸垂式固定給油設備の例 図4-2-12 固定給油設備の例 図4-2-13 混合燃料油調合器の例 図4-2-4 リフト室の例 なお、給油取扱所に設置した地下タンクについては前(ウ)、(エ) 及び(オ)を、簡易タンクについては(カ)を準用し、懸垂式固定給油 設備のポンプ室については、室内をすべて2種場所とすること。 4 使用する電気設備 危険場所の種別に応じ、次に定める構造の電気機器を用いるものと する。 (1) 0種場所においては、本質安全防爆構造のものを使用すること。 (2) 1種場所においては、本質安全防爆構造、耐圧防爆構造、又は内 圧防爆構造、若しくはこれらと同等以上の防爆性能を有するものを 使用すること。 (3) 2種場所においては、本質安全防爆構造、耐圧防爆構造、内圧防 爆構造、油入防爆構造又は安全増防爆構造、若しくはこれらと同等 以上の防爆性能を有するものを使用すること。 表4-2-1 主要低圧電気機器の防漠構造の選定例 5 電気機械器具の防爆構造の表示 防爆構造の電気機械器具には、当該機器の本体の見やすい位置に、防 爆構造の種類、対象とする引火性危険物の蒸気の爆発等級及び発火度が 次の表の記号によって示されているものであること。 表4-2-2 防爆構造の表示 区 防爆構造の種類 爆 発 等 級 分 記 耐圧防爆構造 d 油入防爆構造 o 内圧防爆構造 f 安全増防爆構造 e 本質安全防爆構造 i 特殊防爆構造 s 爆発等級1(0.6mmを超えるもの) 1 爆発等級2(0.4mmを超えO.6mm以下) 2 号 3a 爆発等級3(0.4㎜以下) 3b 3c 3n 発 火 発火度G1(450℃を超えるもの) G1 発火度G2(300℃を超え450℃以下) G2 度 発火度G3(200℃を超え350℃以下) G3 発火度G4(135℃を超え200℃以下) G4 発火度G5(100℃を超え135℃以下) G5 注)1.爆発等級におけるかっこ内の数字は、スキの奥行25㎜に対して火 炎逸走の生ずるスキの値を示す。 2.爆発等級3において、3aに水性ガス及び水素を、3bは二硫化 炭素を、3cはアセチレンを対象とし、3nはすべてのガスを対 象とすることを示す。 3.発火度におけるかっこ内の数字は、発火点の範囲を示す。 4.2種類以上の防爆構造の組み合わされた電気機械器具は、各防爆 構造の記号をそれぞれ表示する。ただし、取り扱い上の安全を保 証しうる場合には、主体部分の防爆構造の記号のみが表示される ことがある。 表4-2-3 発火度 G1 爆発等 爆発性ガスの分類例 G2 G3 G4 G5 ア セ ト ン エタノール ガ ソ リ ン アセトアルテヒド アンモニア 酢酸イソアミル ヘ キ サ ン エチルエーテル 一酸化炭素 1-プタノール エ タ ン ブ タ ン 酢 1 酸 無水酢酸 酢酸エチル トルエン プロパン ベンゼン メタノール メ タ ン 2 3 石炭ガス エチレン エチレンオキシド 水性ガス 水 素 表4-2-4 内 二硫化炭素 アセチレン 容 防爆構造等の表示例 設 明 爆発等級(1)、発火度(G4)の爆発性ガス(例えば、エチルエ ーテル)に対する耐圧防爆構造の機器 爆発等級(1)、発火度(G1)の爆発性ガス(例えば、メタノー ル)に対する安全増防爆構造の機器 記 号 d1G4 eG1 爆発等級(1)、発火度(G1)の爆発性ガス(例えば、ベンゼン) に対する耐圧防爆構造のスリップリングを有する安全増防爆構造 ed1G1 の誘導電動機 6 配線工事 (1) 危険場所における配線工事は、次によること。 ア 配線工事は、金属管工事又はケーブル工事(CDケーブル及びキ ャブタイヤケーブルを使用するものを除く。 )によること。 イ 金属管工事は、次によること。 (ア) 金属管は、薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度を有するもの を使用し、埋設又は著しく腐食するおそれのある場所に設置する ものについては、厚鋼電線管を使用すること。 (イ) 管相互及び管とボックスその他の付属品、プルボックス又は電 気機械器具とは、5山以上ねじ合わせて接続する方法、その他こ れと同等以上の効力のある方法により堅ろうに接続すること。 (ウ) 電動機に接続する部分で可とう性を必要とする部分の配線には 耐圧防爆型又は安全増防爆型のフレキシブルフィッチングを使用 すること。 ウ ケーブル工事は、次によること。 (ア) 電線は、がい装を有するケーブル又はMIケーブルを使用する 場合を除き、管その他の防護装置に納めること。 (イ) 電線を電気機械器具に引き込むときは、引込口で電線が損傷す るおそれがないようにすること。 エ 配線等を納める管又はダクトは、これらを通じてガス等が危険場 所以外の場所に漏れないようにすること。、 オ 移動電線は、接続点のない3種キャブタイヤケーブル、3種クロ ロプレンキャブタイヤケーブル、4種キャブタイヤケーブル又は4 種クロロプレンキャブタイヤケーブルを使用すること。 カ 電線と電気機械器具とは、振動によりゆるまないように堅ろうに、 かつ、電気的に完全に接続すること。 キ 白熱電灯及び放電灯用電灯器具は、造営材に直接堅ろうに取り付 け、又は電灯つり管、電灯腕管等により造営材に堅ろうに取り付け ること。 ク 電動機は、過電流が生じたとき爆燃性蒸気等に引火するおそれが ないように設置すること。 図4-2-15 外部導線の接続箱への引込方法 図4-2-16 電線管ネジ結合式 図4-2-17 図4-2-18 耐圧パッキン式 耐圧固着式 図4-2-19 シーリングフィッチングの施設例 図4-2-20 電動機の例 (2)危険場所以外の場所の配線工事は、前記(1)イ(ア)及びウ(ア)並び にカ及びキによるほか、次によること。 ア 配線工事は、合成樹脂管、金属管工事又はケーブル工事(CD ケーブルを使用するものを除く。)によること。 イ 合成樹脂管及びボックスその他の付属品は、損傷を受けるおそ れがないようにすること。 ウ 移動電線は、1種キャブタイヤケーブル以外の接続点のないキ ャブタイヤケーブルを使用し、かつ、損傷を受けるおそれがない ように設置するほか、移動電線を電気機械器具に引き込むときは、 引込口で損傷を受けるおそれがないようにすること。 エ 通常の使用状態において火花若しくはアークを発生し、又は温 度が著しく上昇するおそれがある電気機械器具は、危険物に着火 するおそれがないように設置すること。