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アルタ-モノフ著 「スキト ・ シベリア動物意匠」
「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タ モ ノ フ著 103 ア ル タ モ ノ フ著 訳者 解 説 ﹁ス キ ト シ ベ リ ア動 物 意 匠 ﹂ ● 加 藤 九 酢 訳 ( 一Q◎Φc◎l H⑩刈N) ﹃サ カ 人 の 遺 宝 ﹄ ω。す 。二ωぎ 冨 ω酔 。< (一㊤刈も。) の 末 尾 に 書 い た 論 文 で あ る 。 本 書 は 、 大 判 二 八 〇 ぺ ー ジ 、 八 章 に 以 下 に 紹 介 す る の は ロ シ ア の 著 名 な ス キ タ イ 文 化 研 究 家 ア ル タ モ ノ フ ﹀耳 婁 8 。∼ 寓時 冨 出 巨 。ユ。ぎ く一 島 が著 書 ﹁ミ ヌ シ ン ス ﹁前 一千 年 紀 に お け る 中 央 ア ジ ア と 南 シ ベ リ ア の イ ラ ン 語 系 ﹁ア ル タ イ の ク ル ガ ン ﹂、 第 四 章 ﹁シ ベ リ ア の 黄 金 。 首 飾 り と ブ レ ス レ ット ﹂、 第 七 ﹁中 央 ア ジ ア と 西 シ ベ リ ア の サ カ 人 の 芸 術 的 遺 物 ﹂、 第 三 章 分 か れ 、 カ ラ ー を 含 む 三 〇 六 点 の 図 版 が 入 っ て い る 。 第 一章 住 民 ﹂、 第 二 章 ﹁シ ベ リ ア の 黄 金 。 帯 金 具 ﹂、 第 六 章 ﹁シ ベ リ ア の 黄 金 。 他 の 装 身 具 と 馬 の 飾 り 。 小 像 と 容 器 ﹂、 そ し て 第 八 章 が こ こ に 紹 介 す る ﹁ス キ ト ・シ ベ リ ァ 動 物 意 ク と オ ル ド ス の 青 銅 器 ﹂、 第 五 章 章 匠 ﹂ で あ り 、 全 巻 の 結 論 を な し て い る 。 曲豆富 な 図 版 は 全 体 の 理 解 を 助 け て い る 。 本 書 は 著 者 の こ の 分 野 に お け る 長 年 の 研 究 の 総 括 であ る と 考 え ら れ る 。 ア ル タ モ ノ フ は 一八 九 八 年 ト ヴ ェ リ 県 に 生 ま れ 、 一九 四 一年 歴 史 学 博 士 、 一九 三 五 年 以 後 レ ニ ン グ ラ ー ド 大 学 教 授 、 一 ﹃バ ザ ー ル の 歴 史 ﹄ (一九 六 二 年 )、 ﹃エ ル ミ タ ー ジ ュ収 蔵 の ス キ タ イ ・ 九 五 一ー 六 四 年 間 は エ ル ミ タ ー ジ ュ博 物 館 の 館 長 を つと め た 。 ド ン 河 流 域 、 北 カ フ カ ス 、 ウ ク ラ イ ナ の ス キ タ イ 時 代 の 遺 跡 を 発 掘 調 査 し、 報告 書 を 発表 し た。 主 な 著 書 に 104 ク ル ガ ン の遺 宝 ﹄ (一九 六 六 年 )、 ﹃サ カ 人 の遺 宝 ﹄ (一九 七 三 年 ) な ど が あ る 。 スキ タ イ と は 紀 元 前 七- 前 四 世 紀 に 黒 海 北 岸 の ス テ ップ に 住 ん だ 遊 牧 民 であ る が 、 彼 ら 事 跡 に つ い て は ギ リ シ ア ・ロ ー マの著 作 家 に よ って つた え ら れ て い る 。 前 七 世 紀 、 黒 海 沿 岸 に ギ リ シ ア人 の 居 留 地 が 出 現 し 、 古 典 古 代 世 界 は こ のギ リ シ ア人 を 通 じ て ス キ タ イ を 知 った 。 前 五 世 紀 、 ギ リ シ ア の歴 史 家 ヘ ロド ト スは 自 ら 黒 海 沿 岸 を 旅 行 し 、 スキ タ イ に 関 す る 情 報 を収 集 し て、大 著 ﹃ 歴 史 ﹄ の 第 四 巻 で そ れ を 総 括 し た 。 こ れ に よ って ﹁ス キ タ イ ﹂ は 当 時 の 遊 牧 民 を 代 表 す る 名 称 と な った 。 前 一千 年 紀 、 ユー ラ シ ア中 央 部 、 ド ナ ウ 河 下 流 部 か ら オ ルド ス高 原 ま で の大 草 原 に 住 ん だ 遊 牧 民 は 、 実 は ス キ タ イ だ け で は な か った 。 中 央 ア ジ ア や南 シ ベ リ ア に は ペ ル シ ア資 料 で サ カ 人 と よ ば れ る 遊 牧 民 が 分 布 し 、 モ ン ゴ ル高 原 に は 中 国 資 料 で 旬 奴 の名 で 知 ら れ る 遊 牧 民 が 勢 力 を 張 って い た 。 彼 ら は いず れ も 南 の農 耕 民 と 密 接 な 関 係 を 保 っ て いた 。 遊 牧 民 の特 徴 は 、 言 う ま で も な く そ の移 動 性 に あ る 。 遊 牧 と いう 生 活 様 式 は 馬 と いう 移 動 手 段 の開 発 に よ って 、 前 二 千 年 紀 末 に 新 た に 出 現 し た も の で あ る だ け に 、 生 活 用 具 の多 く が 移 動 生 活 に 適 す る よ う に 再 構 成 さ れ 、 前 八 世 紀 - 前 三 世 紀 の 問 に 、 と く に 武 器 、 馬 装 具 、 動 物 を あ し ら った 意 匠 に お い て 類 似 し た 文 化 が ユ ー ラ シ ァ の ス テ ップ 全 域 に 広 ま った 。 こ の時 期 の ユ ー ラ シ ア ・ス テ ップ 世 界 を 便 宜 的 に ス キ ト ・シ ベ リ ア世 界 と よ ん で いる 。 つぎ に ﹁動 物 意 匠 ﹂ (ア ニ マル ・ス タ イ ル) に つ い て 一言 し よ う 。 人 間 は 太 古 か ら 動 物 と の 深 いか か わ り の中 で生 き て き た し 、 ラ ス コ ー の岩 面 画 に み ら れ る よ う に 、 旧 石 器 時 代 か ら 動 物 を 表 現 し た 造 型 は 無 数 で あ る 。 し か し そ れ ぞ れ の 時 代 や 芸 術 の ジ ャ ン ル に よ って そ の様 式 は 特 徴 を 異 に し て い る 。 スキ タ イ ・サ カ 時 代 の動 物 造 型 の特 徴 は な ん であ ろう か 。 スキ タ イ 的 動 物 意 匠 で は 、 動 物 の 肢 体 の各 部 分 は }般 に 誇 張 さ れ て いる 。 鹿 の角 は ほ と ん ど 背 中 全 体 ほ ど に 長 い、 け も の や 鳥 の 目 は そ の動 物 の 頭 ほ ど 大 き く 示 さ れ 、 鼻 孔 や 口も 大 き く 、 そ の顔 面 か ら は み 出 る こ と さ え あ る 。 猛 禽 の 口ば し に いた って は 渦 巻 き 状 のも のも あ る 。 動 物 の 爪 も ひ ど く 誇 張 さ れ て い る 。 ま た 鹿 の角 や け も の の 爪 が 、 曲 った 口ば し を も つ 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タモ ノ フ 著 105 猛禽 の 頭 部 に 転 化 す る こ と も あ る 。 こう し た 鳥 の 頭 部 が 動 物 の 肩 や大 腿 部 に 描 き こ ま れ る こ と も あ る 。 動 物 の各 部 分 だ け がと り出 さ れ て、単 独 に表 現 さ れ る こと も多 い。 スキ タ イ の 動 物 意 匠 で は 、 動 物 が 定 ま った ポ ー ズ を と って い る 。 動 物 の 脚 は 胴 の 下 に 上 下 に 重 ね ら れ た り 、 直 角 ま た は 鈍 角 に 折 り 曲 げ ら れ た り 、 ま っ直 に のば さ れ た り し て い る 。 環 状 に 曲 げ ら れ た け も の や 翼 を ひ ろ げ た 鳥 の デ ザ イ ンも 好 ま れ て いる 。 こ こ で は 、 動 物 は 一般 に な ん の背 景 も な し に 表 現 さ れ る 。 な ん ら か の テ ー マを も つこ と も ご く 稀 であ る 。 な に か の行 動 と 結 び つ い て も い な い。 一見 立 って い る よ う に 見 え る鹿 の脚 は 、 実 は 空 中 に 浮 い て い る よ う に 示 さ れ て いる 。 現 実 に は 、 動 物 が 環 状 の ポ ーズ を と る の は 眠 る と き であ る が 、 ス キ タ イ 美 術 で は 目 を 大 き く 見 開 い て い る 。 腹 の 下 に 脚 を た た む 鹿 は 、 走 っ て い る の で も な く 、 休 ん で い る わ け で も な い。 ス キ タ イ 的 動 物 は な ん ら か の行 動 に お い て 示 さ れ て い る の で は な く 、 ﹁た だ 存 在 し て い る﹂ の で あ る ( E ・ペ レ ウ ォ チ コ ワに よ る)。 E ・ペ レ ウ ォ チ コ ワ は 近 著 ﹃ 動 物 形 象 の 言 語 。 ス キ タ イ 時 代 の ユー ラ シ ア ・ス テ ップ の美 術 ﹄ (一九 九 四年 ) の中 で 興 味 深 い見 解 を 発 表 し て い る 。 こ れ に よ る と 、 ユ ー ラ シ ア の ス テ ップ の住 民 は 、 多 く の古 代 住 民 と 同 様 に 、 世 界 が 垂 直 に 三 界 に 分か れ て いると 考 え た 。 す なわ ち 上 ( 天)、 中 ( 人 間 世 界 )、 下 ( 地 下 ) であ る 。 こ れ は 便 宜 的 に 世 界 樹 に 例 え ら れ る 。 つま り 、 梢 、 幹 、 根 の三 部 分 か ら な って い る 。 山 岳 の形 象 も 同 じ であ る 。 世 界 樹 に 東 西 南 北 の方 位 を 加 え る と 、 ほ ぼ 古 代 的 、 世 界 の基 本 構 造 が でき あ が る 。 三 界 の観 念 を 動 物 界 に あ て は め る と 、 上 界 は 鳥 、 中 界 は 有 蹄 類 、 下 界 は 魚 類 と 爬 虫 類 と いう こ と に な り 、 スキ タ イ の動 物 意 匠 も こ れ に よ って 説 明 で き る と いう 。 た だ し ス キ タ イ の場 合 は 、 下 界 は 魚 類 で は な く 蛇 や 猛 獣 に よ って 代 表 さ れ る 。 ま た 下 界 と 中 界 を つな ぐ 媒 介 者 は イ ノ シ シ で あ る と さ れ る 。 ポ ー ル ト ップ の 先 端 は 鳥 ( ま た は グ リ フ ォ ン) あ る い は 有 蹄 類 で あ っ て 、 猛 獣 で あ る こ と は な い。 猛 獣 は 剣 鞘 や 柄 な ど の 下 端 に つけ ら れ て い る ( 上 端 に は 鳥 の 頭 ま た は 爪 )。 猛 獣 は 下 界 に 属 せ し め ら れ る 。 106 ス キ タ イ な いし スキ ト ・シ ベ リ ア の動 物 意 匠 に つ い て は 、 そ の 源 流 問 題 を 含 ん で 、 す で に多 く の文 献 が あ る が 、 ア ル タ モ ノ フ の所 説 は 、 著 者 が 研 究 史 に 名 を 残 し た 専 門 家 で あ るだ け に 、 そ れ な り の価 値 が あ る と 思 う 。 こ こ に 紹 介 す る 所 以 で あ る 。 以 下 、 ア ル タ モ ノ フ の 論 文 の翻 訳 で あ る 。 (フ ル ト ウ ェ ン グ ラ ー 、 フ ァ ル マ コ ︹一九 四 二 年 ︺)、 そ し て シ ベ リ ア 、 と く に ミ ヌ シ ン ス ク 盆 地 (ミ (ロ ス ト フ ツ ェ フ 、 タ ル グ レ ン 、 ヘ ル ツ フ ェ ル ト そ の 他 多 数 )、 ス キ タ イ 的 動 物 意 匠 の源 流 は さ ま ざ ま な 地 域 に 求 め ら れ て き た 。 す な わ ち イ オ ニ ア フ ス キ ー )、 西 ア ジ ア 北 部 、 さ ら に は 中 央 ア ジ ア の 山 地 ( ボ ロ フカ 、 エ デ ィ ン グ 、 ミ ン ス ︹一九 = 二年 ︺) な ど で あ る 。 今 こ こ で ス キ タ イ 的 動 物 意 匠 の 起 源 に つ い て の こ れ ま で の 仮 説 を 記 述 ・検 討 す る 必 要 ユー ラ シ ア の 北 方 地 域 ンス は な い が 、 し か し こ の 意 匠 が 東 ヨ ー ロ ッパ か ら シ ベ リ ア ま で の 広 大 な 分 布 地 域 に お い て 、 ミ ヌ シ ン ク ス 盆 地 以 外 に は 、 直 接 的 な 前 史 を も って い な い こ と が 強 調 さ れ る べき で あ ろう 。 言 う ま で も な く 、 こ の こ と は 、 青 銅 器 時 代 の 南 シ ベ リ ア お よ び 東 ヨ ー ロ ッ パ の 未 開 諸 民 族 が 造 型 美 術 と 無 縁 で あ った こ と を 意 味 す る も の で は な い 。 美 術 の萌 芽 は か れ ら の 場 合 に も 明 ら か に 存 在 し た 。 そ の こ と を 証 明 す る の は 土 器 に 見 ら れ る ク ルガ ン 発 達 し た 幾 何 学 文 様 だ け で は な い。 北 カ フ カ ス の マイ コプ 古 墳 発 見 の造 型 美 術 は 世 界 的 な 名 声 を 得 てお り 、 オ デ ッサ お よ び シ ン フ ェ ロ ポ リ 付 近 ウ サ ト ワ発 見 の動 物 と 人 間 の 彫 像 のあ る板 石 、 ク リ ミ ア の カ チ ャ河 岸 に あ る 岩 画 、 そ の他 里⋮ 海北 岸 の エネ オ リ ー ト お よ び 青 銅 器 時 代 の遺 物 は よ く 知 ら れ て い る 。 南 シ ベ リ ア で は 多 く の古 代 岩 画 が 、 ま た ミ ヌシ ン ス ク 盆 地 で は、 ア ンド ロノボ文 化 期 ︹ 前 一五 〇 〇1 前 一二 〇 〇 ︺ に 先 行 す る オ ー ク ニボ 文 化 の墓 を お お って い る 板 石 が 特 別 の注 意 を ひ いて いる。 そ こ に は ウ シ や ウ シ の角 、 お そ ら く は オ オ カ ミ と 思 わ れ る 猛 獣 な ど の 図 文 が 見 ら れ る 。 ま た こ こ に は 人 物 や 動 物 を 表 現 し た 石 像 、 女 性 の顔 面 を 彫 り こ ん だ 石 ま た は 骨 の 小 板 、 骨 や 石 で で き た 鳥 や 動 物 の像 が 見 ら れ る 。 こ れ ら の こ と は 、 青 銅 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タ モ ノ フ著 107 器 時 代 に す で に 一定 の テ ー マと でき 上 った 形 式 を と も な う 造 型 美 術 の あ った こ と 、 そ の 形 象 の中 で動 物 が 主 要 な 位 置 を 占 め て い た こ と を 疑 いも な く 示 し て い る 。 し か し 同 時 に 、 様 式 的 に 見 て 、 こ れ ら の美 術 が スキ タ イ 時 代 の美 術 と 結 び つ い て いな い こ と 、 ス キ ト ・シ ベ リ ア 的 動 物 意 匠 が こ れ か ら 生 ま れ た も の で な い こ と も ま た 明 ら か で あ る 。 と り わ け 、 わ れ わ れ に 知 ら れ て いる 限 り 、 こ れ ら の 芸 術 的 遺 物 は 、 ミ ヌシ ン ス ク 盆 地 を の ぞ い て は 、 ス キ タ イ 時 代 よ り も は る か に古 い時 代 に 属 す る こ と が 強 調 さ れ る 必 要 が あ ろう 。 た だ 、 カ ラ スク 文 化 期 ︹ 前 = 二〇 〇1 前 八 〇 〇 年 ︺ の 遺 物 の中 に 、 スキ タ イ 時 代 の動 物 形 象 に 近 い若 干 の特 徴 を そ な え た 動 物 像 が み ら れ る 。 し た が っ て 、 スキ ト ・シ ベ リ ァ動 物 意 匠 の 起 源 、 少 な く と も そ の形 成 に お け る カ ラ ス ク 文 化 の役 割 の問 題 は 、 無 視 す る わ け に は い か な い。 現 在 スキ ト ・シ ベ リ ァ美 術 、 さ ら に は そ の 文 化 は 三 つ の 地 域 に 分 け ら れ る 。 一つは 北 カ フ カ スを 含 む 黒 海 北 岸 、 つぎ は 中 央 アジ アと こ れ に 接 す る 南 シ ベ リ ア西 部 、 第 三 は スキ タ イ 的 世 界 の東 縁 で あ って 、 ミ ス シ ン ス ク 盆 地 、 ザ バ イ カ ル地 方 、 モ ンゴ リ ア、 中 国 北 部 が 含 ま れ る 。 し か し な が ら 、 スキ ト ・シ ベ リ ア的 芸 術 意 匠 の 最 古 の作 品 は 、 以 上 の べた 三 地 域 の いず れ で も な い地 域 、 つま り イ ラ ン の 北 西 部 で 発 見 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 い わ ゆ る サ ッキ ズ 遺 宝 、 よ り 正 確 に 言 え ば 、 イ ラ ン領 ク ル デ ィ ス タ ン の サ ッキ ズ 市 付 近 ジ ヴ ィ エ村 付 近 で 一九 四 七 年 現 地 住 民 に よ っ て発 見 さ れ た 豊 か な 王 墓 の遺 物 に含 ま れ て い た の で あ る 。 ( サ カ ) に よ っ て サ カ セ ンと よ ば れ た 地 域 に 住 み つ いた 。 そ ス ト ラ ボ ンお よ び ア ッシ リ ア の懊 形 文 字 に よ る と 、 本 来 の スキ タ イ は 前 七 世 紀 の七 〇 年 代 に 西 アジ ア に 侵 入 し 、 ウ ル ミ ァ湖 北 部 の ア ラ ク ス川 流 域 、 ペ ル シ ア人 に お け る彼 ら の 呼 称 れ は 、 スキ タ イ が 一時 そ の支 配 下 に お さ め た マ ンナ イ ︹ ま た は マ ン ナ︺ 王 国 の北 側 に あ った 。 イ ラ ン領 ク ル デ ィ スタ ン の 発 見 物 は サ ッキ ズ 遺 宝 と よ ば れ て い る が 、 こ の ﹁サ ッキ ズ ﹂ も ﹁サ カ ﹂ に 由 来 し て いる と 考 え ら れ る 。 ジ ヴ ィ エ付 近 の都 城 趾 で は 、 ダ イ ソ ンは 、 黒 海 北 岸 の スキ タイ 的 タ イ プ に 似 た 黒 い光 沢 のあ る 土 器 を 採 集 し た 。 そ こ で は ク ルガ ンも 発 見 さ れ た が 、 そ れ は サ ッキ ズ 遺 宝 を 残 し た 人 々 の持 物 や馬 具 を と も な う 埋 葬 が あ った も の と 考 え ら れ る 。 ア ッシ リ ア の青 銅 製 棺 の断 片 に 花 弁 に 描 か れ た 山 ヤ ギ が あ った こ と か ら 、 K ・バ ー ネ ット は こ の埋 葬 が 前 七 世 紀 と 六 世 紀 の境 目 にあ た る と 考 zos え て いる 。 つま り ミ デ ィ ア人 に よ る スキ タ イ の打 倒 と ︹ キ ア ク サ レ ス王 のと き ︺、 ス キ タ イ が 黒 海 北 岸 に 帰 還 し た 時 期 に 直 接 先 行 す る時 代 であ る 。 こ の墓 の 副 葬 品 は 掠 奪 さ れ 、 手 か ら 手 へ分 散 し て 今 で は さ ま ざ ま な コ レ ク シ ョ ン に 散 ら ば って し ま った 。 一九 六 一i 六 二 年 パ リ で 開 か れ た イ ラ ン美 術 展 の と き 、 こ の墳 墓 発 見 の遺 物 が 一堂 に 集 め ら れ 、 一部 の黄 金 製 品 の断 片 を つぎ 合 せ る 可 能 性 を あ た え た だ け で な く 、 そ れ を 全 体 と し て判 断 でき る 可 能 性 が あ た え ら れ た の で あ る 。 そ こ に は 、 ア ッシ リ ア 、 ウ ラ ル ト ウ 、 マ ン ナ イ な ど に起 源 す る 遺 物 の中 に 、 スキ タ イ 様 式 の特 徴 を そ な え た 遺 物 が 見 ら れ た 。 ア ッシ リ ア ・バ ビ ロ ニア や ウ ラ ル ト ウ 的 模 範 に よ る複 製 と な ら ん で 、 スキ タ イ 美 術 に 典 型 的 な 表 現 、 つま り 脚 を 引 き つけ て 休 ん で い る ヤ ギ や シ カ の像 ( 第 一図 上 )、 ね こ に 似 た 猛 獣 、 つま り ヒ ョウ が 休 ん で いた り 、 行 進 し た り ( 第 一図 下 )、 あ る いは 環 状 に 巻 き こ ま れ 。 た り 、 猛 禽 の頭 部 が 見 ら れ た り し た が 、 こ れ ら が す べ て スキ タ イ 的 様 式 の特 徴 を そ な え て いた の で あ る 。 た だ し 、 こ れ ら の形 象 に影 響 を あ た え た 古 代 オ リ エ ン ト美 術 の特 徴 と な お 多 分 に 結 び つ い て いた け れ ど も ー 今 の と こ ろ 、 ス キ タ イ 美 術 の 成 立 過 程 を 全 面 的 に 再 現 す る 可 能 性 は な いが 、 し か し そ れ が 特 徴 的 形 象 に み ち あ ふ れ 、 独 自 の形 式 が 成 立 す る ま で に は 、 古 代 オ リ エ ン ト 文 明 を に な う イ ラ ン民 族 と の 最 初 の 接 触 か ら 、 イ ラ ン高 原 で の定 住 以 後 、 そ の文 明 体 系 に 彼 ら 自 身 が 入 る ま で の 長 い道 の り を 歩 いた こ と は 確 か で あ る 。 七 世 紀 末 のジ ヴ ィ エ遺 宝 の中 に 、 そ れ は す で に 独 特 の スキ タ イ 的 様 式 の 形 で 登 場 し て い る が 、 そ れ は や が て 里⋮ 海 北 岸 、 中 央 ア ジ アお よ び シ ベ リ ア の親 縁 的 イ ラ ン人 のあ いだ に 広 ま る に 至 った の であ る 。 お そ ら く は 、 西 ア ジ ア に お け る こ の美 術 は 単 な る スキ タ イ 美 術 で は な く 、 スキ ト ・ ミ デ ィ アと 名 づ け る こ と が ふ さ わ し いだ ろ う 。 な ぜ な ら ミ デ ィ ア 人 と スキ タ イ 人 の 民 族 的 親 近 関 係 お よ び 文 化 的 類 似 関 係 と 接 触 が 、 そ の起 源 だ け で な く 、 黒 海 北 岸 の ス キ タ イ 、 さ ら に は 中 央 ア ジ アと 南 シ ベ リ ア の サ カ 人 に お け る 普 及 の重 要 な 条 件 と な った か ら で あ る 。 ミ デ ィ ア人 は こ の サ カ 人 と 強 固 な 関 係 を 保 っ て いた の であ る 。 ス キ タ イ 美 術 の最 初 の時 期 に は 、 西 アジ ア起 源 の 形 象 と 形 式 が 支 配 的 位 置 を し め し て いた 。 こ れ は ジ ヴ ィ エ出 土 品 や ケ 109 ア ル タ モ ノ フ著 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 灘 難 騰・ 霧励 概 織 影耀 継 饗 第1図 上 ヤ キ とシ カ の像 下 ヒ ョ ウの 像 。 い ず れ も ジ ヴ ィエ 発 見 の 黄 金 飾 板 110 トラク ト フカ レ ル メ スま た は メ ル グ ノ ブ遺 宝 に 見 ら れ る 通 り で あ る が 、 そ の独 自 性 は 、 手 法 に お け る よ り も 、 当 時 の 要 求 に 応 じ た そ の後 の作 り 変 え の た め の 題 材 の選 択 に よ り 多 く 現 わ れ て いた 。 スキ タ イ 美 術 の 中 に 入 った 西 ア ジ ア的 形 象 が わ ず か で あ る に す ぎ ず 、 し か も 例 外 な し に 、 個 々 の動 物 や そ の 部 分 の形 を と って いた こ と は 偶 然 で は な い の であ る 。 古 代 オ リ エン ト の美 術 で は 孤 立 し た 動 物 像 は わ り あ い稀 に し か 見 あ た ら な い 。 ふ つう 動 物 は 、 神 像 や そ の シ ン ボ ル の 形 を 中 心 に し た ⋮構 図 の 一部 と し て 入 って い る 。 と こ ろ が スキ タ イ 美 術 で は 、 こ の種 の ⋮構 図 は 、 少 数 の、 う ま く 根 づ か な か っ た オ リ エ ン ト 的 模 範 の複 製 を の ぞ け ば 、 初 期 に お いて は ほ と ん ど 見 ら れ な い 。 そ こ で は 、 孤 立 し た 動 物 の ほ か に 、 も っと も 単 純 に 繰 返 さ れ た 、 原 則 と し て鏡 に 影 った よ う に シ ン メ ト リ カ ル な 像 が 見 ら れ る が 、 こ れ は 便 宜 的 に 紋 章 的 と 名 づ け と れ よ う 。 初 期 の ス キ ト ・シ ベ リ ァ美 術 で は 、 動 物 は 静 か な 状 態 、 つま り 行 進 し て い る か 、 あ る い は 後 方 に ふ り む いた 形 で 休 ん で い る か 、 立 って い る 状 態 で表 現 さ れ て い る 。 こ の こと は 、 そ の プ ロト タ イ プ が 構 図 を 構 成 し た 一部 で あ った こ と を 示 し て い る 。 古 代 オ リ エ ント に 特 徴 的 な 人 間 態 的 神 像 も 、 ス キ ト ・シ ベ リ ア美 術 に は 見 ら れ な い。 こ れ は スキ タ イ の宗 教 が た い へん プ リ ミ チ ー プ で 、 人 間 態 的 神 格 が ま だ 普 及 し な か った か ら と 考 え ら れ る 。 初 期 の ス キ ト ・シ ベ リ ア 的 美 術 の形 象 の レ パ ー ト リ ー は あ ま り 広 く な い。 動 物 の 中 で わ り あ い多 く 描 か れ た の は 、 ヤ ギ 、 シ カ 、 ま れ に オ オ シ カ で あ っ て 、 そ れ が 頭 部 だ け の形 か 、 あ る いは 伝 統 的 な 供 犠 的 姿 勢 、 つま り 前 脚 と 後 脚 を 胴 の 下 に ひ き つけ 、 そ の蹄 を 重 ね た 形 で 横 た わ って い る よ う に 表 現 さ れ て い る ( 訳 者 参 考 図 一)。 こ れ は 、 古 く か ら メ ソポ タ ミ ア の 美 術 に 見 ら れ る のと 同 じ で あ る 。 立 った り 、 行 進 し た り し て いる 同 じ 種 類 の動 物 は いち じ る し く 稀 であ った 。 し か も そ の 場 合 に は 、 空 中 に 吊 り 下 が っ て い る よ う に 、 蹄 の尖 った 端 末 が 下 に 向 い て い る よ う に 引 き のば さ れ て い る の が 特 徴 であ る ( 爪 先 で)。 ウ マは ふ つう 頭 だ け の 形 で描 か れ 、 と き お り そ の 頭 部 に 長 い耳 が つけ ら れ た が 、 こ の こ と は ラ バ ま た は ロバ で あ る こ と を 示 す も の で あ った 。 ウ シ は 、 頭 だ け のも の で も 、 ご く 稀 に し か な か った 。 ヒ ツジ の頭 部 は し ば し ば 見 ら れ 、 ま た イ ノ シ シ の像 も 立 った り 走 った り す る 状 態 、 ま た は 頭 だ け の姿 で よ く 見 ら れ た 。 と き に は ウ サ ギ が 表 現 さ れ た 。 初 期 の スキ ト ・シ ベ リ ア美 術 の猛 獣 の中 で は 、 ヒ ョ ウ が 特 徴 的 であ った 。 こ のネ コ科 の動 物 は 、 し な や か な 胴 体 を し て、 行 進 し た り 、 休 ん で い た り 、 あ る いは 環 状 に 巻 き こ ま れ た 状 態 で 示 さ れ て いた ( 訳 者 参 考 図 二 )。 ラ イ オ ンは ご く 稀 で あ る が 、 そ れ も 頭 部 だ け の形 で あ った 。 鳥 は 主 と し て 図 式 化 さ れ た 頭 部 を し て いた が 、 そ れ は ま る い目 と 曲 った 口ば し だ け か ら な って い る こ と も 稀 で は な か った 。 全 体 が 表 現 さ れ る 場 合 に は 、 頭 部 は 側 面 か ら 、 胴 体 は 羽 根 を ひ ろげ た 形 で 正 面 か ら と ら え ら れ た 。 初 期 の ス キ ト ・シ ベ リ ァ美 術 に お け る 空 想 的 形 象 の中 で は グ リ ュ フ ォ ンが 広 く 分 布 し て いた が 、 黒 海 北 岸 で は こ の ほ か に 、 半 羊 半 鳥 、 つま り 頭 部 に 、 先 の尖 っ て いな い 口ば し を つけ た ヒ ツ ジ が 表 現 さ れ た 。 こ れ ら す べ て の形 象 は オ リ エ ント の美 術 か ら 、 既 成 の 形 で 借 用 さ れ た わ け で は な い。 そ の 一部 、 例 え ば オ オ シ カ は スキ 見 の ヒ ョ ウ。 前7世 紀 末 。 金 製 ト ・シ ベ リ ァ美 術 の中 に 、 現 地 の 環 境 に 形 象 的 テ ー マを 適 応 さ せ る 形 で 現 わ れ た も の で あ る 。 そ れ に 、 借 用 し た 形 象 に し レル メ ス1号 墳 発 バ ン 地 方,ケ 訳 者 参 考 図2ク ても 、 様 式 上 の作 り 変 え が 行 な わ れ た が 、 そ の 本 質 は古 代 オ リ エ ント 的 表 現 の デ ィ テ ー ル 化 さ れ た 形 式 の 一般 化 と 、 そ の 写 £ 訳 者 参 考 図1 供 犠 的 姿 勢 の シ カ。 前7世 紀 末 。 金 製 の黄金飾板 グ ラ フ ィ ック な 仕 上 げ を 、 広 く て 、 わ ず か に 分 化 し た も の に と り 変 え る こ と に あ った 。 黒 海 沿 岸 と シ ベ リ ア に お け る スキ 曽蓄 、 ミヌ シ ン ス ク 盆 地 発 見 の 青 銅 飾 板 下 カ ザ フ ス タ ン,チ リ ク タ第5号 墳 出土 中 クバ ン地 方 コ ス トロ ム ス カ ヤ古 墳 出土 。 上 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タモ ノ フ 著 111 112 タ イ 美 術 は 全 体 と し て 似 て い る 。 前 者 は 様 式 化 の手 法 に お い て 異 な っ て い る が 、 こ れ は 明 ら か に 木 彫 技 術 に さ か き ぼ る も の で あ る 。 シ ベ リ ア の 場 合 に は 、 こ れ と は ち が っ て、 よ り 多 く お だ や か な 造 型 が 残 さ れ て いる 。 角 、 と り わ け 木 は スキ タ イ 人 お よ び サ カ 人 が さ ま ざ ま な 装 飾 品 を つく る 上 で 最 も 広 く 用 いた も の に ち が いな い 。 こ れ ら の装 飾 品 は 、 う す い金 箔 で お お わ れ る こ と に よ って純 金 製 に 似 せ る こ と が でき 、 そ の 所 有 者 の 社 会 的 優 越 を 維 持 す る 上 で 必 要 な 華 麗 と 富 裕 の外 観 を つく り 出 す こ と が 十 分 に でき た の で あ る 。 そ し て わ り あ い控 え 目 な 装 飾 で は 、 金 箔 な し で 用 い ら れ る こ と も あ った 。 現 存 す る 骨 彫 の 装 飾 品 は 、 と く に 前 六 世 紀 の 黒 海 北 岸 の墓 に多 いが 、 し か し そ れ は 前 七 世 紀 末 に も 現 わ れ 、 そ のと き す で に 、 サ ッキ ズ 遺 宝 の ス キ タ イ 的 タ イ プ の表 現 に 見 ら れ る よう に 、 あ る程 度 ま で ス キ タ イ 美 術 の金 属 製 品 の様 式 的 特 徴 を 決 定 し て いる 。 こ の金 属 製 品 に は 、 骨 彫 に お いて 仕 上 げ ら れ た 様 式 化 の手 法 が 移 さ れ て い る 。 黒 海 北 岸 と シ ベ リ ア の動 物 意 匠 の 類 似 と 、 同 じ 題 材 の 展 開 に お け る 若 干 の相 異 は 、 いず れ に し て も 、 第 一に は 両 者 が 起 源 を 共 通 に し て い る こと 、 第 二 に は こ の 両 地 域 の美 術 が 互 い に 独 立 し て 発 展 し た こと を 疑 いも な く 示 し て い る 。 黒 海 北 岸 の美 術 も シ ベ リ ア の美 術 と と も に 、 古 代 オ リ エ ン ト の仕 組 に 基 づ い て西 ア ジ ア で 形 成 さ れ た イ ラ ン民 族 の美 術 に さ か の ぼ る の であ る 。 こ れ と 同 時 に 、 本 来 の ス キ タ イ 美 術 の特 徴 は 西 アジ ア に お い てす で に 規 定 さ れ た の で あ る 。 西 ア ジ ア の ス キ タ イ は 、 文 明 化 し た 彼 ら の隣 人 が も って いた 可 能 性 を も た な か った の で 、 根 底 に お い て 古 代 オ リ エ ン ト 的 な 装 飾 品 を 、 彼 ら の手 近 か な 材 料 と 、 そ れ に適 応 し た 手 法 を も って 複 製 し た が 、 サ ッキ ズ 遺 宝 に 見 ら れ る よ う に 、 そ れ は 金 属 製 品 に お い て も 一定 の反 映 を 見 せ た の で あ る 。 ミ デ ィ ア 人 は 、 こ の点 で 異 な った 立 場 に あ り 、 そ の 美 術 を 中 央 ア ジ アお よ び シ ベ リ ア に 、 スキ タ イ 的 な 特 徴 な し で つた え た のであ る。 前 五 世 紀 以 後 、 ス キ ト ・シ ベ リ ア美 術 の 性 格 は 変 化 し 、 一部 の特 徴 は 消 え た り 変 質 し た り す る が 、 そ の か わ り 新 し い モ チ ー フが 、 以 前 知 ら れ な か った 新 ら し い形 式 を も っ て 現 わ れ る 。 こ の 時 期 ま で に 消 滅 し た モ チ ー フ の 一つと し て 、 シ ベ リ ア で は ご く 稀 であ る が 、 黒 海 沿 岸 の 初 期 スキ タ イ 美 術 に よ く 広 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 アル タモ ノフ著 113 ま って いた 半 羊 半 鳥 の 頭 部 が あ げ ら れ る 。 こ の モ チ ー フ の最 古 の作 品 と し て は ア ル メ ニア の カ ル ミ ル ・ブ ル ル発 見 の骨 製 は み 止 め 具 、 さ ら に は ド ニ エプ ル 中 流 域 の ク ル ガ ン出 土 の遺 物 、 ケ レ ル メ ス発 見 の糸 孔 のあ る 骨 製 の宝 石 、 ケ ル チ半 島 の テ ミ ル ・ゴ ル イ お よ び ド ニ エプ ル 川 流 域 の ヴ ェリ キ エ ・ブ ド キ 発 見 の骨 製 お よ び 青 銅 製 の ポ ー ル ト ップ な ど が あ げ ら れ る 。 こ の よ う に し て 、 こ の モ チ ー フ は前 七 世 紀 末 か ら 六 世 紀 初 頭 を 下 限 に し て 、 広 大 な 地 域 に 、 し か も ご く 類 似 し た 形 で 広 ま って いた 。 そ の基 盤 に あ る も の は 、 尖 った 顔 面 を し た 羊 の頭 部 像 で 、 そ れ が グ リ ュ フ ォ ン像 の影 響 下 で 口ば し に つく り 変 え ら れ た と 考 え ら れ る 。 た だ し グ リ ュ フ ォ ン は 、 スキ タ イ 美 術 の場 合 を の ぞ い て は 、 雄 羊 の角 を そ な え た も のは ど こ に も な いけ れ ど もI d 半 羊 半 鳥 の 像 と い い、 は み 止 め 具 の端 末 や 馬 装 具 の羊 、 ウ マ、 ヒヅ メ の 図 文 と い い 、 いず れ も ス キ タ イ が 黒 海 北 岸 に 復 帰 す る 以 前 に 現 わ れ た も の で あ る 。 こ の こ と は 、 ス キ タ イ が 西 アジ ア の 諸 国 か ら 持 ち 帰 った 芸 術 作 品 が ス キ テ ィ ア に 広 ま る前 に 、 一部 特 定 の ス キ タ イ 的 様 式 が 発 生 し た こ と を 示 し て い る 。 西 方 の黒 海 沿 岸 と 東 方 の 中 央 ア ジ ア、 シ ベ リ ア で知 ら れ て い る も う 一つ の モ チ ー フ は 、 環 状 に巻 き こ ま れ た ネ コ科 の猛 獣 であ る ( 第 三 図 )。 た だ し 存 続 し た と は 言 え 、 五 世 紀 に は た い へん 稀 に な り 、 退 化 の徴 候 を お び る に 至 る 。 こ の モ チ ー フ の 最 も 古 い模 範 は 、 ジ ヴ ィ エ発 見 の剣 の 金 製 柄 頭 に 見 ら れ る ( 第 三 図 上 )。 こ こ で は 、 動 物 の細 長 い胴 体 に 肋 骨 を 示 す 横 線 が 入 って お り 、 長 く 引 き の ば さ れ た 目 と 渦 状 に 曲 げ ら れ た 鼻 、 同 じ 渦 状 に 示 さ れ た あ ご の あ る 重 厚 な 頭 部 を も って 終 って いる 。 ハ! ト 形 の耳 は 長 い線 で 二 分 さ れ て いる 。 肩 に は 、 中 央 に 点 のあ る 大 き な 丸 い 目 を も つ図 式 的 な 鳥 頭 形 に 様 式 化 さ れ て い る 。 と り わ け 、 曲 げ ら れ た 胴 体 に 沿 っ て引 き のば さ れ 、 爪 を も って 終 る 筋 肉 質 の前 脚 で あ る 。 同 様 の表 現 は 、 ア ル タ イ の マイ エ ミ ル古 墳 発 見 の飾 板 お よ び ト ゥ ー バ の ア ル ジ ャ ン古 墳 発 見 の 青 銅 飾 板 に 示 さ れ て い る 。 シ ベ リ ア お よ び 黒 海 北 岸 の発 見 物 で 知 ら れ る 祖 期 の巻 き こ ま れ た 動 物 像 の 場 合 に は 、 脚 先 が 渦 巻 き 状 ま た は 円 で 示 さ れ て いる 。 例 え ば シ ベ リ ア ・コレ ク シ ョ ン の部 厚 い黄 金 飾 板 で は 、 こ れ ら の 円 が ト ル コ玉 や 七 宝 で ぞ う が ん さ れ て いた 。 猛 獣 の前 脚 の こ の よ う な 様 式 化 の 手 法 は す で に ジ ヴ ィ エに 現 わ れ て いる 。 そ こ で は 、 黄 金 製 の帯 状 板 や 金 箔 の張 ら れ た 像 のあ る 銀 の 円 板 に 、 、 ◆ 114 ' ! 躍 、 轡 棚 擁 編欝 馨 ト 蘇 び 為 . 、 、 、 ノ さ い . 弱 紬も 略 叡 、 域 ,4 サ 榔 ,^<、A!'、 叢1:譲 魏 織・ 達 奨る 冨 ご ジ' 蝋壕☆ 念 含経妻こ・ と拭 忍 ぞ欝 蔑 こ.艦 齢或く織鷲㌔甑 言浴評魂 歳 総懸 墜 謙 ran-at y,〉 ㌔'"=㌔ 、 ぢ詳 評 ボ 麟 勲 醐 穣 騰慕韓 鐸灘難 鷲 第3図 環状に巻 きこまれた動物。上は ンスク盆地,下 右 はシルダリヤ ㍉ 蜘 斡β ノ 評 欝 欝麟 駕 緊 ヴ ィ エ,中 は シ ベ リ ア ・コ レ ク シ ョ ン,下 岸 ウ イ ガ ラ ク ・ク ル ガ ン 出 土 左 は ミヌ シ 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タ モ ノ フ著 115 同 じ よ う に 、 渦 状 の前 脚 を も った 動 物 が 見 ら れ る 。 前 五 世 紀 、 こ の モ チ ー フは 退 化 し 、 ま も な く 全 く 消 滅 す る 。 ミ ヌ シ ン ス ク 発 見 の ナ イ フ の輪 に は 、 動 物 が 環 状 に 曲 げ ら れ た 状 態 で は な く 、 図 式 化 さ れ た 形 で ひ ど く 押 し 曲 げ ら れ て い る 。 し か し オ ル ド ス 青 銅 器 で は こ の手 法 は 長 く 存 続 し た ( 第 三 図 下 の左 と 右 )。 黒 海 北 岸 で は 、 こ の モ チ ー フは 紀 元前 後 再 生 す る が 、 し か し ヒ ョウ で は な く て 、 ライ オ ン に代 わ っ た。 スキ タ イ が 西 ア ジ アか ら 持 ち こ ん だ 美 術 作 品 は 、 ケ レ ル メ ス や リ ト イ (メ ル グ ノ ブ遺 宝 ) の ク ル ガ ン の発 見 物 で知 ら れ る が 、 こ れ は あ ま り 長 つづ き し な か った 。 そ れ は 、 そ の所 有 者 と と も に 墳 墓 中 に 消 え て し ま った 。 黒 海 北 岸 お よ び シ ベ リ ア に お け る 本 来 の スキ タ イ 美 術 の発 展 は 、 古 代 オ リ エ ント 的 伝 統 か ら 選 ば れ 、 現 地 環 境 で つく り 変 え ら れ た モ チ ー フを 基 礎 に 行 な わ れ た 。 前 六 世 紀 に は 、 そ れ は き わ め て 限 ら れ た も の であ った 。 こ の美 術 の高 揚 は 主 と し て前 五 世 紀 に あ た り 、 ア ケ メネ ス朝 イ ラ ン の 強 ま る 影 響 と 、 ギ リ シ ア的 要 素 の 黒 海 北 岸 進 入 と 結 び つい て い る 。 ユ ー ラ シ ア の未 開 民 族 のあ いだ に 、 ペ ル シ ア お よ び ギ リ シ ア か ら の輸 入 品 と と も に 、 スキ タ イ 人 の 需 要 と 趣 味 に 合 わ せ て ペ ル シ ァお よ び ギ リ シ ア の職 人 に よ っ て つく ら れ た 製 品 が 広 ま った 。 こ れ と 同 時 に ペ ル シ ア的 、 あ る いは ギ リ シ ア 的 形 象 と 形 式 も 広 ま った が 、 そ れ は ス キ ト ・シ ベ リ ア美 術 に 一定 の刻 印 を 残 し 、 そ の内 容 だ け でな く 、 様 式 ま でも 著 し い程 度 で 規 定 し た 。 た だ し こ れ に よ っ て 独 自 性 そ のも のを 奪 う こ と は な か った け れ ど もー 。 ア ジ ア に お け る スキ ト ・シ ベ リ ア美 術 史 の新 し い時 期 は 、 永 久 凍 結 の墳 墓 を と も な う ア ル タ イ の バ ズ ィ ル イ ク 型 積 石 噴 の 出 土 品 に 最 も よ く 示 さ れ て い る 。 そ れ は 形 象 のダ イ ナ ミ ズ ム と 印 象 性 、 動 物 闘 争 文 の 普 及 、 さ ら に こ れ と 同 時 に 装 飾 性 の 増 大 と こ れ に と も な って の リ ア ル な 形 の図 式 化 の普 及 で あ る 。 ス キ ト ・シ ベ リ ア動 物 意 匠 の発 生 と と も に は じ ま った 借 用 モ チ ー フ の作 り 変 え は 、 前 五 世 紀 頃 、 ラ イ オ ン や ヒ ョウ の よ う な 動 物 が 、 中 央 ア ジ ア や シ ベ リ ア で よ く 知 ら れ て い る ト ラ 、 さ ら に は いた る と こ ろ に 見 ら れ る オ オ カ ミ ( 明白 な特 徴を 116 も って) に よ って 部 分 的 に と り 代 え ら れ は じ め た 。 さ ま ざ ま な 動 物 の部 分 か ら 構⋮ 成 さ れ た 空 想 的 動 物 の 現 地 的 バ リ エー シ ョ ンが 生 じ る が 、 そ の 基 礎 に は ほ と ん ど つね に オ リ エ ント 的 グ リ ュ フ ォ ン像 が 見 ら れ た 。 ライ オ ン風 の グ リ ュ フ ォ ン は 、 周 知 の よ う に 、 角 と 翼 のあ る こ と で ふ つう の ライ オ ンと ち が う が 、 ス キ ト ・シ ベ リ ア 芸 術 で は 同 }の 運 命 を た ど る 。 そ こ でも 、 ラ イ オ ン の形 を し て 、 ア ケ メネ ス ・ペ ル シ ア の 模 範 と 同 じ よ う に 、 ヤ ギ ま た は ウ シ の 角 と 前 方 に 曲 が った 翼 で あ る 。 こ の タ イ プ の グ リ ュ フォ ン の 現 地 的 解 釈 の見 本 と し て は 、 バ ズ ィ ル イ ク 一号 墳 発 見 の鞍 覆 いに 見 ら れ る ヒ ツジ を 襲 う 光 景 お よ び シ ベ リ ア ・コ レ ク シ ョ ン の帯 金 具 に み ら れ る馬 を襲 う 光 景 のグ リ ユフ ォ ンであ る ( 第 四 図 )。 こ の種 の グ リ ユ フ ォ ンは ライ オ ンと し て の特 徴 を 失 い、 ト ラ や オ オ カ ミ のよ う な 猛 獣 に 変 化 し て か ら 、 鳥 の頭 部 に 様 式 化 さ れ た 角 が あ た え ら れ た 。 例 え ば シ ベ リ ァ ・コ レ ク シ ョ ン の帯 金 具 や ド ゥズ ダ ク 発 見 の腕 輪 の端 末 を 飾 る 彫 像 の よ う な も の で あ る 。 最 後 の例 は 、 つ い で に 言 え ば 、 イ ラ ン の神 話 的 形 象 の 現 地 的 要 求 への改 造 が 、 シ ベ リ ア だ け で な く 、 中 央 ア ジ ア で も 行 な わ れ た こ と を 示 し て い る 。 ワ シ 的 グ リ ュ フ ォ ン が ライ オ ン的 グ リ ュ フ ォ ンと ち が って いる 点 と 言 え ば 、 頭 部 が ラ イ オ ン で は な く て 、 ワ シ で あ る と いう こ と だ け で あ る 。 野 獣 の 胴 体 に 、 同 じ よ う な 耳 と 角 、 同 じ よ う な 翼 が つ い て い る 。 猛 禽 の胴 体 を し た グ リ ュ フ ォ ン は 、 こ の よ う な グ リ ュ フ ォ ンと は 本 質 的 に 異 な って い る 。 こ こ で空 想 的 な の は 長 い耳 と 、 首 に そ って い る た て が み だ け であ る 。 こ の形 象 は スキ ト ・シ ベ リ ア美 術 に と って 特 徴 的 であ り 、 ワ シ 的 グ リ ュ フ ォ ン の 現 地 的 説 明 であ る 。 動 物 の体 の各 部 分 に 、 付 加 的 な 像 を 加 え て 、 こ れ を 複 雑 化 し て い る こ と は 、 ジ ヴ ィ エ発 見 の曲 げ ら れ た ヒ ョウ に す で に み と め ら れ 、 黒 海 沿 岸 の スキ タ イ 美 術 に特 徴 的 であ る が 、 シ ベ リ ア で は 同 様 な 発 達 を 示 す こと は な か った 。 付 加 的 な 像 は こ こ で は 、 角 や尾 の 端 末 に お け る 鳥 の頭 部 の形 で見 ら れ る だ け で あ る が 、 そ れ も 空 想 的 野 獣 に お い て の み であ る 。 こ の種 の手 法 は イ ラ ン美 術 に と って も 特 徴 的 で は な く 、 スキ タ イ に 固 有 の特 徴 と 考 え る こ と が で き る 。 動 物 像 そ の も の の 中 に 、 懸 117ア ル タ モ ノ フ著 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 轄欝 蟹 霧 驚羅 嚢 難 癖籔 譲 ㌦袖 註》蓉 誌罰 ぐ £論 齢 慧! 聖 繍 凶へ 、 僧 。、 yk∴so. ご= 難灘籍 第4図 上 ラ イ オ ン 的 グ リ ュ フ ォ ン か ヤ ギ を 襲 う光 景 。 バ ズ ィル イ ク 第1号 下 ラ イ オ ン 的 グ リ ュ フ ォ ン か ウ マ を 襲 う光 景 。 シ ベ リ ア ・コ レ ク シ ョ ン の 金 製 帯 金 具 出土。 118 例 え ば そ の肩 や 尻 に 付 加 的 像 を 配 置 す る こ と は 、 シ ベ リ ア で は き わ め て稀 で あ る 。 発 達 し た 形 で 動 物 態 的 転 化 の手 法 を 利 用 し て いる 唯 一の 例 は 、 ザ バ イ カ ル 地 方 ウ ェ ル フネ ・ウ ジ ン ス ク発 見 の黄 金 飾 板 で あ る 。 こ こ で は 、 空 想 的 動 物 の 胴 体 は 、 ま る ま る グ リ ュ フ ォ ン像 と 、 ヒ ツジ を 食 す る オ オ カ ミ の 頭 部 で お お わ れ て い る 。 他 の いか な る シ ベ リ ァ 発 見 の遺 物 に も 、 こ の 手 法 の対 応 物 は 見 ら れ な い。 た だ し 形 式 と 全 体 の構 図 か ら 見 て 、 こ の飾 板 は 典 型 的 に シ ベ リ ァ的 作 品 で あ る がー 。 シ ベ リ ア美 術 で は 、 鏡 に う つし た よ う に 繰 返 さ れ る 像 と し て、 あ る い は ま た 共 通 の 頭 部 で 結 び 合 わ さ れ た 形 で 、 シ ン メ ト リ カ ル に 配 さ れ た 像 が 広 く 分 布 し て いる 。 いく つか の場 合 に は 、 そ れ は た い へん 装 飾 的 に 表 現 さ れ て お り 、 リ ア ル な 基 盤 を さ が し 出 す こ と が 困 難 な ほ ど で あ る 。 鏡 に う つし た よう に シ ン メ ト リ カ ル な 構 図 の 例 は 、 ア ル タ イ の ク ル ガ ン で 発 見 さ れ た 馬 装 具 や 鞍 の装 飾 品 に と く に 多 い。 そ の中 で バ ズ ィ ル イ ク 第 二号 墳 発 見 の見 事 な 額 飾 り を 例 と し てあ げ よ う 。 こ れ は ラ イ オ ン的 グ リ ュ フ ォ ン の 口 に 二 羽 の 死 ん だ ガ ン を シ ン メ ト リ カ ル に 配 し た も の で 、 ガ ン の 頭 部 は 曲 げ た 首 に の せ て 下 げ ら れ 、 脚 は 共 通 の翼 の 下 に た れ 下 が って いる ( 第 五 図 )。 フ ロ ロ フ の コ レ ク シ ョ ン に は 二 頭 の オ オ シ カ の 頭 部 を あ し ら った 骨 製 の 垂 飾 が あ る が 、 こ れ は 同 じ 動 物 を 同 じ 原 理 で あ し ら った ジ ュ ロ フ ス キ ー ・ク ル ガ ン ( 黒 海 沿 岸 ) の青 銅 製 飾 板 を 想 起 さ せ る 。 バ ズ ィ ル イ ク第 三 号 墳 か ら は 半 月 形 の骨 製 鞍 飾 り が 発 見 さ れ た が 、 こ こ に も 同 じ よ う に オ オ シ カ の頭 部 が 彫 ら れ て いる 。 し か し こ れ は ひ ど く 文 様 化 さ れ 、 そ れ と 見 分 け る こ と が 困 難 な ほ ど であ る ( 第 六 図 )。 二 頭 の構 成 動 物 が 一つの 頭 で結 ば れ て い る シ ン メ ト リ カ ル な 構 図 の例 と し て は 、 ト ゥ エク タ 一号 墳 発 見 の 馬 装 具 を 装 飾 し た木 彫 があ る ( 第 七 図 )。 互 い に 向 き あ った 二 頭 の 羽 根 のあ る グ リ ュ フォ ン の横 向 き の彫 刻 的 胴 体 が 、 正 面 向 き の共 通 の彫 刻 的 頭 部 で結 ば れ て い る 。 頭 部 を 共 通 に し た シ ン メ ト リ カ ル な 二 頭 の ライ オ ンか ら な る こ の種 の構 図 は と く に ル リ ス タ ン美 術 に 特 徴 的 であ る が 、 し か し 退 化 し た 構 図 は 古 く か ら オ リ エシ ト 美 術 に 広 ま って いた 。 ア ケ メネ ス朝 ペ ル シ ア で は 、 ポ ルチク そ れ は ま ず 第 一に 宮 殿 や 王 墓 の入 口 の柱 頭 に 見 ら れ た が 、 し か し 工 芸 品 の中 で も 知 ら れ て い る 。 ア ケ メ ネ ス朝 美 術 で は 、 ウ シ を 襲 う ライ オ ン の構 図 が 見 る べき 位 置 を し め て い る 。 こ れ は ペ ル セ ポ リ ス の 浮 彫 に 、 ア パ ー ノ ● ︾ 西 ウ 甘 ( く 》 ( や や ︿ V ◇ $ く " \ V く ( ξ や、 罵 や ウ ︾O 昏 ゆ◎ ぞ ﹀ " ぐ ウ◇ 舌 ︾, ≧浮 ︽、 ◇ 党 り( $︾ ゆ ( o 小 唖 少 Ψ ρ (ウ審 へ 6 ウ ( ,く ㍉ 母 V︾ " 春 ♪ 塾か 勢 4 ◎ ︿、 ︾ 廿 へ" や ウ 0!く φ く ︽ 、 ◇ , 0 ` " ウ ︾ ㌔ ( ら く ! 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V ≧ ^"昏 y 酔 渉Su" ア動 物 意 匠」 シベ 「ス キ ト ア ル タモ ノ フ 著 119 斗^ 》 ` k 点 fi 03く " ㍗ ぎ Yv ♪ }Aく ◇! 卜 全}5 撃 点 屯!.ン Y 120 ダ ナ の階 段 の壁 面 の ほ か 宮 殿 の他 の部 分 で も 同 じ 形 で 示 さ れ て い る ( 第 二 図 )。 こ の 宮 殿 は ダ リ ウ ス か ら ア ル タ ク セ ル ク ス 三 世 、 つま り 前 六 世 紀 か ら 前 四 世 紀 に 属 す る 。 こ れ は ま た テ ヘ ラ ン の個 人 コレ ク シ ョ ン に お け る 大 き な 銀 皿 な ど 、 工 芸 品 で も 知 ら れ て い る 。 こ の 構 図 は 明 ら か に 信 仰 的 で 、 カ ノ ン的 な も の で あ る が 、 そ の特 徴 は 、 ラ イ オ ンが そ の犠 牲 獣 の大 腿 部 に 歯 と 爪 で噛 み つき 、 頭 を 正 面 に 向 け てお り 、 動 物 像 は 両 者 と も 側 面 を 見 せ て いる こ と であ る 。 ライ オ ン が ウ シ ま た は 他 の動 物 を 襲 う 光 景 は 、 古 く か ら メ ソポ タ ミ ア の芸 術 に 広 ま っ て いた が 、 し か し そ こ で は 、 動 物 は 一般 に ま る ま る 側 面 で 示 さ れ た 。 側 面 で 示 さ れ た も のと し て 、 例 え ば 、 ケ レ ル メ ス ・ク ル ガ ン発 見 の ア ッシ リ ア の金 皿 に 見 ら れ る ヤ ギ と そ れ に 噛 み つ い て い る ラ イ オ ン であ る 。 黒 海 沿 岸 で 、 頭 部 を 正 面 に 向 け た ラ イ オ ンが 現 わ れ る の は 、 セ ミ ブ ラ ー ト ・ク ル ガ ン 発 見 の 五 世 紀 の 三 角 形 金 器 であ る 。 こ れ は お そ ら く リ ユト ン で あ る ら し く 、 脚 を 曲 げ て 倒 れ て いる オ オ シ カ の背 にと び か か り 、 そ の首 に か み つ い て いる 光 景 であ る が 、 こ れ は ギ リ シ ア ・ペ ル シ ア的 な 扱 い方 で あ った 。 バ ズ ィ ル イ ク 第 一号 墳 の 鞍 の アプ リ ケ に お い て も 、 走 る オ オ シ カ の尻 に 歯 と 爪 で襲 いか か り 、 し か も そ の前 脚 は いけ に え の後 脚 の 一本 に か け て い る ( 第 八 図 )。 同 時 に 特 徴 的 な 頭 部 の扱 いは シ ベ リ ア ・コ レ ク シ ョ ン の 黄 金 飾 板 に も 見 ら れ る 。 こ の場 合 は 明 ら か に ト ラ で あ る が 、 ト ラが 角 のあ る オ オ カ ミ と た た か っ て い る 光 景 と 、 ト ラが 二 頭 の空 想 的 猛 獣 、 す な わ ち ワ シ 的 グ リ ュ フ ォ ンと 角 つき オ オ カ ミ と の た た か い 、 そ し て 最 後 に ト ラ が ウ マに 襲 いか か って い る 光 景 の ひ ど く 図 式 化 さ れ た 表 現 で あ る 。 同 様 な 表 現 は 、 オ ル ド ス お よ び ザ バ イ カ ル 地 方 発 見 の青 銅 器 に も 見 ら れ る 。 シ ベ リ ア の美 術 で は 、 黒 海 北 岸 と は 異 な っ て、 動 物 闘 争 の光 景 は か な り 重 要 な 位 置 を し め て い る 。 そ れ は 複 雑 な 構 造 と 困 難 な 遠 近 法 を 特 徴 と し て お り 、 長 い準 備 期 間 を 要 し た 形 で 現 わ れ て いる 。 そ れ は 、 自 然 を 直 接 に 観 察 し た 結 果 、 独 立 し て 生 ま れ る こ と は でき な か った 。 こ れ は 、 こ の種 の モ チ ー フと 型 式 の 長 い発 達 史 を と も な う 高 度 の芸 術 文 化 に 特 徴 的 な 形 式 と な っ て 現 わ れ る こ と は でき な か った 。 黒 海 北 岸 の美 術 で は 、 こ う し た 構 図 は 、 ギ リ シ ア的 ま た は ギ リ シ ア ・ペ ル シ ア 的 美 術 様 式 の様 相 を 帯 び 、 前 五 世 紀 末 ー 前 四 世 紀 初 頭 以 後 に広 汎 な 普 及 を 見 た 。 シ ベ リ ア で は 、 そ れ は と く に 数 多 く 、 ア 121 ア ル タ モ ノ フ著 第7図 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 2頭 の 動 物 が1つ の 頭 部 で 結 ば れ て い る木 彫 。 トゥエ ク タ第1号 墳 出土 第2図 ウ シ を襲 う ラ イ オ ン 。 ペ ル セ ポ リス の レ リー フ 122 難 灘簾 トラ か オ オ シ カ を襲 う 光 景 。 バ ズ ィル イク 第1号 墳 出 土 の ア プ リケ 第8図 ル タ イ の美 術 で は 支 配 的 位 置 を 占 め 、 現 地 的 な 美 術 様 式 の徴 候 を 帯 び て い る 。 し か し そ の根 底 に は 、 西 アジ ア的 、 あ る い ペ ル シ ア的 典 型 が あ り 、 そ れ が シ ベ ● に 、 異 図 の動 物 が 現 地 的 な も の に 、 例 え に 入 って 著 し く 改 め ら れ た と 言 う こ と が で き る。 そ は 早く 言 えば ギ リ シ ア リ ア美 術 の改 作 は 、 ま ず 第 ば ライ オ ンが ト ラま た はオ オ カ ミに 、 ウ シが オ オ シカ に、 と いう 具 合 で あ る 。 そ れ ば か り で な く 、 リ ァ リ ス テ ィ ッ ク な も の に よ って 豊 か に さ れ た シ ベ リ ア美 術 の動 物 闘 争 図 は 、 静 止 の精 神 に相 応 す る装 飾 の状 態 に 固 定 さ れ た イ ラ ン的 模 範 に 比 べ て 、 ず っと 表 現 力 に 富 む も の と な っ て い る 。 シ ベ リ ア美術 った 。 性 は 、 長 期 に わ た っ て、 そ れ に と っ て本 質 的 な リ ア リ ス テ ィ ツク な 内 容 を 消 し 去 る こ と が で き な か 例 と し て 、 ア ケ メネ ス朝 ペ ル シ ア でも ギ リ シ ア で も 知 ら れ て い る つぎ の よ う な 古 典 的 構 図 を あ げ よ う 。 す な わ ち バ ズ ィ ル イ ク 第 一号 墳 発 見 の鞍 覆 い に 見 ら れ る グ リ ュ フォ ンが ヒ ツ ジ ま た は ヤギ を 襲 って いる光 景 であ る ( 第 四 図 上 )。 翼 と 角 も 、つ 一本 の前 脚 を いけ に え の後 脚 に か け の あ る ラ イ オ ン 的 グ リ ュ フ ォ ン が 、 一本 の 前 脚 を そ の いけ に え の首 す じ に か け 、 て い る 。 自 ら の力 を 信 じ て い る モ ニ ュ メ ン タ ル で 落 着 いた グ 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タモ ノ フ著 123 リ ユ フ ォ ン の姿 と は ち が って 、 野 獣 の脚 か ら の が れ よ う と す る ヤ ギ は 緊 張 し た 動 き に つ つま れ て いる 。 他 の構 図 で は 、 ワ シ 的 グ リ ュ フ ォ ン が 倒 し た ヤ ギ を む し って い る ( 第 九 図)。 い け に え は 後 方 に 向 け た 頭 部 と 、 引 っ繰 り 返 った 胴 体 後 半 部 を も って 、 勝 利 を 誇 る 襲 来 者 の 爪 と た た か って い る 。 翼 を 広 げ た 耳 のあ る グ リ ュ フ ォ ン が 、 敵 か ら の が れ よ う と も が い て いる オ オ シ カ を 爪 で 引 っ つか ん で い る 構 図 も 同 様 であ る 。 オ オ シ カ の 頭 部 は 、 前 記 の構 図 に お け る ヒ ツジ と 同 様 に 、 頭 部 は 後 方 を ふ り む き 、 胴 体 は ね じ ら れ て い る ( 第 一〇 図 )。 と り わ け リ ア リ ス チ ック な 迫 力 を も つも の は 、 ト ラ ま た は 他 のネ コに 似 た 野 獣 が オ オ シ カ 、 シ カ 、 ヒ ツジ に 襲 いか か っ て い る 光 景 で あ る 。 バ ズ ィ ル イ ク古 墳 で発 見 さ れ た ウ マの 頭 に つけ た マ ス ク も 、 内 容 的 に 見 て 動 物 闘 争 図 で あ る 。 そ の 一例 を あ げ よ う 。 歯 を む き 出 し 、 端 末 に 小 球 の あ る 曲 が った 角 を つけ た ライ オ ン的 グ リ ュ フ ォ ンが 、 二 つ の鋸 歯 状 の 翼 の問 の ウ マの 頭 頂 部 に 上 って い る が 、 こ れ は 、 こ の空 想 的 存 在 の全 体 の 一部 で あ る 。 そ の空 想 的 存 在 の体 は 、 ウ マの 頭 の側 面 に ぶ ら さ が る 二 つ の裂 片 で 示 さ れ て い る。 下 の方 で は 、 そ れ は 文 様 化 さ れ た 後 脚 と ね じ った 尾 で終 って い る 。 グ リ ュ フ ォ ン は そ の前 脚 で ト ラ の首 を つか ま え て い る が 、 そ の平 ら に のば し た 肢 体 は ウ マ の顔 面 を お お う マ ス ク の前 の部 分 を な し て いる 。 同 じ よ う な 構 図 の単 純 化 し た バ リ エー シ ョ ンも あ る 。 そ れ も 動 物 の頭 部 であ る が 、 そ の開 い た 口 に は 他 の 動 物 、 と り わ け し ば し ば 羊 の 頭 が 入 っ て い る 。 こ の種 の も の のう ち 最 も す ば ら し い 一例 は 木 彫 の グ リ ュ フ ォ ン頭 部 で あ る 。 そ の開 いた 口 の中 に は シ カ の 頭 が 入 って いる 。 グ リ ユ フ ォ ン の 首 のと さ か 、 シ カ の角 、 耳 は 革 で で き て い る 。 グ リ ュ フ ォ ン の首 は 鳥 の姿 の レ リ ー フで 飾 ら れ て い る 。 像 の 一部 の仕 上 げ は様 式 的 、 装 飾 的 で あ る が 、 そ れ は 全 体 と し て の リ ァ リ ス チ ック な 表 現 ( と り わ け グ リ ュ フ ォ ン の首 の鳥 の形 ) と結 び つい て いる。 全 体 と し て、 動 物 の表 現 は 、 コ ン ポ ジ シ ョ ン の 場 合 も 個 々 の 場 合 も 、 そ れ が 一般 化 さ れ 、 ま た あ る 程 度 様 式 化 さ れ て は い る け れ ど も 、 そ の特 徴 の表 現 に お い て 驚 く ほ ど の リ ア リズ ム が 見 ら れ る 。 例 え ば 、 オ オ シ カ の場 合 に は 、 ひ げ と 大 き な 耳 、 広 が った 角 のあ る こ ぶ 状 鼻 の 頭 部 お よ び 強 力 な 蹄 で 終 る 長 い脚 の つ いた 重 々 し い胴 体 が 驚 く ほ ど 正 確 に 表 現 さ れ 、 シ 124 ・ 議 鹸 ㌧}繍 辮 雛 第9図 馨紬 ワ シ的 グ リ ュ フ ォ ン が倒 した ヤ ギ を む しっ て い る光 景 。 バ ズ ィル イ ク第3号 墳 出± 灘 鴨 v'.)p 〆 羅 夢 メ 第10図 耀撫 グ リ ュ フ ォ ン が オ オ シ カ を 襲 っ て い る 構 図 。 バ ズ ィ ル イ ク 第1号 墳 出 土 の ア プ リケ よ り 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タモ ノフ著 125 カ の場 合 に は 、 短 い尾 の つ いた 軽 い胴 体 、 と と の った 細 い 頭 、 小 さ な 耳 と 枝 状 の角 が よ く 示 さ れ て いる 。 曲 が った 角 を 特 徴 と す る ヒ ツジ と ヤ ギ も 見 事 に 表 現 さ れ て い る 。 ヒ ツジ の場 合 に は 、 角 は 頭 の上 に あ が って お り 、 ヤ ギ の場 合 に は 頭 の 両 側 に く る っと 曲 げ ら れ て い る 。 と り わ け 、 力 強 い首 と 爪 のあ る 脚 、 端 末 の曲 が った 長 い尾 を つけ た し な や か な ネ コ科 の 猛 獣 は見事 であ る。 前 五 世 紀 、 静 的 で お だ や か な ポ ーズ の 動 物 に 代 わ っ て 、 ひ ど く 体 を 曲 げ 、 は げ し い動 き の 中 に あ る 多 く の形 象 が 現 わ れ る よ う に な った 。 こ の点 で と り わ け 特 徴 的 な の は 、 胴 体 の前 部 と 後 部 を 反 対 側 に ね じ 曲 げ た 、 つま り ひ ね った 状 態 の 動 物 で あ る 。 こ のは げ し い動 き の表 現 法 は 、 す で に ミ ケ ー ネ の美 術 に 知 ら れ て い る が 、 前 五 世 紀 に は 黒 海 沿 岸 に 出 現 す る 。 と り わ け 広 範 な 普 及 を 見 せ る のは シ ベ リ ア であ る 。 そ れ は 独 立 し た 動 物 像 に お いて も 、 動 物 闘 争 文 の構 図 に お い ても 、 前 一 千年 期末 ま で適 用 さ れ る。 前 五 世 紀 お よ び そ れ 以 後 の シ ベ リ ア美 術 の ダ イ ナ ミ ック な 特 徴 は 、 動 物 闘 争 文 お よ び 個 々 の動 物 の は げ し い動 き だ け で 。迅 速 な運 な く 、 曲 げ ら れ た 形 と 曲 線 の助 け に よ る動 物 の全 体 的 表 現 に も 現 わ れ て い る 。 た だ し 、 バ ラ ン ス のと れ た 構 造 の閉 鎖 性 お よ び 一般 的 に シ ン メ ト リ カ ル な 構 図 の 正 確 な 、 いく ら か 重 量 感 のあ る リ ズ ム と 結 び つ い て は い る け れ ど も 動 を 示 す 印 象 は 、 画 像 の急 激 な 曲 折 、 動 物 像 お よ び 文 様 構 成 に S 字 状 お よ び 渦 巻 状 の線 を 用 い る こ と に よ って つく り 出 さ れ る 。 こ れ に と も な って 美 術 に お け る 支 配 的 な 状 態 は 、 ま る彫 り で は な く 、 レ リ ー フお よ び 平 ら な 動 物 お よ び グ ラ フィ ッ ク な 図 像 と な っ て い る 。 デ ィ テ ー ルは 、 こ の 場 合 、 曲 線 、 図 形 、 コ ント ラ ス ト の あ る色 彩 斑 点 に よ る 象 徴 的 な 文 様 と し て 表 現 さ れ て いる 。 と り わ け 広 汎 に広 が って いる の は 、 ア ッシ リ ア ・バ ビ ロ ニ ァ美 術 に さ か の ぼ る 手 法 で 、 動 物 の体 の部 分 を 8 字 形 、 円 ま た は 点 、 弧 ま た は カ ッ コ、 曲 げ た 三 角 形 、 螺 線 状 の渦 、 いわ ゆ る コ ン マ の形 な ど で 強 調 す る 方 法 であ る 。 こ う し た 幾 何 学 的 図 形 に よ って 動 物 の肩 、 大 腿 部 、 肋 骨 、 筋 肉 そ の他 の部 分 が 表 現 さ れ た 。 イ ラ ン の モ ニ ュメ ン タ ルな 美 術 に お い て 、 抽 126 ( バ ル ダ ヒ ン) の ライ オ ン と 雄 牛 の形 象 ( 第 = 図 )、 さ ら に は 他 の多 く の 工 芸 作 品 に 表 現 さ れ て いる 。 象 的 図 形 に よ る 装 飾 的 表 現 は ペ ル セ ポ リ ス の 百 柱 の問 の レ リ ー フ、 と り わ け ア ル タ ク セ ル ク セ ス 一世 ( 前 四 六 五- 前 四 二 四) の玉座 金 属 製 品 に 石 ま た は ガ ラ スを 象 嵌 す る こ と は エ ラ ム、 ア ッシ リ ア、 フ ェ ニキ ア、 ウ ラ ル ト ゥ で行 な わ れ た 。 ア ッシ リ ア 時 代 の ニネ ヴ ェか ら 発 見 さ れ た 象 眼 さ れ た 骨 製 品 は 見 事 で あ る 。 ジ ヴ ィ エ、 つづ い て ケ レ ル メ ス 、 チ リ ク タ そ の 他 の前 七 ー 六 世 紀 の ス キ タ イ ・サ カ の コ ンプ レ ク スか ら 、 七 宝 を は め こ ん だ 、 あ る いは 特 別 の巣 に ト ル コ石 を は め こ ん だ 黄 金 製 品 が 発 見 さ れ て い る 。 図 文 に お い て 、 そ う し た 象 眼 は 動 物 の目 、 耳 、 鼻 口 に ほ ど こ さ れ た 。 前 五 世 紀 以 後 、 イ ラ ン の宝 石 加 工 に象 眼 が 広 く 利 用 さ れ る が 、 そ の こ と は オ ク サ ス遺 宝 や シ ベ リ ァ ・コ レ ク シ ョ ン に 含 ま れ る そ の造 物 に よ って知 ら れ る 。 多 色 の象 眼 は 図 像 の さ ま ざ ま な 部 分 、 翼 、 角 な ど の 装 飾 的 加 工 、 さ ら に は 抽 象 的 図 形 ( 動 物 の体 の突 出 部 や 筋 肉 が こ れ に よ っ て表 現 さ れ た ) を 区 別 す る た め に な さ れ た 。 こ の種 の多 色 の象 嵌 は ライ オ ンと 空 想 的 動 物 の図 像 のあ る 上 ぐ す り の ぬ ら れ た レ リ ー フに 明 ら か に 表 現 さ れ て い る 。 そ の フリ ー ズ に よ って 、 ア ル タ ク セ ル ク セ ス ニ 世 ︹ 前 四 〇 四- 前 三 五 八 年 ︺ の 治 世 に 、 ス サ の有 名 な 宮 殿 が 装 飾 さ れ た 。 ア ル タ イ の ク ル ガ ンか ら 多 数 発 見 さ れ た フ ェル ト 、 皮 そ の他 の材 料 に よ る色 彩 ア プ リ ケ は 、 同 様 な 抽 象 的 な 表 現 法 が シ ベ リ ア の 遊 牧 民 の平 面 的 図 文 に も 支 配 し て いた こ と を 示 し て い る 。 こ の場 合 、 彼 ら の材 料 お よ び 技 術 の 可 能 性 と 完 全 な 相 関 関 係 に あ った の で あ る 。 同 じ ク ル ガ ン で 発 見 さ れ た 遺 物 か ら 判 断 し て 、 多 色 の ﹁ 象 眼 ﹂ は 、 じ ゅう た ん や 織 物 に お い て と く に 高 度 に 発 達 し た 。 バズ ィ ル イ ク第 五 号 ク ル ガ ン発 見 の毛 織 物 に 見 ら れ る ラ イ オ ン の 文 様 は 前 記 の ペ ル セ ポ リ ス の百 柱 の 間 の バ ル ダ ヒ ン の ラ イ オ ン の 繰 返 し で あ り 、 ス サ の 浮 彫 の動 物 と も た い へん 似 て い る 。 こ の織 物 が イ ラ ン起 源 の も の であ る こ と を 忘 れ る べ き で は な いだ ろう 。 ま た ア ル タ ク セ ル ク セ ス 一世 の バ ル ダ ヒ ン の レ リ ー フも 、 同 様 の織 物 の 図 文 を 再 現 し て いる 。 中 央 アジ ア と シ ベ リ ア の遊 牧 民 が と り わ け 好 ん だ ア ケ メネ ス朝 美 術 の ﹁象 眼 ス タ イ ル﹂ は 、 宝 石 加 工 と じ ゅう た ん ・織 物 生 産 の相 互 作 用 の結 果 形 成 さ れ た 。 こ れ を 、 そ の いず れ か 一つか ら 形 成 さ れ た と 考 え る こと は 正 し く な い。 ま た そ れ は 、 127 ア ル タモ ノ フ著 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 第11図 ア ル タ ク セ ル ク セ ス王 の 玉 座 の ラ イ オ ン と雄 牛 、 丸' 第12図 左 は猛 獣 の 口 中 の羊 頭 。 右 は2頭 の シカ 。 い ず れ もバ ズ ィル イク 第1号 墳 出 土 の 木 製 下 げ飾 り 128 主 と し て ア ル タ イ の ク ル ガ ン か ら 出 土 し た フ ェル ト お よ び 皮 の製 品 に 示 さ れ た アプ リ ケ 技 術 に 帰 せ し め る こ と も 正 し く な い だ ろう 。 こ の アプ リ ケ 技 術 は 、 じ ゅう た ん ・織 物 製 品 の単 純 化 さ れ た 複 製 で あ って 、 そ の逆 で は な い 。 そ し て そ れ は ( ア プ リ ケ技 術 )、 イ ラ ン に お け る宝 石 細 工 と 織 物 生 産 の お か れ て いた 関 係 と 同 じ よ う に 、 現 地 の宝 石 細 工 と の 相 互 関 連 の 状 態 に あ った の であ る 。 多 色 の象 眼 を と も な う 宝 石 細 工 は 、 オ ク サ ス遺 宝 と シ ベ リ ア ・コ レ ク シ ョ ン に よ く 示 さ れ て い る が 、 こ れ は 、 西 ア ジ ア の アケ メネ ス朝 の そ の種 作 品 に と って 典 型 的 で は な い こ と を 指 摘 し て お こう 。 こ の こと か ら 、 ア ケ メネ ス期 の象 眼 ス タ イ ル は 、 ペ ル シ ア帝 国 の 東 部 地 方 、 よ り 正 確 に 言 え ば 、 ギ リ シ ア に よ る 征 服 ま で の バ ク ト リ アを 含 む 中 央 アジ ア に 主 と し て 発 達 し た こと が知 られ る 。中 央 アジ ア ( シ ベ リ ア で の普 及 も ) で ﹁象 眼 スタ イ ル﹂ が 広 く 発 達 し た こと は 、 あ る 程 度 ま で 、 象 眼 用 の石 - 空 色 のト ル コ石 が 中 央 ア ジ ア、 プ リ ニウ ス に よ れ ば サ カ 人 と ダ ー ヒ人 の 国 、 現 代 の デ ー タ に よ れ ば バ ダ フシ ヤ ンで と れ る こ と に 起 因 し て いる か も 知 れ な い。 ス キ ト ・シ ベ リ ア美 術 の遺 物 の装 飾 的 使 命 に 関 連 し て 、 文 様 的 手 法 は 、 いく つか の場 合 に は 、 形 象 全 体 に 拡 げ ら れ 、 そ の表 現 上 の 内 容 を 圧 倒 し て い る 。 ア ル タ イ の ク ル ガ ンか ら の資 料 に よ って 、 動 物 ま た は そ の部 分 の表 現 が 図 式 化 さ れ 、 文 様 的 な モ チ ー フに 転 化 さ れ て いく こ と を 見 る こ と が で き る 。 バズ ィ ル イ ク 古 墳 の 馬 装 具 で は 、 木 彫 の様 式 化 さ れ た 動 物 ま た は そ の部 分 の下 げ 飾 り (リ ァ リ スチ ック な 形 象 の 装 飾 化 の各 段 階 を 示 す ) が 重 要 な 位 置 を し め て い る 。 こ れ に 関 連 し て 、 猛 獣 の 口 に く わ え ら れ た 羊 頭 の側 面 を 示 す 下 げ 飾 り が 興 味深 い ( 第 一二 図 左 )。 構 図 の申 心 は 、 急 激 に 曲 げ ら れ た 角 の あ る 羊 頭 で あ る 。 そ の左 側 に こ の 動 物 の 胴 体 の 前 部 、 つま ( 羊 の首 を 完 結 さ せ る) と シ ン メ ト リ ー を 形 成 し て い り 首 と 前 足 が 示 さ れ て い る 。 右 側 、 羊 頭 の 輪 廓 に 沿 って 猛 獣 の 頭 部 側 面 が 曲 った 鼻 と と も に 示 さ れ て い る 。 そ れ は 外 側 に 向 け ら れ た 渦 の あ る角 を も っ て い る 。 こ れ は 像 の別 の 側 面 か ら の渦 る 。 猛 獣 の 下 あ ご は 羊 の首 を 縦 断 し 、 そ の 頭 部 を 角 の つけ 根 か ら 首 の端 末 ま で 占 め て いる 。 全 体 と し て 装 飾 的 、 シ ン メト 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タモ ノ フ著 129 リ カ ル な 構 図 と な って い る 。 そ こ で は 像 は 相 互 に 奇 抜 に 関 連 し 、 抽 象 性 に も か か わ ら ず 、 リ ア リ ス テ ィ ック な 、 し か も た い へん 生 き 生 き と 特 徴 を 示 し た も のと な って い る 。 も う 一つは 、 シ ン メ ト リ カ ル に 配 置 さ れ た 横 た わ る シ カ の 像 か ら な る 下 げ 飾 り であ る ( 第 一二 図 右 )。 相 互 に 反 対 側 を 向 く そ の角 は 、 像 の側 面 か ら 自 由 な ジ ク ザ グ の 形 を と って い る 。 二 頭 の鹿 の 間 の空 間 は 下 方 で 三 弁 の パ ル メ ット に よ って 埋 め ら れ て い る 。 第 三 の 下 げ 飾 り で は 、 小 さ な 図 式 的 小 頭 部 が 対 置 さ れ て いる 。 そ の 小 頭 部 か ら 互 い に 反 対 側 に 、 パ ル メ ット の よ う に 三 つづ つ結 ば れ た 大 き な 花 弁 状 の角 が 立 ち あ が って い る 。 そ の花 弁 は 小 頭 部 を 圧 倒 し て い る 如 く で あ る 。 こ こ で は 全 体 と し て装 飾 的 像 が 形 づ く ら れ 、 造 型 的 要 素 は 一切 の意 義 を 失 な って いる 。 鋸 歯 状 の と さ か で 終 る 一連 の ﹁コ ン マ﹂ 型 の文 様 は 、 後 向 き の 頭 部 に と さ か を つけ た オ ン ド リ 像 に さ か の ぼ る こと は 疑 い な い。 バ シ ャ ダ ル 古 墳 に 特 徴 的 な 円 ま た は半 円 ( 火 炎 の形 と 結 び つ い て い る) の基 礎 に は グ リ ュ フ ォ ンま た は 鳥 の頭 部 ( 第 一五 図 ) に さ か の ぼ ると 考 え ら れ があ る ( 第 = 二図 )。 螺 線 状 の文 様 は 、 た し か に 、 角 が 横 に ね じ 曲 げ ら れ た 羊 頭 のプ ロ フ ィ ルと 結 び つ け ら れ よ う ( 第 一 二 図 左 図 )。 そ し て ジ グ ザ グ 状 の文 様 は 、 い く つか の場 合 、 様 式 化 さ れ た シ カ の角 る 。 ト ラ 、 グ リ ュ フ ォ ン 、 オ オ シ カ そ の他 の動 物 の 頭 や 全 身 像 ま で が 文 様 に 転 化 さ れ る ( 第 一四 図 )。 ス キ ト ・シ ベ リ ア美 術 に お い て は 、 動 物 起 源 の 文 様 モ チ ー フと な ら ん で、 植 物 状 のも のも 現 わ れ る 。 こ れ に含 ま れ る の は 、 ま ず 第 一に 、 ロ ー タ ス (ハ ス)、 ロゼ ット 、 パ ル メ ット 、 走 る 螺 線 、 曲 って い る ブ ド ウ 蔓 な ど であ る が 、 こ れ ら は独 立 し て出 る こと も あ れ ば 、 他 の形 と結 び 合 わ さ れ る こと も あ る ( 第 一六 図 )。 と り わ け 多 い の は パ ル メ ット 状 のも の であ る 。 バズ ィ ル イ ク 古 墳 か ら は 、 ま る ま る パ ル メ ット か ら な る ウ マ の飾 り の セ ット が 発 見 さ れ た 。 バ ズ ィ ル イ ク古 墳 出 土 の 革 袋 の鳥 の尾 は 、 複 雑 な パ ル メ ット 型 に 仕 上 げ ら れ て い る 。 別 の場 合 に は 、 シ カ の角 が パ ル メ ット 型 を な し 、 人 間 の マ ス クが そ れ と結 び つ いて いる。 植 物 文 の モ チ ー フが 西 アジ ア 起 源 で あ る こ と は 疑 いを 入 れ な い。 た だ し 一部 の研 究 者 た ち は 、 そ れ が ギ リ シ ア か ら 黒 海 130 》 、 靴.ミ 〉 、 く 》 、,・\ ひ き ご雲 き 織綜 ご 、 イ ス パ 立口 臨 頭 ン オ フ ユ リ グ 号 1 第 与、 ク イ ル へ も 、b。 , w.二 鱈 豪 も ラ ポ 、 (底聴 へ け 瓢鍵 蟷JS> " 黛 、 鑓 無鱗 総 嚢 譲 嚢 撃 串×、 ザ ゥ^β◇ 博 ; ボ ≧ ㌧ 、; ㌔評 ' ' 菟 第13図 難 灘螺 蒸 驚" ヂ宮 " 壕, 豪 持 . 蛤や 犠鷺 ド 懇博 獣 難 》二" ^叛" 、串 く 《 ウ、 一な犠 壕N へ 》 墳出土の木製下げ飾 り 7 中 く ︾ ウ ウ ( v" ウ ウ¢ 舟こ ℃ へ}侮; ( ご 童 ウ: ヤ乏 ∵脇 軌砺激 凱 訂 、.ミ な 誌 甲 ( Ψ 攣 水a勢`鍛 φe♂o冷 仙^外 や やC" ㌧吟 彗 、 ゐ い伽 ウ ザや a;》 夢唱 蛎 勢4 a確 鼻の 望 噂帝 蛉争 阜 ら← ザ島 ,訟 聴 鴫 4舳 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' 、 'd '、'"' ' 、 ウv 曾' 、 ㌧,く "!A、 ,' 、 ウ , '㍉ ウ 'A ' ',, 屯 '♂ 戊, 、、 ♪ ' ノ 、 1 ハ ス と パ ル メ ツ トの 文 様 。 バ ズ ィル イ ク 第 轟象 呼 藩 勘、 ㌧ 薦 臨 霧隔 灘謙 縛 、 潜 認 惣 、ず ' 袖Q ザ,、 ・ 漕 、 ヤ'∫)へ' ぼ 、 、 ♂・ ゐ へ ' 、 " D、 蒔 ・・ ∴ ㌔ " '^冒' ︾ ∵ 汐 、、 '∬ ♂" 好 穿2 ︾ 4}9㌧ . 譲難 簗 ∴ 第16図 ,!}・'・ 先,'几 、 へ ・ ,'免 ㌧ 号墳出土 132 沿 岸 の ス キ タ イ 美 術 を 経 由 し た と 考 え て いる け れ ど もー 。 シ ベ リ ア 美 術 に お け る ギ リ シ ア的 要 素 に 、 と り わ け 大 き な 役 割 を 付 与 し て い る の は 、 ア ザ ル ペ イ O●>N9愚 躇 で あ る 。 こ の 場 合 、 シ ベ リ ア の 工 人 た ち の 作 品 に た い す る ギ リ シ ア 的 影 響 の論 拠 と な っ て い る の は 、 首 に た て が み の つ い た ワ シ 型 の グ リ ュ フ ォ ン で あ る 。 こ れ は 彼 の タ ー ミ ノ ロジ ー に よ れ ば 、 ひれ ﹁魚 の 鰭 状 の鋸 歯 ﹂ で あ る 。 ギ リ シ ア お よ び 黒 海 沿 岸 の スキ タ イ 美 術 に お い て 、 こ う し た た て が み の グ リ ユ フ ォ ン が 現 わ れ る の は 前 四 世 紀 以 前 で は な い の で 、 彼 は 、 こ の種 のた て が み の と く に 多 いバ ズ ィ ル イ ク 古 墳 を そ の年 代 に 比 定 し て い る 。 こ れ に 関 連 し て 、 グ リ, ユ フ ォ ン の首 に つけ ら れ た た て が み ま た は と さ か は 、 ア ケ メネ ス朝 美 術 の高 浮 彫 ま た は 印 章 に 現 わ れ て いる こ と を 指 摘 し て お こ う 。 と り わ け シ ベ リ ア のと さ か に 似 て い る の は 、 オ ク サ ス遺 宝 の ラ イ オ ン の 形 を し た ま る い 黄 金 飾 板 の そ れ であ る (ワ シ 的 グ リ ュ フ ォ ン で は な く て)。 グ リ ュ フ ォ ン像 に お け る こ う し た デ ィ テ ー ル は 、 後 代 の 中 央 アジ ア美 術 に お い て も 残 って い る 。 こ れ は 大 英 博 物 館 蔵 の青 銅 の グ リ ュ フ か ン に よ って 示 さ れ て いる ( ダ ルト ンは これを 紀 元 四 世 紀 に 比 定 し て いる )。 ま た パ ル テ ィ ア の首 都 古 ニ サ の方 形 の 建 物 で 発 見 さ れ た 銀 の小 像 ( 前 二世 紀 に比 定) も そ う であ る 。 こう し て 、 こ の モ チ ー フが シ ベ リ ア美 術 に 入 った の は ギ リ シ ア で は な く て 、 イ ラ ンか ら で あ った 。 他 面 に お い て 、 ギ リ シ ア美 術 の 役 割 も 無 視 す る こ と は で き な い。 し か し 、 こ れ は 直 接 に シ ベ リ ァ美 術 に 影 響 し た の で は な く て 、 フ ル ト ウ ェ ン グ ラ ー が 最 初 ﹁グ レ コ ・ペ ル シ ァ﹂ と 名 づ け た 形 に お い て であ る 。 つま り ペ ル シ ア起 源 の作 品 が ギ リ シ ア 的 様 式 の 影 響 のも と で形 成 さ れ た 姿 を と って い る の であ る 。 周 知 のよ う に 、 ギ リ シ ア の 工 人 は す で に 前 五 世 紀 に お い て ペ ル シ ア 王 の宮 殿 建 築 に 利 用 さ れ 、 そ の後 ペ ル シ ア美 術 に た いす る ギ リ シ ア美 術 の影 響 は ま す ま す 強 ま り 、 ア レ ク サ ン ド ロ ス大 王 の 征 服 以 後 は 、 グ レ コ ・バ ク ト リ ア王 国 を 含 む 西 アジ ア全 域 に お い て支 配 的 位 置 を 占 め る の で あ る 。 ま ず 厳 密 な シ ン メ ト リ カ タ ル構 成 に お い て 、 つ い で後 期 の シ ベ リ ア ・コ レ ク シ ョ ンお よ び 沿 バイ カ ル お よ び オ ル ド ス の 青 銅 器 の作 品 に 見 え る 形 象 の 図 式 化 に み ら れ る 文 様 は 、 最 終 的 に は スキ ト ・シ ベ リ ァ美 術 に お け る リ ア リ ス チ ック な 要 素 の み な ら ず 、 一般 に 形 象 的 要 素 を 圧 迫 し 排 除 す る 。 動 物 像 が いく 度 も 繰 返 さ れ る結 果 、 そ の 一部 の特 徴 が 全 体 を そ こ な う 「ス キ ト ・シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 ア ル タモ ノ フ著 133 形 で 強 調 さ れ 、 誇 張 さ れ 、 文 様 的 手 法 に お け る 空 想 的 形 象 が 優 越 的 位 置 を 占 め る の で あ る 。 彩 色 の象 眼 は 、 補 助 的 な 表 現 手 段 か ら 独 立 し た 装 飾 要 素 に 変 わ り 、 し だ いに 造 型 的 モ チ ー フを 圧 迫 す る に いた る 。 樹 木 や そ の枝 の表 現 に起 源 す る 樹 葉 状 の文 様 は 、 植 物 的 特 徴 を 失 な い、 抽 象 化 さ れ る 。 こ の形 は あ ら ゆ る 方 法 の象 眼 に 広 め ら れ る 。 そ し て結 局 は 、 動 物 意 匠 の ス キ ト ・シ ベ リ ア美 術 は 、 新 し い 、 幾 何 学 的 な 多 色 の様 式 に と って 代 わ ら れ る 。 そ こ で は 、 宝 飾 細 工 に お い て主 要 な 役 割 を 果 す の は 、 色 彩 のあ る 石 や ガ ラ ス のか な り 単 調 な 嵌 入 で あ る 。 こ の ス タ イ ル の美 術 は紀 元 一世 紀 に 属 し 、 こ れ の考 察 は わ れ わ れ の テ ー マの 枠 を 越 え る 。 ク ル ト ス キ ト ・シ ベ リ ァ美 術 は 、 実 用 品 を 芸 術 的 に 形 づ く った だ け で な く 、 定 の 信 仰 的 な 意 義 も 持 って いた 。 し か し こ れ は 一部 の研 究 者 が 動 物 意 匠 に 付 与 し よ う と し て い る パ レ オ リ ー ト の狩 猟 呪 術 で は な か った 。 動 物 ま た は そ の 部 分 の形 象 が 一 面 で は 護 荷 であ り 、 他 面 で宇 宙 的 な 力 の 体 現 で あ る こと は 、 周 知 のよ う に 相 矛 盾 す る も の で は な い。 そ れ は 現 地 住 民 の神 話 と 密 接 に 結 び つ い て いる 。 こ れ ら の形 象 に は 、 イ ラ ン的 宗 教 観 念 に 特 徴 的 な 善 の力 と 悪 の力 、 生 と 死 、 こ れ ら 対 立 的 原 理 のた た か い に つ い て の観 念 が 反 映 さ れ て い る 。 こう し た 意 義 を も って 、 リ ア ル な 、 そ し て 空 想 的 な 形 象 が 極 東 の美 術 か ら バ ー バ ル の生 活 へ入 り 、 な お ト ー テ ミ ズ ム的 伝 統 の残 っ て い る 類 似 し た 現 地 的 信 仰 と の関 連 に お い て つく り な お さ れ た の で あ る 。 ま さ に そ れ 故 に 、 ウ マ の信 仰 儀 礼 に お い て、 悪 霊 に た いす る 善 霊 の勝 利 を 描 いた マ ス ク が つけ ら れ 、 ウ マ自 身 が 善 と 生 命 の担 い手 と な った の であ る 。 動 物 闘 争 文 の多 く の構 図 は こう し た 内 容 で つら ぬ か れ て い る 。 こ う し た 理 由 に よ ゲ ニセ って 、 メ ソ ポ タ ミ アか ら 借 用 し た 天 使 像 は 現 地 の 条 件 に お い て、 シ カ の角 を も った 半 人 半 獣 に 転 化 し た 。 こ れ は 善 な る 原 理 を 体 現 す る ト ー テ ミ ス チ ック な 先 祖 で 、 そ の 観 念 は お そ ら く 、 パ レ オ リ ー ト に お い てす で に 発 生 し 、 同 一祖 先 の 親 族 が 社 会 関 係 の主 要 な 形 態 で あ り 、 ほ と ん ど あ ら ゆ る社 会 関 係 が 、 こ れ に つ つま れ る 間 は 死 滅 せ ず 、 ま た 死 滅 し 得 な か った も の で あ る 。 神 話 的 形 象 の 人 間 態 化 は スキ ト ・シ ベ リ ァ美 術 に お け る 新 し い現 象 であ り 、 自 然 力 の人 格 化 だ け で な く 、 か な り 進 ん だ 社 会 の分 化 過 程 、 そ の 上 で 独 立 の状 態 と な り 、 国 家 権 力 の 端 緒 と な った 諸 要 素 の分 化 を 意 味 し て い る 。 134 神 話 的 形 象 が 社 会 的 分 化 の手 段 と し て の装 飾 と いう も う 一つ の重 要 な 役 割 を 果 し た の で、 そ の 最 初 の意 味 は 装 飾 的 、 美 術 的 な 要 求 の襲 撃 のも と に 力 を 失 い、 歪 曲 さ れ た 。 宗 教 的 美 術 は 実 用 的 な も のと な った 。 美 術 に お い て 、 ジ ャ ン ル的 テ ー マ、 と り わ け イ ラ ン の叙 事 詩 的 作 品 を 復 元 す る エピ ソー ド が 現 わ れ た 。 し か し こ の自 然 のプ ロ セ ス は 、 あ た え ら れ た 条 件 の も と で は 、 美 術 の信 仰 的 、 呪 術 的 機 能 の全 面 的 喪 失 を も た ら す こ と は でき な か った 。 ず っと 後 代 に 、 造 型 的 モ チ ー フが ほ と ん ど 用 いら れ な く な って か ら も 、 そ れ は 幾 何 学 的 文 様 の後 方 に 残 って いた の で あ る 。 わ れ わ れ は ス キ ト ・シ ベ リ ァ美 術 の動 物 意 匠 を そ の発 生 か ら 終 り ま で 概 観 し 、 そ の 中 で 古 代 オ リ エ ン ト の 高 い文 明 が ど ん な 役 割 を 果 し 、 バ ー バ ル の 趣 味 と 要 求 が 彼 ら の借 用 し た モ チ ー フと 形 式 を 改 変 し 、 い か に し て 動 物 意 匠 の完 全 な 模 範 を つく り 出 し 、 い か に し て そ れ ら が カ ノ ン化 さ れ 、 無 数 の繰 返 し に お い て 死 滅 し た か を 見 た 。 そ し て 最 後 は 、 色 彩 のあ る 象 眼 の輝 き に よ っ て、 芸 術 の 造 型 的 内 容 は ほ と ん ど あ ま す と こ ろ な く 飲 み こ ま れ て し ま った の であ る 。 結 論 と し て 言 え る こ と は 、 シ ベ リ ア に お け る ス キ タ イ 時 代 、 ま た は よ り 正 確 に は 、 サ カ時 代 の 美 術 史 は いく つか の時 期 に 区 分 で き る こ と で あ る 。 そ の第 期 は 動 物 意 匠 の発 生 期 で あ って 、 最 も 密 接 な 形 で カ ラ ス ク 文 化 ( こ こ では造 型美 術 の 作 品 は 少 数 の 見 本 に 限 定 さ れ る ) と 結 び つけ ら れ る 。 こ の美 術 の伝 統 は 、 さ ら に若 干 の期 間 ミ ヌ シ ン ス ク の タ ガ ー ル文 化 に みと め ら れ る 。 し か し タ ガ ー ル 文 化 の美 術 は 、 全 スキ ト ・シ ベ リ ァ世 界 の 場 合 と 同 じ よ う に 、 前 六 世 紀 以 後 、 彼 ら 自 身 で は な く 、 ア ッシ リ ア ・バ ビ ロ ニ ァ期 の西 ア ジ ア ・モ チ ー フ の イ ラ ン世 界 に お け る 改 作 に基 づ い て い る 。 こ の美 術 の最 古 の 形 式 は イ ラ ン に お い て 、 西 アジ ア に 侵 入 し た ミ デ ィ ア 人 と ス キ タ イ 人 の問 で起 こ った 。 彼 ら は 、 彼 ら を 生 み だ し た ユ ー ラ シ ア の 遊 牧 民 と 密 接 な 関 係 を 保 って お り 、 そ の お か げ で 彼 ら の つく り 出 し た 美 術 は 急 速 に ド ナ ウ 河 か ら 黄 河 ま で 広 ま っ た のであ る 。 第 二 期 は 前 五i 四 世 紀 で あ る が 、 こ れ は 充 分 な 根 拠 を も って ア ケ メネ ス的 と いう こ と が で き る 。 と いう の は 、 こ の時 期 「ス キ ト ・ シ ベ リ ア 動 物 意 匠 」 1-一 一rルタ モ ノ フ 著 135 に お け る スキ ト ・シ ベ リ ァ美 術 の 発 展 は ペ ル シ ア の影 響 と いう 特 徴 のも と で 行 な わ れ る か ら であ る 。 た だ し 、 西 アジ ア的 模 範 の創 造 的 改 作 に よ る 大 き な 独 自 性 は あ る に し て も ー 。 そ の後 、 ヘ レ ニズ ム時 代 、 つま り グ レ コ ・バ ク ト リ ア が 中 央 ア ジ ア で の 支 配 的 立 場 を 占 め る 前 一千 年 期 の最 後 の世 紀 に な る と 、 ヘ レ ニズ ム化 さ れ た 東 方 の持 続 的 影 響 に も か か わ ら ず 、 ス キ ト ・シ ベ リ ア美 術 に お け る リ ア リ ズ ム 的 伝 統 は 、 文 様 的 な 図 式 主 義 の来 襲 の前 に 後 退 す る の であ る 。 旬 奴 が 月 氏 に 加 え た 決 定 的 打 撃 と 月 氏 の中 央 ア ジ ア移 住 は 、 ユ ー ラ シ ア 全 域 に お け る イ ラ ン語 系 住 民 と そ の美 術 の状 態 に影 響 を 及 ぼ さ ず に は す ま な か った 。 以 前 つく り 出 さ れ た スキ ト ・シ ベ リ ア美 術 の模 範 の 粗 い レ プ リ カ と し て 、 ま た 残 り か す と し て し ば ら く の 問 、 そ の 広 ま った 東 縁 の地 域 に 生 き つづ け た 。 す な わ ち ザ バ イ カ ル 地 方 、 モ ン ゴ リ ア、 オ ル ド ス の 旬 奴 に お い て で あ る が 、 そ の 代 わ り 南 シ ベ リ ア の西 部 で は ほ と ん ど 全 面 的 に 姿 を 消 し た と み ら れ る 。 反 対 に 、 シ ベ リ ァ お よ び 中 央 アジ アか ら 流 入 す る 諸 民 族 に よ っ て強 化 し た 南 ウ ラ ル の イ ッセ ド ネ スお よ び ス テ ップ の ヴ ォ ルガ 流 域 、 ド ン川 流 域 お よ び 北 カ フカ ス の サ ル マ タ イ は 、 黒 海 沿 岸 全 域 に 住 み つく だ け で な く 、 ま た スキ ト ・シ ベ リ ア動 物 意 匠 の伝 統 を 保 持 す る だ け でな く 、 中 央 ア ジ ア の ヘレ ニズ ム化 さ れ た 諸 国 、 と り わ け 、 か つ て ザ カ フ カ スを 含 む 西 ア ジ ア に多 く を 負 っ て い る ボ スポ ラ ス のギ リ シ ア 諸 都 市 と の密 接 な 関 連 に お い て そ れ を 発 展 さ せ る の で あ る 。 こ れ ら の諸 条 件 に お い て 、 サ ル マタ イ に お い て動 物 意 匠 の復 活 が お こ り 、 古 典 古 代 の芸 術 的 諸 形 式 は 若 干 の期 間 、 な お 純 粋 の装 飾 に 比 敵 す る 力 を も ち 得 た の であ る 。 し か し こ こ で も 、 造 型 的 原 理 と 装 飾 的 原 理 と のた た か い は 、 サ ル マタ イ の 独 立 の末 期 ま で に 、 多 色 的 装 飾 の 勝 利 と 、 美 術 か ら の 造 型 的 要 素 の ほ と ん ど 全 面 的 な 排 除 を も って終 る の で あ る 。 し か し 、 幾 何 学 的 形 式 に よ って 排 除 さ れ た 造 型 的 モチ ー フ は 死 ぬ こ と な く 、 サ サ ン朝 イ ラ ン の ア ル カ イ ック な 美 術 だ け でな く 、 バ ー バ ー リ ア ン化 し た ヨ ー ロ ッパ の装 飾 的 テ ー マに お い ても 生 き つづ け た 。 こ れ に よ っ て 再 び 、 新 し い基 盤 に お い て 、 ヨ ー ロ ッパ 的 中 世 の 地 域 に お いて 見 事 に 開 花 す る こと が でき た の で あ る 。