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半導体技術を基盤とした 新らたなシステム産業の考察 標準化技術とパートナーシップ の重要性 ARM株式会社 代表取締役社長 石川滝雄 2004.10.26 THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 講演内容 n 技術は n 産業の変化 – ミクロの巨大プロジェクト – プラットフォーム化 n プロジェクトを成功させるための環境 n ARMがIPプロバイダーに徹する理由 n パートナーシップと標準化 n 再利用可能な技術を目指す n 技術は大事/チームワークはもっと大事 THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 2 技術は…… (便利な道具か?) n 生身では出来ないこと或いは困難なことを – 可能にする或いは容易にする為にあるはず n 従って目的に適って – 簡単に手軽に使えるもの n 或いはいい加減な尺度を正確に決める – 人間は私も含めて可成りいい加減である!! – 物差しが無ければ正確に測れない • 重量、角度、温度、湿度、光の量と波長、etc. • 目分量に優れている達人はいるが数値的には表しづ らい THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 3 人のいい加減さと技術の正確さはお互い様 n 相互補完でいいものが出来る – 人の視覚や、聴覚は結構騙されやすい – 道具は五感を使って物事を判断できない – などなど etc. n 道具に振り回されない、使いこなす – 時々振り返る事が大事 – 人の要求は身勝手そのもの • 欲しいものはすぐ欲しい – 簡単に、手軽に安く、何時でも、何処でも – エネルギーも抑えたい – 焦らされると何が何でも欲しくなるという側面もありますが!? THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 4 半導体産業に関わる産業の変化 n n n 半導体技術を基盤としたシステム産業への急激な変貌 n あらゆる産業がシステムの中枢としての半導体を必要とする n 半導体技術だけでは半導体が出来ない 業界間の知識共有 n システムハウス・半導体設計・ソフトウェアハウス・ツール n システムに必要な要素技術のコラボレーション 標準化の推進が必須 n 無駄のない効率の良い設計環境を実現(経済的環境作り) ARM ビジネス THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 5 製品開発プロジェクトがブラックホール的 n 小さなシリコン基板上に大部分のシステム要素が 吸い込まれるように集積 n システム要素 – プロセッサ/オンチップバス/メモリ/入出力/アク セラレータ – OS/デバイスドライバ/HAL – ミドルウェア/アプリケーションソフトウェア – 認証/セキュリティ – 回路動作検証/ソフトウェア動作検証システム THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 6 例えてみれば n 村の規模 >> 巨大都市をブラックホール的に小 さなシリコン基板に詰め込んだような状況が出現 – 変わらないものは人や物の移動速度(電子の速度) – 材料、部品、基幹モジュール、道具、動作ルール、人 の動きや物の動きを制御する仕組みを全て設計して 実現する方法をどうするか? – もはや巨大企業でも単独で全てを作り上げることは 不可能 – 異なる規格、ルール、言葉が混在しすぎると都市機 能は麻痺する THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 7 半導体産業の特殊性 小さな面積に巨大な機能が 詰め込まれつつある チップサイズは 変わらない ほかの産業の材料に相当するプロセステクノロジーは2−3年毎に縮小する THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 8 システム要素の殆どがシリコン上に アプリケ ーション アプリケ ーション アプリケ ーション アプリケ ーション OS 組込CPU搭載シリコンプラットフォーム •設計は正しいか>設計通りに機能するか •製造しても設計通り動作するか •欠陥の原因が設計によるものか製造によるものか •システム構想時にシュミレーション/テストプランを立てる THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 9 リアルタイム性とメモリ効率 n 組込システムはリアルタイムを要求する – 電源を入れてすぐ動く – 電源をすぐ切れる – アプリケーションが軽快に動く n プログラムの効率化 – クロックを上げずに高速化 – メモリサイズを節約 – 低コスト、高速動作、低消費電力、品質向上 THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 10 半導体を基盤にしたシステム産業の パートナーは? n パートナーは誰か? n システム・メーカ/デザイナー n IPプロバイダー n OSベンダー n アプリケーション・ソフトハウス n ツール・ベンダー n etc. 大手もあればベンチャーも沢山いる それぞれは単独で存在も発展も出来ない 発展の基盤はパートナーシップ THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 11 リードプロジェクトがあると面白い n リードプロジェクトは何か? n 現実的な目標/潜在的な目標 n 直接的な目標/間接的な目標 n 未来の夢と希望 n 空を飛ぶ乗り物を作ってみたい n 自動車のように手軽に運転できる n 空飛ぶ車のリモコン式模型を示す米ボーイング社の開発責任者=AP これは荒唐無稽な話か? THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 12 プロジェクト成功の環境作り n SoC(システム・オン・チップ)はミクロの大プロジェクト – 1億トランジスタから10億トランジスタへ – 設計環境の標準化が不可避 n プロジェクトメンバーのドラフト共有が大事 – 再利用可能な設計資産の蓄積 – マクロとミクロの有機的連続性が強さを引き出す n バランス設計が重要 – 性能・コスト・消費電力・開発期間 n ヒントはチームワーク – 新たな水平・垂直分業の確立 – 信頼できるチーム作り THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 13 なぜオープンアーキテクチャー(標準化)か? n 例えば、メートル法の世界にヤード・インチ法を持ち込 んだら… – – – – グローバル化したコミュニティが混乱 グローバル・ビジネスの取り組みが困難 余計な仕事が増える(無理・無駄・ムラが発生) 結果は競争から脱落 n 物作りには標準的な基準が便利 – プロジェクトを組みやすい – 余計な仕事が減る – 競争力を維持するために得意分野に集中できる THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 14 ARM の歩み ・・・ n 1990年 n 英国ケンブリッジで n 12名の技術者により設立 アームは何故CPUの設計に特化したか? THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 15 ARMが目指すもの 基本的な要求技術要素はシステムメーカーも半導体メーカーも同じ n 低消費電力・高性能・低価格 – トランジスタ数は少ない方が良い – 接合部の温度上昇の総和を減らす – 温度環境に強い(車載ICの場合は最重要項目) n プログラム効率が優れている – 低コードサイズ • メモリーサイズが小さい/処理速度が速い/消費電力が低い • クロック・スピードを上げずに性能向上 • メモリーサイズの半導体面積に占める割合が大きくなる傾向、コードサイ ズが重要なコスト要素になります • 信頼性の向上にも直結 • オープンな世界標準アーキテクチャ/取り組む技術者の層が厚い – マルチ・ソース • システムLSIを設計するための世界的なサポート体制 – パートナーシップ・モデル – 半導体メーカー、OS、デザインハウス、設計ツール、アプリケーション THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 16 ARMのビジネスモデルはパートナーシップ ARMはIP開発に特化 マーケット 水平分業・垂直分業でシステム 設計を実現する時代に突入 Wireless Telecom / Networking Imaging Security Consumer Automotive u-Controller Storage パートナーと協力して製品設計に 必要なものを全てマーケットに提供 THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 17 ARM コミュニティ…の確立 多くの選択肢 / イノベーションの継続 / グロバリゼーションの好循環 ツールパートナー デザインパートナー シリコンパートナー OSパートナー アプリケーションパートナー THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 18 ARM CPU展開 ARMv7 Next Generation ARMv6 ARM11XX ARMv5TEJ ARM1026EJ-S™ ARMv5TE XScale ARM926EJ-S™ ARM10XX ARM9E SecurCore ™ ARM920T™ ARM7TDMI® ARMv4 StrongARM ARM7 THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 19 企業間チームワークで課題を克服 エンジニア エンジニア セールス マーケティング セールス マーケティング マネージメント マネージメント 経営 経営 社内コミュニケーション/企業間のコミュニケーション THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 20 ARMの経験則 パートナーシップの秘訣 n 互いの文化を理解 n 傾聴と対話・時には我慢 n ビジョンの共有 n 価値の持ち寄り大きな効果 2 + 2 > 4 n 信頼/ チームワーク / 正直 n コミニケーション、現場を共有 n それぞれの長所を発揮 n 柔軟な思考と対応 THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 21 半導体産業は単独でサバイバル出来るか n 半導体を基盤にしたシステム産業が台頭しているのでは!? – 気付いていないのは誰か? – 現実直視を避けているのは誰か? n 材料・部品・キーモジュール・ツールは誰の要求を満たすか? – 個性と標準化は相容れないものか? – おしゃれな人は自分をよく知っている • 一点だけアクセントをつけて“おしゃれだ”と思わせる、他はごく普 通のものを身に付けていても! n 買い手はシステムメーカー – 買い手が材料・部品・モジュールを吟味出来なければならない – 半導体の場合はプロセス・ライブラリ・CPUは少なくとも標準化し ていないと買い手は混乱するだけ THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 22 システム・メーカーが鍵 n システムメーカーがハード/ソフトの標準化・高品質化に目 覚めつつある n 標準化された基盤技術に拠る効果は – ベンチャー/ファブレス/システムメーカによるフロント・エンド デザインが増える – マーケットの水平展開が更に加速する – 新たなビジネスモデルが生まれる – より多様なフィードバックが得られる n 新たな挑戦とビジネス拡大が起きる – 現場を共有してプロジェクトを推進する – 机上のドラフトが描き易くなる THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 23 ビジネスの鏡… 蛇足ですが n 買い手 既存顧客+潜在顧客 直接顧客+間接顧客 n 1円でも利益 借金は利子を付けて返す義務がある n 会計数値にでない資産・負債 資産 顧客、目標に向かう意志、戦略、有能な人材、有用な知恵(あるいは知 的資産)、情報、好感度な企業イメージ、パートナー、人脈 etc. 負債 C C o SSo 持ち回り経営陣、ぶら下がり社員、オペレーションのみで無戦略、官僚化 、メリハリのない待遇、金銭だけのインセンティブ、なれ合い、しがらみ、 etc. 標準化・チームワーク・設計資産の再利用なしでビジネスが成り立つか?! THE ARCHITECTURE FOR THE DIGITAL WORLD TM 24