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関西外大 3
地域の意識のつくられ方 デンマークを例に 194 デンマークの自然と人々 1.モレーン(氷堆石)の覆う ユラン半島東部∼島嶼部 (483の島) …丘陵の広がる土地(イ ディング・スコウホイ(最 高峰173m) 2.遠浅が続く平坦なユラン半 島西部 3.比較的温暖な気候 195 H.C.アンデルセン(1805-75) • 創作童話で著名 eg. 裸の王 様、マッチ売りの少女、人 魚姫、親指姫など • 『即興詩人』(1835)→デ ンマーク外、とりわけドイ ツでの評価 • 国際的に知られる文化人(デ ンマークにおけるアウトサ イダー?) 197 N.F.S. グルントヴィ (1783-1872) • 宗教家→北欧神話やデンマー クを題材とした詩人 →「生きた言葉」の重視 • 教育者→「民族」の自覚を促 す農民教育(eg.実学重視) →国民高等学校の提唱 • 1864年のドイツへの敗北→ 「外で失ったものを内で取り 返す」 →農民運動と農民政党の 発展 198 デンマーク意識のありかた • 中世以来のバルト海の覇権抗争… 北のスウェーデン・南のドイツに 対する自己意識 • カルマル連合(1397-1523)の記 憶 • スカンディナヴィア主義の興亡 • 北欧「民族」の連帯の模索と挫 折 • ナショナリズムとリベラリズム の融合 • 理想と現実の乖離…北欧諸国の 政治利害の差 200 デンマークと「北欧」の距離感 • 小国としてのアイデンティティ • 農民社会を基盤とした国づくり(eg. 風力発電) • 南ユランをめぐる国民投票(1920年) • 第二次大戦前の中立主義挫折とナチス占領 • 大国との連携による自立 • NATO加盟によるドイツからの「傘」 • EC(現在のEU)加盟 • 社会・厚生・文化政策では北欧会議で協力 201 ノルウェーと海 202 ノルウェーを囲む「海」の意義 ■ H. イプセン(1828-1906)の『ペール・ギュント』 猟師ペール・ギュントの冒険譚(ノルウェーの山での生活 →アフリカでの成功と挫折→ノルウェーへの帰郷) ■ 漁、海運、油田 ■ ノルウェーにとっての海の 「地政学」的意味 領土と資源の地理的配置から政治現象を論じる学説 204 ヴァイキング∼北欧と「海」の交流の原点 ■ ヴァイキングとは何か? 北欧出身の部族による略奪・交易・植民などを目的とした海外遠征 ■ ヴァイキングと「外界」の接触 ①西方への進出→西欧封建社会への影響 ②東方への進出→「ロシア」の起源、ビザンツ・イスラム文明との接触 ③北方への進出→アイスランド→グリーンランド→北米大陸到達 ■ ヴァイキングの終焉と「記憶」 ①キリスト教化(11世紀以降)と王権を中心とした国づくり ②「北欧」民族の歴史的記憶(19世紀) 206 「海」に規定されるノルウェー ■ 「海」がもたらしたノルウェーの近代化 イギリスでの木材需要→木材加工業と海運業の発展 領事館設置問題→スウェーデンとの連合解消(1905) ■ 進取の気性は「海」からか? eg. エイッツヴォル憲法、議院内閣制、女性 参政権 「外界」との接点としての「海」 ■ 現代ノルウェーを左右する大国の軍事戦略 eg. 米ソ冷戦とノルウェー外交 ①NATO加盟(1949)、NATO北方軍司令部(1959)、統一バルト司令部(1961) ②バレンツ海をめぐる米ソ対立…U2偵察機撃墜事件(1960)に伴う非核政策 ③冷戦後→バレンツ地域評議会(北欧諸国+EU+ロシア)…ロシアとの信頼醸成