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アスファル ト混合物のマスターカー ブの 計算機による作成 - J
【 土木 学会舗装 工学論文集 第3巻1998年12月 】 ア ス フ ァ ル ト混 合 物 の マ ス タ ー カ ー ブ の 計 算 機 に よ る作 成 上 島 壮 正会 員 北海 道 大学助 手 大学 院工 学研 究科(〒060-8628札 幌市 北 区北13条 西8丁 目) ア ス フ ァル ト混合物 の 曲 げ試 験 の応 力-ひ ず み 曲線 群 を統合 し,粘 弾性 特性 マ ス ターカ ーブ を逆 解析 手 法で 求 め る方 法 につ い て論 じた.時 間 一温 度重 ね合せ の基本 モデ ル と してArrhenius式 計算 に用 いた試 料 配合 は,ア ス フ ァル ト(お よび タール ビ ッチ)5種,砂 の試 験速 度変 化 試料17配 合 と試 験 速度 一 定の試 料 グル ー プ55配 とWLF式 を用 いた. 混合物16配 合,砕 石 入 り混合 物 合 であ る.解 析結 果 につ い て,サ ンフ リン グ方 法 に よる誤 差 と,得 られ た時 間 一温度 換算係 数 の 定数 につ いて論 じた. Key 1.は Words : asphalt mixture, rheological じめ に 2.解 property, master curve 析の 方法 ア ス ファル ト混合 物 の粘 弾性 特 性は,低 温 にお け る レオ ロ ジ ー に は,一 般 化 マ ク ス ウ ェル モ デ ル を 用 い 温 度応 力や 常 温以 上 の温度 域 にお け る流動 な どを理 論 る 緩 和 弾 性 率 体 系 と フ ォ ー ク トモ デ ル を 用 い ク リー プ コ ン プ ラ イ ア ン ス に も とつ く体 系 が あ り,そ れ ぞ れ の 的 に研 究す るた めの 基本 的特性 で あ る、 バイ ン ダー の ア ス フ ァル トの粘 弾 性 が レオ ロジ ー の分子 理論 に適 合 す るこ とか ら,混 合物 につい て も同 じ理 論 に 適 合 す る こ とが 期 待 され,1960年 代から 特 性 関 数 を 相 互 に変 換 す る こ とが で き る. 時 間 ・温 度 の 換 算 関 係 に つ い て は,式(1)の Arrhenius式 と式(2)のWLF式 が 古 典 的 な 式 で あ る. 1970年 代 にか けて精 力 的 に混 合物 の レオ ロジー の研 (1) 究が行 わ れ た.それ らにつ いて はTRB刊 行 のNCHRP レポー トに概 括 され てい る1).し か し,当 時 の力学 的 (2) 性 質 の研 究 目的 が舗装 構 造 の応答 の基礎 デ ー タ を求 め る こ とに あった ので,一 応 そ の 目的 を達 した とい うこ とで,そ れ以 降粘 弾性 研 究 は下火 に な ってい た. 近年,SHRPに 絶 対 温度Tと バイ ンダー の粘 弾性 が取 り入れ られ, るArrhenius式 適 当な基 準温度T0の 逆数 の差 を用 い は高温側 の特性 に適 し,WLF式 材 料 関連 論 文 これ に関す る記 述 が多 く見 られ る よ うに り低温 側 の ガ ラス転移 点Tgに な った ことか ら2),物 理 的 な性状 とのつ なが りにつ い とい われ る.Tsは,Tg+50℃ て混合 物 の レオ ロジー特 性 に 関心が 向 け られ る こ とも 想 像 され る. はよ 近い 温度 領域 に適 す る 程 度 の温度 と され てい る. 曲げ試 験 な ど の等 速 試験 の応 力-ひ ず み 曲線 の微 係 数 か ら緩 和 弾性 率 を求 め る こ とがで き る.そ して, レオ ロジー の解 析 作 業 は,異 な った 時 間,温 度 の 得 られ た緩 和 弾性 率 を基 準温度 に対 して シ フ トす るこ 試 験 の応 答 の重 ね合せ 作 業 を行 ってマ ス ター カー ブ を とに よ りマ ス ター カー ブを求 め る こ とは原 理 的 に可能 作成 す るこ とを最終 段 階 とす る.こ の作 業 は,ト レー で あ る. シ ン グペ ー パー な どに描 い た グ ラフを 目で見 なが ら手 しか し,各 試料 の応 力-ひ ずみ 曲線 を直 接数 値微 分 作業 で行 うもので あ った.本 論 文 は,曲 げ試験 結 果 に す る こ とは,種 々 の誤 差 と混 合物 の非 線型 特性 の影 響 つ いて,マ ス ター カー ブ の作成 を,一 種 の逆解 析 処理 を直接 的 に受 け るこ とが予想 され,結 果 の安 定性 な ど によ り行 う方法 を提 示 し,そ の適 用性 を論 じる. に危 惧 が あ る. 本研 究はTL.Smith3)の ― 225― 方 法 を用 い,式(3)の 関係 を 対 数 プ ロ ッ トし,回 帰 式 に 対 して 式(4)を 適 用 して 緩 和 弾 性 率 を 求 め る こ と と した. ④ 両 対 数 グ ラ フ 上 に 多 項 式 マ ス タ ー カ ー ブ を想 定 し, 回 帰 式 と の 標 準 偏 差 が 最 小 に な る点 を探 索 す る.そ (3) σ:応 力,ε:ひ トさせ る. ず み,R:ひ して 最 終 的 に は 図-2の 曲 線 群 が 得 られ る. ⑤ 図-3はArrheniusモ ず み速 度 (4) た だ し,本 報告 は,緩 和 弾 性率 を求 め る前段 階 のSr の 回帰誤 差 の解析 を行 うことを 目的 とす る. なお,既 報4)で はArrheniusモ で あ る.基 デル の場合 の標 準偏 差 の挙動 準 温 度 は0℃(273K)と ⑥ 図-4は 図2を した. 得 る た め に用 い たWLFモ 合 で 標 準 偏 差 が 極 小 に な るTsを デル の場 求 め る. ⑦ 誤 差 最 小 の パ ラ メ ー タ の 探 索 は,誤 差 曲 線 の 尖 度 を デル につ いて計 算 把 握 す る た め,定 ま っ た 区 間 を 一 定 の 刻 み で 分 割 し, 手法 を提 起 し,ひ ず み依 存性 の非線形 性 につ い て検討 そ の 精 度 で 値 を 求 め た.パ を行 っ てい る. 10000/14000,パ この手順 の枠 組 み は次 の とお りで あ る. ラ メ ー タCは ラ メ ー タTsは-20/80の 範 囲 を100 等 分 した. ① 曲 げ試 験 の応 力/ひ ず み 速度-時 間 関係 を両対 数 グ ラ フで プ ロ ッ トす る と図-1の よ うに な る. ⑧ 図-3,図-4の δSDは 誤 差 曲 線 の 感 度 の 指 標 に用 い る た め に 次 式 で 定 義 し た 指 標 で あ る. ② 曲線 上 の指 定 のひず み値 で解 析 用デ ー タを サ ン プ リン グす る. ③ 基準 温度 を定 め,Arrheniusモ デル また はWLFモ デル か ら得 られ た各 試料 の換 算係 数 を用 いて,サ ン プ リン グ した点 群 を図-1の 両対 数 グ ラ フ上 で シ フ 図-1シ フ ト前 の換 算応力-時 間 曲線 の例 図-2図-1配 合 のWLF式 によ るシ フ ト ― 226― ⑨ 絶対 温度 比T0/T項 に 関 して は,補 正 の有効 性 が不 明 で あった ので補 正 を行 わ なか った. 図-3Arrheniusモ 図-4WLFモ デ ル:CとSDの デ ル:TsとSDの 関係 関係 で 作 成 試 験 され た も の で あ る. 3.試 料 混合 物 試 料 の 製 作 工 程 に は 流 し込 み と転 圧 の2系 統 が あ る. 転 圧 供 試 体 の 多 く は ホ イ ー ル トラッ キ ン グ試 験 の 後 に, 解 析 に 用 い た 混 合 物(ア 表-1に 示 す.配 ス フ ァ ル ト単 体 を 含 む)を カ ッ タ ー で 切 断 され た もの で あ る.曲 げ 試 験 供 試 体 は, 合 名 のa-は 単 体 の ア ス フ ァル ト(タ ー ル ピ ッチ を 含 む),b-は 砂 混 合 物,c-は 砕 石 入 り混 合 物, 厚 さ20mmと25mmの2種 げ試 験 機,イ 類 が あ る.試 験 は 高 速 曲 ン ス トロ ン 型 万 能 試 験 機 な ど を 用 い た. J-は ア ス コ ン な ど砕 石 入 り混 合 物 に 対 して 行 っ た 変 形 高 速 試 験 で 最 高 速 度 が 一 定 して い な い の は,試 速 度 一 定 の 曲 げ試 験 デ ー タ で あ る. 駆 動 部 に 工 業 用 の 油 圧 装 置 を 用 い て い た た め で あ る. As記 号 の80xは80/100級 は60/80級LXnは CBnは 舗 装 用 ア ス フ ァル ト,60 ラ テッ ク ス5%混 触 媒 系,TPは イ ン ダ ー で あ る,x,nに 入 ア ス フ ァル ト, コー ル タ ー ル と ピ ッチ の 混 合 バ 相 当 す る記 号,数 字 は異 な る 製 品 を 区 別 す る も の で あ る. デ ー タ は お お む ね1970年 デ ー タ の 収 録 は,電 磁 オ ッシ ロ グ ラ フ,ペ ン レ コー ダ ー な どへ の 記 録 を 手 作 業 で 読 み 取 っ て 行 っ た.荷 重 一 時 間 曲 線 の サ ン プ リン グ の 方 法 は ,補 間 処 理 を 想 定 して 大 き な誤 差 な く曲 線 を 再 現 で き る と思 わ れ る 範 囲 で 行 っ た. 代 に北海 道 大学 の実 験室 表-1試 料 混合 物(ア ス フ ァル ト単体 を含 む)の 材 料特性 と試験 条件 ―227― 験機 の 4.計 算条 件 の検 討 表-2デ デ ー タ の サ ン プ リン グ は,不 等 間 隔 の 測 定 デ ー タ 点 に つ い て,ラ グ ラ ン ジ ュ の 補 間 法(3点 補 間)を 用い て 行 っ た. 座 標 の サ ン プ リ ン グ 条 件 の設 定 は ひ ず み 量 基 準 と して,a)サ ン プ リン グ最 小 ひ ず み の 設 定,b)ひ 取 領 域 の設 定,c)採 っ た.ひ 取 ひ ず み 間 隔 の 設 定,に ず み採 よ って行 ず み が 大 き い ほ ど測 定 精 度 は 高 くな る が 非 線 形 性 が 発 現 す る こ と が 考 え られ る. サ ン プ リ ン グ 条 件 を 次 の3桁 の数 値(p1,p2,p3)で め,す 定 べ て に つ い て 計 算 を行 っ た. p1:サ ンプ リング最 小ひ ずみ の対 数 ― 228― ー タ のサ ン プ リング条 件 と得 られ た パ ラメー タ値 平 均値 の大小 傾 向 1:-4.02:-3.5 P2:サ 3:-3.04:-2.5 ン プ リ ン グ 全 幅(対 1:1.02:1.5 p3:サ 数 ひ ず み 幅) 3:2.0 ン プ リ ン グ 間 隔(対 1:0.052:0.1 数 ひ ず み の 増 分) 3:0.154:0.20 入 力 した 第1デ ー タ が 設 定 の範 囲 を 超 え る 場 合 は 第 1デ ー タ を計 算 に 組 み 入 れ た. ま た,マ 表-2は て,各 ス タ ー カ ー ブ は5次 多 項 式 近 似 と した. 計 算 で 得 られ た 特 性 値 の全 平 均 を 基 準 と し サ ン プ リ ン グ 条 件 別 の 平 均 値 が 基 準 よ り大 き い か 小 さ い か の 記 号 を 記 入 した も の で あ る. こ こ に示 した 閾 値 の 設 定 で は,Arrheniusモ デル の 係 数 とWLF式 のTs値 の 傾 向 が よ く似 て い る こ とが わ か る.ま ン プ リ ン グ 間 隔(デ た,サ ー タ 数)は あ ま り関 係 が な い こ とが 示 され て い る.本 計 算 のP1,P2,P3の 合 せ 条 件 は,こ 組 の 表 の 中 間 領 域 の ○ の 範 囲 を用 い る こ と と し た. 5.計 算結 果 (1)材 料 特 性 値 間 の 関 係 前 項 の 予 備 的 計 算 を 参 考 に,サ ン プ リン グ条 件 と し て(p1,p2)の 組 合 せ が(2,2)(2,3)(3,1)(3,2)(3,3)で 図-5バ ある イ ンダー 研究 系列 の 出 力結 果 20条 件 を採 用 し,そ れ らか ら得 られ た 特 性 値 の 平 均 値 図-7力 図-6配 学 応 答研 究 系列の 出 力結果 ―229― 合研 究 系列 の 出力結 果 を 用 い た. 問 の 相 関 係 数 を 示 す.SDと 計 算 結 果 は,図-5の バ イ ン ダー 研 究 系 列,図-6の 形 速 度 一 定 の 配 合 研 究 系 列(配 合 記 号 」),図-7の フ ァ ル ト80Aを 研 究 系 列,に 図3,4に 示す も 同 種 間 の 相 関 は 高 い. アス 用 い た 速 度 ・温 度 範 囲 が 広 い 力 学 応 答 6.結 グ ル ー プ化 して 示 した. 図-5,6,7か Arrhenius式 の で あ る.SD,δSDの 変 δSDは ら共 通 した 傾 向 は,WLF式 論 のTsと 係 数 の 関係 は 右 上 が り の傾 向 が あ る こ と 得 られ た 結 果 を要 約 す ると次 のとお りで あ る. で あ る. ① ア スファル ト混 合 物 の粘 弾 性 特 性 にArrhenius型 図-5を こ の 傾 向 で 見 る と,図 の 左 側 の 触 媒 系 ア ス フ ァル トの 系 列 と,右 プ,そ はWLF式 の ア ス フ ァル ト量 の 少 な い グル ー して そ の 中 央 の,タ ー ル ピ ッチ,ゴ の 温 度 一 時 間 換 算 関 係 を仮 定 す ることによ り,等 速 度 曲 げ 試 験 の 実 験 デ ー タか ら計 算 機 で マ スタ ー カ ー ブ を作 成 で きることを示 した . ム入 りア ス フ ァル トを含 む ビ チ ュ メ ン 単 体 とマ ス チ ッ ク 系 の ア ス フ ァ ル ト混 合 物 の 系 列 よ りな る. 図-6は また ② 種 々 の アス ファル ト,お よび アス ファル ト混 合 物 に つ い て この 方 法 を適 用 し,時 間 一 温 度 換 算 特 性 に 材 料 学 同 じ ア ス フ ァル ト と骨 材 を 用 い て 系 統 的 に 配 合 を変 化 させ た 混 合 物 で あ る が,粘 的 な法 則 性 が あ ることを示 した. 弾性 特性 も系統 ③ 入 力 デ ー タの編 成 条 件 に よってTsやArrhenius式 的 に 変 化 して い る.こ れ よ りア ス フ ァ ル ト混 合 物 の 時 の 間-温 度 換 算 特 性 が バ イ ン ダ ー の み の 性 質 に支 配 され 係 数 な ど,得 られ る特 性 値 が 変 動 す ることと,そ の変 動 る の で は な く,混 合 物 は 混 合 物 の性 質 を持 つ こ とが う の 大 きさに つ い て示 した. か が え る.な お,図 に は 表-1の 配 合 名 の 第2-3字 をプ ロ ッ トした. 参考 文 献 図-7は バ イ ン ダ ー80Aを 用 い た 混 合 物 系 列 で あ る. 全 体 と し て 規 則 性 は 薄 くみ え る が 同 じ プ ロ ジ ェ ク トの (1) Factors 混 合 物 群 は ク ラ ス タ ー を 形 成 して い る. Involved Surfaces, in the Design of Asphaltic National Cooperative Highway Program Report 39, Chapter 2, Stiffness Characteristics, (2)誤 差 項 目 間 の 関係 各 配 合 に つ い て サ ン プ リン グ 条 件20種 とArrheniusの を平 均 す る 式 の 係 数 の ば らつ き(標 262,Tsは0.97℃ で あ っ た.表-3に ResearCh or Rheological Highway Research Board, pp6-24, 1967 (2) Mihai Marateanu and David Anderson, Time-Temperature 準 偏 差)は Dependency 関連 した 誤 差 項 目 of Asphalt Binders AAPT, Vol. 65, pp408-448, (3) 表-3誤 Pavement 差 項 目間の相 関係 数 Thor. L. Elongation, 1996 Smith, Polyisobutylene Viscoelastic under Journal -- An Improved Model, of Constant Polymer Behavior of Rates of Science, Vol. XX, pp89-100 (1956) (4) 上 島 壮, 菅 原 照 雄, ア ス フ ァル トコ ン ク リー トの低 温 に お け る粘 弾 性 に つ い て, 第21回 レオ ロ ジ ー 討 論 会, 14, 1973 COMPUTATIONAL METHOD FOR OBTAINING THE MASTER ASPHALT-AGGREGATE MIXTURES Tsuyoshi This paper constant rate temperature Arrhenius Applying mixtures, introduces bending a backcalculation-like test data CURVE OF KANIMINIA technique of asphalt-aggregate for obtaining mixtures theological which covers master wide range curves time from and conditions. or WLF twenty significance equation sampling for the time-temperature conditions of appropriate to the sampling relationship data of each procedure ―230― ninety is stressed. is assumed. three types of bitumens and their