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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2011 年度)
JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2011 年度) 口頭発表・展示発表(展示発表-「学生部長賞」授賞) 研究テーマ ハーブ園プロジェクト 2011 成分からデザインするハーブティー ゼミ名 レモン系ハーブを中心として ハーブ園プロジェクト 小松徹(3 年,リーダー),小林恵梨(3 年),安田菜摘子(3 年),米 山翔(3 年),宇都孝昭(3 年,サブリーダー),木島彩那(2 年) ,松 参加者(学年) 戸彩音(2 年,サブリーダー),野間裕記子(2 年),梅澤昇寿(2 年), 石井秀典(2 年) ,比留間望(2 年) ,荒井美幸(1 年),小杉愛子(1 年),栗山晴那(1 年) 指導教員(研究室) 奥山恵美(生薬学研究室),渡邊大輔(教育支援センター) 研究概要 ハーブ園プロジェクトでは,自然豊かな地域にある城西国際大学の地域特性を活かした ハーブや有用植物の育成を行い,素材を通して共同で作り上げる喜びと創造性を体得する 一方,関連する科学情報検索や化学実験等による研究活動を行っている。このような幅広 い「学び」をオリジナルプロダクト制作へと結びつけることで,地域との交流を図りなが ら地域貢献へと繋がるようなゼミ活動を目指している。 本年度「ハーブ園プロジェクト 2011」では,まず,これまで造園したハーブテラス(薬 学 K 棟2F 外)並びにハーブガーデン(薬学 K 棟裏)の継続整備を実施し,また,次年度 へ向けての植栽計画を検討した。 収穫したハーブを中心に検討した結果,ハーブティーの苦手な人もレモン系のハーブな ら飲みやすいのではないかと考えて,本年度の JIU 学会研究テーマをレモン系ハーブを中 心に行うことにした。水田記念図書館の配架図書等の検索により,レモン系ハーブとして レモンバーベナ,レモンバーム,レモングラス,レモンミント,レモンタイムなどを見い だしたが,特に前者3種のハーブを研究対象として選定した。SciFinder や PubMed 等のデ ータベース検索,並びにそれらを基に入手した一次文献により,学名,科名,原産地,使 用部位,利用方法(伝統的利用方法と現在の一般的利用方法),精油成分並びにその他の 成分,薬理作用などをまとめて報告した。また,レモンの香りに関連して,それぞれの精 油成分とレモン自身の精油成分との比較を行った。その結果,レモン精油の主成分は limonene,α-terpineol,β-myrcene であるが,レモンバーベナはこれらの成分のうち limonene を主成分とし,レモングラスは β-myrcene を共通に含む。しかし,レモンバーム の精油中には共通な主成分は含まれないことがわかった。このような成分の差異で,レモ ンバーベナとレモングラスが,レモンバームよりレモンの香りに近いと感じさせる理由が あると思われた。これらの香り成分と薬理作用(鎮静作用)を考慮し,リラックス効果の あるハーブティー・ブレンド(レモンバーベナ3,レモングラス3,カモミール4)を試 作した。味や香りに関しても飲みやすいオリジナルブレンドができたものと思われる。 展示発表としては,薬理作用として鎮静作用が報告されているハーブを中心に発表し, 「ハーブのたまご」などのハーブ製品展示を行った。また,今回作成したブレンドを含め て種々のハーブティーの試飲や,昨年も好評頂いた「ハーブサシェ」作りを提供した。 このような活動結果を評価して頂き,「学生部長賞」を授与された。ゼミメンバー一同, 多いに盛り上がり,益々の活動を期している。 JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2011 年度) 最優秀賞(発表の部)受賞研究 「小学生保護者への情報提供が食行動に及ぼす影響」 研究テーマ ゼミ名 参加者(学年) 食育ゼミ 武藤美希(3), 荒井有美(4), 藍野芙季子(4), 御牧真代(4) , 木村友彦(4), 種市諒崇(4) 指導教員(講座) 酒井健介(臨床栄養学研究室) 研究概要 【目的】東金市では健康増進施策として「とうがね健康プラン 21」を実施している。子ど もの健康的な食生活の実現に向けた取組みの一環として地域の小学生児童の保護者を対象 とした食事や栄養に関する情報提供を行い、食に関する意識や行動への影響を検討した。 【方法】東金市内の T 小学校に在籍する 4~6 年生児童 185 名の保護者を対象に、食生活に 関するアンケート調査を実施した。調査票には「今後、健康的な食生活に関する情報が必 要ですか」との設問が含まれ、 「はい」と回答した 85 名を介入群、 「いいえ」と回答した 43 名を対照群とした(57 名 30.8%が無回答) 。介入群にはその後 6 ヶ月間、月に 2 回の頻度で 健康的な食生活に関する情報レターを提供した。情報レターの構成は、一般的な栄養に関 する情報や気付きを促すセルフチェックシート、家庭で行える食事豆知識、東金山武地区 の特産品を利用した料理やお弁当を掲載した。介入効果は、介入開始前後にアンケート調 査を用いて実施した。調査項目は、健康的な食生活に関する変容段階尺度、社会的支援尺 度、自己効力感尺度、行動的スキル(自己管理)尺度、食品利用環境に関する尺度、親子 紐帯性尺度を用いた。データの処理は離散変数については各群でχ2 乗検定を行い、連続変 数については反復二元配置分散分析を行った。群間の比較は t-検定で行い、いずれも有意 水準は 5%未満とした。 【結果】健康的な食生活に関する行動変容段は、両群とも介入前後で有意な変化は確認さ れなかったが、変容段階後期ステージ(実行期・維持期)の割合が介入群で対照群に比較 して高かった。社会的・心理的尺度については、社会的支援および行動的スキル(自己管 理) 、親子紐帯性尺度得点で交互作用が確認された(p=0.025、p=0.007、p=0.028)。 【考察】6 カ月 12 回の栄養情報の提供は、保護者の心理的・社会的要因に影響を与え、健 康的な食生活に関する変容段階に影響を及ぼすことが示唆された。小学生児童の食事は保 護者によって提供されるため、保護者の意識や態度、行動の変容が児童の健康的な食生活 の実現には欠かせない。実際に介入群の児童の食事摂取状況は、対照群の児童に比べたん ぱく質が豊富に含まれる食品(1 群)や淡色野菜・果物(4 群)の摂取量が有意に増加して いた。今後も子どもの健康的な食生活の実現のための食支援研究を継続していきたいと考 える。 【その他】2011 年度のゼミ活動は、上記研究に加え JEF ユナイテッド市原千葉のアカデミ ー(中学生・高校生)の食支援(情報提供やセミナーの実施)を行った。また他大学の食 支援を研究テーマに行うゼミとの合同合宿などを実施した。今後、薬学生として食を通じ た地域保健や疾病予防に貢献できるような活動を継続していきたいと考える。 JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2011 年度) 研究テーマ ゼミ名 参加者(学年) (発表の部)「みんなの睡眠を測ってみた ~薬学生は眠れているのか!?~」 生体リズム研究会 富樫優太郎 (4), 田中知佳 (4), 長島航平 (4) , 猪狩文乃 (4) 鴨志田優子 (4), 土屋勇太 (4), 古谷亜友美 (4) 指導教員(講座) 光本篤史(衛生化学)、河合洋(衛生化学) 研究概要 【はじめに】各種統計データによれば、現代日本では生活の夜型化、睡眠時間の短縮が進 んでいる。社会の夜型化が体内時計を乱し、体内時計の乱れが生理機能の不調を招き、慢 性的な不調が生活習慣病などの疾病の発生に寄与するという機構が提唱されるようになっ てきている。肥満や気分障害など、身体的、精神的な慢性病態の増加が大きな社会問題と なっているが、体内時計の乱れ、睡眠衛生の悪化が現代日本人の健康に悪影響を及ぼして いることが懸念されている。本研究では、睡眠不良をもたらす要因や、睡眠不良に伴う健 康影響を解析することを目指して、睡眠測定機器を用いて大学生の睡眠測定を行なった。 【方法】健常薬学部学生 16 名(男 5、女 11)を対象とし、インフォームドコンセントを得 た後に測定を実施した。測定期間は 7 日間とし、睡眠日誌や質問票による主観的睡眠測定 および 2 種の機器を用いた客観的睡眠測定を行なった。睡眠日誌には起床・就床時刻、食 事時刻等を記録した。客観的睡眠測定には、腕時計型行動計 ASM(アクチグラフ社)およ びマット型睡眠計スリープスキャン(タニタ)を用いた。ASM は終日装着して日中活動量 および睡眠状態を測定した。スリープスキャンは就寝から起床まで睡眠状態を測定した。 また、測定終了後にピッツバーグ睡眠質問票と朝型夜型質問票を実施した。 【結果】各被験者について 7 日間の測定データを平均したものを、その被験者の睡眠とし て解析した。睡眠指標は個人間の差異が大きかった。ASM による睡眠指標を集計した結果 では、睡眠時間は 2~9 時間に分布し平均約 5.5 時間であった。睡眠効率は全員が 70%以上 であった。顕著な低値を示す者はなかったものの、9 名が 80%未満の睡眠効率を示した。 睡眠潜時は 10 分未満から 40 分まで幅広く分布しており、6 人が 30 分以上を示した。中途 覚醒時間は大半(11 名)が 10 分未満であった。 【考察】個人差は大きいものの、睡眠時間は年齢相応の長さを示したと考えられる。顕著 な睡眠障害を示す結果は認められなかったが、睡眠効率の低い者、睡眠潜時の長い者が多 く認められた。治療を要するほどの睡眠障害ではないが、軽度睡眠不良者が多いことが示 唆される。一般成人の 20%程度は睡眠不良を自覚しているとの疫学報告があるが、本学学 生においても一定の割合で睡眠不良者が存在しており、特に入眠に問題を持つケースが多 いと予想される。慢性的な睡眠不良は身体的・精神的健康への影響が大きいことから、生 活習慣や睡眠環境の整備により睡眠の向上を図ることは健康増進や学業推進の上でも重要 であろう。今回は被験者数が少ないこともあり、主観的睡眠、客観的睡眠、生活習慣の間 に明瞭な関連は検出できなかった。今後、大規模な調査を進めることにより、睡眠深度な ど睡眠状態の詳細な解析や、生活習慣との関連等を検討していくことが必要と考えられる。