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飯島中学校 - はばたけ秋田っ子ネット

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飯島中学校 - はばたけ秋田っ子ネット
平成25年度課題研究推進校実践発表会
道徳教育の推進
秋田市立飯島中学校
飯島中学校では,今年度,道徳教育の推進に力を注いできました。本日は,その概
要を紹介させていただきます。
1
○昨年度までの研究実践
・教師主導の授業からの脱却
・教科を貫いた全校体制の共通実践
①めあての掲示
②教卓の撤去
③男女交互(市松模様)の座席配置
④1時間の中に1回は小グループによる活動
⑤みんなで考える際のコの字型の座席配置
⑥「聴き合う」ことと「訊き合う」ことの徹底
本校では,昨年度から,教師主導の授業からの脱却を目指し,教科の壁を取り払っ
た全校体制の授業づくりを推進しています。教科を問わず,すべての授業で,①めあて
の掲示,②教卓の撤去,③男女交互の座席配置,④1時間の中に一度はグループ活
動を取り入れること,⑤まとめはコの字型の座席配置,そして⑥「きき(聴・訊)あう」こと
の徹底,以上の6点を意識した指導を継続してきました。
2
○昨年度の成果
実践を通して,昨年度は,生徒,教師双方の意識が大きく改善され,「みんなで学ぼ
う」という雰囲気が学校全体に広がった1年でした。教師の授業づくりに対する意識が
大きく変化したことも収穫でしたが,何よりも,「飯島中」の教師集団としての一体感を
構築できたことが大きい成果だったと言えます。
3
○浮き彫りになった飯島中生の課題
ただ,県の学習状況調査の「意欲に関するアンケート」及び,年度末に行った「研究
の成果と課題に関する自由記述アンケート」の結果から,本校の生徒が,「苦手なこと
や困難なことを克服しようとする気持ちをなかなか行動に結び付けられない」ということ,
「積極的に人と関わって新たな人間関係を築くのを苦手としている」ということ,さらには,
「周囲を思いやる気持ちがまだまだ未熟である」ことが課題として浮き彫りになりました。
4
○調査結果から見た課題
また,全国学力・学習状況調査の生徒質問紙の結果をみると,ここ3年間で少しずつ
向上はしてきているものの,本校生徒の,「地域とのつながり」や「地域における道徳意
識」の希薄さを垣間見ることができます。学校・家庭・地域の三者が連携しながら生徒
を育てる体制にも課題があることがわかりました。
5
○道徳教育推進の柱
キーワード
「関わり」
生徒は,
他者との関わり → 規範意識,思いやり
(=豊かな道徳性の醸成)
教師は,
同僚との関わり
→
家庭・地域との関わり
意識改革
そこで今年度は,生徒の成長を内面からも支援できるよう,これまで実施してきた9
教科の研究実践に,領域における取組を加えてることとしました。
研究推進においては,特に「道徳教育」を中核とし,キーワードを「関わり」とすること,
生徒は「他者との関わりを通して,規範意識や仲間を思いやる優しさを身に付ける」こ
と,教師は「同僚や家庭・地域との関わりを通して,授業づくりへの意識改革をさらに進
めていく」ことを共通理解した上で,研究をスタートしました。
6
○道徳教育の推進に関する研究主題
研究の仮説
以上のことを踏まえて,今年度は道徳教育に関する研究主題を「思いやりの心と確
かな倫理観をもつ生徒の育成」,副題を「全教育活動及び地域との連携を通して」と設
定し,秋田市の課題研究推進校として,秋田市教育委員会にご指導・ご協力いただき
ながら研究を推進して参りました。
7
○研究の重点
重点1 道徳的実践力につながる豊かな体験活
動の充実
重点2 道徳的価値を内面的に自覚できる道徳
の 指導方法の工夫
重点3 学校・家庭・地域が共通理解した上で道
徳性を育てるための取組
研究主題の具現化のために,設定した重点は3つです。1つめは道徳的実践力につ
ながるよう体験活動を充実させること。2つめは道徳的価値を内面的に自覚できるよう
指導方法を工夫すること。3つめは学校・家庭・地域が共通理解した上で道徳性を育て
るための取組を推進することです。
8
○重点1に関する取組
〔豊かな体験活動の実施〕









地域ボランティア(3年生)
生徒会地域清掃ボランティア(全校)
飯島地区運動会運営ボランティア(希望者)
職場体験学習(2年生:2日間)
職場訪問学習(1年生)
修学旅行(3年生:5月,2年生:12月)
東日本大震災講話会(テーマ:命)
コミュニケーションスキルアップ講話会(1年生)
進路講話会(2年,3年)
では,それぞれの重点ごとに,実践の内容を具体的に紹介します。
まず,重点1「道徳的実践力につながる豊かな体験活動の充実」についてです。これ
については,例年よりもボランティア活動の場を多く設定しました。当然,それに関わる
ことのできた生徒の数もかなり多くなりました。
9
○重点1に関する取組
地域ボランティア(3年生)
・福祉施設→2カ所
・学校,幼稚園→3カ所
・児童センター→2カ所
・通学路
清掃や交流体験を通し
て,地域を見つめ直す。
これは,3年生が11月に実施した地域ボランティアの様子です。福祉施設や公共施
設を中心とした8カ所で活動し,地域の方々と直接,接することができました。
10
○重点1に関する取組
生徒会地域清掃ボランティア(全校)
学区内の主要な道路の歩道を各ク
ラスで担当し,清掃活動を行った。
通学路にはどのようなゴミが
多いのか。なぜ捨てられてい
るのだろう?
夏に行った生徒会主催の地域清掃ボランティアです。身近な地域の環境について考
え合うことができました。
11
○重点1に関する取組
飯島地区運動会運営ボランティア(希望者)
地域の運動会の運営に携わる人員
の不足をボランティアを希望する生
徒が補った。
参加した生徒からは,地域の
一員として行事に貢献できた
喜びの言葉が聞かれた。
飯島地区の運動会の様子です。地域の方からの要請もあり,飯島中生がボランティ
アとして運動会の運営に携わっています。今年度は17名の生徒が運営ボランティアと
して参加しました。
12
○重点1に関する取組
東日本大震災講話会(全校)
「津波から学んだこと」というテーマ
で元田老第一小学校校長先生佐々
木力也先生から,命の大切さについ
て貴重なお話をしていただきました。
地域の方にも参加いただきました。
事後の振り返りでは普通に暮らせ
る毎日のありがたさについてふれ
ている生徒が多数見られました。
10月には,東日本大震災で津波による被害を被った岩手県の田老第一小学校の校
長先生であった佐々木力也先生にお越しいただき,震災で体験したことを,写真や映
像も交えながらお話ししていただきました。想像をはるかに超える厳しい現実に触れ,
「当たり前に暮らせる幸せ」について,全校で真剣に考えることができました。いずれも,
自分の生き方について考える絶好の機会となりました。
13
○重点2に関する取組
〔道徳の指導方法の工夫〕
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
小グループによる意見交流の場の設定
道徳の時間の相互授業参観
個々の生徒の心情の視覚化
身近な素材の教材化
重点内容項目強調期間
道徳の授業づくりに関する研修会,授業研究会
・道徳教育研修会①(7/31北部公民館)
・道徳教育研修会②(12/3飯島中学校)
続いては重点の2つめ「道徳的価値を内面的に自覚できる道徳の指導方法の工夫」
です。私たちはこの重点の具体的な施策を考えるに当たって,「誰も見たことのない目
新しい指導方法」をつくり出すことに主眼を置くのではなく,「これまで担任が個別に
やってきたすぐれた指導方法を全校のものにする」ことに主眼を置きました。
まずは,小グループによる話し合い活動を,道徳の時間にも取り入れました。全体の
場では話せない生徒でも気軽に発言できる場を設定したことで,生徒の主体的な発言
が増しました。
また,生徒一人一人の心情を視覚化することに取り組みました。この取組は,互いの
道徳の授業を参観し合う中で,自然に全校へと広がっていったものです。ネームプレー
トを使って生徒の心の動きや変容の軌跡を残すことで,生徒がより深く自己を見つめる
ことができるなど,その有効性を全員で確認することができました。
14
○重点2に関する取組
6月 相互授業参観
 互いの「道徳」の授業を見合うことで,日常的な授業づくりについ
て考え合う機会とする。
期
間
6月28日∼7月12日
具体的方策
①期間中に全員1回,道徳の授業を公開する。
②事前に日時,授業の大まかな流れを資料として配付。
③参観者は授業の善し悪しではなく,授業者からは見えない生徒
の 様子を見取り,授業づくりの楽しさを学び取る。
④参観者は学んだことを記録用紙に記録して提出する。
6月には,相互授業参観を実施しました。全員が道徳の授業を公開し,互いに参観し
合いました。参観者がその授業から学び取ったことを記録用紙に記録し,研究主任が
取りまとめるとともに,記録用紙を授業者に渡すという方法で,道徳の時間の「授業づ
くり」について全員で考え合いました。
15
○重点2に関する取組
6月 相互授業参観
【参観後の感想一覧】
【参観カード】
実際に使った参観カードと,感想を集約したものです。授業者だけでは気付かなかっ
た生徒の反応を,参観者の感想から教えられたり,参観者が授業者の斬新なテクニッ
クに学んだりと,有効な取組でした。
16
○重点2に関する取組
7月29日 授業づくりに関する研修会
(道徳教育研修会①:北部公民館)
① 開会行事
・市教委から
・学校長あいさつ
・飯島中の道徳教育研究の概要
② 模擬授業
・授業 「ココロが動く!とっておきの道徳授業」
教育研究団体「道徳のチカラ」代表 佐藤幸司先生
・感想発表
③ 講話・演習
・「道徳授業開発の勘所」
教育研究団体「道徳のチカラ」代表 佐藤幸司先生
秋田市の教職員研修とリンクした道徳教育研修会を2度開催しました。2回とも秋田
市教育委員会のご尽力により,教育団体「道徳のチカラ」代表 佐藤幸司先生を講師
にお迎えすることができ,すぐに授業づくりに生かせる貴重なお話しをたくさんいただき
ました。研修後は,みな口をそろえて,「大変ためになった講話だった」,「すぐにやって
みたくなった」と話しておりました。夏の研修会は,前半を模擬授業とし,授業形式で進
められ,われわれは生徒役で研修に臨みました。これには,保護者や地域の方にも参
加していただき,授業を体験してもらうとともに,授業づくりの楽しさについて味わって
いただきました。
17
○重点2に関する取組
7月29日 授業づくりに関する研修会
(道徳教育研修会①:北部公民館)
地域の方・保護者の方にも参加い
ただきました。
そのときの様子です。
18
○重点2に関する取組
7月29日 授業づくりに関する研修会
(道徳教育研修会①:北部公民館)
参加してくださった保護者の方の声
今回の授業テーマのようなものであれ
ば,子どもたちも興味をもつと思いま
した。今回受けた授業で,いちばん心
に残った言葉は,「余韻を残す」です。
確かに余韻を残せば,子どもたちの記
憶に残るのではないかと思います。
授業はとても楽しく,自由な雰囲気もあり,もっ
と自分の心の中をのぞいて自分という人間につ
いて考えてみたいなと思わされました。(中略)
自分の発言を認めてもらえることが自信につな
がって,そのクラスは居心地のいいクラスになる
んだろうと思いました。
保護者の方からは「このようなテーマであれば子どもたちも興味をもつ」,「とても楽し
く,もっと自分の心の中をのぞいてみたくなった」というようなありがたい感想をいただき
ました。
19
○重点2に関する取組
個々の生徒の心情の視覚化
心情の視覚化の様子です。呼び方は「私の位置」,「心のバロメーター」など様々です
が,基本的には,自分の心情に近い位置にネームプレートを貼っていくことで,個々の
考えやその心情の変化を見やすくし,その後の話し合いを活性化させる上で,大きな
効果がありました。
20
○重点2に関する取組
身近な素材の教材化






漫画 「課長 島耕作」(弘兼憲史作)
DVD 「プロジェクトX∼挑戦者たち∼」
曲 「誕生日には真白な百合を」
新聞記事 「たかが万引きと思うことなかれ」
詩 「一秒の言葉」(小泉吉宏)
絵本
「ぼくを探しに」(シェル・シルヴァスタイン作)
「100万回生きたねこ」(佐野洋子作)
読み物資料にこだわらない身近な素材の教材化も進みました。教師一人一人が,身
近な素材の中にかくれている「道徳の視点」を敏感に感じ取り,授業の資料として有効
に活用することができました。メインの資料としてだけでなく,導入でポスターやCMを
使ったり,終末で曲を流して余韻をもたせたまま終ったり,多くの工夫が見られました。
21
○重点2に関する取組
重点内容項目強調期間
① 「道徳性アンケート」をもとに各学年の重点内容
項目を設定
② 重点に関わる道徳性をのばすために,全クラス
が同一の資料を用いて授業
③ 資料の選定は学年部で
④ 道徳の時間で学んだことを実生活での実践に
つなげるため事前・事後指導を充実
⑤ この期間の授業について簡単な記録
自校作成の「道徳性アンケート」の結果を基に,各学年で「もっとのばしたい道徳性」
を検討し,重点内容項目を設定しました。その部分を伸ばすために,全校で一斉に実
践を行う「重点内容項目強調期間」を設定しました。
実践に当たって,まずは,資料選びや授業の構想を練る作業を学年全員で進めまし
た。教材づくりから主発問の検討までも,全員で進めたことにより,準備に要するエネ
ルギーが格段に減り,その分,授業について職員同士で話し合う機会が増え,練り合
うことができました。また,事前の指導や事後の指導を意識し,「学んだこと」が「実生
活における実践」につながりやすくなるような工夫を行いました。
22
○重点2に関する取組
重点内容項目強調期間
1回目…11月上旬
1年生→島耕作∼ある朝のできごと∼ 3−(2)公徳心
※職場訪問との関連
事前・事後→職場訪問時のマナー指導(学活等)
2年生→茂の悩み 2−(5)自他の尊重
※2学年重点
事前・事後→学年・学級通信での個々の意見の紹介
3年生→ふきのとう 4−(5)勤労・奉仕の精神
※地域ボランティアとの関連
事前・事後→地域ボランティアでの実践
1回目は,11月の上旬に設定しました。1年生は職場訪問,3年生は地域清掃ボラン
ティアという学年行事がそれぞれありましたので,行事の目的を達成しやすくするため,
また,その行事と関連させながら道徳性を育てるために,内容項目を決定しました。
23
○重点2に関する取組
重点内容項目強調期間
同じ資料でも,担任に
よる個性,クラスごと
の個性が存分に発揮
された。
(2年生,1回目の様子)
2年生の実践の様子です。同じ資料,同じ流れで授業を構想しましたが,それぞれの
担任,クラスの生徒の個性によって,少しずつ違いが見られました。
24
○重点2に関する取組
重点内容項目強調期間
2回目…12月上旬
1年生→車いすの少年 2−(2)思いやり
※1学年重点
事前・事後→ブラインド・ウォーク(学活)
2年生→炎を見ろ∼赤き城の伝説∼ 4−(9)文化の継承
※修学旅行(沖縄)との関連
事前・事後→修学旅行での見学
3年生→自信をもって自分自身のために 1−(3)自主・自律
※3学年重点
事前・事後→三者面談
2回目は,12月上旬に行いました。2年生は間近に迫っていた沖縄の修学旅行との
関連を図った内容で実践を行いました。
25
○重点2に関する取組
12月3日 授業づくりに関する研修会
(道徳教育研修会②:飯島中学校)
① 公開授業
1年 思いやり 2−(2) 車いすの少年
(道しるべ 正進社)
2年 文化の継承 4−(9) 炎を見ろ∼赤き城の伝説∼
(「プロジェクトX∼挑戦者たち∼」 NHK)
3年 自主・自律 1−(3) 自信をもって,自分自身のために
(「かけがえのないきみだから」 学研)
② 講話
「旬の素材を」
教育研究団体「道徳のチカラ」代表 佐藤幸司先生
また時期を同じくして,2回目の道徳教育研修会を行いました。当日は,各学年1クラ
スの研究授業を公開しました。
26
○重点2に関する取組
12月3日 授業づくりに関する研修会
(道徳教育研修会②:飯島中学校)
1年生
車いすの少年より
1年生の授業では,活発な意見交換とともに,立場が同じ生徒でも,考えを支えてい
る根拠が異なるなど,様々な見方・考え方の交流ができ,思考に深まりのある授業を
展開できました。一人一人の心の変容を見取ることができるような工夫がなされ,自分
と他者の比較が容易にできる点が生徒の思考を揺さぶる上で有効でした。
27
○重点2に関する取組
12月3日 授業づくりに関する研修会
(道徳教育研修会②:飯島中学校)
2年生 炎を見ろ∼赤き城の伝
説∼より
2年生の実践では,沖縄の首里城の復活に携わった人たちの努力の源についてじっ
くりと考え合いました。目前に迫った修学旅行の訪問先である沖縄が題材とあって,子
どもたちは興味をもって大変主体的に学習に取り組みました。終末では秋田の伝統
「なまはげ」を支える若者の様子をビデオで視聴することで,秋田の伝統文化が直面し
ている課題についても考えることができました。
28
○重点2に関する取組
12月3日 授業づくりに関する研修会
(道徳教育研修会②:飯島中学校)
3年生 自信をもって,自分自
身のためにより
3年生では,目前に迫った進路選択と関連付け,「自分らしくあること」の意義につい
て考え合いました。絶え間なく手が挙がり,それぞれが真剣に自分の考えを主張し合う
活気にあふれた授業となりました。詩を用いて,終末に余韻をもたせるなどの工夫も見
られました。
29
○重点2に関する取組
重点内容項目強調期間
3回目…1月下旬
1年生→車いすのJリーガー 1−(2)強い意志
※1学年重点
事前・事後→「車いすの少年」のふり返り
2年生→私の存在 4−(4)集団生活の向上
※2学年重点
事前・事後→学級対抗レクへの取組
3年生→手紙∼拝啓十五の君へ 1−(3)自主・自律
※3学年重点
事前・事後→悩みアンケートの実施,卒業式練習での実践
3回目は,1月下旬に全学年が,重点に沿った資料を活用して実践を行いました。
30
○重点3に関する取組
〔家庭・地域との連携〕
(1) 道徳性アンケートの実施
(2) 保護者や地域への道徳の時間の授業公開
・PTA授業参観(7/8 ※全クラス道徳)
・道徳教育研修会②(12/3)
(3) 道徳通信の発行
(4) 道徳の時間の様子をのせた学級通信の発行
(5) 保護者,地域の方の道徳教育研修会への参加
重点の3つめは,「家庭や地域と連携した取組」です。
31
○重点3に関する取組
道徳性アンケートの実施
図は,生徒用のもの。
同様のアンケートを保
護者,学区内の各町内
会長さん,飯島中教育
振興会の皆さんにも依
頼。
【道徳アンケート】
各学年の重点を決めるに当たって,「道徳性アンケート」を実施しました。対象は,全
校生徒,全家庭,各町内の町内会長さんとしました。道徳の内容項目24項目を示し,
「今現在,身に付いていると思われる項目を最大5つ」,「これから身に付けてほしい項
目を最大5つ」選んでもらいました。
32
○重点3に関する取組
道徳性アンケートの実施
アンケートの集計
結果を基に,
①その学年の生
徒に定着してい
ない道徳性
②保護者や地域
の方の願い
を併せ見て,各
学年の重点内容
項目を選定した。
「身に付いている」内容をプラス,「身に付けてほしい」内容をマイナスとして,計算し,
マイナスが多い項目に着目しました。その上で,学年毎に「当該学年の生徒に定着し
ていない道徳性」,「保護者や地域の方の願い」などを考慮して重点内容項目を選び出
しました。
33
○重点3に関する取組
道徳性アンケートの実施
【各学年の重点内容項目】
○1年生
思いやり2−(2) 強い意志1−(2)
○2年生
文化の継承と発展4−(9)
個性や立場の尊重2−(5)
○3年生
自主・自律1−(3)
実際に各学年部で選んだ重点内容項目です。
34
○重点3に関する取組
保護者や地域への授業公開
【PTAを参観した2年保護者から】
【PTAを参観した1年保護者から】
学校に足を運んでもらうことを目指して,4月の授業参観,7月のPTAの全クラス道
徳の授業参観,12月の授業研究会の際に,保護者・地域の方々に広く参観を呼びか
けました。7月は30人近く参観いただきました。12月は平日ということもあり,10人以内
の参観者にとどまりました。
35
○重点3に関する取組
道徳通信,学級通信等の発行
【道徳の時間の感想を載せた学級通信】
【道徳通信】
学校での取組を家庭や地域に積極的に発信し,本校の道徳教育を理解していただく
ために,道徳通信を発行したり,学級通信の中に道徳の感想を紹介したりしました。
2ヶ月に一回ほどのペースでしたが,授業や研修会の様子を伝えることは,本校の取
組を知っていただく上で有効であったように思います。願わくばそれに対する家庭や地
域の方の反応をいただきたかったのですが,今年度は残念ながら通信に対しての返
信はいただけませんでした。この点については,次年度も継続して取り組んで参りたい
と思います。
以上,3つの重点に沿った取り組みを紹介させていただきました。
36
○成果といえること
生徒の意欲の向上
実践の1年目ということで,劇的な変容を見いだすには至っていませんが,様々な調
査,生徒の様子,学校の様子などから今回の実践の成果と言える部分を紹介します。
まずは,自校で作成し,行っている「学習意欲に関するアンケート」の結果からです。
「あなたは道徳の授業が好きですか」という質問に対して,「好き」または「どちらかとい
えば好き」と答えた生徒の割合が,7月の結果と比較して全学年増加しています。1年
生は微増ですが,元々の数値が高いので,引き続き好結果を維持していると考えられ
ます。2年生は,7月から8ポイント増加しました。生徒の「道徳の時間」に対する意欲
の向上と捉えられます。
37
○成果といえること
学校の雰囲気の向上
県の学習状況調査の「意欲に関するアンケート」からです。主に生活や行動に関わる
質問の結果に注目すると,7つある質問のうち,今年度は4つの質問で県平均値を上
回りました。本校の23年度の結果では7つの質問すべてが県平均を下回っていました
ので,ここ2年間の変化は大きいと捉えております。実際に,学校の雰囲気もこの2年
間でプラスの方向に大きく変化しました。ただし,「いじめ」に関しては,昨年度と比較し
て数値が後退していますので,次年度の重点としていく必要性を感じています。
38
○成果といえること
3.3
3.9
4.3
3.6
3.6
4.1
教師の意識の向上
教師側の学校評価の結果です。「道徳の指導方法の工夫改善」については,数値が
大きく向上しました。5点満点での評価ですので,かなり高い数値になっています。また,
「重点の意識」でも同じように数値が向上しました。明らかに教師の意識も向上してい
ることがうかがえます。
このように,各調査からは,生徒,学校,教師すべてにおいて意欲や意識の好ましい
変化が見られました。
39
○成果といえること
【生徒の様子から】
(1)道徳を待ち望む生徒の増加
(2)自分の考えをスムーズに書ける生徒の増加
【教師の様子から】
(1)授業構想の共同化による道徳の時間の質の向上
(2)授業に関する情報交換の活性化
数値でははかれませんが,飯島中で過ごしていて実感する成果もいくつかあります。
まず,道徳の時間を待ち望んでいる生徒が明らかに増えたということです。「今日の
道徳は何をやるんですか」という言葉が多く聞かれるようになりました。
また,道徳の時間に自分の考えを書く活動が継続的に行われていることで,教科の
授業でも速やかに自分の考えをまとめ,書くことができる生徒が増加してきたことです。
教師の様子から言える成果として,まずは,授業づくりの共同化による道徳の時間の
質の向上が挙げられます。今年度は,重点内容項目強調期間を中心に,協働で授業
をつくる機会が大幅に増え,個人の負担がかなり軽減されました。その分,授業の内
容についてじっくり考え合う時間を生み出すことができ,授業の質を格段に向上させる
ことができました。これはとても大きな成果と言えます。それに伴って,先に授業をやっ
てみた教師がこれから授業を行おうとしている教師にアドバイスしたり,授業で使えそ
うな資料について情報交換したりする姿が多く見られるようになりました。
これらの成果は,教師間の一体感の構築につがっており,道徳の授業以外の様々な
部分にプラスの効果が波及しているように思えます。
このようなことから,今回の実践研究の機会を与えていただけたことに,心から感謝
申し上げたいと思います。
40
○見えてきた課題
(1)個々の考えを表現させる場の一層の工夫
(2)「学び」を「実践」へとつなげるための具体的な
事後指導の在り方
(3)授業づくりの共同化の年間を通した継続の仕方
(4)地域の行事との関連を図った道徳の時間の実
践
(5)家庭や地域の声の受信方法の検討
次に,成果だけでなく課題として見えてきた部分もありますので,今後取り組んでいこ
うと考えている点について紹介させていただきます。
まず,個々の考えを表現させる場の一層の工夫です。グループ内では話せても,全
体の場ではどうしても限られた生徒の発言だけで授業が進んでしまっていることが見
受けられました。今後は,一人でも多くの生徒の発言を引き出す指導の工夫について
考えていきたいと思います。
また,今年度は「事後指導」を重視しながら実践を進めてきましたが,結局は,「生徒
の感想を通信に載せる」ということが,イコール事後指導ということになっている場合が
多くなりました。次年度は「事後の指導の工夫」にさらに力を入れ,「学んだこと」を強化
するための実践を学校行事,学活などに確実に位置付けていきたいと考えています。
3つめは協働で進める授業づくりの継続です。今年度は,限られた期間での取組でし
たが,年間を通して無理なく,協働の授業づくりを継続しながら道徳の時間の質の向上
に取り組みたいと思います。さらには,地域や家庭との連携の在り方として,地域行事
との関連を図ること,地域や家庭からの声を受信する効果的な方法などについても再
検討していきたいと考えております。
41
○最後に
一体感
学び合い
継
続
以上が,今年度取り組んできた道徳教育の実践です。まだまだ改善すべき部分がた
くさんありますが,何といっても,今年度の取組で,「教師集団の一体感」「教師同士の
学び合いの機会」そして「実践を継続しようとする意気込み」をもつことができたことが
大きな収穫でした。前向きな取組を継続することが,子どもたちの姿に反映されるもの
と信じて,今後も全職員が一体となって道徳の指導に当たっていきたいと思います。以
上で,飯島中学校の発表を終わります。ありがとうございました。
42
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