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『高齢者筋力トレーニング 高齢者筋力トレーニング におけるリスク管理 におけるリスク管理について 管理について』 について』 ~疼痛 ~疼痛の 疼痛の問題を 問題を解決するには 解決するには~ するには~ 熊本労災病院 リハビリテーション科 理学療法士 中津 勲 ~疼痛が 疼痛が日常に 日常に及ぼす悪影響 ぼす悪影響~ 悪影響~ 疼痛 筋力低下 うつ 閉じこもり 悪循環 動きたくない 活動性の低下 日常生活動作能力の低下 改善するためには筋力トレーニングが重要! ~疼痛の 疼痛の原因~ 原因~ ①過大な負荷設定やセット数によるオーバーワーク ②筋力が低下していることから出現しやすい筋肉痛 ③誤ったフォームによる筋肉や関節へのストレス ④筋肉のオーバーストレッチ ⑤腰痛・膝痛・肩痛 などの既往の悪化 ⑥心因性の痛み などが考えられる ~疼痛が 疼痛が出現しやすい 出現しやすい身体部位 しやすい身体部位~ 身体部位~ 部位 疾患名 腰部 腰椎椎間板ヘルニア など 膝関節部 変形性膝関節症 など 肩関節部 肩関節周囲炎 など 股関節部 変形性股関節症 など 手関節部 関節リウマチ など ※既往歴に留意する ~疼痛が 疼痛が出現しやすい 出現しやすい条件 しやすい条件~ 条件~ ①既往歴がある ②我慢強い性格である ③利用者同士で競争意識がある ④利用者への運動に対する説明が十分でない ⑤心理的に不安定である などの条件が重なると要注意 ~運動の 運動の実施前に 実施前に確認する 確認する事 する事~ ・痛みはありますか? ・どこが痛いですか? ・いつから痛いですか? ・どのくらい痛いですか? ・どのように痛いですか? 全てを 確認して その日の 運動量を 決定する ・どんなときに痛いですか? ・運動中はどうですか?(2回目以降) ・運動後はどうですか? (2回目以降) ~疼痛への 疼痛への対処法 への対処法~ 対処法~ 〈運動前に疼痛が確認された場合〉 軽度の疼痛の場合 重度の疼痛の場合 事前に医師の 医師の診断が 診断が不可欠 慢 疼痛ががまんできる程度で 事前に 困難であれば実施しないが、 性 実施する 軽い負荷で疼痛に変化が無 痛 ければトレーニングを実施 する 実施後には特に注意を払う 急 ストレッチのみを行ったり、かかりつけ医に相談する 性 疼痛の無い部位に通常より 軽い負荷でトレーニングを 痛 実施する ※判断が困難な場合はかかりつけ医に御相談下さい!! ~疼痛への 疼痛への対処法 への対処法~ 対処法~ 〈運動中に疼痛が確認された場合〉 軽度の疼痛の場合 重度の疼痛の場合 無理をしないように注意をし、トレーニングを直ちに中止し、 疼痛がこらえられる程度であ 他の運動の実施もひかえる れば負荷を減らして実施する 実施後には特に注意を払い、 後日その後の疼痛や疲労感の 熱感があれば冷やすなどし、 確認をし、メニューの調整 腫れや発赤が軽減しないよう (種目・重量・回数 などを であれば、かかりつけ医に相 談する 減らす)を行う 疼痛が軽快しても、今後のト レーニングに関してはかかり つけ医に相談して決める ※判断が困難な場合はかかりつけ医に御相談下さい!! ~疼痛への 疼痛への対処法 への対処法~ 対処法~ 〈運動後に疼痛が確認された場合〉 軽度の疼痛の場合 重度の疼痛の場合 運動の終了後に30分間以上 熱感があれば冷やすなどし、 疼痛が続かなければ、今後も 腫れや発赤が軽減しないよう そのまま継続する であれば、かかりつけ医に相 運動の終了後に30分間以上 談する 疼痛が続くようであれば、メ 疼痛が軽快しても、今後のト ニューの調整を行う レーニングに関してはかかり 後日疼痛が出現した場合にも、つけ医に相談して決める 同様にメニューの調整を行う 後日疼痛が出現した場合にも、 同様にかかりつけ医に相談す る ※判断が困難な場合はかかりつけ医に御相談下さい!! ~疼痛の 疼痛の予防のために 予防のために~ のために~ 〈強度〉 強度〉軽い負荷から徐々に増加する(ボルグ指数:11~12) 〈回数〉 〈頻度〉 回数〉1動作:8~10回 〈 頻度〉週に2~3回程度 〈運動速度〉 運動速度〉ゆっくりと動かす(1動作:3~5秒) 〈呼吸〉 呼吸〉 呼吸を止めない(動作時:呼気、脱力時:吸気) 〈時間帯〉 時間帯〉早朝は行わない(自律神経が不安定) 〈期間〉 期間〉筋力がアップするのに 筋力がアップするのに3ヶ月程度は必要(気長に) がアップするのに 〈声かけ〉 かけ〉表情をよく見て、時折り疼痛がないか確認したり、 利用者に競争意識が見られないか確認する 〈運動種目〉 運動種目〉できれば等張性運動(強い等尺性運動は避ける) 〈ストレッチ〉 ストレッチ〉準備運動と整理体操は欠かさないようにする ~筋肉疲労とは 筋肉疲労とは~ とは~ 筋肉を 筋肉を動かすためのエネルギー = かすためのエネルギー = ATP = ATP ⇒ ATPは筋肉中で合成される 有酸素性機構:大きな筋力は発揮できないが長時間運動できる 無酸素性機構:短時間の運動であるが発揮できる筋力は大きい 軽度の運動であれば、有酸素系でATPの合成が可能である。 運動強度が強くなると、無酸素系でATPが合成される。 無酸素系ではATPと同時に乳酸も合成されてくる。 乳酸が筋肉中に蓄積されると筋肉疲労へとつながる。 そこで、有酸素系と無酸素系の分岐点(AT)が重要となる。 ~AT~ AT~ (Anaerobic Threshold) AT = AT = ボルグ = ボルグ指数 ボルグ指数: 指数:11~ 11~12 または、 または、ATの ATの目標心拍数は 目標心拍数は 220-( 220-(年齢 -(年齢)=( 年齢)=(最高心拍数 )=(最高心拍数) 最高心拍数) (最高心拍数- 最高心拍数-安静時心拍数) 安静時心拍数) × ×(0.4~ 0.4~0.6) 0.6) + (安静時心拍数 + (安静時心拍数) 安静時心拍数) =目標心拍数 =目標心拍数 ~筋肉痛とは 筋肉痛とは~ とは~ 筋肉痛の 筋肉痛の起きる原因 きる原因としては 原因としては、 としては、 体を動かすと、 かすと、筋肉が 筋肉が微細に 微細に断裂を 断裂を起こすことがある。 こすことがある。 これを修復 これを修復する 修復する過程 する過程において 過程において筋肉痛 において筋肉痛が 筋肉痛が出現する 出現する。 する。 筋肉の 筋肉の微細な 微細な断裂は 断裂は、遠心性収縮によって 遠心性収縮によって起 によって起こりやすい。 こりやすい。 よって、 よって、筋肉痛を 筋肉痛を予防する 予防する筋力 する筋力トレーニングの 筋力トレーニングの重 トレーニングの重さの重量 さの重量は 重量は、 「ゆっくりと持ち上げることができる重さ」ではなくて、 「ゆっくりと下 ゆっくりと下ろすことができる重 ろすことができる重さ」である と言える。 ~遠心性収縮とは 遠心性収縮とは~ とは~ 関節を動かすためには筋収縮が必要 例)肘を曲げる ⇒ 上腕二頭筋の収縮 ただし、逆に肘を伸ばす場合にも上腕二頭筋には 肘を伸ばす速度をコントロールするブレーキの役割がある 例)物をゆっくり置く、椅子にゆっくりと腰掛ける など (上腕二頭筋) (大腿四頭筋) 筋トレ時には、ゆっくりと下ろす(もどす)動作に多い ~心因性の 心因性の疼痛~ 疼痛~ 精神的に安定していな い場合や身体的に疲労 感の強い場合などでは 疼痛をコントロールし ている交感神経などが 安定しておらず、疼痛 を感じやすい状況であ ると言える。 〈疼痛の伝導路〉 改善策としては、希望 希望 を持つ・休息 つ・休息を 休息を取る・ 睡眠を 睡眠を取る・リラック スする・気分転換 スする・気分転換する 気分転換する などが挙げられる。 ~実技~ 実技~ 〈疼痛の 疼痛の強さの評価 さの評価〉 評価〉 ・VAS ・NRS ・Fa Fac Face Scale など ~VAS~ VAS~ (Visual Analogue Scale) 疼痛なし 最大の疼痛 ~VAS~ VAS~ 〈方法〉 方法〉 ・10~20cmの直線を引く ・左端に「疼痛なし」、右端に「最大の疼痛」と記載する ・疼痛がどの辺りに相当するかを利用者本人に印をつけさせる ・左端から mm単位にて測定し、評価用紙に記載する 〈特徴〉 特徴〉 ・簡易に測定が可能 ・手術直後などの疼痛が強度の時期や心理的に不安定な高齢者 では精度が不安定 ~NRS~ NRS~ (Numeric Rating Scale) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ~NRS~ NRS~ 〈方法〉 方法〉 ・10点表現法にて行う ・全く疼痛がない状態を0点、最大の疼痛を10点として表現 ・5.3点など小数点以下まで表現してよい ・口頭にて行ってもよい 〈特徴〉 特徴〉 ・VASとも高い相関性が認められ、信頼性も高い ・手術直後などの疼痛が強度の時期にも精度が高い ・小児や意識錯乱の見られる高齢者では的確に数値として 変換できない ~Fac Face Scale~ 疼痛が全 く無く、 とても幸 せそうな 表情。 軽度の疼 痛がある が、平気 な感じの 表情。 軽度の疼 痛があり、 少しつら い感じの 表情。 中等度の 疼痛があ り、つら い感じの 表情。 強度の疼 痛があり、 ゆううつ な表情。 我慢でき ない疼痛 があり、 涙が出て きそうな 表情。 ~Fac Face Scale~ 〈方法〉 方法〉 ・4~7枚の表情の絵を使用する ・笑顔から徐々に苦痛の表情が強まっていき、自分の疼痛の 度合いがどの表情に該当するかを尋ねる 〈特徴〉 特徴〉 ・理解力の低い小児や他の尺度を使用できない高齢者にも 利用できる ・精度はやや低い ・表情の数が多くなりすぎても精度が上がるとは限らない (特に小児においては区別が困難) 〈疼痛評価〉 ( 年 月 日)担当: ・痛みはありますか? ( はい ・ いいえ ) ・どこが痛いですか? (部位: ) ・いつから痛いですか? ( 日・週・月・年 前より ) ・どのくらい痛いですか? ( VAS・NRS・Face Scale) ・どのように痛いですか? (チクチクする・ヒリヒリする・ 重苦しい・ズキズキとする・ ひきつるような・熱く焼けるような その他: ) ・どんなときに痛いですか? (常時・さわると・運動時に・歩くと・ 階段を上ると・階段を下りると その他: ) ・運動中はどうですか?(2回目以降) (痛みが和らぐ・変化なし・痛みが強まる) ・運動後はどうですか?(2回目以降) (痛みが和らぐ・変化なし・痛みが強まる) ~まとめ~ まとめ~ ・運動の方法や効果については事前に オリエンテーションしておく ・軽度の疼痛であれば可能な範囲で運動を行う ・疼痛のない方であっても決して 無理な運動は行わない ・疼痛のある利用者に関しては 常に身体と精神の状態を把握している ・不明な点があればかかりつけ医に相談する ~参考文献~ 参考文献~ 「高齢者のメディカル 高齢者のメディカル筋力 のメディカル筋力トレーニング 筋力トレーニング教本 トレーニング教本」 教本」 都竹茂樹 」 都竹茂樹 都竹茂樹 日経 日経BP 日経BP社 BP社 「高齢者の 高齢者の運動ハンドブック 運動ハンドブック」 ハンドブック」 米国国立老化研究所 」 米国国立老化研究所 米国国立老化研究所 大修館書店 大修館書店 「これでなっとく これでなっとく 使えるスポーツサイエンス」 えるスポーツサイエンス」 征矢英明 」 征矢英明 征矢英明 講談社 講談社 「間違いだらけのスポーツトレーニング 間違いだらけのスポーツトレーニング」 いだらけのスポーツトレーニング」 鈴木正之 」 鈴木正之 鈴木正之 黎明書房 黎明書房 「運動不足のビジネスマンへ 運動不足のビジネスマンへ のビジネスマンへ 30代 30代からのスポーツ& からのスポーツ&トレーニングのやり方 トレーニングのやり方」 楠林信正 楠林信正 かんき かんき出版 かんき出版 「高齢者のスポーツ 高齢者のスポーツ指導者読本 のスポーツ指導者読本」 指導者読本」 都竹茂樹 」 都竹茂樹 都竹茂樹 ぎょうせい ぎょうせい 「すぐできる症状別筋力 すぐできる症状別筋力トレーニング 症状別筋力トレーニング」 トレーニング」 野沢秀雄 」 野沢秀雄 野沢秀雄 家 家の光協会 「55歳 55歳からの筋力 からの筋力トレーニング 宮畑豊 池田書店 筋力トレーニング」 トレーニング」 宮畑豊 池田書店 「中高年からの 中高年からの健康 からの健康スポーツ 健康スポーツ入門読本 スポーツ入門読本」 入門読本」 青木高 」 青木高 青木高 ぎょうせい ぎょうせい