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実施報告書 - 国境なき子どもたち

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実施報告書 - 国境なき子どもたち
国境なき子どもたち(KnK)
ヨルダン マルカ、
イラク人難民およびヨルダン人の青少年に対する
心理社会的ケア
ビデオワークショップ
イラク難民支援(ヨルダン)2009 年 4 月
実施報告書
報告者
ビデオワークショップ講師
作成日
清水 匡
2009 年 11 月 30 日
国境なき子どもたち
ビデオワークショップ 2009 年
Ⅰ.実施期間
2009 年 4 月 9 日-4 月 24 日
Ⅱ.場所
ヨルダン
Ⅲ.対象者及び人数
マルカ
ヨルダン
ユースセンター
男子 12 名(イラク人 9 名、ヨルダン人 3 名)
女子 14 名(イラク人 9 名、ヨルダン人 5 名) 年齢 13 歳~19 歳
Ⅳ.参加者の選出
事前に参加希望者を対象に簡単な心理アセスメントを実施し、男女それぞれヨ
ルダン人とイラク人計 14 名を選出した。
Ⅴ.概要
ビデオ制作を通じ、ヨルダンで不安定な生
活を送っているイラク人と地元ヨルダン人の
友好と相互理解を促進することを目的とし、
昨年に引き続きヨルダンにてビデオワークシ
ョップを開催した。昨年のフヘイスでおこわ
なわれたピア・エデュケーター・プロジェク
ト参加者からも 7 名が参加し、経験を共有す
ることができた。
今年は「イラクの千夜一夜物語」と題し、
参加者それぞれが自らの物語を題材にしてビデオ化していくものとなった。このビデオワ
ークショップの目的は単にビデオの技術を学び作品を作るのではなく、ビデオ制作を通じ
て自己表現、参加者同士の協調性や助け合い、そして国籍を超えた相互理解を深め参加者
がマルカでのプロジェクトのけん引役として成長することにある。
イスラム教徒の多い地区のため、文化・宗教的背景に配慮し、男女別にクラス分けを行
い進行していった。
Ⅵ.内容
①カメラに慣れ親しむ
子どもたちはビデオカメラを手にすると
興奮するため、最初にカメラを実際に使わせ
ることから始めた。そのことで講師と参加者
の距離を縮め、場の雰囲気を和らげことがで
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ジャパン・プラットフォーム
イラク難民支援(ヨルダン)第 3 期
心理社会的ケア ビデオワークショップ
きた。次に撮影したものを考察し、
「良い点」、
「悪い点」を聞くと「良い点」はカメラの性
能を挙げ、「悪い点」は技術的なことを挙げた。参加者は技術を身に付ける必要性を理解す
ることができた。
子どもたちには ID カードやスナック、食事を提供し参加を促した。中でも ID カードを
発行したことは、各自がメンバーであるという意識向上させモチベーションを高める効果
を得た。
②男女の特質に合わせたワークショプ
撮影の基本的な技術を知っているのと知らないのとでは、映し出されたものは全く違っ
て見える。男子はこうした技術的なことに強く関心を示した一方で、女子は技術よりも撮
影する内容に強く関心を示した。そのため男子と女子の特徴に合わせて授業を進めていく
などの工夫をした。また、昨年の経験者が今回の参加者を指導する場面も見られ、ワーク
ショップを継続して行う意義を感じた。
③ストーリー作りと撮影
基本的な技術を習得した後、今回制作する作
品のストーリー作りを行っていった。参加者に
はイラク人のほかにヨルダン人、そしてパレス
チナ人も含まれており、
「イラク」のことだけ
をテーマにすることは難しく、最初は参加者一
人ひとりの体験を発表させた。しかしアンマン
で育った 13、14 歳の子どもたちには人に話せ
るだけの大きな体験がなく、イラク人の話に萎
縮し思うように話ができない子も見られた。そこで実体験にこだわらず作り話なども積極
的に取り入れ、子どもたちの想像力を生かして進めていくことにした。
詩や学校での友人関係のことなどさ様々なストーリーを発表していく女子と比べ、男子
は抑揚のあるストーリー作りがうまくできなかった。あるグループが作業をしている間、
ほかのグループは集中力が持たず別のことを始めてしまうということが特に男子に多く見
られたため、スムーズに授業を進められないこともあった。女子に比べ男子には、ストー
リーの組み立て方を授業に盛り込むなど工夫を用いたり、役割がないときでも協力してい
く必要があり、女子よりも多く指導をしディスカッションなども多く行った。そのため男
子の方が参加者同士の結束力は強まるという結果となった。
④作品
男子…6 作品、女子…8 作品
アラブ諸国では詩を用いることが多く、イラクやパレスチナについての詩を作り、絵や
写真を用いて朗読したものが多く作られた。女子はクラスの友人関係のもつれなどを描い
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イラク難民支援(ヨルダン)第 3 期
心理社会的ケア ビデオワークショップ
た作品が目立った。なかでも人種差別的な内容のものもあり、子どもながらに社会的な視
点を持った作品も出た。一方男子はコメディのようなユーモラスのある作品が目立った。
イラクに関するものでは、平和な生活を壊されたことへの批判を比喩的に扱った作品や、
イラクからヨルダンに避難してくる実体験を描いた作品、イラク戦争時の空襲警報がなる
タイミングを批判した短い作品も作られた。
所見
男女を分けたことにより時間が通常の 2 倍かかり、内容的にもスケジュール的にも厳し
いものになった。また現地スタッフの負担もそれだけ増えた。初日だけ参加して 2 日以降
来なくなった者が 3 人いた以外は、途中でドロップアウトする者もいなかったことは、参
加者の意識の高さが伺われる。参加者の中には積極的に意見を言うわけでもなく、ほかの
人の手伝いをするわけでもないが一日も休まず参加し、作品自体もとてもメッセージ性が
高いものを作り上げた子がいたり、イラクで悲惨な体験をした青年は最初そのことを語り
たがらなかった子が終盤には自ら進んで体験を語るなど、ワークショップを進めていく過
程で心理的効果も生まれた。また、ビデオを通して人に伝えることへの意識が高まり、チ
ーム内での信頼関係が芽生えるなど子どもたちの変化が見ることができた。
初めてカメラに触る子もいた
前回の参加者も加わった
屋外でインタビューの練習中
外では興奮してしまう
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教室でのストーリー作り
撮影したものを見直す生徒たち
自分のストーリーを発表する
ロールプレイを演じて物語を作る
ストーリーに沿って画コンテを作成
全員が意見を出し始めた
撮影した作品を鑑賞する参加者たち
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