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証券 砂田伊知郎/ITコンサルタント - インターネット白書ARCHIVES

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証券 砂田伊知郎/ITコンサルタント - インターネット白書ARCHIVES
第
4章
金融
オンライントレード利用者急増
サービス提供60社、本格的な生き残り競争へ
証券
99年10月の株式取引手数料自由化で
べて赤字決算である。黒字の寸前まで業
い。証券会社の参加しやすさと投資家の
迎えたオンライントレード本格展開から1
績が伸びてきている会社もあるが、競争
取引透明性を明確化するという意味でも、
年半が過ぎた。99年9月段階でサービス
の激化と株式市場の低迷で、早期の黒字
東証の対応が望まれる。
を提供する会社は36社であったが、2001
化には赤信号というのが現状だろう。
年 3月末の段階で60社にまで増加した。
手数料は下限まで下がったというのが
これまで順調に拡大してきたオンライン
多くの認識だが、ここにきて株式市場の
トレードだが、業界を取り巻く環境は一
低迷と競争の激化から顧客離れを防ぐた
2000年はマーケットデータツールにも
段と厳しさを増している。
め、最低取引手数料をさらに引き下げる
一大変革が起こった年だった。Java対応
2001年3月末をもって堂島関東証券が
証券会社が出てきた。顧客の囲い込みが
のマーケットデータ参照ツールの登場によ
オンライントレードから撤退した。目標
可能ならば意味もあるが、コスト割れと
り、プロ用の市況報道システムと同じく、
マーケットデータツール
としていた顧客数が集められなかったこ
思われる売買手数料が長期にわたって続
株価やチャート画面が自動更新される機
とが最大の理由だ。撤退ではないものの、
けられるとも思えず、かといって手数料
能が自宅で実現したのだ。まず先陣を切
合併や業務移管により数社のオンライン
を元に戻せばネットの顧客はすぐ他社に
ってDLJディレクトSFG証券が「マーケ
トレードも消えていった。新規参入を予
乗りかえるというジレンマがある。
ットスピード」というツールの提供を開始
した。その後、他社でも同様の情報提供
定していた既存の証券会社の中にも計画
時間外取引
の見直しをするところが出てきている。
サービスを開始している。データだけでい
えば、一般投資家も証券会社店頭の営業
外国の金融機関には日本でのビジネス戦
略としてオンライントレードに参入を図
オンライントレードにより便利になった
マンも同じ情報を見て売買ができるよう
るところはあるが、それ以外の参入は低
ものの、一般の投資家が日中に取引でき
になったわけだ。利用者からすれば便利
調だ。そのほか、スターフューチャーズ
ないことに変わりはなかった。だが2001
になるが、証券会社からすれば、プロが
証券やひまわり証券など、商品取引会社
年1月に開始された時間外取引がその状
高い利用料を支払って利用しているデー
が証券業登録をしてオンライントレード
況に変化を与えつつある。ゴールドマン・
タサービスと同じ内容を無料で顧客に提
に参入するケースも出てきた。
サックスが「ムーントレード」、マネック
供していることになる。運営コストアップ
ス証券が「マネックスナイター」という時
要因となることは間違いない。
採算ベースに乗らない?
間外取引を開始したのだ。取引方法はそ
れぞれに一長一短があるが、投資家の利
銀行の即時決済の広がり
2001年4月、オンライン証券会社の決
便性が向上したことは間違いない。しか
算が一斉に発表になったが、黒字決算は
しオンライン証券会社の間には東証によ
証券取引はネットで即時発注が可能だ
ひと握りの証券会社のみで、その他はす
る時間外取引の開始を切望する声が強
が、取引前に取引相当資金の事前振り込
みが必要であるなど不便な点も多々あっ
資料2-4-1 インターネットトレードを提供する証券会社数推移
(日本株の取引ができる証券会社のみ)
た。これが証券会社と銀行との提携によ
り、証券口座に残高が無くとも取引がで
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60
60
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社も増加しつつあり、ネット上における
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銀行口座と証券口座の関係は今までにな
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く緊密になりつつある(P145 資料2-4-3)。
また、オンライン証券会社と郵便局の
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きるようになりつつある。銀行口座を指
定するだけで即時に決済ができる証券会
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ネットバンキングが本格的にリンクするよ
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1999年
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うになれば、地方在住の投資家にとって
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2000年
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2001年
2
1
3 (月)
出所 砂田伊知郎氏の調査を元に作成
さらに利便性が向上するはずである。
(砂田伊知郎 ITコンサルタント)
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