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平曲︿読物﹀のテキストと墨譜

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平曲︿読物﹀のテキストと墨譜
平曲︿読物﹀のテキストと墨譜
はじめに
孝
五
庸2
係を考えようとしたのであったが、その関心を持続させることができず、文書が物語の中でどのような役割を
前考察を行ったことがある。しかし、私自身のものをふり返ってみると、当初は、︿曲節﹀と﹁テキスト﹂の関
平家物語の﹁文書﹂あるいは︿読物﹀については、先学の研究がいくつかある。私も、︿読物﹀に関して、以
純粋な形で、取り出しうる材料と考えられる。
という形で取り上げられるものである。﹁書かれたもの﹂と﹁口諦的な操作﹂とが直接関わり合うのを、比較的
平曲の︿記帆﹀は、物語中の設定では﹁著述﹂された﹁文書﹂であり、演諦の次元では、﹁文書﹂を︿よむ﹀
らに絞って言えば、︿曲節﹀と﹁本文﹂の関係ということである。
ふし
いかと想定し、試行錯誤を続けている。この問題は、﹁声﹂と﹁テキスト﹂の関係と置き換えることができ、さ
私は、平家物語と平曲との関係を考えることは、文学と音楽の創造的な関係を考えることに繋がるのではな
木
果たしているのか、あるいは、諸本間の異同の意味は、という方向に転じてしまい、その後考察を中断してし
まったと思う。
01
鈴
本稿は、︿読物﹀ の再検討の場にもどろうとする試みの一つである。それについては、︿読物﹀に関わる基本
的なことがらを、 ほとんど旧稿に記したものであるが、 一通り確認し直して、その後、当初の目標に向かうべ
き試みを始めたいと思う。
︿読物﹀ の曲節とテキストに関する確認
︿読物﹀は、全部で十三句。平曲の譜本﹁平家正節﹄では、︿読物﹀だけをひとまとめにして、上下二冊に収
。
。
ゐんぜんのっとぐわんじよくわんじんちゃう
うけぷみてふじゃう
八島院官一(巻第十)康頼祝詞(巻第二)木曽願書(巻第七)勧進帳(巻第五)
へんでふ
腰越(巻第十一)請文(巻第十)南都牒状(巻第四):::以上七句
木曽山門牒状(巻第七)山門返牒(巻第七)山門牒状(巻第四)南都返牒(巻第四)
平家連署願書(巻第七)伊豆院宣(巻第五):::以上六句
の叙述、文書引用に至る事情説明の部分、 Bが文書の引用部分、 Cは引用を閉じることばである。狭義では、
このうち、具体例としては、平家物語巻第十の﹁八島院宣﹂が最も短いので、これを引用しよう。 Aは物語
が、﹁漢文﹂で書かれていることで一括りとなっていて、 口調事の姿として︿読物﹀と呼ばれている。
個別の名称では﹁院官こ﹁牒状﹂﹁願書﹂など、それぞれ用途の異なる公式文書あるいは神仏への祈願の文章
数
めているが、そこでは﹃平家物語﹄の順と異なる、次のような配列になっている。( )内は本来の物語の巻
上
下
1
2
2輯 ⑨
第
人文科学研究
02
⑥平曲(読物〉のテキストと墨譜
11111111
院宣の御使
平三左衛門重国
ス
ヲ
ふし
御壷の召次花方
フ
大F 殿 以 下 の 月 和 久 客 田 川 川 同 凶 寄 合 た ま ひ て
ノム
ツメ
八島に下り着ひて
院宣
此院宣をひらかれけり
彼卿を寛宥せらるべきなり
ノウ
死罪に行はるべしといへども
数年を経
諸内問に幸し
亡国のもとゐなり
南海四国にうづもれて
北関の九禁を出て
同じき二十八日
取出ひて奉・る
B 閉同凶勺人聖一軒
A 日困
Bが︿読物﹀である。一一で囲んだものは、平曲の︿曲節﹀の指示である。
二
一一三種の神器
一トモカ
一尤朝家のなげさ
二国抑仇重衡の卿は東大寺焼か逆臣なり
一一すべからく翌朝の朝臣申受る旨にまかせて
二回国濁親族にわかれて既に生捕となる
一箆鳥雲をこふるおもひはるかに千里の南海にうかひ
一帰属友をうしなふ心定て九重の中途に通ぜんか
y
.一然れば則三種の神器みやこへ帰し入奉らんにおゐては
キ
(尾崎家本﹃平家正節﹄下巻、
一一二一八頁)
進上前の平大納、一言どのへ
一一ていれば院宣かくのごとく依て執達くだんのごとし
一一寿永三年二月メ一方十酌日
川
パ
│1
とぞ害れたる
l11111 ﹄│ I l l i - - -
03
-一ハコビ一大膳の大夫成忠がうけたまわって一下一
一﹁
C
第1
2
2輯⑨
人文科学研究
あらためて︿読物﹀を説明し直すならば、
漢文で作文された文書を、語り手が口頭で読み聞かせ(音読)するような形をとるものが、︿控訴物﹀であ
(波多野流譜本、京大蔵)
部分の独自な在り方を確認しておこう。
次に、この︿読物﹀十三句が、細部がどのような曲節で構成されているのかを表示し、特に狭義の︿読物﹀
前平大納言殿へ
書永三年二月十四日大膳大夫成忠承謹上
然則三種紳器可奉返入都彼卿可被寛宥也者院宣如此伯執達如件
龍烏態雲思遁浮千里南海帰属失友心定通九重中途乎
抑彼重衡卿東大寺焼失之逆臣也須任頼朝朝臣申請旨難可被行死罪濁別親族己成生捕
一人聖排出北関九禁幸諸州三種神器埋南海四国経敷年尤朝家之歎亡国之基也
中でも、漢文の形のままで曲節付けをしているものがあるので、それを引用しておこう。
る。前掲の平家正節の引用例は、文書を読み下した形になっているが、本来は漢文である。平曲の譜本の
O
04
⑨平曲〈読物)のテキストと墨譜
説
口
f
宣
島
院k
1
)
声
折
声
指
重
初
中
初
重
初
中
音
ケ
下
説
口
下
ケ
ハ
コ
説
口
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強
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リ
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日
音
中
ケ
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口
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声
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強
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下ハコ
説
口
声
白
リ
下
重
三
ケ
下
説
口
説
口
声
強
下ハコ
説
口
声
白
声
指
寄
上
ケ
下
説
口
ケ
下
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説
口
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曽
原
書
頃
ミ
リ リ
リ
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白
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冗
司
中
音
勧
帳
進
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越
声
指
声
折
ケ
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2
青
文
下
ケ
ハ
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寄
下
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上
歌
ケ
下
説
口
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ハ
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口
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口
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ハ
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1
)
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1
)
05
説
口
1
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ケ
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ケ
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口
牒
状
門
木
曾
山
五
l
門
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1
亙
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牒
状
門
山
都
南
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牒
E
E
署
願
書
家
平
連
イ
主
豆
ヲ
主
院
ま
読物曲節表(平家正節の順に依った。﹁ハヅミ﹂や﹁中ユリ﹂はこの表に入れないことにした。)
下
ケ
ハ
コ
初重
下説ホ
ケ リ
チラシ
下立国
上音
下音
ハコピ
下音
上音
走三重
ハコピ
下ケ
チラシ
下音
チラシ
下音
チラシ
下音
チラシ
下音
チラシ
下音
上音
下音
上音
下立日
ハコビ
下音
ハコピ
下音
下音
下音
上音
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ハコビ
上音
上音
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上音
ハコピ
下音
ーロ﹁
lillit-ー
ハコピ
チラシ
下音
下音
上音
下音
上音
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呂
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下音
上音
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ハコビ
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チラシ
下音
呂
ハコピ
上
音
下音
チラシ
下音
チラシ
下音
下音
下音
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ハコピ
下立日
上音
下音
上音
上
音
ハコビ
上
音
上
音
上
音
上
音
呂
上
音
呂
上
呂
上
音
日
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音
音
呂
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音
上
音
上
上
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下コ口
ハ説
リ
呂
上
音
上
音
折下コ
声 ハ
白
声
口
説
呂
音
半口シ
指
声
日
呂
上
音
1
2
2輯 ⑨
第
人文科学研究
「ーーーーー一一一一一ーーーーーーー一一一ーーーー│
ハ 上 下 チ !
E音 音 3
i
ハ 上 下 チ
コ 音 音 ラ
ピ シ
06
⑨平曲〈読物〉のテキストと墨譜
康頼祝詞
指声
長下ケ
一重
初重
上寄
中音
初重中音
物語の順に
してある
初重
O 一O 一/一 O 一O 一O 一O 一/一 O 一O 一/一 O 一O 一O 一O 一
O 一O 一/一 O 一O 一O 一O 一/一 O 一O 一/一 O 一O 一O 一O 一
O 一O 一/一 O 一O 一O 一O 一/一 O 一O 一/一 O 一O 一O 一O 一
O 一O 一O 一O 一O 一O 一O 一/一 O 一O 一/一〆一 O 一O 一O 一
流布本一党一本一屋代本一家本一図本一句本一鎌倉本一執行本一文庫本一中院本一南者本一戦状本一延鹿本一配表記一長門本一
一平松一竹柏一百廿一一束寺一図民一一匹一四部告一
次に、平家物語諸本では、︿読物﹀に相当する文書が、どのように収録されているのかを一覧にする。
︿読物﹀十三句の平家物語諸本における収録状態
この間の曲節は、︿下音﹀←︿上音﹀の繰り返しで構成されている。
右の表の各句の曲節のうち、︿チラシ﹀で始まり︿ハコビ﹀で終わる範囲が、狭義の︿読物﹀である。
初
O 一O 一O 一O 一O 一O 一O 一/一 O 一O 一/一 O 一O 一O 一O 一
97
重
人文科学研究
1
2
2輯 ⑨
:腰:請:八:平:山:木:木
:越:文:嶋;家:門 j曾 : 曾
i院 i山 i返 i山 : )
j
l
f
l宣:門:牒:門:書
: 連 牒 :
伊豆院官一
表の注
ァ
、 O ×はその読物の有無を示す。但し表現内容の異同は問題にしない。
ィ、/は欠巻を示す。
ゥ、竹柏園本の.は、この八嶋院宣相当の箇所が空白となっている。
ェ、平松家本と四部合戦状本の?は、腰越状の前後の記事が欠けているためである。
右の表によれば、読物の有無に違いがあるのは﹁八島院宣﹂と﹁腰越﹂である。このふたつの ︿読物﹀に関
して想定される問題は、
伝本によっては構想上不要であったのか、
古い段階では作文されていなかった読物が、あとで補入されたのか、
O O
第
: 署 状 :
:0:0:0:0:0:0:0:0
:0:0:0:0:0:0:0:0:
x:
0
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:0:0:0:0:0:0:0:
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x :0
:
:0:0:0:0:0:
:0:0:0:0:0:0:0:0:
:0:0:0:0:0:0:0:0:
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:0:0:0:0:0:0:0:0:
:0:0:0:0:0:0:0:0:
:0:0:0:0:0:0:0:/:
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:x :
0:0:0:0:0:0:0:
:x
:0:0:0:0:0:0:0:
:0:0:0:0:0:0:0:0:
08
⑨平曲(読物〉のテキストと暴譜
あとで書写する予定であったが、そのままになってしまったのか、
ということになるだろう。しかし、本稿では、この問題を扱わない。
平家物語諸本聞における︿読物﹀ の本文異同の概観
次に、︿読物﹀の文章表現が、諸本間で同一かどうかを大づかみに比較し、その結果を表示する。語りもの系
諸本のものは、同一とみてまずはよい。
それぞれを縦の列だけで見て、同じ記号ならば同一の文章であり、違う記号が混じれば、同一の文書である
控2
はずのものが、伝本によってことなる文章になっている、ということである。なお、伊豆院宣(福原院宣とも
。 。
O
衰
記
O
O
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O
O
O
ー---ー甲骨・ーー
門
本
O
O
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。
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O
O
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ーー・ー.回
ーーーーー
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O
本
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系
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詞
O
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O
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門
牒
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願
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院
日
書
祝
頼
康
-・・-- -・・-- -・・-- -・・-- ー・--- ーー・-- -・・-- -・・--
一言、つ) は、延慶本では異本のものだとして二つ収録されている。
09
O
山
都
南
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伊
勧
木
。。。
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ー
明
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ー
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ー ・
・
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ー
ー
ー
ー ー
ー
ー ー
0
1
平家物語における文書類
いるのかを対照し一覧とした。
︿読物﹀十三句関連
厳島御願文(三)
×
源平盛衰記
一院女院
4
2
長門本
四部合戦
屋一党一亘流一様
状本
ここでは、︿読物﹀十三句に限定せず、平家物語の主要伝本と目されるものが、どれほど﹁文書﹂を収録して
平家物語における文書類一覧
﹁引用﹂をたてまえとするはずの文書でも、文学的な操作が加わっている可能性があるということである。
すべての︿読物﹀に複数の形があるわけではないが、右の概観表から考えられることは、物語の外からの
ン
O
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文
請
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---x---~-- 逗ーーー
慶
本
1
2
2輯 ⑨
第
人文科学研究
010
⑨平曲〈読物〉のテキストと墨譜
万一×
(
一
澄憲
祈雨の文
77
79
澄憲
(四)
(
四) M 一×
即
耳
鳴
ニ
回
一x
加一留守所より白山へ牒状
︹一、第一本︺
白山よりの返牒
回γ
延暦寺より白山へ
56
(-
43
57
尚一×
O O O O
m一白山より延暦寺へ牒状
(五)
6
8
×
牒
延暦寺へ院官二四)
(四)
(四)
山門の奏状
(五)
座主流罪の宣旨
清盛への状
45
67
×
落書
62
68
44
X
O
72
×
×一成親
伯z
吉
六)↑
64
47
55
×
72
×
80
5
3
O O
56
73
×
m
w一
的一*延暦寺より朝廷へ奏状(久安三年四月)
ω一*延暦寺への院宣(久安三年四月)
日一藤原師高の解官配流の宣下
ロ一追書(禁獄の宮兵交名)
日一×
比一×
回一×
尚一×
η 一×
︹二、第一末)
,, 11
X
×
84
54
五
68
80
四
十
O
O
74
日目一燈蓋鬼の筆談
/ 0 0 0 0
詩
文
1
7
2
75
76
78
O O
山
門
×
O
1
1
1 1
1
0 86
30 1
9
0 1
1
5
四
~:k
五
O O
O
1
0
3 1
0
3 79
1
6
6
ゆ一平康頼より平重盛への書状
初一平康頼の熊野祭文︿康頼祝調﹀
幻一蘇武の書状
辺一中宮御産による赦免状︹三、第三本︺
(九)
(九)
後朱雀院の祭文(十)
,
(十一一)七山乱r
(十三)
(四)
252 2
2
9 219
x
幻一×
一宗盛、辞大臣の上表(但し、書き下し文)
MA
お一延暦寺堂衆罪科の宣旨(末尾欠の註記あり)
お一平重盛より伊王山へ金の送り状
幻一江中納言より先例検討の消息︹四、第二中︺
お一以仁王の令旨
O一
O 一①一②
O一
④①②
頼朝への別の令旨(十
000
000
m一
×
133 1
3
2 1
3
1
(
十
一
一
一
)
(十四
七
/ / /
000
知一源頼朝の施行状
引一三井寺より延暦寺へ牒状︿山門牒状﹀
(十四
(十四
(十四
/
/
/
党一三井寺より輿福寺へ牒状︿南都牒状﹀
竹刀一興福寺より一一一井寺へ返牒︿商都返牒﹀
一興福寺より東大寺へ
院
官
一
}¥
}¥
8
7
1
1
3 1
1
2 1
1
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8
四
五
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七
×
O O O
×
×
×
×
X
O
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0
1
6
4 1
5
3 1
2
4 1
4
9
236 234 2
3
3 234 2
1
8 217 2
1
6 209
0 0
x
X
2
3
6 1
9
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8
9 1
7
1
3
4
7 334 294 2
8
3 2
6
1
O ム × × x
5
9 349
6
1 3
364 3
6
3 3
6
0 3
o
O O
O
×
H
日
万一明雲へ
牒
状
1
2
2輯 ⑨
第
人文科学研究
225 223 221
@ ⑦ ⑩
" 12
⑨平曲〈読物〉のテキストと墨譜
日
均
一
×
(十四)
(十四)
o
笠
0
院宣
0
0
竹山一延暦寺へ
o
奈良法師の賓語教
o
(九)
(九)
O
O
(十六)
(十八)
(十)
1
7
S
1
7
9
叩均一延暦寺批判
︹五、第二末︺
文党より清水観音へ害状(十八)則一 x
(十九
二十二)
a(
1
8
3
1
8
4
均一陰陽博士安部季弘の勘状
ω一文撃の勧進帳︿勧進帳﹀
︿伊豆院宣﹀
大場の早馬
1
9
2 1
9
8
1
9
0 1
9
2
1
2
4
1
9
1 1
6
3 1
2
6
2
2
4
x
制一源頼朝へ平家追討の院宣
nM
VA
川町一同院宣・異本
科
一
⑥ ⑤
⑬ ④
×
x
頼朝の催促状(二十二)
210
200
o
O
64一
×
・
ハ波羅への飛脚(二十
(九三
十
尚一×
(一一十二)
(二十三)
(十六)
(二十四)
(二十四)
頼朝の廻文(二十四)
坂東落書
0 0 0 0 0
J
¥
十
4-
幻一源頼朝追討の官符
綿一高倉院の厳島御願文︿願文﹀
的一園恵法親王天王寺寺務停止の院宣
知一延暦寺より都帰の奏状
日一×
×
mA一
o13
詰
1
6
5
×
O O O
O
X
×
x
O O O
326
3
7
2 3
7
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1
3
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5 394 3
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7
1 3
7
5
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O
x
x
9
2
7 1
6
9 1
5
2
3
7
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O O
×
O
×
O O O O
J¥
十
3
7
0 3
6
5
竺江主主
o0
492 4
9
1
532
550 5
4
8
弘
幻一重ねて源頼朝追討の宣旨
日一×
一兵乱御祈の宣下︹六、第三本︺
HJ
%一重ねて源頼朝追討の宣旨
m
J一重ねて源頼朝追討の宣旨
見一平宗盛被補惣官職宣下
型源頼朝追討の院廊下文
ω一鎮西の逆賊追討の廊下文
“一藤原高直追討の宣旨
日出一源行家より伊勢大神宮へ願書
臼一太元法を被修の宣下
ω一源頼朝追討の宣下
白山一源義仲より白山へ願書︹七、第三末︺
“一北陸道反逆の輩追討の宣旨
日山一源義仲より新八幡宮へ願書︿木曲目願書﹀
兼遠の起請文(二十六
側
一0 ・秀衡宛(二十七
(二十七)
(二十九)
(二十九)
(十一一)
(十一一)
(十三)
(
十
一
一
一
)
(十四)
2
6
3
2
3
4
×
(三十)
(十四)
3
1
1 3
0
6 2
8
9
2
6
3 2
6
0 2
5
0
×
(三十)
0
X
476
9
1
1
0
3
X
446
×
O
×
4
4
3
×
×
O
X
︿木曽山門牒状﹀引一O
︿山門返牒﹀
000
×
x
O O O
1
4
5
1
8
7 1
8
3 1
5
3
4
2
3
x
×
O
×
×
×
×
×
O
x
O
x
8
0
5
0
4 5
0
0 4
5
5
5
6
0
6 6
0
5 6
0
5 5
9
9
8 6
6
2 6
6
1 647 6
4
2 6
4
2
3
5 32 2
5
5
×
O
O
ω一源義仲より延暦寺へ牒状
ω一延暦寺より源義仲へ
返
牒
第1
2
2輯 ⑨
人文科学研究
000
000
000
⑤③⑦
⑨③③
,,14
⑨平曲(読物〉のテキストと墨譜
初一平家より延暦寺へ
η一佐々木庄の譲状
×
η一
刀一源頼朝へ征夷将軍宣旨
︿平家連署願書﹀切一O
︹八、第四︺
九一源頼朝より院宣請文および礼紙
万一諸寺諸山への宣旨
百一平家余党追討の宣旨
竹川一源義仲より延暦寺へ怠状
冗一源頼朝より延暦寺へ牒状
ー本来の依置
は、怖の穆!
(三十)↓
(三十)↓
(三十三)
(三十三)
平家追討庁の下文(三十二)n一
×
︹九、第五本︺加一0
(三十四)
(三十四)
(三十八)
会一一十八)
(三十八)
(三十八)
(十四)
(十四)
(十五)
(十五)
(十五
(十六)
(十七)
(十七)
(十七
(十七
(十六)
O O O O O O
乃一朝廷より白山へ御領奉免状
紛一熊谷直実より平経盛へ害状
︹十、第五末︺別一0
れ一平経盛より返状
回一屋島へ院宣︿八島院官一﹀
︿請文﹀
(四十二
0
0
0
⑫⑪
⑥①
⑩
⑫
x
x
1
9
4 1
9
0
O
5
1 1
4
1 140
1
5
2 1
義経の合戦注進状(四十三)抗一×
O x / /
O o x x
O 000
x
x
2
6
1
0 0
o0
×
幻一平宗盛より院宣の請文
被仰条ム吋
院への奏開条々
例一公家より源頼朝へ
白山一源頼朝より
以
∞
一
×
015
3
1
9 3
1
5
氾7 2
6
5
2
9
9 9
7
352 3
5
1
O O
X
6
8 56
O O
2
0
2
2
9
8 2
8
3
O
1
5
8 1
0
5 1
0
2 9
0 6
7 6
5
4
9
7 4
9
6
4
4 42
×
×
O
O O
×
O
5
9
1
8
0 1
7
6 1
6
2 1
5
7 1
5
6 1
4
3 1
4
0
2
6
9
3
6
0 3
1
0 3
0
1
X
×
O
O
O
×
牒
状
人文科学研究 第 1
2
2輯 ⑨
90 8
9 8
8 8
7
Ix 字
義大│
佐
宝剣祈願の願書
︹十一、第六本︺側一×
ー ー ー 一 一 一 一
2
2
8
←
×
×
s
z
罰眼
の供
院養
宣の
宣
日
×
2
2
×
×
︹十二、第六末︺綱一×
4
7
8
へ
宮
経寺│
追 開 l
、
ノ
状江
斗ー
轟
だろ、っ。
O一
O 一⑬一⑤
×
一
なお、﹁平家物語に収載の文書﹂への関心は、近年いくつかあるが、︿読物﹀に関しては、皆無と言ってよい
としての︿よみ﹀も︿曲節﹀ の次元において一定の型が認められることによる。
の作文された文章は、耕傭文を基本とするのであり、形としての安定性を前提にすることができること、演諦
さくもん
か││に関わる問題と捉えるならば、﹁文書/読物﹂は、良質の検討素材と見ることができる。それは、︿読物﹀
討が行われてきたと思う。この問題を﹁書かれたもの﹂と﹁口語り﹂との関係││主従関係かまたは相互関係
ここで、もう一度、本稿の関心を言、っ。所謂﹁平家物語と語り﹂の問題は、様々な角度から様々な方向で検
本稿の関心
※延慶本:アラビア数字は、勉誠社刊(北原・小川)の頁数。
※盛衰記:・アラビア数字は、通俗日本会史の頁数。
※長門本・:アラビア数字は、勉誠出版刊(麻原、小井土、佐藤)の頁数。
※ 四 部 合 戦 状 本 ・ ア ラ ビ ア 数 字 の う ち 、 四 352ZO垣列。
s
g
) は、大安刊の頁数、︹四︺は、新典社刊﹃延慶本平家物語考証
一﹄の影印の頁数、問(明朝体)は、有精堂刊(高山訓読)の頁数。:
源 東
o16
⑨平曲〈読物)のテキストと墨譜
︿読物﹀ の対句と墨譜
斡酔(博士)とは、曲節より微細な単位で、平曲の譜本のあり方で言うならば、平家物語のことばの一音字
一音字につけられた記号である。それによって、ことばの音の高低、微細な音の操作法を指示している。西洋
音楽の楽譜で言えば、音譜と表情・表現記号をまぜた役割を果たすのが﹁墨譜﹂である。
(持ち悔ち)
︿読物﹀の曲節の特徴に、︿下音﹀︿上音﹀の繰り返しということを確認したが、さらに、この︿下音﹀︿上音﹀
。
。
。
を墨譜の次元でみると、﹁モチ﹂と呼ばれる墨譜が、びっしりついている。このモチは、点を三つ横に並べた
ょう丸参していて、その発声は、あえて単純に説明するならば、その音を長く延ばすようにして三団連続さ
たアア
めエエ
基本に﹁対句﹂があるが、この﹁対﹂の表現を扱う、﹁音/声﹂の表現がどのようになっているのか。もとよ
と発声する。ことばにモチをつけることで、︿よみ﹀かたにある強調が加わると考えられる。︿読物﹀ の文章の
ほとけの
せるのである。 いま、このモチを仮に・で代用表示すると、たとえば﹁仏のため﹂とあれば、
••
り、墨譜全体の構造を検討すべきであるが、なかなか一筋縄ではいかない。本稿では、モチに注目することで、
017
ことばと声の関係を考えてみようと思う。
城南の
な・う・
が・つ・
し・し・
た・た・
て・て
ま・ま
る・り
•
海西の
て
コ
・
そ
コ
そこで、﹁木曽山門牒状﹂の中から、比較的特徴的な傾向を持つと思われる対応関係を、サンプルとして、取
博法
陸皇
を・を
ぜり・
いう
ちき
に
・
きに
り出してみた。(以下、検討は尾崎家本による)
あ
、ってば
せむれば
じ・じ
て
ふ・
ら・ず
ず
・
んん
か
・
く・く・
だ・し
る
対句表現の﹁くりかえし﹂をモチがなぞる形ではないが、対応関係の認められる(左右対称)箇所もあ
対句表現の﹁くりかえし﹂を、(ほほ)なぞるような形でモチがついている。←え
これらは、三つの傾向に分けて考えることができると判断した。
国君仏神
の・の・のの・
た・た・た・た・
め・め・め・め・
かな
なら
義・命
を・を・
おか・
もろ
•••
し
ミ
つ
え
せている。←い
対句表現の﹁くりかえし﹂をなぞらず、声の表現としては﹁対﹂の形にはならない。﹁対﹂に変化をもた
、叶ノ、
り、各句の末の落ち着かせ方に配慮があると考えられ、﹁対﹂の文学的表現を墨譜は尊重している。←あ、
(
2
) (
1
)
(
3
)
1
2
2鞘 ⑥
第
人文科学研究
018
⑥平曲(読物〉のテキストと墨譜
以上、具体的な検討に入る前の、作業仮説を立ててみた。ここで設定した枠組みが、有効なのかどうか。さ
らに、対象の数を増やして検討する。
検討 1 │ │ ︿読物﹀ 二句における対句とモチ
ここでは任意に﹁商都牒状﹂と﹁木曽山門牒状﹂を取り上げ、それぞれの︿下音﹀と︿上音﹀部分に含まれ
る﹁対句﹂を抜き出し、併せて、モチを・で表示する。(なお、︿読物﹀の開始部に相当する︿チラシ﹀部分で
群破
けーす・
ばけ
ー
奉
ー
る・
り
ー
法査
目・もを・を円
を ・ の 海 域7牒
もい西?南士状
つは・のの・」
て ず 絶1り
・
す い き
に・に
類滅
を・を・
流
退守た・
き1う
し・つ
泰守し .
Sう
キウチヤウ
..
y
二のみやの朱閣をかこみ奉 り
イ ...
九重の垢陣をおどろかさしむ
命を軽んじ
一戦の功をはげますといへども
義をおもんじて
はたをあげ
......
.
.
同類の悲しみたましゐをけす
令旨のおもむき肝にめいじ
ウ ....
性命を長河の浪に流す
イイ
形骸を古岸のこけにさらし
ケイカイ . . . . .
多勢のせめをまぬかれず
⑤
も﹁対句﹂が認められるが、モチは付されないので、ここでは検討対象から除いた。)
道 東 博2
⑥
⑦
③
⑨
ン
.
剣をとって
o19
•••
••••
••••••••••
•••••••
•••••••
⑮
外う王仏車
ち法法 2
2
に・に・と・と・置
は・は・ぃ・ぃ・色
悪仏ひひ・
逆法
の・の
路 庶 ソ 陸1皇 日
O
①
②
O
③
④
人文科学研究第
1
2
2輯⑨
i
(
1
)
i以
⑬
⑮ ② ① , -上
'
の
'
国君仏神外ちう王仏法
と
iの
グ
;
ル
:
空
の・の・のの・
官
十l
た・た・た・た・に・に・法
と
・ ・
:
め・め・め・め・は・は・川、.:よ:
ひひ・:/:六
い'
に
悪逆仏法
の・の
つ
類
群 破
滅
をgを
・
退守た・
けり・
t
i
し
ミ
て、
前
述
の
て
コ
の
⑬
⑫
⑪
ひ・冬秋守せ う
・
勝
き
守
ー
に・と・の・風の2
むて・
へ・霜'
れ・ば・
にのの・ば
更
は
か
り
・
こ
・
と
・
義
仲 明
仏
神 を
薫
務1
5
・
芭
蕉
を・か か
を
・
が・ ィ
・なら・な
ら・Jli!帳
幕ー
武陀・か破守ずく・ず・尺ー
客ーの・ら る
・ ・ふ・の・の・
に・たす・にだ・く・も ち
う
・
あすに・
るしと・・
に・に
ら・也けー
ず
相こ・
た
得・め・
同と
-ぐ
りら
じな
し
・
ら
・
て
ず
型
で
判
断
し
て
み
る
と
次
の
通
り
で
あ
る
。
⑬
⑮
国君仏神氏
i
原平
家
の・の・のの・ ・ ・
た・た・た・た・に・に・
め・め・め・め・
与
カ
・
・
心
同
かか
020
⑨平曲〈読物〉のテキストと墨譜
凶のグループ一
. . . . ..
③法皇を城南のりきうにうつし奉り
ハ
ク
リ
ク
.
イ
ゼ
ツ
チ
キ
・
・
・
・
・
:
・
ン
ナ
イ
セ
博陸を海西の絶いきに流し奉る
......
⑧形骸を古岸のこけにさらし
.
.
.
.
.
.
.
イ
カ
ケ
性命を長河の浪に流す
イ
イ
-勝:
・・・・・・・・
事を問問尺のもとに得たり
⑪はかりことを雌幕のうちにめぐらして
せむればかならずくだる
⑫うてばかならずふくし
-・・・・・・・・・・・
⑬秋の風の芭蕉を破るにことならず
・
・
・
ク
ン
ヨ
ゥ
・
・
・
ィ
....
む
...
冬の霜の薫殖をからすに相同じ
tり
更に義仲が武田骨にあらず
⑬ひとへに神明仏陀のたすけ也
プ
!
のーみ・
l
ゃ・目・も i
のを・の;
垢朱もい
陣簡ーつは・
をを・てず
お・か・す
どこ・
ろみ
か奉
⑬平家に同心か
九1
二道衆;:グ j
重!~路庶ソ!ル:
⑤④:の;
源氏に与力か
021
•••••••
•••••••••••••
•••••
•••••••••••
:
(
3
)
:
人文科学研究
6 7 3
(4)
(
5
)
(
6
)
げ)
(9)
整理すると、
となる。
右の分布から言えることは、
ィ、対句を、モチは、なぞらない傾向にある。
ロ、モチは、﹁対﹂に変化をもたせようとしている。
ハ、﹁文学﹂に対して、﹁声/音楽﹂が、能動的に形を変えようと働きかけている。
(
3
) (
2
) (
1
)
⑮
⑨
第 1
2
2輯 ⑥
⑦
⑥
創ンは・向令ゥ多・一義・命ィ
を・た類旨・勢戦を・を・
と をの・の・の・の・ぉ・軽守
つ あ ・ 悲2
おせ・功もん
で f
fしーもめをんじ
みむを
じ
・
き て
まは・
た・肝ーぬげ
ま・にかま
し・めれす・
ゐいずと・
をじ
い
・
け
す
・
へ
ど
・
も
(
1
0
)
" 22
⑨平曲(読物)のテキストと墨譜
ということになるだろう。
平家物語の文章が、﹁音楽﹂によって創造された箇所もあるかもしれぬ可能性については、︿読物﹀以外の文
章表現と曲節との関係で述べたことがある(拙著﹃平曲と平家物語﹄)が、︿読物﹀に関しても、言うことがで
きるかもしれぬという見通しを得たのである。
検 討 2 │ │ ︿読物﹀十一句における対句とモチ
右と同様に、︿読物﹀の残りの十一句の︿下音﹀︿上音﹀の対句についても調べた。これについては、各勾の
対句を通し番号で表示し、引用は分類の結果で記すことにする。
441
1
23456789012Ill1 幹沢百H口山圭司ロ
nvnununununUAUAUnu'I'i'IH田明性理
日 l 山門牒状
u 日 凶 口 四 円 却nnおM お お 幻 泊 四 │ 南 都 返 牒
加 担 刀 お MKMM幻M m判 制 │ │ 勧 進 帳
m
u拍 判 特 │ │ 伊 豆 院 宣
678901,25
34
I5
l7
-ト白主唄陸ヨ
55
56
5
Aト
K
E臨時三宅
4 4 4 4 53
幻兜卸
ω臼 臼 │ │ 山 門 返 牒
ω 日“日同同開河 i │ 平家連署願書
臼
η ーー八島院宣
23456789OIl-- き
主同ャ
ι
ロユ
777777778
023
人文科学研究
て
是 Sこ
・
を・れ・
お・を・
こお・
さ・こ・
別位│腰越
が為に
•
狭義の読物十一句中の︿下音﹀︿上音﹀ の対句とモチ
一一山のグループ一
下万民に至るまで
あるひは現世安穏の為
の・の・
た・為守
めに
にし・
し・て・
あるひは後生善所のために
家国
あるひは有縁の衆生をみちびき
の・の・
為守為 g
05
10
あるひは無縁の群類をすくわん
平氏の糟糠
身君
武家の塵芥なり
も
一戦の功を感じて
ど
・
不次の賞をさづけ
p
高く相国に昇り
.
、
.
、
u
ばし・
し・き・
き・哉守
哉守
1
4
1
6
1
7
兼て兵杖をたまはる
よた 全然
ろの く
・り・
こも
と-
•••
•••••••
••••••••••••
•••••••
••••••
••••••
•••
•
•••
・
・
・
・
・
52
似上一人より
53
第1
2
2輯 ⑥
ずす
46
45
4
4
4
2
35
万四家守身・累譜・王帝嶺 石
民海をを・祖・代家・位・猿 泉
を・を・ぉ・た奉相を・を・
悩 管 2こ て 公 停 あ か さ ・ む ・
乱 揖 Cす
ののやたけせ
せ?イべ
忠、兵ぶむ・んん
しレし
勤略めけで・で・
む
を・を・ん
ぬ・つ・
枝S
布S
ん す
で
・
る
遊2
きぎと・
に・を・
ヲ
,
-
~キ
024
⑨平曲(読物〉のテキストと墨譜
:
(
2
)
:
09
1
8
06
03
70
69
固
法
ッ
実相サ
栢
ゥ
襲
ゴ
主
主-;,,~の
士4宗
主
福.長.
偶笠.
せ・ y
ん
025
ソウテウ
り
..
ま."
?C.
Z
.く・
67
いよ/¥崇重すべし
---
いかんがあゆみを険難の道にはこばん
なんぞ必ズしも幽遠のきかいにましまさんや
これはム寸の精祈なり君のため追詩をこふ
煩悩のあかをす、ぎ
宝号をとなふるに
••••••
••
•••••••
ばば
君上にうれうれば
2
.z
74
臣下にたのしまず
同国
或'ぁ・ぁ・ぁ・権利ゆ・ぁ・施裟・ i
グ!
は・るるる現益ふし無婆・:
レ
)i
ひ ひ ひ の ・ の べ た 畏 世 :1:
はは・は徳地・にに・者・界ィ'
をを・はは・の・の・ γ:
准・中羽・台
大本
后宮林階
深浄 土主
山水
の職に・を・
宣にー連辱
に・を・
を・備?り う あ・た・む・む・
り
し ふのかす
がまつん
む
・
ずずてで
る
んん
•••••••
••••••
••••••••••
•••••
•••
82
甲由同を枕とし
1.1/'
弓箭を業とする
:~:
いよ/¥恭敬すべし
.
.
カ
ス
ガ
・
:
・
ヂ
.
.
藤 氏 は 春 日 の や し ろ興
氏福社
寺を
氏も
寺っと
てし て
・
・
・
y:
平氏は日吉の社延暦寺をもって氏杜氏寺として
E艇 な り 回 国 家 仇 印 刷 栄 幸 HMHふ
仰 れ は む かZ
・
・
1
9
人文科学研究第 1
2
2輯⑨
九州を統領し
百司を進退して
:
・
・
・
・
・
・
・
・
・
-・・・・・・・
一毛心にたがへば王侯といへども
片言耳にさかうれば公卿といへども
かつうは一旦の身命をのべんがため
かつうは片時の凌辱をのがれんとおもって
・・・:・・・・
蔦乗の聖主猶面諮のこびをなし
重代の家君却而膝行の礼をいたす
こ・基量
から・
を・と
む
りノ¥
......
・
‘I l l
悪業猶心にたくましうして日夜につくり
ふた、び三途の火坑にかへって
善苗また耳にさかつて一下一朝暮にすたる
なかく四生の苦輪にめぐらん事を
山うづたかうして鷲峯山のこずえを
谷しづかにして商山洞の苔を
都都
遠近
里民
開
閉
素
fか つ て も の い ふ 事 な し
り
いわんや和国南北両門の衆徒何ぞ謀臣の邪類をはらはざらんや
・
・
:
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
彼唐家清涼一山の芯努猶武宗の官兵を返す
宮今相承の荘園をとるといへども権威には
代々相停の家領をうばふといへども上宰もおそれで舌をまき
れ
・
;
を
ー
し・表
け・し
2
1
2
2
2
3
2
4
2
5
2
9
3
2
3
3
3
4
3
7
-
••••••••
•••••••••••
••• • ••••••••••
••••••••
•••••••••••••
•••••
•••••
•••••••••••••••••
•••
•••••••
••••••••••••••
••••••
026
⑨平曲(読物〉のテキストと墨譜
7
1
68
66
62
55
6
1
隆巨っせ
車・?て
r
p
f
ふ・か・
がことし
:---
冥には十二神将辱く替玉善逝の使者として
侶・賊
治追
罰ー討
の・の・
官 勇1
軍士・
をに
た・相ー
すく・
けゎ
た
‘
り
,
り
5
8
56
崇t
教:下:玄 丹
敬Z
法一一
撃 祈・
の・の・武武・
ふふ客ー功力日・冥
るたを・を・護慮
き・‘・感感をに
にび・ずじな・叶ー
伏さ
すひ
せ・か
べ
んへ・
く
事ーむ・
ん
を事
ば
を
1
随よ
喜・ろ
し・こ・
び
車関
ふ
ら
ん
027
43
あ ・ 勝 守 霊 冥 蜂 嬰7か・か・
た・事ー神顕榔児・つつ
を・を
が・の・うう
四・ち威・
は・は・
方時ンかを斧守薮?
へにら・くをを・勅神
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止観十乗の党風は好侶を和朝の外にはらい
稔伽三密の法雨は時俗を桑年のむかしにかへさん
魚鱗鶴翼の陣官軍利を得ず
星旋電戟の威逆類勝にのるに似たり
山門におゐてよろこびあらば一門のよろこびとし
社家に憤あらば一{永のいきどおりとして
箆鳥雲をこふるおもひはるかに千里の南海にうかひ
帰属友をうしなふ心定て九重の中途に通ぜんか
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君安ければ臣やすく
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臣やすければ則国やすし
ひとへに君のためにして
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回国顕には三千の衆徒暫く修学讃仰の勤節あやめて
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人文科学研究
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⑨平曲〈読物〉のテキストと墨譜
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国家の為
累家の為
-マツテンぷイ
自寺他寺常住の仏法
イエンイス・・・セウ
本社末社祭実の神明
トギ・ト・
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隣境遠境数国を掠領し
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土宜土貢ばんぶつをおうりゃうす
あるひは累代勲功のあとをおひ
タウ・・
あるひは首時弓馬の護にまかせて
65
凶黛を降伏すべきよし
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2
賊徒をちらし
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君は臣をもって林とす
かろんず
029
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心中に愁あれば
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臣は君をもって心とし
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仏 か す・大 前 ・ 椿 嘉 腕 ・ 人 法 人
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去 な み 小 後 葉 舜 蹟S
里・を・を・
再無
は務守
の・ら や
怨守ず か・
合為こ・遠うじ・
の・のと・ふず
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化・な し
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身仏
ひ・う し
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(検討 2)
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(検討 1)
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平家物語における﹁読物﹂の生成(﹁古典遺産﹂第お号、一九七五、五)
平曲﹁読物﹂の構造(﹁古典遺産﹂第お号、一九七三、六)
これまで︿読物﹀について書いたものは、次の通りである。
うである。対称的な形を、声が、 いわば様々な延び縮みを配分し、変化させて伝達していると言うことができ
関係を探ってみた。演諦がテキストの形に随うだけの関係ではなく、むしろ、積極的に働きかけているかのよ
本稿は、﹁作文/著述﹂された対句を、どのように演諦するのかということについて、墨譜のモチに限定して、
きくもん
検討1 の結果と同じ傾向が、検討2でも得られたことになる。
2 29 3
3 1
8
以上をまとめると、次の通りである。
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9
(
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第1
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2斡⑨
人文科学研究
030
⑨平曲(読物〉のテキストと墨譜
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平曲における読物﹁木曽山門牒状﹂の場合│(﹁軍記と語り物﹂第ロ号、一九七五、一 O
)
平曲﹁読物﹂の一考察叫関説話酔の川周(伊地知銭男編﹁中世文学資料と論考﹄笠間書院刊、一九七八、
読物について(橋本敏江平曲鑑賞会﹁腰越﹂解説パンフレット、一九七八、二一、五)
による﹁平曲伝承資料の基礎的
)
義経伝説と腰越状│平家物語を中心に│(﹁かながわ高校国語の研究﹂第日集、一九七九、五)
吋﹃平家物語﹂﹁康頼祝詞﹂の一考察引き符総肱附ける(国東文麿編﹃中世説話とその周辺﹂明治書院刊、一九八七、
関連するものは、
神田本太平記の符号に関する覚え書(﹁太平記研究﹂第7号。改訂版は拙著﹃平曲と平家物語﹄│二OO七│の付儲とした。)
注2 犬井善寄﹁二つの﹁福原院宣﹂│延慶本﹁平家物語﹄本文小考﹂(﹁横浜国立大学人文紀要﹂第二類第二十五輯。一九七八・
二一)の論がある。
注3 上杉和彦﹁延慶本平家物語所収文書をめぐって﹂(﹁軍記と語り物﹂引。一九九五、三)に、同様の一覧表が示されている
が、判断を異にする箇所がわずかながらあるので、私的に作成してみた。なお、襖井陽子氏の御教一不に与った部分がある。
二回目は、大学院現代社会文化研究科・研究プロジェクト﹁叙事文義における修辞の研究﹂研究発表会(二O O八、二、八)
付記本稿は、三回の口頭発表に基づいている。第一回は、人文学部﹁日本一言語文化演習﹂(二OO七、一 O、五)において、
(C))
において、三回目は、人文学部﹁日本言語文化演習﹂(二OO八、四、一八)においてである。当日ご意見を下された
なお、本研究は、平成十九・二十年度目本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究
松城俊太郎氏、楊夫高氏、院生・学生諸君に謝意を表する。
研究﹂の成果の一部である。
031
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