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スズキ株式会社 工場見学・講演会に参加して
支部学自研だより (中部支部) スズキ株式会社 河村慎一 工場見学・講演会に参加して (静岡大学工学部機械工学科3年) 2003 年 2 月 5 日、浜松のスズキ 場では二輪エンジンの組み立て、機 グラフなどが掲示してありました。 株式会社本社工場において、自動車 械加工などを行っており、その中の 工場内の安全状況を視覚化する事 技術会中部支部学生自動車研究会 機械加工ラインとエンジン組み立 で、作業者個々人がよりいっそう安 (学自研)の工場見学会と講演会が てラインの 2 箇所を見学させてい 全への意識を高めていこうという 行われました。この工場見学会には ただきました。 狙いがあるのだと思われます。また、 静岡大学の学生を中心とした 40 人 工場見学では多くの驚くべき点、 生産性向上への努力も随所に見ら あまりが参加し、県外からの参加も 納得した点がありましたが、その中 れる事ができました。その一つに電 見られました。 でも特に安全への配慮を随所に感 光掲示板を用いた生産量の表示が スズキ株式会社についてはもは じる事ができました。例えば、組み ありました。見学中にふと組み立て や説明は不要だと思います。1909 立てラインの上から赤と黄色のひ ラインの頭上に光る電光掲示板を 年に鈴木式織機製作所として誕生 もが垂れ下がっていたのですが、赤 発見し、よく見てみると、そこには し、その後は 2 輪・4 輪総合メーカ 色のひもはライン緊急停止用で、生 計画生産量、実際の生産量、その 2 ーとして成長。特に小型車・軽自動 産中に品質確認したい時、また作業 つの差の 3 つが表示してありまし 車の開発においては定評があり、他 遅れの対策や作業指導を行うため た。そしてこの 3 つの表示はリアル 社の追随を許さぬ技術力で社会で にラインを停止させるときに使用 タイムで変化しており、常に生産量 の地位を確実なものにしてきまし しており、品質上の問題や作業遅れ を各人が把握できるというもので た。また、他にもマリン事業、産業 などの問題を顕在化させ、その場で した。また、この本社工場は 2 階建 機器・福祉機器事業、ハウス事業な 対策をとることができるようにな となっているのですが、1、2 階間 ども手がけ、幅広い活躍を見せてい っています。黄色のひもは責任者を の情報交換用(部品の需要など)に ます。 呼ぶためのひもで、作業が遅れた時 ボールを用いていました。これはボ 今回見学させていただいた本社 に使うのだそうです。また、工場内 ールの表面にライン名と要求する は浜松にあり、意外な事に住宅地に の数箇所には大きな掲示板が設置 部品名を記号で記入しており、それ 隣接して建てられています。本社工 されていて、そこには災害に関する を専用のスロープで送る事で二階 で必要な部品を一階の作業者に知 に分けられ、ターマックは舗装路、 ておかないと勝つことは難しいと らせるというものです。紙を人間が グラベルは未舗装路の事を指しま 言えます。そこで、メカニック達が いちいち運んでいたのでは 1、2 階 す。ここで意外だったのが、各イベ 活躍するわけです。しかも、JWRC 間の移動がめんどうなので、このよ ントでの平均車速です。一般に、未 は WRC に比べて車両改造範囲が狭 うな方式が取られたそうです。先ほ 舗装路より舗装路の方がスピード いので、ほんの少しのメンテナンス ども述べた掲示板にも、「こうすれ は速いと思いがちですが、モーター や改造の差が勝敗に影響してきま ばもっと生産性を向上できる」とい スポーツにおいてはそんな常識は す。そのあたりの技術を向上させ、 った意見を交換するための改善活 通用しないようです。JWRC におい 市販車に反映するという事がスズ 動板などが掲示してあり、安全面だ て、最も平均車速が高かったのがグ キの JWRC 参戦の根底にあるのでは けでなく、生産性向上にも威力を発 ラベルラリーだったのです。確かに ないかと思われます。 揮しているようでした。 高速ステージが多かったというせ 今回は、普段あまり見る機会のな 工場見学の後には、講演会が行わ いもあるようですが、それにしても い工場内部を見る事ができ、そして、 れました。この講演会はスズキが現 平均車速は 100km/h 以上というの 実際に開発に携わっている方達と 在力を入れている 4 輪モータース だから驚きです。しかもこれは平均 接する事ができ、良かったと思いま ポーツ活動の 1 つ、世界ジュニアラ 車速であり、直線スピードは更に上 す。また、講演会の方も普段は聞く リー選手権(JWRC :Junior World 回る事は言うまでもありません。僕 事のできない現場に携わっている Rally Championship)への参戦の模様 は今まで、砂利道などの未舗装路を 方ならではの裏話なんかもあった と、JWRC 車両の紹介が行われまし 100km/h 以上で走るなんて事は考 りして大変興味がわきました。特に、 た。WRC はご存知の方も多いと思わ えた事もなかったので、それをこな 工場内部に関しては自分の想像し れますが、JWRC についてはあまり すプロドライバー達がいかにすご ていたものと違った部分も多く、 知られていないのではないかと思 いかという事が良く分かりました。 色々と勉強になりました。 います。JWRC とはその名の通り、 また、ドライバーのすごさばかり 最後に、今回の工場見学でお世話 WRC の弟分的なイベントであり、出 が目に付いてしまうモータースポ になったスズキ株式会社の皆様に 場車両も 1600cc、NA、FF (WRC は ーツですが、忘れてならないのがメ 心から感謝を申し上げます。 2000cc、ターボ、4WD)となっていて、 カニックの存在です。ラリーイベン WRC に比べると見劣りするかと思 トというのは開催国の気候や地形、 参考: います。しかし、その内容は決して 天候が勝敗を大きく左右します。つ http://www.suzuki-swt.com/jwrc/j/ind WRC に引けを取るようなものでは まり、これらの要素をきちっと考え ex.html なく、場合によっては WRC 以上に白 熱するシーンも多くあります。スズ キはこの JWRC に昨年からイグニス (日本名:スイフト)で出場しており、 プジョー、シトロエン、フィアット といった強豪を相手に、第 3 戦ドイ チュランド(ドイツ)では 3 位にな るなど、初出場とは思えない成績を 残しています。 まずはラリーコースの解説があ りました。ラリーコースは大別する と、ターマックとグラベルの 2 種類