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申立案件振り返り

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申立案件振り返り
平成25年度申立案件
振り返り
横浜市福祉調整委員会
平成26年1月20日
№1
高齢・障害支援課職員の窓口対応について
サービス利用者:40代男性、身体障害者
申立人:本人
苦情申立て
の趣旨
(1)申請の日付について
4月 15 日過ぎに区福祉保健センターから「障害程度区分認定更新のお知
らせ」(以下「お知らせ」)が届いた。
お知らせには、認定期限は7月 31 日、申請からサービスの支給決定まで
に 60 日程度かかること、4月末までに申請をするようお願いしますと記載さ
れていた。しかし、申請期限は訂正印もなく手書きで修正されており、いい加
減な事務処理と感じられる。前居住区では6月初めでも大丈夫と言われたこと
があり、各区で取り扱いがばらばらである。申請期日は区が決定をしていると
のことであるが、同じ自治体であれば、申請期日などは統一してほしい。
(2) 申請に伴う区の窓口対応について
私は手も不自由なため、申請に当たり配慮をお願いしたが、区では申請期
限を強調されるだけで配慮どころか上から目線の対応であった。高齢・障害支
援課の職員が対応し、申請することができたが、上から目線の対応は変わらな
かった。
(3) わかりやすい組織に
前居住区では高齢と障害部門が分かれていたが、現居住区では高齢者と障
害者への支援を担当する課が一つの課になっている。同一の課になっていると
非常に分かりにくいため、課を分離するなど誰もが迷うことのないわかりやす
い組織に改めてほしい。
対象機関
調査・調整結
果
区高齢・障害支援課
(1)申請の日付について
障害程度区分認定更新の処理データは認定期限の3か月前の3営業日に局か
ら区に配信され、翌日、オンライン出力する。出力によって申請依頼期限は出
力月の末日の日付が印字される。今回のお知らせは4月4日に出力され、その
後送付先や送付の要否等の確認作業に日時を要し、4月 22 日の発送となった
ため、申請依頼期限を「4月末」から 5 月中旬に修正し、その上で、区は「障
害程度区分認定更新の申請をされる皆様へ」を独自に作成し、その文書に提出
期限は「4月末日となっておりますが」という断り書きの後、修正された後の
期限を記載していた。
(2)申請に伴う区の窓口対応について
申立人が総合窓口の職員に書類を提出し、担当CWの名前を出されたので、
窓口の職員は担当が代わっていることを伝えた。窓口担当者でわからないなら
わかる人に替わってほしいと言われたが、用件が障害程度区分の更新申請であ
ることが判明したため、窓口担当者で受付可能であることを説明して、手続き
を行った。
その際、手が不自由なのでと代筆を頼まれたため、代筆を行い、
手続きを完了した。
また、提出期限の要望について、区は更新がスムーズに行われるように事務
上の都合で区独自にお願いしていることであり、全市統一ではないこと、申立
人の申請は提出期限を過ぎているが、本日受け付けができることを説明した。
各区で多少違いがあることは理解いただくようお願いをして、ご意見があった
ことを承っておくことを伝えた。
(3)わかりやすい組織に
区では、お客様のニーズを総合的に受け止め、一括して対応できるよう窓口
専任CWによる福祉保健サービスの総合相談窓口を設置して、お客様の相談や
申請について対応していた。
また、直接、担当CWとの相談を希望される方には、担当者につなぎ、不在
の場合、窓口の職員で対応できる案件はその場で対応し、できない案件は折り
返し担当者から連絡をしている。申立人はヘルパー交代の希望があったので、
担当CWにその旨を伝えた。
福祉調整委員としての意見
第1に、申請の日付について
区は手書きで申請期限を修正していることを踏まえ、そのことを説明した
文書を独自に作成して同封していた。修正に訂正印がなかったことは、通知を
受け取った方に疑問が生まれる事はありえるが、補完する文書があるので、手
書きの訂正でも良い。
第2に、申請に伴う区の窓口対応について
区は当日の窓口対応は特に問題はなく終了したとの理解であった。しかし、
申立人が訴えた苦情の中心は「上から目線」の対応であった。本人が自分の気
持ちを相手に表現しなくても、本人には「上から目線」の思いが残っているこ
とがあることを区に伝え、窓口で市民の方が気持ちよく利用できるよう、丁寧
できめ細かな対応をするようにお願いした。
第3に、わかりやすい組織にしてほしいという要望については、各区で総合窓
口を設けるなどそれぞれの地域の独自の工夫がある。今後も組織の枠組みに左
右されることなく、わかりやすく親切な対応となるよう工夫するようにお願い
した。
最後に区高齢・障害支援課から、申立人の心情の理解や説明に至らない点が
あったことは否定できない。意見を係内で情報共有しつつ、障害特性に合わせ
た柔軟かつ温かみのある窓口対応ができるよう今後も努めていきたいとの回答
を得た。
そのため改めて、区に申し入れは行わず、申立人に今後の区の取組を見守っ
ていただくようお願いして終了とした。
№2
DVに関わる区の対応について
サービス利用者:女性、60歳代
申立人:本人
苦情申立て
の趣旨
夫のDVにより、区に一時保護され、その後、民間施設に移動した。保護を
された当初から、区女性相談員に、財産を守るための相談を含めた様々なお願
いをしていたが、対応してもらえず、結果、様々な経済的不利益が生じた。
また、私の意思とは関係なく、法テラスを利用することを提案され続け、失
業保険手続きについても支援はされない状況が続いた。DVは、
「経済力のない
女性が夫から受ける暴力」という認識が区にあるのだと思う。民間施設に移り、
施設スタッフにより対応してもらえた部分があったことを考えると、区はもっ
と適切な対応があったのではないか。経済的に困窮したDV被害者と同じマニ
ュアル通りに進められたと感じている。私のような状況のDV被害者に対する、
区女性相談員の対応について、委員に話を聞いてもらいたい。
対象機関
区こども家庭支援課、こども青少年局こども家庭課
調査・調整結
区女性相談員は、申立人の思いや希望、苦情などを把握するものの、自宅へ
果
戻ることは支援できない、今後の生活については、グループホームへの入所や
生活保護を利用すること等を説明をするのみであった。
女性相談員は、経験的知識に頼り、他課との連携をとることもなく「身体生
命の安全のため、行政としてできない」ことを伝えるのみであった。区こども
家庭支援課(以下「区担当課」
)が組織として、本人に関わっている高齢・障害
支援担当職員との連携を図ることもされなかった。
その後、民間施設スタッフにより、本人の要望が実現できた部分があったこ
と、グループホーム入所や法テラス利用の必然性がなかったことが分かり、対
応の不満が残ることとなった。
市こども青少年局こども家庭課(以下「局担当課」)に対し、申立人とともに
民間施設側からも、区からの連携対応がないこと、資産を有する被害者に対す
るDV保護のあり方などについて疑問が呈され、問い合わせがなされ、局担当
課職員が、話し合いの場を持った。局担当職員は、事前の区からの相談を踏ま
え、区の対応について検討をしたうえで、区の対応に問題はなかったと認識し
ていた。
「本人の生命身体の安全を優先する対応を行っていた」という趣旨の回
答がなされ、その後の対応は特段とられることはなかった。
【福祉調整委員としての考え】
申立人が資産を所有し職も有していたことから、
「一般的にDV被害者は資産
や収入を有することが少なく、被害者に生活保護を適用し、居住地についても
本人の身体生命の安全を最優先した支援が行われる案件」
、とは異なる側面があ
ったと考える。
DV被害による緊急支援が実施された後に、速やかにDV支援担当課だけで
はなく、複合的な支援計画が実施されるべき案件であった。しかし、組織的な
対応はされず、女性相談員の経験や知識の範囲内での通常案件と同様の対応と
なっている。生活保護を適用したグループホームへの入所、法テラスの利用が
繰り返し提示されたが、その支援方針自体が本人の有する自立能力等に勘案し
てふさわしくないと考える。安易に生活保護の適用を示すことは、本人との信
頼関係構築のための聞き取りの緻密さに欠けており、DV被害者は資産を有し
ないという思い込みのもとでの支援としても、妥当性を欠く。また、申立人は、
失業保険の申請を希望していたのだから、短期的とはいえ収入が確保され支援
の選択肢が広がっていたことは容易に想定されるべき点である。一時保護所入
所中、経済的負担が増加することを防ぐための外部への連絡まで制限する合理
性は皆無である。失業保険給付手続き等、行政担当者であれば比較的容易に支
援できる手続きについてもなされていないことから、福祉的観点からの支援の
視点が欠如していたと思われる。
DV事案には高齢者や障害者である被害者が一定程度存在する。女性相談員
は、高齢者や障害者への支援のあり方や個別の課題などを了知しておくべきで
あったし、知識や経験が欠けていたのであれば、担当課が組織として支え、早
期の段階で横断的な組織内外の連携体制をとり、警察等他の機関との連携を速
やかに図るべきである。
「行政ができない課題」について、どうしてできないのか、説明をし、理解
と納得を得るべきであり、代替策として何ができるか、組織的な対応が必要で
あった。申立人は、すでに身体生命に危険を感じた状況で避難に及んでいるの
であり、自身の安全が図られることは当然であり、最後のよりどころとして頼
った行政が、自立に向けた支援をしてくれることを期待することは当然といっ
てよい。
以上から、本申立てにおいて、「できないことを伝える対応に終始した」「行
政の立場について、具体的で丁寧、かつ理由や必要性を理解してもらうための
説明がなされなかった」
「できないことに対して代替案が示されない」などの問
題点が指摘される。市局において、資産のあるDV被害者の存在や障害者、高
齢者など、複合的な福祉的課題を有する被害者の存在に対応したマニュアル等
の整備もされておらず、さらに、法的観点を取り入れた専門家による研修や、
知識の共有を図る継続的な研修が行われていないことなどを指摘するところで
ある。
本申立ては、担当区担当課、一職員の個別の問題ということではなく、本市
のDV支援における構造的な欠陥が指摘されなければならないと考える。
申入れ内容
1
区においては、DV事案の個別性を踏まえて、事案の把握と方針の決定に
ついて、組織として取り組み、多角的な視点に基づく支援体制が構築されるよ
う、支援のあり方を再検討されたい。
2
区及び市局では、本申立て事案の支援のあり方について、速やかに関係機
関・職員において支援上の問題点を把握し、本来行うべき支援のあり方を共有
化し、今後このような問題が発生しないよう努めること。
3
区及び市局は、DV支援のあり方を改善するよう抜本的で継続的な取組を
行い、DV支援に携わる全ての職員のレベルアップに努めること。
4
市局は、資産のある被害者や高齢者、障害者など複合的な福祉的支援の必
要性がある被害者の存在など、これまでのマニュアルでは想定していない事案
が存在することを自覚し、柔軟かつ多角的に福祉的知識に裏付けられた支援が
実施されるようマニュアルの改訂をし、また、担当者における福祉的、法的知
識等をさらに増やすための研修体制の構築など速やかに実現すること。
5
市局は、DV被害者への支援をより充実させるため、担当支援課だけでな
く、関連課や必要によっては他区関係課、警察、弁護士会などとの連携をさら
に強化させるよう体制を整え、連絡協議会などの実現を図るなど、積極的な取
組を行うこと。
上記で指摘した5点の課題は、短期、中期、長期的に取り組み、計画的な実
現が必要とされるものであり、本申立てを一事例の一苦情にすぎないと捉える
のでなく、各種施策の改善と実現に向けて取り組まれたい。
申入れの対
<区>
応状況
・女性相談については、
「本人の命や安全を優先」して対応をしている。
・今回の事案について、関係機関と問題点・支援のあり方を共有する。
・
「DV支援の知識とケースワークの視点」について、今まで以上の研修を行っ
ていく。
・DV支援に関わる職員のレベルアップを図るため、情報から支援方針までを
共有するカンファレンスシートを作成する。
・局と協力して上記の件を実施する。
<局>
・事例の共有化について
区と局が今回事例における課題の把握と共有。庁内の関係部署・職員に対し
ての課題の共有。
・
「女性福祉相談業務のあり方検討会」の実施、
「業務指針」の策定(~26 年度)
。
・研修の強化
法律的な知識や弁護士への依頼方法などをテーマとする研修の実施(~25 年
度中)。検討会による検討結果の研修計画等に反映(26 年度~)。
・関係機関との連携
警察、弁護士会等との連絡会を実施し、連携をさらに強化する。
№3
訪問看護事業所からの契約解除要求
サービス利用者:女性(70 歳代)
申立人:娘
苦情申立ての
趣旨
母は要介護5で、訪問看護サービスを利用しているが、訪問看護師のひとりが、
以前は丁寧にしていたお腹のマッサージを、ノートを見ながら片手でするように
なったり、サービス提供中に携帯電話やメールに出たり、口調もきつくなった。
この件について、ケアマネを通し事業所に改善を求めたところ、所長は、父に「事
業所を変えてもらいます。」と怒鳴りながら電話してきた。家族としては、訪問
看護師の態度を改め、改善してくれれば良いという気持ちだった。
週 4 日利用している事業者に、いきなり別の事業所に変わるようにと言われ、
困惑し怒りを感じている。何か要望を出す面倒な利用者は辞めてほしいと考えて
いるように思えてならない。
今後は、ケアマネに相談し、別の事業所に変わる予定でいるが、いきなり他の
事業所に変わるようにと言うような事業者に納得がいかない。利用し続けている
他の利用者のことも考え、申し立てた。
対象機関
訪問看護事業者
調査・調整結
事業所との契約は終了し、新たな事業所との契約が出来たため、申立人から調査
果
不要との申し出があり、面談時終了とした。
№4
区保護課職員の不当な職務言動について
サービス利用者
40代男性
申立人
本人
苦 情 申 立 て
の
趣
旨
区保護課は 1 年半の間、私に対して就労先を単一職種の仕事しか紹介してこない。担当C
Wと係長は受給期間が長期化しているのは、あなたがだめな人間だからで、だめな人間は就
労しないと支給を打ち切るという意味のことを言う。
また、25 年3月当初に収入を報告したが、それをもとに4月にいきなり支給額を報告額以
上に減額され、さらなる経済的困窮を強いられた。後日追給はあったが、なぜ支給額を減ら
したのかについて理由や決定のプロセスの説明が何もない。
そして7月、区に求職活動の報告に出向いた際にいきなり口頭指示が行われ、月1回の求
職活動状況報告書の提出が月2回になった。説明を求めたところ、「保護課が組織で決めた」
「口頭指示に従わない場合は書面の指示を経て、受給停止することになる」など著しく合理
性を欠く説明しか受けていない。私に対する区の指導は、生活保護法 27 条の2項及び3項
に違反していると思う。私が不正受給をしているという疑いの目で見ているのではないか。
更に7月末に係長とCWが自宅を訪問し、求職活動状況報告書の提出を求めた際、CWが
「報告を出さないならあなたが不利になる」と発言した。権限を持つ人間が軽々しくこのよう
な強圧的発言をするのは問題である。謝罪と処分、担当の配置換えを求めたい。
対 象 機 関
区保護課
調 査 ・ 調 整
<申立人への就労支援方法や就労先の考え方・根拠について>
結
果
区は就労を目標に支援してきた。本人の希望する職種の採用は少なく就労に結びつきにくい
という判断で、職種を拡げた求職活動を求めたが、単一の職種だけを紹介したことはない。し
かし、申立人の求職方法や職種に変化がないため、保護法第 27 条に基づく指導指示を実施し
た。
<平成 25 年4月支給額について>
3 月に「本日より仕事に行く」と報告があったが、給与見込みの報告がなかった。本人に電
話したが、
すぐに電話を切られる状況であったため、提出された求職活動状況報告書に基づき、
時給等を算定し、3月 20 日に4月分保護費を通知した。25 日申立人より苦情があり、29
日推定認定した経過の説明と収入申告を促す主旨の手紙を送付した。
4月に収入申告をもとに
4月分保護費を再算定し、11 日に追加支給した。
<口頭指示以降の申立人と区の対応について>
法に基づく口頭指示を実施したところ、苦情があった。申立人に求職活動状況報告を求める
と書式が変わったから報告できないと主張した。また、自宅訪問した際、担当者は旧書式でも
構わないと伝え書類を渡そうとしたが、申立人は受け取りを拒否した。求職活動の報告をしな
いと不利になると伝えたところ、「不利になる」と言ったなと大声を出した。その後、面接で
書類を受理したが、説明もなく申立人が帰宅してしまったため、翌週にも来所を依頼したが、
受付に書類を預けただけで面接にいたっていない。
今後も区の方針に変更はなく、指導指示を継続しながら、同時に、申立人に制度の趣旨を丁
寧に説明し理解を求めていくとのことである。
<福祉調整委員の考え>
申立人は本来働ける力を持っているので、
早期の就労を目指して就労支援を行うという保護
課の考え方は理解が出来るが、本人が十分納得し、仕事に就く必要性を十分理解した上で就労
をしなければ、継続的長期的な自立生活にはつながらないのではないかと考える。申立人は過
去自ら就労していた実績もあり、本人が主体的に自己の状況を理解し、求職活動を工夫してい
くように持っていくことは、本人だけでなく、区にとっても大きな意義を持つはずである。し
かし、現実には、逆の状況として申立人に受け止められており、不正受給を疑われているとい
う不安を持ち、理解がすれ違っていると考える。
申入れ内容
(1)申立人の意向を踏まえた、自立に向けた就労支援の段階的な実施
区が本人に求める面接や求職活動報告の内容に対し、どこまで可能なのか、求職活動
の成果や到達度をどこで計るのか、本人の理解の状況を丁寧にみた上で、確認して進めて
ください。
(2)面接の内容や手順の見直し
回数を月1回に戻して時間や内容を増やして進めるのか、2回に分けて行うのとどち
らが効果的なのか、申立人が理解できるように手順を踏んで進める方法を検討して下さ
い。
申 入 れ の
対 応 状 況
10 月、就労支援専門員同席の面接が行われ、申立人は「職種を拡げた求職」について受け
入れた。しかし、提出された求職活動状況報告書には企業名が未記載であるため、実際の求
職活動を把握できていない。
また、申立人から体調不良の訴えが出されたため、病状確認までの間、面接頻度を月 1 回
に変更した。
今後は、病状を見守り、自己求職活動状況の報告を月1回受けながら、申立人の現実的な
就労が実現するよう支援していく。
№5
苦情対応しない入所施設について
サービス利用者:男性(50 歳代)
申立人: 本人
苦情申立て
の趣旨
私は、障害者支援施設に入所しているが、当該施設では、契約に「利用者の意
思と人格を尊重し、常に利用者の立場に立って障害者福祉サービスを提供しま
す。
」と約束しているが、実態は違っている。
主任職員は、介助中に私が息苦しくなるタバコの臭いをさせ、また、ふらつく
危険行為を行ったが、謝罪せず無礼な文書を書いた。さらに数えきれない「個人
支援計画書」の約束違反があり、これ以上耐えられない。
また所長、課長も謝罪せず、最近の苦情は全て無視され握りつぶされている。
福祉調整委員会を案内し、各種事項の改善もせず、職員の処罰もしない。
私は以下の裁定を望む。所長、課長、主任職員の3名が、私の指摘したことに
ついて謝罪文を作成すること。3名を懲戒免職処分に課すこと。全職員に「個人
支援計画書」で約束したことを周知徹底すること。苦情解決法として、納得でき
る再発防止策を実施することを文書で伝えることを約束すること。
対象機関
調査・調整
結果
障害者支援施設(施設入所支援)
3 名に対する苦情内容について(1).主任職員が、介助中に申立人が息苦し
くなるタバコの臭いをさせ、また、ふらつく危険行為を行ったが、謝罪せず無礼
な文書を書いた。
(2)主任職員が、
「個人支援計画書」にかかれている申し送り
や介助マニュアル等の約束についての違反行為を行った。(3)職員が、他の施
設入所者の手を持って書初めを書かせた行為は、人権侵害にあたる。
(4)所長、
課長が申立人の苦情を全て無視し、各種事項の改善をせず、職員の処罰もしない。
(5)所長は、申立人あての文書の中で、長時間介護に対する非難と退所勧告を
行った。等々をそれぞれ確認し、併せて施設の考え方を示してもらった。
(1)主任職員は、たばこの臭いを出さないようできうる限りの努力と工夫を
され、謝罪文を出されていた。ふらつきについては、長時間に及ぶ介助業務の中
で、ふと気が抜ける状況や周りが見えなくなる状況があるかもしれないとのこ
と。(2)介助マニュアルや申し送りについては、内容ごとに大変細かいルール
があり、それを少しでも違えると厳しく約束違反を指摘され、主任職員は緊張が
続いていた。(3)書初めは、様々な活動や行事を、地域生活と同じように生活
に潤いを感じ、楽しんでもらえればという施設の考えであった。(4)苦情対応
システムについては、手順が示されているものの、十分に稼働してこなかったが、
必ずしも苦情解決を放棄しようとしていたわけではなかった。(5)所長の文書
及び申立人が応答された文書双方を確認したが、関係悪化の悪循環が起こってい
た。
【福祉調整委員としての考え】
申立人が、望む介助の質と量を、自由に主体的に想定することはまっとうなこ
とだが、施設側が、運営上起こる他の利用者との公平性の課題や、職員配置のマ
ネジメントという現実との間でジレンマを感じ、困惑することは同様にうなず
け、両者のよって立つ場所が食い違っているように見える印象を受けた。今回の
申立てにおける苦情は、大きく3つに分類されるように思った。
(1)施設に非があり、短期間で改善されるべきこと。(2)十分に理解できる
が、制度的な制約に基づく資源不足を勘案して、中期的に施設側と申立人とが共
闘すべきこと。(3)申立人と他の利用者との利害が葛藤しているので調整を要
し、場合によっては申立人も歩み寄るべきことである。
今回の課題として、施設側が、現体制にてできることとできないことの仕分け
を明確にした上で、個人支援計画を立てるということを十分に遂行できなかった
ことがある。個人支援計画は、本人の意向を十分に勘案し、施設が持つ現実の質
的量的資源の中で、可能な範囲とのすり合わせを丁寧に行い、両者の合意に基づ
き策定されるべきものである。「個人支援計画書」の文言解釈に食い違いが生じ
ていることが判明した以上、仕切り直しの計画策定が必要だろう。
また、申立人と施設のやり取りについて、コミュニケーション上の難しさの課
題があった。非言語コミュニケーションによって補う「遊び」や「ゆとり」の部
分があまりないままに、申立人の文書の中にあるかなり厳しくきつい言い回しが
独り歩きして、職員側も過剰に傷ついている状況があるのではないかと思った。
今回申立人が訴えの対象とした所長、課長、主任という組織の管理側に立つ
3名は、全体としてその職位に基づく責任から各種の投げかけをされた。例え配
置転換等で別の個人が配属されたとしても、前述の仕分けと支援計画の再考なし
には、類似のことが起こる可能性は高いと思う。人を変えて済む問題状況とは言
えない。
最後に、施設では複数名の職員が、より良き介助のあり方やコミュニケーショ
ン支援の方策について積極的に研修に参加し、専門家に相談をされていた。申立
人の施設での生活において、「良い介助」ということの持つ意味がどれだけ大き
いかということについて真摯に考え、職員自らの姿勢を傲慢な態度と自省する話
し合い記録も目にした。申立人からの苦情申立てを契機に、真の利用者本位サー
ビスが提供できる施設に成長していく可能性はあると思った。
申入れ内容
1.苦情対応システムについて
現在設置されている第三者委員の構成メンバー及び運営の実質を見直し、常日
頃から利用者及び家族の申立てを受け付け、状況に善処できるような体制を作っ
てください。さらに体制構築後も、適宜、その運用の見直しをし、苦情対応シス
テムの改善を継続してください。そして稼働した苦情対応システムを活用し、必
要に応じ本事案をめぐる詳細な生活状況・介助状況の観察を行い、現体制下にて
改善が可能なことと対外的なサポートの必要なことに仕分けをし、「個人支援計
画書」に添付する申し合わせ事項(案)を作成してください。
2.「個人支援計画書」について
施設としてできることの限界を超えた要請が可能であるかのような文言を盛
り込んだことを謝罪し、1で検討した申し合わせ事項(案)をもとに今後の支援
方針について仕切り直しの話し合いをしてください。そのためには、申立人ご本
人が、施設側と対等に交渉するための話し合いを行うよう依頼をしてください。
3.対社会への働きかけについて
施設としてできないことの中で、制度的な制約や資源の不足に関する事項につ
いては、申立人と協働しながら何等か社会に訴えかける方法を考え続けてくださ
い。
(介助要員、コミュニケーション支援要員等)また、申立人の状況とニーズ
に応じて対外的なつながりについてサポートをできるよう各種の情報収集を継
続してください。
(これはご本人不在の頭越しの作業ではなく、同様の障害に直
面した人にサービスをする可能性のある社会資源として備えるべき情報やつな
がりです。
)
4.中長期的には職員採用方針に非喫煙者の条件導入をご検討ください。
申入れの
1及び2. 第三者委員については、現在、法人内各施設共通の委員が委嘱され
対応状況
ているが、今後は施設単独の委員を新たに選任するよう見直す。体制構築後も、
第三者委員を含む苦情対応システムの積極的な運用に心掛け、管理職員が相互に
連携しながら解決に向けて効果を上げていくよう努める。
施設では、話し合いを継続しているが、容易に進展しない状況である。また、
福祉調整委員からの申入れに沿って申立人に謝罪を行い、個人支援計画の仕切り
直しの話合いの申入れを行った。
3. 施設にとって遠大な課題だが、申立人との話合いの一つに加えていきたい。
また、申立人の意向を前提とした上で、サポートの可能性のある人的物的資源
に関する情報を継続して収集し、職員間の共有を図り、施設の対応力を醸成して
いきたい。
4. 採用面接時に、喫煙状況の確認をしていくことも取り入れ、今後の職員応
募採用状況の実態を見て、非喫煙者の条件導入は検討課題としたい。
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