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理 科
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
植 物 1
◆指導ページ P.2 ~ 7 ◆ 【指導のねらい】
★様々な植物の特徴を理解する。
★植物を,その種類の特徴によって分類することができる。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 植物のからだのつくり ⇒確認 1,演習 1,2
1 植物のからだのつくり
・葉…蒸散や光合成を行う。どの葉も日光を十分に受けられるよ
▷葉の表裏の区別ができるように指導する。
うに,上から見て重なり合わないようについている。
・表側…細胞がぎっしりと並ぶ(さく状組織)。
①葉緑体…細胞内にある緑色の小さな粒。光合成を行う。
・裏側…細胞間にすきまがある(海綿状組織)。
②気孔…葉の表面の小さなすきま。気体が出入りする。
▷気孔が葉の裏側に多いのは,被子植物の双子葉類の大部分であ
・維管束…道管や師管の集まり。葉では葉脈とよぶ。
り,そうでない植物もある。
①道管…根で吸収した水や肥料を葉まで運ぶ管。
▷孔辺細胞は葉緑体をもっている。
②師管…葉でつくられた養分をからだ全体へ運ぶ管。
▷師管と道管の位置と役割を十分理解させる。
・根毛…根の先端付近にある毛のようなもの。根の表面積を広げ, ▷維管束の観察には,赤いインクを混ぜた水にしばらくつけてか
水などを効率良く吸収することができる。
ら観察すると,道管だけが染まって見える。
2 植物のからだのはたらき ⇒確認 2,演習 3,4
2 植物のからだのはたらき
・蒸散…植物の体内の水が,気孔から水蒸気となって体外へ出て
いく現象。昼間にさかんに行われる。
れる。蒸散によって,植物の体内の水の量を調節し,根からの
・光合成…日光を受け,葉緑体で二酸化炭素と水からデンプンな
どの養分をつくるはたらき。酸素ができる。
葉
根から
題演習をこなしたい。
▷石灰水が二酸化炭素で白くにごるのは,水酸化カルシウムと二
葉緑体
酸化炭素が反応して,炭酸カルシウムの沈殿ができるためであ
デンプン + 酸素
気孔
水の吸収をさかんに行っていると考えられている。
▷光合成については様々な実験があるので,できるだけ多くの問
光エネルギー
水 + 二酸化炭素
▷蒸散は,晴れの日や湿度が低く乾燥している日にさかんに行わ
る。
気孔
▷BTB溶液については,「酸・アルカリ」が未習であるが,テ
・呼吸…生物が,酸素をとり入れ,二酸化炭素を出すはたらき。
スト等への対策としてここで教える意義が大きいので,しっか
り理解させる。
植物は,からだ全体で一日じゅう行っている。
① 光合成では二酸化炭素が減るので青色に,呼吸では二酸化
・光合成と呼吸 理解
①昼間…光合成の方がさかんに行われるので,全体としては二
炭素が増えるので黄色に変化する。
② ①は二酸化炭素の増減によるもので,酸素の増減は関係し
酸化炭素をとり入れ,酸素を出している。
ない。
②夜間…呼吸だけを行う。
3 植物のなかま
3 植物のなかま ⇒確認 3,演習 5
・種子植物…被子植物と裸子植物に分けられる。
▷被子植物の花びらの特徴は可能な範囲で説明したい。
・被子植物…胚珠が子房の中にあり,果実ができる。
▷単子葉類と双子葉類の区別の方法は,しっかりと覚えさせる。
特に,葉脈や根は図示できるようにする。
・単子葉類と双子葉類 暗記
①合弁花類…花弁がくっついているもの
▷被子植物の例示
②離弁花類…花弁が離れているもの
・単子葉類…イネ,トウモロコシ,スズメノカタビラ,ススキ,
子 葉
茎の維管束
葉 脈
根
ツユクサ,ムラサキツユクサ,アヤメ,ユリ
双子葉類
・双子葉類の合弁花類…タンポポ,ヒメジョオン,ハルジョオン,
ヒマワリ,ハハコグサ,アサガオ,ツツジ
2枚
輪状に並ぶ
網目状
主根と側根
・双子葉類の離弁花類…エンドウ,シロツメクサ,アブラナ,ナ
単子葉類
ズナ,サクラ,ウメ,ハコベ,ホウセンカ
▷植物の花には花弁がついているのが当然だと考える生徒が多い
が,花弁をもたない花をつけるものもある。その代表的なもの
1枚
散らばっている
平 行
ひげ根
・裸子植物…子房がなく,胚珠がむき出しになっている。マツや
スギ,イチョウ,ソテツなど。
がマツである。
▷シダ植物とコケ植物の共通点は,光合成をして,胞子でふえる
点である。
・種子をつくらない植物…おもに胞子をつくる。シダ植物は,光
▷コケ植物の仮根は,からだを固定するためのもので,そこから
合成をして,根,茎,葉の区別があり,維管束をもつ。コケ植
水や養分を吸収する機能はない。このため,コケ植物はからだ
物は,光合成をするが,維管束がなく,からだの表面全体から
の表面全体から水分を吸収するので,湿り気のあるところでし
水分などを吸収し,雌株と雄株がある。
か生きられない。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
身のまわりの物質
2
◆指導ページ P.8 ~ 13 ◆ 【指導のねらい】
★気体,水溶液,状態変化について,実験を通して理解を深める。
★密度,濃度の基礎・計算方法を身に付ける。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 物質の性質 ⇒確認 1,2,演習 1
1 物質の性質
・有機物…燃えて二酸化炭素と水が発生し,こげて炭になる。
▷燃やすということは酸素と激しく化合することである。有機
・無機物…食塩や金属などの有機物以外の物質。
物に含まれる炭素が酸素と化合して二酸化炭素ができ,水素
・金属…❶電気伝導性,❷熱伝導性,❸金属光沢,❹延性・展性
が酸素と化合して水ができる。無機物は燃やしても二酸化炭
・非金属…金属以外の物質。 暗記
素が出ない。
▷金属でできた物体は,左記の性質を有効に利用したものが多
・プラスチック…石油などを原料につくられる。
❶軽い。❷加工しやすい。❸くさりにくい。❹電気を通しにくい。
い。電気伝導性→銅線,熱伝導性→フライパン,金属光沢→
指輪・アクセサリー
❺薬品に強い。 暗記
▷電気を通しやすい特殊なプラスチックも存在する。
・密度… 1cm3 あたりの質量。密度が,水(= 1g/cm3)より小さい
▷質量と重さの違いをしっかりと理解させる。
物質は水に浮き,大きい物質は水に沈む。
▷密度の問題では,単位を合わせてから計算することに注意さ
2 気体の性質 ⇒確認 3,演習 2
せる。
・おもな気体の性質 暗記
気体名
空気より
水に
その他の性質
二酸化炭素
重い
少しとける
石灰水を白くにごらせる
酸素
少し重い
とけにくい
物質を燃焼させる
アンモニア
軽い
よくとける
刺激臭
水素
窒素
非常に軽い とけにくい
少し軽い
とけにくい
2 気体の性質
▷気体の名称から性質,性質から名称のどちらも答えられるよ
うにしっかりと暗記させること。
▷二酸化マンガンは過酸化水素水の分解反応を加速させている
燃えて水になる
だけなので,反応が進んでも減ることはない。このような物
空気の約 78%
質を触媒という。
▷気体の集め方を気体の種類ごとに暗記させるのではなく,気
・おもな気体の発生方法 暗記
体の性質から気体の収集方法を考えられるようにする。
①酸素…二酸化マンガンにオキシドールを加える。
▷二酸化炭素は水に溶け,空気より重いので下方置換法で集め
②水素…鉄や亜鉛などの金属に塩酸や硫酸を加える。
るのが良いが,溶ける量が少ないので水上置換法でも良い。
③二酸化炭素…石灰石や貝がらに塩酸を加える。
④アンモニア…塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を
加熱する。アンモニア水を加熱する。
3 水溶液の性質・濃度
・気体の集め方 暗記
①水上置換
(法)…水にとけにくい気体。
②下方置換
(法)…水にとけやすく,空気より重い気体。
③上方置換
(法)…水にとけやすく,空気より軽い気体。
▷透明で,どの部分も同じ濃さのものを水溶液という。これら
を満たさないものは水溶液とはいわない。(牛乳など)
▷透明とは液がすけて見えることなので,色がついていても透
明であることはある。
▷質量パーセント濃度の公式はしっかり暗記させる。分母は溶
3 水溶液の ⇒確認 4,5,演習 3
・溶液…物質がとけた液体。透明,どこでも均一(同じ濃度),長時
液の質量であって,水(溶媒)の質量ではない点に注意する。
▷飽和するのに必要な溶質の質量は,水の量に比例する。
間置いても沈殿が生じない。・質量パーセント濃度…濃度の表し
▷溶解度曲線の見方をしっかりと指導する。
方の1つ。溶質の質量が溶液全体の質量の何%かで表したもの。
▷溶質の質量が飽和量を超える→超えた分だけの溶質が結晶と
・溶解度…一定量の液体にとかすことができる,溶質の限度の量。
して出てくる。
温度によって変化する。
・再結晶…固体の物質を一度液体にとかし,その液体から再び結晶 4 物質の状態変化
として固体をとり出すこと。
▷一般的に,物質は「固体 < ⇄液体⇄気体」と変化するが,
ドライアイス(二酸化炭素)のように,固体から直接気体に
4 状態変化 ⇒確認 6,7,演習 4
・物質の状態変化…熱の出入りにより,固体⇄液体⇄気体と変わる
こと。質量は変化せず,体積が変化する。
・純粋な物質
(純物質)と混合物 暗記
①純粋な物質(純物質)…1種類の物質でできている。酸素,水,
エタノール,銅など。
②混合物… 2 種類以上の物質が混じってできている。空気,石油,
食塩水など。
・物質が状態変化するときの温度
①沸点…液体が沸とうして気体になる温度。
②融点…固体がとけて液体になる温度。
・蒸留…液体を沸とうさせ,出てくる気体を冷やして再び液体にし
てとり出すこと。
なったり,気体から直接固体になったりする物質もある。
▷水の状態変化では「液体の体積<固体の体積」となる。
▷沸とうしている時以外にも,液体は少しずつだが気体に変化
する。このことを蒸発という。
▷蒸留に使われる装置は使用される器具の名前も含めてしっか
りと覚えさせる。また,以下の点に気をつける。
①温度計の球部は枝付きフラスコの枝と同じ高さにする。…
出てきた気体の温度を測るため。
②沸とう石を入れる…一部の温度が高くなり,急に沸とう
(突沸)するのを防ぐため。
③ガスバーナーの点火までの手順…ガスの元栓→ガス調節ネ
ジ(下側)→点火→空気調節ネジ(上側)
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
身近な物理現象
3
◆指導ページ P.14 ~ 19 ◆ 【指導のねらい】
★身近な事物・現象についての観察,実験を通して光や音の規則性,力の性質について理解を深める。
★光,音,圧力の基礎・計算方法を身につける。
学 習 内 容
1 光の進み方 ⇒確認 1,演習 1
補足知識・留意事項など
1 光の進み方
・光の反射…光が物体に当たってはね返る現象。入射角と反射角
▷合わせ鏡については問題で確認程度でもよいが,図解に反映さ
は等しい。
せるとわかりやすい。
・光の屈折…光が異なる物質の境界面で折れ曲がる現象。
▷入射角・反射角・屈折角の位置は,混乱しやすいので,しっか
①空気からガラス・水へ…境界面から遠ざかるように屈折する。
入射角>屈折角。 暗記
②ガラス・水から空気へ…境界面に近づくように屈折する。入
射角<屈折角。 暗記
・光の全反射…光がガラスや水から空気へ入射するとき,入射角
りと覚えさせる。
▷屈折のようすを指示棒や腕を用いて動的に表現して,図で直感
的に覚えさせるのがよい。
▷全反射については,起こる条件をしっかりと理解させる。空気
→水のときには起こらないことにふれておく。
がある角度よりも大きいとき,光が境界面で全て反射する現象。 ▷光の進み方と身近な現象を関連づけるとよい。
・光の直進…影ができる。
暗記
・光の反射…光を出さない物体が明るい場所では見える。
2 凸レンズと像 ⇒確認 2,演習 2
・焦点…軸に平行な光が凸レンズを通って集まる点。凸レンズの
・光の屈折…水中に立てた棒が折れ曲がったり,水中にある部分
が短くなったりして見える。
中心からの距離が焦点距離。 暗記
・実像…物体が焦点の外側にあるときにできる,物体と上下左右 2 凸レンズと像
が逆の像。スクリーンにうつる。カメラに利用。 理解
・虚像…物体が焦点の内側にあるときにできる,物体と上下左右
▷実像ができる場合の物体の位置について,下の①~④の場合に
ついて理解させ,特に,②と④がキーポイントであることを示
が同じ
(正立)で拡大された像。スクリーンにうつらず,凸レン
す。
ズ越しに見える。ルーペに利用。 理解
①焦点距離の 2 倍より遠く,②焦点距離の 2 倍,③焦点距離の
2 倍と焦点との間,④焦点
3 音 ⇒確認 3,演習 3
・音…物体が振動して音を出す。
▷虚像については,実像のまとめからそのまま流れて,「焦点よ
り内側」に置いたらどうなる?という展開もできる。
・音の伝わり方…ものが振動して音を伝える。
○音を伝えるもの…空気などの気体,水などの液体,金属やぴ 3 音
んと張った糸などの固体。
・音の速さ…空気中では,毎秒約 340m で伝わる。 暗記
▷空気などの気体の他にも,水などの液体,金属などの個体は音
をよく伝える。
・音の大小…振幅が大きいと,大きい音になる。 理解
▷雷の例などで,音と光の速さの違いを実感させる。
・音の高低…一定時間に振動する回数(振動数)が多くなると,高
▷距離と時間から速さを求める問題,速さと時間から距離を求め
い音になる。 理解
る問題の両方を扱っておくとよい。
▷音の大きさや高さと,オシロスコープやコンピュータに現れる
4 力のはたらき ⇒確認 4,演習 4
波形との関係をしっかり確認する。
・力のはたらき 理解
❶物体を支える,❷物体の形を変える,❸物体の運動のようす 4 力のはたらき
を変える
・力の種類…物体どうしが接してはたらく力(❶,❷)と,物体ど
うしが離れていてもはたらく力(❸,❹)がある。
・質量…物質そのものの量。単位は g や kg。
・重さ…物体にはたらく重力の大きさ。単位は N。月面上では
地球上の約 6 分の 1 になる。
5 圧力 ⇒確認 5,6,演習 4
・圧力…ふれ合う面積1m 2 あたりに垂直にはたらく力。力の大
きさが一定のとき,圧力は面積に反比例する。 暗記
・大気圧
(気圧)…大気にはたらく重力によって生じる圧力。あ
らゆる向きにはたらく。標高が高いほど小さい。1 気圧=約
1013hPa。
・水圧…水の重さによって生じる圧力。あらゆる向きから物体の
表面に垂直にはたらく。水の深さに比例する。
・浮力…水中の物体を,まわりの水が上向きに押し上げようとす
る力。水圧による力が,物体の上面よりも下面のほうが大きい
ために生じる。浮力は水面からの深さには無関係。 暗記
▷物体に力を加えれば,運動のようすが変化したり,物体の形が
変形したりする。逆に,力が加わらなければ物体はそのような
変化を起こさない。
▷日常生活では重さというと単位はグラム[g]やキログラム[kg]
を用いるので混同しやすいが,重さは物体にかかる重力の大き
さを指すので,単位はニュートン[N]である。
5 圧力
▷圧力,大気圧,水圧。浮力などは,さまざまな日常現象の例示
によって理解を深めることができるので,例を用いるなどして
しっかりと理解させる。
▷標高の高い所にお菓子の袋などを持って行くと膨らむ。これは
袋内部の気圧が変わらずに,外部の気圧が下がったためである。
▷水圧の大きさが水の深さに比例することを,ゴム膜をつけた実
験器で,深い方がゴムのへこみ方が大きくなることなどを示し
て理解させる。
▷浮力の大きさは,物体がおしのけた体積の水の重さで決まる。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
大地の変化
4
◆指導ページ P.20 ~ 25 ◆ 【指導のねらい】
★火成岩と堆積岩の違いを理解する。
★地震の基礎・計算方法を身に付ける。
★化石の特徴を理解する。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 火山と火成岩 ⇒確認 1,2,演習 1
1 火山と火成岩
・火山の形 暗記
▷代表的な火山をあげて,マグマのねばりけと火山の形や色,噴
火のようすを連動して覚えさせる。
・昭和新山…おわん形。白っぽく,岩石や火山灰をふき出す激し
火山の形
マグマのねばりけ
噴火のようす
溶岩の色
盛り上がった形
円すい形
平たい形
強い
激しい
白っぽい
中程度
弱い
おだやか
黒っぽい
灰色
・火山噴出物…火山ガス(おもに水蒸気),溶岩(マグマが地表に
出たもの)
,火山灰(おもに鉱物の粒)。
・火成岩…マグマが冷えて固まった岩石。 暗記
①火山岩…地表付近で急に冷やされてできる。細かな粒の石基
と大きな粒の斑晶からなる斑状組織。安山岩など。
②深成岩…地下深くでゆっくりと冷えてできる。石基がなく,
大きな結晶からなる等粒状組織。花こう岩など。
・鉱物 暗記
い噴火。
・三原山…平たい形。黒っぽく,溶岩流が流れる。
▷火成岩の有色鉱物の割合
・玄武岩,斑れい岩…有色鉱物 50%以上
・安山岩,せん緑岩…有色鉱物 30%~ 50%
・流紋岩,花こう岩…有色鉱物 30%以下
▷火山岩と深成岩の組織のちがいが,マグマの冷え方によること
をじゅうぶん理解させる。
▷火山灰を観察するときには,火山灰を水洗いして,粘土や木の
根などを取り除く必要がある。
▷石英・長石・黒雲母については,色・割れ方の特徴などもおさ
えておきたい。
①無色鉱物:長石(白色,規則正しく割れる),石英(透明,不
規則に割れる)。
②有色鉱物:黒雲母(黒色,うすくはがれる),輝石,角閃石,
かんらん石,磁鉄鉱など。
2 地震 ⇒確認 3,4,演習 2,3
・震源…地震の発生地点。震源の真上の地表の地点が震央。
・ゆれ…初期微動(P波による小さなゆれ)
主要動(S波による大きなゆれ)
○初期微動継続時間…震源からの距離に比例する。 理解
・震度…ゆれの大きさ。0 ~ 7(5 と 6 は弱・強)の 10 段階。
・マグニチュード(M)…地震の規模を表す尺度。
・大地の変動による現象…津波:海底地震で生じる大きな波。
断層:地層のずれ。しゅう曲:横からの力で,地層が波打った
もの。 暗記
・プレート…地表をおおう岩盤。海嶺でできて移動し,海溝で地
球内部へ沈みこむ。
3 地層と堆積岩 ⇒確認 5,6,演習 4,5
・風化…岩石が温度変化や水のはたらきなどでくずれる。
・流水のはたらき…侵食:陸地をけずる。運ぱん:土砂を運ぶ。
堆積:土砂を積もらせる。 理解
2 地震
▷ 2 種類のゆれを起こす波の速さが異なること,観測地までの到
達時間の差が初期微動継続時間であることを理解させる。
▷初期微動継続時間が震源距離に比例することをしっかり確認す
る。
▷マグニチュードが 1 大きくなると,震源から放出されるエネ
ルギーは約 32 倍になる。
▷日本海溝は,太平洋プレート(海洋プレート)と北アメリカプ
レート(大陸プレート)がぶつかりあったところにできている。
▷海洋プレートは大陸プレートよりも強固で密度が高いため,2
つがぶつかると海洋プレートは大陸プレートの下に沈んでいく
ことになる。
3 地層と堆積岩
▷海岸からの距離と堆積物の粒の大きさの違いについてじゅうぶ
ん説明する。
▷火成岩と堆積岩,岩石のでき方がちがうことを理解させる。
・地層の堆積…ふつう,上の地層ほど新しい。
・火成岩…溶岩が冷えて固まった岩石。
・堆積岩…堆積物がおし固められてできた岩石。 暗記
・堆積岩…海底・湖底などの水底や陸地に堆積し,押し固められ
①岩石の粒…れき岩,砂岩,泥岩。粒は丸みをおびている。
てできた岩石。
②生物の死がい…石灰岩(塩酸で気体が発生),チャート。
▷チャートの主な成分は二酸化ケイ素で,これは非常に固い物質
③火山灰…凝灰岩。粒は角ばっている。火山活動を示す。
である。このため,釘でひっかいたくらいでは傷をつけること
・示相化石…地層が堆積した当時の環境を示す。 暗記
はできない。
サンゴ:暖かくて浅い海,シジミ:湖や河口付近,など。
・示準化石…地層が堆積した年代を示す。 暗記
サンヨウチュウ,フズリナ:古生代,アンモナイト,キョウ
リュウ:中生代,ビカリア,ナウマンゾウ:新生代
▷地層に含まれる示相化石をもとに,環境の変化を説明できるよ
うにしておく。
▷示準化石の条件として,❶現生していないもの。❷短い年代に
よって形態が変化したもの。❸広く分布していたもの。があげ
られる。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
動 物 5
◆指導ページ P.26 ~ 31 ◆ 【指導のねらい】
★様々な動物の特徴を理解する。
★動物を,その種類の特徴によって分類することができる。
学 習 内 容
1 生物の細胞 ⇒確認 1
補足知識・留意事項など
1 生物の細胞
・植物細胞と動物細胞に共通したつくり 暗記
▷葉緑体,液胞,細胞壁は植物細胞にしかないことを覚えさせる。
特に,細胞膜と細胞壁の区別をしっかり確認する。
❶核,❷細胞質,❸細胞膜
▷液胞は老廃物の蓄積によってできるもので,植物細胞の老化と
・植物細胞だけに見られるつくり 暗記
ともに大型化し,その膨圧によって細胞壁の緊張を保つ。
❶葉緑体,❷細胞壁,❸液胞
・単細胞生物…からだが1つの細胞でできている生物。
▷「生物の観察」の復習として,ゾウリムシやアメーバは単細胞
・多細胞生物…多数の細胞でからだができている生物。
生物だがミジンコは多細胞生物,などと確認するのもよい。
2 消化と吸収 ⇒確認 2,演習 1
2 消化と吸収
▷炭水化物,タンパク質,脂肪は 3 大栄養素と呼ばれている。炭
・消化…栄養分を体内に吸収しやすい物質に分解する。
水化物は,米や小麦といった穀物類やいも類,糖質に多く含ま
・消化酵素…消化液に含まれ,特定の養分を分解する。酵素自身
れる。タンパク質は牛肉や魚などの肉類に含まれる他,大豆や
は変化しない。体温に近い温度ではたらく。 暗記
卵,牛乳にも多く含まれている。
・吸収…小腸の柔毛から吸収される。
▷消化酵素の特徴
・ベネジクト液…ブドウ糖がつながった分子をふくむ液に入れて
①決まった物質にのみはたらく。
加熱すると,赤褐色の沈殿を生じる。
②自分自身は変化せず,繰り返しはたらく。
3 刺激と反応 ⇒確認 3,演習 3
③体温と同じくらいの温度でよくはたらく。
▷小腸の柔毛や肺の肺胞は,物質との接触面積を大きくして,血
・感覚器官…外界からの刺激を受け取る器官。
目
(光)
,耳
(音),皮膚(温度や圧力)など。
液への養分の吸収や血液との気体の交換の効率をよくするつく
・神経系…脳,せきずいと全身の神経。
りであることを必ず説明する。
▷胆汁は,消化酵素が含まれておらず,脂肪の消化を助けるはた
・反射…大脳を経由せず,無意識に起こる反応。危険から身を守
らきをしている。また,胆汁は肝臓でつくられる。
る。生命を維持する。 理解
・骨格と筋肉…関節をはさむ一対の筋肉の一方が縮み,他方がゆ
るんで骨格を動かす。
3 刺激と反応
▷刺激を受けるのは感覚器官だが,それを知覚し,判断するのは
4 呼吸・循環・排出 ⇒確認 4,演習 2
脳の役割であることを確認しておく。
・肺の呼吸…酸素を血液中に取りこみ,二酸化炭素を体外に出す。 ▷刺激と命令の経路はしっかり覚えさせる。 ▷反射の例をいくつかあげる。熱いものにふれて手を引っ込める,
・肺のつくり…多数の肺胞のまわりを毛細血管が取りまく。表面
口の中に食物が入るとだ液が出てくる,など。
積が大きくなり,気体を効率よく交換できる。
・細胞の呼吸…酸素を使って栄養分からエネルギーを取り出す。
・血液の成分 暗記
4 呼吸・循環・排出
▷肺胞のまわりを多数の毛細血管が取り巻いている理由は,表面
❶赤血球,❷白血球,❸血小板,❹血しょう
積を増やして気体の交換の効率を上げるためである。
・血液の循環…肺循環と体循環がある。
▷「細胞の呼吸」は,教科書によっては,「内呼吸」の語を用い
①動脈…心臓から送り出される血液が流れる。
て説明してもよい。
②静脈…心臓に戻る血液が流れる。逆流を防ぐ弁がある。
▷赤血球にふくまれるヘモグロビンは,酸素の多いところでは酸
③毛細血管…全身に分布し,動脈と静脈をつなぐ。
素と結びつき,酸素の少ないところでは酸素をはなす性質をも
・肝臓のはたらき 理解
①小腸で吸収した栄養分を蓄え,必要に応じて血液中に出す。
つ物質で,酸素と結びつくと鮮赤色になり,酸素を失うと暗赤
②アンモニアなどの有害な物質を,無害な尿素などに変える。
色になる。
▷「心房」や「心室」の語句とともに,心臓を中心とした血液の
③胆汁をつくる。
流れはしっかり覚えさせる必要がある。
・じん臓での排出…血液中の不要物を水とともにこし出して尿を
つくる。 理解
5 動物のなかま・進化
5 動物のなかま・進化 ⇒確認 5,6,演習 4
・恒温動物…外界の温度が変化したとき,体温をほぼ一定に保つ
ことができる。⇆変温動物
・胎生…母親の体内で育て,子を産む。⇆卵生
・セキツイ動物…背骨がある動物。 暗記
・無セキツイ動物…背骨がない動物。 暗記
・相同器官…形やはたらきがちがっても,もとは同じ器官であっ
たもの。
・進化…生物が長い時間をかけて,代を重ねる間に変化すること。
▷セキツイ動物の 5 つのグループに属する動物をいくつかあげる。
特に間違えやすい動物として,クジラやイルカ,コウモリ,ペ
ンギン,カメ,ヤモリとイモリは例示する。
▷卵は乾燥に弱いため,中身を殻や粘液で覆って乾燥を防ぐ必要
がある。生む卵や子供の数が少ない動物ほど,子供が親になる
まで成長する割合は少なくなる。魚類は総じて生む卵の数が多
い。
▷シソチョウは鳥類が現れ始めた中生代に存在していたと考えら
れている。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
化学変化
6
◆指導ページ P.32 ~ 37 ◆ 【指導のねらい】
★物質を構成している原子と分子について学ぶ。化学変化を化学式で表した化学反応式で書けるようにする。
★分解,化合,還元などの化学変化について,具体例を通じて学ぶ。
★化学変化が起こるときのきまりについて理解する。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 物質のつくり ⇒確認 1
1 物質のつくり
・単体…1種類の原子だけでできている物質。
・化合物… 2 種類以上の原子でできている物質。
・原子…物質をつくる最小の粒。
▷原子は 19 世紀はじめにドルトンによって提唱され,周期表
は 19 世紀後半にメンデレーエフが発表した。
▷分子の存在は 19 世紀前半にアボガドロが提唱した。時系列
・分子…いくつかの原子が結びついた粒。
的には,ドルトンの原子→アボガドロの分子→メンデレーエ
・化学式…物質のつくりを原子の記号を用いて表す。
・化学反応式…化学変化を表す式。左辺と右辺で原子の種類と数が
等しくなるように,化学式に係数をつける。 理解
フの周期表となる。
▷日常的に目にする物質はほとんどが化合物で,特別につくら
なければ純粋な物質を目にすることはほとんどない。
2 化学変化⑴
2 化学変化⑴ ⇒確認 2,3,演習 1,2
・分解…1種類の物質が 2 種類以上の物質に分かれる変化。
①炭酸水素ナトリウム(水溶液は弱アルカリ性)→炭酸ナトリウム
(水溶液はアルカリ性)+水+二酸化炭素
▷炭酸水素ナトリウムの分解における注意点。
①試験管の口を少し下げる…発生した水が加熱部分を急激に
冷やして試験管が割れるのを防ぐため。
②ガラス管を取り出してから火を消す…火を消したあと,試
②酸化銀
(黒色)→銀(白色)+酸素
験管が冷えると内部の圧力が下がり,石灰水が逆流して試
③水→水素
(陰極)+酸素(陽極)
(電流を流しやすくするために水酸化ナトリウムなどを加える。)
・化合… 2 種類以上の物質から1種類の物質ができる変化。
験管が割れるのを防ぐため。
▷水酸化ナトリウムを加える理由…他の電解質を代用した場合,
①鉄+硫黄
(混合物は灰色)→硫化鉄(黒色)
水素と酸素以外の物質が発生してしまう。例えば水酸化ナト
②酸素との化合…銅(赤かっ色)+酸素→酸化銅(黒色)
リウムの代わりに塩化ナトリウムを入れた場合,陽極から塩
素,陰極から水素が発生してしまう。
3 化学変化⑵ ⇒確認 4,演習 3,4
▷水素と酸素が化合するとき,水素と酸素の化合する体積比は
・還元…酸化物から酸素を取り除く化学変化。
・酸化銅の還元…炭素や水素が酸化される。
2:1 である。
▷硫化鉄ができる反応が始まれば,自身の反応熱で反応が進ん
①酸化銅
(黒色)+炭素→銅(赤かっ色)+二酸化炭素
でいくため,反応が始まったところで加熱をやめる。加熱を
②酸化銅
(黒色)+水素→銅(赤かっ色)+水
続けると,熱で試験管が割れる恐れがある。
・発熱反応…熱エネルギーを放出。温度が上がる。
3 化学変化⑵
①鉄+硫黄→硫化鉄+熱エネルギ-
②鉄+酸素→酸化鉄+熱エネルギ-(化学かいろに利用)
・吸熱反応…熱エネルギーを吸収。温度が下がる。
○塩化アンモニウム+水酸化バリウム+熱エネルギ-
▷酸化銅の還元の際の注意点
①ガラス管を石灰水から引きぬいてから火を消す…石灰水が
逆流してガラス管が割れるのを防ぐため
②火を消した後,ゴム管を目玉クリップでとめる…酸素が中
→塩化バリウム+アンモニア+水
に入り込んで,銅が再び酸化されるのを防ぐため。
4 化学変化のきまり ⇒確認 4,5,6,演習 3,4
・質量保存の法則…反応に関係する物質全体の質量は変化しない。
▷酸化銅を水素によって還元したときには,水素が酸化されて
水ができる。
▷現在のかいろは単純に酸化鉄ができるのではなく,酸素と水
→原子の種類と数は変化しない。 理解
①気体が発生する反応…反応後の全体の質量は減少する。
が同時に鉄と反応し,水酸化鉄ができる反応を利用している
②気体と化合する反応…反応後の全体の質量は増加する。
ものが多い。
(①,②とも,密閉された容器の中で反応させると,反応後も全
▷ここでは未習だが,中和反応も発熱反応である。
体の質量は変わらない。)
・物質の質量の比…反応する物質の質量の比はつねに一定である。 4 化学変化のきまり
一方の物質が不足している場合,多い方の物質が未反応で残る。
▷質量保存の法則を理解し,化学変化において,反応に関わる
物質の質量比は一定であることを理解する。
理解
2.4
酸化銅の質量
酸化銅の質量 2.0g
2.0
1.6
化合した
酸素の質量
1.2
もとの
銅の質量
0.8
〔g〕
0.4
0
0
酸化銅
0.4g 1
:
1.6g 4
銅:酸化銅の質量比
銅
0.4 0.8 1.2 1.6 2.0
銅の質量〔g〕
4:5 ▷物質全体の質量の変化
①石灰石(炭酸カルシウム)に塩酸を加える→二酸化炭素が発
生し,空気中に出て行く→質量が減る
②空気中で銅を加熱する→銅と酸素が化合する。化合した酸
素の分だけ質量が増える。
▷化学変化にかかわる物質の質量比の例(鉄と硫黄の化合)
化学反応式 Fe + S → FeS
質量比 7 : 4 : 11
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
電 流 7
◆指導ページ P.38 ~ 43 ◆ 【指導のねらい】
★電流電圧抵抗の関係,電流と磁界の関係について理解を深める。
★電流電圧抵抗の基礎・計算方法を身につける。
学 習 内 容
1 電流回路 ⇒確認 1,演習 1
補足知識・留意事項など
1 電流回路
・電流回路
(回路)…電流(I)は電源の+極から流れ出し,-極へ
▷電気用図記号をしっかりと覚えさせ,回路の模式図から回路図
流れこむ。単位は A。1A=1000mA。電圧(V)の単位は V。抵
をかけるようにしっかりと指導する。
抗
(R)
の単位はΩ。
▷電流や電圧の予想がつかないとき,電流計や電圧計の-端子は,
・電流計…測定する部分に直列につなぐ。
値の大きいものから使うことを確認する。
・電圧計…測定する部分に並列につなぐ。
▷どの-端子を使うかによって,目盛りの最大値が変わるので注
意する。
2 オームの法則と抵抗 ⇒確認 1,2,3,演習 1,2
・オームの法則…電流は電圧に比例し,抵抗に反比例する。
2 オームの法則と抵抗
・直列回路…枝分かれのない回路。 理解
▷オームの法則から,1つの抵抗について電流,電圧,抵抗の値
①電流…各抵抗に流れる電流は回路の電流に等しい。
のどれか2つがわかると残りを求められること,回路全体でも
②電圧…各抵抗に加わる電圧の和は電源の電圧に等しい。
同様に使えることを教える。
▷オームの法則は,まず 1 本の式を理解させ,残りの公式はこの
③抵抗…回路全体の抵抗は各抵抗の和に等しい。
式を変形することで導き出せることを教えるとよい。オームの
・並列回路…枝分かれのある回路。 理解
①電流…各抵抗を流れる電流の和は回路の電流に等しい。
法則は重要な法則なので,生徒に問題を解かせてしっかりと身
②電圧…各抵抗に加わる電圧は電源の電圧に等しい。
につけさせたい。
③抵抗…回路全体の抵抗は各抵抗より小さい。
3 電力と熱量
3 電力と熱量 ⇒確認 3,演習 2
▷電球やドライヤーの例をあげて,消費電力(W 数)の大きい器
・電力…電気器具の能力の大きさを表す。単位は W。
具の方がはたらきが大きいことを理解させる。家庭用の電気器
・電力量…一定時間に消費した電力の総量。単位は J や Wh。
具は並列につながれており,どの器具にも同じ電圧が加わる。
▷発熱量は電力に比例することをしっかりと理解させる。
・熱量…単位は (
J または cal)。1cal =約 4.2J
▷単位の J は,電力量や発熱量のほか,エネルギー,仕事の単位
4 静電気と電子 ⇒確認 4,演習 3
でもある。
・静電気… 2 種類の物体を摩擦したときに,発生する電気。一方
から他方へ電子が移動し,電子を渡した物体は+の電気を,電 4 静電気と電子
▷-の電気を帯びた粒子が移動して,+の電気を帯びた粒子は移
子をもらった物体は-の電気をおびる。
動しないので注意する。
○電気の力…同じ種類の電気どうしはしりぞけ合い,異なる種類
▷陰極線の性質から次のことがわかる。
の電気どうしは引き合う。
①光のように直進する。
・電子…-の電気をおび,質量をもつ小さな粒子。+の電気に引
②陰極線は-の電気を帯びた粒子でできていて,電極板の+極
かれ,磁界からも力を受ける。 暗記
に引き寄せられている。
・放電…静電気が流れ出たり,空間を電流が流れたりする現象。
③陰極線は-極から+極に進む。
気圧が小さいときは,真空放電という。
○陰極線…真空放電管で,-極から出て直進する。電子の流れで,
けい光板を光らせる。 暗記
④陰極線は質量をもつ粒子からできている。磁石の強さによっ
て陰極線の曲がり方が変化することから,質量をもつ粒子か
らできていることがわかる。
5 電流と磁界 ⇒確認 5,6,演習 4
・磁力線…磁界のようすを表す線。N極からS極の向き。
・電流のまわりの磁界…導線に電流を流すと,導線を中心に同心
円状の磁界ができる。 暗記
・コイルのまわりの磁界…コイルに電流を流すと,コイル全体が
1つの磁石となるような磁界ができる。 暗記
・電流が磁界から受ける力…磁界の中の導線に電流を流すと,導
線は磁界から力を受ける。
・電磁誘導…コイルの中の磁界が変化して,コイルに電圧が生じ
る現象。
・誘導電流…電磁誘導によってコイルに流れる電流。
①誘導電流の向きを逆にする方法…❶磁石の極を逆にする。❷
磁石を動かす向きを逆にする。 理解
②誘導電流の強さを強くする方法…❶磁石を速く動かす。❷磁
力の強い磁石にかえる。❸コイルの巻き数を増やす。 理解
5 電流と磁界
▷磁界の向きは「磁針の N 極がさす向き」としっかり覚えさせる。
▷右ねじとは「右に回転させると奥に進むねじ」で,一般的なね
じのことをいう。右ねじを普段目にしない生徒もいるので,一
言説明するとよい。
▷電流のまわりの磁界,コイルのまわりの磁界の向きは,実演し
ながら指導をするとよい。できるだけ手を使わせて理解させる。
▷磁界の向き,電流の向き,力の向きの関係をしっかり覚えさせ
る。
▷電磁誘導は,「コイルの中の磁界が変化」→「コイルに電圧が
発生」という流れをしっかり示して現象自体の理解を深めたい。
ただし,その原理まで踏み込めないため,どうしても生徒には
浸透させにくい。発電所の例を示し,日常生活に密着している
という既成事実からのアプローチがよい。
▷コイル(導線)の中の磁界の変化の速さで,コイルで発生する電
圧が決まる。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
天気の変化
8
◆指導ページ P.44 ~ 49 ◆ 【指導のねらい】
★温暖前線と寒冷前線の違いを理解する。
★湿度の基礎・計算方法を身に付ける。
★日本の天気の特徴を理解する。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 気象の観測 ⇒確認 2,演習 2
1 気象の観測
・天気…降水がないとき,雲量(空全体を 10 とした雲の割合)が
0 と 1 →快晴,2 ~ 8 →晴れ,9 と 10 →くもり。 暗記
・天気記号…右図 暗記
・湿度…乾湿計を用いる。乾球の示度は気温を
示す。
・気圧…上空ほど低い。 1気圧は約 1013hPa。
▷湿度は,乾湿計の示した温度を湿度表に照らし合わせて測る。
快 晴
晴 れ
くもり
2 空気中の水蒸気 ⇒確認 1,演習 1
雨
雪
・飽和水蒸気量…空気 1m3 に含まれる水蒸気の限度の量。
・露点…空気中の水蒸気が凝結して水滴に変わる温度。
・湿度…飽和水蒸気量に対する実際の水蒸気量の割合。水蒸気量
(露点)
が一定のとき,気温が高いと湿度は低い。 暗記
▷晴れの日,くもり・雨の日の特徴を覚えさせる。
空気1m3中の水蒸気量
[g/m3]
湿度
[%]
=
×100
その気温での飽和水蒸気量
[g/m3]
・雲のでき方…上空は気圧が低いため,空気が上昇すると膨張し
て温度が下がり,露点に達して雲が発生する。 理解
・上昇気流のでき方…日光で地面の一部が熱せられたとき。空気
が山の斜面をはい上がるとき。前線付近など。
・霧のでき方…晴れた夜に地面から熱が放出されて地面が冷え,
空気が冷やされて露点に達して霧が発生する。 理解
3 気圧と風 ⇒確認 3,演習 2,3
・ 等 圧 線 … 気 圧 の 等 し い 地 点 を 結 ぶ 線。1000hPa を 基 準 に,
▷晴れの日には,午後 2 時ごろに気温が最も高くなる。このよ
うになるのは,空気は透明なため,太陽の光エネルギーを直接
吸収できず,まず地面が光エネルギーを吸収し,その熱で空気
があたためられるからである。
2 空気中の水蒸気
▷露点は,その水蒸気量で湿度 100%となるような気温のことで
ある。
▷湿度とは,その気温で含みうる最大の水蒸気量に対して実際に
どのくらい(何%)含まれているか,を示していることを確認し
ておく。
▷空気中の水蒸気量の変化が小さいとき,気温と湿度は逆の変化
をすることを,飽和水蒸気量の変化から説明する。
▷前線以外で上昇気流のできる場合について確認する。「空気が
局部的にあたためられたとき」や「空気が山をこえるとき」な
ど。
▷霧は,風のない晴れた夜に地面から熱が逃げ,地面の温度が
大きく下がると発生する。 晴れた日の夜は,放射冷却によっ
て地面がよく冷やされるため,霧が発生しやすい。
3 気圧と風
▷低気圧・高気圧の地表付近の風の吹き方(右回り・左回り)につ
4hPa ごとに引かれ,20hPa ごとに太線で示される。
・高気圧…風がふき出す。下降気流→天気は良い。 暗記
いては,視覚的な説明が理解しやすい。模式図を用いて説明し
・低気圧…風がふきこむ。上昇気流→天気は悪い。 暗記
▷上昇気流…地表付近の暖かい空気が上空で冷やされ,水滴や氷
・風のふき方…気圧の高いところから低いところへふく。等圧線
の間隔がせまいほど,風力は大きい。 暗記
たい。
が発生する。→天気は下り坂。
▷下降気流…上空の冷たい空気が地表付近であたためられ,空気
が乾燥する。→天気が良くなる。
4 前線・日本の天気 ⇒確認 4,5,6,演習 2,3,4
・寒冷前線…寒気が暖気を押し上げ,積乱雲が発達する。にわか 4 前線・日本の天気
雨が降り,通過後気温が下がる。 理解
・温暖前線…暖気が寒気の上をはい上がり,乱層雲が発達する。
おだやかな雨が長時間降り,通過後気温が上がる。
・日本の天気 暗記
①冬…西高東低の気圧配置。シベリア気団が発達。
②夏…南高北低の気圧配置。小笠原気団が発達。
▷寒冷前線と温暖前線については,図を用いて,でき方,垂直断
面のようす,雲と雨の降り方,風向の変化のようすをしっかり
と覚えさせる。
▷寒冷前線や温暖前線を伴う低気圧は,日本付近では西から東へ
移動することを指導する。
▷大陸で発達する気団(シベリア気団,揚子江気団)は乾燥してい
③春・秋…移動性高気圧と低気圧が交互に日本を通過。
て,海上で発達する気団(オホーツク海気団,小笠原気団)は
④梅雨…オホーツク海気団と小笠原気団の勢力がつり合い,停
湿っている。
滞前線
(梅雨前線)が発生し,くもりや雨が続く。
・偏西風…日本の上空を1年中西から東に吹く風。
・季節風…夏は海洋から大陸,冬は大陸から海洋へ吹く風。日本
付近では風向は夏は南東寄り,冬は北西寄りとなる。
▷寒気と暖気の勢力が同じくらいのときに停滞前線ができる。
▷基本的に季節風の原理は,海陸風と同じである。大陸はあたた
まりやすく冷えやすい一方,海洋はあたたまりにくく冷えにく
いという特徴がある。このため,夏は大陸に上昇気流が発生し,
海洋からの季節風が吹き込む。冬は逆の現象が起こる。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
生命の連続性
9
◆指導ページ P.50 ~ 55 ◆ 【指導のねらい】
★細胞分裂のしくみを理解し,順序をいえるようにする。
★有性生殖と無性生殖の違いについて理解を深める。
★遺伝の法則の特徴を理解し,遺伝の規則性を身に付ける。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 細胞分裂と成長 ⇒確認 1,演習 1
1 細胞分裂と成長
・細胞分裂… 1 個の細胞が 2 つに分かれること
▷細胞分裂がどのような順序で起こるのかをしっかり指導し
①細胞分裂がさかんな場所…植物の根の先端など
たい。
②染色体…細胞分裂が起こるときに見え始める糸状のもの。
核
▷細胞分裂の種類
染色体
①体細胞分裂…細胞分裂をする際,核も 2 つに分かれる分
裂。通常の細胞分裂はすべて体細胞分裂である。
分裂前の細胞
染色体が現れる
②減数分裂…生殖細胞をつくるとき,染色体の数を半分に
染色体が中央に
並び,縦に 2 等
分される
成長する
する特別な細胞分裂。有性生殖でふえる生物のみ行う。
▷細胞分裂の観察実験の注意点
①塩酸処理…細胞 1 つ 1 つを離れやすくするために行う。
しきり
②カバーガラスにろ紙をかぶせて押しつぶす…顕微鏡で観
察するときに細胞どうしの重なりをなくすために行う。
細胞が 2 つに
分かれる
新しい核ができ
中央にしきりが
できる
※垂直に押しつぶさないと細胞がくずれてしまう。
染色体が両端に
移動する
▷生物の成長の手順を間違えないようにしたい。
細胞分裂で数を増やす→もとの大きさまで大きくなる。
・生物の生長…細胞分裂により数を増やし,細胞がもとの大きさまで
大きくなることで成長する。
2 生物のふえ方
▷動物と植物の生殖細胞の名称を区別できるようにする。ま
2 生物のふえ方 ⇒確認 2,演習 2,3
た,どれとどれが同じ特徴をもつのかも確認する。
・生殖…同じ種類の生物の個体をふやすはたらき。
①動物…精子と卵
・有性生殖…雌雄が関係してなかまをふやす。
①生殖細胞…有性生殖をする生物のみがつくる生殖するための細胞。
②受精…生殖細胞の核どうしが合体すること。受精した卵(卵細胞)
を受精卵という。
②植物…精細胞と卵細胞
▷植物の有性生殖の特徴
①やくでつくられた花粉がめしべの柱頭につく(受粉)。
③胚…受精卵が細胞分裂したもの。
②精細胞を胚珠の中の卵細胞に送るために花粉管がのびる。
④発生…受精卵が成長していく過程。
③受精卵が細胞分裂を繰り返す過程で,子房は果実,胚珠
・植物の有性生殖 理解
受粉→花粉管をのばす→受精→受精卵→(発生)→胚→芽生え
※種子の中にあり,芽が出る前の状態を胚という。
・動物の有性生殖 理解
受精→受精卵→(発生)→胚→子
※自分でえさをとり始める前の状態を胚という。
・減数分裂…生殖細胞をつくるときに行われる特別な細胞分裂。染色
体の数が親の半分になる。 暗記
・無性生殖…雌雄が関わらないでなかまをふやす。
分裂…アメーバなど,タネイモ…ジャガイモなど
さし木…サツマイモなど,むかご…ユリなど
胞子…イヌワラビなど,出芽…セイロンベンケイなど
3 遺伝のきまり ⇒確認 3,演習 4
・形質…その生物の形や性質。
・遺伝…親の形質を子に伝えるはたらき。
①遺伝子…形質を伝えるためのもの。染色体に含まれる。本体はデ
オキシリボ核酸(DNA)。 暗記
※染色体は対になっていて,生物によって本数が決まっている。
ヒトは 23 対 46 本である。
②無性生殖の遺伝…子は親と全く同じ遺伝子を受け継ぐ。
③有性生殖の遺伝…子は親の遺伝子を半分ずつ受け継ぐ。
・純系…代々同じ形質を現す。
・分離の法則…減数分裂によって生殖細胞がつくられるとき,対の遺
伝子が分かれ,別々の生殖細胞に入ること。 暗記
・優性の法則…異なる純系どうしをかけ合わせると,子はすべて優性
の形質が現れること。 暗記
①優性の形質…子に現れる形質。
②劣性の形質…子に現れない形質。
は種子となる。
▷動物の有性生殖の特徴
①精子は精巣,卵は卵巣でつくられる。
②カエルの発生の順序がよく出題されるので,指導する。
▷発生途中の細胞分裂は細胞の数はふえるが,細胞の大きさ
は大きくならない。
▷無性生殖の分裂は体細胞分裂である。
3 遺伝のきまり
▷無性生殖は遺伝子がそのまま受け継がれるので,形質も全
く一緒。有性生殖は,雄,雌それぞれから半分ずつ遺伝子
を受け継ぐので,形質はどちらの親とも異なる場合がある。
▷遺伝の規則性は,表にして考えさせるとよい。
有性の遺伝子…A,劣性の遺伝子…a
① Aa と aa での遺伝
すべて Aa となる。
有 性の法則より,Aa では有性の形質が
a
a
A Aa Aa
A Aa Aa
現れる。
② Aa と Aa での遺伝
AA:Aa:aa = 1:2:1
形質で分けると,優性:劣性= 3:1
③ Aa と aa での遺伝
Aa:aa = 1:1
優性:劣性= 1:1
▷ヒトの血液型を例にして説明するのもよい。
優性の形質…A型,B型,劣性の形質…O型
A
a
A AA Aa
a Aa aa
a
a
A Aa Aa
a aa aa
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
化学変化とイオン⑴
10A
◆指導ページ P.56 ~ 61 ◆ 【指導のねらい】
★原子の構造やイオンのでき方について理解する。
★電離のようすをイオン式を用いて書くことができる。
★電解質と非電解質について理解を深める。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 原子の構造 ⇒確認 1,演習 1,2
1 原子の構造
・原子…原子核 1 個と電子でできている。電気的に中性。 暗記
①原子核…+の電気をおびており,陽子と中性子からできてい
▷原子の状態のときは陽子と電子の数が同じなので電気をおびて
いない。この状態を電気的に中性という。
▷陽子 1 粒と電子 1 粒の電気の量は等しいことも説明しておく。
る。
②陽子…+の電気をおびている。陽子の数は,原子の種類に
よって決まっている。
③中性子…電気をおびていない。
④電子…-の電気をおびた小さな粒。
・原子と電気…原子全体では陽子と電子の数は等しいので,電気
を帯びていない。 理解
2 イオン
2 イオン ⇒確認 2,3,4,演習 2
▷原子は普段は+の電気も-の電気も帯びていないが,失った電
・イオン…原子などが電気をおびてできた粒。
①陽イオン…原子が電子を失い,+の電気をおびた粒。
子の数の分だけ陽イオンに,受け取った数の分だけ陰イオンに
②陰イオン…原子が電子を受け取り,-の電気を帯びた粒。
なる。
▷陰イオンには,~化物と呼び方が変化するものがあることに注
・イオン式…イオンを記号で表したもの。 暗記
①陽イオンの表し方…原子の記号の右肩に+の記号と,失った
意する。
例:OH−…水酸化物イオン Cl−…塩化物イオン
原子の数を書き加える。
②陰イオンの表し方…原子の記号の右肩に−の記号と,受け
取った電子の数を書き加える。
O2−…酸化物イオン
NH4+ …アンモニウムイオン
SO42−…硫酸イオン
CO32−…炭酸イオン
▷金属はすべて陽イオンとなる。金属と化合するものは陰イオン
・おもなイオン 暗記
陽イオン
となる。
陰イオン
イオン名
イオン式
イオン名
イオン式
水素イオン
H+
水酸化物イオン
OH−
ナトリウムイオン
Na+
塩化物イオン
Cl−
銅イオン
Cu2+
硫酸イオン
SO42−
3 電解質と非電解質 ⇒確認 5,6,演習 3,4
・電解質…水に溶けたとき,できた水溶液が電流を流す物質。
例:塩化水素,水酸化ナトリウム,塩化ナトリウムなど
・非電解質…水に溶けても,できた水溶液が電気を通さない。
例:砂糖,エタノールなど
・電離…電解質が水に溶とけて,陽イオンと陰イオンに分かれる変
化。非電解質は電離しない。
・電離を表す式 暗記
①塩化水素:HCl → H+ + Cl−
②塩化ナトリウム:NaCl → Na+ + Cl−
③塩化銅:CuCl2 → Cu2+ + 2Cl−
④硫酸:H2SO4 → 2H+ + SO42−
3 電解質と非電解質
▷電離のようすをイオン式で表せるようにしたい。
HCl → H+ + Cl−
NaOH → Na+ + OH−
NaCl → Na+ + Cl−
CuCl2 → Cu2+ + 2Cl−
▷電気を通しにくい液体は,水,砂糖水,エタノールの 3 つは絶
対におさえておきたい。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
化学変化とイオン⑵
11A
◆指導ページ P.62 ~ 67 ◆ 【指導のねらい】
★電気分解,化学電池のしくみと,イオンの移動について理解を深める。
★電気分解と化学電池の違いについて理解する。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 電気分解 ⇒確認 1,2,3,演習 1,2
1 電気分解
・電解質の電気分解 理解
▷塩酸の電気分解は電気分解装置を用いて行うことが多い。それ
①陽極…陰イオンが引かれる。陰イオンは陽極に電子を渡し,
①陽極…刺激臭のある気体発生。脱色作用。→塩素
原子に戻る。
②陰極…陽イオンが引かれる。陽イオンは陰極から電子を受け
▷塩化銅水溶液は青色の水溶液である。電気分解により銅イオン
①水 素イオン H+ は陰極へ,塩化物
+電源 − −
− 塩素が 水素が
イオン Cl- は陽極へ引かれる。
発生
発生 −
②陰 極で H+ は電子を受け取り水素
− Cl Cl H+ H+
原子 H に,陽極で Cl- は電子を失
−
−
Cl
Cl−
H+ − + い塩素原子 Cl になる。
H
−
Cl
③ H と Cl は 2 個ずつ結びつき,水
H+
が減少するため色がうすくなることを確認する。
▷青色を示すのが銅イオンであることも説明するとよい。
①陽極…刺激臭のある気体発生。脱色作用。→塩素
②陰極…赤褐色の固体が電極に付着
→たたくとのびる,金属光沢,電流や熱を通しやすい→銅
素分子 H2,塩素分子 Cl2 になる。
H+
Cl−
②陰極…マッチの火を近づけると音を立てて燃える→水素
③陽極の方が集まる気体が少ない→塩素は水にとけやすいから。
取り原子に戻る。
・塩酸の電気分解… 2HCl → H2 + Cl2
塩化物イオン
ぞれの電極から発生する物質の特徴を確認する。
水素イオン
・塩化銅水溶液の電気分解…電流を流し続けると,銅イオンが
減って青色がうすくなる。全体として,CuCl2 → Cu + Cl2 の
反応が起こる。
①銅イオン Cu2+ は陰極へ,塩化物イオン Cl−は陽極へ引かれ
る。
②陰 極で Cu2+ は電子を受け取り銅原子 Cu に,陽極で Cl− は
電子を失い塩素原子 Cl になる。
③ Cu は電極に付着し,Cl は 2 個ずつ結びつき,塩素分子 Cl2
になる。
2 電池とイオン ⇒確認 4,5,6,演習 3,4
・化学電池…電解質水溶液に 2 種類の金属板を入れると電圧が生
じる。 理解
①電極…組み合わせる金属によって+極と-極が決まる。
2 電池とイオン
▷化学電池の特徴
①電解質水溶液を用いる…電子を移動させたいから。
② 2 種類の金属板を用いる…+と-の電極をつくりたいから。
②-極…-極となる金属は陽イオンとなって水溶液中にとける。 ▷イオンになりやすい金属が-極となる。
(な り や す い)K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni >
③+極…水溶液中の水素イオンが,+極から電子を受け取り水
Sn > Pb >(H)> Cu > Hg > Ag > Pt > Au(なりにくい)
素となって発生する。
※(H)よりもイオンになりにくい金属は酸にとけない。
・塩酸と亜鉛板・銅板を用いた化学電池
−極から
亜鉛が
とけ出す
塩酸
−極
+極
(亜鉛板) (銅板)
Cl−
Zn
Zn2+
+極から
水素が発生
H+
H2
HH
H
H
H+
亜鉛イオン
Zn2+
−
塩化物イオン Cl
①亜 鉛 Zn が電子 2 個を出し,亜鉛
イオン
Zn2+
になってとけ出る。
②電子が導線を移動する。
③水 素イオン H+ が銅板から電子を
受け取って水素原子 H になり,
水 素 原 子 が 2 個 結 び つ き, 水 素
H2 が発生する。
・いろいろな電池 暗記
①一次電池…充電のできない電池。
②二次電池…充電のできる電池。
③燃料電池…水素と酸素の化合から電流を得る。
亜鉛と銅を用いた電池の場合,亜鉛(Zn)の方が銅(Cu)より
イオンになりやすいので,亜鉛が-極,銅が+極となる。
▷+極として炭素が使える場合がある。ただし,あまり大きい電
圧は発生しない。
▷一次電池…マンガン電池,リチウム電池,酸化銀電池など
▷二次電池…鉛蓄電池,リチウムイオン電池,ニッケル水素電池
など
▷燃料電池…水しか発生しないので,環境にやさしい
①水素が電離する→電子が移動→電流が流れる
②酸素に向かって電子が移動→酸化物イオンとなる
③水素イオンと酸化物イオンが合わさって水となる
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
化学変化とイオン⑶
12A
◆指導ページ P.68 ~ 73 ◆ 【指導のねらい】
★酸・アルカリと,指示薬による判別の仕方を理解する。
★中和反応とイオンの関係について理解を深める。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 酸・アルカリ ⇒確認 1,2,3,演習 1,2,3
1 酸・アルカリ
・酸…電離して水素イオンが生じる物質。
▷酸性の水溶液…塩酸,硫酸,硝酸,食酢(うすい酢酸),レ
・アルカリ…電離して水酸化物イオンが生じる物質。
モン水など
・酸性の水溶液の性質 暗記
うすい酸性の水溶液はすっぱい味がする。
▷アルカリ性の水溶液…水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,
①青色リトマス紙を赤色にする。
水酸化バリウム,石灰水,水酸化カルシウムなど
②緑色のBTB溶液を黄色にする。
うすいアルカリ性の水溶液はにがい味がし,手をつけると
③亜鉛などの金属を溶かして水素を発生させる。
ぬるぬるする。
④電流が流れる。
▷中性の水溶液…水,食塩水など
・アルカリ性の水溶液の性質 暗記
①赤色リトマス紙を青色にする。
▷酸性・アルカリ性の水溶液の特徴
②緑色のBTB溶液を青色にする。
特にBTB溶液は指示薬としてよく用いられるので,色の
変化を確実に覚えさせる。
③無色のフェノールフタレイン溶液を赤色にする。
④電流が流れる。
・酸性・アルカリ性の強さ… pH によって表される。 暗記
①酸性… pH が 7 より小さいほど酸性が強い。
②アルカリ性… pH が 7 より大きいほどアルカリ性が強い。
③中性… pH が 7 のとき。
・指示薬の変化 暗記
酸性
中性
アルカリ性
青色リトマス紙
赤色に変化
変化なし
変化なし
赤色リトマス紙
変化なし
変化なし
青色に変化
BTB 溶液
黄色
緑色
青色
フェノールフタレイン液
変化なし
変化なし
赤色
2 中和
2 中和 ⇒確認 4,5,演習 3,4,5
・中和…水素イオンと水酸化物イオンが反応して水ができる化学変化。 ▷中和反応
①中和するときは,水と塩が必ずできることをしっかり覚
H+ + OH -→ H2O 理解
えさせる。
中和反応は発熱反応である。
・塩…酸の陰イオンとアルカリの陽イオンが結びついてできる物質。
②塩酸と水酸化ナトリウム,硫酸と水酸化バリウムの反応
は,仕組みを細かく指導する。
水に溶けるものや溶けないものがある。
▷塩
酸+アルカリ→塩+水
①塩には,水に溶けやすいものと,水に溶けにくいものが
・中和反応と生じる塩 暗記
あることを覚えさせる。
①塩化水素 + 水酸化ナトリウム → 塩化ナトリウム + 水
②塩化ナトリウムなど,水に溶けやすい塩は見えないが,
HCl + NaOH → NaCl + H2O
②硫 酸 + 水酸化バリウム → 硫酸バリウム + 水
水を蒸発させることで結晶が残り,取り出すことができ
H2SO4 + Ba(OH)2 → BaSO4 + H2O
る。
③塩化水素 + 水酸化カリウム → 塩化カリウム + 水
HCl + KOH → KCl + H2O
・塩酸と水酸化ナトリウムの中和モデル
水酸化ナトリウム水溶液
Na
+
Na
−
OH
+
Na
−
OH
H
+
Cl
−
H
塩酸
酸性
+
Cl
−
H+がある
ので中和
が起こる
中和
H
H2O Cl
Cl
−
−
OH
中和
+
+
−
+
Na
H+がある
酸性
H+がある
ので中和
が起こる
−
Na
+
Cl Cl
H2O
混合
−
Na
+
H2O
H+もOH−もない
中性
H+がない
ので中和が
起こらない
−
−
−
+
Na
Cl OH Cl
Na
+
Na
H2O H2O
OH−がある
アルカリ性
+
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
運動とエネルギー⑴
10B
◆指導ページ P.74 ~ 79 ◆ 【指導のねらい】
★力のつり合いについて理解する。
★力の合成,力の分解の作図をできるようにする。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 力のつり合い ⇒確認 1,2,演習 1
1 力のつり合い
・力のつり合い… 1 つの物体に 2 力がはたらいても物体が動かな
いとき,2 力はつり合っているという。
▷ 2 力が同じ物体にはたらいていないといけないことを強調する。
▷それぞれの力の矢印のかき方も身につけられるように指導する。
・同じ物体にはたらく 2 力がつり合う条件 理解
①重力…物体の中心から下向きに矢印をかく。
① 2 力の大きさは等しい
②垂直抗力…物体とばねの接点から上向きにに矢印をかく。
② 2 力の向きは反対である
③摩擦力…物体と机や床などの接点から力を加えた向きと逆向
きにかく。
③ 2 力は一直線上にある(作用線が一致する)
2 力はつり合っていない
④浮力…物体の中心から上向きに矢印をかく。
2 力はつり合っている
静止する
動く
2 力が一直線上にない
ので動く
2 力が一直線上にある
ので動かない
・つり合う 2 力
・重力と垂直抗力
・物体を押す力と摩擦力
垂直抗力
重力
押す力 摩擦力
2 力の合成
2 力の合成 ⇒確認 3,4,演習 2 〜 5
・力の合成… 2 つの力と同じはたらきをする合力を求めること。
▷作図方法をしっかりと身につける。
方眼がある場合は方眼の数を数えて平行線を書く。
理解
方眼がない場合は三角定規を用いて平行線を書く。
・合力… 2 つの力を 1 つの力として表したもの。
・一直線上ではたらく 2 力の合成…和や差で表す。
① 2 力の向きが同じ場合…大きさが 2 力の和になり,向きが 2
力と同じになる。
力の和
F₂
F₁
F
F₁
F=F₁+F₂
F₂
② 2 力の向きが反対の場合…大きさが 2 力の差になり,向きが
2 力のうちの大きい方と同じになる。
F₁
力の差
F₂
F₂
F
F₁
F=F₂−F₁
・角度をもってはたらく 2 力の合成… 2 力を 2 辺とする平行四辺
形をつくると,その対角線が合力を表す。
F₁
F₁
F₁
F
合力
F₂
F₂
F₁と F₂を 辺とする
平行四辺形をつくる
F₂
3 力の分解
3 力の分解 ⇒確認 4,5,演習 3 〜 5
・力の分解… 1 つの力と同じはたらきをする 2 つの力を求めるこ
と。もとの力を対角線とする平行四辺形の 2 辺になる。 理解
F
F
F
F₁
に垂直な力の 2 つである。斜面の傾きを大きくすると分力の大
きさが変わる。
①斜面に沿った下向きの力→大きくなる
分力
F₂
, 方向の分力を求める Fを対角線とする
平行四辺形をつくる
▷斜面上の物体の重力の分力は,斜面に沿った下向きの力と斜面
②斜面に垂直な力→小さくなる
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
運動とエネルギー⑵
11B
◆指導ページ P.80 ~ 85 ◆ 【指導のねらい】
★力の合成,力の分解の作図をできるようにする
★記録タイマーの記録から,運動のようすを知ったり速さを求めたりすることができるようにする。
★仕事の基礎・計算方法を身に付ける。エネルギーの特徴や移り変わりについて理解する。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 物体の運動 ⇒確認 1
速さ
[m/s
(km/h)]=
1 物体の運動
移動距離
[m
(km)]
移動にかかった時間[s(h)]
①瞬間の速さ…ごくわずかな距離をかかった時間で割った値。
②平均の速さ…移動距離をかかった全体の時間で割った値。
▷さまざまな運動のようすを確認しておきたい。
①向きだけ変化する運動…観覧車など
②速さだけ変化する運動…自由落下など
③両方とも変化する運動…ジェットコースターなど
④両方とも変化しない運動…雨粒,エスカレーターなど
▷記録タイマーの打点のしかた
2 力がはたらく運動 ⇒確認 1,2,3,演習 1,4
・だんだん速くなる運動…運動と力の向きが同じ。斜面を下る運
動,自由落下など。
・斜面を下る運動
①時間と速さの関係…速さは,時間に比例して速くなる。
②斜面の角度と速さの変化…斜面の角度が大きいほど,斜面方
向の力が大きくなり,速さのふえ方の割合が大きくなる。
斜面の傾き 小
2 力がはたらく運動
▷斜面を下る運動では,速さはだんだん速くなるが,力の大きさ
は一定である。力も大きくなると誤解する生徒が多いので注意。
斜面の傾き 大
0.1 9
8
8
秒間に移動した距離
秒間に移動した距離
0.1 9
7
7
6
6
5
5
4
4
〔㎝〕
3
3
4
4
〔㎝〕
3
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
0
①東日本… 1 秒間に 50 打点→ 1 打点が 1 秒→ 5 打点で 0.1 秒
50
②西日本… 1 秒間に 60 打点→ 1 打点が 1 秒→ 6 打点で 0.1 秒
60
時間
0
0
時間
・だんだん遅くなる運動…運動と力の向きが反対。斜面を上がる
運動,摩擦のある面での運動など。
3 力がはたらかない運動 ⇒確認 1,4,演習 2
・等速直線運動…一定の速さで一直線上を動く運動。 暗記
①物体に力がはたらいていないとき。
②物体にはたらく 2 力がつり合っているとき。
・慣性の法則…物体に力を加えないかぎり,静止している物体は
いつまでも静止し続け,運動している物体はいつまでも等速
直線運動を続ける。だるま落とし,バスや列車の発車・停車
暗記
3 力がはたらかない運動
▷物体が等速直線運動をするとき,移動距離は時間に比例する。
▷慣性の例…列車において
急停車する→からだが進行方向に倒れる。
急発進する→からだが進行方向とは逆に倒れる。
4 力のおよぼし合い
▷作用反作用とつり合いの違いはしっかり指導したい。
①作用反作用→ 2 つの物体どうしの力のやりとり。
4 力のおよぼし合い ⇒確認 5,演習 3
・作用・反作用の法則…物体に力を加える(作用)と,物体から反
対向きにはたらく大きさの等しい力(反作用)を受ける。 理解
※つり合いとは違う。
② 2 力のつり合い→ 1 つの物体にはたらく 2 力の関係。
新演習 夏期必修テキスト 理科中3 指導のポイント
運動とエネルギー⑶
12B
◆指導ページ P.86 ~ 91 ◆ 【指導のねらい】
★仕事の基礎・計算方法を身に付ける。
★エネルギーの特徴や移り変わりについて理解する。
学 習 内 容
補足知識・留意事項など
1 仕事 ⇒確認 1,2,3,演習 1,2,3
1 仕事
・仕事…物体に力を加え,その向きに移動させたとき,力は物体
に対して仕事をしたという。単位は J。 暗記
仕事
[J]
=力の大きさ
[N]×力の向きに動いた距離[m]
▷てこや斜面でも仕事の原理が成り立つ
①定滑車…力の向きを変える。力の大きさは変わらない。
②動滑車…加える力が 12 になるが,移動距離は 2 倍になる。
動滑車
10N で
1m 引く
力の大きさ=重力× a
b
②斜面を使った力の大きさ
高さ→a,斜面の長さ→b 力の大きさ=重力× a
b
5N で
2m 引く
10N
1m
10[N]×1[m]=10[J]
①てこを使った力の大きさ
支点―作用点間の距離→a,支点―力点間の距離→b
も仕事の大きさは変わらない。 理解
10N
▷「手に荷物を持って歩いた」場合など,力の向きに動いていな
▷動滑車は,必ず力の大きさが 12 になることを指導する。
・仕事の原理…道具の質量や摩擦を考えないとき,道具を使って
2 本で
支える
②摩擦のある水平面上で動かす→摩擦力とつり合う力を加える。
仕事をしていないことになる場合があることを理解させる。
仕事
[J]
仕事率
[W]=
仕事にかかった時間
[s]
力の向き
を変える
①垂直に持ち上げる→重力とつり合う力を加える。
い場合,仕事は 0 であることに注意する。力を加えた場合でも,
・仕事率…仕事の能率,単位は W。]暗記
定滑車
▷力の大きさについて以下のことに注意する。
1m
5[N]×2[m]=10[J]
2 エネルギー ⇒確認 4,5,6,演習 2,3,4
・エネルギー…他の物体に対して仕事をする能力
・位置エネルギー…高い位置にある物体がもつエネルギー。物体
の高さと質量に比例する。 暗記
2 エネルギー仕事
▷位置エネルギーの大きさ
①物体の質量に比例 ②物体の高さに比例
位置エネルギー[J]=物体の質量[g]×基準面からの高さ[h]
・運動エネルギー…運動している物体がもつエネルギー。物体の
質量に比例し,速さの 2 乗に比例する。 暗記
3 力学的エネルギー ⇒確認 4,5,6,演習 2,3,4
▷運動エネルギーの大きさ
①物体の質量に比例 ②物体の速さの 2 乗に比例
運動エネルギー[J]= 12 ×物体の質量[g]×物体の速さ[m/s] ×物体の速さ[m/s]
・力学的エネルギー…位置エネルギーと運動エネルギーの和。
・力学的エネルギーの保存…摩擦や空気抵抗がないとき,力学的
エネルギーは一定。 理解
▷物体が斜面を下っていくとき,失った分の位置エネルギーが運
・エネルギーの移り変わり…変換されるときに一部不要なエネル
・エネルギーの保存…逃げたエネルギーを含めると,エネルギー
エネルギー
︹
力学的エネルギー
運動エネルギー
︺
位置エネルギーの減少分が,
運動エネルギーに変わる。
▷力学的エネルギーの保存は,摩擦や空気抵抗がないときのみ成
り立つ。
の総量は変わらない。
位置エネルギー
動エネルギーに変換され,斜面を上っていくとき,失った分の
運動エネルギーが位置エネルギーに変換される。
ギーとなって逃げていく。
J
3 力学的エネルギー
球の位置〔m〕
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