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手動再生式微粒子除去装置

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手動再生式微粒子除去装置
828
日本機械学会誌 2003. 10 Vol. 106 No. 1019
手 動 再 生 式 微 粒 子 除 去 装 置
図1 DPFの種類
間欠捕集・
再生式
電気ヒータ
+フィルタ
自動再生
連続捕集・
再生式
触媒
+フィルタ
車載式
電気ヒータ
+フィルタ
DPF
手動再生
外部電源
カセット式
図2 手動再生式DPF
再生用エアー
供給ユニット
捕集量モニタ
(3 段階)
排出ガス
セラミック
フィルタ
車両側
コンセント
車 載
車庫内設置
再生
コントローラ
力を感知して,フィルタの目詰まり状
式(間欠捕集再生式,
況が分かるようになっている.車庫な
連続捕集再生式)と手
どに戻ったとき,外部の200V電源を
動再生式がある.前者
使ってヒータに通電し,フィルタに溜
は,自動的にフィルタ
まったすすを燃焼させる(図2).
内に溜まったすすを燃
間欠捕集再生式と比較して構造が簡
焼させてフィルタを再
単で故障が少なく,長時間のアイドリ
生する方式であり,後
ングやノロノロ運転でもすすを燃やす
者は手動でフィルタを
消費電力の心配がない.また触媒方式
再生する方法である.
と異なり,排気温度の影響を受けない.
間欠捕集再生式は排
このように運行距離が比較的短い,あ
気圧力を感知して,フ
るいは低速運転などが要求される市街
ィルタが目詰まりを起
地走行には最適のシステムである.た
こす前に新しいフィル
だし一回の再生で走行できる距離が限
タに切り替え,もう一
定される.したがって消防車,レッカ
方で捕集している間に
ー車,塵芥車,高所作業車,幼稚園の
電気ヒータによって高
車などに適したシステムである.最近
温ですすを燃焼させる
はRVユーザなどから長距離運転に使用
方式である.連続捕集
したいという要望が強く,500∼
再生式は,酸化触媒を
1 000km程度の再生間隔が求められてい
用いてすすを低温で燃
る.走行距離延長策としてはバイオデ
焼させ走行中に連続的
ィーゼル燃料の使用が効果的であり(1),
にフィルタを再生する
またすすの再燃焼(2)などにより対応で
じんかい
フィルタ部 ヒータ部
浄化された
排出ガス
大きく分けて自動再生
排浄
出化
ガさ
スれ
た
排
出
ガ
ス
電源プラグ フィルタの黒煙浄化の模式図
(AC200V)
方式である.
車には当然ながら手
■はじめに
きる可能性がある.
■あとがき
間のかからない自動再生式が最も適し
今まで各種のDPFが開発されている
首都圏ではこの10月から八都県市環
ている.しかし間欠捕集再生式は装置
が,使用過程車に最初から装着するよ
境確保条例(東京都,埼玉県,千葉県,
が複雑になり,大容量オルタネータや
うに設計されている訳ではない.した
神奈川県,横浜市,川崎市,千葉市,
大容量バッテリへの換装が必要にな
がって使い方を誤ると十分な機能を発
さいたま市)により,条例で定める粒
る.連続再生式は,酸化触媒と同様に
揮できないばかりか,場合によっては
子状物質(PM : Particulate Matter)
排気温度が250∼300℃程度にならない
故障につながることになる.このよう
排出基準を満たさないディーゼル車の
とすすが十分に燃えずにフィルタが詰
な中で生まれたのが手動再生式DPFで
運行が禁止される.
まり,この状態で高速走行あるいは高
あり,他のDPFがカバーできない分野
PMを除去するために種々のディー
負荷運転を行うと溜まったすすが急激
を担っている.新車対応であれば見向
ゼル微粒子除去装置(DPF : Diesel
に燃焼し,その燃焼熱でフィルタが溶
きもされなかった手動再生式DPFも,
Particulate Filter)が実用化されてい
損する.もともと,使用過程車に自動
使用過程車にとってはなくてはならな
るが,われわれは唯一手動式のDPFを
式であらゆる条件を満足する後付の
い存在となった.自動化オンリーの自
開発している.ここではDPFの種類と
DPFを望むことは非常に無理がある.
動車の世界では手動再生式はローテク
手動再生式DPFの特徴について紹介す
したがって,その車の使用状況(高速,
ではあるが,貴重なDPFとなっている.
る.
低速,ノロノロ運転など)によっては
(原稿受付 2003年8月1日)
■DPFの種類と特徴 適さないDPFが出てくる.
〔小森正憲 (株)コモテック〕
DPFは,すすを捕集するフィルタの
■手動再生式DPF
性能と,すすを取り除き元の状態に確
そこで今注目されているのが手動再
実に戻す技術(再生)の二つがポイン
生式DPFである.走行中はすすの捕集
トである.図1に示すようにDPFには
のみを行い,運転席のモニタで排気圧
― 70 ―
●文 献
(1) 山根浩二・ほか,バイオディーゼル燃料使
用時のDPFの特性,自動車技術会秋季学術
講演会前刷集,(2003-9)投稿中.
(2) 特許出願中
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