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新エネルギー関連産業波及調査及び事業可能性調査
燃料電池関連産業 調査報告書(概要版) 燃料電池関連産業振興に関わる現状と将来展開 県内燃料電池関連産業の実態と技術の方向性 燃料電池の生産・供給の市場概要 2009年に市場投入が始まった家庭用燃料電池(エネファーム)は、購入補助金の効果と東日本大震 災に伴う電力不足や計画停電により家庭における発電が脚光を浴びる中、 2011年秋には出力を抑えた 低コスト型の市場投入が行われ、市場拡大が期待される。また、2015年のFCVの販売開始に向け、日欧な どの自動車メーカーから実用化に向けた製品情報の発表が相次ぎ、家庭用燃料電池とともに市場拡大 が期待される。 これに伴い、水素供給ステーションの設置に向けて、関連法規制の緩和が進むなど、FCVの市場拡大と 水素供給など関連する新たなビジネスの拡大も期待されている。燃料電池システムには多種の補機類 が組み込まれており、補機類の量産を通じた多分野かつ新たな産業展開が期待される。特に、県内の金 属加工企業・化学合成企業・セラミック関連企業などコアコンピタンスを有する企業における事業拡大が 期待できる。 地元企業が有する生産・供給関連の要素技術 地元の要素技術 概要 現在試験導入・普及初期段階にあるPEFCは、間もなく量産化に移行するものと期待されており、補機類を中心に県内企 業の関わりが認められた。一方で燃料電池本体の製造に関しては、県内の主要な一部の企業のみが量産化の計画を持っ ている。また、技術開発の途上にあるSOFCなど、定置用を想定した高温作動型燃料電池の要素技術を有する企業が、県 内に多数立地することが明らかになった。セラミック関連では、県内企業がSOFC用セルの重要な素材(セラミックパウ ダーなど)を供給していることなどから、SOFCの事業化に向けて世界的にも重要な位置を占めていると言える。 また、県内に多数立地する金属加工・精密加工の技術は、電極一体製造技術の発展に欠かせない要素技術となっており、 今後の産業展開が期待されている。さらに、今後の燃料電池普及に伴い補機類の量産も必要であり、県内の金属・機械製 造関連産業にとっても、低コスト化・製造品質技術を活かした事業拡大が見込まれる。 関連産業の特徴 ●大規模需要の立地と知見の集積 自動車産業やガス事業を中心に関連産業が集中・蓄積されて きた背景がある。2015年のFCV販売開始に向けた水素供給イン フラの整備に、万博会場やセントレア(中部国際空港)での水素 供給ノウハウを生かすことが可能であり、関連技術と知見が当 該地域に集積している。 ●新たな燃料電池(SOFC)の事業化への取組み 県内にはPEFCに引き続き、将来、家庭用・業務用での大きな需 要が見込まれるSOFCに係る技術が集積されている。SOFCにつ いては、PEFCよりも高効率な発電が可能であるとともに、高温 排熱が得られるという特徴を有することにより、各種排熱利用 の研究が進められている.また、県内企業が開発する平板型 SOFCは学会等で高い評価を得ている。 ●水素インフラ整備に対する期待 隣接する県にはスズキ㈱など、既に燃料電池二輪車を開発し ている企業が立地している。また、トヨタ自動車㈱がFCV量産、 量販することなどから地元企業、周辺地域の企業の水素供給イ ンフラ整備に対する期待が大きい。将来の燃料電池関連産業の 振興のためにも水素インフラの整備・普及に向けた期待の大き なエリアであると言える。 ●物流拠点での水素利用事業展開と推進 県内には大規模な物流拠点(名古屋港・セントレアなど) が立地していることから、物流拠点での水素利用事業の有 効性の検証・実証にはふさわしい地域であり、このような 取り組みを通じて得られる知見を蓄積することは、将来の 事業展開に向けて優位となりうる。特に、物流拠点は大量 のエネルギー(燃料)が消費されることから水素の初期需 要の確保の面において有利であるとも考えられる。大量の 水素需要は水素利用の効果が明確になり、CO2削減の効果 を期待した事業の実施にふさわしいと言える。 ●水素製造に係る産業振興の可能性 水素の販売コストの大半は輸送・貯蔵によって占められ ており、水素供給は極力近接したエリアで行うことが望ま しい。 県内には製鉄所・製油所が多数立地していること から副生水素の安価な供給が期待でき、エネルギーの地産 地消につながる。なお、県内の水素製造拠点が湾岸地域に 多数立地していることから、水素原料の輸送をはじめ水素 の輸送にとっても有利な条件を兼ね備えていると言える。 課 ●機械製造技術(補機類の製造・プラント建設に関わる機械製造技術) ●素材開発技術(セラミックパウダーや電極触媒素材の開発) ●精密加工技術(電極の加工精度や歩留まりの向上、 加工コストの低廉化や金型製造技術など) ●検査関連技術 愛知県内に潜在する大きな燃料電池 マーケットと部素材供給力・加工・機械 製造技術を背景とした、新たな燃料電 池産業戦略の構築を目指す。 ●セラミック関連技術と素材 セラミック技術を有する地元企業には、世界中のSOFCメーカーの電極素材を設計 ・開発しており、今後各社の燃料電池が製品化・量産化されるに従い、セラミック関連 素材産業の更なる事業拡大が見込まれる。 県内での水素製造・貯蔵と交通インフラシ ステムとの連携による輸送・供給ネットワーク を構築し、中京圏を核とした低価格な水素供 給ビジネスの事業化を図る。 ●セラミック素材をベースとした差別化 ●電極一体製造技術 燃料電池(PEFC)の電極製造において、薄膜製造技術は重要な技術である。薄膜 化技術とガス拡散層を加えた一体製造(MEA)技術により、低コスト化、コンパクト化、 軽量化が可能となる。 電極の量産工程でのMEA技術には、金属加工や薄膜化技術 も含まれ、これらの産業が立地している本県は、他県との差別化において有利とい える。一方で技術の獲得には初期投資がかさみ、量産時にも生産ラインを一新する 必要があることが参入障壁の一つである。 全国の燃料電池メーカーの試作品で採用 されているセラミック素材のほとんどは県内 企業が提供している。各社の量産化時期を迎 え提供素材の多様化、低コスト化を推進する。 ●燃料電池補機類に係る技術展開 燃料電池の補機類に関しては、ブロワ、バルブ、計測機器類など多品種に亘って いることから、県内のものづくり産業の参入余地は大きく、エネファームなどの既量 産品の低価格化を図る上でも重要な分野である。まだ未成熟な産業分野であるこ とから、積極的に企業間協力が行われている。補機類はシステム全体に占めるコスト の割合が高いため低コスト化が重要であるが、高すぎる品質がその足かせとなって いる。今後、品質の適正化・低コスト化・耐久性の向上にあたって県内の技術への期待 が大きく、実証データに基づく品質の無駄を省いた低コスト化が求められる。また、 セラミックスを利用した小型ブロワの開発など、高温作動型燃料電池に係る補機の 開発は今後の課題である。 MEA一体製造に向けた化学薄膜技術と金 属製造技術など異なった技術領域の共同事 業化による、燃料電池分野への新規参入を促 進する。 ●金属加工・精密加工技術の特殊性 金型製造は発注元のニーズに対して個別に対応し、金型や離型剤の調整が重要 である。そのため、製品の試作・開発段階から参入を果たしてきた企業でなければ、 当該製品の量産化は困難である。一方、量産時には試作・開発で利用した生産ライン を活用できる可能性が高く、初期投資の軽減が期待できる。また、PEFCを多数積層 する技術は治具等による特殊技術が必要な他、水素インフラ整備においてはより低 温にも耐え得る溶接技術が求められる。このような一面は、地元企業の新規参入を 阻害する要因である反面、中国などの廉価な製品には強い競争力を有する技術と も言える。 ●異なった業界の連携による 燃料電池分野への参入戦略 ●系統安定化システムとしての実証開発 県内の港湾・空港など公的な閉領域での燃 料電池の実用化・実証支援を行い、関連事業 者のビジネス創出・拡大と技術の実証ととも に電力供給の安定化を図る(スマートグリッド の構築など)。 ●災害・緊急時用分散型電源としての システム化と実証取組 公的施設や高速道路のSA/PAへの定置型 燃料電池の積極導入を進め、分散型発電シス テムの災害時・緊急時も含めた利用を促進す る。ノウハウの蓄積ならびに技術のフィード バックにより地元企業の技術開発に資すると ともに、参入障壁の軽減を図る。 ●県内に立地している機械・加工 関連産業との積極的な連携 強みとしている技術 ●化学工業技術(MEA、電極の薄膜化技術などの活用) 概要 ●水素供給ビジネスの創出 県内企業が強みとしている技術と、産業振興に向けた課題および改善策 ●規格品の量産化技術 (燃料電池セル・スタックとともに、補機類の製造) 実態を踏まえた技術の方向性 題 産業振興に向けた課題および改善策 改善策 ●国からの委託事業や補助金を活用した単独企業による一貫した開発が 多く、産学連携・企業間連携による自主開発が希薄になりがち。 ⇒産学連携・企業間連携の促進により、中小企業による単発(部材ごと) ●域内の中小企業にとって、開発・事業化に要する資本力の問題により、新 の開発の競争力を強化し、様々な企業の自主開発の活発化を図る。 たな事業参入(導電性セラミックス・触媒開発など)が困難。 ●県内大学-企業間の連携が希薄で、県内技術開発拠点の認知度が低い。 ⇒産学連携のコーディネートの実施、企業の技術を公開する場を増やす。 ●県内のFC製品市場はメーカー主導の傾向が他県よりも強く、中小企業は メーカーの動向の変化に対応しきれない(電気化学関係の企業や有識者 ⇒専門技術(電気化学など)に係る人材育成の環境整備を促進。 県内大学における電気化学や燃料電池の講座の充実を図る。 が当地に少なく、電気化学系の人材を急募する製造業の企業が多い等)。 燃料電池を製造するメーカーと県内に立 地する機械産業をはじめとする補機類関連 ならびに計測・評価事業者との積極的な連携 を促進する。 ●物流拠点を想定した燃料電池の 率先的導入 水素・燃料電池の初期需要を確保するため に、大量に需要のある物流拠点での利用を促 進する。また、物流に関わる県内関連産業の 技術開発に資する。