日本の農村社会は, 家族農業体制にも とづく 「家」 と基礎的

明治 大学 農学 部 研究 報 告
第94号(1992)43
《研 究 室紹 介 》
農 村 社 会 学 研 究 室
長谷川
昭
彦
日本 の農村 社 会 は,家 族 農業 体 制 に も とつ く 「
家 」 と基 礎 的 生活 の場 と して社 会 的統 一 性 を持
った 「村 」 とを基 礎 と して構成 され て い る。 か つ て は 「
家 」 は 直系 家 族 の性 格 を もち 「
村」はあ
る程 度 の封 鎖 性 を もった村 落 共 同体 と して の性 格 を もって い たが,最 近 で は 「家」 も 「
村 」 もそ
の構 造 と性 格 を激 変 させ て きて い る。 わ が農 村 社 会学 研 究室 は,こ の点 につ い て 農村 社 会 の変化
の方 向 性 を,都 市 を 中心 に して 農 村部 を 周 辺 に配 した広 域 地域 社 会 の形 成,異 質化 した住 民を 分
業 と民 主 主義 の原 理 に則 って統 合 す る地 域 複 合社 会 の形 成 そ して開放 的 で任 意 性 を 基調 と した社
会 関係 を 基調 とす る農 村 コ ミュ ニテ ィの形 成 と考 え,主 に 日本 農村 を研 究 対 象 と して 農…
村 調 査に
よ り実 証 的 に捉 え よ うとす る。
また,最 近 の 日本 の経 済発 展 は戦 前 の貧 しか った時 代 に は想 像 も及 ば ぬ ほ どの 豊 か さを達 成
し,現 在 の 日本 は 繁 栄 を 誇 っ てい る よ うに み え るが,そ の陰 に 日本 の 農 村 が 次 第 に 活 力 を失 っ
て,停 滞 化 し,荒 廃 して きてい る事 実 が あ る。 この点 に 着唱 して,も う一 つ の 課題 と して,特 に
過 疎 地域 を主 と して地 域社 会 作 りの 目標 の再 検 討,地 域 の 資源 の活 用,地 域 の 環境 や 地域 基 盤 の
整 備,地 域 の人 間 関係 の調 整i・集 団 の組 織化,価 値体 系 な い し地域 文 化 の確 立 とい う各面 の調和
の とれ た 施策 が 必要 で あ る とい う視 点 か ら農村 計 画 の手 法 を 用 いて,地 域 を振 興 し,農 村 を活性
化 す る方 策 を研 究 して い る。
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