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平成25年度事業計画

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平成25年度事業計画
平成25年度事業計画
一
自
平成25年4月
1日
至
平成26年3月31日
基本方針
景気低迷が長引く中で、一昨年の東日本大震災と原発事故の影響もあり、牛肉価格は
低下傾向で推移してきたが、ここにきて回復の兆しがある。また、生乳生産については
昨年の猛暑の影響等により減少が続いているが、回復の傾向が見えてきている。一方、
飼料価格の高止まり、為替相場の変動、TPP交渉参加問題等、我が国畜産は依然とし
て先行きが不透明な状況にある。
内外の厳しい環境の下で国際化に耐えうる畜産を築いていくためには、消費者の信頼
を得られる良質な畜産物を効率的に供給することが重要であり、生産から流通にわたる
各般の対応、とりわけ家畜の能力の向上が強く求められている。
このような情勢の中で、当団は、国、都道府県の実施する家畜改良増殖施策に則し
て、関係団体との連携のもと、生産者の理解を得ながら、これまで継続してきた改良事
業を促進してその成果を積極的に活用するとともに、先進技術の開発・普及、改良情報
の収集・提供の充実、さらには家畜個体識別の推進に努めることにより、畜産の振興に
寄与するため、25年度事業を計画した。
二
事業実施計画
Ⅰ
総務関係
1
平成25年度常勤職員配置計画
区
分
職
員
嘱
託
(単位:人)
計
本
部
28
13
41
場
所
123
31
154
151
44
195
計
(注):本部には家畜個体識別センターを含む
Ⅱ
事業関係
1
凍結精液利用推進事業
精液の生産・配布については、我が国の遺伝資源を活用した改良事業の成果を活用し
乳用牛・肉用牛の能力向上を図るため、種雄牛の飼養管理及び凍結精液生産に万全を期
すとともに、優良な精液の普及に努める。
乳用牛精液については、輸入精液の増加に対して国内の家畜人工授精事業体間の協力
の下に、国際評価情報の適切な提供により、国際的にトップクラスにある国産精液の利
用促進に努める。
肉用牛精液については、子牛や枝肉情報の収集を強化し、その分析結果に基づいた的
確な交配情報等を提供しつつ、利用促進に努める。
性選別精液(Sort90)については、効率的な後継牛等の生産ニーズの高まりによる利
用拡大が顕著であることから、さらに供給量の拡大に努める。
体外受精卵については、乳用牛では Sort90 を利用した登録可能体外受精卵を主体とし
て、黒毛和種との交雑種体外受精卵等の多様化するニーズに柔軟に対応するとともに、
肉用牛では Sort90 を利用した性選別体外受精卵と母の父を明示した体外受精卵(MGS プ
ラス)の生産・供給を強化し、利用促進に努める。
また、乳・肉用牛体内受精卵の利用促進に努める。
牛繁殖技術関連機器等の配布については、人工授精や受精卵移植の一層の効率化を図
るため、イージーブリードの利用促進に取り組む。
(1)種雄牛の繋養計画
(単位:頭)
平成25年4月1日
区
平成26年3月31日
分
供用牛
待機牛
計
供用牛
待機牛
計
乳用牛
ホルスタイン種
24
211
235
24
216
240
肉用牛
黒
44
159
203
36
151
187
68
370
438
60
367
427
合
毛
和
計
種
(2)精液の配布計画
乳用牛
400,000本
肉用牛
670,000本
合
計
1,070,000本(うち性選別精液
(3)体内受精卵の配布計画
40,000本)
100個
(4)牛繁殖技術関連機器等の配布計画
ア 液体窒素の配布
310,000㎏
2
イ
凍結精液保存容器の配布
100台
ウ
イージーブリードの配布
80,000本
乳用牛関係事業
種雄牛の確保については、輸入精液に対する競争力強化を念頭に、引き続き国内資源
を活用した国内検定済種雄牛を父とする純国産候補種雄牛の生産に努める。また、国内
人工授精事業体3者による共有種雄牛については、国内遺伝資源の高度な利用に資する
との趣旨に則し、国産種雄牛遺伝子作出検討委員会(J-Sire プロジェクト)が行う取
組みと連携し引き続き積極的に取り組む。
後代検定については、長命性、乳房炎抵抗性等を加味した総合指数や泌乳持続性及び
長命連産効果等の普及啓発、我が国の検定済種雄牛の利用促進に向けた優良事例や国際
評価値における優位性等の関連情報の提供等に努める。
牛群検定については、乳用牛群検定全国協議会や各県の試験研究機関、民間の酪農関
係組織との連携強化の下、前年度に引き続き都道府県、地域ごとに牛群検定の加入促進
に向けた取組みを実施するなど積極的に普及啓発に努め、独自財源による牛群検定の試
行については、本年度も継続して実施する。
また、検定コストの低減を図るため検定簡易化に向けた取組みを引き続き実施し、併
せて、利用者のニーズに応えるため、牛群検定成績の活用促進、繁殖台帳Webシステ
ムの拡充、研修会の開催、新たな検定情報の収集、乳量計及び検定員用ハンディターミ
ナルの貸与等を行う。
なお、SNP情報を活用した新育種価評価技術の確立に向けた取組みを継続実施す
る。
(1)業務計画の概要
[ 後代検定関係 ]
ア
20後検については、遺伝的能力評価に未採用となっている一部娘牛のデータ集
計を待って、後代検定を終了する。
イ
21後検については、遺伝的能力評価を行って選抜を行う。
ウ
22~24後検については、各回次の娘牛生産の進行状況に合わせて、牛群検定
を通じて報告される調整交配対象雌牛の授精・受胎、娘牛の生産・牛群検定加入・
初産妊娠のための交配・分娩の各状況等について集計し、各都道府県の事業実施団
体にフィードバックを行う。
エ
25後検については、独立行政法人家畜改良センター、乳用牛群検定全国協議会
及び都道府県の事業実施主体等と連携し、後代検定娘牛生産のための調整交配を行
う。
オ
候補種雄牛生産のための計画交配を実施する。
[ 牛群検定関係 ]
牛群検定については、46都道府県
247検定組合
10,000戸
560,000頭を目標に実施する。
(2)補助事業等の実施計画
ア
乳用種雄牛後代検定事業
候補種雄牛の調整交配等後代検定の推進について計画に沿って行う。
イ
国産種雄牛生産強化推進事業((財)全国競馬・畜産振興会)
国産遺伝資源を活用した種雄牛の生産強化を図るため、適切な遺伝的能力情報等
の提供、家畜人工授精事業体の連携により作出された21後検の国産候補種雄牛の
繋養を行うとともに、20・21後検の後代検定牛の泌乳データ収集に協力した牛
群検定農家に対し奨励金を交付する。
ウ
高能力乳用牛選抜システム開発事業((財)全国競馬・畜産振興会)
SNP解析技術を用いた遺伝的能力評価手法を確立するため、ゲノミック評価予
備選抜による一部候補種雄牛の繋養を行うとともに、次年度以降の検証作業に備え
る。
エ
高泌乳持続性乳用種雄牛利用促進事業((財)全国競馬・畜産振興会)
泌乳持続性に着目した改良を促進するため、24・25後検候補種雄牛の交配対
象雌牛について調整交配時における繁殖成績の調査を行い、泌乳持続性と繁殖性等
との関連性及びその効果について分析等を実施する。
オ
乳用牛群検定推進事業
牛群検定の推進のため、成績の集計分析とフィードバック等を実施する。また、
繁殖台帳Webシステムの機能強化と普及促進、検定員養成研修会の開催による検
定員の技術向上、乳用牛改良地域指導者研修会の開催による指導者の養成、乳量計
及び検定員用ハンディターミナルの貸与、飼養管理改善に伴う共同研究等を行う。
カ
牛群検定システム高度化支援事業((独)農畜産業振興機構
25年度新規事業)
未経産牛のSNP情報を用いたゲノミック評価値を牛群検定農家に提供するため
のシステム開発を行う。
キ
乳用牛改良対策事業
家畜改良事業団独自の対応により、牛群検定未実施農家における検定の試行等、
他の事業でカバーできない牛群検定の普及促進に資する取組みを行う。
3
肉用牛関係事業
種雄牛の確保については、全国的に利用可能な遺伝的能力に優れた種雄牛を効率的に
作出するため、関連情報に基づく計画交配を基本に候補種雄牛の取得を行うとともに、
県協力事業の候補種雄牛と併せて、全国23委託団体等の協力を得て前後二期に分けて
調整交配を実施する。
現場後代検定の実施に際しては、当団産肉能力検定場のほか肥育委託農家等との連携
の下、特定の地域や農家の影響を出来るだけ排除した調査牛の配置と肥育成績の取得に
心懸け、最終選抜に際しては改良関係団体や指導組織、学識経験者等の意見を広く聴取
し、和牛の産肉能力の高位平準化に資する種雄牛の選抜を行う。
このほか、新たな育種価評価の確立に向け牛肉の食味成分分析を継続実施するととも
に、SNPを活用した効率的な肉用牛生産技術の開発に向けた取組を関係団体と連携し
て継続実施する。
(1)業務計画の概要
[ 後代検定関係(平準化事業) ]
ア
事業を適正かつ円滑に推進するため、中央協議会及び改良委員会を開催する。
イ
21年度後期候補種雄牛22頭及び22年度前期候補種雄牛23頭について検定
を終了し、改良委員会の審議を経て検定済種雄牛を選抜する。
ウ
22年度後期~24年度前期候補種雄牛については、現場後代検定を実施する。
エ
24年度後期候補種雄牛については、調査牛の生産・導入を実施する。
オ
25年度候補種雄牛については、前期・後期調整交配を実施する。
カ
種雄牛造成に係る県協力事業として、鳥取県、島根県、岡山県、広島県及び熊本
県の県有候補種雄牛の調整交配等を実施する。
(2)補助事業等の実施計画
ア
肉用牛産肉能力平準化促進事業
肉用牛の産肉能力後代検定を実施するほか、事業の円滑な推進のため中央協議
会、改良委員会、都道府県推進会議を開催する。
イ
SNP活用効率的肉用牛生産技術開発事業((財)全国競馬・畜産振興会)
候補種雄牛及び検定調査牛を用いた産肉能力、特定系統雌牛を用いた繁殖能力等
とSNP情報との関連性を調査分析し、SNPによる遺伝的評価手法の開発を行
う。
4
個体識別関係事業
牛個体識別業務については、平成25年度に生産される子牛等へ装着する耳標の作
成・配布及び管理者からの報告データの受付処理を行うとともに、電子的な報告の推進
と精度の向上に取り組む。
また、畜産電子標識システム推進協議会に参加し、牛個体識別への電子標識導入に向
けた調査、検討並びに牛個体識別システムを活用した情報提供の充実と効率化を図る取
組みを行う。
(1)業務計画の概要
以下のとおり。
区
分
報告受入処理
件
数
備
考
12,000千件
(1日当たり約33千件)
耳標の配布
約2,917千枚
(2)補助事業等の実施計画
ア
家畜個体識別システム定着化事業((独)農畜産業振興機構)
平成25年度に生産される子牛等へ装着する耳標の作成・配布、家畜個体識別情
報の入力等を行う。
イ
家畜個体識別システム利活用促進事業(農林水産省)
牛個体識別への電子標識導入に向けた調査・検討並びに電子標識導入等による牛
群管理の自動化・省力化及び牛個体識別システムを活用した情報提供の充実と効率
化を図る取組みを実施する。
5 改良技術関係事業
家畜改良技術研究所においては、引き続き ISO9001:2008
の規格に沿って業務を遂
行し、顧客満足度の高い検査や製品等を提供していくための品質管理システムの継続的
な改善を図る。
遺伝子型検査業務については、検査の正確性を確保し、併せて検査効率の向上を図る
ための取組みを実施することによって、より質の高い検査機関を目指しつつ、牛の親子
判定及び特定遺伝子型検査、牛肉トレーサビリティのための牛肉照合用サンプル保管・
同一性検査並びに犬・豚等のDNA型検査業務を行う。併せてDNA解析技術を応用し
た新たな事業展開に努める。
家畜繁殖技術については、人工授精用精液の受胎率向上に向けた技術開発を進めると
ともに、Sort90 の一層の生産効率の改善、品質向上に取り組む。
家畜バイテクセンターにおいては、体外受精卵の生産を行うとともに、品質向上、生
産コストの低減及び高付加価値化に取り組む。
(1)業務計画の概要
ア
DNA型検査関係
(ア)牛の親子判定及び特定遺伝子型検査、牛肉トレーサビリティのための牛肉照合
用サンプルの保管・同一性検査及び犬・豚等のDNA型検査を実施するととも
に、検査効率の向上に向けた技術開発に取り組む。
(イ)牛のDNA解析技術を利用した新たな遺伝的能力評価法の開発に向けた取組み
を引き続き実施する。
(ウ)牛の経済形質と関連する遺伝子の解明のための共同研究を実施する。
(エ)遺伝子型検査技術の応用範囲の拡大に努める。
(オ)あか毛和牛の品質向上に向けた食味関連遺伝子の解析等の提案を行う。
イ
家畜繁殖技術関係
(ア)人工授精用精液及び受精卵の受胎率向上を図るための凍結保存技術の改善等に
取り組む。
(イ)Sort90 の生産体制の強化を図るため、生産効率の改善及び品質の向上に取り組
む。
(ウ)体外受精卵については、Sort90 による性判別体外受精卵、MGS プラスや交雑種体
外受精卵の生産、利用の拡大に努める。
(エ)家畜受精卵移植技術研究組合の事務局を担当するとともに、研究開発に参加す
る。
ウ
各業務の実施計画は以下のとおり
区 分
内
容
件
数
件
牛の親子判定
38,000
〃 特定遺伝子型検査
DNA検査
牛肉の照合用サンプルの保管
4,000
1,200,000
牛肉の同一性検査
牛のSNP検査
犬のDNA型証明等
豚の親子判定等
Sort90
体外受精卵
36,400
6,000
10,000
2, 500
本
生産本数
40,000
個
配布個数
13,500
(2)補助事業等の実施計画
ア
種雄牛側からの生産効率向上技術開発事業((財)全国競馬・畜産振興会)
乳肉用牛の生産効率向上を図る上で重要な繁殖成績について種雄牛側から改善
し、併せて特定の遺伝性疾患について早期に対処するため、種雄牛の繁殖能力の早
期評価法、凍結精液の品質評価法及び新たな希釈液の開発を行うとともに、黒毛和
種種雄牛等の疾患遺伝子のモニタリング調査を行う。
イ
新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業(農林水産省)
受胎率向上に向けた新規精液凍結法及び低受精能精子を生産する種雄牛の早期検
出法に係る技術開発を行う。
ウ
牛肉トレーサビリティ業務委託事業(DNA検査及び照合用サンプルの保管)
(農林水産省)
と畜された牛 1 頭ごとの枝肉から採取された照合用サンプルを保管するととも
に、地方農政事務所等により食肉小売店等から採取された調査用サンプルとの同一
性検査を実施する。
エ
優良牛安定確保推進対策事業((財)全国競馬・畜産振興会
25年度新規事業)
健全な形質を保持した牛の改良に資するため、肉用牛及び乳用牛集団での疾患遺
伝子頻度の体系立てた調査及び、国内での対策を講じるための体制を整備する。
6
その他の事業
(1)肉用牛・遺伝的能力評価推進事業(繁殖関連情報)
(農林水産省
25年度組換え)
肉用牛の生産性向上を図るため、各地域の人工授精データの収集、個体識別情報
等を活用した繁殖関連情報の分析及びそのフィードバック等を行う。
(2)家畜改良体制運営事業
家畜登録団体と共同で、登録情報及び能力検定情報等の一体的運用を図るための
家畜改良データバンクの運営及び情報提供を実施する。
(3)大家畜畜産経営データベースの運営に係る牛群検定情報提供業務
((公社)中央畜産会委託事業)
大家畜畜産経営データベースに係る情報提供を行う。
(4)研究助成事業((財)興農会)
胚の移植前DNA型診断技術の確立、牛体外受精卵移植の実態調査及び非凍結タ
ンパクを用いた牛卵子のガラス化保存法の確立を目的とした技術研究または調査等
を行う。
7
会議の開催・調査等
(1)会議の開催
家畜改良業務及び検定済種雄牛の円滑な普及推進を図るため、各種雄牛センター
ごとに精液取扱窓口団体会議等を開催する。
(2)調査等
ア
海外における畜産経営や育種改良の実態調査並びに人工授精や受精卵移植等の技
術調査を行う。
イ
8
全国に家畜改良推進モニター(受胎調査員)を設置する。
普及宣伝等
(1)「LIAJ
News」その他各種印刷物の配布、ホームページへの各種情報
の掲載、メールマガジンの配信及び専門雑誌への広告掲載等による広報宣伝活動を行
う。
(2)BOSSシステムを利用した適正交配情報の提供を行う。
(3)講習会及び講演会を開催するとともに、要請された講師等の派遣を行う。
(4)優秀雌牛の表彰として生涯乳量5万キロ以上、体型得点85点以上の国内検定済種
雄牛の娘牛に対して記念盾を贈呈する。また、畜産共進会等に対して賞状・賞品を贈
呈する。
9
海外技術協力
JICAの海外プロジェクト等に係る研修生を受け入れるとともに、要請に応じ当団
専門家を派遣する。
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