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④ドミニカ共和国 ロジー・ペレイラ・アリサ(国際長寿センタードミニカ

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④ドミニカ共和国 ロジー・ペレイラ・アリサ(国際長寿センタードミニカ
④ドミニカ共和国
ロジー・ペレイラ・アリサ(国際長寿センタードミニカ共和国理事長)
(工藤)
それでは次にドミニカ共和国の高齢者介護の情況につきましてロジー・ペレイラ国際長寿センター理事長よ
りお話を伺います。
(ロジー・ペレイラ・アリサ)
皆さんこんにちは。皆さんにひとつお願いがあります。皆さんご起立願います。足を延ばして、隣にいる
人にこんにちはと挨拶をしましょう。そしてここに来られてよかったねとみんなで拍手をしましょう。
では発表を始めさせていただきます。どうぞご着席ください。私は先進国ではなく途上国からまいりまし
たのでケアのレベルも違っています。そして政府や社会がケアにどのように携わっているかということをお
話したいと思います。歴史的には虚弱な高齢者、痴呆のある高齢者がケアを必要とした場合、誰か家庭の中
に世話をする人がいました。でも、ご想像いただけると思いますが世界中同じようなことが起きています。
かつては高齢者の数も少なかったのですが、寿命はどんどん長くなっています。以前は資源は限られていた
けれども高齢者の数もすくないし、また出生率が高く、誰かがケアをできたのです。ところがいまは寿命が
延びています。出生率は下がっています、したがってケアの必要な人が増えていて、同時に必ずしも誰かが
家にいるわけではないという状況が生まれているわけです。スライドにありますようにかつては死亡率も高
かった、したがって高齢に到達する人口が少なかった。ケアを必要とする人の数が少なかった。このスライ
ドでは実際に 60 歳以上人口が増えていることが分かります。そして若い家族構成員の数が減っています。そ
して高齢者の中でも超高齢者の数が急速に増加しています。1950 年には 12%が高齢者で、1998 年には 19%
となっています。2025 年には先進国では 28%になるといわれています。途上国ではそこまで増えていませ
んが、それでも高齢者総数は急速に増えています。私どもの国では後期高齢者の数が急速に増えています。
この超高齢者の大半は女性です。これはどの国でもそうでしょう。将来もこれは変わらないと思います。
女性の比率が男性より高いということがなぜであるか理由はわかりません。ホルモンのせいだという人もい
ますが、それ以外の理由もあるでしょう。なぜ女性のほうが長いのか理由を探らなければなりません。これ
は先進国も途上国も同じです。これはいい面と悪い面と両方があります、なぜかといいますと、私たち女性
は慢性疾患を患う比率が高くなりますし、また女性は自分たちの面倒を見てくれる人がいない。配偶者を失
ってしまったら自分で自分の面倒をみなければなりません。私たちは自分たちの夫よりも長生きしますから
夫のケアはします。でも自分が年をとってケアを必要とするようになったら、施設に入るか娘に世話になる
かしかないのです。また先進国においても途上国においても女性高齢者、後期高齢者の女性の比率というも
のが増えてきています。ただしこれは将来減ってくることも考えられます。特に先進国ではそうです。先程
のお話でもありましたけれども、女性の寿命は私どもの国では 72 歳、男性の場合には 68 歳です。でも先進
国ではこの寿命のギャップというものが少しずつ減ってきています。でも私たちの国ではまだこの男女の寿
命の格差というものは広がって生きます。誰が介護をするのか?
ステレオタイプ的な考え方にかかわらず、高齢者の介護をしているのは配偶者が中心です。これは私ども
の国だけではなく、世界中どこでも同じだと思います。高齢化に伴って医療やサービスの必要が高まってい
ます。健康に問題を持った若い人もいますし、社会の高齢化に伴ってより健康問題を訴える人が多くなって
います。ステレオタイプ的に言いますと、高齢者の介護をするのは子どもであるというのが一般的でありま
した。しかし高齢者だけで生活をしている場合には、配偶者がその相手を介護するということです。配偶者
が介護をするといった場合、女性のほうが寿命が長いですから、妻が夫を介護するということが多いのです。
1996 年のスペインの調査でありますけれども 74%の高齢者が男性は妻が介護している、一方高齢の女性で
夫の介護を受けている人は 33%しかないということです。逆に高齢の女性の場合には 68%が娘の介護を受
けています。
もうひとつ注意をしなければならないのはサンドイッチ世代といわれている世代です。すなわち高齢の親
の面倒を見ながら家族の世話をする、サンドイッチ世代です。どこの国でも寿命が長くなると中年の成人が
年老いた親、80 歳以上の親を介護することがおきてきます。このグループの人たちは大きなさまざまなニー
ズを持っています。50 歳から 60 歳以上の人たちに対して、80 歳以上の超高齢者が占める比率というものを
見てみますと非常に大きな圧力がサンドイッチ世代にかかっていることになります。日本でもこれは非常に
高いと思います。親を介護する率が非常に高くなってきます。98 年の数字では先進国で、10 から 25 強にま
で上がってきています。そして途上国も然りです。まだ途上国では 10 を割っています、しかしこれがだんだ
んと上がってくることが考えられます。
さて、高齢の女性は独居になる可能性が高いということは、文化の違いがあるかもしれませんがそれを越
えた事実であります。先進国では独居高齢女性の比率が非常に高くなっています。なぜかというと性によっ
て結婚の状態が違っていまして、女性の場合には寡婦になることが多いのですが、男性の場合には配偶者を
失うと一人でいるのがいやだ、自分で家事はできないということがあって伴侶を求めるのです。しかし、女
性の場合にはなかなか夫が死んだ後、伴侶を求めることは難しいのです。1995 年のオランダの独居の女性が
44%独居していましたが男性高齢者の場合には 17%でした。独居女性と独居男性の比率が違うのは、このよ
うな理由もあると思います。多くの途上国では、大家族、多世代家族が多くあります。伝統的にも、家族が
高齢者の世話をするというのが慣習でした。ところが、国が発展するにつれて大家族が減ってきています。
また高齢者がケアを行うことも生まれています。高齢者がその他の人、子どもや孫の世話をするということ
も増えています。たとえば孫の世話をするというとき、かつてはたまに孫の世話をする、ベビーシッターを
するということがありました。ところが今は祖父母が孫の後見人になっているということが非常に増えてき
ています。たとえばアメリカでは 97 年に 390 万人すなわちすべての子どもの 5.5%が祖父母の家庭で暮らし
ていました。この現象はなぜかといいますと 90 年以降、離婚が増え、これは日本でもそうだと思いますが、
また HIV/AIDS の問題、そして薬物の乱用の問題、そして児童虐待のゆえに祖父母が孫の世話をするという
ケースが増えてきています。
ドミニカ共和国の公衆衛生ですが、これは 3 つの施設プラス民間部門がさまざまなサービスを提供してい
ます。スライドにありますように 1339 の医療施設がドミニカ共和国にあり、15536 の急性病床があります、
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1000 人あたり 1.76 床という比率です。医師の数は人口 10000 人当たり 19 人という比率になっています。
ということは、医師のケアはあまり容易に得られるものではないということです。では住宅はどうでしょう
か。大半の高齢者は先程申し上げましたように大家族とともに住んでいるということですが、82%が多世代
の家、17%が自分の家、施設には言っている人は 1%に満たないのです。長期ケア施設としては 3 種類あり
まして、国の施設、国からの助成金がでている施設、そして民間の施設です。この民間施設の大半は修道女
によって経営されていて、常に潤沢な予算があるわけではありません。したがっていろいろな援助を必要と
しています。
また居宅サービスは民間企業がやっている場合、もしくは専門職が独立してやっている場合があります。
ドミニカ共和国におきましては介護の質を高め、家族や地域全体が介護に携わることができるようにという
ことで、いろいろな研修の場を設けています。しかしインフォーマルケア、つまり家族や親戚がケアをする
ことが非常に多いのです。ほかの方の発表にもありましたのでこのことはあまりお話をしませんが、
「誰が介
護をするのか?」を最終的に考えますと家族なのです。実際には家族なのです。そしてこの家族という単位
を強化しなければなりません。同時に政府や地域、社会がその家族に支援をしなければなりません。さまざ
まな介護に伴う困難があります、それに直面したときにどうすればいいのかを指導することも必要です。で
すから、家族という名前のもとに家族を強化すればいいということだけではありません。しかし家族が核で
す、家族が最も重要ですということをはっきり明示しなければいけないと思うのです。これを私は申し上げ
たいのです。疑う余地はありません。介護の中で一番大事な核は何かと考えると、これは家族です。このこ
とははっきりとさせておく必要があると思います。皆さんも心の中でこのことはわかっていると思います。
皆さん、ここで聞かれたことを周りの人に伝えていってください。
ご清聴ありがとうございました。
(工藤)
ドクター・ペレイラありがとうございました。お話の中で高齢化について国の違いを超えて普遍的な問題
を述べられ、考えさせられるお話であったと思います。
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