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塗 蒔絵用要具①

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塗 蒔絵用要具①
塗
蒔絵用要具①
定盤
主として蒔絵漆或は彩漆の調製に使用する。
定盤上に蒔絵漆をだして恰もバレットの如き用途にも使用する。
抽斗には蒔絵筆、蒔絵漆その他蒔絵用品蔵める。
蒔絵筆 一般絵画用の画筆と異なり粘稠なる漆液をもって描くをもって、これ
に適するように特製されたるものである。
毛は概して軟く腰の弱き特殊の筆であり、使用の場所により細大長短
の別あり名称を異にする。
根朱筆 最も細く肉高の線を描くに使用され、毛は比較的強わく鼠の背部の毛
にて作り、極めて細く且つ長きもので高価である。
脇毛筆 根朱筆より稍太くして、毛は軟かにして太き線を描くに使用し、鼠の
脇毛にて作るため脇毛と称しまた薄朱筆ともいう。
根朱代筆 線書用なれども兎の毛または猫毛にて作るをもって、毛は軟にして
根朱筆と用途は異なり専ら消粉蒔絵の細き線書に使用する。
兎の毛筆 兎の毛にて作りその名あるも今は専ら猫の玉毛をもって作る。
太さは一丁掛、一丁半掛、二丁掛、三丁掛等により区別し、また軸の
色合により品質を異にする。即ち白軸、赤軸、黄軸および黒軸があ
る。細くして長き線書用は鶴筆または鶴書とも称する。
地塗筆(平書筆)猫の玉毛にて作り、線書以外のやや広き面を平かに描くに使用
し、細きものは丸筆と称し太きものは地塗筆または平書筆とも称する。
地塗刷毛 溜み刷毛とも称し、地塗筆にて地塗するよりも広き面を塗るに用い、
或は金銀粉地、梨地および平目地の粉蒔きの下付け即ち地塗するに
用い、これには猫毛にて作りたる兎の毛刷毛と、狸毛に作りたるも
のは狸刷毛と称する。
画筆 従来の蒔絵法にて表現し能わざる日本画の筆致風格を表わさんとし、製
漆法を改良してこれに適せしめ、日本画用筆を使用して日本画と同様に
揮毫する。
また油絵用画筆を使用して漆絵肖像画を自由に描くことも容易である。
文廻し 木製を可とし、これは円形または紋章を描くに使用する。
筆架 三角形の細き棒の頂角に切目をつけ木製と金属製とあり、定盤上に置き
筆を静置するに使用する。
筆洗い 水牛の角にて作り蒔絵筆を洗うときに使用する。
日本漆工の研究
美術出版社
より引用
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