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編集後記 - 創価大学
編集後記 今 年 は創 価 大 学創 立40周 年 の 佳 節 に 当た る。僥 倖 に も この た び 、思 想 史 研 究 の 最 前 線 を拓 か れ てい るお 二 人 の研 究 者 か ら、本 学 の理 念 的源 泉 で あ る牧 口常 三 郎 先 生 の思 想 に 関 し御 論 考 を頂戴 す る こ とが で き た。 京都 大 学 人文 科 学研 究 所 教授 ・山室信 一 先 生の 「 郷 土 を世 界 に拓 く一 牧 口常三 郎 の 空 間 学 的 視 圏 とそ の 現 代 的 意 義一 」 は 、『創 価 教 育 学 体 系 』発 刊80周 年 記念 講演 会 の記 録 で あ り、明 治 時 代 か ら平 成 現 代 ま で の 巨 視 的 な 学術 史 の コ ンテ ク ス トに お い て牧 口思想 の尽 き ざる魅 力 を考 察 され て い る。ま た 、和 光 大 学 講 師 ・松 井 慎 一 郎 先 生 の 「 牧 口常 三郎 と河 合 栄 治 郎 」 は、研 究所 研 究会 で の報 告 論 文 で あ り、過 酷 な 軍 国 主義 時代 を 生 きた 両 巨人 の 間 に深 い 思想 的 関係 が存 した こ とを 実証 的 に跡 付 け て お られ る。大 変 に御 多用 の 中、貴 重 な原 稿 を お寄 せ 下 さ った お 二 人 の先 生 に心 よ り感 謝 を 申 し上 げ る次 第 で あ る。 * 講 演 の部 で は 、本 学創 立者 池 田大 作 先 生 の 《名 誉 学術 称 号 御 受 章300号 》 を記 念 し て 、第1号 のモ ス ク ワ大 学名 誉 博 士 号 授 与 式 に始 ま る 「 英 知 の 宝 冠 」の歴 史 にっ いて 、 歴 代 の 国 際 部 長 を務 め られ た若 江正 三 先 生 と北 政 巳先 生 に御 講 演頂 い た。東 西 冷 戦 と い う激 動 の時 代 の 只 中で 、数 十 年 にわ た り世 界 的 規模 で切 り拓 か れ た創 立者 の 《対 話 の軌 跡 》 が 詳細 に証 言 され てい る。 ま た 、本 誌 創 刊 号 か らの シ リー ズ"創 価 大 学 の 草 創 期 を語 る"で は 、本 学1期 生 の 証言 資料 と して 、石 井 講 演 「 創 立 者 と学 生 の 絆一 自 身 の体 験 を通 して一 」、 花 見 講 演 「 私 の 学 生 時 代一 『第 二 の草 創 期 』 の視 点 か ら一 」 の2編 を収 録 した 。 さ らに神 立 講 演 「 創 価 学 園 ・創 価 大 学 と創 立者(第2回)」 は、 創 価 学 園 草創 期 に 関す る生 徒 の 眼 か らの証 言 資 料 を提 供 す る も の で あ る。 論 文 の部 で は 、前記 松 井 先 生 の 「 牧 口常 三 郎 と河 合 栄 治 郎 」の他 、3本 を収 録 した。 伊藤論文 「 牧 口常 三 郎 の 戦 時 下 抵 抗(2)一 聖 戦 思 想 批 判一 」 は、 『特 高月 報 』 所 収 の 《牧 口常 三 郎 訊 問 調 書 》 に記 録 され た戦 争 批 判 の言 説 に 関す る研 究 。 富 岡論 文 「 池 田大 作 の教 育思 想 一 女 子 教 育 の観 点 か ら一(2)」 は 、創 価 女 子 学 園(現 ・関西 創 価 学 園)教 職 員 を対 象 に イ ンタ ビュー を行 い 、 同校 の 教育 理 念 を考 察 した オー ラル ・ヒ ス トリー 研 究 で あ る。 塩 原 論 文 「 『創 価 教 育 学 』 誕 生 の 時期 を め ぐっ て一 牧 口常 三 郎 と戸 田城 聖 の対 話 を手 が か りに一 」 は 、従 来 諸 説 が 存 した 「 創 価 教 育 学 」 とい う言 葉 の誕 生 時 期 につ い て 文 献 証拠 を固 め っ つ詳 細 に 検 証 した論 考 で あ る。 研 究 ノー トの 部 で は 、 ア メ リカ のデ ポー ル 大 学J・ グー ラー 博 士 のrDaisakuIkeda , SokaEducationandForeignLanguageLeaming:AShortEssay」 が 、 ア メ リカ にお け る創 価 教 育 実 践 の試 み と展 望 に つ い て論 じて い る。 高橋 報 告 「 中 国 にお け る 『池 田思 想 』 研 究 の動 向(7)」 は 、2010年 に 中国 や 台湾 の 諸 大 学 で 開催 され た5つ の シ ン ポ ジ ウ ム を 中 心 に研 究状 況 を紹 介 して い る。 資 料 紹 介 と して 、今 回 は3点 収 録 した。 「 牧 口常 三 郎 編 輯 の 『家 庭 楽 』 第1号 お よ び 第6号 」 は、牧 口先 生 が1906(明 治39)年 に 、主 幹 を務 め る大 目本 高 等 女 学 会 か ら 発 行 され た雑 誌 の紹 介 。 「 『 新 教 』第6巻 第1号 掲 載 の牧 口常 三 郎 の 論 考5編 」 は 、牧 一350一 口先 生 が創 価 教 育 学会 で 初 めて 発 行 され た 月 刊誌 『新 教 』 の うち 、現 存 す る最 も初 期 の もの で あ る。 これ に よ り、『牧 口常 三 郎 全集 ・第9巻 一 後 期 教 育 学論 集ll-』(第 文 明 社 、1988年)所 収 の 「 創 価 教 育 学講 座(第2講 三 ∼ 第6講i)」 で は未 発 見 だ っ た 《第 1講 》 が 補 填 され る こ と とな った 。 「 戸 田城 外 著 『中 等 学 校 入 学 試 験 の話 と愛児 の 優 等 化 』(2)」 は 、戸 田先 生 が1929年12月 に 出版 した処 女 作 の 翻 刻(一 部)で あ る。 こ れ らはい ず れ も 、創 価 教 育 研 究 の み な らず 、 日本 教 育 史 研 究 の上 で も貴重 な歴 史 資 料 とい え よ う。 新 刊 紹 介 と して は 、2010年 夏 に 《創 価 教 育80周 年 》 を記 念 して 出版 され た本 学 名 誉 教 授 ・斎 藤 正 二 先生 の 畢 生 の大 著 『牧 口常三 郎 の 思 想 』(第 三 文 明社 、評 者 ・牛 田伸 一 氏)と 、 古川 敦編 『牧 口常 三 郎 の教 師論 』(論 創 社 、評 者 ・富 岡 比 呂子 氏)の2冊 を取 り上 げ た。 * さて 、本 誌 『 創 価 教 育 』 は これ で 第4号 とな るが 、前 誌 『 創 価 教 育 研 究 』 と併 せ る と、研 究所 紀 要 と して10冊 目の節 目 を刻 む こ と とな っ た。 と くに今 回 は350頁 を超 す 大 冊 とな り、執 筆者 の方 々 に重 ね て 深 く感 謝 申 し上 げ た い。今 後 と も読者 の御 批 正 を 頂 きつ つ 、 更 な る充 実 化 に努 力 して 参 る所 存 で あ る。 最 後 に、本 号 作 成 に際 して ご協 力 頂 い た 方 々 、 と りわ け矢 島 印刷 に深 く感 謝 を 申 し 上 げた い 。 2011年3月16日 (T,1.) 一351一