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興行分析 4 月度レポート

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興行分析 4 月度レポート
K INEMA JUNPO R ESEARCH
I NSTITUTE
興行分析
4 月度レポート
< 2 0 1 2 年 5 月 1 6 日>
4 月は首都圏では前年並みも、
全国的には前年を大きく上まわる
邦画はようやく震災以前の好調を取り戻すが、
洋画は苦戦続く
K INEMA JUNPO R ESEARCH
I NSTITUTE
興行分析
4 月度レポート
【首都圏ロードショー館の前年同月比は、興収 99.2%、動員 101.1%】
4 月の興行は、東京ロードショー劇場 79 館の集計では、総動員数が 64 万 1437 人、総興収が 8
億 6799 万円となり、前年同月(78 館)比で動員 101.1%、興収 99.2%のほぼ前年並みとなった。
3 月は、動員 123.8%、興収 125.4%と、震災の影響を最も大きく受けた前年同月から大きく回
復したが、4 月は首都圏では前年並みに収まり、好調だった一昨年との比較では動員 83.1%、興
収 84.2%にとどまる。ただ、今年 4 月は、全国 TOHO シネマズの前年比 22%増をはじめ、他の
興行会社でも 10 〜 50%の幅で増加しているといわれ、全国規模では前年から大きく回復してい
ると報じられている。確かに、“ ドラえもん ”“ コナン ”“ クレヨンしんちゃん ” などのファミリー・
アニメーションが軒並み数字を伸ばし、「僕等がいた 前篇・後篇」
「劇場版 SPEC 〜天〜」など若
い観客層の邦画が大ヒットを飛ばしている。一方の洋画は、いまだ「ミッション:インポッシブ
ル / ゴースト・プロトコル」以来、興収 20 億円を超えるヒットがなく苦戦している。
【月前半は、「コナン」
「しんちゃん」
「SPEC」など邦画が好調なスタート】
4 月の興行は、1 週目の土日が前月とまたがり、3 月 31 日(土)に「センター・オブ・ジ・アース
2 神秘の島」
(ワーナー)、「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」
(ディズニー)、「スーパー・チュー
ズデー 〜正義を売った日〜」
(松竹)と中小公開規模の洋画 3 作が登場。
「センター・オブ・ジ・アース 2 〜」は全国 176 スクリーンで公開、初日 2 日間で興収 8000 〜
9000 万円を上げ、週末ランキング 8 位のスタート。3D 上映の比率は 54.5%で、作品内容として
も 3D 効果が期待されるアトラクション・ムービーだけに、3D スクリーンでの動員伸長に期待が
かかる。
「ヘルプ〜」は、101 スクリーン、初日 2 日間で動員 3 万 8512 人、興収 4200 万円。「スー
パー・チューズデー〜」は、71 スクリーン、初日 2 日間で動員 2 万 1242 人、興行収入 2334 万円。
前者は、60 年代の米ミシシッピを舞台にした、白人女性と黒人家政婦たちの友情物語で、アカデ
ミー賞助演女優賞受賞作。このタイプの良質作は平日の稼働も期待ができ、2 億円以上の興収が射
程圏内。後者は、ジョージ・クルーニー監督、演技派スター総出演で米国では話題になったものの、
日本では国内の政治・経済で抱える課題があまりに大きく、他国の大統領選に大衆が関心を向ける
ほどには至っていないようだ。
結果、この週は、
「映画ドラえもん のび太と奇跡の島〜アニマルアドベンチャー〜」
(東宝)、
「僕
等がいた 前篇」
(東宝/アスミック)
、
「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」
(ワーナー)な
ど、3 月公開の定番作、話題作が市場をリードした。
2 週目の 4 月 7 日(土)には、
「劇場版 SPEC 〜天〜」
(東宝)、
「タイタニック 3D」
(FOX)、
「アー
ティスト」
(ギャガ)などが登場。
「SPEC 〜」は、279スクリーン、初日2日間で動員35万1473人、
興収 4 億 6870 万円の大ヒットスタートで、20 億円を超えてどこまで伸びるかに期待がかかる。
堤幸彦監督によるテレビシリーズ(フジテレビ)の映画化だが、4 月 1 日に放映されたスペシャル
ドラマから映画へとストーリーが繋がっており、“ すべての謎が解ける ” 劇場へと導く動線が見事
に機能した好例といえるだろう。一方、480 スクリーンを開けて臨んだ「タイタニック 3D」は、
初日 2 日間で動員 5 万 9771 人、興収 1 億 15 万円と期待値からの乖離が大きく、配給側は当然の
ことながら、3D スクリーンの高稼働を期待する劇場側の落胆ぶりは甚だしい。3 月 16 日公開の
「STAR WARS エピソードⅠ/ファントム・メナス 3D」
(FOX)も、3D、2D、字幕、吹替え
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のフルバージョンを揃え 617 スクリーンで公開したものの、初日 3 日間の動員が 10 万 6909 人、
興収が 1 億 7299 万円、その後も大きく伸びることがなく、今後の復刻大作の 3D 化の可能性に陰
を落とした。そして「アーティスト」は、アカデミー賞作品賞の話題が大きく報道された直後の絶
好のタイミングで公開。178 スクリーン、初日 2 日間、動員 4 万 2277 人、興収 5319 万円という
堅調なスタートとなった。アカデミー受賞効果の一方で、モノクロ、サイレントという作品がど
こまで広く受け入れられるかという不安もあったが、平日の稼働もあまり落ちずに 5 億円を目指
す興行を続けている。スクリーンを広げ過ぎた感はあるが、本来の作品力を考慮すれば十分なス
マッシュヒットといえるだろう。
【月後半もファミリーものと「僕等がいた 後篇」で邦画好調、洋画は苦境続く】
3 週目の週末には、
「名探偵コナン 11 人目のストライカー」
(東宝)、
「バトルシップ」
(東宝東和)、
「劇場版クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ ! オラと宇宙のプリンセス」
(東宝)、「ジョン・カーター」
(ディズニー)などが公開された。
「名探偵コナン〜」は、351 スクリーン、初日 2 日間で動員 54 万 975 人、興収 6 億 2974 万円。
まだ震災の影響が大きかった前年 4 月公開のシリーズ前作比で、動員 119.3%、興収 114.5%と
なり、前作の最終興収 32 億円を上まわり、前々作の 35 億円も超える勢いで動員を伸ばしている。
「クレヨンしんちゃん〜」は、330 スクリーン、動員 17 万 4672 人、興収 1 億 9531 万円で、シリー
ズ前作比で、動員 103.4%、興収 100.7%とほぼ同水準。前作の最終興収 12 億 5000 万円超え
が目標となる。13 日(金)公開のユニバーサル映画 100 周年記念作品「バトルシップ」は、545
スクリーン、初日 3 日間で動員 29 万 8215 人、興収 3 億 6400 万円をあげる好スタートだが、20
億円を目指すには厳しい出だしと見ることもできる。浅野忠信が主要キャストで演技の評価も高
いが、日本人出演のハリウッド大作としては、いまひとつ話題が広がっていないようだ。そして、
同じく金曜先行で 693 スクリーンの大規模公開となった「ジョン・カーター」は、初日 2 日間で動
員 12 万 9306 人、興収 1 億 8269 万円と、先行公開された米国同様、大変厳しいスタートとなった。
4 週目には、
「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」
(東映)、
「僕等がいた 後篇」
(東
宝=アスミック)、そして、18 日(水)、20(金)の変則先行公開となった「Black&White /ブラッ
ク&ホワイト」
(FOX)などが登場。
「仮面ライダー〜」は、292 スクリーン、初日 2 日間で動員 35 万 5985 人、興収 4 億 1004 万円
で、前年 4 月公開の「オーズ・電王・オールライダーズ〜」との比較で 134.3%、ライダーと戦隊
のシリーズの中では歴代 3 番目の好スタートとなった。
「前篇」から 5 週間後の連続公開となる「僕
等がいた 後篇」は、297スクリーン、初日2日間で動員24万2920人、興収3億1489万円と、
「前篇」
比で 106.6%の好発進。前・後篇合わせて 50 億円超を狙う大ヒットとなった。「Black&White 〜」
は、428 スクリーン、初日 4 日間で動員 11 万 1774 人、興収 1 億 4357 万円と、洋画はやはり厳
しい状況にある。
邦画は、震災により途切れた観客の継続視聴習慣が、まる 1 年以上経ってようやく戻りつつあ
るが、洋画の苦戦は止まらず、今年公開の洋画の 20 億円超えは、いまだ見えてこない状況だ。
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