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信号系巻線チップインダクタで世界最小形状を実現
2005年6月20日 太陽誘電:信号系巻線チップインダクタで世界最小形状を実現 −同等特性品と比較して、素子面積で36%の削減を達成− 太陽誘電(代表取締役社長:小林 富次) は、信号系巻線チップインダクタ (注1) で世界最小 形状となる 「LBM2016 (2.0 1.6 1.6mm) 」 を開発、 6月から本格量産を開始しました。 太陽誘電では、DC-DCコンバータのチョークコイルや、 ICへの電源回路に使用される電源系 巻線チップインダクタ (注2) を展開し、携帯型デジタル機器における採用が進んできました。今回 の新商品「LBM2016」 は、 その技術を信号系インダクタ向けに応用展開して開発したものです。 特性に関与しない無駄なスペースを徹底的に排除した当社独自の構造を採用して小型化を実現。 同等特性品 (注3) と比較して素子面積で36%、 体積で43%削減するという大幅な小型化を達成 することにより、 信号系巻線チップインダクタとして世界最小形状を実現しました。 一般的に信号ラインなどの電子回路では、 特定の信号を選び出すためにフィルタ (注4) が必要 です。 フィルタは、 インダクタとコンデンサを組み合わせて回路を構成しますが、 その際、 インダクタ には、電源系インダクタと比較して高いQ値(注5)、狭公差のインダクタンス (注6) が求められま す。 また、 さまざまな周波数帯で使用されることから、 インダクタンスのバリエーションをそろえたラ インナップを持つことも必要となります。 太陽誘電では、 電源系巻線チップインダクタの技術を応用展開することにより、 信号系インダク タの従来品と同等の高いQ値、狭公差のインダクタンスを維持しながら小型化を実現。 さらに、外 装に含まれる材料の配合比率やフェライトの軸芯形状を最適化することにより、 1μH (注7) から 100μHのインダクタンス値で15種類のラインナップをそろえました。 この新商品 「LBM2016」 は、 さまざまな機器の信号ラインにおけるフィルタ用途に最適です。 と くに、信号ラインが多く、信号系インダクタの使用頻度が高いテレビやオーディオ、 セットトップボ ックス (注8) などのAV機器などにおける小型化にメリットがあります。 さらに、 市場が急成長して いる薄型テレビなどへの搭載も期待できます。 新商品 「LBM2016」 は、 2005年6月から中之条工場にて月産300万個の生産能力で量産ス タートし、 一年後には1000万個に拡大する予定です。 サンプル価格は1個20円です。 新商品の巻線チップインダクタ 「LBM2016」 の代表6アイテムの仕様 (15アイテム中) <用語解説> 注1:信号系巻線チップインダクタ チップインダクタは大きく信号系と電源系に分けられる。 信号系は回路上の電気信号を伝え るラインに配置され、 その電気信号が正確に伝わるように、主にフィルタ用途に使用される。 一方、電源系はICへの電源供給ラインや電源回路で、主にノイズ抑制やチョークコイル用 途として使用される。 注2:太陽誘電の電源系巻線チップインダクタ 特性に関与しない無駄なスペースを徹底的に排除した独自の製品構造を採用し、世界最小 サイズを実現した巻線チップインダクタシリーズ。 ICへの電源供給ラインに使用する 「LB、 LBCシリーズ」、DC-DCコンバータのチョークコイル用途として使用する 「CB、 CBCシリ ーズ」 を展開。 デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなど携帯型デジタル機器を中心 に採用が進展。 注3:同等特性品 太陽誘電では現在、信号系巻線チップインダクタとして 「LEM2520(2.5 2.0 1.8 mm) 」 を販売。 太陽誘電はこれまで電源系巻線チップインダクタで新構造を採用してダウン サイジングを行ってきたが、今回は同様に信号系巻線チップインダクタでもダウンサイジン グを図る。 注4:フィルタ ここでは、 機器の信号ラインに使用されるフィルタを表す。 ある範囲の周波数帯のみを通すバ ンドパスフィルタ、高い周波数帯を通すハイパスフィルタ、低い周波数帯を通すローパスフィ ルタなどがある。 注5:Q値 インダクタの特性を示す値で、 Q値が高いほど損失が少なく、高効率なインダクタ。 フィルタ 用途ではインピーダンスの急峻な立ち上がりが求められることから、 Q値の高さが必要とさ れる。 注6:狭公差のインダクタンス インダクタンスとは、 インダクタの代表的な電気特性で、 インダクタが交流に対して発生する 磁界の強さを表す値。単位はH (ヘンリー)。特定の周波数帯で高精度なフィルタとして使用 するためには、 インダクタンスのばらつきが少なく狭公差であること、 つまり、 インダクタンス 許容差が小さいことが求められる。 「LBM2016」 のインダクタンス許容差は 5%で、 J公 差と呼ばれる。 注7:μH μ (マイクロ) は100万分の1、 H (ヘンリー) はインダクタンスの単位を表す。 注8:セットトップボックス テレビに接続してさまざまなサービスを受けられるようにするテレビ機能を拡張する機器の 総称。 CATVの受信、 テレビのインターネット接続などに使用する機器がある。 注9:自己共振周波数 インダクタに含まれる成分により、特定の周波数で自己共振が起こる。 自己共振周波数がイ ンダクタとして機能する周波数の上限となり、 それを超えた周波数ではインダクタとしては機 能しない。