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V = DR
2013 年度 金融経済学 宿題 1 解答 (田中敬一) 概ね出来ていた.自己の答案と正解を確認して,よく復習しておくこと. 1. 金利が 3%である時に,毎年 100 円の配当を支払う株式の価格を求めなさい. (解答) 配当割引モデルでのうちゼロ成長モデルでは配当 D から得られる株式価格は V = D R であるので,株価は 100/0.03 = 3, 333 円である. 2. (1) 下記の空欄 ア ∼ キ に入るべき数字を答えなさい. 1JPY 1USD 1EUR 日本/JPY 1 100.00 ア 米国/USD ウ 1 ユーロ圏/EUR カ キ ビッグマック現地価格 ビッグマック指数 350 イ エ オ 4.20 1 4.00 5.20 (2) ビッグマック指数に基づいて通貨 JPY,USD,EUR の購買力を強い順に並べると下記の いずれになるか,簡単に理由を付して答えなさい. (a) JPY > USD > EUR (b) JPY > EUR > USD (c) USD > JPY > EUR (d) USD > EUR > JPY (e) EUR > JPY > USD (f) EUR > USD > JPY (3) 絶対的購買力平価仮説に基づけばビッグマック指数はどのようになるのか述べなさい. (4) なぜビッグマック指数は各地で異なるのか,その要因を説明しなさい. (解答) (1) ビッグマック指数はビッグマック現地価格の USD 換算価格である. エ 1BigMac in Euro = 4.00 EUR = 5.20 USD 1 EUR = 5.20 4.00 USD = 1.3000 USD ア 1 EUR= 1.300 × 100.00 JPY = 130.00 JPY 350 USD = 3.50 USD イ 1BigMac in Japan = 350 JPY = 100.00 ア 130.00 イ 3.50 ウ 0.0100 エ 1.30 オ 4.20 カ 0.007692 キ 0.7692 (2) 通貨の購買力が強ければその国のビッグマック指数は低くなる.ビッグマック指数は JPY < USD¡EU R の順なので,購買力の強さは (b) JPY > USD¿EU R である. (3) 絶対的購買力平価仮説とは,外国為替レートは物価の比率である,という仮説である. (物価は通貨の購買力の逆数なので,外国為替レートは各通貨の購買力の比率と同じであ る,とも言える. )したがって,絶対的購買力平価仮説に基づけば,外国為替レートとビッ グマック現地価格の比率は同じなので,ビッグマック現地価格を外国為替レートで調節し たビッグマック指数は各地で同じ値になる. (4) 材料費,人件費等の製造コストが異なるが,裁定機能が働かないため. 3. 時点 T におけるドル円外国為替相場を XT とする. (1) 日本の航空会社 A 社はドル建てのジェット燃料を将来時点 T で購入する資金手当のた め,満期日 T の先渡取引とコールオプション取引の 2 通りの取引によるドル購入を検討し ている.それぞれの取引による (a) ドル購入価格 PT (b) 時点 T における取引の精算価値(損益)VT のグラフ(横軸:XT ,縦軸:価格・価値)を相違点がわかるように描きなさい. (2) 日本の自動車メーカー B 社は将来時点 T で海外におけるドル建て販売代金を円に交換 するため,満期日 T の先渡取引とプットオプション取引の 2 通りの取引によるドル売却を 検討している.それぞれの取引による (a) ドル売却価格 PT (b) 時点 T における取引の精算価値(損益)VT のグラフ(横軸:XT ,縦軸:PT , VT )を相違点がわかるように描きなさい. (3) ドル円直物為替相場が 100 円,円金利が 1%,ドル金利が 2%であるとき,期間 1 年のド ル円先渡取引相場はいくらになるか,計算しなさい(小数点以下第 3 位を四捨五入し,小 数点以下第 2 位をまで表記すること). (解答) (1)(2) 購入価格 売却価格 先渡 コール プット 先渡 V 精算価値 V 精算価値 先渡 コール 先渡 プット (3) F =S 1 + 0.01 1 + rd T = 100 = 99.02 1 + rf T 1 + 0.02 4. 株式の 1 期間二項モデルを考える.時点 t = 0 における株式価格は X 円であり,時点 t = 1 では価格が uX か dX のいずれかになる.また,無リスク金利は r で,株式の配当はない ものとする. (1) 元本 a 円の預金と b 単位の株式から成るポートフォリオで満期 t = 1,行使価格 K の コールオプション 1 単位を複製する,という条件からコールオプション価格 C とリスク中 立確率 q を求めなさい. (2) X = 100, u = 1.10, d = 0.90, r = 0.05 の場合の (a) 行使価格 K = 105 のコールオプション価格 C (小数点以下第 2 位まで表記) (b) リスク中立確率 q (小数点以下第 4 位まで表記) を計算しなさい. (解答) (1) どの時点,どの状態でも,プットオプションと複製ポートフォリオのペイオフは等しい ので,以下の方程式を得る. 時点 t = 0 a + bX = C 時点 t = 1 で株価=uX a(1 + r) + buX = uX − K 時点 t = 1 で株価=dX a(1 + r) + bdS = 0 この連立方程式を解くと a=− uX − K d , 1+r u−d b= uX − K , (u − d)X C= uX − K 1 + r − d 1+r u−d 1+r−d が,プコールオプションのインザマネーになる確率,すなわ u−d ち,株価が上昇する確率であるので, ( ) 1 + r − d u − (1 + r) (Q{up}, Q{down}) = (q, 1 − q) = , u−d u−d この結果から,q = (3) C = q = uX − K 1 + r − d 110 − 105 1.05 − 0.90 = = 3.57 1+r u−d 1.05 1.10 − 0.90 1+r−d 1 + 0.05 − 0.90 = = 0.75 u−d 1.10 − 0.90 上昇する確率 q が 0.75 で,下降する確率 1−q が 0.25 である. (逆の結果を得る人が多かった. )