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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度) 研究テーマ ゼミ名

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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度) 研究テーマ ゼミ名
JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度)
「薬理ゼミ Seek the Hidden Gold プロジェクト」JIU 学会女性対
研究テーマ
象ゼミ研究報告書(2010 年度)唐辛子カプサイシンは胃を丈夫に
する?
ゼミ名
参加者(学年)
薬理ゼミ Seek the Hidden Gold プロジェクト
竹内徹也(4)、成
村上
暎実(4)、木村あみ(3)、中村友美(3)、
愛(3)、鴨志田優子(3)
指導教員(講座) 堀江俊治(薬理学)、田嶋公人(薬理学)、松本健次郎(薬理学)
研究概要
薬理ゼミでは、2 年次から学ぶ「生体内でのクスリの効き方、薬理学」に興味を持った
学生を対象に、薬理学研究の面白さを追求する“Seek the Hidden Gold プロジェクト”
という活動を行っています。
プロジェクト学生の将来の夢は、製薬・化粧品メーカーの研究開発者、MR、そして、
薬剤師など色々です。そのため、指導教員は薬物がどれくらいの科学的根拠を蓄積(創薬
研究開発の苦労も体感)して、患者さんに届けられているか考察してもらえたらなと思い
テーマを選んでいます。A さんのテーマは、胃酸分泌抑制薬ガスター10®とその類似薬の
薬効評価、B 君は辛味健胃成分カプサイシンによる胃粘膜バリア亢進の機序解明です。彼
らは、コツコツと取り組んでいます。
薬理ゼミでは、色々なバックグランドを持った人が薬理学の面白さを追い求めていま
す。その姿が学生にどう映っているか分かりません。しかし、勇気を持って少し研究活動
に足を踏み込めば、薬理学はさらに面白くなると信じています。このような活動を通じて、
私たちは 1 人でも多くの学生が研究マインド(興味あるテーマを見出し考察し続ける姿
勢)を兼ね備えた薬剤師として、本学から巣立って欲しいと願っています。私たち薬理ゼ
ミの夢は、膨らんでいます。
1
2
薬理ゼミ“Seek the Hidden Gold プロジェクト”学生の一日
写真 1: 実験動物への薬液注入の様子。薬理の基本は、薬液を確実に注入すること!そし
て、麻酔した実験動物にオペレーションを施す場面。何度も練習して腕を磨きます。実験が
終われば、実験ノートをしっかり記します。その後、指導教員とのディスカッションにより、物
事を観る・考える力を養います。
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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度)
研究テーマ
ゼミ名
参加者(学年)
少年野球チームの選手および保護者を対象とした食支援
食育ゼミ
御牧真代(3 年),藍野芙季子(3 年),首藤恵理子(3 年),村上愛(3
年),荒井有美(3 年),武藤美希(2 年),宮部綾香(2 年)
指導教員(講座) 酒井健介(臨床栄養学研究室)
研究概要
【実施背景】学童期スポーツ選手の健全な心身の成長を目的とした食事・栄養教育を実施
した。学童期に健康的な食習慣を身につけることは、その後、規則正しい食生活を継続し
ていく上で重要な課題である。
【実施内容】年間を通じて 3 回の親子セミナーを実施し、支
援期間中に毎月スポーツ少年を対象とした食事に関するワークシートとフィードバックシ
ートを配布した。支援前後には「食生活に関する意識および実態調査」と「食物摂取頻度
調査」を実施し、実施した支援の効果測定を行った。
【結果および考察】支援前調査票回収
数は 31 名、支援後調査票回収数は 25 名であった。解析対象者は、支援前後の全ての調査
15 名とした。①行動変容段階:支援前では熟考期(C)の割合が最も高かったが、支援後に
は維持期(M)が最も高い割合を示した(Willcoxon 検定 p=0.007)。②心理的要因尺度:
Self-efficacy(できる見込み、自信)、Behavioral skills(行動的スキル)、Social support
(社会的支援)について検討した。これら心理的要因は、行動変容段階が後期に移行する
に伴い上昇する尺度であり、特定の保健行動の定着に伴い上昇することが報告されている。
3 項目とも支援前に比べ支援後に増加し、Behavioral skills(行動的スキル)、Social
support(社会的支援)については統計的有意差を示した。Self-efficacy(できる見込み、
自信)については、平均値は増加したが、統計的有意差は示されなかった。③食物摂取頻
度調査:食物摂取頻度調査(エクセル栄養君)を用いて、支援前後の保護者の栄養素等摂
取状況について検討した。しかしながら、測定項目全てにおいて支援前後では統計的有意
差は確認されなかった(対応のある t-検定)
。本研究では食事記録ではなく頻度調査による
調査のため検出感度が低く、また支援前調査は 5 月に実施し、支援ご調査は 3 月に実施し
たため季節変動の影響も考えられる。
【総括】本研究は、東金市市民福祉部健康増進課との
共同事業の一環として行った。研究的側面としては十分なデザインとは言いがたいものの、
実施した支援に伴い変容段階や心理的要因の変化等に一定の成績が得られたものと考え
る。また参加した保護者からは、セミナー参加等において高い関心が得られた。今後はこ
の事業を拡大し、たとえば市内小学校へアプローチすることで食育事業として多くの学童
期の食生活を改善するのみならず、壮年期(20~30 代)の健康と食生活への意識を喚起す
ることで地域住民の健康意識の改善やヘルスリテラシーの向上に貢献していきたいと考え
る。
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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度)
口頭・展示発表(展示発表優秀賞,父母後援会長賞)
研究テーマ
「ハーブ園プロジェクト 2010〜味・香り・色の科学的側面からみた
オリジナルハーブティー〜」
ゼミ名
ハーブ園プロジェクト
小倉佳子(3 年, リーダー),田中知佳(3 年, 副リーダー),高尾理恵
(3 年),中島茉莉花 (3 年),廣瀬玲奈(3 年),小倉有加(3 年),小松
参加者(学年)
徹(2 年,副リーダー),中武美奈(2 年),比留間望(2 年),小林恵梨
(2 年),宇都孝昭(2 年),伊東史孝(2 年),木島彩那(1 年),松戸彩音
(1 年),和田かずみ(1 年),小池匡彦(1 年),野間裕記子(1 年),荻野
秀亮(1 年),加藤和也(4 年),西岡俊文(4 年)
指導教員(研究室) 奥山恵美(生薬学研究室)
研究概要
本学東金キャンパスは,周囲に田畑も多く,水鳥も飛来する自然に恵まれた環境にある。
また,社会における健康志向や自然志向の高まりから,天然素材を利用したハーブサプリ
メントや漢方薬などへの関心も高くなってきている。そこで,自然に直接働きかけて様々
な「学び」を体感することを目指して,学生が主体となり,薬学棟裏の未利用地を利用し
てハーブ等を植え,造園するプロジェクトを 2004 年(H16 年)に開始した。造園したハー
ブ園の名前は「JIU 学生オリジナルハーブ園 ;ハーブテラス(2F 部分)並びにハーブガ
ーデン(1F 部分)」として継続している。土地の改良を加えながら,ハーブ類を中心に育
成し,毎年の植え替えや植栽計画の見直しを含めて園を整備している。また,創作・研究
活動や地域活動の一環として,そこで収穫したハーブ等を利用したオリジナルハーブプロ
ダクト製品化への試行や化学実験を行うなど,様々な「学び」を実施している。
今年度は園の整備とともに「ハーブ園プロジェクト 2010〜味・香り・色の科学的側面か
らみたオリジナルハーブティー〜」をテーマに,これまでに創作したブレンドティーの中
で大学祭等でも評判のよかった『恋花茶』を中心に,その味・香り・色を科学的側面から
解析を試みた。
『恋花茶』はカモマイル,ラベンダー,ローズヒップ,ハイビスカスのブレ
ンドであることから,含有ハーブそれぞれの『恋花茶』における役割を科学的に検討した。
各ハーブの主成分や薬理作用の文献検索,抽出エキス作成とその TLC や HPLC による分析を
行った後,
『恋花茶』よりエキスを作成し分析を行った。その結果,色はハイビスカスのア
ントシアニン類色素,味はローズヒップのビタミン C やハイビスカスの有機酸類,香りは
ラベンダーやカモマイルの精油成分が主に関与することで,バランスの良いハーブティー
になっていることが証明できた。
大学祭ではこれらの結果を発表するとともに,展示室ではハーブティーの試飲やサシェ
作り体験コーナー,また別室ではハーブカフェとして模擬店参加も行い,多くの方に楽し
んで頂けたと思われる。また,地域貢献を目指して,
「ハーブ園プロジェクト 2010 ハーブ
製品企画書」を作成・提出した。さらに,大多喜の本学薬草園とその近郊で行われた日本
生薬学会関東支部主催の植物観察会には参加協力も行うなど,公汎な活動を行った。
このような活動結果を評価して頂き,新旧メンバーで喜びを分ちあうことができた。
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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度)
優秀賞(発表の部)受賞研究「農業用水調査を通じて
・・・Field work in Togane!」
研究テーマ
ゼミ名
参加者(学年)
水質調査研究会
廖志陽 (3), 佐々木慧理 (3), 猪狩文乃 (3) , 三浦裕馬 (3)
指導教員(講座) 光本篤史(衛生化学)、河合洋(衛生化学)
研究概要
【はじめに】環境水の清浄さや飲料水の安全性など、水環境はヒトの健康に大きく影響す
る。水質管理が学校薬剤師の職務になっているように、環境整備による公衆衛生の向上は
薬剤師にとって重要な任務の一つである。本研究では、農業用水および周辺の水環境の水
質調査を行なった。用水の全般的な水質を知るとともに、低水質を示した地点について詳
細な検討を加え、水質劣化の原因を探ることを試みた。
【方法】両総用水の水質を測定した。両総土地改良区の協力により 5 月から 9 月にかけて
17 地点の用水を採水し、農業用水の水質基準値が示されている pH、電気伝導度(EC)
、
溶存酸素(DO)、浮遊物質(SS)、化学的酸素要求量(COD)、総窒素(T-N)の 6 項目に
ついて測定した。測定した地点のうち特に水質の低い地点を選定し、9 月から 10 月にかけ
て追加調査を実施した。
【結果および考察】(1)農業用水の水質調査:両総用水は、千葉県北東部の利根川下流から
東金市を経て一宮まで至る九十九里平野に農業用水を供給している。用水の全体的な水質
の特徴としては pH、EC、T-N の 3 項目が高めであるという結果が得られ、特に T-N の高
値が目立った。この傾向は前年度の測定と同様であり、全般的な水質としては前年度まで
の水質を維持していると考えられる。T-N は水質による水稲被害の中でも最も顕著な影響
を与えるものであり、7 mg/l を超えると水稲の倒伏が起こり用水として使用に耐えないと
されている。今回の測定では 2 – 6 mg/l を示す地点が多かった。T-N などについて注意深
くモニターすることは必要だが、農業用水としては問題ない水質であろうと考えられる。
(2)低水質地点の詳細調査:今回の調査において、1 地点、他から突出して水質の悪い地点
(X)があった。過去のデータでも低水質を示す地点であるが、今回は例年以上に指標値が
悪化を示していたため、この地点の水質低下の原因を探るために周辺水域の調査を実施し
た。測定項目は pH、EC、DO、COD、T-N の 5 項目とし、数日の間隔をあけて 2 回測定
を実施した。X 地点は比較的大きな川(本流)に小川(支流)が流れ込む合流地点である。
本流の上流、合流地点、下流の水質を比較すると、上流に比べ合流地点から下流で EC、
COD、T-N が高値を示した。支流は視覚的にも淀みがあり、測定値も高い EC、COD、T-N
値を示した。本流上流部の水質は農業用水の他地点と比べて同等の水質を示しており、支
流からの汚濁物質の流入が X 地点の水質悪化の原因となっていると考えられる。合流地点
から支流を遡って数地点で水質測定を実施したところ、ある地点で排水が流入しており、
そこで EC、COD、T-N が急激に上昇することが判明した。この排水流入が X 地点の低水
質の主な原因と考えられる。排水水質としては基準を超えてはおらず、川の流下に伴い十
分に希釈されるため利水上の問題は発生していないが、継続的にモニターしていくことが
必要であろう。
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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度)
研究テーマ
ゼミ名
参加者(学年)
(発表の部)「体のリズム 知って送ろう 快適 LIFE!!
~体内リズムを解析しよう~」
生体リズム研究会
石井佳央里 (4), 森恵里奈 (4),
河﨑愛実 (3),
落合鼓(4) ,
堀内麻美 (3)
指導教員(講座) 光本篤史(衛生化学)、河合洋(衛生化学)
研究概要
【はじめに】近年、生体リズム/体内時計と各種疾病との関連が示されるようになってきて
おり、夜型化など現代社会の生活習慣に起因する生体リズムの乱れが肥満や気分障害とい
った疾病の増加の一因となっているのではないかと注目されている。大学生は夜更かしが
多くなったり朝寝坊しやすくなったりする年代であり、生活習慣は乱れやすい。疾病の発
症には至らないまでも、不規則な生活習慣が生体リズムの乱れを生じ、それが心身の不調
の原因となって大学生活に悪影響を及ぼしている可能性も考えられる。生活習慣と生体リ
ズムの関連、生体リズムと健康状態の関連に興味がもたれるところである。本研究では、
様々な生体リズムを測定して、生活習慣や身体機能との関連を検討した。
【方法】健常成人7名を対象とし、30 時間の連続測定試験を実施した。被験者は一定の食
事、穏やかな日常生活活動をしながら、2 時間ごとに各種リズム指標を測定した。まず、
体温および尿中物質の日内変動を生体リズムの指標とした。尿中物質としては胆汁酸量、
コルチゾールおよびその代謝物量、クレアチニン量を測定し、胆汁酸/クレアチニン(UBA)
、
コルチゾール/クレアチニン(Cort)
、コルチゾール代謝物/コルチゾール(Cort 代謝物比)
を体内時計の指標として用いた。また、身体機能の指標として握力と視覚応答能力を測定
した。各測定値について、コサイナー法によりピーク時刻を算出した。
【結果】体温、尿中物質(3 種の指標)
、握力、視覚応答能力はいずれも日内変動を示した。
被験者によってピーク時刻は異なり、早起き遅起きなど各々の生活習慣を反映した結果と
考えられる。各指標の関連を明らかにするため、それぞれのピーク時刻を求めて相関を検
討したところ、体温と Cort のピーク時刻に高い相関が認められた。体温は明け方に極小値
をとり、Cort は明け方に極大値をとる。位相は逆であるが、いずれも脳内の中枢時計のリ
ズムを反映していると考えられる。UBA と Cort 代謝物比は、肝臓での代謝酵素 CYP7A1、
CYP3A4 の活性をそれぞれ反映すると考えられるが、両者のピーク時刻に高い相関は認め
られなかった。両者とも肝臓リズムの指標と考えられるが、異なる代謝酵素は異なるリズ
ム制御を受けていることが示唆される。肝臓リズムは特に食事により大きく影響されるた
め、
被験者の日常生活における食習慣と UBA および Cort 代謝物比の関連を調べたところ、
UBA は朝食の摂取時刻、Cort 代謝物比は夕食の摂取時刻と比較的高い相関が認められた。
【考察】様々な指標によりヒトの生体リズムを測定できること、そのリズムは個体間、個
体内で異なるリズムを示し生活習慣の影響が大きいことが示された。尿中物質から測定し
た 3 種の指標のリズムは必ずしも相関しておらず、体内における異なるリズム(中枢時計、
肝臓時計)を反映すると考えられる。尿中指標はヒトにおいて非侵襲的に測定可能であり、
生体内のリズム情報の伝達、調節、発振過程を研究するツールとして有用であろう。
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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度)
研究テーマ
ゼミ名
優秀賞(発表の部)
受賞研究「DASH で高血圧予防!! ~目指せ血管美人~」
美養プロダクション 2010
山田千尋(3 年), 門霧子(3 年), 藤村香澄(3 年)
参加者(学年)
金木彩華(3 年), 木村あみ(3 年), 中村友美(3 年)
村上愛(3 年), 鈴木菜月(1 年)
指導教員(講座) 臨床栄養学(太田篤胤)
研究概要
【目的】胃食塩の過剰摂取は、圧日本人の死因別死亡者数の第3位である脳血管疾患のリ
スク因子である高血圧の最大の原因である。2010 年の食事摂取基準改定に伴い、食塩の目
標摂取量が男性では 10g未満から 9g未満に、女性では 8g未満から 7.5g未満へと低減さ
れた。
高血圧予防において、生活習慣を改善することは非常に有効かつ重要である。アメリカで
行われた大規模臨床試験で、DASH 食という食生活改善法に大きな降圧効果があることが確
かめられている。DASH とは、Dietary Approaches to Stop Hypertension の略で、DASH 食
とは低脂肪乳製品や、野菜、果物を多く摂ることで、カルシウムやカリウム、マグネシウ
ムなどの摂取量を増すとともに、減塩、低脂肪な食事をするという方法である。そこで、
我々は減塩だけではなく DASH 食の概念を取り入れた DASH 化メニューの開発を試みた。
【方法】今回は、子供から大人まで幅広く食べられていて、1週間に何度も食べるカレー
の減塩・DASH 化を目標にした。
市販のルーには塩分や脂肪分が多い。そこで、まずルーを改良した。通常ルーは、カレー
粉と小麦粉から作るが、マグネシウム強化のため、小麦粉の代わりに玄米粉を使用した。
食塩を一切添加せず、和風だしでうまみを出した。また、カルシウム強化のためにスキム
ミルクを、カリウム強化のために他にも、玉葱、ジャガイモ、人参、レンコン、トマトな
どの野菜とカリウムを豊富に含むりんごやバナナを具材に使用した。肉は、皮を除き低脂
肪とした鶏胸肉を用いた。こうした試行錯誤の結果、DASH 化カレーが完成した。
【結果・考察】試作した DASH 化カレーは、正確な塩分およびミネラルの濃度を高周波誘導
結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いて個別に測定した。市販の 2 種類のレトルトカレ
ー(1 食 200gと 210g)を対照として、DASH 化カレーのミネラル含量を比較した。DASH カ
レーの食塩量は 1.36gで、市販のレトルトカレーの約 3 分の 1 に減少できた。また、マグ
ネシウムは 45.5mgで約 3 倍に増加、カルシウムは 112.2mgで、約 4 倍に増加、カリウ
ムは 243mgとなり、約 3 倍に増加させることが出来た。また、食品成分表をもちいた計算
結果では、脂肪も約半分に減少させることが出来た。また、他の学生や先生方にこの DASH
化カレーを試食していただき、全員においしいと言ってもらえることができた。
今後も健康的なメニューの開発を手掛けていきたいと考えている。
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JIU 学会助成金対象ゼミ研究報告書(2010 年度)
研究テーマ
ゼミ名
参加者(学年)
「身近な微生物実験(抗菌薬の作用、発酵食品)」
微生物実験オープンラボ
長野一真(4), 菅井隆(4), 宇賀尚子(4) ,
谷奈緒美(3), 田邉企代江(3) , 田村四葉(2)
指導教員(研究室) 平田隆弘(生体防御学)、北村昭夫(生体防御学)
研究概要
【はじめに】微生物実験オープンラボは、
「微生物ワールド」に興味を持った学生が、
「楽し
く、真面目に、科学的に」を基本コンセプトとして本年度より活動を開始したゼミである。
微生物実験等を行なうことで微生物を正しく理解するとともに、実験結果を体験型オープ
ンキャンパスや、講義資料等としても活用してもらうことにより、学生をはじめとする大
学全体へと還元することを目的としている。本年は、
「発酵食品の製造を通じてワインやチ
ーズなどの発酵食品の製造を通じて、微生物の増殖、発酵に関する理解を深めるとともに、
抗菌薬が細菌に作用する様子を顕微鏡下で観察し、資料写真の撮影を行った。
【目で見る抗菌薬の作用機序】大腸菌に対するβ‐ラクタム薬(ペニシリン系)の作用につ
いて観察を行った。今回はペニシリン系薬の中からアンピシリンとオキサシリンを選択し
た。細菌の細胞壁合成として知られるペニシリン系薬の効果は殺菌的であると言われ、菌
の溶菌が期待された。対照として、効果が静菌的であり、溶菌を起こさないクロラムフェ
ニコールを用いた。大腸菌を液体培地で増殖させ、対数増殖期の中期に薬剤を添加した。
その結果、アンピシリンでは、期待通りに、すみやかな溶菌が見られた。オキサシリンは、
大腸菌に対する作用は弱いものの、増殖の低下が観察された。一方、対照であるクロラム
フェニコールでは、どの濃度においても溶菌はみられず、菌の増殖が停止した。各薬剤添
加後の培養液からサンプルを取り出し、菌の形態を観察したところ、オキサシリンにおい
て最も明瞭な形態変化が観察された。アンピシリンでは溶菌が速やかに起きる為、明確な
形態変化の観察が困難であった。対照のクロラムフェニコールでは形態の変化は観察され
なかった。オキサシリン添加後のサンプルでは、細胞壁合成に異常が起こった場合にみら
れる分裂異常や、菌が長くフィラメント状になった形態が観察され、この様子を撮影した。
また、この写真は微生物学Ⅰの講義でも紹介された。
【作ってみよう発酵食品】講義で学んだ「代謝」について見識を深めるために、ワイン、チー
ズなどの発酵食品について、発酵の経過の調査を行った。乳製品から乳酸発酵を行ってレアチ
ーズを作成するとともに、嫌気的条件下でのグルコースからピルビン酸を経由する代謝の観察
を行うために、ワイン酵母によるブドウ液の発酵観察を行い、糖の含有量と pH の変化を観察
した。糖の測定には、尿検査キットを用いた。発酵液中のグルコースは急速に消費され、72 時
間後にはほぼ消失した。途中、炭酸ガスの発生や、ほのかなエタノール臭なども観察された。
72 時間以降は、グルコース濃度はほとんど変化せず、炭酸ガスなども見られなくなり、pH は
発酵中も大きな変化は認められなかった。レアチーズは、発酵時間を変えることにより、食感
が大きく変わることが観察された。今後、様々な条件下での反応を検討する予定である。
【おわりに】以上の様な微生物実験を通じ、教科書に記載された事柄を体験し、より深く学ぶ
ことができたと考えている。さらに各実験を進めていきたいと考えている。
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