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四旬節 2014 - カリタスジャパン

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四旬節 2014 - カリタスジャパン
四旬節 2014
主は貧しくなられた。それは、主の貧しさによって
あなたがたが豊かになるためだったのです。
(二コリント 8・9 参照)
©Sam Tarling/Caritas
趣意書
四旬節 愛の献金
昨年の四旬節に、私たちは教会の歴史に残る体験をいたしました。一つ
はベネディクト十六世の退位であり、もう一つはそれに続いた教皇フランシ
スコの選出です。教皇フランシスコは、自らが信じる信仰を、まさしく言葉
と行いで証しする方です。羊の群れの先頭に立って、
模範を示される方です。
助けを必要とする人のところに駆け寄ることをためらわない方です。まさし
くイエスの弟子としての生き方の模範を、私たちに示してこられました。
教皇フランシスコは、昨年 11 月6日の一般謁見で、次のように語りかけ
られました。
「愛がなければ、あらゆるたまものとカリスマは教会の役に立ち
ません。なぜなら、愛のないところには、むなしさだけがあり、むなしさは
やがて利己主義で満たされるからです」
。
四旬節は、私たちの信仰の原点に立ち返る時です。ベネディクト十六世の
回勅『神は愛』にある通り、愛の奉仕は、福音の告知や祈りとともに、教会
に欠くべからざる本質的な要素です。私たちにとって、愛の業は欠かすこと
ができないと同時に、教会が教会らしく豊かであるためにも、愛の業が不可
欠であることに気付かされます。教会の伝統は私たちに、四旬節において祈
りと節制と愛の業という三点をもって、信仰を見つめ直すように求めていま
す。
カリタスジャパンが担当する四旬節献金は、緊急災害援助にとどまらず、
国内外において危険にさらされている多くの「いのち」を守るために役立て
られ、さらには少数民族の子どもたちの教育支援や女性の自立支援などの
長い時間をかけて実施される支援にもあてられます。神から与えられたたま
ものである 「いのち」 が、ふさわしい尊厳を与えられるために、努力を続け
ております。このカリタスジャパンが行う支援は、皆様の募金に支えられて
いますが、その三分の一が、四旬節献金によるものです。
今年の四旬節にも、あなたの分かち合う愛の心が世界の多くの人に届きま
すように、四旬節献金にご協力下さい。
2014 年3月5日 灰の水曜日
カリタスジャパン責任司教 タルチシオ 菊地 功
担当司教 ヤコブ 幸田和生
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2013 年四旬節キャンペーン報告
四旬節献金総額 61,103,082 円
主な援助先 (円)
インド
年間一括援助
5,708,390
スリランカ
女性移住労働者権利啓発支援
1,821,600
スリランカ
移住労働に関する提言・啓発支援
1,846,800
スリランカ
平和構築のための社会教育プログラム
1,427,552
パキスタン
アフガン難民教育・職業訓練支援
2,534,258
パキスタン
諸宗教対話による平和構築支援
1,302,496
カンボジア
地域医療支援
2,982,300
カンボジア
若者職業訓練支援
2,732,400
モンゴル
カリタスモンゴル事務局支援
3,442,377
モンゴル
職業訓練センター支援
5,017,631
ミャンマー
カチン紛争避難民支援
2,536,200
ミャンマー
洪水災害緊急支援
ウガンダ
持続的農業プログラム
4,045,216
スーダン
ヌバ山地紛争避難民緊急支援
2,434,400
中央アフリカ
内乱緊急人道支援
1,322,700
イラク
母子保健支援
2,350,500
ヨルダン
イラク難民と社会的に脆弱なヨルダン人支援
1,886,200
ヨルダン
女性移住労働者のためのコミュニティセンター支援
943,100
ヨルダン
シリア難民支援
898,300
パレスチナ
ガザ攻撃被災者緊急支援
1,195,100
シリア
紛争被災者冬季緊急支援
1,264,600
レバノン
シリア難民緊急支援
1,828,100
391,750
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■支援先プロジェクト
〈アジア〉
パキスタン
アフガン難民が本国へ帰還後、アフガン社
会に適応していけるよう、基礎教育支援や
職業訓練に取り組んでいます。
インド
少数民族やダリット(指定カースト)など
弱い立場に置かれた人々の生活向上と権利
回復のための支援を行っています。
スリランカ
内戦遺族の心の傷を癒し、戦い続けてきた
二民族の交流を促すための社会教育プログ
ラムを支援しています。
モンゴル
都市近郊のゲルエリアで暮らす生活困窮
者、特に女性の生活向上のための職業訓練
センターを支援しています。
カンボジア
貧困層が最低限の医療サービスを受けるこ
とができるよう、地域の診療所を支援して
います。
就職に困難を抱える若者を対象に、職業訓
練支援を行っています。
■支援先プロジェクト〈アフリカ・中東〉
シリア
シリア内戦の影響で避難している人々に、
周辺国のカリタスが物資提供や医療、心の
ケアなど様々な面で支援を行っています。
シリア国内でも同様に人道支援が行われて
います。
中央アフリカ
内乱で家を追われた人々のために、物資提
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供や医療、衛生の支援を行っています。
イラク
貧困家庭や孤児、妊産婦を対象に、医療、
栄養改善、母親の職業訓練支援などを行っ
ています。
ヨルダン
イラク難民や貧しいヨルダン人、女性移住
労働者のために、医療や初等教育、職業訓
練や就業支援を行っています。
ウガンダ
農業を軸とした総合的な生活改善プログラ
ムや収入創出活動を行っています。
2013 年四旬節献金で支援したプロジェクトから、スリランカのキャ
ンディで行われている「移住労働者支援・人身売買防止対策」を取り
上げ、受益者の声をお届けします。
スリランカ中部にあるキャンディは、英国植民地時代に開拓された紅
茶プランテーションで有名な地域です。プランテーションとは、広大な
農地に大量の資本を投入し、先住民や奴隷などの安価な労働力を使って
単一作物を大量に栽培する大規模農園です。おいしい紅茶を産出する一
方で、キャンディにはいまだにその構造が根強く残っており、人々は多
くの課題を抱えています。
●出稼ぎは「永遠の貧しさから抜け出すため」の唯一の希望だった
ボガバラ地域は農業に適さない痩せた土地で、人々は食料自給もまま
ならず、プランテーション労働の低賃金で生計を立てています。働けど
働けど、その日暮らしの貧しさが続くばかり。子どもたちを学校へ行か
せることもできず、十分な教育を受けられない子どもたちは、将来しっ
かりとした仕事に就くことができません。このように、貧困が世代を越
えて続いていきます。
人生を切り開き生活をよくしていくためには、収入を得るための仕事
が必要です。しかし、彼らにとって、地域内には低賃金のプランテーショ
ン労働しか選択肢がありません。また、スリランカ国内の「安定した雇
用の機会」
は富裕層が独占し、これらプランテーション労働者はそのチャ
ンスさえつかむことができないのです。そして、人々は「出稼ぎで人生
を好転させたい」という希望を見出していきます。
娘を中近東の国へ出稼ぎに送り出したフェルナンドさん(仮名)は「ま
さか、大切な自分の娘が、過酷な労働下で虐待を経験することになるな
んて想像もしていなかった。海外からお金を持ち帰れば生活が向上し、
家族が幸せになると信じていたのに」と話します。「家族の誰かが出稼
ぎに行くということは、私たちにとって『永遠の貧しさから抜け出すた
め』の唯一の希望であり光だった…」と。
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スリランカ国内の教区カリタスであるカリタスキャンディ(SETIK)
は、移住労働者が抱える問題をともに解決していくための相談窓口
を設けています。出稼ぎ先での娘の境遇を知ったフェルナンドさんは
SETIK へ相談し、スタッフと専門家の協力を得て、娘がようやく帰国
できることになりました。その後、家族ともども SETIK の「リハビリテー
ション・生活生計支援プログラム*1」に参加しながら、人生を立て直
し始めました。
「地道な努力かもしれない。
だけど一歩ずつ前に進みたい」。
SETIK の起業トレーニングを
受けた後、現在は小さな商店を
開業するまでになったフェルナ
ンドさん親子は、「この地域で
生きる模範となりたい」という
新たな「希望」を抱いています。
*1:移住労働で様々な被害に遭い帰国した人々が、傷ついた心や体を癒し、再びスリラ
ンカ社会で生きていけるよう支援するプログラム。
●ともに見つけていく希望
ボヒル地域に住むクマリさん(仮名)は、3人の子どもの母親です。
この家族と SETIK との出会いは、2008 年、クマリさんがマレーシアへ
出稼ぎ労働に出かけていた時でした。
親と離れて暮らす子どもの多くは、学校へ行かなくなったり、残さ
れた家庭内でのトラブル(虐待、DV など)に巻き込まれたりします。
SETIK は、そういった子どもたちを守るために、子ども向けの支援活
動も行っています。彼女の子どもたちも「学校から遠のいていく」とい
う問題を抱えていましたが、プログラムへの参加を通じて、同世代の仲
間を作りながら心身ともに健康な生活を取り戻していきました。
クマリさん自身もまた、帰国後 SETIK の手工芸プログラムに参加し、
「出稼ぎに求めていた希望」が「母国でビジネスを展開していきたいと
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いう希望」へと変化していきま
した。現在は「もっとミシンの
台数を増やし、立ち上げた縫製
ビジネスを拡大することで、よ
り多くの女性の雇用の機会を作
りたい」と活き活きと語ってい
ます。
このようにカリタスは、社会
の隅に置き去りにされた人々が
困難を少しずつ克服し、新たな人生へと踏み出していけるように、とも
に道を探していきます。
●どうか、もうこれ以上、私と同じ思いをする人がありませんように
ラニさん(仮名)も3人の子どもの母親です。世帯主である夫の収入
は安定しておらず、子どもの教育費や家族の将来の生活が不安なため、
サウジアラビアへの出稼ぎを決意し、スリランカを出国したのが 2010
年 10 月のことでした。出稼ぎ先での経験を「家畜のような扱いを受け
続けていた」と話すラニさん。「『どうか、もうこれ以上、私と同じ思い
をする人がありませんように』と神様にお祈りしています…」と小さな
小さな声で語ってくれました。
「海外で蓄財し、大きな家を建てる」という家族の夢とは裏腹に、出
稼ぎ先では、約束通りの賃金が支払われず、食べ物も与えらず、過酷な
労働が続く日々。さらに、雇用主やその知人から、針で体を刺されたり、
殺虫スプレーを目にかけられたりといった、あらゆる種類の虐待や暴力、
性暴力が繰り返されました。そして何とか自力で脱出し警察に保護され
た時には、心身ともに衰弱しきっていました。
これに対し、国内外のカリタスはその世界的ネットワークの中で連携
し、スリランカ・サウジアラビア両国政府とともに問題解決に力を尽く
しました。そして双方の協力による保護とサポートで、ラニさんは後日、
母国スリランカに帰国できたのです。
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しかし、心の回復には時
間がかかります。ラニさん
はカウンセリングを受けな
が ら、SETIK の プ ロ グ ラ
ムに参加し、同じような経
験をしそれを乗り越えよう
とする仲間とともに、一歩
ずつ歩み始めました。同時
に、カリタスのスタッフが
何度も家庭訪問を行い支援
を続けました。こうしてラニさんはついに、SETIK の貸し出す融資を
利用して商店を開くまでになり、一家の暮らし向きも良くなりました。
子どもたちは元気よく学校に通っています。そして昨年、新しい家族も
誕生しました。悲惨な出来事を乗り越えながらも、新しい生命の誕生と
ともに、少しずつラニさん一家に笑顔が戻ってきています。
●おわりに
現在、世界中で約 1900 万人*2の人々が、過酷な労働、契約通りに支
払われない賃金、雇用主からの虐待、暴力・性暴力の被害など、奴隷の
ような劣悪な環境下で働いています。その中でも特に、移住労働者の置
かれる状況が深刻です。カリタスは多くの国々で、それらの人々を保護
し、新たな被害を防止するための活動を実施しており、SETIK もその
一つです。
2013 年には、661 人の成人男女(うち女性 549 人)、61 人の子どもた
ちが SETIK のプログラムに参加し、新たな道を歩いていけるようにな
りました。また、この問題に関わる諸機関の職員 106 人を対象とした研
修や会議を開催し、より大きなネットワークの中で、人々の安全を確保
していくための働きかけを行っています。
カリタスジャパンはこれからも皆様とともに、社会の隅に追いやられ
ている人々、格差が広がる現代の社会構造の中で貧困から抜け出せない
人々のために、支援を続けていきます。
* 2:ILO(http://www.ilo.org/global/topics/forced-labour/lang--en/index.htm 2013 年
12 月 12 日閲覧)より
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事前に当協議会事務局に連絡することを条件に、通常の
印刷物を読めない、視覚障がい者その他の人のために、
録音または拡大による複製を許諾する。ただし、営利を
目的とするものは除く。なお点字による複製は著作権法
第 37 条第1項によりいっさい自由である。
この冊子の編集にあたり、差別語、不快用語については、厳正な検討を加えて
注意を払いましたが(面談者が話し言葉で使っている用語、用法はそのまま使
用している場合もあります)、お気付きの点がございましたら、ご指摘、ご教
示いただければ幸いです。
この小冊子は点訳・録音テープの作成をロゴス点字図書館にお願いしています。
2010 年1月1日より著作権法が改正され、これまで視覚障がい者のみに貸し
出されていた点字図書館の録音図書(テープ・CD)が高齢、病気などの理由
で活字の本を読むことが困難な人にも貸し出されることになりました。ご希望
の方はロゴス点字図書館(電話:03-5632-4428)までお問い合わせ下さい。
四旬節キャンペーン小冊子 2014 年
2014年 3 月 5 日 発行 ©カトリック中央協議会2014年
編集 カリタスジャパン
発行 カトリック中央協議会
〒135−8585 東京都江東区潮見2−10−10
日本カトリック会館内 電話 03−5632−4411
カリタスジャパン 電話 03−5632−4439(直通)
FAX03−5632−4464
E-mail [email protected]
URLhttp://www.caritas.jp/
印刷 精興社
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