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平成26年度 板橋区保健福祉オンブズマン報告書
平成26年度 板橋区保健福祉オンブズマン報告書 (平成26年4月~平成27年3月) 平成27年7月 板橋区保健福祉オンブズマン 目 次 Ⅰ 平成26年度の制度運営概要 ········································· 1 Ⅱ 保健福祉オンブズマンとしての活動を振り返って オンブズマン 岩崎 美智子 ········································ 3 オンブズマン 安藤 建治 ·········································· 6 オンブズマン 海老原 信彦 ········································ 8 オンブズマン 樋田 幸恵········································· 10 Ⅲ 保健福祉オンブズマン制度の概要 Ⅳ 1 保健福祉オンブズマン制度とは ································· 12 2 制度の目的····················································· 12 3 制度創設の背景················································· 12 4 制度の意義····················································· 12 5 今後の保健福祉サービスと保健福祉オンブズマン ··················· 13 6 苦情申立の方法················································· 13 7 苦情申立の範囲················································· 13 8 苦情解決のしくみ··············································· 14 苦情受付状況 ······················································· 15 Ⅴ 苦情申立て状況······················································ 16 Ⅵ Ⅶ 苦情一覧及び申立てに至らなかった事例 ······························· 17 苦情申立て及び処理結果の概要 NO.1 児童扶養手当が認められないことについての苦情 ················ 39 NO.2 保育園等に入園できないことへの苦情 ·························· 42 NO.3 担当職員の就労支援に対する対応についての苦情 ················ 46 NO.4 保育園等に入園できないことへの苦情 ·························· 47 NO.5 地域活動支援センターの利用料についての苦情 ·················· 49 NO.6 放課後等デイサービスの利用についての苦情 ···················· 55 NO.7 福祉事務所が個人情報を漏えいしたことについての苦情 ·········· 58 NO.8 介護保険の生活援助についての苦情 ···························· 62 NO.9 保育園等に入園できないことへの苦情 ·························· 67 Ⅷ その他の事業 1 保健福祉サービス提供事業者が設置する苦情解決機関への支援事業 ···· 73 2 保健福祉オンブズマン制度のPR活動状況 ·························· 73 Ⅸ 参考資料 1 東京都板橋区保健福祉オンブズマン条例 ···························· 75 2 東京都板橋区保健福祉オンブズマン条例施行規則 ···················· 78 Ⅰ 平成 26 年度の制度運営概要 平成13年7月の本制度施行から法律や保健福祉等の分野で活躍している弁 護士、大学教授などの方々、15名を板橋区の保健福祉オンブズマンとして委 嘱してきました。現在は4名のオンブズマン ( 定数5名以内 ) が当区の保健福 祉サービスの向上のために活躍されています。報告書の刊行も今回で14回目 となりました。 平成26年度の案件を見ると、保健福祉オンブズマン室に寄せられた苦情や 相談等の受付件数は76件あり ( 前年度47件 ) 、急増しています。 76件のうち、苦情申立てまでに至らなかった67件の事例は、医療・法律 の苦情や相談をそれぞれの窓口につなげたり、生活保護費不正受給の告発など 保健福祉オンブズマン制度の対象外の内容等でした。また、社会経済の回復が 低迷するなかで、依然として生活保護受給者は増加傾向にあり、生活保護に関 連した苦情については、23件 ( 前年度16件 ) と増えています。 苦情申立ての受理については、9件 ( 前年度12件 ) ありました。処理結果 については、是正勧告1件、文書による申入れ7件、面談や調査の時点で申立 人が納得されて取下げたものが1件となっています。内容としては、児童福祉 関係が5件と多かったのですが、障がい者福祉、介護保険制度、生活保護と多 面にわたる申立となりました。これは、保育入所待機児問題を抱えた中で、子 ども・子育て支援新制度の創設及び障害者差別解消法の成立などの福祉関連法 制度の変遷が影響したものかと考えられます。 保健福祉オンブズマンによる是正勧告や文書による申入れに対しては、区の 実施機関、民間事業者とも迅速かつ適切な対応をされ、苦情申立人が措置結果 に納得したのみならず、他の利用者へのサービスの向上改善につなげることが できたものと思われます。 今後も、保健福祉オンブズマンは、一人ひとりの苦情や不満を的確に受け止 め解決することはもとより、その声を貴重な情報資源と考え、報告書などによ り適宜公表していくことで、板橋区の保健福祉サービス向上を担っていきます。 保健福祉オンブズマン室では、より一層の福祉サービスを実現するために保 健福祉オンブズマン制度の啓発事業の一環として、広報紙やホームページの掲 載及び区の行事に参加してのパンフレットの配布などの PR 活動を積極的に実 施してきました。 また、保健福祉サービス提供事業者におかれては、保健福祉オンブズマンと 連携を図り、公表された本報告書の事例等を参考に、利用者ニーズの把握及び 1 提供サービスの質の検証など、苦情の未然の防止に取り組まれ、個別の福祉サ ービスの改善に努めていただくことにより、板橋区全体の保健福祉サービスの 水準を向上されることを期待します。 2 Ⅱ 保健福祉オンブズマンとしての活動を振り返って 「オンブズマンとしての活動を振り返って」 「オンブズマンの1年を振り返って」 岩崎 美智子 私が 2011 年 6 月にオンブズマンを拝命して 4 年が経過し、2 期目の任期が終 わろうとしています。2011 年度 3 件、2012 年度 4 件、2013 年度 3 件、2014 年度 3 件、合計 13 件のケースを担当しました。今回の退任にあたって、この 4 年間の活動を振り返ってみますと、オンブズマンの経験をさせてもらってよか った、勉強になったという感慨と、大変だった、難しかったという率直な思い とがあります。 保健福祉オンブズマンの目的は、板橋区でおこなわれている数々の保健福祉 サービスを利用している方々の権利・利益を守り、信頼に応え、サービスの一 層の充実を図ることです。具体的な仕事内容としては、苦情を聞くために申立 人と面談し、事業者(福祉施設や区役所職員)への聞き取り調査を実施し、報 告書において意見表明や是正勧告をすることです。なかでももっとも大変だっ たのは報告書の作成です。平日は、勤務の関係でほとんど時間が取れないため、 報告書執筆はもっぱら土日を使っての作業になりました。 報告書の作成がしんどかったのは、申立人の苦情内容、特に主訴や心情を理 解しているか、それに対応する法律や制度・サービスに関する知識をもってい るかが問われますし、人権意識や他者に対する誠実な態度があるかどうかが突 きつけられるからです。まさに、 「私」というひとりのオンブズマンの姿が報告 書にはまるごと出てくるわけで(と、私は思いました)、私個人の責任でその問 題に対する「解決」を試みなければならないのです。ですから、毎回、報告書 作成にあたっては、真摯に取り組みました。申立人が問題としたのは何だった のか、制度の不備か、運用の不手際か、それとも職員の態度なのか。また、私 が申立人の立場であったら、どこをちゃんと説明してほしいだろうかと、面談 や調査の記録をもとに考え、言い分のひとつひとつを確認しながら書いていき ました。その結果、13 ケースの報告書ができ上がったのですが、その出来具合 については、甚だ心もとない状況です。 13 ケースの内訳は、生活保護、障がい者福祉、児童福祉、ひとり親福祉、高 齢者福祉(介護)がいずれもほぼ同数で、バラエティに富んでいました。その なかでも、難しいと感じたのは、障がい者福祉と児童福祉の申立でした。障が い者の方の申立のなかに、生活保護費と手当との併給問題や、地域施設の利用 料の問題がありましたが、就労が困難な申立人にとっての、手当が受給できな 3 い状況や費用負担について考えさせられました。児童福祉分野の問題では、申 し立てられていた事業者(職員)の問題はほとんどない代わりに、むしろ申立 人の孤独な魂の叫びを聞いたような気がしました。おそらく彼らは、職員の対 応に不満を抱いたというよりは、自分の置かれている状況そのものに対する苛 立ちを、苦情申立という形で表現したのではないかと、いまでも思っています。 仕事に就けていないこと、ひとりで複数の子どもを育てている大変さ、子ども のことで職員から指摘(相談)されたことが自分に対する攻撃や叱責のように 受け取れたこと、など。彼らは、オンブズマンである私に対しても、鋭い目を 向け、報告書の内容に納得しませんでした。私は途方にくれました。 けれど、 「苦情を解決する」とは、どのような状態を言うのでしょうか。申立 人が苦情内容に対しての報告や意見・是正勧告に対して納得(あるいは了解) した場合にはじめて「解決」といえるのではないかと思うのですが、その検証 は困難です。 いままでの 3 年間に、年度末の感想文として、その年に学んだことや感じた ことを書いてきました。1 年目が終わっての感想文は、サービス利用者の「ヴァ ルネラビリティ」(傷つきやすさ)を理解することの必要性を、2 年目は、申立 人(相談者・受給者)と行政・施設関係者との葛藤関係を、3 年目は申立をする 理由(動機)について考察しました。それらについての考えは、いまでも変わ りませんが、「公正」とは何か、「中立」とはどのようなことかを自らに問い続 けた 4 年間でありました。 サービス利用者が申立をした理由については、制度・サービスの改善が主た る理由ですが、それだけではありません。その証拠に、職員の対応の仕方に関 する苦情が大変多いのです。傷つけられた自尊心に対する回復、第三者(オン ブズマン)による承認を求めていることを理解する必要があると思います。サ ービス利用者という他者に対する敬意、尊重を持って仕事をしているかを問い、 援助者として想像力を鍛えることも求められます。そして、いうまでもなく研 修の必要性があげられます。社会福祉の法や制度の改正・改定があいつぐ現状 において職員の制度理解はきちんとできているか、利用者に対する対応はてい ねいかつ的確かという確認は不可欠です。メンター(スーパーバイザー)とし てのベテランを配置できるかも行政に求められることです。個人の資質向上と、 組織としての研修・教育の両方が必要です。 これからは、ひとりの市民として、板橋区の保健福祉に関心をもちつつ、仕 事をしてゆきたいと思います。最後になりましたが、苦情申立によって、福祉 4 サービスの現場へと導いてくれた申立人の皆様、オンブズマンの先生方、福祉 部の皆様、そして、面談や調査に同席・同行してくださった事務局の皆様に心 よりお礼申しあげます。オンブズマン制度が、今後も板橋区の保健福祉サービ スの向上に役立つことができますよう、期待をこめて筆をおきます。 5 「オンブズマンの1年を振り返って」 安 藤 建 治 平成 24 年 6 月 1 日付にて板橋区保健福祉オンブズマンの委嘱を受け約3年 が経ちました。過去2年と比べると3年目は私の担当事件も2件と少なく、 全体の苦情申立件数も本年度は前年と比較して減少しているとのことでした。 まず、この申立件数の減少についての感想です。 私は東京弁護士会の法律相談センター運営委員会という委員会に委員とし て長年属しており委員長も経験しましたが、この数年で弁護士会が開設、運 営している法律相談センターでは一般市民の相談件数が半減している状況に あります。その原因はいろいろ考えられますが、市民の法的ニーズが減少し ているのではないことは確かであり、時間や場所、費用の点などで容易にセ ンターに辿り着いていただけていないのではないかというのが私の考えです。 それでは、オンブズマンへの苦情申立件数が減少しているのは何故でしょ うか。ここでも区民の保健福祉サービスに対する苦情自体が減少しているよ うには思えません。だとすればどのような理由で申立件数が減少したのでし ょうか。 今回私が担当した事案の一つは介護サービスを巡る苦情でしたが、介護の 分野においてはいろいろな苦情申立機関や手段が存在することが判りました。 区民にとって自らが置かれた状況においてどのような対応を取ることが最も 適切な方法であるかは難しい問題だと思います。その際、適切にアドバイス できるシステムこそが重要であり、現在各種相談窓口においても担当者の 方々によって案内やアドバイスはされていると思います。 しかし、オンブズマン制度について、区民がどの程度その存在を知ってい るかは不明であり、各種窓口で適切なアドバイスがなされなければ十分認知 されないおそれがあります。今後も、できるだけ本制度について広報し、あ るいは、各種窓口で案内、アドバイスしていただき、区民の保健福祉サービ スに対する不満をすくい上げられるよき制度になるよう努力することが必要 ではないでしょうか。 次に、ADRとの関係についての感想です。ADRとは裁判外紛争解決手 続のことをいいますが、その研究をされている大学の先生から当区のオンブ ズマン制度が大変高い評価を受けたとの話を担当職員の方からお聞きしまし た。 法的な紛争を解決する最終的、強制的制度として裁判所における訴訟制度 がありますが、一般的には時間も費用もかかるとされることから、訴訟を提 6 起する前により早く、より安く紛争を解決する手続として裁判外紛争解決制 度が創設されました。 しかし、このADRも紛争を前提とするものであり、紛争にまでは至って いないものの、当事者として保健福祉サービスに不満を抱いている人にとっ ては利用しづらい制度です。このような人にとってオンブズマン制度は非常 に有益な制度であり、板橋区の現在の制度が高く評価されているのはオンブ ズマンとしてもうれしい限りです。 最後に、私が本年度担当した事案の感想について述べます。 1件は上記したとおり介護サービスの内容についての苦情でした。区民に とって自分ないし自分の家族がどこまでの範囲で介護サービスを受けられる かは日常生活に関わる重大な問題だと思います。この制度は基準など複雑で あり、一般市民にとって判りづらい点が多々ありますのでこれからもこの分 野の苦情は増加することが予想されます。事業者や区の担当の方には利用者 が不満を持つことのないよう十分な説明をし、利用者に理解をしていただけ るような配慮が必要であると感じた事案でした。 他の1件は保育園への入園を希望している親に対する配慮が問題となる事 案でした。本件は要支援児の場合の保育園入園手続も関係するものでしたが、 配慮の足りない言動があったのは事実でしたので区の担当者の猛省を求める 結果となりました。 近時、私以外のオンブズマンもこの待機児童を巡る苦情を受けていると報 告を受けています。待機児童の問題は板橋区だけの問題ではなく、待機児童 を持つ親からはこれからも多様な不満や苦情が起きることが予想されますの で、担当者としても十分な配慮をお願いしたいと思います。 7 「平成 26 年度のオンブズマンとしての活動」 海老原 信 彦 今年度は就任2年目でしたが、私が担当した案件は2件で、いずれも福祉事 務所の対応についての苦情でした。うち1件は申立人から事情を聞いたとこ ろで取り下げられ、他の1件は調査の上是正勧告をしました。 取下げ案件は、生活保護を受給している家族が就労支援員や就労意欲喚起事 業の担当者から失礼な対応を受けたというものでした。申立人の訴えによれ ば、担当者が予断をもって話をしていることと、十分な説明が行われていな いことが感じられました。就労支援や意欲喚起事業を委託された事業所やそ の職員は、経験のある方のようでしたが、対象者には熱意が感じられなかっ たようです。この案件は、オンブズマンとして対象事業所への調査を行なっ ていませんので、軽々しく評価はできませんが、申立人の説明が事実である とすれば、それぞれの担当者の対応には反省すべき点もあったように思えま した。申立人が取り下げた理由には、オンブズマン事務局スタッフが受付段 階から丁寧に話を聞き、相談に乗ってあげたことが、申立人の不満な気持ち を和らげ、そのこと自体が一定の効果をもったという事情もあったと思いま す。受付段階で申立人の話を丁寧に聞くということの重要性を改めて感じた 事案です。 他の1件は、生活保護受給者が、就業先に自分が生活保護受給者であること を担当ケースワーカー(CW)から洩らされてしまったと苦情を申し立てた事 案でした。休職期間が経過し、退職することとなった直後に、申立人が入院手 術を受けることとなり、社会保険から生活保護への速やかな切り替えが必要と なっていたところ、申立人から退職日の確認ができなかったため、担当CWが 電話で就業先に問い合わせをした際、申立人が受給者であるという事情を告げ てしまったというものです。担当CWは100件以上を担当し多忙であること、 健康保険組合に迷惑をかけないようにしたいとの思いがあったことなどの事 情を考慮に入れても、就業先に直接問い合わせる以外の方法もあり得たと考え られる事案でした。この案件は、配慮が足りなかったという反省に終わらせる のではなく、職員の守秘義務の問題として事務所全体で受け止めて頂きたいと 考え、厳しいようですが是正勧告としました。保護受給の事実を第三者に告げ ずに事務を進めていくことが必要になる場面も出てくると思われます。今後、 福祉事務所に関わる方達が、守秘義務についてのケーススタディを行うなどし て、共通認識にして頂くことを願っています。 2件目の事案では、申立人の子どもが高校入学を控え、高等学校等就学費の 8 申請手続きを早期に取ってもらうなど援助の必要がありました。ところが、事 務所の対応に不信をもった申立人がCWの担当替えを望み、担当CWとの接点 が途切れてしまったため、福祉事務所は、所長自身が申立人に面会し謝罪して 関係改善を図りたいと強く望んでいました。オンブズマン室では、申立人にと っての解決は、職員に個人情報の重要性を再認識してもらうことだけではなく、 福祉事務所との関係を速やかに改善し、必要な援助を適切に受けてもらうこと でもあると考え、申立人と事務所職員との面談の場を設定することになりまし た。和解の仲立ちについては、私は直接かかわってはおらず、事務局職員の方 に立ち会って頂くことになりましたが、この面談によって関係の修復が図れた ようで、良かったと思います。申立人と苦情対象の事業所との関係修復に向け ての働きかけは、オンブズマンの本来的な職務ではありませんが、申立人の苦 情の解決として、対応する必要性があると感じました。 この1年間は申立に至る件数は少なかったようですが、我々オンブズマンが 対応する前段階での、オンブズマン室事務局スタッフの方の対応に御苦労も多 いものと感じています。オンブズマン室に連絡・相談をしてくる方の多くは、 他の相談窓口から紹介されて相談してくるようです。区の条例上もオンブズマ ンの職務には限りがあり、対応できない相談も多いと思われますが、事務局に おいて丁寧かつ適切に対応頂いているので、苦情相談をした区民の多くが、一 応の納得をしてくれているものと考えます。今年度私が担当した2件の事案は、 そうしたことを感じさせてくれました。 今年新たに苦情案件として担当したわけではありませんが、昨年私が担当し た事案の対象事業所の職員の方から内部告発があったようです。この事業所は、 複数回苦情申立ての対象となっています。オンブズマン制度の適用の限外の問 題がありますが、こうした事業所については、他の関係部署との連携を取りな がら、どれだけ改善がなされているかの検証ができるようにしていくことが必 要だと思います。 9 「平成 26 年度 オンブズマンの活動を振り返って」 樋田 幸恵 平成 25 年6月に板橋区保健福祉オンブズマンの委嘱を受け、本年度はオンブ ズマンの2年目になりました。本年度、担当した苦情申し立ては2件であり、 面接および調査を実施いたしました。加えて、全て児童福祉のなかでも、いわ ゆる要支援児に関連する申し立てであり、昨今の児童を取り巻く環境について 考えさせられた1年となりました。 特に、待機児童に関する申し立てについては、苦情を受け付けても、すぐに 対応できる状況を作れない案件のため、非常に心苦しい案件となりました。こ れらの根本には、保育施設が不十分であること、および、保育者の数が不十分 であるという課題が横たわっています。担当部署に苦情が集中し、萎縮してい る状況ですが、決して、担当部署のみでは、解決できない課題です。その課題 に対し、オンブズマンとして、どのように判断し、対応すべきかが難しいと感 じました。 また、コミュニケーションに特別な支援を要する方からの申し立てもありま した。申立人に充分に配慮した対応ができたか、と自問自答してみれば、申立 人からすれば、必ずしも充分ではなかったのではないかと感じています。オン ブズマンとしての面接であるものの、コミュニケーションに特別な支援が必要 とされている場合の面談の方法および解決の方法の工夫は、私自身の課題とし て、残っています。 しかしながら、オンブズマンと言えども、専門分野以外はそれほど詳しい訳 ではありませんし、コミュニケーション技術であっても、社会福祉の専門家で ある支援者ほどの技術をもっているわけではありません。制度に精通している オンブズマン室の職員のお力を借りているとはいえ、どれほど充分な面接がで きたのか、そして、中立かつ公平といえる適切な判断が下せたのかに対して不 安も残っています。年2回のオンブズマン会議において、他のオンブズマンの 先生方と協議し自分自身の判断を磨く努力および面接技法の錬磨が欠かせない と感じています。 他方で、うれしい知らせもありました。平成 25 年度に是正勧告として提出し た「要支援児の保育時間」に関する申し立て案件について、子ども・子育て支 援新制度の実施及び障害者差別解消法の施行準備と相まって、制度改正されま した。具体的には、平成 27 年4月より要支援児の保育時間が、これまでの短時 間保育から、健常児と同様の保育時間にするという制度改正です。 多くの職員のご努力を経て、制度改正につながったことは、大変素晴らしい ことです。オンブズマンには法的な力はありません。 「是正勧告」は「勧告」に 10 すぎません。しかし、この是正勧告をきっかけに、苦情のある制度内容を真摯 に検討し、関連する部署内外の調整を図り、制度改正を行っていただきました。 子ども家庭部をはじめとする関係職員の皆様、そして実践現場の皆様のご努力 に深謝申し上げます。 また、地域における民主主義という意味において、たったひとりの地域住民 の苦情が、大きな制度を動かすひとつのきっかけになったという事実は、意義 深い出来事であると考えます。申し立ては「苦情」であっても、その苦情の内 容が適切であれば、保健福祉サービスの制度改善につながることを地域住民に 示したことになります。苦情内容から、その適切さを引き出す活動がオンブズ マンです。先に述べた中立・公平な判断をいかに行うかを、今後も考えていき たいと思っています。 11 Ⅲ 保健福祉オンブズマン制度の概要 1 保健福祉オンブズマン制度とは・・・ 区民の方が、区・都・国及び民間の提供する保健福祉サービスを利用して不 満や疑問が生じた時に、保健福祉オンブズマンに苦情の申立てをされ解決を図 っていく制度です。 弁護士、大学教授等からなる4人の保健福祉オンブズマンが、利用者の苦情 申立てを受け付け、行政内部の姿勢ではなく公平中立な立場で調査を行い、必 要と判断した時にはサービス提供機関に対して意見表明やサービスの是正を勧 告しています。 2 制度の目的 区民の方々が利用される保健福祉サービスは、制度の変革等で多様化、複雑 化しています。これに伴って利用者の苦情や要望の増加が予測されます。 このような状況に対応するために、保健福祉サービスについての苦情解決を 任務とする第三者的機関を設置しています。 利用者の個別・具体的な苦情を受け、迅速に調整、解決することにより、サ ービス利用者の権利及び利益を擁護し、同時に区やサービス提供事業者に対す る区民の信頼性を高め、サービスの一層の充実を図ることを目的としています。 3 制度創設の背景 平成10年11月、板橋区保健福祉問題懇談会の答申の中で、保健福祉サー ビス苦情調整制度(保健福祉オンブズマン)の創設について提言を受けました。 これに伴い平成11年度からの3ヶ年の実施計画策定にあたり、平成13年度 実施事業として計画決定され同年7月に発足しました。 4 制度の意義 (1)保健福祉サービス利用者の権利及び利益の擁護 保健福祉サービス利用者によっては、継続的に利用する立場にあることか ら、区やサービス事業者に直接苦情を言いづらく、苦情が潜在化する場合が あります。 弱い立場におかれがちな保健福祉サービスの利用者の個別・具体的な苦情 に対応することで、利用者の権利及び利益を擁護します。 (2)第三者的機関による、公平・中立な立場での調査・判断 12 従来から区の実施機関や広聴広報課の窓口、区長への手紙が、区民の苦情 に対応していますが、この方法は、あくまでも執行機関である行政内部の対 応です。保健福祉オンブズマンは第三者機関として公平・中立な立場で調査 し、サービスの是正や改善などの意見表明をすることができます。 (3)サービスへの反映 保健福祉サービスを提供する事業者は、保健福祉オンブズマンの意見表 明・勧告を尊重し、サービス内容の改善、透明性の確保など、今後のサービ スの向上に活かすことが求められています。 利用者の苦情に適切に対応していくことにより、利用者にとっては、保健 福祉サービスに対する満足度を高めること、権利侵害に対し早期の防止対策 が講じられることなどの効果が期待できます。 一方、サービス事業者にとっては、利用者ニーズの把握や提供サービスの 質を検証することが可能となります。 5 今後の保健福祉サービスと保健福祉オンブズマン 障害者差別解消法の成立や子ども・子育て支援新制度の実施等により、これ からの保健福祉サービスの分野はきめ細やかな個別対応が要求されています。 これに伴い、ますます複雑かつ多様化する保健福祉サービスの苦情に対して 保健福祉オンブズマンがより専門的組織的に解決にあたるケースも増えてくる ことが予想されます。 6 苦情申立の方法 「苦情申立書」に必要事項を記入して、保健福祉オンブズマンに提出してい ただきます。記入の困難な方は、口頭による申立てもできます。また、点字に よる申立ても可能です。 なお、申立ては随時保健福祉オンブズマンが直接対応することを原則としま す。 7 苦情申立の範囲 (1)保健福祉サービスとは 健康づくり(保健衛生関係) ・子育て支援(児童福祉関係) ・在宅及び施設 ケアサービス(高齢者福祉関係) ・療育体制(障がい者福祉関係) ・生活保護 (低所得者福祉関係)の金銭及び物品の給付・施設への入所・処遇内容・利 用契約の締結や履行に関する事項等です。 ただし、申立ての原因となる事実のあった日から原則として1年以内のも のに限ります。 13 (2)苦情申立できない事項 ① 裁判所において係争中又は判決等のあった事項 ② 不服申立て中又は裁決若しくは決定のあった事項 ③ 議会で審議中又は審議が終了した事項 ④ オンブズマンにより苦情が解決している事項又はオンブズマンの行 為に関する事項 ⑤ 事業者の職員又は従業者の自己の勤務条件、身分等に関する事項 8 苦情解決のしくみ 14 Ⅳ 苦情受付状況 (1)内容別受付件数 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 苦情 6 5 4 4 相談 4 3 1 2 5 7 5 5 制度の問合せ 計 4 1 3 5 54 2 1 3 5 21 1 10 8 5 6 5 7 5 5 計 7 1 2 6 10 76 (2)受付方法 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 電話 9 6 来室 1 2 5 6 3 6 2 1 5 4 4 1 2 その他 計 2 5 10 1 8 5 6 5 7 5 5 7 65 10 1 10 計 1 2 6 10 76 (3)関係制度別件数 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 高齢者福祉 介護保険制度 1 1 2 2 2 計 1 2 1 1 1 1 保健衛生 13 0 障がい者福祉 1 低所得者福祉 3 児童福祉 5 1 3 1 2 1 1 2 2 3 1 1 2 1 2 1 2 1 3 1 12 1 5 23 1 1 13 ひとり親福祉 0 その他 1 2 計 10 8 1 5 6 5 7 2 1 4 1 5 5 7 2 6 2 14 10 76 (4)オンブズマンとの面談(面談実施月) 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 面談 2 1 3 0 1 1 15 0 0 0 0 1 2 計 11 Ⅴ 苦情申立て状況 (1)申立件数(申立受理月) 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 申立 2 1 2 0 1 0 0 0 0 0 1 2 計 9 (2)関係制度別件数 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 高齢者福祉 0 介護保険制度 1 保健衛生 1 0 障がい者福祉 1 低所得者福祉 児童福祉 計 1 1 2 1 1 1 2 1 5 ひとり親福祉 0 その他 0 計 2 1 2 0 1 0 (3)処理状況 0 0 0 0 1 2 9 (申立て処理分) 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 是正勧告 4月 5月 1 1 文書による申し入れ 1 2 1 計 1 1 1 7 口頭による申し入れ 0 調査の打切り 0 1 申立の取り下げ 1 その他 計 0 0 1 2 2 0 1 0 16 0 0 0 0 1 1 1 9 Ⅵ 苦情一覧及び申立てに至らなかった事例 ※ 太字表記は苦情申立てを行った事例 分 類 1 苦 立 受付日 4月1日 申 児 童 福 祉 情・相 談 内 容 他県からの転入母子世帯。姉世帯との同居 族 受付 果 方法 苦情 電話 相談 電話 問合 電話 オンブズマン室の対応及び処理 人 親 結 苦情申立て NO.1 により生計を別にしていても、児童扶養手当 の支給が認められなかった。また、子どもの いる前で過去の DV による離婚について聞か れた。 17 障 17 が い 者 福 祉 者 福 祉 2 こ4 月 1 日 う れ い 児 童 福 祉 親 族 3 月に離婚し、5 歳 2 歳 0 歳の 3 人の子ど 苦情申し立てとしての対応は時間を要す もを抱える母子世帯。二人の入園先は決まっ るため、急を要することや適切な助言を望 たが、0 歳の子どもの入園先が決まらずスマ んでいることから、保育サービス課入園事 ート保育を申請中。勤務先には、勤務開始を 務係からご本人に直接連絡をし、他の方法 待っていて貰っている。保育サービス課に確 などあれば案内するということで、了解を 認したところ、就労証明書の提出期限は 2 カ 得た。 月であり、0 歳児の入園先が決まらないと二 人の子どもも退園になってしまう。当面の生 活も困難なため、生活保護の相談中。 4月2日 3 生 活 保 護 本 人 今までは支給予定日の前日に保護費が振り オンブズマン制度について説明をし、福 込まれていたが、今月は一日遅れた。なぜな 祉事務所から改めて連絡をする事とし了解 のか。担当 CW に聞いたが、よくわからない を得た。 答えであった。 福祉事務所に支給日についての説明を依 頼する。 せ 4月3日 高 齢 福 祉 4 匿 名 本日、生きがい推進課にリフレッシュ券に 区の施策に関する事であり、オンブズマ ついて問い合わせをしたところ、リフレッシ ン制度にはなじまない内容でもあるので、 ュ券は廃止になったとの事。いきなり廃止と 区長への手紙の制度を案内した。 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 は納得できない。特別に今年度だけ何とかな らないか。 4月3日 5 生 活 保 護 昨日『保護廃止通知』が届いたが、廃止理 生活保護の廃止は、生活保護法による行 本 由が担当 CW と係長と面接した内容とは違う 政処分でありオンブズマン室では、対応で 人 内容であったので、納得がいかない。 きない旨を説明し、異議申し立てを考慮し 東京都福祉保健局生活福祉部保護課の連絡 先を伝えた。 利 用 者 6 18 18 4月4日 児 童 福 祉 本 人 保育園に入園できず、保育サービス課から 申立人の勤務開始日がせまっている事も 家庭福祉員を紹介されて面接に行った。家庭 あり、緊急を要すると判断しご本人の了解 福祉員は、子どもがぐずった姿を見て要支援 を得た上で、保育サービス課入園事務係に 児だと評価し保育サービス課に報告をし、他 連絡した。 の保育施設に情報を流したため、いずれも受 入不可となってしまった。また、保育サービ 担当係より、ご本人に謝罪しスマート保 ス課の入園事務担当者からも「 “要支援児”と 育の紹介をし納得された。との報告があっ しての申請ならば、ポイントが上がる。 」と言 た。 われた。担当者は子どもと面接をしたわけで もなく、家庭福祉員の言葉をそのまま信じ他 の施設に伝えた事は許せない。 4月4日 7 生 活 保 護 本 4 月に担当者が女性から男性に変わった。 保健福祉オンブズマン室としては、福祉 人 自分は、子どもの時に父親から虐待を受けて 事務所に連絡をし、CW を女性にして欲し いたため男性と関わる事が出来ない。今まで いという希望しか伝えられない事を話す の女性 CW は何もしてくれなかったが、この と、電話を切られてしまった。 まま男性 CW では、自分の病状が悪化するの で女性を希望する。 4 月 14 日 8 児 童 福 祉 苦情申立て No.2 苦情 電話 三年前に通園していた保育園で職員から虐 オンブズマンへの申立ては、事実発生か 苦情 電話 待を受け、就学後もその事が原因で不登校に ら 1 年以内であること(事実関係の調査が なっている。 困難) 。児童の虐待については、子ども家庭 その 来所 保育園に入所できず、家庭福祉員に申し込 本 人 みをし面接に行った。双子なので一緒に保育 して貰わないと就労できない。双子のひとり が生後 2 カ月に無呼吸だったかもしれない が、その後、別の疾病で入院した時には、呼 吸には異常はなかった。保育課から保育を断 られた。 4 月 17 日 9 児 童 福 祉 親 族 広聴広報課からの紹介。 支援センターが担当となる。オンブズマン 室では受付られない旨を広聴広報課からご 本人に伝えて貰うこととした。 19 19 4 月 23 日 10 そ の 他 本 人 膝が痛く車イスを使いたいのだが、医者が手 オンブズマン制度について説明をし、主 帳を出さない。手帳がないので食事が出来な 治医によく相談するように助言。相談する い。 際、日常生活で困ることを具体的に話した 他 方がよい事も伝えた。 5月1日 生 活 保 護 11 知 友人が生活保護の再申請をしたら、手持ち 知人に関する訴えは、オンブズマンの申 人 金があり、それを消費してから申請をしてほ 立てには該当しないが、その心配な友人に しいと言われた。福祉事務所には返還金もあ 付き添って福祉事務所に行って再度相談し り、友人は自殺願望もあるので、何とかして てみたらどうか助言した。 相談 電話 苦情 電話 あげたい。 5月2日 12 介 護 保 険 本 人 介護事業所を変更し、今日から新しいヘル パーが来たが、掃除の後が杜撰なため事業所 に苦情を言ったが相手にされない。 オンブズマン制度について説明し、 『介護 保険苦情相談室』の対応になる事を伝えた。 5月 9 日 介 護 保 険 13 5 月 12 日第 そ 三 の 者 他 ( 前 夫 ) 14 5 月 14 日 15 生 活 保 護 そ の 他 他区の住民が、板橋区内の民間施設サービ 板橋区民である事が申立ての要件である 問い スに対する苦情申立ては調査対象になるのか ことを説明し、都の福祉サービス適正化委 合わ 否か。 (他区権利擁護センターからの問合せ) 員会を案内した。 過去に自動車事故にあい入退院を繰り返し 本 人 ている。頭痛がひどいので近所のクリニック では対応できない旨を伝え、 『患者の声相談 に通院しているが、今回薬の処方箋をくれな 窓口』を紹介する。1 時間後、再度電話があ かった り、対応して貰えなかった。との事。 生活保護の担当者や専門員の対応について 本 人 医療に関する事なのでオンブズマン制度 苦情申立て No.3 電話 せ 相談 電話 相談 電話 相談 電話 相談 来所 相談 来所 度々失礼な発言があり、話し合いをしたいと 申し出ても放置されている。ようやく話し合 取り下げ いをする事になったが、わかってもらえない。 5 月 15 日 20 20 16 5 月 19 日 17 特別養護老人ホームに入居している叔母の 介 護 保 険 家 生 活 保 護 本 族 認知症の症状が進み、施設から退園を迫られ 明し紹介した。 ている。行き場がないので困っている。 昨年 11 月まで生活保護を受給していたが、 人 区の『介護保険苦情相談室』について説 返還金の決定は、実施機関の行政処分の 埼玉県に転居して生活保護は廃止になった。 決定であるため、オンブズマンが関与でき 生活保護を廃止しても、過去の返還金は返さ ない旨を説明し、返還金の残額や返還方法 ないといけないのか。 などを実施機関に相談してみたらどうか助 言した。 5 月 23 日 18 障 が い 者 福 祉 障がいを持つ子どものヘルパーが、母親で 本 人 ある自分の胸を触ったりテーブルの下で足を 触ったりする。また、介護用の手袋の代金を 不正請求する。ヘルパーと事業所から謝罪が 欲しい。 本人から事業所への連絡の可否について 了解を得たので、事業所に確認をする。 事業所から、本人宅に訪問し、話をする との事。 (5 月 27 日に訪問予定。) 4 月 4 日にオンブズマン室に相談をし (№6)、 苦情申立て No.4 6月2日 高 児 齢 童 者 福 福 祉 祉 19 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 相談 電話 その後、保育サービス課よりスマート保育等 家 族 を紹介されたが入園できなかった。4 月の区 長の手紙の返信内容も納得出来ず、また、家 庭福祉員が『多動性がある』と指摘した事に より、入園相談の際に、個人情報の不適切な 利用があったと考えられる。 6月 12 日 20 障 が い 者 福 祉 息子は障がい者施設に通所しているが、制 家 族 苦情申立て No.5 度が変わり広報では利用料について無料と記 載されていたにもかかわらず利用料を徴収し ていた。施設は参加費だと説明したが、参加 費と利用料の違いがわからない。 6 月 23 日 21 21 21 6 月 25 日 22 介 護 保 険 介 護 保 険 本 人 デイサービスを利用しているが、デイサー ビスの職員から不愉快な事を言われ我慢がで 介護保険に関する内容なので、介護保険 苦情相談室の説明をし紹介した。 きない。 叔母は、特別養護老人ホームに入所してい 5 月にも相談のあった案件(No.16) るが、入所時に施設からは最後まで看取る。 再度オンブズマン制度について説明した。 家 という事であったが、ここにきて叔母の状態 本人の了解のもと、オンブズマン室から、 族 が悪化し退所を迫られ、老健を勧められた。 介護保険苦情相談室に連絡をしたところ、 自分たちには面倒をみる余裕もなく叔母には 相談室へも相談しているとのことであっ 戻る場所がない。どうしたらよいか。 た。 6 月 27 日 23 児 童 福 祉 子どもを預けている保育園で、他の子どもに 本人の了解を得た上で保育課に状況確認 対して危険な言動をしている保護者がいる。 を行った。 本 子どもや他の保護者に危険が及ばないように これまでの経過から総合的に勘案し、保健 人 保育園や区長の手紙を出しているが、園では 福祉の苦情には該当しないと判断し、その 対応出来ない部分もあるので、オンブズマン 旨を本人に伝えた。 相談 電話 苦情 電話 苦情 電話 相談 電話 に是正を訴えたい。 7月3日 24 7 月 14 日 25 22 22 生 活 保 護 生 活 保 護 自分は他の区に住んでいるが、板橋区で知人 オンブズマン制度について説明し、本人 本 が生活保護費を不正受給している。板橋区の は区民でないので申立てはできない事、生 人 福祉事務所に問い合わせたが、その対応に納 活保護費の不正受給については、保健福祉 得がいかない。 の苦情には該当しないことを伝えた。 本 人 住んでいるアパートに泥棒が入り、友人宅に オンブズマン制度について説明する。 身を寄せているが、いつまでも居るわけには まずは居住地の確保が重要なので、住宅更 行かない。アパートの契約更新が迫っている。 新も含めて、再度担当者に相談するよう助 福祉事務所の担当者や上司に相談をしている 言した。 が、親身になってくれない。 7 月 16 日 26 介 護 保 険 母は都外の特別養護老人ホームに入所してい 本 人 オンブズマン制度について説明し、裁判 る。入所の際、相談員から暴言を何度もはか に関係する案件は取り扱えない旨を伝え れ念書まで書かされた。母を退所させ自分で た。 介護をしていたが、自分が体調を崩し、母を 再度同じ施設に入所させた。最初の相談員の 態度について、今日の法律相談で、民事裁判 の相談をする事になっている。 7 月 18 日 27 障 が い 者 子どもたち二人は他県の児童施設で生活をし 家 族 苦情申立て No.6 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 相談 来所 苦情 電話 ている。二人とも発達障がい児であるが、二 男は放課後デイサービスを利用している。知 的障がいでも身体障がいでも無いので、その デイサービスをやめさせたい。福祉事務所で は、何度も取りやめの相談をしているがその ままである。オンブズマンに申立てをしたい。 7 月 22 日 高 齢 福 祉 28 家 族 認知症の母は、サービス付き高齢者向け住 オンブズマン制度について説明をする。 宅に入居しているが、家族や本人の了解もな 介護保険苦情相談室に電話をしたらオンブ く、母の写真が施設の広告に載せられている。 ズマン室を紹介された。 広告の内容も、実際とは大幅に違っている誇 大広告である。 7 月 28 日 23 23 29 介 護 保 険 家 族 誇大広告や写真の使用について、消費者 センターに相談してみる。との事。 家族の特別養護老人ホームの入居申請をし 保健福祉オンブズマン制度について説明 たところ、施設職員から入所に関する内規に をし、オンブズマン制度の適応外であるこ より入居は出来ないと言われた。その内規に とを納得してもらう。 ついて、介護保険課及び区政情報課に公開を 求めたが公開不可との回答であった。 8月1日 30 生 活 保 護 求職活動をしているが、福祉事務所から就 担当係長に訴えたいのであれば、オンブ 本 労活動促進費が支給されない。担当係長に訴 ズマン室から担当係長に連絡をとり、面談 人 える機会がないので、申立てをしたい。 日程を調整することで、申立てに至らない こととなった。 8 月 11 日 31 生 活 保 護 自分は、薬物依存症であるが、担当 CW か 本 人 オンブズマン制度について説明をし、申 ら施設に入所しないと保護費を支給しないと 立てからオンブズマンの見解通知まで 45 言われた。区の窓口でオンブズマン室を紹介 日かかる事から、保護費の支給について担 された。 当係長に相談するように話をし、こちらか らも、担当係長に連絡をすることとした。 32 用 そ8 月 害 12 日者 が 障 の お い が い 他 者 者 福 祉 8 月 21 日 33 本 人 障がい者の 24 時間ヘルプサービスを担当 適正なヘルプサービスの提供及び事業所 し午後 11 時から翌日の午前 11 時までの 12 の対応については、支給決定をしている福 時間勤務である。この間のサービス内容に疑 祉事務所の障がい者支援係に相談し、事業 問をもち事業所の責任者に相談したところ、 所の労働に関する行為については、労働基 身分を格下げされ、退職を勧告された。 準監督署の対応であることを助言した。 自分も娘たちも区外に在住している。認知 オンブズマン制度の利用対象は、板橋区 症の夫は要介護3であり、特別養護老人ホー 民が前提である事を説明し、現在住んでい ムの入居申請をしているが、家族が疾病の治 る区の福祉サービス権利擁護支援室を紹介 家 療により介護が出来なくなり、板橋区内の介 した。 族 護有料老人ホームに一時的に入居した。有料 介 護 保 険 苦情 来所 苦情 電話 苦情 電話 相談 電話 老人ホームでの夫の介護の仕方に不満があ り、ケアマネに相談したがきちんと対応して くれない。 24 24 8 月 28 日 34 介 護 保 険 本 人 自分は要介護2の判定を受けているが、平 オンブズマン制度について説明し、介護 成 25 年 12 月に、おとしより相談センターか 保険に関する内容なので、介護保険苦情相 らヘルパー派遣を切られてしまった。一人暮 談室を紹介するが拒否する。 らしなので家の中は整理がつかず困ってい 苦情申し立てをしたいと強く希望した。 る。 9 月 8 日、本人に電話連絡をしたところ、 8 月 22 日よりヘルパー派遣が再開されたの で申立てはしないとの事であった。 9月1日 35 児 童 福 祉 家 族 区立保育園の保育士の保育に対する思いが 強い気がする。 オンブズマン制度について説明したとこ ろ、大げさにする気はないので直接園長に 話すとの事であった。 9月3日 36 児 童 福 祉 本 人 先月末に板橋区に転入してきた。今月から オンブズマン制度について説明し、主訴 働かなければならず、保育サービス課に相談 について確認をする。保育の内容ではなく し認証保育所を紹介された。その認証保育所 契約時の金銭に関する事であったので、介 に行き、その場で契約をし、入会金と保証金 入できない旨を伝える。消費者センターに を支払ったが保育料が高いので入園を断っ 相談をしてみるとの事。 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 た。園では、保証金は返すが入会金は返金し ないと言われた。入会金が返還されない理由 について園長に説明を求めても会ってもらえ ない。 9月8日 そ 生 の 活 他 保 護 37 家 族 25 25 精神疾患を抱えている息子がお世話になっ かなり興奮していて、1 時間以上大きな声 ている福祉事務所に、お礼を兼ねて電話をし で話し、こちらの説明を聞き入れる余裕は ているものの、担当者は居留守を使い課長や なかった。オンブズマンへ苦情申立ての意 係長も居留守を使って話が出来ない。 思確認をしたところ、そんなことはする気 がない。と言って電話を切られてしまった。 9 月 10 日 38 生 活 保 護 平成 18 年頃から息子と二人で生活保護を 本 人 オンブズマンに申立てできる内容の時期 受給していたが、平成 20 年に自宅の売却と交 が 1 年以上も前の出来ごとであるので、苦 通事故の示談金により生活保護は廃止になっ 情申立ての対象外であること。また、自宅 た。自分はその後、老人ホームに入居してい の売却指導については、生活保護法による たが、23 年に老人ホームを退去し現在、息子 補足性の原理によるものであること、示談 と一緒に暮らしている。息子は生活保護を受 金は収入となることから生活保護の継続に けている。自分は未だに、売却指導をした担 ついて要否判定をした上で判断をしてい 当者に納得がいかない。 る。担当者の責任ではないという事を解り 易く説明をした。 9 月 19 日 39 低 所 得 者 福 祉 本 人 自分は国保に加入しているが、国保料を滞納 特診券についての対応は出来ない事を伝 しているため、医療機関に受診することがで え、オンブズマン室から福祉事務所の相談 きない。以前、体調が悪くなった時に、福祉 係に、再度相談にのって欲しい旨を伝える 事務所に相談したら特診券を支給してもらっ 事とし、納得した。 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 て受信する事が出来た。今日、胃が痛くなり 福祉事務所に相談したが、対応して貰えなか った。 オンブズマン室で特診券の対応をして欲し い。 9 月 24 日 40 認知症の母のデイサービスの利用料を 3 カ 家 族 26 26 高 齢 福 祉 9 月 29 日 41 10 月 7 日 42 障 が い 者 福 祉 そ の 他 月分滞納していると事業所から連絡があった 翌 25 日に本人より電話連絡あり、本日おと が、すぐに払える金額では無かった。その後 しより保健福祉センターで事業所と話を に娘の所にも、この事業所から同じ電話があ し、今後デイサービスを利用しながら滞納 った。この件について第三者の意見を聴きた 分を払っていくことになった。申立てはし い。 ない。とのこと。 息子が通所している施設が閉鎖されること 家 族 本 人 介護保険苦情相談室を紹介する。 現在、区長あての要望書を提出し、担当 になったが、利用者や家族に何の説明がない。 部署も供覧中であり回答の出ていない事案 施設との話し合いの場を設けて欲しいと、担 に対しては、苦情として受け付けるのは適 当部署に訴えているが、区長あての要望書も 当ではないことを伝え、申立てを諦めて頂 供覧中との回答であった。 いた。 国民健康保険料を滞納していたので、国保 国保年金課の職員に対する苦情なので、 の窓口で現在の状況を話し納付相談をし、分 保健福祉の苦情に該当するか否か、検討し 割で返納することになった。しかし、約束の てから返事をする事とした。 金額以上の金額が引き落とされていて、国保 翌日、今回の苦情は『金銭の徴収』に関す に連絡をしたところ、滞納分と現年度分が引 る内容でもあるため、保健福祉サービスに き落とされていることがわかったが、国保か は該当しない事を説明した。 らは何の通知も送付されていない。 10 月 21 日 43 そ の 他 本 人 自分は精神障害で、リハビリを兼ねて働い 民間事業所における労働問題と思われる ている。最近、職場に女性の新しいスタッフ ので、保健福祉サービスには該当しないた が入り、メンバーの一人と仲良くしている。 め、東京都労働基準監督署の板橋区管轄の 苦情 電話 苦情 電話 相談 電話 相談 電話 その女性は、結婚することになっているのに、 事務所を紹介した。 職場のスタッフとベタベタとし、自分には仕 事を回してくれない。上司に相談しても相手 にされない。何とかして欲しい。 10 月 27 日 44 10 月上旪に他県に転居した。自立支援通院 本 人 本人の了解のもと、担当の健康福祉セン 助成の受給者証の住所変更の手続きをした ターに確認をしたところ、提出書類は 10 月 が、変更した受給者証がまだ転居先に届かな 24 日に郵送しているとの事。土日を挟んで い。提出した診断書や申請書などの個人情報 いるので遅れているのかもしれないので、 が記載された書類を紛失された。 郵便局に確認し、担当係長から、ご本人に お詫びと現状の報告をする予定であるとの 27 27 障 が い 者 福 祉 事。 10 月 28 日 45 生 活 保 護 そ の 他 隣人は生活保護を受給しているが、一日お 保健福祉オンブズマン制度について説明 きに内縁の夫がきたり、同居の弟は働いてい し、隣人に関する訴えはオンブズマン制度 る。半年前に福祉事務所に話したが、その後 の対象にならない事を伝え納得して頂い 訪問した様子もなく、保護係長も個人情報と た。 いう事で対応してくれない。 10 月 29 日 46 障 が い 者 福 祉 本 人 平成 22 年度に申立てをした、通所施設の職員 既に苦情が解決している事項は、受付出 の対応について、未だに納得がいかないので 来ない旨を話すが納得せず、話を続ける中 再度申立てをしたい。生活保護を受けていて、 で他区の通所先に相談をしてみたらどう 眠れないので飲酒しているが、うつ病は次第 によくなっている。家の近くに、他区になる が通所施設がある。 か、提案したところすんなりと受け入れた。 11 月 4 日 47 介 護 保 険 母が介護付き有料老人ホームに(特定施設 介護保険に関する苦情であるので、まず 入居者生活介護)入居していたが、施設で蓐 は介護保険苦情相談室を紹介し、肉体的・ 家 瘡が出来てしまい、現在入院治療中である。 身体的負担に対する賠償を要求するのであ 族 施設が過ちを認め治療費や入居費は施設が負 れば、法律相談の窓口での対応になること 担したが、母は要介護3で寝たきり状態であ を説明した。 相談 電話 相談 電話 苦情 電話 る。すでに施設を退所し、今後は介護療養型 医療施設に転院する予定であるが、施設側は 本人や家族の肉体的・身体的負担をどう考え ているのか。何らかのペナルティーを科した い。 11 月 6 日 48 28 28 そ の 他 家 族 父が脳卒中で救急病院に運ばれ、その後、 医療行為に関する内容なので、オンブズ 介護療養型医療施設に入所した。救急で運ば マン制度には該当しない旨を説明し、東京 れた時は、医師から病状の説明や同意書を書 都の患者の声相談窓口に相談したらどうか かされたが、現在の施設では、寝たきり状態 助言した。何度も電話をしているが、なか で認知症の症状も出ているが、医師からの何 なか繋がらないとの事であった。 の説明もなく放置されているようだ。 11 月 11 日 49 生 活 保 護 母は要介護5で、一昨年ディサービスの宿 家 族 オンブズマン制度について説明する。 泊中に施設のミスによりベッドから転倒し、 ご本人は、仕事の都合で土曜日の面接を希 救急搬送されたが区内の病院は満床で区外の 望された。事務局及びオンブズマンと土曜 病院に入院することになった。その時に、区 日の面談について検討させて欲しい旨伝え 外の病院から病院の所在地の福祉事務所で生 た。 活保護を受ける事が出来た。昨年、区内の病 院に転院したので、区内の福祉事務所で生活 後日改めて、土曜日の対応については難 保護を受けられないか相談に行ったが、職員 しい事をご本人に連絡し了承して頂いた。 の対応がひどかった。また、近々、母を引き 取らなければならず、転居予定である。 50 11 月 12 日 児 童 福 祉 保育園の入園申し込みの件でわからない事 本 人 があり、福祉事務所に相談に行ったが担当者 ご本人はオンブズマンに申立てをする気 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 はなく、 『嫌な思いをしたこと。他の人のた から、 「パンフレットを読めばわかるだろう。」 めにも、こういう苦情があった。 』という事 「わざわざ来なくても電話ですむだろう」と を担当部署に早く伝えて、職員の指導をし 言われた。自分だけでなく、どの親も保育園 て欲しい。という意向であったのでご本人 の入園については必死になっているのだか の了解のもと福祉事務所に連絡をする。福 ら、その辺の気持ちを理解して、もう尐し丁 祉事務所では、その時期は保育サービス課 寧な対応をして欲しい。 が出張受付に来ていた。との事であり、改 めて保育サービス課に今回の苦情について 伝えた。 51 29 29 11 月 27 日 生 活 保 護 主治医の指示で妻の補装具の購入につい 家 族 て、事前に生活保護の担当者に相談をしたが 担当者とは連絡がつかず、緊急を要したため オンブズマンが支給の可否を決定するこ とはできない旨を説明する。 ご本人は購入した費用を医療扶助で出し に購入した。 て欲しいという主訴であったので、東京都 担当者や係長からは、既に購入済みの物の代 保健福祉局生活福祉部保護課の連絡先を伝 金は保険適用除外でもあり、支給しないと言 えた。 われた。病院の医療相談室で相談をしたとこ ろ、支給可能であることがわかった。事前に 相談の電話をしたのにもかかわらず、また調 べもしないで支給出来ない。と一点張りなの は納得できない。支給して欲しい。 52 12 月 3 日 高 齢 福 祉 本 人 年始の 1 月 5 日にいこいの家の入浴サービ オンブズマン制度について説明し、担当 スが利用できないのはおかしい。自宅にお風 部署の生きがい推進課管理係を紹介した。 呂の無い人間にとって 10 日間も入浴できな いのは困る。区民の事を考えて欲しい。 53 12 月 8 日 障 が い 者 福 祉 他区の障がい者施設に通所している方が、 施 設 職 員 申し立て人は区外の施設職員であるた 都外施設に入所が決まり、通所先の施設職員 め、オンブズマン制度の申し立て人に該当 が同行することになった。ご本人の実施機関 しない旨を伝え、納得して頂いた。 の福祉事務所に、同行職員の交通費や日当に 代替え案として、区長への手紙を案内した。 苦情 FAX 相談 来所 苦情 電話 ついて相談をしたところ、一方的に「不正受 給」だと、攻撃的な口調の暴言でいろいろ言 われた。この暴言や態度は、窓口の対応とし て、社会人、公務員のモラルを逸脱している。 苦情を申し立てたい。 54 30 30 12 月 8 日 障 が い 者 福 祉 本 人 肢体不自由で電動車いすを使用し外出して 駐輪場の利用についての問い合わせであ いる。障がいの状態で大型の電動車いすのた り、具体的な保健福祉に関する内容ではな め、 かったが、ご本人が障がい者であり社会参 公共交通機関の利用は出来ず、区営駐輪場に 加・生活に関係しているため、駐輪場の担 車いすを駐車し、杖を使って移動している。 当部署に連絡を入れ、直接担当係長からご 今回、駐輪場の利用について 3 月末までと 言われた。10 月に契約更新した時には何も言 本人に説明を依頼した。 また、この案件はバリアフリー計画に関 われず、理由を聞いてもわからないとのこと。 する内容でもあり、障がい者福祉課長に報 4 月から駐輪場が使えなくなれば、外出出来 告した。 なくなる。どこに相談してよいのかわからず 困っている。 55 12 月 15 日 そ の 他 精神保健福祉手帳 2 級を持っているが、仕 苦情の対象は保健福祉サービスであると 本 事は一般採用で 8 月から 11 月まで正規職員と 説明し、今回の苦情には対応出来ないこと 人 して勤務していたが、勤務条件の違いやパワ を伝えた。再度、主治医に相談するように ハラにより退職に追い込まれた。主治医に相 助言した。 談したが、労働基準監督署に行くのは、病状 から判断して勧められない、と言われた。 56 12 月 15 日 そ の 他 本 人 平成 17 年 7 月分の調剤費 7 割保険者負担 医療費の返還請求事務については、保健 分の請求が健康保険組合から来た。当時職場 福祉サービスに該当しがたい。請求先の健 を退職し国保に加入していた。医療費の請求 康保険組合に、現在生活保護受給中で払え はなかった。健康保険組合に連絡をしたら、 ない旨を話して、減免等の取り扱いを受け 今まで何度も通知を出していたと言われが、 たらどうか。それでも支払わなければなら 通知を受け取ったのは今回が初めてである。 ないようであれば、再度担当 CW に相談を 現在、生活保護を受けているので担当者に相 してみたらどうかと助言した。 苦情 電話 苦情 電話 問合 電話 談したが、生保受給前のことなので対応出来 ない。区民相談に行ったらどうかと言われ、 行ったらオンブズマン室を紹介された。 57 31 31 12 月 24 日 生 活 保 護 今年の 4 月に担当者が男性から女性に代わ 本 人 った。何かにつけて嫌みを言う。今回、明日 苦情申立てから、意見表明まで 45 日かか る事を説明する。 の保護費の支給を自分だけ年が明けた 1 月 6 支払日が明日ということなので、事務局 日にすると言われた。自分は、障害者基礎年 から福祉事務所の担当係長にご本人の意向 金を今月 15 日に受給しているが、年金と保護 を伝えてよいか、了解を得る。担当係長か 費は別であり、年金のお金は支払いやその他 らご本人に連絡をするよう依頼した。 で使う予定である。 58 59 12 月 25 日 1 月 23 日 そ の 他 障 が い 者 福 祉 本 人 大学で高齢社会について研究している。ま 高齢者だけの問題ではなく、保健福祉オ ず苦情対応について知りたいため、東京都福 ンブズマン制度一般について知りたいとい 祉サービス運営適正委員会に問い合わせたと う事であった。日にちを設定して説明をさ ころ板橋区を紹介された。 せて頂く事とした。 東京都福祉保健局から、難病の治療費の自 東京都の担当課に問い合わせたかどうか 本 己負担金が H27.1.1 から 5000 円になるとい 確認をしたところ「病院に相談すれば減額 人 う通知を受け取った。納得できないので『障 になるかもしれない」と言われたとの事だ がい者のしおり』を見て電話した。通知書に ったので、通院先の医療ソーシャルワーカ は、不服申立ては 60 日以内と記載されてい ーに相談したらどうか助言した。 る。 せ 相談 電話 60 1 月 26 日 障 が い 者 福 祉 家 族 息子は 2 年半前から精神障がい者のグルー 施設の利用は、本人の意思が尊重される プホームに入居したいたが、昨年秋に別のグ ものであり、変更出来ないことはないはず ループホームに転居した。しかし、未だに前 である。精神障がい者の支援については、 に入居していたグルームホームの通所訓練を 健康福祉センターの地区担当保健師が主に 利用している。息子が退所を申し出ても所長 なるので、再度保健師にじっくり相談をし が認めてくれない。健康福祉センターの保健 たらどうかと助言した。 相談 電話 相談 電話 苦情 電話 師に相談しても曖昧な回答である。 61 障 が い 者 福 祉 本 人 32 32 2月2日 62 2月3日 生 活 保 護 身体障害者手帳 1 種 2 級を所持している。 支援計画の作成者が区から事業所に変更 現在サービスを利用しているが、4 月から自 になっても、ご本人の自立を支援するとい 立支援計画を指定特定相談支援事業者が作成 う根本はかわらない。ヘルパー支援の支給 することになった。今後、本人の意思に関係 時間に変更が生じるような場合は、その理 なく計画が進められ支給時間も減らされそう 由を尋ねたらどうかと助言した。ご本人は そうなので第三者の意見を聞きたい。 納得したようであった。 介護保険要支援2の判定を受けている。明 本 人 明日の事なので、本人の了解のもと福祉 日、他県の病院に通院予定だがヘルパーを派 事務所の担当係長に連絡する。 遣して貰えない。生活保護の担当者に相談を ご本人には、担当係長から連絡があるので しても聞いてくれない。 待っていて欲しい事を伝える。 63 2 月 12 日 生 活 保 護 勤務中に肩を負傷し労災適用で手術を受け 本 人 苦情申立て №7 苦情 電話 相談 電話 た。療養中に反対側の肩も手術が必要になり 手術を受けた。社会保険と生活保護の医療扶 助との併用であったが、今回は社会保険を一 時的にやめる予定でいた。生活保護の担当者 に、生活保護を受給している事を就労先には 知らせないで欲しいと話していたにも拘わら ず、担当者の方から知らせてしまった。その ため会社からは「生活保護だから働かなくて よいだろう」と言われ、結局退職届を出すこと になった。開始の時から、会社には知らせな いで欲しいと言っていたのに、なぜ知らせて しまったのか。個人情報を簡単に漏らしてし 33 33 まう事に納得がいかない。担当係長に話して も何の謝罪もない。精神的にも落ち込んでい る。 64 2 月 12 日 生 活 保 護 自分は、重度の障がい者で家族で生活保護 本 人 オンブズマン制度について説明した。 を受けながら生活をしている。いつかは、親 ご本人の話だけでなく、そばに同居されて から離れて家を出て自立した生活を送りたい いるお母様がいらしたので、お母様からも と思っている。そのために、担当ケースワー 話を聞いたところ、福祉事務所の保護係と カーに世帯分離について相談するが、どうも 障がい者支援係との間での話し合いが不十 自分の聞きたい事が伝わらず、違う話をされ 分なようなので、まずは保護係に連絡をし てしまう。障がい者支援係は施設に入れとい て保護から支援係との調整をお願いしても う。自分は地域で生活したいのに施設だと言 よいか、ご本人に確認をした。 われても困る。 65 2 月 16 日 児 童 福 祉 保育課から子どもの保育園入所不承諾書が 本 人 苦情申立て №9 苦情 電話 苦情 電話 苦情 電話 届いた。自分が障がい者にもかかわらず、不 承諾が納得できない。 障がい者の権利を侵害しているのではない か。通知書には、一ヶ月後に 2 次審査がある と記載があり、それまでに何とか入所できる ように働きかけたい。 66 障 が い 者 福 祉 平成 13 年 2 月から障がい者手帳をもってい 本 人 オンブズマン制度について説明し、事実 る。最初は 1 級だったが、現在は 3 級である。 が一年以上も前のことなので、申し立て事 20 年ころに、区の窓口で障がい者年金の申請 案に該当しない旨伝えた。 をしたが初診時(小 4 の時)の診断書を提出す るように言われたが、その病院は既になく、 34 34 2 月 17 日 次の病院の診断書を提出したが、区の職員は パソコンで調べて請求手続きは出来ないと言 われた。精神障害者 3 級だったと思うが、こ の事が長い間、心の中でわだかまっている。 67 3月2日 そ の 他 孫は数年前に不登校になり、孫の母親も精 オンブズマン制度について説明をし、学 家 神的に参ってしまい PTSD の診断を受けた。 校に関する内容は、この制度に該当しない 族 区長への手紙を何度も出したが、 『教育委員会 も全面的にサポートします。』と同じ返事であ るが何もしていない。議員や弁護士にも相談 したが何の解決にもなっていない。 旨を伝える。 68 3月2日 生 活 保 護 本 人 生活保護を受けながら、パートで就労して ご本人は、必要経費の内容について知り いるが、必要経費について福祉事務所の担当 たいと主張し認めてもらうために電話をし 者に聞いても説明もされず『認めません』と たと言っていた。どういう場合なら認めて 言うだけである。具体的に教えて欲しい。 もらえるのかを東京都の保護課保護係に問 相談 電話 相談 電話 苦情 電話 い合わせるとよいのではないか助言した。 69 3月3日 そ の 他 厚生労働省に電話をしたら、オンブズマン 本 人 DV 加害者からの相談は、オンブズマン制 室を紹介された。健康福祉センターの係長た 度では対応出来ない事を伝えると、大きな ちは、私の女を取った。DV で囲ってしまっ 声でバカヤロー、ふざけるな、などの暴言 た。何とか話し合いをしたいと係長に頼んだ を吐いて電話を切ってしまった。 が断られた。 70 35 35 3月6日 介 護 保 険 母は要介護1で通院介助のサービスを利用 家 族 している。生活援助サービスを希望したが、 同居の家族がいるという理由で断られた。長 男の自分は両親とは別世帯で二世帯住宅の一 階部分に住んでいる。他区に住む友人は父親 と同居をしているが、生活援助サービスが入 っている。何度かケアマネや地域包括にも相 談したが、自分が同居の家族とみなされ認め て貰えなっかった。介護保険課にも相談をし た。介護保険苦情相談室に相談をしたら、話 を聞いて貰い、オンブズマン室を紹介された。 他区の友人のところが同居でも認められて いるサービスが、自分のところが駄目なのが 納得できない。 苦情申立て №8 71 3 月 17 日 生 活 保 護 そ の 他 自分の管理しているアパートに生活保護の 苦情申立人の資格として、不動産管理業 受給者が 2 世帯住んでいるが、そのうちの一 者は第三者になるため対象外である事を説 世帯が毎晩酔っぱらって大声で騒いでいる。 明した。 もう一世帯の方に危害を加えそうで心配であ 生活保護を受けている本人からの相談で る。福祉事務所の担当者に転居の相談をした あれば、苦情申立てとして受け付けられる が転居費は出せないと言われた。警察にも相 ことを話すと納得した。 談に行ったが、オンブズマン室を紹介された。 72 3 月 18 日 生 活 保 護 本 人 自分は脳梗塞とうつ病で調子が悪い。以前 ご本人はかなり混乱している様子がうか に生活保護を受けていた時の返還金を毎月返 がわれたので、制度の説明はやめて、ひと している。生活が苦しく通院もままならない。 つひとつ整理して話をした。 福祉事務所に相談に行ったが、対応がひど かったので持っていた杖を振り回してしまっ 36 36 た。また、障がい者福祉センターの職員から 以下の三点について助言した。 1.生活については、再度福祉事務所に相 談する。 身体障害者手帳の申請を勧められたが、病院 2.手帳の結果が納得いかなければ、東京 では状態が悪いといっていたが、手帳の判定 都心身障がい者福祉センターに問い合 は 5 級か 6 級と言われた。病院までタクシー わせをする。 で通院しているが交通費がかかるので近くの 病院に変えたいが主治医が認めてくれない。 3.転院については、病院の医療相談室で 相談をする。 もうどうしていいかわからない。死んでし まいたい。 尐し安心したようであった。 73 障 が い 者 福 祉 夫は高次脳機能障害で障がい者支援施設に 家 族 37 37 3 月 19 日 74 3 月 23 日 そ の 他 入所している。今年に入って職員に対する迷 オンブズマンが必要と認めるときは、区民 惑行為で始末書を書かされた。施設からは数 が区外で受ける保健福祉サービスについて 年前から何回かにわたって迷惑行為を受けて も申立てが出来ることとなっている。 おり、当時のケース記録を見せられた。夫に ご本人への即答は避け、オンブズマンに 電話で確認したが、夫は否定している。一方 相談をした。この事案については入所者の 的に、始末書を書かされたのは不当である。 迷惑行為に対する施設側の対応というもの 近々、夫に会ってじかに事実関係を確認した で、保健福祉サービスに当らない民事上の いと思っている。施設は区外だが、夫も板橋 トラブルではないか。また、申立てを受理 区民でもあるのでオンブズマンに訴えた。事 しても、事実関係の調査に証人を呼ぶなど 前に夫の入所施設の所在地にある保健福祉サ の権限もないうえ、意見書に強制力もなく、 ービス苦情審査会に問い合わせたところ、板 事実関係の確認が難しいのではないか。と 橋区民であれば、板橋区に申し出るべきだと の意見であったので、その旨をご本人に伝 言われた。 えると納得をされた。 息子は板橋区内の病院に障がい者枠で働い 家 族 保健福祉オンブズマン条例第 7 条により、 苦情 オンブズマン室に相談に来られる前に ていたが、うまく挨拶が出来なかったという も、数か所で苦情相談をしたが、医療行為・ 事を注意された事がきっかけで興奮状態にな 息子の人権についての対応に納得のいく内 り暴れてしまい、その病院に入院することに 容ではなかったとの事であった。 なり、母親である自分が上京した。その病院 まず、保健福祉オンブズマン制度につい は高齢者専門のため、近くの都立病院に転院 て説明をしたところ、ご本人も相談先はオ したが転院先の担当医師の対応に疑問を感じ ンブズマンではないと充分理解されてい ている。息子は発達障がいであり、大学生の た。 時にも、就職活動がうまくいかずに混乱し精 話をお聞きする中で、やはり息子さんの 神科の病院に入院している。障がい者福祉課 今後の生活に不安を持っていらっしゃる事 に相談に行ったところオンブズマン室を勧め が確認されたので、具体的な相談先として られた。 都立精神保健福祉センター、患者の声相談 窓口、人権擁護委員会を紹介した。 相談 電話 来所 75 3 月 25 日 生 活 保 護 妻と二人で生活保護を受けて生活をしてい 本 人 苦情の申し立てをする意思はないとの事 たが、今月上旪に妻が亡くなり単身になった。 なので、担当ケースワーカーによく相談す 自分は車いすの生活であり、室内は伝い歩 るように、助言した。 きで移動している。洋式トイレ、バス付きで ないと生活が出来ない。病気の原因が不明の ため、近々検査入院の予定である。 生活保護の担当ケースワーカーからは、 53,700 円の単身基準のアパートに転居する ように言われている。何カ所か不動産屋をあ たったが、物件が見つからない。苦情を申し 立てる気はないが、今後の住まいに困って便 利帳をみて電話をした。 38 38 76 3 月 26 日 児 童 福 祉 本 人 私立保育園の近くの公園で、4 歳か 5 歳く この内容が、申立人の個別具体的に受け らいの子どもが遊具から落下し、意識が混沌 た保健福祉サービスに該当するか否か微妙 とした状態であった。近くにいた医師夫婦が であり、保育サービス課の今後の対応を見 救急隊を呼び応急処置をするため、わが子を 守ることも必要かと話したところ、ご本人 預け先である私立保育園に一時的に見てもら は、こういう事があったことを知っておい うようお願いし預けたが、しばらくすると担 てほしいという意向であった。 当保育士から、上司に相談をしたら時間外な ので預れないと子どもを返しに来た。緊急事 態であることを保育園は知っているにも関わ らず形式的で冷たい対応である。この件につ いて保育サービス課に伝えたら、この園に緊 急時の対応手順や研修を徹底し指導するとの 回答であった。当園の第三者機関に相談をし たところオンブズマン室を紹介された。 相談 電話 Ⅶ 苦情申立て及び処理結果の概要 NO.1 児童扶養手当が認められないことについての苦情 苦情申立ての 対象機関 子ども政策課 申立人は、前住所(他県)で児童扶養手当を受給していた。平成 26 年 3 月 苦情申立ての 趣旨 に長女と 2 人で板橋区に転居して、児童扶養手当の申請をしたが認められな かった。受給が認められない理由は、姉の内縁の夫と同居しているからだと いうが、自分(申立人)と姉の夫との関係を疑うような職員の話があり、失 礼だと思った。また、書類を記入する際に、9 歳の娘がいる前で別れた夫の名 前と生年月日を書いたが、娘には DV によって別れた夫の名字しか教えてい なかったため、担当者の配慮が欠けていると感じた。さらに、担当者の助言 によって住民登録を 2 回もすることになり、役所の異なる部署を行き来して 時間を無駄にした。児童扶養手当が受給できないことと、担当職員の対応に 納得がいかないので、苦情を申し立てたというものである。 平成 26 年 4 月 15 日午後 1 時 30 分から 2 時 45 分まで、区役所子ども政策 事業者の説明 課を訪問し、課長、係長、担当職員 2 名の計 4 名と面談した。聴取した結果 は、以下のとおりである。 1 申立人の住民票を確認した際、同住所に男性がいるので尋ねると、 「一緒 に住んでいる」 「姉の事実婚の相手である」とのことであった。 2 児童扶養手当は、国の制度であるため細かい運用基準がある。東京都発 行の『児童扶養手当事務処理マニュアル』によると、 「母子と単身男性及び 単身女性(単身男性と単身女性は事実婚状態である)」の場合の見解として 「生計が別(間借り賃貸契約書、部屋の間取り、光熱水費等の負担の確認) であることが証明できれば、事実婚でないと判断することもありうるが、 生計が別であることを証明できなければ事実婚とみなさざるを得ない。 」と 記されている。申立人の場合は、この事例と同様の状況であるため、生計 が別であるかが問題となる。 3 職員は、 「住所が一緒だと、申立人本人と姉の内縁の夫とが事実婚と同様 である」と伝えた。男性との法律上の関係が明確ではないので、申立人母 子が居住する部屋の外見上の独立性(玄関や階段、風呂・トイレが別であ る)や、水道・光熱費の別払いといった生計の個別性など、客観的な証明 が必要であると話した。 間取りについて訊くと、 「アパートの 2 階で(事実婚の姉夫婦と)同じ部 4 屋で暮らしている」と申立人が話したので、 「それでは住民票が(姉の事実 婚の夫と)同じということになりますね。もし、違う階に住んでいるので あれば、変えたほうがいいのではないですか。そのようにしたらどうです か。 」と言ったという。これは、申立人に対する指示ではなかった。 その後、申立人が、姉夫婦が 2 階、申立人母子が 3 階に居住しているこ 5 とを登録した住民票と、その内容を図に記した申立書を持参した。 39 事業者の説明 申請当日は、3 月 25 日という役所への来訪者が多い日で多忙であった。 6 そのため、申立人から手当の申請を受けた担当者も途中で代わったが、代 わった職員は、児童扶養手当の申請のことは知らずに子ども医療証の変更 手続きだと思い、受けたという。そのため、申立人が「(元夫の)名前の漢 字がわからない」と言った際、漢字のことだけを問うたと思い、結果的に 申立人の長女の前で別れた夫の氏名や生年月日を書かせることになってし まった。児童扶養手当の手続きの場合、通常は、申請時に子どもが同席し た場合、 「子どもさんが一緒にいても大丈夫ですか」と聞いて後ろの席への 移動を促すなどの配慮をしているが、その日は業務がごったがえしていた こともあって、申立人母子への配慮が足りなかった。 まず、今回の申立による問題点は、以下の 2 点である。 保健福祉オンブ ズマンの見解 1 申立人は、前住所(他県)で児童扶養手当を受給していたため、板橋区 でも継続して受給したいと申請したが、姉の内縁の夫の存在により受給は 保留となっている。姉の内縁の夫と自分との関係を疑われて受給が認めら れない点は、納得がいかない。 2 上記の関係の疑いに加えて、多感な年ごろの娘の面前で前夫の氏名・生 年月日を書かせたり、住民登録を 2 回もして時間を無駄にするなど、役所 の担当者の対応が失礼であり、配慮に欠ける。 申立人と面談した後、区役所での聞き取りを実施した結果、オンブズマン としては以下のように考えるに至った。 まず、第一に、児童扶養手当の受給についてである。児童扶養手当は、父 または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自 立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給して児童の 福祉の増進を図ることを目的としている。母子世帯にとっては重要な制度で あるが、近年は受給者数の増加と自立支援の強化を目的として、受給要件が 厳しくなっている。国の制度であるため、板橋区でも東京都のマニュアルに 沿って運用を図っている。今回の事案は、マニュアルに掲載されている事例 と同内容であり、それに倣えば、申立人は支給要件を欠くという判断になる。 要件を満たすためには、申立人母子の独立した生計を客観的な証拠によって 説明できれば問題は生じなかったが、今回はその立証が難しいケースであっ た。姉夫婦は、10 年以上同居していることから事実婚の夫婦と見なされるが、 たまたま同時期に区内の別の住所から申立人と同じアパートに転居してきた ことから、家賃や光熱費の独立性を証明する書類がない。区役所の職員とし ては、法や運用指針を遵守するならば、そのまま申請を受理することはでき なかったというものである。姉夫婦と同居する(正確には、同じアパートの メゾネットタイプの 2 階と 3 階の部屋に分かれて住む)ことによって生活費 の軽減を図ろうとした申立人の意図に反する理解をされてしまったことにな る。しかも、その根拠が、姉の内縁の夫と自分自身が事実婚状態であると判 断されるという通常の市民感覚では認めがたい理由によるものであった。 二点目としては、区役所担当職員の態度についてである。職員としては、 運用基準にしたがって説明したつもりであったが、申立人にしてみれば、事 40 保健福祉オンブ 実上の義理の兄と自分自身の関係を疑われたように感じ、不快感をもった。 ズマンの見解 また、小学校中学年の娘の前で、前夫の氏名や生年月日を書類に記入するこ とになり、DV という封印したいプライバシーが突然わが子の前で暴かれるよ うな気がした。そのうえ、姉夫婦の世帯と別世帯であることを明確にするた めに住民登録を 2 回に渡ってすることになり、徒労感を覚えたというもので ある。 申立人は、前夫から DV を受け離婚した後、他県で飲食店を営みながら長 女を育ててきた。しかし、昨今の厳しい経済状態から店をたたみ、東京で姉 夫婦と生活することによって住宅費や生活費を節約できると考えて転居して きたものである。そのためには、児童扶養手当が必要であり申請をした。し かし、転入してきた板橋区では、申立人にとっては事実上の義理の兄にあた る人との関係性を疑われ、申請が保留となったことに憤りを覚えたのである。 生活費の節約を考えての同居が、予想外の指摘を受け、申立人が驚いたのは 無理もない。通常の市民感覚からすれば考えられないような、人権侵害とも 受けとれる説明であった。 東京都の『事務処理マニュアル』を読むと、その記述は大変わかりにくい。 マニュアルに書かれている内容を、いかにわかりやすく説明して区民に納得 してもらうかが職員の職務上の務めといえるだろう。社会福祉制度の利用に 際しては、申請者は厳しい生活状況にあるからこそ利用手続きをとる、とい う事実を受けとめる必要があるのではないだろうか。たとえ職務上の正当な 説明であり申請保留であっても、利用者からすれば、いわれのない中傷と受 けとれる場合がある。 また、長女の前で、別れた夫の氏名等を書くことになったのも、申立人に とってはつらいことであった。通常はしているという配慮だが、多忙を理由 にその配慮を怠ってはいけないだろう。福祉サービス利用に伴う利用者の心 情的な困難を慮 ( おもんぱか ) るべきである。 二度の住民登録については、役所側は申立人に指示したわけではないとい う。事実を正確に登録したほうがよいという判断で、もし居住している住ま いの階が姉夫婦の世帯とは異なるのであれば、そのとおりの登録が望ましい との確認をしたとのことである。 申立人に申しあげる。今回の申請にあたっては、職員としては厳しい運用 基準を遵守したうえでの申請保留であること、申立人と姉の夫との関係を疑 ったわけではないことをご理解いただきたい。本来は申立人に対する礼儀に かなった説明をするべきであったが、それができていなかったのは職員の技 量不足によるものと思われる。ただし、租税を財源とする社会福祉サービス の支給に関しては、財源不足や国民の視線が厳しくなっている状況から、運 用のルールが厳格になっている点はご了承いただきたい。もちろんそれを理 由に、利用者への対応が礼を欠くことになってもよいというわけではないこ とは当然である。申立人の場合は、客観的に事実が証明できれば保留になっ ている申請が認められるので、申請に必要な書類(家賃や光熱費折半の領収 書等)を提出する労を惜しまないでいただきたい。また、書類記入の際の申 立人と長女に対する配慮を欠いたことの非を、職員が率直に認めている点を 41 保健福祉オンブ ズマンの見解 ご理解いただきたい。今後は、いままで以上に区民に対する配慮を徹底して いくとのことである。 担当職員と区役所への要望を述べる。公務員という職にある者は、福祉サ ービス利用者の心情を想像する能力を養っていただきたい。制度・サービス を利用できるかどうかは利用者にとって切実な問題である。「母子家庭の命 綱」とも言われる児童扶養手当の受給は、昨今の厳しい経済状況のなかで母 子世帯の母と子にとって必要不可欠な制度である。その手当が受給できない かもしれないと不安になった申立人の気持ちを想像できただろうか。 法やルールの遵守は、公務員として必要かつ不可欠な資質だが、それをふ まえたうえで利用者にわかりやすく伝えることも、法の遵守と同様に必要な ことではないだろうか。今回の場合は、マニュアルに書かれている事例と同 様の状況であったとしても、事実上の義理の兄と自分自身との関係を疑われ ているように思われる説明であった。言われた側からすれば、セクシュアル・ ハラスメントとも受けとれる内容である。到底承服しがたいことは、想像に 難くない。社会福祉制度は、一般市民には制度も運用上も複雑に思われ、理 解するのが困難な場合がある。利用者が納得できるような丁寧な説明を心が けていただきたい。複雑な法や制度についても研修などの機会を利用して理 解を深め、申請者や利用者に対する配慮のある説明ができるように区役所内 での学び合いも続けていただくことを希望する。 NO.2 保育園等に入園できないことへの苦情 苦情申立ての 保育サービス課 対象機関 苦情申立ての 1 趣旨 主訴 家庭福祉員と契約ができない(乳幼児突然死症候群の疑いがある)ため、 職場復帰が出来ず育児休業を6カ月延長したが、それまでに預け先が決まら ないと退職をしなければならない。 2 申立てに至る経過 平成 26 年 3/20 区から紹介を受けた家庭福祉員と面談の上、契約書にサインをする。 3/24 家庭福祉員より「家庭福祉員として保育を受託できない」との電話連絡 がある。 3/25 家庭福祉員との面談。申し込みを辞退してほしいとの要求があり、受 け入れる。 3/25 区役所(窓口)にて相談。本人の記入モレだと指摘される。 3/26 区役所より、 「再度家庭福祉員に確認をしたが、受託できない旨の連絡 があったと」電話連絡がくる。 3/31 区役所(窓口)にて相談。今後の見通し等についての結果は得られず。 4/1 区役所(電話)に相談。尐しでも保育の可能性がある方法を提示され、 書類の再提出を促される。 4/2 書類の再提出を行う。 42 苦情申立ての 趣旨 3 具体的な訴え (1) 4月から職場復帰の予定で、保育園を希望していたが入園は無理だろ うと、長男も家庭福祉員に預けた経緯もあり、二人(双子)も家庭福 祉員に預ける事になるだろう、と思っていた。 (2) 二人とも健康体であり、家庭福祉員に預けることが可能であると考え ていた。ましてや要支援児であるとは認識していなかった。 (3) 当初、保育サービス課に、申請書を取りに行った時には、何の説明も なくただ申請書一式を渡されただけであった。申請書を提出した際に も、特に指摘は受けていない。 (4) それにもかかわらず、3/25 の区役所での相談時には、適切に児童の 健康状況を記入しなかったと指摘された。 (5) なお、児童の健康状態の用紙の記入欄に睡眠時の項目がない。書類の 記入の仕方や、要支援児についての説明もなく、本児が該当するとは 分からなかった。 (6) 一度、家庭福祉員より受託の了解が得られたのにも関わらず、なぜか 保育サービス課の判断で断わられた。家庭福祉員との契約ではないの か。 (7) 対応した保育課の職員の説明が、納得できる内容ではなかった。 事業者の説明 調査内容 (1)書類の記入についての説明がない点について ・申込書は、保育サービス課、各認可保育園、志村・赤塚の各福祉事務所、 各区民事務所、区ホームページで配付している。ほとんどの保護者があら かじめ申請書等を記入のうえ提出していることから、申請書等の配付時に 記入の仕方の説明はしていない。保育園入所希望申請の受付時に提出書類 の記入モレや内容のチェックをし、 未記入の場合はその場で記入してもら っている。 ・しおりの中には記入例の記載はないが、4 月入所の受付期間のみ、窓口で 申請書を記入する方用の記入例を用意している。 ・保育所入所申込書と家庭福祉員保育委託紹介申込書について、保育内容や 保育時間等説明している。 ・ 『確認票4.児童の健康状態』の記入の部分で、担当者の説明と母親の解 釈のいき違いがあった。 (2)要支援児か否かの判断について ・要支援児の対象なのかどうか、受け入れの可否について保育サービス課と しては書類だけでは判断できない。 ・親子で保育園に行って貰い、保護者からの聞き取りや対象児の状態を把握 した上で、受け入れ先の判断になる。(人員配置の関係等、個別配慮が必 要なため) ・集団保育になじまない場合は、入園を断る場合もある。 ・乳幼児突然死症候群を要支援児と判断するのは難しい。(事故が起こって からの診断となるため判断不可能) 43 事業者の説明 ・保育開始後、要支援児として認定する場合もある。 (3)家庭福祉員と保護者との契約行為に対する区の決定権について ・保育サービス課は、保育所の入所選考会議の結果とともに、家庭福祉員の 保育を希望している保護者に委託紹介決定を通知するが、その後の手続き 等は、家庭福祉員と保護者のやりとりになる。 ・面接時に、健康面などの生活状況の細かい聞き取りをし、受け入れの可否 は家庭福祉員が判断し契約となるが、受け入れを前提とした面接となって いる。 ・一般的には家庭福祉員から報告、相談を受け、区が受入可否を決定する。 ただし、実際に保育を行うのは家庭福祉員なので、家庭福祉員の意見を聞 いて決定する。 ・健康診断後に契約となるが、その時にも再度確認をした上で契約をしてい る。 ・家庭福祉員が、母親との面接の中で「呼吸センサーの装着要請や、過去に 呼吸が止まったかもしれないこと、これまでに数回センサーのブザーが鳴 ったこと、また、このことについて受診はしていない。」という話から、保 育受け入れは難しいと判断したのであろう。 ・家庭福祉員は、一人で三人の子どもを預かる。環境的にも保育園とは大き く違う。過去に事故があった経緯から、命の重みを考えれば、受け入れに 対して慎重にならざるをえない。 (4)過去に起きた事故後、区としてのサポート体制の変化について ・年に 1 回救命講習を実施し、安全対策・危機管理マニュアルを作成してい る。 ・午睡時チェックの時間を短縮し10分おきに変更している。 ・区立保育園の園長 OB が、家庭福祉員宅を定期的に訪問し指導をしている。 訪問時には、救急車の呼び方などのシュミレーションなどを行っている。 (5)健康診断を勧めた経緯について ・家庭福祉員が預れない理由を説明する。 ・保育園は、健康診断後、空きがあれば受け入れ可能である。 ・母親から、健康診断を受けられる病院を紹介して欲しいと言われるが、突 然死は原因不明であり、専門医のいる病院が判らないため、かかりつけ医 に過去の呼吸停止の疑いがあった事を話して、主治医から専門医を紹介し てもらい受診してほしい、と話す。 (6)家庭福祉員の受け入れの判断基準について ・家庭福祉員では、区からの紹介後は受け入れる方向で面接を実施してい る。 ・しかし、今回の場合のように生命にかかわるような場合は、慎重に判断を する。 ・乳幼児突然死症候群は、原因不明なだけに事前の予防的な対応は困難であ ることは承知している。それ故に、家庭福祉員との面接時に「呼吸停止の 疑いがあったこと」や、その後、「家庭で睡眠時にセンサーを装着してい る」ということが分かれば、リスクのある児童であると判断する。 44 事業者の説明 (7)今後の改善点として ・しおりに同封されている、『確認票4.児童の健康状態』の記入項目をわ かりやすくする。 保健福祉オンブ ズマンの見解 まず、保育に関わる事業は、児童の生命を一定時間、保護者に替わって預 かる事業である。それゆえ、児童の生命の安全確保、および児童に関わる従 事者の環境整備はかなり重視され、事故の予防が実施されねばならぬ事業で あると再認識した。 以上をふまえて、意見を申し上げる。 1 書類審査は、児童の生活上のリスクのスクリーニングを担っている。だ が案件では、事前の書類審査では健康不安が確認できず、面接によって確 認された。このような事態は、事前のチェック体制に不備があったといえ るだろう。板橋区も、申し込み時に受付において、チェックをする努力を しているが、一時期に入所申し込みが集中する為に、充分な説明が可能で あるのかはやや不安が残る。チェック方法の見直しが必要なのではないか と考える。 また、保育サービス課の職員、保護者、保育従事者は、医師でない限り 乳幼児の健康面についての専門家ではない。それにもかかわらず、集団保 育の場での生命に関わる事故が発生するリスクの多尐の判断をせねばなら ない。非常に困難な判断をしていることになる。ならば、その判断をする 情報の根拠としては、公的な乳幼児の健康診査(4ヶ月・6ヶ月・9ヶ月 児の健康診査等)の結果や、入院・通院等の実態の内容の方が適切ではな いだろうか。健康調査項目の適否の確認を、医療職を含めての検討をお願 いしたい。 加えて、保護者が自分の児童について理解している健康状況というのは、 正確なのだろうか。尐子化になり、自分の子ども以外関わる経験が尐ない 保護者の場合、理解が不十分のまま書いているという傾向は、ないだろう か。 その点においても、公の健康診断の結果をもとに記入できる健康診断書 のフォーマットが望ましいと考える。板橋区が実施している乳幼児健康診 査との連携を望みたい。 2 今回の「乳幼児突然死症候群」は、生命に関わる疾患である上に、予防 はしていても 100%の予防は難しいとされる疾患である。だからこそ、保育 従事者は非常に慎重にならざるを得ない。 家庭で児童の健康に不安を感じ、育児をしている場合、その不安の大き さは、第3者が当該児童を預かる場合には、数倍以上の不安を感じるもの である。そして、予防に取り組んでいても、事故を完璧に防ぐことはでき ない。万が一、生命に関わる事故が発生した場合には、 「健康不安のある児 童を預かった責任を負う」のだということを、保護者は理解してほしい。 特に、家庭福祉員のように、保育者が複数人いない、そして、看護師が 不在であるという状況下では、緊急時対応の訓練を受けているとはいえ、 事故発生時の対応については、素人の範囲内でしかないのが事実である。 45 保健福祉オンブ それゆえ、健康にリスクのある児童を受け入れることは、児童の安全が充 ズマンの見解 分に確保できないので、困難なのである。 そして、板橋区も家庭福祉員の保育環境の制約を把握しながらの紹介業 務であり、慎重を期しているために今回のような判断結果になったものと 考える。 3 今回の案件の本質には、区民の保育のニーズに対し、板橋区が充分な保 育設備および人材の確保ができていないことがあると考えられる。保育環 境の不十分さの結果、健康不安のない児童のみが保育サービスを享受でき る機会が広がるとあっては、公平性を欠くといえる。入園の可否は、保護 者と児童にとって、人生を左右する大きな出来事である。 区民からの保育ニーズの最前線に立つのが保育サービス課の窓口である。 他方で、保育サービス課への苦情は、保育サービス課だけの責任ではないも のも多いはずだ。ぜひ板橋区全体の課題意識に繋げ、よりよい板橋区の保育 環境をつくりあげてほしい。 NO.3 担当職員の就労支援に対する対応についての苦情 苦情申立ての 対象機関 福祉事務所 苦情申立ての 趣旨 福祉事務所の各担当職員の対応及び連携等に不信感を生じたので保健福祉 オンブズマンに下記の事について苦情申し出をする。 1 担当ケースワーカーに対し 十分な説明がなく質問に対する回答も不明瞭である。 ⑴ 求職活動報告書についての対応がケースワーカーによって違うことと 説明不足で理解できないこと。 ⑵ 理解できないから質問するとクレーマーと決めつけられた。 ⑶ 4 男の高校進学についても貸付制度の説明がなく、高校進学をあきらめ ざるを得なかった。 2 就労支援相談員に対し 初回面接時の就労支援相談員の言動に不信感を覚えた。 ⑴ 自分を外見だけで判断しょうとする。 ⑵ 仕事に関する説明も雑駁で、こちらの希望もよく聞かずに求人情報を 押しつけられた。 ⑶ 3 履歴書の書き方についても納得いく説明がなかった。 就労意欲喚起事業の担当に対し ⑴ 詳しい説明もなく「同意書」を書かされた。 ⑵ 就労意欲喚起事業と就労支援事業の違いについて明確な説明がなかっ た。 4 その他 各担当との話し合いの場といわれて福祉事務所に行ったが、話し合いの場 というよりも一方的に謝罪されるばかりで理解に苦しんだ。 46 保健福祉オンブ オンブズマンとの面談により、福祉事務所に対しても苦情内容が理解しても ズマンの見解 らえたと判断したため「苦情申立ての取下げ」があり、福祉事務所調査を中止 した。よって見解取りまとめも中止となった。 NO. 4 保育園等に入園できないことへの苦情 苦情申立ての 保育サービス課 対象機関 苦情申立ての 平成 25 年 11 月、2歳児である娘の平成 26 年 4 月からの保育園入園を希 1 趣旨 望し複数の保育園に申し込みをしたが、優先順位の関係などから各保育園 からの入園承諾はもらえなかった。 その後、家庭福祉員、ベビールーム、板橋スマート保育に複数の申し込み をしたところ、平成 26 年 3 月、内定したとの連絡を受けた家庭福祉員と面 接した。しかし、事情が判らないまま内定を取り消され、後に判った事実は、 家庭福祉員は娘が「多動児」であるから対応できないという理由であった。 区の保育サービス課、入園事務担当職員からはその後、他の保育施設にお いて新たに面接をすることを勧められたが、同職員は面接予定の保育園など に対し私の同意もなしに 「多動性の疑いのある子」 との表現で情報を流した。 2 区の入園事務担当職員から「『要支援児』で指数が+1となれば入園しや すくなる。」と言われたり、別の職員からは「『活発な子』という情報を流 してもよいか。 」などと言われた。自分の子はマイナスに評価されたと思う。 「多動児」の診断は医師がなすべきであるが、これまでの健診でそのような 診断や指導を受けたことはない。区の入園事務担当職員や家庭福祉員が軽々 しく使う言葉ではない。職員は「多動児」という意味に対して理解不足であ り、 「多動児」は「障がい児」との評価を受けかねず傷付けられた思いであ る。 3 内定が取り消された後に入園事務担当職員からは、保育園・ベビールー ム・スマート保育を面談するよう紹介され、1~2週間で保育園・ベビー ルーム・スマート保育約10か所を面接したが、全て空きがなく入園でき なかった。 一部の保育園では、「多動児」という情報がなければふつうに入園できた と言われた。私は「要支援児」としての面接だと感じた。また、他の保育 園では空きが無いと言われて断わられた。保育園などに面接に行けと言わ れたので空きがあると思ったのに空きのない保育園などに面接に行かされ た。 事業者の説明 平成 26 年 6 月 16 日(月)午前 9 時 30 分から板橋区役所において、保育 サービス課長、入園事務係長ほか職員 2 名から事情聴取を行った。要旨は 以下のとおりであった。 1「多動」という表現で、そのような子が面接に行くとの情報提供をした事 実はある。 「多動」という表現は、発達障がいなどに現れる症状の一つと理 解しているが、集団保育に適応できるかという観点から、集団保育が困難 47 事業者の説明 と推測され、支援を必要とする子どもの意味で使用している。 「多動」という表現は不適切であったと反省している。 家庭福祉員の受入れの可否は家庭福祉員が判断している。 受け入れを断わ る場合は、家庭福祉員が面談の結果により判断した情報をもとに、入園事務 係の担当者から保護者に受入れができない理由を伝えている。 2 要支援児の場合の入園手続きや条件などを説明したこと、 「活発な子」と の情報を流してよいかと問うたこと、保育園などに対しその表現を使用し て情報提供したことは事実である。3 月 24 日に母親と電話で話して了解を 得たものと判断していた。3 月 31 日からのスマート保育園・ベビールーム との面談の際にも、「活発な子」という情報を提供した。 3 4月以降も空きが出れば入園が可能となるので入園案内をした。また、 予めどのような子であるかを面談で明らかにしておくことは、その子が支 援を要する子か否かを受け入れ先の保育園などでも予め判断できるので面 談自体は望ましいことであり、要支援児保育を前提とする手続きでの面談 をお勧めした。欠員状況は流動的で、いつ空きが出てもおかしくないので、 面談をお勧めしたが、その面談で入園が決まるものではないことの説明が 十分ではなかったかも知れない。申立人は、既に「多動」の表現を使用し たことにより立腹されており、意思の疎通を十分図れなかったかもしれな い。 保健福祉オンブ 1 事実関係にはほぼ争いはないと判断した。具体的には、申立人は、2 才の 娘の平成 26 年 4 月からの保育園入園を希望し、平成 25 年 11 月ころ区の手 ズマンの見解 続きに従い申し込みをしたが、希望した保育園はいずれも指数または優先 順位の高い入園者がいたため、不承諾とされた。 その後、申立人は、他の保育園、家庭福祉員、ベビールーム、スマート保 育に複数の申し込みをしたところ、平成 26 年 3 月、内定したとの連絡を受 けた家庭福祉員と面接することとなった。しかし、その後、内定を取り消さ れたとの連絡が区の入園事務担当職員からあり、取り消しは申立人の娘が 「多動児」であるから対応できないという理由からであった。 さらに、申立人は区の入園事務担当職員から再度の面接を勧められ、10 カ所近い保育園、ベビールーム、スマート保育に面接に行ったが、いずれも 空きがないとの理由で入園できなかったものである。 なお、 上記の内定が取り消された後に入園事務担当職員が再度の面接をす るように勧めるに際し、どのような説明がなされたかは不明である。 担当職員によれば要支援児保育を前提とする面接であることを説明した とのことであるが、申立人にはその手続き、内容は十分伝わっていなかった と思われる。 2 オンブズマンは本件について、以下のように考える。 (1) 2歳児の母親にとって、自分の子が「多動児」との評価をうけることは、 心理的に非常にショックなことであり、軽々しく口にする言葉ではないこと は誰にも明らかであろう。特に、それまで医者からもそのような診断はおろ か、その類いの話も聞いていなかった申立人にとって、「多動」との言葉や 48 保健福祉オンブ 自分の娘に対する突然のそのような評価は許しがたいものであったことは ズマンの見解 容易に想像できることである。落ち着きのない子、活発な子について特別な 支援が必要となる場合があることは理解できるが、そのような情報を予め保 育園などに伝えるにしても「活発な子」などという他の表現でも足りるので あるから、 「多動」という「障がい児」を連想させる表現を不用意に使用す ることは厳に慎むべきであり、そのような表現をした入園事務担当職員には 猛省を促したい。また、今後は、家庭福祉員、その他保育の関係者にも軽々 しくそのような言葉、表現を使用しないよう指導していただきたい。 (2) また、特別な支援を要する子の保育を巡っては専門家による判断が重要 であるから、その判断を含む面接手続が存在するのであれば、申立人に対 してそのような面接手続きであることを十分説明し、理解を得る努力をす べきであったと考える。その際、必ず入園が可能となるものではないこと も併せて十分説明し、そのような理解を得られていれば本件の苦情にはな らなかったと思われる。入園事務担当職員には今後も誤解の生じることの ないように十分な説明をしていただきたい。 NO.5 地域活動支援センターの利用料についての苦情 苦情申立ての 障がい者福祉課・福祉事務所及び 対象機関 地域活動支援センター 申立人は、平成 20 年 12 月から地域活動支援センター(以下、「センター」 苦情申立ての 趣旨 と記す)を利用している。平成 20 年 12 月~平成 22 年 3 月まで、受給者の負 担限度額以上の利用料を支払った。平成 22 年 4 月~平成 26 年 2 月の期間は、 利用料が無料になったにもかかわらず、1 日 100 円を支払った。平成 26 年 5 月 30 日の説明会において、本年 4 月以降は利用者全員が無料でセンターを利 用できるという説明があったが、自己負担できる所得のある人までが無料と いうのはおかしいと思う。センターは、利用者が充分理解し納得できるよう な説明を怠り、低所得者に負担を強いた。是正を要求し、問題が認められれ ば謝罪と賠償を求めるというものである。 事業者の説明 1 区役所障がい者福祉課及び福祉事務所の調査 平成 26 年 6 月 24 日午後 1 時から 2 時 30 分まで、区役所障がい者福祉課 を訪問し、課長、施設係長、福祉事務所障がい者支援係長の計 3 名と面談し た。聴取した結果は、以下のとおりである。 (1) 障害者自立支援法(平成 25 年より障害者総合支援法)の地域生活支援 事業は、区市町村事業であり、利用者負担については、国の通知から も「区市町村の判断により定める」とされている。 (2) 平成 21 年 4 月に要綱が改正され、受給者証を交付する対象施設から、 「Ⅰ型 A」を除いた。板橋区内には「Ⅰ型 A」は 1 か所(今回の申立 対象施設)のみである。除外した理由は、これまでの受給者のなかに、 受給者証の申請手続きの煩雑さを理由に通所をあきらめる人がいたの で、利用者の利便性を考えたものである。利用者に対しては、福祉事 49 事業者の説明 務所長名で通知を出し、センターの利用手続きの変更について周知し た。 (3) 平成 22 年 4 月に障害者自立支援法一部改正によって、非課税者は利用 者負担なし(無料)となった。しかし、区の判断により要綱は改正せ ず、センターの利用料は、一律 100 円としている。あえて 100 円を徴 収するのは、 「ひとりひとりが対等な仲間としての意識を持ち、利用者 みんなで創るセンターとするため」である。 (4) 平成 22 年 3 月 20 日号の「広報いたばし」に掲載された記事(「平成 22 年 4 月 1 日から、非課税者の障がい者福祉サービス・地域生活支援 事業の利用者負担額が無料になる」 )においては、本来「地域活動支援 センターの一部を除く」と記載されるべきであったが、その点(下線 部)が書かれていなかった。 (5) 平成 26 年 4 月の要綱改正で、生活保護受給者・非課税者の利用者負担 金は無料にした。その他(課税者)は 100 円である。 (6) 平成 26 年 5 月の説明会で話された「センターの利用料は、全員無料と する」というのは、センター独自の判断による。区としては、センタ ーの減収分は補助金として補填していない。 「利用者全員無料」とした理由は、利用者が利用しやすいよう便宜を 図るためではないか。 2 地域活動支援センターの調査 平成 26 年 6 月 27 日午後 1 時 30 分から 2 時 30 分まで、地域活動支援セン ターを訪問し、施設長、相談支援専門員、管理者、常任理事の計 4 名と面談 した。聴取した結果は、以下のとおりである。 (1) 平成 21 年 4 月からのセンター利用申請手続きの変更(利用料を一律 100 円にする、 「受給者証」の交付がなくなる、減免がなくなる等)に ついては、区(福祉事務所)から 3 月 4 日付書面で通知し、施設側か らは、平成 21 年 4 月の「たより」に変更内容を記載した。 (2) 申立人が、利用料過払い分 600 円について 1 回だけ返還してもらった ということだが、施設側の会計書類保存期限(5 年)を過ぎているの で確認ができない。口頭の説明については、当時の施設職員で現在も 働いている者はいないので、不明である。しかし、減免(負担限度額 の上限)をなくすという点は大きな変更であるため、毎月開催される 運営委員会(当日の通所出席者もメンバーとなる)か、毎日のミーテ ィングで説明をしているはずである。 (3) 受給者証の申請については、区の窓口へ出向いて病状等を説明した後、 実際に受給者証を申請者が受け取るまでに 1 か月以上かかり、しかも 受け取りまでの間は施設を利用できない。そのため、利用を辞退する 方もいた。施設としては、障がいをもつ方の退院後の最初の居場所と なり、気軽に利用してもらうことが大切だと考えているので、受給者 証の有無よりも利用者の利便性が大事だと思う。 (4) 施設(センター)の財政状況は厳しいが、利用料は 100 円に抑えてい た。100 円とした根拠は、他区市の施設も 100 円であることが多いこ 50 事業者の説明 と、水道費・光熱費・消耗品費の総額を月予想利用者数で割るとほぼ 100 円になること、利用者も 100 円払うことによって一緒に運営を担 う自覚をもっていただくこと、である。100 円の使途は、各種教室や 利用者の旅行費用に充てていた(一律 100 円徴収時)。 (5) 平成 26 年 4 月以降に利用料を全員無料としたのは、利用者が課税証明 書を持参する手間と経費を省くためと、登録者の大半が生活保護受給 者と非課税者と思われるためである。前述のとおり施設の財政状況は 厳しいが、現在は建物が法人のものになったのでなんとか運営してい くつもりである。 保健福祉オンブ ズマンの見解 まず、今回の申立による問題点は、以下の 2 点である。 ① 一つ目は、利用料過払いの問題である。申立人は、平成 20 年 12 月~平成 22 年 3 月の間、負担限度額以上の利用料を、また平成 26 年 2 月までは無 料であるはずの利用料を支払った、という。 ② 二つ目は、センターの説明責任に関する問題である。センターは、利用料 の無料化にあたって、利用者が充分納得できる説明を怠ったというもので ある。この点については、「地域活動支援センター」が区の事業であるた め、板橋区の対応も併せて検討する。 申立人と面談した後、区役所とセンターでの聞き取りを実施した結果、オ ンブズマンとしては以下のように考えるに至った。 まず、第一に、地域活動支援センターの利用料について検討する。 地域活動支援センターは、障害者自立支援法(平成 25 年より障害者総合支 援法)に基づく地域生活支援事業の一環であるが、本事業は区市町村事業で あり、利用者負担については、国の通知からも「区市町村の判断により定め る」とされている。そのため、板橋区でも「東京都板橋区地域活動支援セン ター機能強化事業及び相談支援事業実施要綱」を定めている。それによると、 利用料は、以下のような経過をたどっている。 ① 平成 18 年度以前 ② 平成 18 年 10 月 一律 100 円 障害者自立支援法施行 生保 無料、 非課税 100~220 円 (利用時間により異なる) ③ 平成 19 年 4 月 要綱改正 生保 無料、 その他 100 円 ④ 平成 20 年 7 月 障害者自立支援法一部改正 生保 無料、 その他 100 円 ⑤ 平成 21 年 4 月 要綱改正 一律 100 円 ⑥ 平成 22 年 4 月 障害者自立支援法一部改正 一律 100 円 *要綱は変えず ⑦ 平成 26 年 4 月 要綱改正 生保・非課税者 無料、 その他 100 円 この規定にしたがうと、申立人の利用料は以下のとおりとなる。(平成 20 年 12 月~) 51 保健福祉オンブ ズマンの見解 1)平成 20 年 12 月~平成 21 年 3 月 100 円 【支払うべき利用料】 平成 20 年 12 月~平成 21 年 3 月…@100 円×利用回数 *だが、非課税者の減免 上限 1,500 円。 平成 21 年 3 月 18 日付申立人 の「受給者証」の有効期間は平成 20 年 12 月 20 日~平成 21 年 11 月 30 日 【実際に支払った利用料】 平成 20 年 12 月~施設長から「しばらくは無料でよい」と言われたので、 毎日無料で利用した。2 か月経ったころ「今までの利用料を払ってください」 と言われ、1 月~3 月 21 日分までの 5,000 円をまとめて支払った。 (1 月…18 日、2 月…18 日、3 月…14 日の 50 日分)平成 21 年 3 月 24 日付の領収書あ り。 本来は、4,400 円のはず。過払いといえる。 (平成 20 年 12 月分は不明である。) しかし、申立人は、 「受給者証を見せて、1 度だけ返金してもらった。」と言 う。(平成 21 年 1 月~3 月分の過払い分か?)。 2)平成 21 年 4 月~平成 22 年 3 月 1 回につき 100 円(負担限度額なし) *平成 21 年 3 月 4 日付「利用申請手続きの変更について(ご案内)」 (福 祉事務所より) 受給者証交付とりやめ⇒非課税者の減免(上限 1,500 円)なくなる。 【支払うべき利用料】@100 円×利用回数 【実際に支払った利用料】 平成 21 年 4 月 2,100 円(4 月の 21 日分)平成 21 年 4 月 30 日付領収 証あり。 尐なくとも平成 21 年 4 月分は、規定どおり支払ったことになる。 3)平成 22 年 4 月~平成 26 年 2 月 1 回につき 100 円 【支払うべき利用料】@100 円×利用回数 【実際に支払った利用料】規定どおり支払ったと思われる。 4)平成 26 年 3 月 「受給者証」交付(平成 26 年 3 月 1 日付)により上 限 0円 【支払うべき利用料】 無料 【実際に支払った利用料】なし(無料) 5)平成 26 年 4 月~ 【支払うべき利用料】 無料(法人の方針で減免) 無料 【実際に支払った利用料】なし(無料) 以上のことから判断すると、つぎのようになる。 1)申立人による利用料支払いは、平成 21 年 1 月から 3 月の期間は過払いと いえる。しかし、 「1 度だけ返金してもらった」というのが、この期間の支 払いに対するものだとすれば、この問題は解決済みと考えられる。 52 保健福祉オンブ ズマンの見解 2)の期間(平成 21 年 4 月~平成 22 年 3 月)は、利用料が 1 回につき 100 円(負担限度額なし)である。さらに、受給者証交付とりやめ⇒非課税者の 減免(上限 1,500 円)なくなる。そのため、申立人が 1 回の利用につき 100 円支払っていたとすれば、これは規定どおりである。 3)この期間(平成 22 年 4 月~平成 26 年 2 月)も、規定どおりである。 4)平成 26 年 3 月は、申立人の希望に沿うかたちで、「受給者証」が交付さ れ、無料となった。 5)平成 26 年 4 月は、法人の決定により、利用者全員が無料となった。 つぎに、二点目のセンターおよび板橋区の説明責任について検討する。 1)平成 20 年 12 月に申立人がセンターを利用し始めた当時、施設長から「し ばらくは(利用料は)無料でいい」と言われたにもかかわらず、2 か月経っ た頃に「今までの利用料を払ってください」と言われ、3 か月分を支払った という。もしこれが事実だとすれば、施設側の説明の不適切さが問われる ことになる。無料の期間が設定されているとすれば、いつからいつまでな のかが書面等で明確に提示されていなければならないだろう。また、施設 長が「無料」と話したにもかかわらず会計担当者が利用料を請求したとす るならば、組織内の意思統一を欠いていたことになり、センターの組織連 絡体制不備が指摘できる。いずれにしても、一時的にせよ利用者に不利益 や不快感をもたらしたことになると考えられる。 2)平成 21 年 4 月に要綱が改正され、センター利用申請手続きが変更になっ た(利用料を一律 100 円にする、 「受給者証」の交付がなくなる、減免がな くなる等) 。この点については、区(福祉事務所)から 3 月 4 日付書面で利 用者あてに通知し、施設側からは平成 21 年 4 月の「たより」に変更内容を 記載したという。 「たより」の 2009(平成 21)年 4 月号を確認したところ、 「お知らせ1」にその旨は記載されており、この点に不備はなかったと判 断される。 3)平成 22 年 4 月に障害者自立支援法が一部改正されたが、板橋区の「要綱」 は改正されなかった。そのため、非課税者の障がい者福祉サービス利用者 負担額が無料になったものの、センターの「利用料一律 100 円」は変わら なかった。しかし、 「広報いたばし」の平成 22 年 3 月 20 日号を見ると、 「非 課税の方の利用者負担額が無料となる」と書かれており、 「対象事業」に「地 域活動支援センター」も記載されている。この点に関して、区の担当者に 問うと、 「地域活動支援センターの一部を除く」との記載漏れだという説明 であった。これは、明らかに板橋区側のミスである。広報を読んだ区民が、 センターの利用料が無料になったと判断するのは当然であろう。もし記載 ミスであれば、次号にお詫び・訂正記事を載せたり、センターにおいて貼 り紙をするなどの手段を講じるべきであった。いっぽう、センターの「た より」2010(平成 22)年 4 月号を確認したところ、「利用料」の欄に「利 用者自己負担利用料として、1 日に付き 100 円です。」と記載されている。 この記載自体に不備はないものの、 「広報いたばし」の記載ミスを補う方策 が考えられてもよかったのではないだろうか。 53 保健福祉オンブ ズマンの見解 4)平成 26 年 4 月の「要綱」改正によって、生活保護受給者と非課税者のセ ンター利用料が無料になった。5 月 30 日のセンターでの説明会において、 利用者に周知をしたという。利用者が、 「利用料無料になることはよいとし ても、いままでの利用料(1 回につき 100 円)は何だったのか」と考える のは無理もない。なぜならば、いままでの利用料の根拠が水道費・光熱費・ 消耗品費と運営を担うための自覚という説明だったので、これらが突然不 要となる理由が理解できないのは当然である。板橋区とセンターの双方は、 なぜ利用料を無料とするに至ったのかを明確に説明する義務と責任がある のではないだろうか。たとえば、経費削減のためにセンターが属する法人 が努力を重ねたとすれば、その努力の中身を数字で示し書類を配布するな どして利用者に明らかにすればよいのではないか。 結論として、今回のセンター利用料支払いに関しては、平成 21 年 1 月から 3 月の期間は過払いといえるが、もし「1 度だけ返金してもらった」というの が、この期間の支払いに対するものだとすれば、この過払いに関しては、問 題は解決済みと考えられる。また、その後は、申立人の支払いは規定どおり であると判断される。 しかし、説明責任に関していうと、板橋区とセンター双方の説明が必ずし も充分であったとはいえないと考える。それは、センター側の平成 20 年 12 月利用開始当初の「しばらくは無料発言」やその後の過払いの問題、平成 26 年 4 月の「要綱」改正後の 5 月の説明会である。また、板橋区の「広報いた ばし」平成 22 年 3 月 20 日号記載ミス等の問題である。これらについては、 センターと板橋区に率直な謝罪と改善を求めたい。 加えて、センターと板橋区への要望を述べる。センター利用料の問題は、 利用者にとって切実な問題である。1 回 100 円といえども 20 回の利用であれ ば 2,000 円にふくらむ。 「100 円の重み」を理解していただきたい。福祉サー ビス従事者・公務員という職にある者は、福祉サービス利用者の状況や心情 を想像する能力を養っていただくことを望む。 法や「要綱」の改正に際しては、利用者にその内容をわかりやすく伝える ことは、区職員や福祉サービス従事者の重要な仕事である。特に、今回の「要 綱」や利用料の改定は、比較的短期間に行われているため、理解が難しいと 思われた。社会福祉制度・サービスは、一般市民には制度自体も運用上も複 雑に思われ、理解するのが困難な場合がある。利用者が納得できるような丁 寧な説明を心がけていただきたい。複雑な法や制度についても研修などの機 会を利用して理解を深め、申請者や利用者に対する配慮のある説明ができる ように区役所内や法人内での学び合いも続けていただくことを希望する。 54 NO.6 放課後等デイサービスの利用についての苦情 苦情申立ての 福祉事務所 対象機関 苦情申立ての 1 放課後等デイサービスについて 苦情申立人の次男 A 君(9 歳)は、6 年前から都外の B 児童養護施設に入所し 趣旨 ている。子どもとは年 1 回~2 回位しか会えない。 3 月に B 児童養護施設から、A 君の支援に関し、週に 2 回放課後等デイサ ービスに通所させたいとの連絡があった。4 月に、福祉事務所障がい者支援係 で通所受給についての手続きを行った。 5 月 13 日、福祉事務所障がい者支援係にて、放課後等デイサービスの中止 について相談した。 5 月 19 日の朝、B 児童養護施設の所長に電話にて、通わせないでほしいと 話をした。その会話から、A 君は、放課後等デイサービスに通っていないの だと母親は 7 月まで思っていた。 7 月、A 君が依然として放課後等デイサービスに通っていることを知った。 7 月に福祉事務所障がい者支援係の担当者に「A 君の放課後等デイサービス をやめさせたい」と話す。しかし担当者から「たくさんの人が A 君に関わっ ているから難しい」と言われた。その後、別の担当者とも相談したが、 「B 児 童養護施設に監護権があるから難しい」と言われた。しかし、私が親権者だ から私(母親)の考えを無視しないでほしい。母親として、子どもは健常児 と交わってほしいと希望している。また、放課後等デイサービスのサービス 内容に不満を感じ、放課後等デイサービスはやめさせたい。放課後等デイサ ービスに行くことについて、納得していない。 また、通所する様式の書類があるのに退所する様式の書類がないのはおか しいと考える。 2 特別支援学級について A 君は自閉症であると 4 年前に診断された。知的障害はないと言われてい る。また、私(母親)に説明なく特別支援学級に入れられてしまったので、A 君を特別支援学級から普通学級に転校させたい。私(母親)も発達障害であった が普通学級に通うことができた。 3 服薬について 2 年前、A 君の状況について話し合いをした。A 君はクリニックに通院し、 薬をたくさん飲んでいる。この服薬に関し、薬を変更したが、変更後、活発 だった表情が落ち着いてしまったので驚いている。 4 児童相談所について 平成 24 年 7 月に住民票を移し、長男及び A 君は板橋区民になっている。故 に、東京都の児童相談所の担当になれば子どものことをよくみることができ ると思う。 平成 26 年 5 月に都外の C 児童相談所に電話して、子ども二人を早く東京都 の児童相談所の管轄に移したいと催促の電話をした。他方で、東京都の児童 相談所に相談に行ったが、基本的には C 児童相談所から話がこなければ子ど も二人の受け入れはできないといわれた。 55 C 児童相談所の対応は悪い。子ども二人が B 児童養護施設に入所する時も 苦情申立ての 趣旨 自分が一緒についていけなかった。 平成 26 年 8 月 8 日、福祉事務所において、所長・担当係長・担当職員より 事業者の説明 説明を受けた。 1 放課後等デイサービスについて 平成 26 年 4 月に母親と面談をした。母親から放課後等デイサービスの申請 を受けた。同日、B 児童養護施設に電話にて、必要事項の確認と、必要書類 送付の依頼をした。加えて、C 児童相談所にも確認した。その際に、区役所 が全ての手続きを代行するのではなく、母親に手続き等をすすめるよう支援 してほしいとの依頼が C 児童相談所から区役所にあった。 4 月 30 日に母親に受給者証を渡し、手続きを依頼した。後日、区役所に送 付されてきた計画案の概要を、母親に説明した。放課後等デイサービスや支 援施設のパンフレットやリストを「サービス等利用計画案」とともに渡して いる。 5 月 13 日放課後等デイサービスを辞めたいと母親が来庁した。母親に、放 課後等デイサービスを辞める届出書はないこと。また、A 君はいろいろな人 と関わりをもって生活している。発達障害を持つ子どもにとって急に環境を 変えることは好ましいこととは思えないので、様子をみるわけにはいかない か、という話をしたうえで、施設とよく相談してほしいと伝えた。 7 月 18 日母親が放課後等デイサービスをやめる手続きをしたいということ で来庁した。当初、放課後等デイサービスをやめさせたい理由が「親権者」 だということであったので、それは理由にならないと伝えた。話を聞くと、 母親は、 「次男は自閉症があるので他の障がい児と一緒に支援されることが心 配である」といった。では、そのことを児童相談所に話して状況を確認する と伝え、帰ってもらった。 7 月 24 日 C 児童相談所の担当者と電話で話す。8 月に母親が子どもに面会 に来ることになっているので、その時に、担当者から母親に説明するので、 「板 橋区が本件で母親に説明しなくてよい」といわれた。A 君の支援内容に関し、 母親の心配しているような状況下ではないことが確認できた。 7 月 25 日 B 児童養護施設にも電話し、A 君の状況について今後も現状維持 をする予定であることの確認がとれた。 今回の調査に際し、あらためて届出書様式の確認をした。放課後等デイサ ービスを辞める届出書はないとのこと。厚生労働省から出ている事務処理要 領では、取消理由として①施設入所の必要性がなくなる②保護者が転出③虚 偽の申請④保護者が正式な調査に応じない時の 4 点のみであり、今回は該当 しない。 2 支給決定の根拠について B 児童養護施設の入所は、C 児童相談所の指導で対応している。 「放課後等 デイサービス」の支給決定は板橋区で行うが、通所施設での処遇は、C 児童 相談所の管轄である。 今回の支給決定は、児童福祉法に基づく対応である。放課後等デイサービ 56 事業者の説明 スの申請及び支給決定の手続きは保護者の居住地(板橋区福祉事務所)が対応 する。ただし支給決定の根拠は、親権者と同じく子どもの「教育・監護権」を 持っている C 児童相談所・B 児童養護施設の判断に基づくものである。 3 事業所からの提案 母親の理解の過程において、オンブズマンの説明のほかに、本人を含めた 支援関係機関(主に福祉事務所)が集まって、状況の確認と情報の共有など 理解を深める場を持てればという話があった。 今回の申し立てによる問題点だが、C 児童相談所及び B 児童養護施設は、 保健福祉オンブ ズマンの見解 板橋区外の施設であり、遠方であるためオンブズマンの調査対象とすること は難しいと事前に母親には説明し、了承済みである。また、東京都の児童相 談所に関しても、当該児童の担当の移管前であり、実際の処遇に至っていな いためオンブズマンの対象とはならない。よって、苦情申立てに記載されて いる2、3及び4については調査対象とせず、板橋福祉事務所が関与してい る1についてのみ対象とした。 なお、見解の内容については、下記の点にしぼって言及する。 ◎放課後等デイサービスの利用について申立人への説明方法は適切であった か。 申立人との面談および事業所での聞き取りを実施した結果、オンブズマン としては以下の通り考える。 1 放課後等デイサービスは、その子どもの「生活能力の向上のために必要 な訓練、社会との交流の促進その他必要な支援を行う」ために通うもので ある。 申立人の危惧する通り、A 君の障がい(自閉症)に特化した放課後等デ イサービスは、非常に数も尐ない。しかし、今回利用している放課後等デ イサービスは、障害者支援施設のなかにあり、支援者が自閉症に無知であ るとは考えにくい。むしろ、A 君は、放課後等デイサービスに通っている 方が、適切な支援を受けていることが予測できる。 自閉症は、専門家のもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った 適切な療育・教育的支援につなげていく必要がある脳機能障がいである。 専門的な支援者のより尐ない児童養護施設や、専門的な知識のある者のい ない普通学級で、支援なく生活を続けることよりも、専門的な支援者のい る放課後等デイサービスにおいて、生活能力の向上のために必要な訓練等 の支援を受けることができることの方が、A 君の成長にとって有効と考え たからこそ、今回の利用に至ったのであろう。 以上のことを、各機関がそれぞれに、資料や言葉を使って、説明してき たことが聞き取りから推測できた。 2 今回の場合、A 君は、児童養護施設に入所しており、日常生活を申立人 が常に把握できる状況ではない。故に、放課後等デイサービスの利用が適 切かどうかを判断できる状況ではないといえる。従って、A 君の日常生活 を常にみている B 児童養護施設の判断が適切か不適切なのかは、母親およ び福祉事務所では判断するのは難しい。また、事業所の説明を聞き、これ 57 保健福祉オンブ まで実施してきた相談および手続きに関しては、法律に基づいて、適切に ズマンの見解 制度運用をしていると考える。 3 事業所に対し、要望を述べる。 まず始めに、きめ細やかな母親への支援が必要と考えられる。説得ではな く、理解をする過程への支援の必要性を感じている。書類的な手続きは、問 題なく遂行しているが、 だからといってその内容について十分理解している とは限らないであろう。人間は感じている不安等の感情が大きいほど、どの ような言葉も、理解が困難になる特徴をもつ。今回の場合も同様に、不安や 不満等の緩和、解消を同時に行う必要があるだろう。 また、母親曰く、本人も発達障害を有しており、説明に対する理解に困難 を伴う部分もあるのではないか。発達障害は社会性、特に対人関係に問題が 生じやすい障がいとされる理由である。 従って、サービス利用等において、支援を行っていく際に、理解を促す 過程においての工夫が必要であると感じる。ただし発達障害は、個人差が とても大きく、この伝達方法が最適である、というものはない。母親を支 援している関係機関との情報共有を図り、より適切な伝達方法を工夫し、 実施して欲しいと考える。 加えて、事業者からの提案通り、直接、本人を含めて支援関係機関が集 まること、そして、状況の確認と情報の共有などをする場を持つ必要があ るのではないかと考える。 本人を含め、関係者が直接会うことが、本人の不安、不満を緩和し、現 状への理解を促し、より効果的な支援体制の構築に寄与できると考える。 NO.7 福祉事務所が個人情報を漏えいしたことについての苦情 苦情申立ての 対象機関 苦情申立ての 趣旨 福祉事務所 (1) 事案の概要(苦情申立ての事情) 申立人は、病院調理の仕事をしていたが、平成25年10月、勤務中 左肩を痛め、翌日から仕事ができなくなったため、仕事を休んで通院治 療を受けた。社会保険による休業補償のみでは二人の子どもを抱えて生 活ができないため、平成25年12月から生活保護を受給するようにな った。休業中、社会保険で痛めた左肩の手術をし、リハビリ通院を続け ていた。平成26年10月、会社の規定では休職期間は1年とされてい たため、会社と相談して復帰を目指したが、会社から紹介された仕事は 申立人の意に沿うものではなかったため、会社を一旦離れることになっ た。申立人は、生まれつき右肩の腱が弱いという持病があったため、こ の機会に生活保護の医療券で手術を受け、体調を万全にして仕事に戻れ るようにしたいと考え、12月初めに、その手術を受けることになった。 そうした事情はすべて担当のケースワーカーには報告していたが、入院 中、手術後の痛みでつらい思いをしていた時に、会社の上司が病室を訪 ねて来て、退職届を書かされた。その際、その上司から、生活保護を申 58 苦情申立ての 請するなら働かなくてもいいんじゃないなどと言われた。会社の人間に 趣旨 は自分が生活保護を受けていることは話していないし、入院しているこ とも話してはいない。会社の人間、とりわけ、その上司には以前パワハ ラを受けたこともあって、生活保護を受けているなどといったことは知 られたくなかった。それが会社の人間に知られてしまったことで、大き なショックを受けている。福祉事務所の職員に対する不信感も大きい。 この問題について、組織としてきちんとした対応もない。 (2) 申立ての趣旨 生活保護受給者にとって、生活保護を受けているということは、人には 知られたくないことである。個人情報の漏えいである。福祉事務所の職員 は、そうした重大な個人情報を管理しているという自覚と責任がない。係 長に申し入れたが、明確な謝罪もなく、組織として改善策の提示もない。 重大な問題だと考えるので、調査をし、保護の徹底を図ってほしい。 事業者の説明 (1) 担当ケースワーカーの説明 社会保険から生活保護に全面的に切り替わるとなれば、ブランクの期間 を作らないため、社会保険喪失日について正確な日付を把握しておく必要 がある。特に、月の途中で切り替わる場合、診療報酬請求事務の関係で、 きちんとしておかないと医療機関や保険組合にも迷惑をかける。申立人に は、資格喪失日について正確な日付を連絡してもらうことになっていた が、その連絡がなかった。申立人の自宅へ電話をしたが、だれも出ず、本 人の携帯に電話しても応答がなかった。そのとき、申立人が手術のために 入院していることに思い至ったが、医療機関による11月分の請求日が迫 っていたため、早く手続きを進めなければと考え、健康保険組合へ電話し て尋ねたところ、喪失届はまだ提出されていないとのことであった。その 際、電話に対応した健康保険組合の人から、会社で手続中かもしれないか ら、会社に尋ねてみてはどうかと言われたため、会社に電話した。すると、 会社にもまだ退職届が提出されていないことが分かった。そして、会社も 本人と連絡が取りたいというので、入院先の病院を教えた。 生活保護受給の事実は個人情報であり、安易に第三者に教えてはならな いということは理解していたつもりだったが、この時は、健康保険の切り 替えを速やかにやらなければならないということがまず意識にあって、個 人情報の保護ということには、思い至らなかった。深く反省している。 (2) 係長の説明 申立人が事務所に来所した際、抗議を受け、担当を変えてほしいと言 われたが、そのときは担当者から事情を聞いていなかったため、改めて 担当者から事情を確認し、対応させてもらうという認識だった。担当者 の変更も地域との関係があり、簡単にはできないとお断りした。担当者 の対応で申立人に不快な思いをさせてしまったことは改めて謝罪した い。ただ、申立人から、個人情報保護の徹底について、組織としての対 策を示すようにと求められていたとの認識はなかったため、そのことに ついて申立人へ報告もしてはいない。 59 事業者の説明 (3) 所長の対応 事務所内で個人情報の保護について周知させてはいたが、申立人の方 に不快な思いをさせて申し訳なかった。配慮が足りなかった。申立人が 担当者とコミュニケーションがとれないために、必要な保護を受けられ ない事態は許されないので、早急に申立人に謝罪し、福祉事務所との関 係を修復していきたい。 保健福祉オンブ (1) 本件では、①申立人が生活保護の受給者であるということと、②申立 ズマンの見解 人の入院先が第三者に伝えられてしまったことが問題になるが、はじめ (是正勧告) にこの 2 つの事実が、個人の秘密として保護されるべきものかどうかに ついて、念のため検討しておく。 まず、①であるが、生活保護の受給は国民の権利であり、何も隠すべき ことではないとしても、世間では、生活保護受給者を怠け者と見たり、 「働 かなくて良い身分だ」などと心無い見方をする者があるのも現実である。 生活保護受給者の中にも、受給することは恥ずかしいことだと感じている 者も尐なからず存在する。そうであるなら、生活保護受給の事実は、他人 に知られたくないこと(秘密)であると見るべきである。次に②であるが、 個人の健康状態に関する事項は一般に他人には知られたくない個人情報 であるということができる上、入院中であるという事実は、その人の健康 状態がよくないことを示すものであるし、一般に入院は好ましくないこと と受け止められているから、入院しているという事実は他人には内緒にし ておいてもらいたい事項と考えられる。病院名が分かれば、どのような病 気なのかを推測することも不可能ではない。その意味で、今どこの病院に 入院しているという事実は、第三者には知られたくない個人情報(秘密) ということができる。 以上より、上記①及び②の事実は、いずれも、みだりに他人には開示さ れてはならないものであるということができる。 (2) 本件の場合、担当者は、健康保険の資格喪失日を至急知りたいとの思 いから、申立人の勤務先に電話をかけ、用件を伝えるに当たって、申立 人が生活保護受給者であることを話してしまった。担当者とすれば、本 人のためにも急ぎ手続を済ませたいとの思いで行動したことであるこ と、また、抱えている担当者が 100 件もあり多忙な業務をこなしており、 時間的にも余裕がないなどの事情は分からなくはないが、会社の担当者 に「申立人が生保受給者であること」を伝えてしまったのは軽率であり、 弁明の余地はない。入院先を教えたことについては、相手(会社)は申 立人と至急連絡を取りたがっていたのだから、相手に入院先を話せば、 相手(会社の人間)が病院に出向いていくかもしれないことも考えられ たはずである。一般に、第三者から本人の所在や連絡先を聞かれた場合、 聞かれた者は、第三者に知らせることの同意を得ていない場合は、それ を断るのが通常の対応である。本件では、会社にとっても至急の手続き が必要だからと好意的に考えたのかもしれないが、入院先を教えたこと は軽率であったと言わざるを得ない。当オンブズマンが事業所に調査に 60 保健福祉オンブ 出向いた際、担当者も、上司も、所長も「配慮が足りなかった」旨の説 ズマンの見解 明をされたが、この問題は「配慮」の問題ではない。生活保護受給者の (是正勧告) 個人情報を取り扱っている職員として、その個人情報の管理・保護をど れだけ正しく認識していたかという問題である。担当者にその認識があ れば、会社に電話で尋ねるのではなく、改めて、家族と連絡を取る努力 をしたものと考えられる。申立人から苦情を受けた係長も、申立人が何 を求めていたか、すぐに了解できたはずである。その意味では、単に担 当ケースワーカーのみの問題とは思えない。 (3) 地方公務員法第 34 条には「秘密を守る義務」が規定され、 「職員は、 職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。」と定められているが、その 規定の意味を再度確認しておく必要がある。その趣旨から、オンブズマ ンとしては、本事業所に対して、以下のとおり改善を勧告する。 ① 生活保護受給者であるということは、受給者にとっては重大な秘密 であることを、全職員が再認識することが必要である。そのための方 策を検討し、実施すること。 ② 過去に自分が関わった生活保護受給者について、第三者に対して、そ の事実を話してしまったことがないかを全職員に思い出してもらい、な ぜ話してしまったのかを思い出してもらうこと。この点について、必ず しも調査・集計を行なうことまでは求めないが、全職員がこれまでの活 動を振り返ってみることは必要である。 ③ 本件のように生活保護受給者について第三者に照会を求める場合な どにおいて、当該保護受給者の生活保護受給の事実に触れずに目的を達 する方法について、経験を共有し、マニュアル化を図る。研修会、ディ スカッションの場などを設け、マニュアル化できるものは、文書等に残 すこと。 ④ 事務所内の内部的な研修・討論の場以外に、こうした守秘義務のテー マについて、所外の研修にも積極的に参加を促し、事務所内でも、その ために意識向上のための取り組みを検討すること。 事業所からの 改善報告 1 生活保護受給者であるということは、受給者にとっては重大な秘密で あることを、全職員が再認識することが必要である。そのための方策を 検討し、実施すること。 今回、生活保護受給者であるという極めてセンシティブな情報を不用意 に外部に伝えてしまったことは、大変遺憾である。重大な秘密であること を全職員が強く認識し、二度とこのようなことを起こさないために以下の 措置を講ずる。 (措置)全職員参加の事務研究会(隔月開催)において、本件を事例とした 研修を実施し、別添「生活保護手帳 別冊問答集 2014」の秘密保持 問 13-31「被保護者の氏名と秘密保持」の内容を十分に斟酌したうえ、生活保 護受給者であるということの重大な秘密について、全職員の再認識を図る。 具体的には、事象が発生した場合の窓口や電話における対応について、類 似事例等を題材とし、実際に繰り返し練習する等して、認識の浸透を図っ 61 事業所からの 改善報告 ていく。 2 過去に自分が関わった生活保護受給者について、第三者に対して、そ の事実を話してしまったことがないかを全職員に思い出してもらい、な ぜ話してしまったのかを思い出してもらうこと。この点について、必ず しも調査・集計を行うことまでは求めないが、全職員がこれまでの活動 を振り返ってみることは必要である。 (措置)個人情報の取り扱いについての職員への質問票 ( 個人情報を第三者 に話してしまったことがあるか、また、あればその理由は何か、他の方法 はなかったのか、など ) を作成し、これまでの第三者とのやりとりについ て振り返って記入してもらい、その適否について検討し、今後の対応に活 かしていく。 3 本件のように生活保護受給者について第三者に照会を求める場合な どにおいて、当該保護受給者の生活保護受給の事実に触れずに目的を達 する方法について、経験を共有し、マニュアル化を図る。研修会、ディ スカッションの場などを設け、マニュアル化できるものは、文書等に残 すこと。 (措置)個人情報持ち出し時の紛失や盗難、また、誤送付・誤送信等の対応 マニュアルは作成しているが、地方公務員法に抵触するような、職員自ら が個人情報を漏らすという本件のような事例に対してのマニュアルとして は不十分である。今後、事務研究会等において継続的に事例について情報 収集を図り、その適否について検討・討論し、事例についてのQ&A等の マニュアル化を図る。 4 事務所内の内部的な研修・討論の場以外に、こうした守秘義務のテー マについて、所外の研修にも積極的に参加を促し、事務所内でも、その ために意識向上のための取り組みを検討すること。 (措置)東京都や特別区など、所外主催の研修が実施され、必須研修につい ては受講しているが、任意参加の研修については、業務優先で時間的に出 席できていない状況が見受けられる。今後は、職員が順次、交代で研修に 参加しやすい体制を組むところから改善し、積極的に参加を促していく。 NO.8 介護保険の生活援助についての苦情 苦情申立ての 介護保険課 対象機関 居宅支援事業者 苦情申立ての 趣旨 平成 27 年 3 月 16 日(月)午前 10 時 30 分から、男女平等推進センタ 1 ー会議室において申立人から事情聴取を行った。苦情の趣旨は以下のと おりである。 ⑴ 自分は二世帯住宅の一階に住み、住民票も二階に住む父母とは別世帯 となっている。要介護1の認定を受けた母は通院の付き添いサービスは 認められたが、同居の家族がいるという理由で生活援助サービスは認め 62 苦情申立ての られないと言われた。 趣旨 他区に住む友人は区営住宅で父親と同居しているが生活援助の介護 サービスを受けている。区によって同居の認定に差異があるのは納得で きない。板橋区においても母親の生活援助サービスを認めるべきであ る。 ⑵ 当初、担当事業所のケアマネからは、自分が同居の親族であるから 母は生活援助サービスが受けられないと説明されていたが、途中から 父親が同居の親族であることも理由であると説明しだした。初めから 十分な説明がなされていない。 2 申立人が主張する苦情の理由は以下のとおりである。 ⑴ 一戸建ての一階に自分、二階に両親が住んでいる。父が廃業するま では一階の工場で印刷業を営んでいた。この一階部分を改修して自分 が居住することになった。玄関は二つあるが、新しく作った1階の自 分の居住部分に直接入る玄関と昔の工場に入る玄関があり、この古い 玄関を入るとすぐに二階に上がる階段があり、両親はその玄関を使用 している。この玄関の奥が自分の部屋で、階段と玄関は共有である。 ⑵ 住民票は自分と両親は別世帯になっているが、電気水道などの光熱 費は自分の1階分も両親の口座から引き落とされている。 ⑶ 母は昭和8年7月生まれの81才であり、昨年 11 月に胸椎圧迫骨折 により入院した。介護認定期間の期限が終了するため再認定をしても らったところ、要支援から要介護1に区分変更になった。母は無年金 であり、自分が母には時々小遣いを渡している。 ⑷ 父は昭和3年5月生まれの86才であり、年金受給者である。足腰 が弱っておりリハビリなどで通院しており、日中はほとんど家にはい ない。 ⑸ 自分は朝早く5時に仕事に出て、夜9時という遅い時間に帰る生活 であり、母の世話をすることができない。 ⑹ この様な状況で、自分は要介護1の認定を受けた母と同居とみなさ れたため、母が希望するサービス(生活援助・買い物と掃除)を認め て貰えない。 ⑺ 他区に住む友人は、区営住宅で父親と同居しているが脳梗塞で倒れ た父親に同様のサービスが認められたと聞いている。どうして板橋区 は認めてもらえないのか。同居家族の考え方が区によって違うのでは ないか。納得できない。 事業者の説明 1 平成27 年 3 月 23 日(月)午後 3 時 30 分から、区役所2階介護保険課にお いて介護保険課長、指導係長、同係主査、給付係長から事情聴取を行った。 ⑴ 介護保険課給付係に、匿名で同居家族がいる場合についての問い合せ があった。対応した係員は、一般的な説明をし、ケアマネとよく相談す るようにと回答した。 63 事業者の説明 ⑵ 同居家族の考え方は、国からの通知文に添って板橋区も判断をしてい る。 区は平成 20 年 2 月の板橋区介護保課長名の通知文により、 『同居家 族の考え方』について関係者には周知しており、介護事業所やケアマ ネ、サービス提供事業所、地域密着事業所、デイサービス事業所、地 域包括を含め、年に数回実施している連絡会や研修の場で、国の通知 や制度改正について説明している。事業所間の統一性の確保について は、区が作成している確認シートなどをケアマネが利用することや、 サービス担当者会議が重要である。それぞれの世帯の状況が異なるた め、個別の積み重ねで判断するしかない。 ⑶ 専門職であるケアマネがケアプランを作成し、作成されたケアプラ ンは、サービス担当者会議の中で、ご本人、家族、ヘルパー事業者が 出席し、ケアプランの内容の妥当性について検討した上で決定してい る。 ケアマネが事情を把握し、ケアプランを作成しているため介護保険 課では個別事案の個別の状況までは対応しきれないのが現状である。 介護保険に関する区民の問い合わせや苦情の窓口としては、区の介護 保険苦情相談室がある。また、国民健康保険団体連合会(国保連)で も対応している。 ⑷ 同居家族の考え方についての区民への周知方法としては、介護認定の 結果が出た時に、認定区分・認定期間が印字された介護保険証と一緒に 『同居家族等が居る場合の訪問介護サービス』についての説明文書を同 封して郵送している。さらに、地域包括支援センターやケアマネが内容 について直接本人に説明している。 2 平成27 年 3 月 30 日(月)午前 10 時から、事業者株式会社ケアサー ビス居宅支援坂下において、所長、担当ケアマネから事情聴取を行った。 ⑴ 申立人との時系列によるやりとりは以下のとおりである。 ・2 月 9 日に所長と担当ケアマネの二人で自宅を訪問し、母親(サービ ス利用者)と家族の意向を聞きとった。舟渡地域包括からの紹介との ことであり、申立人(長男)から電話で依頼された。家族から買い物、 掃除、通院介助の希望が出されるが、同居家族がいる場合、買い物や 清掃の生活援助は難しい事を伝え、申立人である長男は納得した。代 替案として社会福祉協議会のぬくもりサービスを紹介した。 ・2 月 16 日、母親の通院介助サービスの利用にあたり、ケアマネが作 成したケアプランについての担当者会議のため、ケアマネ、ヘルパー事 業所(所長、サービス提供責任者)等が本人宅を訪問した。 母親、申立人同席のもとケアプランについて説明する。 2 月 9 日時点では、通院介助のみが、サービスの範囲で利用できるこ とを申立人は納得していたが、この日は申立人から「住民票が別になっ ていて別世帯なのに、生活援助サービスが利用できないのは納得できな い。区議会議員にも相談したが、利用出来るのではないかと言われた。 ぬくもりサービスは、社協の担当者の態度が悪いのと、母親以外に父親 64 事業者の説明 の年会費が必要と言われたので断った。」などとの発言があった。 ・2 月 24 日、自宅訪問し、母親と申立人に板橋区の生活援助に関する 考え方について、所長が区からの資料(平成 20 年 2 月の板橋区介護保 険課長名の通知文)を提示しながら説明し、その後資料を申立人に渡し た。申立人は区の考え方については理解を示すが、「実際にサービスを 利用している知り合いが居るのに、自分の家がサービスを利用出来ない ことには納得出来ない」と再度発言があった。 ・3 月 3 日、申立人より連絡あった。「資料の内容は理解した。板橋区 の生活援助に関する見解がある以上、ケアマネとしての立場も理解でき る。ただ、家と同じ状況で生活援助を利用している方がいるのが納得で きない。同じ状況で生活援助ができる、できないの差は何かを板橋区に 聞いてみる。 」との発言があった。 ⑵ 介護保険法についての説明は十分したつもりであるが、申立人がどの 程度理解いただけたかは不明である。ヘルパーの役割は家政婦とは違う ことについて理解されていたか否かも不明である。最初の面談の時に世 帯の考え方、同居の家族の考え方、父親も同居人であるということにつ いての説明はおこなった。その後に申立人がご自分のことだけにこだわ られたので、父親の話を再度してはいないと思うが、最初から父親の話 をしていないということはない。 ⑶ 申立人の父親の病状把握はしていない。リハビリの状況もわからな い。毎日出かけていて、今まで買い物もしていたようなので同居の家族 として判断していた。 申立人の友人の話については個別の内容については何も聞いていな い。 ⑷ ケアプランの『利用者及び家族の生活に対する意向』欄の『家族の 意向』の部分に申立人の意向や父の状況が記載されていないのは、二 回目の訪問の際に申立人が通院介助の利用で納得されたと思っていた ので決定したことのみ記載した。 保健福祉オンブ ズマンの見解 申立人、板橋区介護保険課長、指導係長、同係主査、給付係長及び事業者 の担当ケアマネージャーらからの事情聴取に基づく、オンブズマンの意見は 以下のとおりである。 1 まず、介護保険課に対しては、次のような配慮を求める。個々の介 護サービスの内容はケアマネが作成するケアプランが基礎となり、事 業者と利用者の契約により決まるものである以上、介護保険課として も個々の契約内容に関わることができないことは理解できる。しか し、他方、介護サービスを受ける区民にとっては安心な介護サービス 受けられることを期待すると同時に公平なサービスを受けたいと考 えるのも理解できるところである。 そうであれば、介護に関わる区内の各種事業者、ケアプランを作成 65 保健福祉オンブ するケアマネなどの関係者において、どのような介護サービスの提供 ズマンの見解 が可能かについて、公平なサービスの提供を求める区民に不信感を抱 かせないような統一的運用が図られるよう介護保険課としても配慮す ることが望まれる。 介護保険課からの事情聴取によれば、研修会等で国の通知や制度の 改正などについては関係者に説明はしているとのことであったが、 「同 居の家族」に関する考え方の区の説明文書としては平成 20 年 2 月の板 橋区介護保険課長名の通知文が最新のものであり、その後新たに作成さ れた資料はなく、また、本件事業者は今回上記資料を区から入手した以 前にこれを所持していた形跡がないことなどから、事業者などにどこま で周知されていたかについては疑問もある。 そこで、介護保険課には、事業者等に対する判り易い資料の提供によ る周知の方法などについてさらに検討し、また、区民に対し統一的な介 護サービスの提供が可能となるよう関係者の研修を充実するなど更な る周知徹底を望むものである。 2 次に、事業者に対する意見は、以下のとおりである。 介護サービスという業務内容の性質から、サービス利用者と提供者 間においては強い信頼関係が必要となる。その為には事業者、ケアマ ネにはケアプランの作成段階から利用者に対してどのような場合にど のようなサービスの提供が可能か等について十分な説明がなされるこ とが不可避である。 特に情報が氾濫している現状においては第三者から簡単に情報が入 手でき、その結果他者との比較も容易であるから、他者との違いにつ いて説明を必要とする場合もある。 本件においては、当初から同居の家族の考え方について利用者(母 親)や申立人に対し十分な説明がなされていたか否かは明かでないが、 尐なくとも友人家族とのサービスの違いについての疑問が出された時 点で、再度『同居家族等が居る場合の訪問介護サービス』についての 説明を行うべきだったのではないか。今後は利用者及び家族から信頼 される関係を構築するためにも、家族の状況を把握し総合的に判断し た上で、十分な説明責任を果たしていただきたい。 3 最後に申立人に対して望むのは、以下のとおりである。 他区に住む友人からの情報から、申立人が同じ条件と判断した申立 人の母親が友人家族と同様な介護サービスが受けられないことへの不 満と思われるが、事情聴取によっても申立人家族と友人家族が全く同 じ条件であるかは不明であった。サービス利用者の要介護度によって 66 保健福祉オンブ は受けられるサービス内容が異なるものになることから、同居の親族 ズマンの見解 か否かの考え方、適用の違いだけで今回受けられる介護サービスの内 容につき友人家族と差異が生じたのではないかとも考えられる。 いずれにせよ、介護制度の内容が複雑であり、納得がいかないこと もあり得ることは理解できるところであるから、今後は信頼関係を維 持しなければならない事業者、ケアマネと十分話し合い、納得できる まで説明を受けるようにしていただきたい。 NO.9 保育園等に入園できないことへの苦情 苦情申立ての 保育サービス課 対象機関 申立人は、臨月であった昨年(平成 26 年)6 月にくも膜下出血を発症し、 苦情申立ての 趣旨 意識不明のなか長女(第 2 子)を出産した。3 か月の入院後育児休業に入った が、右半身マヒが残った。その後、保育所の申し込みをするにあたって「育 児休業中」とするか「障がい者」で申し込みをするか保育サービス課と何回 か相談した。 障害者手帳は、疾病発症後 6 か月以上経過しないと交付されない。そのた め、保育サービス課に医師の診断書を提出するよう言われた。診断書を提出 したものの、病気扱いになって「育児休業中」よりも点数が低くなった。入 園について保育サービス課に何回も相談したものの、 「育児休業中」として申 請したら入園できたはずが、 「病気」扱いになったため入園できなかった。そ の後、別のベビールームに入園できたものの、2 人の子どもが異なる園に通う ため送迎が困難である。 保育サービス課の対応と、保育の実施基準表に納得がいかないため、苦情 を申し立てた。 平成 27 年 4 月 7 日午前 9 時 30 分から 10 時 30 分まで、区役所保育サービ 事業者の説明 ス課を訪問し、課長、入園相談係長、入園相談副係長、職員の計 4 名と面談 した。聴取した結果は、以下のとおりである。 1 平成 26 年 11 月に、申立人の夫が長女(第 2 子)の入園相談に来た際、 きょうだいの調整指数については説明した。夫が、 「妻は、右半身マヒのため 職場復帰が難しい」と話したため、保育園入園申込みには「診断書が必要で ある」と回答した。保育サービス課の記録にも、 「4 月からの職場復帰は難し い」と記載されている。 「保育の実施基準表」の点数については、断定した意 見を述べてはいない。対応した職員は 4 年目のベテランである。もし点数に ついて説明した場合には必ず記録に残すようにしているが、点数についての 記録は残っていないので、点数についての説明はなかったものと考える。 2 入園の可否を決定する選考会議では、グループで確認して結論を出すこ とにしている。申立人は、診断書によれば、日常生活において自力で食事・ 排泄可能だったので、寝たきりとは判断されず、実施基準表の点数としては 67 事業者の説明 「27 点」 (傷病)が妥当と判断した。保育サービス課では、平成 27 年 4 月の 申立人の状態で判断せざるを得ないが、回復の可能性についても、診断書に は「リハビリ中」と書かれていたため、4 月の職場復帰は困難と判断した。 申立人は、ご自身のことを 1 級の障がい者に該当するため基準表による 3 「30 点」にあたると判断されたようだが、提出された診断書からは 1 級であ るという判断はできない。身体障害者手帳の交付には 6 か月以上かかる。 選考会議での申立人世帯の点数は、夫が 30 点、妻が 27 点、きょうだい 4 加算 3 点の合計 60 点であった。第一希望園(第 1 子が入園中)の入園最低点 数は、0 歳児で「61 点」であり、しかも、61 点の点数をつけられていても「入 園待ち」の世帯がある。第二希望の園での点数は、きょうだい加算がなくな るため、申立人世帯の点数は 57 点となる。この園での入園最低点数と待機世 帯の最高点は、ともに 0 歳児が「61 点」であった。 今回の申立による問題点は、以下の 2 点である。 保健福祉オンブ ズマンの見解 一つ目は、保育サービス課職員の対応の問題である。申立人は、平成 26 1 年 7 月、同年 11 月、平成 27 年 1 月、同年 2 月の計 4 回にわたって、保育サ ービス課に相談したものの親身になって答えてもらえず、また、申立人に不 利な誘導をされたという。 2 二つ目は、 「保育の実施基準表」と保育園入園業務についての問題である。 障害者総合支援法によって、地方自治体は障がい者の自立を支援する立場で ありながら、例外を排除することで業務を維持しているようにみえるという ものである。 まず、1の問題に関して、順を追って、保育サービス課に対する 4 回の相 談について検討する。 (1)1 回目(平成 26 年 7 月) 申立人は入院中のため、夫が、保育サービス課に相談。長女は、生後間も ないため(およそ生後 1 か月)、預かり先がなかった。医師の診断書にも不備 があったため、提出はしなかった。⇒8 月に「不承諾通知」がくる。 (2)2 回目(平成 26 年 11 月) 申立人は電話で、夫は窓口で相談する。現在育休中だが、病気のため障が いを持った。障害者手帳は発症から 6 か月経たないと申請できないため、ど のように入園申込みをしたらよいかと保育サービス課に相談した。診断書の 提出を求められたため、提出した。 (3)3 回目(平成 27 年 1 月) 長男(第 1 子)の保育園継続案内で、どのように申込みの手続きをすべき かを相談した。その際、 「育休」ではなく、障がいについての診断書を提出す るよう言われた。⇒1 月 22 日に障害者手帳交付。2 月 14 日「不承諾通知」を 受ける。 (4)4 回目(平成 27 年 2 月 16 日) 夫が、保育サービス課の窓口に出向いて相談した。診断書を提出すると傷 病扱いになることがわかる。また、2 次審査では点数が低くなることがあり、 新たな職場(就労時間が短くなる)ではさらに点数が低くなると言われた。 68 保健福祉オンブ ズマンの見解 1 回目の相談に関しては、生後およそ 1 か月の長女の保育先に関しての相談 であり、受け入れ先がないことは申立人も理解したものと思われる。また、4 回目の相談時には、すでに入園の選考が終了し「不承諾通知」が届いた後で あるため、2 回目と 3 回目の相談について、見ていく。 2 回目、つまり平成 26 年 11 月の相談に関して言えば、申立人側は、 「平成 27 年 4 月の時点では、申立人が育休中である」ことを伝え、 「育休」で申請す るのがよいか、それとも「障がい」で申請するのがよいのかと尋ねたとして いる。しかし、保育サービス課は、申立人の夫が窓口での相談の際に、 「妻が 現在リハビリ中であること」、「職場復帰は困難だろう」と話したため、平成 27 年 4 月以降は申立人が就労はせず、家庭において長男・長女の育児を担当 するものと理解したと思われる。 このように、両者の言い分は、異なっている。申立人側は、 「育休」という 4 月以降も就労をする前提で申請するか、 「障がい」により保育ができないと いう事情で申請するほうがよいのかという認定区分を問うたのに対し、保育 サービス課の側は、就労はしないであろうという前提のもとで、 「傷病」か「心 身障がい」の証明に必要な診断書の提出について述べている。つまり、申立 人の「就労」に関する両者の捉え方に齟齬が生じていると考えられる。その 時のやりとり(会話内容)に関して、現時点でその是非を問うことはできな い。認定区分に対する質問に答えていないとすれば、職員の対応が充分では なかったといえるし、夫の「職場復帰は難しい」という状況説明への対応と して「診断書を提出してください」と話したとすれば、その対応自体が不適 切であったとはいえない。しかし、いずれにせよ職員の側に「育休中」とい う就労に関する認識が欠けており、11 月時点で職場復帰が難しいと考えられ たとしても、翌年 4 月以降に職場復帰(就労)できる可能性について確認す べきではなかったか。 3 回目(平成 27 年 1 月)に、再びどのように申請すべきかを相談した際、 「育休」ではなく、障がいについての診断書を提出するよう保育サービス課 から言われたという。このとき、申立人夫婦がどのように 4 月からの就労や 世帯状況について話したかによって、区職員の対応が適切であったかどうか の判断は異なる。以前の職場に復帰するか、新しい職場へ転職するという「就 労」の予定があるならば、 「居宅外労働」に該当するため勤務証明書が必要と なる。そのような就労の予定(可能性)を伝えているにもかかわらず、診断 書提出を求めたとするならば、職員の対応ミスといえるであろう。 申立人は、自身の体調と労働内容、労働時間、通勤時間を考え合わせると、 元の職場への復帰は困難であると考えた。障がい者枠で別の会社に応募した ところ、平成 27 年 2 月 16 日に内々定の通知を得て、5 月 1 日から働けるこ とになったという。申立人に 1 月 22 日に障害者手帳が交付され、2 月 14 日 に入園の「不承諾通知」 、2 月 16 日に新たな職場の採用通知(内々定)がきた ということだが、新たな勤務先への応募はいつだったのだろうか。以前の職 場に復帰するか、新しい職場へ転職するという「就労」の予定があるならば、 3 回目の相談のときに話しておく必要はなかっただろうか。 つまり、ここでの問題は、11 月と 1 月の相談時点で、申立人夫婦が、4 月 69 保健福祉オンブ ズマンの見解 の状況をどのように伝えたかが最大の焦点になる。それによって、職員の対 応の正否の判断は異なる。 つぎに、二点目の「保育の実施基準表」について検討する。 ① 平成 27 年度 4 月から始まった子ども・子育て支援新制度では、保護者が 保育園を利用する際には「保育の必要性」の認定を受けることになった。 利用申し込みを行なうことで認定申請を兼ねることになる。 ② 『保育利用のしおり(平成 27 年度用)』によれば、「保育園に入園できる 基準」が 8 項目挙げられている(p.7)が、そのなかで今回の申立内容と 関係のある項目は、 「(1)保護者が仕事をしている場合」 (以下、 「居宅外 労働」と略記する)、「(3)保護者が疾病、心身の障がいなどにより、そ の児童の保育ができない場合」(以下、「傷病・心身障がい」と略記する) の 2 つである。 ③ 申立人は、平成 26 年 11 月の相談(入園申し込み)時点では、育休中であ り翌年 4 月以降も勤務継続予定であれば、 「(1)居宅外労働」に該当した。 しかし、くも膜下出血の後遺症によって右半身マヒが残ったため、 「(3) 傷病・心身障がい」として申請するのが適当かどうか迷った。 ④ 入園希望者が当該保育園の定員を超える場合に、保育を必要とする状況を 指数化して入園の順位を決める基準が、 「保育園に入園できる基準表」 (pp. 14~16)である。ここには、「申込時の状況が入所時も継続していること を前提とする。 」という一文も書かれている。 ⑤ 申立人は、申立がなされた際には育児休業中であり、第 2 子が保育園に入 る予定の平成 27 年 4 月 1 日入園時点にも勤務先での籍があることになっ ている。もしそのまま育児休業期間終了後職場に復帰するならば、「保育 の実施基準表」の「1居宅外労働(①外勤)月 20 日以上、日中 8 時間以 上の就労を常態 30 点」に該当したはずである。 ⑥ しかし、夫が入所相談をした平成 26 年 11 月の時点では、申立人がリハビ リ中であったため、保育サービス課は夫の話から 4 月の職場復帰は困難で あると判断し、診断書の提出を求めた。「職場復帰は困難」という記述が 課の記録に記載されているということから、職員は「1居宅外労働(①外 勤) 」ではないと考え、 「3病気等」のなかの「⑦傷病(居宅)居宅内の常 時臥床、精神性、感染性以外で、日常生活に著しく支障があると認められ るもの 27 点」であると判断したといえる。その結果、入所に必要な点 数に足りず、平成 27 年 2 月 14 日に「不承諾通知」を受け取ることになっ た。 ⑦ しかし、平成 26 年 11 月の相談時点では、 A…育休中⇒4 月から職場復帰(居宅外労働、正規時間勤務) 30 点 B…育休中⇒復帰困難(傷病(居宅)) 27 点 C…育休中⇒新職場に 5 月から移る(居宅外労働、短時間勤務) 22~28 点 の3つの可能性があるわけで、以上のうち、どのように話したかによって、 指数は異なる。 指数について検討した結果、申立人のようなケース、つまり障がいがあっ 70 保健福祉オンブ て就労する場合が想定されていないのではないかと考えた。 「30 点」の居宅外 ズマンの見解 労働はフルタイムの労働者に該当し、短時間や週 4 日の労働を選択した場合 には「22~28 点」となる。つまり、この基準表によると、保護者本人の健康 (障がいや病気)上の理由や家族等の看護・介護等による短時間労働の選択 は、健康上の問題がないフルタイムで働ける人よりも、入園が難しくなる点 数設定になっている。 法律に照らし合わせれば、2012 年に成立した障害者総合支援法において、 また、2013 年 12 月に日本政府が批准した障害者権利条約においても、障が い者が就労を継続あるいは職業に復帰する際の支援の促進が規定されてい る。 また、一般的にいって、障がいや病気を持ちながら就労する場合は、保育 の必要性が高いといえるだろう。申立人の場合も、面談時に書類記入や長女 を抱きかかえる行動を見た印象では、日常生活動作において自立していると はいえ、障がいのない人と比べて時間がかかることが理解された。ましてや、 申立人が述べたように、活発に動き回る 3 歳の長男の保育園送迎や育児には 相当の困難が予想される。障がいのない保護者と比べて「保育の必要性」が 高いのは明らかである。 従来の児童福祉法施行令第 27 条に規定された「保育に欠ける」要件以上に、 新制度の根拠法である子ども・子育て支援法では「保育を必要とする」認定 を行なうことによって子育て家庭を支援する理念が強調され、第 3 条では市 町村の責務について述べられている。また、上述のとおり、障害者総合支援 法による障がい者支援の観点からも、労働時間の長短だけでなく、子どもと 保護者が置かれている環境に応じた保育の提供を可能にするために、 「保育の 実施基準」の見直しが必要ではないだろうか。 結論として、オンブズマンとしては以下のように考えるに至った。 問題の 1 点目は、保育サービス課の対応についてである。職員が、申立人 に不利な誘導をしたとは断定できない。申立人の夫が「障がいのため、職場 復帰は困難だと思う」と述べたのであれば、職員としては、申立人が就労を しないと考えて、傷病や心身障がいの確認のための診断書の提出を求めたと いう対応は妥当だといえるだろう。また、申立人側が、「障がいを持ったが、 就労自体は継続する」という点を強調していたならば、職員も異なる対応を した可能性もある。しかし、 「育休」という 4 月以降も就労をする前提で申請 するか、 「障がい」により保育ができないという事情で申請するほうがよいの かという認定区分を問うたとしたら、その問いに対する明確な回答はなされ ていないと判断する。念のためいえば、 「育休中」と「傷病」のどちらを申請 理由にすれば入園選考の際有利になるかについては、公平性を旨(むね)と する職員が答えられないのは当然である。このときのやりとりを、現時点で 判断することはできない。 いっぽうで、第 1 子のときは「就労」で入園が可能であった申立人が、突 然の病を得て半身マヒという障がいをもつことになりながらも、2 人の子ども の育児に懸命に取り組んでいるときに、職員の対応に共感的な姿勢が認めら れたかどうかは不明である。およそ 4,000 件もの入所申込を受け付ける保育 71 保健福祉オンブ サービス課は、おそらくもっとも多忙な部署のひとつであることは理解でき、 ズマンの見解 職員が連日残業を重ねて業務を遂行している努力や公務員として法を遵守 し、公平な対応をと考えたであろうことは想像できる。しかし、病気によっ てそれまでの生活が一変し、藁にもすがりつく思いで必死に相談している申 立人に対して、充分誠意ある対応をしたといえるだろうか。 「このような質問 に対しては、こう回答する」というマニュアル的な対応だけでなく、区民の 要望(主訴)や状況を的確に捉えられる判断力ときめ細やかな応対を心がけ ていただきたい。福祉サービス従事者・公務員という職にある者は、福祉サ ービス利用者の状況や心情を想像する能力を養っていただくことを望む。 2 点目の「保育の実施基準」について。今回他区の基準も参考までに調べて みたが、板橋区の基準は細かく決められており、その点において他の区の基 準と比べて劣るものではない。しかし、前述のように、客観的にみて保育の 必要性がより高いと思われる就労を継続(希望)する障がい者にとっては、 実態にそぐわない基準になっているのではないか。基準については毎年のよ うに内容を検討しているとのことだが、法律・制度の改定や区民の状況や働 き方も多様化していることから、実施基準の再検討を望みたい。特に、今回 の申立人のように、基準に実態が合わないようなケースが出てきたならば、 新たな項目を追加するか、その点を相談・説明できる専門家(保育士などの 経験者)を配置すべきではないだろうか。 区役所への調査の際、 「判断が難しい今回のようなケースについては、面接 などをしたらどうか」と提案してみたが、申請件数の多さから「実施は無理」 と即座に却下された。しかし、本気で子育て支援策を進めるのならば、保育 園等の増設という量的整備とともに、保護者への相談支援業務など質的な向 上も併せて強化すべきであると考える。待機児童数が全国第 4 位という板橋 区が率先して、日本の子育て支援策をリードするような方策は考えられない ものだろうか。 現代において、保育園は、働く親のみならず、子を持つ家族にとっては命 綱とも言うべき役割を果たしている。保育園に入園できるかどうかが生活の あらゆる局面に影響を及ぼすからである。保育サービス課の職員たちは、区 民の生活を支える重要な任務を担っているという誇りと自覚を持って、個々 の家族の必要性を尊重しながら業務にあたっていただきたい。その際、公正 さを追求することは、公務員の責務であることも確認したい点である。 72 Ⅷ 1 その他の事業 保健福祉サービス提供事業者が設置する苦情解決機関への支援事業 保健福祉サービス事業者の設置する苦情解決機関に対し、保健福祉オンブズマンが、苦情解決、人 権問題、サービスの向上等に関する専門的な助言や情報提供などを行います。 (1)根拠 東京都板橋区保健福祉オンブズマン条例第5条第1項第5号 オンブズマンの職務 「事業者が設置する苦情解決機関への支援を行うこと。」 (2)実施形態 区内で保健福祉サービスを提供する事業者等が職員を対象に実施する研修会または学習会等 (園長会、所長会、事業者連絡会等も含む。)に保健福祉オンブズマンが出席します。 (3)費 用 保健福祉オンブズマンに対する報酬は、区の負担とし、会場、資料などにかかる実費は、保健 福祉サービス事業者等の負担とします。 2 № 保健福祉オンブズマン制度のPR活動状況 月 日 事 業 名 対 象 者 規 模 1 26.7 おとしよりの保健福祉 ・高齢者 10,000 冊 2 26.8.2 「広報いたばし」保健福 ・区全域 平成 25 年度 祉オンブズマン特集号 3 26.7 「平成25年度保健福 祉オンブズマン報告書」 の配布 運営状況 ・保健福祉関連の区 関係部署 約 850 冊 ・苦情処理機関 ・公私立福祉施設 4 26.11.21~ 11.22 「いたばし健康まつり ・参加区民 2014」においてオンブズ 103 団体 延 4,908 名 マン制度の PR 73 備 考 26.12.6~ 5 12.7 「障がい者週間記念行 ・参加区民 42 団体 1,550 名 事」においてオンブズマ ン制度の PR 年間 「板橋区ホームページ」 ・区民 における PR 6 26.10 ほいくじょうほう 2015 ・区民 7 74 9,000 冊 Ⅸ 参考資料 1 東京都板橋区保健福祉オンブズマン条例 平成13年3月9日 東京都板橋区条例第17号 (設置) 第1条 区民の保健福祉サービスに関する苦情を公正かつ中立な立場で迅速に解決すること により、保健福祉サービス利用者の権利及び利益を擁護し、区や事業者に対する区民の信 頼性を高め、サービスの一層の充実を図るため、区長の付属機関として、東京都板橋区保 健福祉オンブズマン(以下「オンブズマン」という。)を置く。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによ る。 ⑴ 保健福祉サービス 保健福祉に関する各種のサービスの提供、金銭及び 物品の給付、 施設入所の措置その他の事務をいう。 ⑵ 事業者 国、東京都及び区の機関並びに区内において保健福祉サービス を行う法人、 団体及び個人をいう。 (オンブズマンの組織) 第3条 オンブズマンは、5人以内とし、人格が高潔で社会的信望が厚く、保健、福祉、法 律等に関し優れた識見を有する者のうちから区長が委嘱する。 2 オンブズマンの任期は2年とし、1期に限り再任することができる。 3 前2項に定めるもののほか、オンブズマンの資格及び運営に関し必要な事項は、板橋区 規則(以下「規則」という。)で定める。 (オンブズマンの解嘱) 第4条 区長は、オンブズマンが心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又 は職務上の義務違反その他オンブズマンとしてふさわしくない行為があると認めるときは、 これを解嘱することができる。 2 オンブズマンは、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して解嘱されることは ない。 (オンブズマンの職務) 第5条 オンブズマンは、次に掲げる職務を行う。 ⑴ 保健福祉サービスに関する苦情の申立て(以下「申立て」という。)を受け付け、調査 し、迅速かつ適切に解決すること。 ⑵ あらかじめ同意を得て、保健福祉サービスを提供した事業者、申立てをした者(以下 「申立人」という。)その他関係人から意見又は説明を求め、関係書類を閲覧し、又はそ の提出を求めること。 ⑶ 事業者に対し提案を行い、申立人との調整を行うとともに、関係人の調 査への協力 状況並びに自ら行った提案及び調整内容を公表すること。 ⑷ 調査の結果必要と認めるときは、事業者に意見を述べ、又は是正等の措 置を講ずる よう勧告すること。 ⑸ 事業者が設置する苦情解決機関への支援を行うこと。 75 ⑹ 申立ての処理状況について毎年度区長に報告すること。 2 オンブズマンは、それぞれ独立してその職務を行う。ただし、解決が困難な事案等につ いては合議してその解決に努めることができる。 (オンブズマンの責務) 第6条 オンブズマンは、保健福祉サービスに関する区民の権利及び利益を擁護するため、 公正かつ適切にその職務を遂行しなければならない。 2 オンブズマンは、その地位を政党又は政治目的のために利用してはならない。 3 オンブズマンは、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同 様とする。 4 オンブズマンは、その職務の遂行に当たっては、事業者及び関係機関との連携を図り、 職務の円滑な遂行に努めなければならない。 (申立ての範囲) 第7条 この条例により、オンブズマンに申立てができる事項は、事業者が板橋区内で行う 保健福祉サービスの個別の適用に関するものとする。ただし、オンブズマンが特に必要と 認めるときは、区民が区外で受ける保健福祉サービスの個別の適用に関する事項について も申立てができるものとする。 2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事項は申立てをすることができない。 ⑴ 裁判所において係争中の事項又は既に裁判所において判決等のあった事 項 ⑵ 行政不服審査法(昭和 37 年法律第 160 号)その他の法令の規定により不服申立てを行 っている事項又は不服申立てに対する裁決若しくは決定のあった事項 ⑶ 議会で審議中又は審議が終了した事項 ⑷ この条例に基づき既に苦情が解決している事項又はオンブズマンの行為に関する事項 ⑸ 事業者の職員又は従業者の自己の勤務条件、身分等に関する事項 (申立てのできる者) 第8条 この条例により、オンブズマンに申立てのできる者は、次の各号のいずれかに該当 する者とする。 ⑴ 保健福祉サービスの提供を受け、取り消され、又は拒否された者(以下 この条に おいて「本人」という。) ⑵ 本人の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情 にある者を 含む。)又は3親等以内の親族 ⑶ その他規則で定める者 (申立ての方法) 第9条 申立ては、規則で定めるところにより行うものとする。 (申立ての期間) 第 10 条 前条の申立ては、当該苦情に係る事実のあった日の翌日から起算して1年以内にし なければならない。ただし、オンブズマンが正当な理由があると認めるときは、この限り でない。 (区の責務) 第 11 条 区は、オンブズマンの職務の遂行について、その独立性を尊重し、積極的な協力及 び援助を行わなければならない。 (事業者の責務) 76 第 12 条 事業者は、オンブズマンから第5条第1項第4号に規定する意見の表明又は是正等 の措置を講じるよう勧告を受けたときは、これを尊重し、誠実かつ適切に対応し、必要な 是正措置等を講じなければならない。 2 事業者は、前項に規定する是正措置等を講じたとき、又は是正措置等を講じられない特 別の理由があるときは、理由を付してその旨を速やかにオンブズマンに報告するものとす る。 3 事業者は、オンブズマンから第5条第1項第2号に規定する調査の要請及び同項第3号 に規定する提案及び調整を受けたときは積極的に協力しなければならない。 (運用状況の公表) 第 13 条 区長は、この条例の運用状況について、規則の定めるところにより毎年度公表しな ければならない。 (委任) 第 14 条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 付 則 1 この条例は、平成 13 年7月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施 行する。 2 この条例を施行するために必要な準備行為は、この条例の施行前においても行うことが できる。 77 2 東京都板橋区保健福祉オンブズマン条例施行規則 平成13年3月30日 東京都板橋区規則第43号 (趣旨) 第1条 この規則は、東京都板橋区保健福祉オンブズマン条例(平成 13 年板橋区条例第 17 号。以下「条例」という。)の施行に関し、必要な事項を定めるものとする。 (定義) 第2条 この規則において使用する用語の意義は、条例において使用する用語の例による。 (兼職の禁止) 第3条 オンブズマンは、次に掲げる職と兼ねることができない。 ⑴ 衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その 他の政治団体の構成員 ⑵ 区と特別な利害関係にある企業その他の団体の役員 (調査の着手及び中止等) 第4条 オンブズマンは、条例第5条第1項第1号に規定する申立てを受けたときは、関係 する事業者、申立人その他関係人に対して苦情等調査実施通知書により、あらかじめ通知 し、同意を得た上で調査に着手するものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する ときは、調査をしない。 ⑴ 条例第7条第2項各号に掲げる事項に該当するとき。 ⑵ 条例第8条各号又は第 10 条の規定に該当しないとき。 ⑶ 申立ての原因となった事実について、本人が利害関係を有しないとき。 ⑷ 虚偽の申立て又は明らかに理由がない申立てと認められるとき。 ⑸ その他調査することが適当でないと認められるとき。 2 オンブズマンは、申立ての調査を開始した後においても、調査の必要がないと認めると きは、調査を中止し、又は打ち切ることができる。 3 オンブズマンは、第1項ただし書の規定により申立ての調査をしないとき又は前項の規 定により、調査を中止し、若しくは打ち切ったときは、申立てについて調査をしない旨の 通知書又は調査打切り通知書により、理由を付して申立人に速やかに通知しなければなら ない。 (調査の方法等) 第5条 オンブズマンは、条例第5条第1項第2号に規定する調査を行うときは、身分証明 書を携帯し、必要に応じて関係人に提示するものとする。 2 オンブズマンは、必要があると認めるときは、専門的又は技術的事項について、専門機 関に対し、調査、鑑定、分析、診断等の依頼をすることができる。 (個人情報の保護) 第6条 オンブズマンは、条例第5条第1項第3号に規定する公表その他職務の執行にあた っては、東京都板橋区個人情報保護条例(平成8年板橋区条例第 25 号)の規定に基づき、 個人情報の保護に最大限の配慮を払わなければならない。 (意見表明等の通知) 第7条 条例第5条第1項第4号に規定する意見の表明又は是正等の措置の勧告(以下「意 見表明等」という。)の通知は、調査の実施に基づく意見表明・勧告通知書により行うもの とする。 78 (是正等の措置結果報告) 第8条 事業者は、前条に規定する意見表明等の通知を受けたときは、その翌日から起算し て 30 日以内に是正又は改善の報告を是正等措置報告書により行うものとする。ただし、是 正等の措置を講ずることができない特別な理由があるときは、理由を付してオンブズマン に報告しなければならない。 (申立人への通知) 第9条 オンブズマンは、申立てに係る調査の結果を、申立てを受けた日の翌日から起算し て 45 日以内に苦情等調査結果通知書により申立人に通知するものとする。ただし、この期 間内に通知できないときは、理由を付して申立人に報告しなければならない。 (合議事項等) 第 10 条 条例第5条第2項に規定するオンブズマンが合議して解決にあたる事項は、次に掲 げるものとする。 ⑴ 申立人に対する深刻な権利侵害があると認められるとき。 ⑵ 申立てに対する調査の結果、その原因が事業者の制度に起因し、それが 著しく不合 理であって改善する必要があると認められるとき。 ⑶ その他オンブズマンが必要があると認めるとき。 2 前項のオンブズマンの合議及び職務執行上必要な事項について協議を行うため、オンブ ズマン会議(以下「会議」という。)を置く。 3 会議は、合議又は協議を提案するオンブズマンが招集し、会議の座長は、会議を招集し たオンブズマンが務める。 4 会議の運営については、オンブズマンの合議により定める。 (申立てのできる者) 第 11 条 条例第8条第3号に規定するその他規則で定める者は、次の各号のいずれかに該当 する者とする。 ⑴ 本人と同居している者 ⑵ 民生・児童委員、身体障がい者相談員又は知的障がい者相談員で本人の 状況を具体 的、かつ、的確に把握している者 (申立ての方法) 第 12 条 申立ては、次に掲げる事項を記載した苦情申立書(点字によるものを含む。)によ り行うものとする。ただし、これによることができない場合は、口頭による申立てをする ことができる。 ⑴ 申立人(申立人が本人以外の場合は、申立人及び本人)の氏名及び住所 ⑵ 申立人の本人との関係又は資格 ⑶ 申立ての原因となった事実のあった年月日 ⑷ 申立ての趣旨及び理由 ⑸ 他の苦情処理制度への手続きの有無 2 申立ては、代理人により行うことができる。 (申立ての取下げ) 第 13 条 申立人は、申立てを行った後、苦情取下げ書により申立てを取り下げることができ る。 (運用状況の公表) 第 14 条 条例第 13 条に規定する運用状況の公表は、次に掲げる事項を区広報紙への掲載そ 79 の他の方法により行うものとする。 ⑴ 申立ての件数及び概要 ⑵ 申立ての処理状況 (事務局) 第 15 条 オンブズマンに関する事務を処理をするため、福祉部管理課に事務局を置く。 (委任) 第 16 条 この規則に定めるもののほか、必要な事項は、区長が別に定める。 付 則 1 この規則は、平成 13 年7月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施 行する。 2 この規則を施行するために必要な準備行為は、この規則の施行前においても行うことが できる。 80 3F 保健福祉 オンブズマン室 東京 京都 都 健康長寿医療センター 平成26年度板橋区保健福祉オンブズマン報告書 (平成26年4月~平成27年3月) 刊行物番号 27-29 再生紙を使用しています 発行 平成27年7月 板橋区福祉部管理課 保健福祉オンブズマン室 〒173-0015 板橋区栄町 36-1 グリーンホール 3F 電話 03-3579-2890 FAX 03-3579-2891 ホームページ http://www.city.itabashi.tokyo.jp/