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研究報告 - 株式会社建設技術研究所

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研究報告 - 株式会社建設技術研究所
研究報告
研究報告要旨
建設コンサルタントの新しいビジネスモデルに対する報酬に関する考察
Fee of the new business model for construction consultants
近年,我が国の建設コンサルタント企業は,国内インフラの一定充足や将来の人口減少といった状況から,新しいビジ
ネスモデルを模索している.ビジネスモデルの構築においては業務内容,報酬基準に加えて事業リスクの負担に関する検
討が不可欠となる.本稿では他産業における報酬実態に関する調査を行った.また,建設コンサルタントが今後取り組む
べき新しいビジネスモデルを検討するためには各業務フェーズにおけるリスク分析が必要であることを考察した.
女性技術者の量的・質的拡大に向けた企業経営のあり方に関する研究
Research on corporate management toward the qualitative and quantitative expansion of women engineers
本研究を女性技術者の量的・質的拡大を制約条件とした企業経営のデザインとして捉え,企業経営のあり方を問題解
決のプロセスにしたがって検討し,提言をまとめた.なお,問題解における解決方法立案の根拠となる社会学,心理学,倫
理学等の理論には非線形システム理論や多質点系モデルなどの数学的概念を適用して整理した.これにより,女性技術
者支援は企業経営を社会の変化に対応させ持続するものに変革するために必要であること,女性技術者が仕事の喜びや
やりがいを感じられる環境づくりが重要であることを明らかにした.さらに,人間中心設計を適用した組織・制度設計につい
ても取り組み,問題の把握と解決方法の案出を行った.
人口減少社会における都市構造の再編とインフラ維持管理の在り方に関する研究
~集約・撤退候補地区の選定手法と都市構造データベースの構築~
Study on restructuring urban form and infrastructure management in population decline society
本研究では,人口減少社会における都市構造の再編とインフラ維持管理の在り方を提案することを目指して,1)都市構
造を再編(コンパクト化)するために必要となる「将来,都市的な土地利用を促進していく候補地区(集約候補地区)」と「将
来,都市的な土地利用を抑制していく候補地区(撤退地区)」を選定する手法を構築するとともに,2)宮崎県宮崎市を対
象として,選定手法を実装するために必要となる,人口,生活インフラ,防災インフラ,災害危険性,商業施設等の地図デ
ータを蓄積した都市構造データベースを構築している.また,3)構築した都市構造データベースを利用した試算例として,
インフラ維持費用と災害復旧費用を含めた広義の地域維持費用を試算している.
心の健康生活と都市づくりに関する研究(2)
ウェブを用いた異なる述懐法による心理的影響とメンタルヘルス対策への実用化
On the psychological effects of reminiscence with web and the use of it to improve mental health
職場における精神健康問題は,本邦における急務の一つである.産業精神保健の強化策として,2015 年 12 月より従業
員 50 名以上の事業所に対し,ストレスチェック制度が進められることになっている.社会の健康を守る上で,このような集団
的な視野からの対策は必要不可欠であるが,一方で,個人にとっての健康や人生を生きる各々の人(生活者)の立場から
見たメンタルヘルス対策を考えた時,未だ多くの課題があるように考えられる.本論文では,公衆衛生対策に,全人的なケ
アの支援を行う仕組み(COCOLOMI)を考え,その仕組みの基礎となる述懐法の心理的効果や影響を検討すると共に実
用化方策について述べる.
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子どもを育む都市・水辺環境の研究
The study of growing up children with rivers
OECD の調査では,孤独と感じる子どもの割合は,我が国では約 30%に達し,他国の 5~10%と比較すると突出して高く
なっている.その一因として,子どもが外で遊べる環境が激減し,自然体験や水辺で遊ぶ体験が大幅に減少し,子どもの
心身の成長に対する影響が挙げられる.
一方で,社会資本整備に関わる計画・設計では,対象施設等の目的に対する機能や強度,構造,常識的な利用や長
期的な使用に対する安全性等が重視されている.そのため,それらの整備された場での体験や活動による発見や喜び,
驚き等は,副次的な効果として取り扱われ,従来の計画・設計に関わる手引きには,子どもの視点や心理は取り入れられ
ていない.
本論文では,これらの課題解決に対して,子どもの視点や心理から見た自然体験の中での驚きや発見が得られる空間
の創出について,子どもを育む環境に必要なファクター(遊び,驚き,発見,ふれあい,安全等)を子ども視点を取り入れな
がら抽出し,子どもの利用や心理を意識しながら計画・設計法の構造化を行い,当社独自の都市・水辺空間を提案するこ
とで付加価値を高めること,さらに,都市や水辺環境の活用を支える人材(遊びや安全管理の指導者,リーダー等)の育成
や安全管理のあり方,それらのプログラムを構築することを目的とした研究の 2 年目としての報告を行う.
鉄道駅・建築と構造との間の境界線
Railway stations-The borderline between architecture and structure
Railway stations are the very unusual combination of architecture and structure. They serve people but they have also to
consider structural requirements of trains. Currently, the modern stations are multifunctional complexes, connecting
multi-modes of transportation. Architecture and structure at these stations are complementary to each other. The true
aesthetic design can be only achieved by their coordination from the very beginning of the design process. The paper is
formulating the conditions to achieve a well-balanced aesthetic station. Some parts of the station – such as platforms,
canopies, are very much determined by the outstanding structure and other, like station building are very much dependent on
architecture. Together these facilities are on the borderline between architecture and structural engineering. The article is
analyzing this relationship and is categorizing the recent stations in Japan and Europe.
川を活かした地域づくりの共創アプローチ
水辺からの都市再生を核とするアジアのネットワーク研究(その2)
Development of river restoration network based on partnership and creating shared value approach
本研究は,河川や水辺が有する多様な機能を活かした地域づくりの更なる推進を目指し,当社が公益を目的に事務局
を共同運営する「日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN)」及びJRRNが属する「アジア河川・流域再生ネットワーク(ARRN)」
を活用しながら,情報循環と人材育成のための仕組みを構築するとともに,その仕組みの持続的発展に向けた企業の貢
献のあり方を示すものである.本稿では,2013年から3年間の研究報告として,ネットワーク活動を支える協働基盤の強化,
国内への川づくりの啓発と普及,海外への日本の実績の見える化,及びネットワークへの貢献による企業の事業価値創造
に関わる研究成果を紹介する.
文化財防災の研究
Study on technique for safeguarding culture assets against earthquake fire
我が国では,近年,大規模な地震による甚大な被害を受けており,津波や地震火災等により,多くの文化財についても
損傷を受けている.京都では,世界遺産をはじめ,多くの文化財を有しており,地震火災から文化財の焼失を防ぐことが文
化財防災のひとつのテーマとなっている.
本論文は,地震火災から文化財を守るための取り組みとして,当社が事務局を行っている「地震火災から文化財を守る
協議会」の取り組みを紹介したものである.
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