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1.植物工場・アグリビジネスのニュース/最近の動向

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1.植物工場・アグリビジネスのニュース/最近の動向
イノプレックス(Innoplex)ニュースレターNO1.
1.植物工場・アグリビジネスのニュース/最近の動向
完全閉鎖型による医薬分野の研究開発/30社以上が販路・流通面での提携を検討
最近は、植物工場を利用した医薬・漢方に関する研究開発も進んでい
ます。例えば先日、遺伝子組換えジャガイモの水耕栽培を利用して、
経口投与型インフルエンザワクチンを開発したニュースがありました。
他にも、歯周病を予防する動物薬用のインターフェロン入りイチゴの研
究開発も進んでいます。
完全閉鎖・人工光型の植物工場では、太陽光利用型と異なり、施設内
の栽培環境を完全にコントロールすることができます。温度や湿度、
CO2 濃度といった環境だけでなく、採算性を考えなければ、特定波長
の LED や蛍光灯・高圧ナトリウムランプなどを利用しながら、光の量
や質も自由に調節することも可能です。確かに、生産コストは莫大に
かかるものの、医薬分野であれば、こうした高コスト分を付加しても販
売可能な価格帯になる可能性もあります。
ただし、インターフェロン入りイチゴの場合は動物用として、今年中に
でも医薬品としての承認申請準備に入っているようですが、その他の
テーマについては、まだまだ実用化段階には至っておりません。
<関連ニュース>
 植物工場による遺伝子組換えジャガイモの水耕栽培に成功、経口投与型インフルエンザワクチンを開発<北里研
究所/産総研(北海道)>
 動物薬用・歯周病を対象にしたインターフェロン入りイチゴを植物工場内で生産。治験データを収集し年内に医薬
品として申請予定
独立行政法人産業技術総合研究所(中国センター)でも、完全閉鎖型によるジャガイモの水耕栽培技術を実験的に行
っており、簡単な研究データが公表されていますので、参考までに記事をご紹介しておきます。

ジャガイモの水耕栽培・植物工場の実験データ。連作が可能で10倍の収量も
本ニュースレターは、2011年3月9日時点における公開情報をもとに作成されたレポートです。その後の経過によっては情報が変更されている
場合もあります。本ニュースレターを利用することで発生したトラブルや損害に関して、当法人は一切の責任を負いません。
ⓒNPO法人イノプレックス
また、栽培技術が優れており、良い商品を生産しても、販路が開拓できなければビジネスとして成功しません。上場企
業のような知名度が高く、全国的な営業所やネットワークを保持している企業であれば別ですが、植物工場(水耕栽
培)の新規参入の多くが中小・ベンチャー企業です。
例えば、高い価格で販売できそうな小売分野(百貨店や高級スーパー)に営業をかけても、既に2~3社の他社製品
(工場野菜、水耕野菜)が採用されているケースも多く、外食分野の要求量に対応できるほどの大規模な生産施設が
ないケースも多いかと思います。植物工場や水耕栽培にチャレンジする中小・ベンチャー企業にとって、一番の問題は
販路です。
そこで、こうした課題を解決するために、植物工場企業を中心に30社程が流通・販売面で連携しようとするニュース
(野菜BANKの設立)がありました。今年の4月から本格的に活動を開始するようですが、もしかすると、植物工場ビジ
ネスの流通・マーケティング部分が大きく変革する可能性もあるかもしれません。ちなみに、事務局・コーディネート役
は法律事務所MIRAIOが担当しています。既に、同社では国内の農業技術を海外(主に中国など)に売り込むマッチン
グ・交渉事業を開始しています。詳細は以下の記事をご覧下さい。

植物工場企業を中心に30社程が流通・販売面で連携。農協など既存流通チャンネルとは異なる新たな販売ネッ
トワークを構築(野菜BANK)
2.その他のニュース記事

アリゾナ州立大学のキャンパス内で、タワー型水耕栽培ファームを建設予定。周辺の地域
経済・コミュニティ確立のために貢献
アリゾナ州立大学やアリゾナ大学は、植物工場や環境制御型農業分野の研究が進んでいます。

コンピュータ技術を導入したトマトの大規模生産施設「田園倶楽部奥出雲」が倒産を申請
最近は国内でも、大規模な生産施設の倒産が目立ちます。

中東・北アフリカ地域の情勢不安を改善するため、都市部の伝統住宅にて屋上菜園・都市
型農業アイデア
現在の中東地域では屋上菜園・家庭菜園をする習慣がありません。ただし、一部のNPO団体で
は、家に閉じこもりがちな女性に対して家庭菜園の指導を行い、都市型農業を普及させようとす
る活動も行っています。

産業用ガス事業の停滞。新たな収益源として農業事業に乗り出す(カゴメからトマト・エスビ
ーからリーフレタスの栽培委託):エア・ウォーター

都市型キノコ栽培(Urban Mushroom Farm)にチャレンジするカリフォルニアのベンチャー
(BTTR Ventures)
都市型農業では野菜や果物だけではありません。キノコ栽培によって都市部の自給率向上・環
ⓒNPO法人イノプレックス
2
境保全への貢献を行っているソーシャルベンチャーです。

特定波長の LED 光源(植物工場)にて、葉野菜だけでなく果実や穀物の栽培実験を行うオラ
ンダの PlantLab 社
オランダは太陽光利用型の大規模な施設栽培だけではなく、完全閉鎖・人工光型の植物工場に
関連した研究開発を行う企業もいくつかあります。将来的には、太陽光を利用しながら、補光用と
して野菜・果物の機能性を高めるための栽培技術として期待されています。

シンガポール政府と企業が連携して多段式・植物工場(試作品)の開発・設置に成功。自給
率や水資源の節約のために大きな期待
シンガポール政府も、ハイテク技術(バイオ関連や半導体・照明関連)を農業分野へ応用しながら、
食料自給や水生産量の大幅削減に力をいれています。既に、大きな研究開発資金が投入されて
います。

福祉型農業ビジネスを展開するセンコー/鳥取の次は山口でも廃校利用した水耕・植物工
場を操業予定
障害者・高齢者の雇用を進める社会福祉型農業です。センコースクールファームが山口にも開設
予定

ボックス式・水耕栽培による無農薬ワサビ生産に取組む農事組合法人「多良岳」
高付加価値商品をターゲットにするなら、葉野菜よりワサビの生産も有力だと思います。

サーバーによる廃熱を利用したハウス栽培(今後も増加が予想されるデータセンターと農業
との融合ビジネス)
サーバーから発生する熱を利用した農業。都会でもオフィスや商業施設の屋上でハウス栽培がで
きるかもしれません。熱やCO2を多く排出する工場でも同様ですが。町の製造業と農家が連携し
て、本当に工場で栽培した野菜を生産することも可能だと思います。

窓にミニチュア版・温室ハウスを設置。シンプルに野菜が栽培できる都市型農業(アーバンフ
ァーム)
アイデア商品です。デザイン性にも優れています。
ⓒNPO法人イノプレックス
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The Windowfarms Project
WEBを利用したクラウドソーシングを活用
参加者を巻き込み、世界中の人々が研究開発に参加
都市部住民にとって家庭菜園は続かない。無料のWEBサービスを利用して、同じ目的のファンが集まるコミ
ュニティをつくる。ライフスタイルに合わせたサービス、ゲーム感覚も一つのアイデア
日本国内でも家庭菜園や市民農園が人気の中、海外(特に、米国を中心に)では「都市型農業(アーバンファーム)」に
力を入れる企業や団体が増えています。国内でも家庭菜園や市民農園にチャレンジする人の多くは、都市部住民です。
そもそも地方の人々の場合、家族や親戚が農業従事者であるケースも多く、休みになれば手伝う機会もあるのではな
いでしょうか。こうした農作業を手伝う機会がなくとも、周辺地域には田んぼ・畑があるのが当たり前の光景です。
こうした地方の人々とは対照に、普段の生活の中で自然に接する機会が尐ないのが都市部住民です。尐し時間があ
るから家庭菜園でも始めようとすると、急に仕事が忙しくなり、水やりや手入れができずに植物を枯らしてしまう人々も
多いのではないでしょうか。
フマキラーの調査でも、家庭菜園を始めて1年以内で中断する人は4割にも達する、といった結果が出ていることから
も、都市部住民にとって家庭菜園を継続的に実施することは非常に難しいことが分かります。また、もう尐し本格的な
市民農園・貸農園となると、競争率の高い自治体が運営する農園は予約待ちの場合が多く(1区画:約15㎡、年間で
数千円~1万円程で借りることができます)、恵比寿や銀座といったアクセスの良い屋上菜園は月に1万円(ただし、忙
しい場合には水やり等の作業委託も可能)近くもかかってしまい、こちらもハードルが高そうです。
都市部住民にとって、家庭菜園が継続できない理由をいくつかピックアップしてみました。
1.ちょっとした疑問点の場合、専門家には質問しにくい(特に日本人は遠慮してしまう人が多い)
2.自分が栽培した植物を自慢できる場所がない・悩みを共有できない
3.失敗することも多い(栽培に関する情報不足・手入れする時間がない)
4.都市部のアパート・マンションではベランダや栽培スペースがない
特に1~2は、ブログを通じて栽培日記に関する情報発信を行い、閲覧者にコメントを求めることもできますが、なかな
かコメントをもらうことは難しいでしょう。また、Facebook といったSNS内のファンページ(コミュニティサイト)に加入する、
もしくは開設するという手段があります。こうした無料ツールを利用することで、同じ目的や悩みを抱えた仲間を世界中
から集めることができ、情報交換も活発に行うことができるかもしれません。
ⓒNPO法人イノプレックス
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無料ツールを利用せずに、国内外で独自にアグリSNSを開設する企業もありますが、現在の所、成功している企業は
ありません。日本でも失敗したケースはたくさんあります(企業内の新規プロジェクトとして挑戦したが失敗、倒産した企
業もあり)。もちろん将来的には成功する企業も現れるのでは?と密かに思ってはいますが、今のところは知名度の高
い Facebook、twitter 等を利用するのが良いかと思います(もちろん、こうしたSNSでも、企業向けに利用すれば費用
がかかるサービスもあります)。
タイミング的に今が好機だとは思いませんが、将来的には、「農業におけるリアルとバーチャルの融合」に関するサー
ビスには期待を寄せています。イメージしやすいのが、レンタルファームにカメラを設置して、借主がPC・携帯にて、い
つでもどこでも植物(農作物)の様子が確認でき、メールを送れば、水やり・収穫する時期などを指示できる、といったサ
ービスです。既に日本でも、レンタルファームを運営する「マイファーム」と「NECビックローブ」が実験的に行っており、
実は海外でも同様のサービスを提供する企業があります(海外事例は別の機会にでも)。
私共が考えているのは、もう尐しゲーム感覚で農業ができるサービスです。この辺も既に iPhone などを中心に沢山の
アプリが提供されていますが、もう尐しリアルに栽培しながら、バーチャル世界につながる面白い商品・サービスの開
発に期待を寄せています。参考までに、実験的な製品ですが、ヒントになりそうな商品をご紹介したいと思います。
 Click & Grow
水耕システム本体とPCをUSBケーブルでつなぐことができる商品。養液・水量を内蔵センサーにより把握し、自動調
節してくれる。栽培する作物によって最適な栽培環境を実現するために、各作物の栽培プログラムをWEB上よりダウ
ンロードすることができる。<詳細記事はこちら>
 Botanicalls
写真のようなボードに土壌湿度センサーが内蔵されており、その湿
度レベルによって水が足りない場合は、ツイッターや電話で知らせて
くれるという商品。このようにセンサーが内蔵して、設定した範囲の
値を超えると、「水が足りない」だの、「この時間帯はもう尐し光をく
れ」だの、外出していても自分の携帯にメールが送られてきます。
この他、ツイッターでつぶやいてくれる商品もあり、いくつか販売され
ています。また機会があれば、国内外で販売されている商品リストを
整理してみたい、と思います。
ⓒNPO法人イノプレックス
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この他、あくまで個人的な希望ですが、植物工場や施設栽培の経営者になるビジネス・シミュレーションゲームも開発
して欲しいです(こんな商品開発に政府などの予算はつかないかもしれませんが・・・)。例えば、外部の気候と内部の
栽培環境データを見ながら、各作物・品種にあった温度・湿度、水、光量・CO2濃度といった数値を管理し、いかに付
加価値の高い農作物を国内外に販売していくか、といったゲームです。
ゲーム上で稼いだ金額は、契約農家から現物の野菜・果物が購入できる、といったアイデアも良いかと思います。
個人的には「ザ・コンビニ」という、コンビニチェーンのオーナーという立場で、かなり
細かい所まで経営を行っていくゲームが好きだったので、同じようなシリーズとして
販売できないかと、勝手に思ってしまいました。
※ 補足
日本でもアイティプランツ社が、PC と水耕栽培システムをつなげる卓上型水耕シス
テムを開発・販売しておりますので(左写真)、興味がありましたら、詳細記事をご
覧ください。
The Windowfarms Project について
米国において、商業稼働する植物工場や水耕栽培、さらには都市
型農業を普及させるNPO団体の多くが、ニューヨーク州に集中して
います(他にはシカゴ、カナダのバンクーバーあたりにも多いです)。
雪が積もる冬の時期でも空き工場を利用して年間、安定的に収穫
が可能であり、収益性の高いビジネスが展開できる、といった利点
を多くの企業が前面にアピールしています。
また、どの企業も「都市型農業(アーバンファーム)」の必要性も訴
えています。この点は日本の植物工場企業とは、尐し異なる点かも
しれません。植物工場を展開する日本企業のWEBサイトに、都市
型農業(アーバンファーム)という言葉が掲載されているケースは
尐なく、生産は行っていませんが「パソナのWEBサイト」に記載さ
れている程度です。こうした違いは、日米における消費者の考え
方・価値観・優先順位の違いなどにも原因があるのかもしれません。
さて、米国の数ある事例の中で、今回は省スペースでも栽培できる
家庭向け水耕システムの普及を行っている「WindowFarms」とい
うプロジェクトを紹介したい、と思います。WindowFarmsとは、写
真のようにペットボトルを利用した、お洒落な水耕栽培を提案して
いるNPO団体です。
メンバーは、デザイナーや水耕システムに関する知識があるエンジ
ニア、WEB管理が行えるプログラマーなどが共同で運営しており、本プロジェクトの設立者である、Britta Riley 氏(ア
ⓒNPO法人イノプレックス
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ーティスト)も、自身で家庭菜園に興味があったのだが、ニューヨークのブルックリンにある5階建のアパートではテラス
やベランダもなく、窓辺の限られたスペースでは栽培ができずに家庭菜園を諦めていた一人でした。しかし、縦に重ね
合わせることで省スペースでも設置でき、誰でも簡単に栽培できる水耕栽培システムを発案し、他のメンバーと一緒に
商品を作り上げていったようです。
現在、栽培可能な品種は32種類ほど、果実類はイチゴくらいで、基本的には葉野菜・ハーブ類が中心です。本プロジ
ェクトの素晴らしさは以下の2点だと考えられます。
1.WEBを利用したクラウドソーシング
クラウドソーシングとは、低賃金や無償で参加してくれる不特定多数を集め、開発作業を委託することです。今回は
WEB サイトを通じて世界中から無償で参加者が集まっています。本プロジェクトに賛同し、自分も水耕栽培による家庭
菜園にチャレンジしたい、と思った人なら誰でも参加者になれます。狭いスペースしかない都市部で、お洒落かつ機能
的に栽培する方法について、素人によるアイデアレベルのものから、エンジニアやデザイナーからの本格的な試作品
やデザイン案などが世界中から集まることになります。
Windowfarms では、ハイテクな技術は必要ありません。し
かし、ちょっとした工夫で、今までの生活が一変するような
アイデア・デザインを求め続けています。参加者は基本的
な水耕栽培セットを購入して(最低でもセットになると1万円
はします)、あとは設置方法やデザイン・形など、それぞれ
の窓・スペースに合わせて組立てます。
基本的には窓からの太陽光を利用した栽培方法ですが、
蛍光灯・LEDといった人工光を付けることもでき、各自が自
由にカスタマイズすることができます。
組立方法や栽培方法に疑問があれば、WEBサイトへアク
セスし、過去にも同じような質問が無かったことを確認し、
質問を投稿することができます。また、自分が実験的に試
してみたアイデアについて、参加者全員でディスカッション
することもできます。
このようにして、参加者自身で水耕システムを作り上げ
(DIY, Do it yourself)、より良いアイデアを試し、研究開発
する(R&D)。こうした取り組みを同社では、「R&D-I-Y
process」と名付けております。
ⓒNPO法人イノプレックス
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このように参加者自身が質問・回答・情報検索が行えるように、同プロジェクトではWEB上のプラットフォーム・サービ
スを提供しています。たとえ、プロジェクトメンバーが尐なくても、参加者が利用しやすいWEBサービスを提供してあげ
れば、あとは世界中の人々からアイデアやデザイン、栽培状況に関するデータやノウハウが集まることになります。
ただし、世界中の人々を自発的に参加させるためには、利用しやすいWEBシステムだけでは不十分です。
世界中の人々が、プロジェクトの理念に賛同するだけでなく、「自分でもやってみ
たい、面白そう、さらに社会貢献にもつながる」といった理由があってこそ成功す
るものだと思います。いくら理念が崇高でも、プロジェクトがつまらない場合は深く
共感した、ごく一部の人しか参加してくれません。
そういった点では、都市部の人口増加や自給率低下、環境汚染といった問題を
解決するツールとして、お洒落な多段式水耕システムで栽培する、といったアイ
デアは魅力的で斬新なものであると、参加者も評価したからこそ、世界中の人々
がプロジェクトに参加しているのだと思います。
本プロジェクトは開始して、まだ2年程度ではあるものの、参加者からのアイデア
や試作品をもとに、既に12以上の商品を作り出しています。また世界中の約18
000人もの人々がメンバーとして参加し、参加者から寄せられた、質問や回答と
いった情報がアーカイブ化されています。
2.プロジェクトを通じての社会的インパクト
本プロジェクトにおける、もう一つの素晴らしい点は社会的インパクトです。ここでは都市型農業(アーバンファーム)に
関する詳細は省略しますが、2050年には90億人以上にも膨れ上がる世界人口と、その70%が都市部に集中する
と予測されており、都市部でも新鮮な食料が安く入手できない恐れがあります。また遠方から食料を輸送してくることで、
そのCO2排出量は莫大なものです。こうした諸問題を解決するために、都市型農業は有効な手段の一つである、とい
った理由から都市型農業の必要性を訴えています。さらに、今回のプロジェクトでは以下のような社会貢献も果たして
います。

ペットボトルはリサイクルされたものを使用、回収にはNPO(NGO)と提携
リサイクルボトルを利用することで環境保全に貢献できるだけでなく、こうしたボト
ル回収は身体障害者や高齢者などを雇用している NPO によって行われていま
す。その他にも、環境・社会福祉・教育事業に取り組む NPO と協業することで、
事業を通じて大きな社会的なインパクトを生みだそう、と様々な取組みを開始して
います。
例えば、学校や教育関連NPOと連携し、ペットボトルを利用した科学教室を展開。
サイエンスや食育・栄養学、環境学などを学ぶことができるプログラムを実施する、
といったプロジェクトも、その一つです。
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本プロジェクトの主な収入源は寄付と、自分たちや参加者が一緒に
考え出した水耕システム商品の販売です。また最近では、都市部を
中心としたアパート・マンション、オフィス、学校の窓辺といった様々
なところに設置依頼があり、こうしたアーバンファームのプロデュース
料も将来的には大きな収入源になりそうです。
期間限定ではあったものの、カフェ・レストランやホテルのロビーへ展
示した際には、お客様からの評判も良く、メディアからも注目を集め
たようです。この他、季節限定のイルミネーションとしても利用でき、
例えば、窓辺に設置した Windowfarms にクリスマスツリー用にデコレ
ーションすることもできるでしょう。日本であれば、七夕シーズンに、
ペットボトル一つ一つにラベルをつけ、子供たちの願いごとを貼り付けることもできるのではないでしょうか。
このように米国で展開するWindowfarmsは、今後も大きな展開や様々な機関とのコラボレーションが考えられます。
日本でも植物工場(水耕栽培)関連の企業とともに、デザイン会社や芸術大学、NPOなどが連携し、同じようなサイエ
ンスアート・プロジェクトが展開できれば、と考えております。そういった点でも Windowfarms は大変、参考になる事例で
はないでしょうか。
以上
(記事作成日:2011年3月9日)
ⓒNPO法人イノプレックス
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