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第 70 回国連総会における N.ナザルバエフ・カザフスタン共和国大統領

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第 70 回国連総会における N.ナザルバエフ・カザフスタン共和国大統領
第 70 回国連総会における
N.ナザルバエフ・カザフスタン共和国大統領一般討論演説
議長様、事務総長様、ご列席の皆様!
国連創設 70 周年記念に当たり、創設者たちが国連に対してどのような深刻な意味を
成したかについて意見交換をすることが重要です。グローバルな視点から見ると、国連
は現在でも歴史的に意義のある目標を成し遂げました。
第一に、この星の人たちは 70 年もの間、世界戦争なしで生活しています。
第二に、世界において大幅に脱植民地化が実現されました。70 年前、国連は 51 の加
盟国をもって発足しましたが、世界の大部分は植民地や信託統治下にある地域でした。
現在国連には 193 の独立国が存在しています。
第三に、国連は日常的に、困難だけれども必要とされる、安全及び発展を目指す対話
の国際的な活動の舞台になりました。その活動の場を通じ、我らが固有のこの星の運命
を形作ることで、人類は、多様性の中の統一性や、共同参画の必要性を感じます。
国連の創設者らは、はるか未来を見据える慧眼をもっていたといえます。そして世界
は現在も、彼らの夢と苦労の恩恵にあずかっています。
皆様!
カザフスタンは、国際法に基づいた国際関係、平和及び安全の信頼を取り戻すことを
目指す全ての取り組みを支援いたします。70 年もの間、国際社会は武力衝突を解決す
る効果的な方策を探しつづけています。しかしながら、衝突の件数は減りません。それ
らは、破壊された国々から現れた悪、国際テロリズムという、複雑な形に変わったよう
に見えます。
人類は、単なる紛争予防や紛争後の復興支援という定例の繰り返しに限らず、紛争を
無意味なものとするような、新たな発展戦略を立ち上げなければなりません。そのため
には、我々は勇気をもって、現在ではなく、国連創設 100 周年を祝う未来を見据える
べきです。
次の 30 年間のうちに、地球の文明が知恵を手に入れ、戦争や衝突という困難な問題
を一刀両断するだろうと、私は確信しております。
21 世紀において我々の中心的な課題は、世界から戦争の脅威を取り除き、その原因
を消し去るための戦略を推進することでありましょう。そのために、国連創設 100 周
年に向けて、「2045 年グローバル戦略イニシアチブ計画」を採択することをここに提案
します。その根幹は、すべての国々が世界のインフラ、資源、そして市場を平等に利用
できるような公平な条件を整備し、人類の発展に対する責任を共有することを通じて、
グローバルな発展における新たな潮流を作り出すことにあります。
第一に、国連経済社会理事会を「国際発展理事会」に改組することを提案します。この
理事会には、総会で選出された国連加盟国と共に、国際通貨基金を含む国連のすべての
専門機関の長が入ってもよいでしょう。
この理事会にはグローバル経済を規制する者となる義務が課されるべきです。理事会
により実現されるすべての国際計画が世界規模の経済成長の牽引役になります。これは、
世界規模の経済危機のリスクを大幅に低減すると同時に、各国が自らの経済・社会政策
をより責任感をもって実施することに資するでしょう。
また、今、「世界危機対策計画」を採択するというアイデアも時機にかなったもので
す。この計画の原案はすでにアスタナ経済フォーラムの場で検討されています。現在、
全世界の懸案事項となっているテロ、国家破綻、移民などの問題は、経済危機、貧困、
教育機会の欠如、そして失業などの結果生じているのです。
グローバルな危機対策として、まず、現在世界中の準備通貨の発行と循環を整理する
ことから始めなければなりません。今日の国際準備通貨は合法性、民主性、競争性、効
率性、そして国際管理といった基準に適するものではなくなっています。21 世界の世
界には、新たな手段が必要です。国連加盟国の間で、持続的な発展と繁栄に資するよう
な、新たな超国家的通貨の導入に向けた取り組みを進めるべきです。
第二に、広島と長崎への原爆投下 70 年を迎えるにあたり、核兵器のない世界を実現
することを 21 世紀における人類の第一目標としようではありませんか。このために、
核兵器廃絶に関する国連決議を採択することを提案いたします。
カザフスタンは、世界各国の中で初めて、みずから進んで核実験場を閉鎖し、世界で
4 本の指に入る規模だった核兵器を放棄し、さらに、中央アジアに非核地帯を創設した
国であります。今後、世界のほかの地域、とりわけ中東にも新たな非核地帯を作る必要
があります。核保有国は、核兵器を保有しないことを決めた国々に対し、武力の行使を
しない保証を与えるべきと考えます。
2013 年に、我々はアルマティでイランの核問題をめぐる協議を二度開催しました。
このため、イランの核開発に関する包括的行動計画の調印を歓迎します。今後、原子力
の平和利用に対する各国の権利と、核燃料への公平なアクセスを確固としたものとしな
ければなりません。この認識のもと、我々はカザフスタン共和国における IAEA の低濃
縮ウラン保管施設の設立を支持し、関連の協定に署名しました。
これは実に、世界規模の出来事といえます。安全で平和的な原子力の利用に向けた重
要な一歩であることを世界が評価するはずです。核エネルギー産業を発展させたい国々
においては、こんどこそウラン濃縮を行う必要性はありません。
国際的な反核運動の設立は重要な課題となっています。核実験の禁止について、世界
のすべての人々はそれぞれ貢献できますし、そして貢献しなければなりません。
第三には、国際法の崩壊と国際機関の役割の低下が懸念されます。国連憲章は、世界
大戦や武力衝突の何百万人の犠牲のもとで記されたものだということを忘れてはなり
ません。その条項への違反、特に国家の独立権と領土の確保は過去の悲劇的な誤ちを繰
り返すことになります。
国連憲章及び国際法の両方に反する恣意的な制裁は阻止されなければなりません。世
界の何百万人もの人の幸福を壊しかねない国際制裁の実行権は、安全保障理事会の特権
に留まるべきだと私は確信しています。この原則に違反することは現代の社会秩序の基
礎を破ることになってしまいます。それは、冷戦の遺物です。
普遍的な機関として国際連合に代わるものはないのだと、改めて強調いたします。各
国が国際的な義務を厳守することいまだには現代の世界秩序の基盤となっています。
ウクライナ危機の平和的解決、そして紛争の当事者らによるミンスク合意の履行にカ
ザフスタンは継続的に取り組んでいます。今こそ国際関係において談話、相互理解そし
て信頼を回復するように最大限の努力を尽くす必要性があります。2016 年における国
連国際会議において国際法の基本を確定するように要請し、開催を提案します。
第四には。テロまたは宗教の過激主義の脅威は益々グローバル化しています。国連の
後援の下に国際テロ及び過激主義に対する世界統一ネットワークの設立を提案いたし
ます。この課題を実行するにあたって、テロと戦うための国連の包括的な文書を作成し、
採択する必要があります。
第五には、国連の取り組みである「安定したエネルギーを各人へ」を支持し、2017
年にアスタナにおいて「未来のエネルギー」をテーマにした世界万博 EXPO2017 が開
催されます。我々はすべての国々に展示に参加していただけるようご招待します。未来
を見つめ、世界万博 EXPO2017 のインフラをベースにした、グリーンテクノロジー及
び投資プロジェクトの発展のための国際センターをアスタナにおいて国連の後援の下
に設立することを提案します。
同志の皆様!
2045 年グローバル戦略イニシアティブ計画の実行のため第一にすべきことは、国連
の下に「新たな未来:NEW FUTURE」というコンセプトをつくることです。国連設
立から 70 年後の今、人類進歩の新たな段階の課題を明確に決めなければなりません。
「新たな未来」とは核、エネルギー、水、そして食糧の安全をもたらし、さらには信頼、
相互理解の構築、そして改革のことだと信じています。ユーラシア地域においてカザフ
スタンは紛争当事者の平和的解決に仲介者の役割の努力を果たしてきましたし、今後も
その努力を尽くす方針です。私が概要をお話しいたしましたそれらの方針や原理はカザ
フスタンの国連安全保障理事会の 2017-2018 年期の非常任理事国への選挙運動の中心
となっています。第 70 回国連総会の参加各国の皆様が、我が国の立候補をご支持くだ
さいますことをご期待申し上げます。
皆様!
70 年前、旧国際連盟の代わりにジュネーブにおいて国際連合の設立が進められた際
に、本部をニューヨークに配置すると決定されました。当時の国際情勢は主に西半球の
役割が大きかったからです。経済発展の中心は旧世界から新世界へと、ヨーロッパから
アメリカへと移りました。この 70 年間、我々の世界はすっかりと変わった次第であり
ます。21 世紀において成長の中心は、世界の人口の 3 分の 2 が暮らし、莫大な資源が
集中する世界最大の大陸たるアジアへ、急速に移転しつつあります。アジアの途上経済
の強力な進展がグローバル化の過程において新たな現実性をあらわにさせました。世界
各国の関係に更なる刺激を与えるよう、この歴史的な変革と機会を有効に利用しなけれ
ばなりません。そのために、国連本部をアジアへ移転することをご提案いたします。
カザフスタンの発議が国際社会にてご採択いただけますことを期待します。
ご清聴まことにありがとうございました。
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