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課題名 : コンクリートの異なる試験体形状による強度の研究 指導教官

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課題名 : コンクリートの異なる試験体形状による強度の研究 指導教官
課題名 : コンクリートの異なる試験体形状による強度の研究
指導教官 : 千葉 一雄
教諭
1. 研究目的
日本のコンクリート強度試験では、試験体形状は円柱となっている。しかし、海外、特に
ヨーロッパでは直方体で強度試験を行っている。そこで、試験体の形状の違いによる強度試
験結果への影響はあるのか。また、影響があるとしたらどのような影響があるかについて、
形状の異なる試験体を用いて強度試験を行い考察した。
なお、本研究では試験体の寸法と骨材によるばらつきを少なくするため、粗骨材を用いな
いモルタル試験体とした。
2. 実験方法
本研究で用いた試験体の形状は、φ 50[mm]高さ 100[mm]の円柱、立方体は、断面
寸法を 40 × 40[mm]とし、高さ 40[mm]の立方体、高さ 80[mm]と 160[mm]直
方体の計四種類とした。打設は、ミキサーによる練り混ぜと手練りを三回にわたって実施し
た。表1にモルタルの調合を示す。
圧縮試験は、JIS A1108 および JIS A1142 に順じて行った。
表 1. モルタルの調合
写真 1. 各形状の強度試験
3. 結果と考察
図1は、試験体形状と圧縮強度の関係を示したものである。また、図2は試験体形状と
変動係数との関係を示したものである。
まず、160mm 直方体について言うと、最小値は最も高い値を取っているが、最大値は
最も低い値である。さらに変動係数もこの形状が最も高くなっていて、偏りが大きいことが
わかることから、コンクリートの強度試験では、高さが他の形状に比べて高いと偏りを発生
させると思われる。このことから、160mm 直方体は適切な形状とは言えない。
次に立方体についても、高さが他の試験体に比べて半分以下であるので、座屈が他よりず
っと起こりにくいことが起因してコンクリート本来の強度よりも高く出て、他の試験体形状
より大きな最大強度を出している。しかし、160mm 直方体と違って、変動係数が低くなっ
ていることから高さによる影響が明確に現れている。しかし、強度が高く出る傾向があるこ
ということは、実際の構造物への使用することより安全性の観点から適切な形状とは言えな
い。
次に 80mm 直方体については平均値、最小値が最も低く、最大値は下から二番目で変動
係数は上から二番目と全体的に好ましくない試験結果となった。このことは、他の3つの形
状に比べて、寸法と質量にばらつきが見られたためと思われる。今回の実験では、80mm
直方体試験体が最も打設がしにくく、このことが試験結果のばらつきの原因と考えられる。
円柱は最大値、平均値、最小値全てが上から 2 番目であり、変動係数が最も低い結果とな
った。円柱は立方体、直方体試験体に比べ有利・不利な点は考えられないので、これがコン
クリート強度試験結果として最も信頼を持って言えるデータとなった。さらに、円柱は他の
角柱型の試験体よりも打設しやすかった。
以上のことより、コンクリートそのものの強度としてのデータの信頼度、打設しやすさ等
の観点から比較すると円柱が最も適した形状であった。
図 1.試験体形状と圧縮強度との関係
図 2.試験体形状と変動係数との関係
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