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抄録集 HSES49 - 北陸内視鏡外科研究会

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抄録集 HSES49 - 北陸内視鏡外科研究会
第 49 回北陸内視鏡外科研究会 抄録集 【 一 般 演 題 】 1. 腹 腔 鏡 補 助 下 経 仙 骨 的 腫 瘍 切 除 術 を 施 行
し た 前 仙 骨 部 Dermoid cyst の 1 例 金沢大学附属病院 消化器・腫瘍・再生外科 2. 腹 腔 鏡 下 胃 切 除 術 膵 上 縁 郭 清 に お け る 成 毛
式 ソ ラ コ コ ッ ト ン を 用 い た 繊 細 な 視 野 展 開 法 福井済生会病院 外科 ○中村慶史、廣瀬淳史、岡本浩一、中沼伸一、酒
井清祥、牧野勇、林泰寛,尾山勝信、井口雅史,
中川原寿俊,宮下知治、田島秀浩、高村博之、二
宮致、伏田幸夫、太田哲生 ○島田雅也,天谷奨,杉田浩章,古谷裕一郎,高山哲
也,呉林秀崇,斎藤健一郎,寺田卓郎,高嶋吉浩,宗
本義則,飯田善郎,三井毅 症例は 31 歳女性。妊娠経過中に直腸右側に 8cm 大
の腫瘤を認め、出産後当科紹介となった。画像上、
直腸右側 8cm 大の嚢胞性病変で、内部に脂肪成分
を含み、前仙骨部成熟嚢胞性奇形腫が疑われた。
手術は腹腔鏡補助下経仙骨的腫瘍切除術を予定し
た。腹腔内より腫瘤を被膜に沿って剥離後、経仙
骨的に尾骨とともに合併切除した。術後経過は順
調で術後 16 日目に退院した。病理検査では、腫瘍
は内部に皮膚付属器を含んだ層状角化物を認め、
重層扁平上皮で裏打ちされ、前仙骨部 Dermoid cyst と診断された。文献的考察を加え報告すると
ともに、手術術式を提示する。 腹腔鏡下胃切除の膵上縁の郭清において,膵ころがしによ
る視野展開は手術精度や術後膵液瘻の発生に大きく影響す
る.ガーゼ,スポンジ等による手法が主流だが,助手の技
量に影響され安定性に欠ける場合も多い.我々は,より簡
便に愛護かつ繊細な展開が可能な成毛式ソラココットン
(以下 TC)を用いた膵圧排法を導入しているので報告する.
【手技】患者左下 12mm ポートより助手が TC を挿入し膵表
面を軽く背側に圧排する.以降,郭清・脈管処理の位置に
よって位置や Tension を微調整する.本法の利点は①持ち
直し動作不要②先端綿球で速やかに圧迫止血も可能
③Local Tension による良好な展開④臓器損傷リスクなし⑤
術者・助手双方のストレス軽減等である.
【対象と成績】2014
年 4 月—2015 年 10 月に TC を用いた腹腔鏡下幽門側胃切除術
34 例.D1+郭清 29 例,D2 郭清 5 例.平均手術時間 229 分.
平均出血量 22g.第 3 病日ドレーン Amy 平均 179IU/l ,同日
血清 Amy 平均 134IU/l.D2 郭清例の 1 例に Grade II 膵液瘻
を認めたが,他に膵関連合併症を認めなかった. 3. ICG 蛍 光 法 を 用 い た 腹 腔 鏡 下 肝 嚢 胞 天 蓋
切 除 術 の 経 験 石川県立中央病院 消化器外科 ○奥出輝夫、北村祥貴、崎村祐介、俵 広樹、佐
藤礼子、松井亮太、辻 敏克、山本大輔、太田尚
宏、稲木紀幸、黒川 勝、伴登宏行
4. 転 移 性 肝 腫 瘍 に 対 す る 腹 腔 鏡 下 肝 切 除 術 の
検 討 富山県立中央病院 外科 ○天谷 公司、岡崎 充善、山崎 祐樹、寺井 志郎、渡
邉 利史、柄田 智也、竹下 雅樹、山本 精一、加治 正
英、前田 基一、清水 康一 【目的】肝嚢胞に対する腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術(LD)
の際には嚢胞周囲に存在する胆管損傷に注意が必要で
ある。当科で施行している ICG 蛍光法を用いた LD の手
技を供覧し報告する。【方法】執刀の約 2 時間前に ICG
を 2.5mg 静注した。近赤外光カメラと白色光での腹腔鏡
の映像を適宜切り替えて観察しながら LD を施行した。
近赤外光カメラ観察で総胆管が蛍光され、嚢胞が蛍光さ
れていないことを確認した。嚢胞内容を吸引し、嚢胞天
蓋付近の蛍光する胆管を避けて LCS で嚢胞壁を切離し摘
出した。胆管を避けて嚢胞底を焼灼した。【結果】本法
を 5 例に施行した。嚢胞の最大径の中央値は 15.6cm、手
術時間は 85 分、出血量は 1ml であった。全例合併症な
く退院し術後在院日数は 6 日であった。再発はなく、切
除標本の病理組織診断はいずれも単純性肝嚢胞であっ
た。【結論】LD に ICG 蛍光法を用いることで胆道損傷の
リスクを軽減しうると考えられた。 【対象】2013 年 1 月から腹腔鏡下肝切除(LLR)を施行
した転移性肝腫瘍 15 例。適応は腫瘍が肝辺縁に存在
する症例。2010-12 年の開腹手術のうち同条件の症例
を比較対象とした。【結果】年齢中央値 68 歳、男 7/
女 8、大腸原発 14、同時 9/異時 6、単発 12/多発 3、
術前化療 6 例。腫瘍局在は外側区域 7、右葉 5、両葉 2、
尾状葉 1、術式は部切 14、外側区域 1、アプローチは
完全腹腔鏡 12、HALS 3 で開腹移行なし、原発同時切
除は 7。手術時間、出血量、術後在院期間の中央値は
245 分、60g、12 日、術後合併症は SSI 1 例のみ。LLR
では開腹と比較して手術時間が延長したが、出血量は
少なく術後在院期間は短かった。【考察】転移性肝腫
瘍は LLR 導入期の対象として適しているが、術前化療
施行例では腫瘍因子や背景肝が不良で難度の高い症
例があり注意を要すると考えられた。 平成 27 年 11 月 21 日(土) 第 49 回 HSES 研究会 in 金沢医科大学病院 5. 腹 腔 鏡 下 に 治 療 し た S 状 結 腸 間 膜 窩 ヘ ル
ニ ア の 一 例 JCHO 金沢病院 外科
○櫻井健太郎、真橋宏幸、安居利晃
今回我々は , S 状結腸間膜窩ヘルニアの 1 例を経験
したので報告する . 症例は 68 歳男性 . 腹部手術
歴なし . 左下腹部痛を主訴に当院を受診した . 受
診時腹部全体に圧痛を認めていたが明らかな腹膜刺
激症状認めなかった , 腹部造影 CT にて S 状結腸の
背側に Closed loop を形成する小腸イレウスを認
めた . CT 上は血流障害や腹水の貯留などは認めな
かったためイレウス管を挿入し , 小腸の減圧を行
った上で腹腔鏡下にイレウス解除術を施行した . 手術所見は S 状結腸生理的癒着部と背側の腹膜に囲
まれた S 状結腸間膜窩に小腸が一部 陥頓している
状態であった . 生理的癒着部位を剥離し , ヘルニ
ア門を開放し , 陥頓を解除した . 陥頓小腸には鬱
血所見を認めたのみであったため , 腸管切除は施
行せず手術を終了した . 術後経過は問題なく術後
10 日目に退院となった . S 状結腸間膜窩ヘルニアは
稀であり , 若干の文献的考察を加え報告する. 6. 腹 腔 鏡 下 手 術 を 施 行 し た 直 腸 子 宮 内 膜 症
の 1 例 富山県立中央病院 外科 ○寺井志郎、渡邉利史、久野貴広、北野悠斗、材
木良輔、岡崎充善、山崎祐樹、柄田智也、竹下雅
樹、天谷公司、山本精一、加治正英、前田基一、
清水康一 症例は 31 歳、女性。子宮内膜症による不妊症に対
して不妊治療を行っていた。当初は月経時に下血
を認めるのみであったが、徐々に症状が増悪し、
月経に関係なく下血と高度の便秘を呈するように
なった。下部消化管内視鏡検査では直腸 RS 部に高
度の狭窄像を認めたが、明らかな粘膜病変は認め
ず、臨床所見から腸管子宮内膜症と診断された。
ホルモン療法での症状コントロールが困難であ
り、手術目的に外科紹介となった。手術は患者の
希望、整容性の点から腹腔鏡下手術を選択した。
直腸 RS 部と子宮、左卵巣の高度癒着を剥離後に直
腸前方切除術を施行した。術後経過は良好であり、
第 10 病日に退院となった。腸管子宮内膜症は比較
的まれな疾患ではあるが、若年に多く、整容面に
加え、腹腔内全体の観察が可能なことからも、腹
腔鏡下手術は有用と考えられた。若干の文献的考
察を加え報告する。 7. 脳 室 -腹 腔 シ ャ ン ト 留 置 中 患 者 に 、腹 腔 鏡
下直腸後方固定術を施行した再発直腸脱の
1 例 富山大学 消化器・腫瘍・総合外科
○河合俊輔、北條荘三、橋本伊佐也、森山亮仁、
関根慎一、渋谷和人、吉岡伊作、松井恒志、奥村
知之、長田任一哉、塚田一博
8. 超 高 齢 者 に お け る 腹 腔 鏡 補 助 下 大 腸 切 除
術 と 術 後 せ ん 妄 と の 検 討 はじめに、脳室-腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt;
【目的】高齢者において術後にせん妄を認めるこ
とがある。その誘発要因は多岐にわたるが、腹腔
鏡 手 術 と の 関 連 に つ い て 検 討 し た 。【 対 象 】
2012/4/1-2015/3/31 に当院で大腸癌の手術を行っ
た 80 歳以上の超高齢者、34 人。
【結果】腹腔鏡(LAC)
群:19 人、開腹(OC)群:15 人。術後せん妄は LAC
群で 5 人(26.3%)、OC 群で 8 人(53.3%)と OC
群で多く認められた。パスに設定されている ADL
や食事摂取に関する目標の達成度とせん妄の間に
は相関は認められなかった。しかしながら、LAC・
OC の条件を加えサブグループ解析おこなったとこ
ろ、ADL の目標未達成群では有意に LAC 群でせん妄
が少なく、OC 群でせん妄が多く認められた。
【結論】
少数例の検討ではあるが、LAC は術後せん妄の発生
予防に寄与できる可能性が示唆された。
以下,VP シャント)留置術は,くも膜下出血など脳血管障害に
続発する水頭症に対して行われる治療法である.VP シャントを
有する症例に対する腹腔鏡下手術に際しては,腹腔内圧の上昇
によるシャントの機能不全や,腹腔内汚染による逆行性感染が
問題であり,周術期においては VP シャントの処置・管理も重
要である。今回我々は、上記 VP シャントを有し、Gant-三輪
-Thiersch 法の手術後の再発直腸脱の症例に対して腹腔鏡下直
腸後方固定術(Wells 変法)を施行した。手術に際しては、脳
神経外科との検討で、脳室の開大なしを画像で確認、VP シャン
トのバルブや逆流防止機構が正常に可動していると判断した。
術中は、気腹圧は 8mmHg に設定、シャントチューブは、左上腹
部に引き上げて手術を施行した。術後も頭部症状なく経過し、
安全に手術が施行し得たと考えられた。 VP シャントと腹腔鏡
手術に関する文献的考察も含め、症例提示いたします。 公立能登総合病院 外科 ○石黒要、徳楽正人、守友仁志、古川幸夫、牛島
聡 平成 27 年 11 月 21 日(土) 第 49 回 HSES 研究会 in 金沢医科大学病院 【 主 題 I: 直 腸 癌 】 9. 腹 腔 鏡 下 マ イ ル ズ 手 術 に 続 発 し た 会 陰
ヘ ル ニ ア の 修 復 経 験 富山市立富山市民病院 外科
○寺田逸郎、丸銭祥吾、八木康道、佐々木省三、
吉川朱実、福島 亘、北川裕久、藤村 隆、泉 良
平
症 例 は 70 歳 台 の 男 性 。 20XX 年 3 月 に 肛
門管にかかる下部直腸癌に対して腹腔鏡
下マイルズ手術を施行した。最終病期は
T 2 ( M P ) N O M 0 S t a g e Ⅰ で あ っ た 。 術 後 2
か月経過した頃より、会陰部の違和感と
膨隆が出現し、歩行時にも疼痛を伴うよ
う に な っ て き た 。腹 部 C T 検 査 で は 骨 盤 底
を超えて会陰部皮下に脱出する小腸およ
び少量の腹水を認めた。続発性会陰ヘル
ニアと診断し、経会陰アプローチにてヘ
ルニア根治術を施行した。初回、手術ビ
デ オ と ヘ ル ニ ア 修 復 手 技 を 供 覧 す る 。 11. 直 腸 癌 術 後 の 側 方 骨 盤 リ ン パ 節 再 発
に 対 す る 腹 腔 鏡 下 手 術 石川県立中央病院 消化器外科
○伴登宏行
側方骨盤リンパ節再発に対して、腹腔鏡下手術を
行ったので、その手技を供覧する。2014 年 12 月
下部直腸カルチノイド腫瘍に対し、腹腔鏡下直腸
低位前方切除術を施行した。病理では
Neuroendocrine tumor(G3), pT1b, N(+), 8/38
であった。右側方骨盤リンパ節のみの再発であっ
たため、手術を行うことにした。臍部の Open laparoscopy 法で腹腔内を観察した。下腹部には
癒着はなかった。S 状結腸を左骨盤から剥離し、
尿管を剥離し、テーピングし、右上方向に牽引し
た。263P の郭清から開始。尾側に進めていくと、
263D、下膀胱血管沿いに腫大したリンパ節を認め
た。283 を郭清し、下膀胱血管を合併切除し、リ
ンパ節を郭清した。右側は予防的郭清とし、下膀
胱血管が膀胱に進入する部位まで露出した。術後
経過は順調で、7日目に退院し、特に合併症はな
かった。 10. 腹 腔 鏡 下 左 側 結 腸 切 除 術 の 内 側 ア プ
ロ ー チ に お け る 視 野 展 開 の 工 夫 石川県立中央病院 消化器外科 ○山本大輔、﨑村祐介、俵 広樹、佐藤礼子、奥
出輝夫、松井亮太、辻 敏克、北村祥貴、太田尚
宏、稲木紀幸、黒川 勝、伴登宏行 腹腔鏡下左側結腸切除術において内側アプローチ
は重要な手技の一つであるが,助手のカウンター
トラクションがかかりにくい部位であり,術野展
開に工夫を要する. 【手術手技】大動脈前面の腹膜を切開し, S 状結
腸間膜と下腹神経前筋膜の間に入る.郭清終了後
に IMV 背側の最も同定しやすい剥離層に入り,助
手の左手で S 状結腸間膜をドーム状に腹側,外側
に展開する.術者は下腹神経前筋膜を手前かつ背
側に愛護的に牽引し,モノポーラ型電気メスによ
る剥離で内側アプローチを進める.外側,頭側に
可能な限り剥離しておくと脾弯曲部受動の際に有
用である.助手がドーム状に展開する手技を行う
ことで,内側アプローチが容易になり,剥離層が
同定しやすくなる.これらの手術手技およびポイ
ントをビデオで供覧する. 12. 直 腸 が ん に 対 す る Transanal Minimally Invasive Surgery (TAMIS) 厚生連高岡病院 外科
○小竹優範、扇原香澄、垣内大毅、福岡佑太、山
田 翔、林 憲吾、羽田匡宏、加藤 洋介、平沼
知加志、尾山佳永子、原 拓央
腹腔鏡の拡大視効果にて直腸がん手術において必
要な解剖理解の向上と安全で繊細な操作が可能と
なってきた。しかし、会陰操作では直視下に操作
を行うため画像として記録に残し難く、解剖を理
解したランドマークや出血を抑えた繊細な手術が
難しいと実感している。近年では、肛門・会陰操
作時に腹腔鏡のアクセスシステムを使用し鏡視下
で鉗子操作を行う Transanal Minimally Invasive
Surgery (TAMIS)が普及している。これにより安
定した視野で鉗子操作が行え、ランドマークとな
る解剖を意識しながら剥離を行え、また画像を見
直すことによりさらなる解剖認識の向上や教育効
果があると考えられる。まだ経験症例は少ないが
動画を供覧し有用性、注意点など議論したい。
平成 27 年 11 月 21 日(土) 第 49 回 HSES 研究会 in 金沢医科大学病院 【 主 題 Ⅱ : 虫 垂 切 除 】 13.当 院 で の 腹 腔 鏡 下 虫 垂 切 除 術 の 経 験 籐聖会 八尾総合病院外科 14. 当 科 に お け る 急 性 虫 垂 炎 の 検 討 金沢医科大学 一般・消化器外科 ○尾島敏彦、宗本将義、根塚秀昭、江嵐充治、
齊藤智裕、齊藤光和、藤井久丈
○富田泰斗、藤田秀人、藤井頼孝、藤田 純、甲
斐田大資、大西敏雄、舟木 洋、木南伸一、中野
泰治、上田順彦、小坂健夫 H27/6 より当科では腹腔鏡を用いた虫垂切除を
導入している。適応は、穿孔を認めない
catarrhalis~phlegmone の急性虫垂炎であり、
基本的には診断されて 24 時間以内に手術となる
ように心掛けている。手技は、臍部より腹腔鏡
を挿入し、その他 5mm ポート 2 本にて操作を行
っている。可能な限り虫垂動静脈はクリップ切
離を行い、虫垂根部は、Tri-Staple45(Purple Covidien 社)にて切離し、埋没縫合は行ってい
ない。術前に混濁腹水の認められた症例には、
閉鎖式の吸引留置ドレンを挿入している。当科
でこれまで施行した 5 症例と、過去 2 年間で開
腹虫垂切除の施行された 14 症例を、手術時間、
術中出血量、在院日数の観点から比較検討を行
った。 腹腔鏡下虫垂切除術(Laparoscopic Appendectomy:
以下LA)は開腹虫垂切除術(Open Appendectomy:以
下OA)に比して在院期間、疼痛、整容性等の点で有
利であるとされている。当院でも2013年より急性
虫垂炎に対しLAを導入し、翌年より本格運用を開
始した。今回、当院での急性虫垂炎症例でのLAと
OAの比較検討を実施したので報告する。対象は
2014年1月から2015年9月までに急性虫垂炎と診断
し、手術を行った44例。LAは33例、OAは21例であ
った。背景因子に大きな差は認めず、入院日数中
央値は全群で7日で、差を認めなかった。手術時間
中央値はLAが79分、OAが80分、出血量中央値はLA
が5ml、OAで5mlであり、差を認めなかった。術後
合併症は、LAで12%、OAで23%であり、LA群で少な
かった。LAはOAと比較し、整容面で優れ、術後合
併症の発生率が低く、有用な術式であると考えら
れた。
15. 当 院 に お け る 急 性 虫 垂 炎 に 対 す る 単
孔式腹腔鏡下虫垂切除術と開腹虫垂切除
術 の 検 討 高岡市民病院 外科
○馬渡俊樹、森 和也、寺川裕史、小林隆司、
堀川直樹、藪下和久 16. 当 院 の 急 性 虫 垂 炎 の 加 療 方 針 と 取 り 組
み 杉田玄白記念公立小浜病院 外科 ○青山太郎、岸 和樹、鎌田泰之、八木大介、前
田敏樹、菅野元喜、服部泰章
当院では、急性虫垂炎に対し、炎症の程度、患
者の希望、主治医の判断等により、単孔式腹腔
鏡下虫垂切除術と開腹虫垂切除術を選択してい
る。単孔式腹腔鏡下虫垂切除術の利点は、整容
性に優れる点、虫垂周囲の視認性が良いことと
思われる。欠点は、全身麻酔が必要なこと、腹
腔鏡の機器が必要なこと、単孔式腹腔鏡手術へ
の習熟が必要なことと思われる。当院では、2012
年 4 月から 2015 年 9 月までに、急性虫垂炎 165
例に対し、65 例に単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を、
100 例に開腹虫垂切除術を施行した。当院におけ
る、単孔式腹腔鏡下虫垂切除術の手技を供覧す
るとともに、手術時間や在院日数、創感染の有
無などにつき、開腹虫垂切除術と比較検討し、
報告する。 当院では急性虫垂炎を診断した場合、可能な限り
早く腹腔鏡下で虫垂切除術を行うというのが基本
方針である。しかし、時間外や人手などの関係で
全ての症例ですぐに手術を行うことは困難であ
る。 当院の 2014 年1月から 2015 年 9 月までの急性
虫垂炎の診断で入院となった症例で、診断から手
術までの時間、また手術症例と保存的加療症例を
在院日数で比較検討した。その結果、手術待機時
間の延長が在院日数の延長には繋がらず、保存的
加療に対し手術症例は在院日数が短くなった。ま
た保存的加療を選択した場合、ほぼ半数の症例で
再発入院や手術加療への移行が見られた。 また最近の取り組みとして、虫垂根部処理を吸
収糸で結紮+断端の体腔内での埋没を行ってい
る。手術ビデオを供覧する。 平成 27 年 11 月 21 日(土) 第 49 回 HSES 研究会 in 金沢医科大学病院 
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