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食肉衛生検査所 平成20年度年報 (PDF形式、4.73MB)

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食肉衛生検査所 平成20年度年報 (PDF形式、4.73MB)
平
成
2
0
年 度
事 業 年 報
横浜市食肉衛生検査所
はじめに
食生活は、われわれの日常生活の根幹を成し、心身の健康を支えるに欠かす
ことはできませんが、とりわけ「食の安全」は、極めて重要であることは言う
までもありません。
当所では、食肉生産、流通の拠点ともいうべきと畜場における衛生管理、疾
病排除、動物医薬品などの有害物質の残留防止を目的とした食肉衛生検査業務
の推進を図っております。また、消費者の間に要望が多いBSEスクリーニン
グ検査について、国の検査にかかる補助金の廃止がなされた昨年の 8 月以降も
全頭検査を引き続き実施しているところです。食肉に起因する場合が多いとさ
れる食中毒原因菌であるサルモネラ、カンピロバクターなどの排除にも鋭意努
めているところです。さらに、平成 18 年のポジティブリスト制度の導入を受け
て、当検査所においては、平成21年度においては、LC/MS/MS(液体
クロマトグラフ質量分析計)やリアルタイムPCRを整備し、より多くの種類
の検査に対応できる体勢をとる予定です。
さて、平成21年 4 月末から、わが国を含めた国々に豚由来の新型インフル
エンザが発生し、多くの感染者が出ました。幸い高病原性ではなかったことか
ら、被害も比較的少なくて済んでいる状況と言えますが、今後、高病原性の新
型インフルエンザへの変異あるいは人型高病原性鳥インフルエンザなどが発生
した場合や食の安全に関連するさまざまな事案発生時にも迅速かつ適確に対応
できる危機管理意識の醸成と体制の構築を図り、市民の付託に応えていかなけ
ればならないと考えています。
今後とも、当検査所では、市場内での衛生確保はもとより消費者や生産者等
への検査情報提供を積極的行うとともに、検査技術の向上や調査研究など職員
一同、いっそうの研鑽を重ねて参ります。そして、関係機関との連携を密にし、
情報交換を行いながら食肉の安全に向けた取り組みを図ってまいる所存です。
ここに平成 20 年度事業の概要を取りまとめましたので、ご高覧のうえ、ご助
言いただければ幸いです。
平成 21 年 8 月
横浜市食肉衛生検査所
所長 露崎 隆司
目
次
第1章 総 説
1 沿 革
2
概 要
第2章 事
業
概
要
1 食肉動物の検査について
2 食鳥の検査について
3
試験検査について
4
特定部位の使用等の許可について
5
学会・研修会等の発表
6 衛生講習会
第3章 調 査 研 究 報 告
1 牛の筋肉
2 食鳥処理施設における食鳥肉からのカンピロバクターの検出状況について
3 甲状腺含有食品の組織学的検索について
4 豚の肝臓の腫瘤
参 考 資 料
1
年度別検査頭数〔表1〕
2 年度別検査頭数の推移〔図1〕
3
年度別病畜検査頭数〔表2〕
4
年度別病畜検査頭数の推移〔図2〕
5
月別検査頭数〔表3〕
6 月別検査頭数の推移〔図3〕
7
とさつ禁止及び全部廃棄処分獣畜に認められた主要病変〔表4〕
8 器官別検出病変の詳細〔表5〕
9 横浜市食肉衛生検査所平面図 10 BSE検査室平面図 11 案内図
第1章
1
沿
総
説
革
昭和25年
4月
昭和31年
昭和32年
昭和34年
1月
2月
9月
昭和35年11月
昭和37年 3月
昭和54年10月
昭和63年10月
平成 3年 4月
平成 6年 7月
平成 7年 3月
平成12年10月
平成13年10月
平成14年 4月
平成17年12月
平成21年
1月
と畜場関連衛生行政、神奈川県から本市に委譲
横浜市中央と畜場(神奈川区山内町)は、神奈川保健所が所管
横浜畜産興業㈱戸塚と畜場は、戸塚保健所が所管
横浜市衛生局公衆衛生課へ移管
横浜畜産興業㈱戸塚と畜場廃止
横浜市中央と畜場廃止
新たに横浜市中央と畜場として、鶴見区大黒町3番53号に開設
庁舎(鉄筋コンクリート2階・一部3階建て・延面積380.4㎡)建設
横浜市食肉衛生検査所設置
食肉市場管理棟が完成し、3階に検査所移転
中央卸売市場整備計画に基づく全面改築工事終了
新施設稼働
食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律の施行
仲卸棟完成
女子更衣室及び事務室の改築工事終了
副生物保管用冷蔵庫を増設
牛海綿状脳症検査開始
豚枝肉冷却施設が完成し、冷と体取引開始
小動物解体室の解体ライン改良工事終了
オンレール稼動
大動物解体室の解体ライン改良工事終了
オンレール稼動
2
概
要
(1)
名
(2)
所在地
(3)
庁
ア
イ
ウ
(4)
称
横浜市食肉衛生検査所
横浜市鶴見区大黒町3番53号
TEL 045 (511) 5812
FAX 045 (521) 6031
舎
総面積
645㎡
食肉市場管理棟(鉄筋コンクリート3階建 2,602.4㎡)3階部分 529㎡
所長室、事務室、研修資料図書室、試験検査中央管理室、理化学検査室、
理化学測定室、病理検査室、細菌検査室、分離培養室、洗浄滅菌室、
男子更衣室、女子更衣室、ロビー、倉庫
食肉市場福利厚生棟1階部分 44.5㎡
検査準備室、病理標本室、特別管理産業廃棄物保管庫
病畜棟 71.5㎡
病畜検査室、前室、計測室、消毒室、BSE検査室、BSE検査準備室
機
構
健康福祉局
(5)
配属職員構成
健康安全部
食肉衛生検査所
平成21年3月31日現在
所
副
長
担
当
係
長
1
4
所
長
衛
生
監
視
員
と
畜
検
査
員
臨
事
自
床
動
検
車
査
運
技
師
転
務
手
事
試
務
験
室
室
1
(6) 業務内容
ア と畜場法に基づくと畜検査及びと畜場の衛生指導
イ 食品衛生法に基づく次の業務
18(再任用1)
5
1
(再任用1)
(ア) 第28条第1項の規定による食肉市場内の営業者等からの報告の徴収、市場内
で取り扱う食品等の監視指導及び収去
(イ) 第30条第2項の規定による食肉市場内の監視指導
(ウ) 第54条の規定による食肉市場内で取り扱う食品等の廃棄処分及び営業者に対
する食品衛生上の危害を除去するための処置命令
ウ 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律に基づく申請書類等の受理、許
可調査、監視指導、確認規程の審査等の業務
エ 横浜市食肉衛生検査所条例に基づく次の業務
(ア) 食肉動物、食肉及び食肉動物医薬品についての試験、検査、研究及び調査
(イ) 依頼による試験、検査、研究及び調査
オ 牛海綿状脳症対策特別措置法第7条第2項の規定に基づく、牛の特定部位の使用
及び焼却免除の許可
(7)
手数料
区 分
手数料
牛
と畜検査手数料
・
豚
め
病
・
ん
畜
馬
子
羊
・
・
600円
牛
山
と
羊
禁
諸 証 明
依 頼 検 査 等
300円
150円
1,500円
300円
試 験 ま た は 検 査
研 究 ま た は 調 査
食鳥処理事業許可申請手数
料
H18.4.1改正
H5.7.1改正
2,000円 ※左記の範囲内の
10,000円 額を徴収します
19,000円
H6.4.1改正
食鳥処理の事業の
規制及び食鳥検査
に関する法律の規
定に基づく手数料
食鳥処理場の構造または設
備変更許可申請手数料
10,000円
確認規程認定申請手数料
5,500円
H9.4.1改正
確認規程変更認定申請手数
料
※
2,300円
特に、試験、検査、研究及び調査に使用する材料または手数を要する
ときの手数料は、実費相当額を徴収します。
第2章
事
業
概
要
1 食肉動物の検査について
(1)
と畜検査頭数
平成20年度の総と畜検査頭数は141,234頭です(表1)。
表1
畜種別と畜検査頭数の推移
畜種
20年度
肉用牛
大
動
物
乳用牛
計
子牛
中
小
豚
動
物
当才
大貫
計
計
合計
19年度
13,950
(14)
2,101
(4)
16,051
(18)
0
(0)
122,320
(9)
2,863
(0)
125,183
(9)
125,183
(9)
141,234
(27)
増△減
14,524
(18)
1,935
(6)
16,459
(24)
0
(0)
126,129
(0)
2,434
(1)
128,563
(1)
128,563
(1)
145,022
(25)
前年度比(%)
△ 574
(△4)
166
(△2)
△ 408
(△6)
0
(0)
△ 3,809
(9)
429
(△1)
△ 3,380
(8)
△ 3,380
(8)
△ 3,788
(2)
(
96
(78)
109
(67)
98
(75)
0
(0)
97
(0)
118
(0)
97
(900)
97
(900)
97
(108)
)は病畜の検査頭数です。
(2)
と畜場外とさつ
と畜場外とさつ(切迫とさつ)はありませんでした。
(3)
と畜検査の結果に基づく処分頭数
とさつ・解体禁止、全部廃棄、一部廃棄のいずれかの処分をした食肉動物の頭数は
120,818頭で、総検査頭数の約85.5%にあたりました。また、処分内容では畜種にか
かわらず大部分を一部廃棄処分が占めていました (表2,3)。
表2
畜種別処分頭数
処分数
検査頭数
牛
子牛
豚
合計
表3
16,051
0
125,183
141,234
頭数
処分内容
百分率
10,472
0
110,346
120,818
とさつ・
解体禁止
65.2
0.0
88.1
85.5
全部廃棄
0
0
0
0
8
0
59
67
一部廃棄
10,464
0
110,285
120,749
処分頭数の推移
処分数
検査頭数
平成18年度
平成19年度
平成20年度
164,038
145,022
141,234
頭数
131,011
126,516
120,818
処分内容
百分率
79.9
87.2
85.5
とさつ・
解体禁止
2
1
0
全部廃棄
66
61
67
一部廃棄
130,943
126,454
120,749
(4)
器官別病変百分率
病変の検出を器官別にみると、牛では総病変数18,515件に対し、消化器系に8,720
件(47.1%)、呼吸器系に6,194件(33.5%)、運動器系に2,363件(12.8%)の順に(図1)、
豚では総病変数177,244件に対し、呼吸器系に132,143件(74.6%)、消化器系に34,328
件(19.4%)、循環器系に7,532件(4.2%)の順に(図2)病変が多く認められました。
図1
牛における器官別病変百分率
循環器系
1.6%
その他
0.7%
泌尿・生殖器系
4.4%
運動器系
12.8%
牛
総件数
18,515
消化器系
47.1%
呼吸器系
33.5%
図2
豚における器官別病変百分率
運動器系
1.1%
その他
0.8%
循環器系
4.2%
消化器系
19.4%
豚
総件数
177,244
呼吸器系
74.6%
(5)
上位5位病変検出率
検査頭数あたりの病変件数を百分率で示しました。牛では胸膜炎が高率に認められ
ました。豚ではカタル性肺炎が高率に認められ、次いで胸膜炎が多く認められました
(表4)。
表4
畜種別病変検出率(%)上位5位
肉用牛
胸膜炎
肝出血
肝包膜炎
化膿性肝炎
筋肉出血
順位
1
2
3
4
5
乳用牛
胸膜炎
肝脂肪変性
肺気腫
肝出血
肝包膜炎
28.2
15.8
9.0
5.8
5.6
豚
カタル性肺炎
胸膜炎
肝包膜炎
心外膜炎
間質性肝炎
28.1
13.5
12.6
12.2
10.7
56.7
33.8
10.8
5.8
5.8
(6)
とさつ禁止及び全部廃棄処分頭数
とさつ禁止処分はありませんでした(表5)。
全部廃棄処分は、牛では牛白血病、高度の水腫、尿毒症、高度の黄疸によるものが
みられました。豚では敗血症、高度の水腫、サルモネラ症、膿毒症が処分理由の大半
を占めていました。
表5 とさつ禁止及び全部廃棄処分頭数
病名
と
さ
つ
禁
止
全
部
廃
棄
計
肉用牛
乳用牛
子牛
豚(当才)
豚(大貫)
豚丹毒
0
0
0
0
0
0
小計
0
0
0
0
0
0
牛白血病
3
2
1
0
0
0
白血病
5
0
0
0
4
1
豚丹毒
1
0
0
0
1
0
サルモネラ症
10
0
0
0
10
0
膿毒症
8
0
0
0
7
1
敗血症
21
0
0
0
19
2
尿毒症
2
1
0
0
1
0
高度の黄疸
1
1
0
0
0
0
高度の水腫
15
3
0
0
10
2
腫瘍
1
0
0
0
1
0
小計
67
7
1
0
53
6
67
7
1
0
53
6
合計
2 食鳥の検査について
「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」に基づく業務のうち、許可権
限(市長許可)を除く業務所管を食肉衛生検査所とし、関係申請書類などの受理、監視
指導などを実施しました。
(1)
食鳥処理場及び届出食肉販売業者の施設数
施設はすべて年間処理羽数が30万羽以下の認定小規模食鳥処理場であり、現在34
施設あります。そのうち、生体から処理をしている施設は1施設です。また、食肉販
売業の許可を受けている者が届出をし、検査に合格した食鳥とたいを認定小規模食鳥
処理業者に販売する届出食肉販売業者の施設は4施設です。なお、これらの施設に対
して延72回の監視指導を実施しました。
(2) 食鳥処理衛生管理者数
認定小規模食鳥処理場には、食鳥処理衛生管理者を置くことが義務づけられており、
その設置者数は71人です。
(3) 確認状況及び措置
認定小規模食鳥処理場では、食鳥処理衛生管理者が「確認規程」に基づき異常の有
無を確認することが義務づけられています(表1)。
表1
認定小規模食鳥処理場における確認状況及び措置
確認状況及び措置
異常の有無の確認羽数
基準適合羽数
基準不適合羽数
全部廃棄
不適合内容内訳
一部廃棄
合計
392,279
389,323
2,956
2,442
514
(4)
表2
精密検査
厚生労働省通知及び検査所独自に基づくモニタリング検査等を、残留有害物質と食
中毒原因細菌について実施しました。
残留有害物質検査は食鳥の筋肉及び腎臓について実施し、結果はすべて陰性でした
(表2)。食中毒原因細菌検査は食鳥の筋肉、施設内器具等及び従業員の手指について
実施しました(表3)。食鳥病理検査は基準不適合な食鳥21羽85項目について実施しま
した。
残留有害物質検査件数
検
検査項目
内
抗テ
ト
寄
ラ
生サ
生
イ
虫
ク
物
リ
用
ン
質系
剤
検
一
査
検
体
厚生労働省
通知に基づく
モニタリング
検査
横浜市食品
衛生監視指
導計画に基
づく検査
斉
検
分 類
検査所独自
モニタリング
検査
査
体
法
数
Ⅰ
計
筋肉
50
980
90
0
1,070
筋肉
60
1,470
90
0
1,560
腎臓
30
0
90
0
90
筋肉
0
0
0
0
0
140
2,450
270
0
2,720
総 計
※結果はすべて陰性でした。
表3
食中毒原因細菌検査件数
検
検
大
大
ス
腸
腸
検
検
体
リ
O 腸
O 腸
腸バ
ン
管
管
ン
出
コ
血
2
性
マ
球イ
大
ン
腸
耐
色
査
査
黄
検査項目
サ
カ
ド
菌
菌
ル
ブ
テ
モ
ウ
リ
ネ
体
数
筋肉
80
器具等
85
手指・
その他
15
180
※(
群
0
数
0
85
(48)
15
(4)
100
85
(21)
15
(2)
100
)内は陽性検体数を表します。
菌
80
(23)
85
(26)
15
(2)
180
ロ
バ
ア
80
(9)
0
0
ラ
80
(21)
85
(7)
15
80
180
出
1
血
ク
性
5
大
タ
腸
6 菌
80
0
0
菌性
20
(4)
0
0
0
0
0
80
80
80
20
80
(54)
0
計
シ
7 菌
80
ー
球
ピ
500
340
60
900
3 試験検査について
(1)
と畜検査関係
ア 精密検査
生体検査、解体前、解体時及び解体後の検査において、人畜共通感染症や全身
性疾患が疑われたものについて、微生物学的、病理学的、理化学的に精密検査を
行い判定しています。この検査で疾病が確定された場合、全部廃棄処分となりま
す。本年の検査頭数は68頭で、昨年度の64頭とほぼ同様の頭数です(表1)。
表1
疾病別検査件数
検査区分
疾病名
牛 白
血 病
白
血
病
豚
丹
毒
サ ル モ ネ ラ 症
敗
血
症
敗
血
症
( 非定 型抗 酸菌 症)
尿
高
毒
度
の
症
黄
疸
高 度 の 水 腫
中 毒
諸 症
全 身 性 腫 瘍
(白血病を除く)
合計
検査頭数
検査項目数
微生物検査 病理検査 理化学検査 総 数
0
138
0
138
0
191
0
191
19
0
0
19
277
0
0
277
0
0
0
0
864
0
0
864
牛
豚
豚
豚
牛
豚
3
5
3
20
0
18
豚
4
0
110
0
110
牛
豚
牛
豚
牛
豚
2
2
1
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
2
1
0
30
0
4
2
1
0
30
0
牛
1
1,160
79
0
1,239
68
2,320
518
37
2,875
イ
表2
牛海綿状脳症(BSE)検査
と畜場に搬入された全ての牛16,051頭について、エライザ法によるスクリーニ
ング検査を実施し、結果はいずれも陰性でした(表2)。
BSE検査頭数
分類
生後24ヶ月以上の牛のうち、生体検査において運動障害、知
覚障害、反射または意識障害の神経症状が疑われたもの及び
全身症状を呈する牛
生後30ヶ月以上の牛
その他の牛
合計
検査頭数
0
3,943
12,108
16,051
(2)
微生物検査関係
ア と畜場内の衛生状況
下記の検査結果を衛生指導に役立てました(表3)。
(ア) 厚生労働省通知(平成9年1月28日、平成9年4月8日)に基づき、枝肉の生菌数、
腸管出血性大腸菌O157、サルモネラの検査を実施しました。
(イ) 厚生労働省通知(平成12年4月10日)に基づき、牛枝肉の生菌数及び大腸菌群
の検査を実施しました。
(ウ) 厚生労働省通知(平成14年4月10日)に基づき、豚枝肉の生菌数及び大腸菌群
の検査を実施しました。
(エ) 厚生労働省通知(平成18年11月2日)に基づき、腸管出血性大腸菌O26の検査
を実施しました。
(オ) 設置者の依頼により大腸菌数の検査を実施しました。
表3
と畜場内の衛生状況調査件数
検査項目
検
査
検
体
数
検
査
検
体
分
類
生
腸
ル
モ
菌
菌
数
群
ラ
ネ
O
O
1
2
計
5
6
7
枝 肉
275
275
185
275
120
0
55
55
965
肝 臓
55
0
0
0
0
0
55
55
110
265
265
185
265
120
0
0
0
835
595
540
370
540
240
0
110
110
1,910
豚枝肉
イ
食肉処理施設及び食鳥処理施設の衛生状況
市場内の食肉処理施設5社において、食肉及び施設内の器具類を対象に細菌検
査を実施し、検査結果に基づいて衛生指導を行いました(表4)。
食肉処理施設及び食鳥処理施設の衛生状況調査件数
検
査
検
査
検
分類
検
体
数
器具等
72
手指・その他
3
器具等
85
手指・その他
15
器具等
16
食鳥処理施設
内臓取扱室
生
大
大
腸
腸
菌
菌
群
72
(28)
3
数
72
(9)
3
85
(48)
15
(4)
16
(10)
85
(21)
15
(2)
16
(10)
菌
体
食肉処理施設
※(
腸
黄
色
ブ
ド
ウ
球
菌
サ
牛
総 計
表4
大
菌
数
フ
キ
ト
リ
検
査
大
数
0
0
0
0
16
(15)
検査項目
黄
色
ブ
ド
ウ
球
菌
72
(1)
3
85
(26)
15
(2)
16
)内は陽性検体数を表します。食鳥処理施設の数値は食鳥のページよりの再掲です。
サ
ル
モ
計
ネ
ラ
72
(1)
3
85
(7)
15
10
(7)
288
12
340
60
74
ウ
表5
食中毒原因細菌検査
検査所独自モニタリング検査等及び、市内流通の牛肉と豚肉の食中毒菌の検査
をしました (表5)。本年度より区福祉保健センター収去品の検査(センター収去)
を開始しました。
食中毒原因細菌検査件数
検
検
検
大
査
分類
腸
検
動
検
体
リ
サ
ス
ル
テ
モ
リ
ネ
色
査
査
黄
ブ
ド
菌
ウ
球
ー
検査項目
カ O 腸 エエ 腸 腸バ
管
ン
ン
管 ン
ル 出
コ
ピ
出 テ
血
1
マ
ロ
血 ロシ 性
大 球イ 計
バ 性 コニ
腸
シ
5
ク
大 リ
菌
ン
ア 0
タ
腸 チ
耐
2
7 菌 カ・ 6 菌性
80 80 0 80 20
500
(54)
(4)
0 10 10 10 0
60
(4)
0 10 10 10 0
60
(1)
10 10 0 10 0
40
(4)
90 110 20 110 20 660
検査所独自モニタリング検査
物
体
数
鶏
筋肉
80
牛
筋肉
10
豚
筋肉
10
牛
内臓
10
横浜市食品衛生監視指導計画に基づく検査
センター収去
合計
(
110
群
0
菌 ア ラ
80 80 80
(23) (9) (21)
10 10 0 10
(7)
10 10 0 10
(8)
0 0
0 10
(1)
20 100 80 110
)内は陽性検体数を表します。鶏の数値は食鳥のページよりの再掲です。
エ
表6
調査研究他
牛直腸及び第1胃内容物中の食中毒菌の保菌調査を実施しました。検査室の精
度管理(GLP)に基づき内部・外部精度管理を実施しました(表6)。
保菌調査件数及び精度管理検査件数
分 類
直腸内容物
牛の保菌調査
第1胃内容物
精度管理
その他
総 計
検査検体数 検査項目数
110
330
40
120
10
32
0
0
160
482
(3)
表7
病理検査関係
一般病理検査は184頭 1407件実施し、症例を集積し、早期診断に役立てました(表7)。
本年度の病理組織検査による腫瘍の検出数は牛で12例、豚で16例の合計28例でした。検
査頭数に対する腫瘍が検出される割合は、牛で 0.075%、豚で 0.013%でした。全部廃
棄処分は、牛の白血病が3例、豚の白血病が5例、全身性腫瘍で豚の黒色腫が1例確認さ
れました。(表8)。
病理検査件数
検査項目
合計
一般病理検査
食鳥病理検査
検査頭数 検査項目数
205
1492
184
1407
21
85
※鶏の数値は食鳥のページよりの再掲です。
表8
腫瘍の検出頭数
腫瘍名
白血病
牛
豚
3
鶏
5
0
黒色腫
3
1
0
顆粒膜細胞腫
5
0
0
子宮平滑筋腫
0
5
0
腎芽腫
0
3
0
乳頭腫
0
1
0
心臓血管筋腫
1
0
0
腺腫
0
1
0
卵管平滑筋腫
卵管腺癌
0
0
0
0
1
4
総計
12
16
5
(4)
理化学検査関係
ア 残留有害物質検査
厚生労働省通知及び検査所独自に基づくモニタリング検査を、残留有害物質に
ついて実施しました。また、市内流通食肉についても横浜市食品衛生監視指導計
画に基づき実施しました。ポジティブリスト制度の導入に伴い、HPLCによる動物
用医薬品等の一斉試験法Iを導入し、検査項目を大幅に増やしました (表9)。
表9
残留有害物質検査件数
検
検
数
30
0
10
0
50
30
10
10
90
30
30
60
30
20
10
20
10
0
検査項目
抗テ
内
ト
寄
ラ
斉
生サ
生
イ
虫
ク
法
物
リ
用
ン
剤
Ⅰ
質系
1,530
0
0
0
0
0
500
0
0
0
0
0
980
90
0
510
30
40
0
30
0
0
0
40
1,500
90
120
0
90
0
0
0
120
1,470
90
0
0
90
0
510
0
40
0
0
40
500(1)
0
40
0
0
40
0
0
0
1,530
0
500
0
1,070
58 0
30
40
1,710
90
12 0
1,560
90
550
40
540
40
0
440
7,500
8,490
検
一
査
査
分 類
検
動
検
物
体
筋肉
脂肪
筋肉
脂肪
筋肉
筋肉
腎臓
脂肪
筋肉
腎臓
脂肪
筋肉
腎臓
筋肉
脂肪
筋肉
脂肪
筋肉
牛
検査所独自モニタリング検査
豚
鶏
牛
厚生労働省通知に基づくモニタ
リング検査
豚
鶏
牛
横浜市食品衛生監視指導計画
に基づく検査
豚
鶏
総 計
査
体
510
480
計
※テトラサイクリン系抗生物質は、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリンの3
項目です。
※抗生物質の検査対象はペニシリン系、テトラサイクリン系、マクロライド系、アミノグリコシド系抗生物質
であり、検査方法はDisk法によります。
※ ( )内は違反検体数を表します。
※鶏の数値は食鳥のページよりの再掲です。
イ
その他
検査室の精度管理(GLP)に基づき内部・外部精度管理を実施しました。
4 牛特定部位の使用等の許可について
牛の特定部位については、「牛海綿状脳症対策特別措置法」第7条第2項の規定に
基づき、学術研究等の目的で使用する場合に限り、焼却による処理を免除し、使用を
許可しています。
(1)
使用許可施設数
主な許可施設は大学歯学部、歯科医療系関連企業です。
表1牛の特定部位使用許可状況
特定部位の種類
提供施設数
(
15施設
歯
) (
内
訳
内
訳
)
1施設
延髄
新規
6施設
更新
9施設
新規
―
更新
1施設
5 学会・研修会等の発表
実施日
平成20年5月15日
学会・研修会名
演 題
第57回全国食肉衛生検査所協議会
病理研修会
牛の筋肉
食鳥処理施設における食鳥肉からのカ
ンピロバクターの検出状況について
平成20年7月8日
第43回 横浜市
保健・医療・福祉研究発表会
甲状腺含有食品の組織学的検索につい
て
平成20年11月13日
第58回全国食肉衛生検査所協議会
病理研修会
豚の肝臓の腫瘤
発表内容は第3章を参照して下さい。
6 衛生講習会
実施日
平成20年6月23日
平成20年6月28日
講習会名
講習内容
食肉市場内内臓業者向け講習会 内臓業者を対象とした食品の衛生講習会
JA横浜生産者向け講習会
生産者を対象とした衛生講習会
参加人数
40人
20人
第3章
演
調査研究報告
題 :牛の筋肉
機 関 名 :横浜市食肉衛生検査所
動 物 名:牛
病
品
種:黒毛和種
性
別:去勢
氏
名:平原
奈津子
年
齢:33か月齢
歴:不明
生体所見:著変は認められなかった。
肉眼所見:枝肉は全身の筋肉が広範囲にわたり筋肉本来の色を失い、淡桃色を呈してい
た。病変は筋単位で認められ筋線維に沿って変色していた。病変が顕著だっ
たのは、体幹皮筋・棘上筋・棘下筋・前背鋸筋・腹鋸筋・胸最長筋・腰最長
筋・半膜様筋・浅殿筋・中殿筋・深殿筋であった。とくに最長筋と前背鋸筋
は全体にわたって病変が認められた。
頚長筋は軽度水腫を呈し濁った赤褐色であったものの上記のような筋肉の変
色は軽度だった。
内臓では、肝脂肪変性、横隔膜水腫、縦隔水腫、心冠部脂肪水腫、第四胃潰
瘍が認められた。
組織所見:肉眼で淡桃色を呈していた病変部は、ほとんどの筋線維が脂肪組織に置換さ
れていた。残存した筋線維の一部には変性および、核の中央移動がみられた。
また、変性した筋線維の周囲を取り囲むようにマクロファージが集簇してい
る像も散見された。頚長筋も同様の脂肪組織の置換が起こっていたが他の部
位よりも残存する筋線維が多く認められた。
固定方法: 10%中性緩衝ホルマリン液
切り出し部位(図示)
切り出し部位
(半膜様筋)
配布写真
(右後肢内側)
行 政 処 分:全部廃棄(高度の水腫として)
組織診断名:筋肉の間質性脂肪浸潤
疾病診断名:筋脂肪症
牛の筋肉
横浜市食肉衛生検査所
平原 奈津子
1
背 景
黒毛和種 去勢 33か月齢
• 病歴
不明
• 生体所見 著変なし
• 内臓所見 縦隔水腫 横隔膜水腫
心冠部脂肪水腫
肝脂肪変性 第四胃潰瘍
水腫で保留となり、後に「高度の水腫」として全部廃棄になった。
2
皮筋
左の枝肉 外側面 全体像 「皮筋」
体幹部の皮筋が広範囲にわたり筋肉本来の赤色を失い、淡桃色を呈していた。左右と
もに高度に変色していた。
3
胸最長筋
前背鋸筋
左の枝肉 外側面 胸部「胸最長筋 前背鋸筋」
第6~7肋間の肩切り部分
「最長筋の胸部にあたる胸最長筋」が重度に変色。この割面からみられる「僧帽筋、菱
形筋、広背筋、腹鋸筋、胸腸肋筋」は変色はない。その内側にみられる「前背鋸筋」に
も重度の変色。
4
胸最長筋
前背鋸筋
右の枝肉 外側面腹部「胸最長筋 前背鋸筋」
右の枝肉を表層から削っているとき全域にわたり「胸最長筋」と「前背鋸筋」が変色。
5
棘上筋
棘下筋
腹鋸筋
右の枝肉 外側面 胸部 肩甲骨付近「棘上筋 棘下筋」
「棘上筋」、「棘下筋」が変色していた。「深胸筋」は著変なし。先ほど左の肋間断面では
変色なかった腹鋸筋が変色していた。
6
浅殿筋
中殿筋
深殿筋
右の枝肉 外側面 後肢 「殿部の筋肉など」
「殿部の筋肉」が変色。
7
半膜様筋
左の枝肉 背割面 後肢 「半膜様筋」(配布写真)
内股の筋肉において「半膜様筋」が広範囲に変色。また「大腿薄筋」は変色なし。
8
頚長筋
左の枝肉 背割面 全体像 頚部「頚長筋」
「頚長筋」が水腫様になり、筋肉が濁った赤色を呈していた。
9
半膜様筋(配布切片)
半膜様筋(配布切片)①補空性脂肪浸潤
配布切片の半膜様筋横断面HE染色弱拡大像
筋周囲膜に脂肪が浸潤し筋束間が拡張。残存する筋線維も脂肪に置き換わりつつあり
虫食い状になっていた。
10
半膜様筋(配布切片)
半膜様筋(配布切片)②筋変性 分節状・塊状
縦断面強拡大像
筋線維の一部が脂肪に置換され、残存した筋線維が、一部分節状、塊状になっている
ところが認められた。
11
半膜様筋(配布切片)
半膜様筋(配布切片)③マクロファージ④核の中央移動
横断面強拡大像
崩壊した筋線維にマクロファージが浸潤していた。周囲では、再生途中の未熟な筋線
維でみられるという核が中央に移動しているものや、多核で連鎖状に配列しているもの
も認められた。
12
胸最長筋
胸最長筋
6~7肋間の肩きりした断面において最も変色のあった胸最長筋
筋肉のほとんどが脂肪組織に置換されたところに線維性組織が軽度認められた。
13
頚長筋
頚長筋 組織像 変性
肉眼において水腫様であった頚長筋
筋線維が顆粒状に崩壊しているところや大型の筋線維が散在していた。筋線維の膨化、
融解が認められた。
14
配布切片(ズダンⅣ染色)
クリオスタットによる配布切片の半膜様筋ズダンⅣ染色
脂肪浸潤部分が赤色に染まって陽性を示した。
15
ま と め
生体検査 著変なし
肉眼所見 胸部に水腫
特定の筋肉が高度に淡桃色に変色
組織所見 筋線維が脂肪に置換
筋核の中央移動
筋線維間にマクロファージ浸潤
筋線維の変性
まとめ
肉眼所見では枝肉の特定の筋肉が高度に淡桃色に変色。
内臓検査で横隔膜水腫、縦隔水腫、心冠部脂肪水腫、肝脂肪変性、第四胃潰瘍が認
められた。
組織所見では筋線維が高度に脂肪に置換されていた。また筋核の中央移動、筋線維
間にマクロファージ浸潤、筋線維の変性が認められた。さらに肉眼で変色が見られな
かった筋肉にも脂肪の置換が認められた。
16
組織診断名
筋肉の間質性脂肪浸潤
疾病診断名
筋脂肪症
患畜が黒毛和種で生体では著変がみとめられなかったこと、肉眼所見で胸部に水腫が
みとめられたことと組織所見で炎症性細胞の反応がわずかであったことにより組織診断
名を「筋肉の間質性脂肪浸潤」疾病診断名を「筋脂肪症」とした。
17
甲状腺含有食品の
組織学的検索について
食肉衛生検査所
西條 純枝
近年、外国製のダイエット食品による健康被害が、問題となっています。
今回、タイで製造されたダイエット食品から
日本では医薬品とされる、甲状腺の乾燥粉末を検出するために、
当所で組織学的に検索を行ったのでここに報告します。
1
と畜検査
(肉眼検査)
診断
鏡検
切り出して・・・
病理組織学的検査の流れ
ホルマリン固定
染色
切片
薄切
パラフィン包埋
まず、「食肉衛生検査所」や「組織学的検査」で何をやっているかご存じない方
も多いと思いますので、
普段、本検査所・病理寄生虫検査室で行っている検査の手順をご紹介します。
本検査所では、食肉市場に搬入され、と畜・解体される豚や牛を、毎日一頭一
頭、肉眼的に検査しています。
肉眼検査で診断のつかないものは、さらに病理組織検査を行い、より詳細に診
断しています。
と畜場内の検査コーナーで 検査をしていて気になる病変を見つけると、病理検
査室に検体を持って来て、
病変部を切り出し、ホルマリンに漬けて組織を腐らないように固定します。
そして、幾つかの工程を経て、パラフィンを浸透させ、組織を埋め込んだパラ
フィンの塊を作ります。
そして、それを1~2µmの薄さにスライスし、スライドガラスに貼付けます。
これを、適宜 染色し、顕微鏡で観察し、診断します。
以上の様に、日頃と畜検査で利用されている組織学的検査技術を活かし、
区の福祉保健センターなどから持ち込まれた苦情食品を検査することもあります。
調べてみると、たとえば、「シュウマイのなかのプラスチック片」が疑われたものが
実は「軟骨」だったり、
「肉のなかの寄生虫」が疑われたものが実は「血管」であることが判明することも
あります。
2
健康食品
による
健康被害
2005.06.19
読売新聞より
近年 健康への関心の高まりから、
サプリメントなどの健康食品を利用する方が増えています。
また、ダイエットのために、海外からダイエット食品を個人輸入する方も多いよう
です。
そういった海外のダイエット食品には、痩身効果を得るために、
甲状腺ホルモンや未承認薬成分が含まれるものもあります。
こうした製品は日本では、医薬品扱いとなったり、違法なものであることもあり、
これまでに様々な種類のダイエット食品による健康被害が報告されています。
3
ホスピタルダイエット
東京都健康安全研究センター
HPより
そうしたダイエット食品のひとつに「ホスピタルダイエット」という製品があります。
この製品は、各個人の年齢・性別・身長・体重などのデータに基づいて、
種々の錠剤やカプセル剤が組み合わされて処方される、オーダーメイドの製品
で、
主にインターネットを通じて個人輸入されています。
4
2005.09.22
読売新聞より
香川、兵庫、広島、神奈川、東京など、複数の都道府県で、
この「ホスピタルダイエット」による健康被害が報告されています。
重い肝機能障害が出たり、亡くなった方もいらっしゃるそうです。
本市でも平成19年11月に、この「ホスピタルダイエット」によると思われる
健康被害が市内の医療機関から報告され、衛生研究所に当該製品が持ち込ま
れました。
理化学的な検査の結果、6種の錠剤・カプセル剤のうち、2種から甲状腺ホルモ
ンが検出されたため、
当検査所でもはじめての試みとして、ダイエット食品から甲状腺組織の検索を行
いました。
5
甲状腺の構造
ここで、今回検索した甲状腺についてお話しします。
甲状腺は多数の濾胞から成り立っています。
濾胞は単層の、腺細胞でできた球形の袋で、その中に
サイログロブリンを主とした粘稠な液体であるコロイドを満たしています。
6
甲状腺ホルモンの生成
この甲状腺はヨウ素とチロシンから甲状腺ホルモン=サイロキシンを合成します。
このサイロキシンは生体組織の基礎代謝を亢進させます。
7
乾燥甲状腺
(甲状腺ホルモン剤)
マイラン製薬(株)
HPより
豚や牛の甲状腺をすりつぶし、乾燥、粉末化したものは、
「乾燥甲状腺」として日本薬局方にも載っており、
甲状腺ホルモン剤として、甲状腺機能低下症などの
治療薬として使用されてきました。
なお現在では、体内での生理活性がより本当の甲状腺ホルモンに近い
合成の甲状腺ホルモン剤が主流となっています。
正常な人にこの乾燥甲状腺を与えると、サイロキシンによる代謝亢進のために、
体温上昇、体重減少、高血糖を起こします。
「ホスピタルダイエット」の痩身効果の一部は、この作用によるものです。
8
乾燥甲状腺には、以下の表のような副作用があります。
「ホスピタルダイエット」の健康被害には、
甲状腺機能亢進症や、微熱、動悸や胸の痛み、体重減少、
肝臓機能障害、身体の震え、頭痛などの症状が挙げられており、
これらはこの乾燥甲状腺の副作用に当てはまります。
9
目的
• 平成19年に市内で「ホスピタルダイエット」による
健康被害が報告された。
• 衛生研究所にて当該製品6種の成分検査を行っ
たところ、2種から甲状腺ホルモンを検出した。
• 当検査所でも
確認検査として、
この2種について
組織学的検索を
行った。
目的です。
市内の医療機関からの依頼で、ホスピタルダイエットの6種の錠剤およびカプセ
ル剤について、
衛生研究所が理化学的な検査を行ったところ、持ち込まれた6種類全てから医
薬品成分が検出されました。
このうち2種からは甲状腺ホルモンが検出されました。
衛生研究所には組織切片作成の装置がないため、この2種について、
本検査所で 組織学的な確認検査のための切片を作成しました。
10
材料
衛生研究所に持ち込まれた
ホスピタルダイエット6種のうち、
甲状腺ホルモンが検出された
2種のコーティング錠
検体①
検体②
方法
錠剤の内容物を取り出し、粉末化後、
パラフィン包埋、薄切、
染色(HE染色、PAS染色)し、鏡検した。
材料と方法です。
「ホスピタルダイエット」のコーティング錠2種から内容物を取り出し、
粉末化・パラフィン包埋後、定法により薄切、組織切片を作製し、
ヘマトキシリン・エオジン染色(以下、HE染色)を実施し、鏡検しました。
コントロールにはブタ甲状腺とその乾燥粉末を用いました。
11
具体的に今回の甲状腺検索の手順を説明します。
今回は2種の錠剤を検査したため、コンタミを防ぐために、
それぞれ離れた場所で作業しました。
まず、鋭利な刃物で錠剤に切れ目を入れます。
12
そして、飛び散らないように、薬包紙に包んで錠剤を割ります。
13
コーティング剤をよけて、薬包紙を敷いた乳鉢へ、錠剤の内容物を入れます。
14
粉々になってしまったものは、ピンセットでひとつひとつコーティング剤の破片を
選り分けました。
15
乳鉢ですり潰します。
16
包埋皿にまんべんなく広げ、
17
粉末を動かさないようにそっとパラフィン粒を3粒のせ、
18
56度孵卵器に入れます。
19
パラフィンの粒が溶けたら、
包埋皿にさらに液体のパラフィンを多めに入れます。
このとき、せっかく沈下している粉末が
液体パラフィンの中で舞い上がらない様に、静かに流しいれます。
20
そして、プラスチックの土台をのせ、さらにパラフィンを重ねます。
パラフィンが土台になじまない場合は、
そのまま孵卵器にしばらく置き、なじむのを待ちます。
21
これを冷却器で冷やし固めます。
このときもせっかく沈下している粉末が液体の中で舞い上がらない様に、そっと
冷却器へ移します。
22
完成したパラフィンブロックです。
包埋皿に接していた部分に、沈下した粉末が集まっているのが見えます。
23
薄切します。
普通の組織と異なって、薄切しにくいので、4μmと厚めに切ります。
このとき、コンタミを避けるために、検体ごとに、薄切するための刃物を交換しま
した。
24
薄く切ったものを、スライドガラスに貼り付けます。
今回は剥がれてしまう危険性を考えて、
より剥がれにくい、シランコート処理をしたスライドガラスに切片を貼り付けました。
このとき切片を水槽に浮かべてからガラスに貼り付けるのですが、
コンタミを避けるために、水槽の水を検体ごとに交換しました。
スライドガラス上に切片を定着させたのち、組織の構造を見るために、
通常と同じように、HE染色を施しました。
このときもコンタミを避けるために、染色液を検体ごとに交換しました。
今回は鏡検時の比較用に、コントロールとして、ブタ甲状腺の組織を用いました。
乾燥・粉末化による変化が、よりわかりやすいように、
生の状態から標本にしたものと、
50~60度での乾燥と粉末化を繰り返した甲状腺から作ったもの
・・・の2種を用意しました。
25
ヘマトキシリン・エオジン染色
(HE染色)
乾燥
粉末化
通常の
豚の甲状腺組織
コントロール
粉末化した
豚の甲状腺組織
コントロール
HE染色の結果です。
左が生の状態から標本にしたブタ甲状腺コントロールです。
エオジンに均一に染まったコロイドを含んだ濾胞の構造が認められます。
また右が、乾燥・粉末化したブタ甲状腺コントロールです。
こちらもコロイドと濾胞の構造が認められます。
26
ヘマトキシリン・エオジン染色
(HE染色)
コントロール
検体①
検体②
検体のHE染色です。
エオジンに均一に染色される物質を含んだ、袋状の構造を認めました。
これはコントロールのブタ粉末甲状腺と類似していました。
ここで、粉末化したコントロールや両検体において、濾胞壁が変形しているよう
に見えるのは、
乾燥・粉末化の過程で、何らかの影響があったためと思われました。
さらに、特殊染色である過ヨウ素酸シッフ染色(以下、PAS染色)を行いました。
このPAS染色では、グリコーゲンや粘液多糖類、糖タンパクなどが赤紫色に染ま
ります。
甲状腺濾胞内のコロイドも陽性を示します。
27
過ヨウ素酸シッフ染色
(PAS染色)
乾燥
粉末化
通常の
豚の甲状腺組織
コントロール
粉末化した
豚の甲状腺組織
コントロール
PAS染色の結果です。
左が、生の状態から標本にしたブタ甲状腺コントロールです。
赤紫に染まったコロイドが認められます。
右が、乾燥・粉末化したブタ甲状腺コントロールです。
こちらも赤紫のコロイドが認められます。
28
過ヨウ素酸シッフ染色
(PAS染色)
コントロール
検体①
検体②
検体のPAS染色です。
両検体で、紫に染色されるPAS陽性の物質を含んだ袋状の構造を認めました。
検体①②ともに、粉末化ブタ甲状腺コントロールに非常に類似していました。
ここで、粉末甲状腺のコントロール、検体①②ともに、
生から固定した甲状腺コントロールよりも、青味がかって染色されているのは、
乾燥・粉末化の過程で、何らかの影響があったためと思われました。
また、視野に余計な夾雑物が多く認められるのは、
甲状腺末以外に含まれた成分が染色されたためと思われます。
以上、HE染色・PAS染色により、
検体①②ともに、粉末甲状腺コントロールに非常に類似していると言えます。
29
まとめ
• ダイエット食品の錠剤から
甲状腺組織を
確認することができた。
• 組織学的検査の有用性が
示された。
今回、甲状腺ホルモンが検出されたダイエット食品の錠剤から
甲状腺類似の組織を確認することができました。
食肉や加工食品ではなく、形状が錠剤であっても、
動物由来組織を確認することができました。
また、理化学的な検索の補助診断としての、組織学的検索の有用性が示されま
した。
錠剤の製造過程で、乾燥甲状腺末が十分に混合されず、粒によってばらつく可
能性があるそうです。
こういった場合、理化学的検索では、
定量限界以下で、痕跡を認める程度の少量のサイロキシンしか含まない検体で
も、
組織学的に甲状腺組織を検出できたという報告もあります。
一時よりも下火になったとは言え、ダイエットブームはまだ去ったとは言えません。
技術的には、まだ、
・錠剤の内容物の粉末化の程度
・薄切の厚み
…など、いくつかの改善点が挙げられますが、これをクリアし、
今後も機会があれば、理化学的検索の補助診断として同様の検索を行うととも
に、
今回のノウハウを他の検体にも活かしてゆけたらと思っています。
30
演
題 :豚の肝臓の腫瘤
機 関 名 :横浜市食肉衛生検査所
動 物 名:豚
病
品
種:雑種
氏
性
別:不明
年
名:上坂
友子
齢:6か月齢
歴:不明
生体所見:著変を認めなかった。
肉眼所見:
肝臓全体が肝硬変様に硬くなっていた。
肝臓全葉にわたり、直径2cm に隆起した暗赤色の腫瘤を多数認めた。腫
瘤は実質にも多数みられ、全て境界明瞭で被膜におおわれていた。硬さは肝
臓実質と同等だった。腫瘤の辺縁に出血を認めるものもあった。腫瘤割面は
淡褐色充実性で結合組織により不規則に区画されており、斑状の出血も認め
た。
また、直径5㎜大の白色結節が包膜面から数個みられ、割面実質にも同様
の結節を認めた。結節は境界不明瞭だった。
肝門リンパ節には著変を認めなかった。
組織所見: 腫瘤を構成する細胞は肝細胞に類似していて、不規則な索状又は密に配列
し、内部を結合組織が大小に区画していた。腫瘤内部や結合組織の領域には
多数の小血管やリンパ球、マクロファージを認めた。核の異型性は認めなか
った。
腫瘤と肝臓実質の境界は増生した結合組織により明瞭に区画されていて、
胆管や血管を豊富に含んでいた。
肝臓実質は小葉構造が乱れ、小葉間結合組織の増生と偽小葉・偽胆管の形
成が顕著だった。また類洞内には炎症性細胞の浸潤も認めた。
また、白色結節部位には高度に好酸球が浸潤し変性した肝細胞を認めた。
実質との境界は不明瞭だった。
固定方法: 10%中性緩衝ホルマリン液
切り出し部位(図示)
配布写真
切り出し部位
行 政 処 分:一部廃棄
組織診断名:結節性過形成
疾病診断名:なし
豚の肝臓の腫瘤
横浜市食肉衛生検査所
上坂 友子
1
症例
種類 : 豚
性別 : 不明
年齢 : 6ヶ月齢
病歴 : 不明
生体所見: 著変なし
症例は6ヶ月齢、通常と畜を行った豚で、病歴は不明です。
生体検査では著変ありませんでした。
2
全体像 1
肝臓横隔面の肉眼写真です。
肝臓の全葉に直径2センチメートル程度の暗赤色腫瘤を多数認めました。
3
全体像 2
臓側面の全体像です。
腫瘤は横隔面・臓側面の両面から観察され、肝臓実質との境界は明瞭でした。
4
腫瘤 肝臓割面
いくつかの腫瘤の拡大像と肝臓割面の写真です。
表面から観察された腫瘤は、隆起しているものが多く、すべて類円形でした。
また、被膜に包まれ、腫瘤内部に軽度の出血が認められるものもありました。
実質に割を入れていくと、この腫瘤のように、実質深部にも多数の腫瘤が認めら
れました。
実質深部にある腫瘤の割面でも、肝臓実質との境界は明瞭であり、明瞭な被膜
で包まれていました。
腫瘤は淡褐色や暗赤色の充実性で、斑状の出血も認められました。
5
白色結節 直径5ミリメートル大の白色病変部位の写真です。
肝臓実質との境界は不明瞭でした。
6
配布切片 腫瘤弱拡大 HE染色
腫瘤部弱拡大、ヘマトキシリンエオジン染色以下HE染色です。
腫瘤は、結合組織により不規則な小葉構造が形成されていました。
7
配布切片 腫瘤強拡大 HE染色
配布切片 腫瘤強拡大 HE染色
配布切片 腫瘤中拡大 HE染色
同じく腫瘤部強拡大HE染色です。
肝細胞類似細胞が島状に認められた領域では、肝細胞類似細胞が索状に配
列していました。
肝臓小葉構造様に結合組織で不規則に区画され、中心静脈様構造も一部認
められました。
8
配布切片 腫瘤弱拡大 アザン染色
腫瘤と周囲組織の境界部、弱拡大アザン染色です。
右上が腫瘤部、左下が圧迫された周囲肝組織です。
腫瘤は周囲組織と明瞭に区画されていました。
周囲の肝組織は圧迫されて小葉構造は乱れていました。
9
配布切片 腫瘤弱拡大 アザン染色
腫瘤部弱拡大像、アザン染色です。
厚い結合組織からなる被膜に包まれていました。
結合組織は腫瘤内にも入り込み、類洞にたくさんみられました。
10
配布切片 腫瘤中拡大 アザン染色
腫瘤部中拡大像、アザン染色です。
腫瘤内部に胆管が多数認められました。
11
白色結節 直径5ミリメートル大の境界不明瞭な白色結節の組織写真です。
好酸球が浸潤し、肝細胞の領域との境界は不明瞭で、結合組織による区画はあ
りませんでした。
12
まとめ
形態
多発、暗赤色、淡褐色
直径約 2 cmの類円形、隆起
組織
境界明瞭、被膜あり
不規則な索状配列・密に配列・島状
小胆管の増生
小血管の増生
炎症性細胞の浸潤
肝硬変
細胞 肝細胞類似の細胞
胆管細胞、マクロファージ、リンパ球
本症例の所見をまとめます。
本症例の特徴は、一見すると肝硬変の様相で、肝臓表面に隆起した腫瘤が多
数密発していたところです。
構成細胞のうち肝細胞類似細胞は不規則な索状、または密に配列し、
結合組織内には胆管や血管の増生が認められました。
ほとんどの構成細胞が結合組織になっているところもありました。
腫瘤の組織像は、いくつかの腫瘤によって小血管の増生が比較的軽度のもの、
肝細胞類似細胞が主に密にみられるものというように若干異なっていました。
13
鑑別診断 1
①肝細胞腺腫
②結節性過形成
③腺腫様過形成
鑑別診断です
肝臓に腫瘤を形成するものには肝細胞腺腫、結節性過形成、腺腫様過形成が
考えられます。
今回の症例では血管の侵襲像などの悪性所見は認められなかったため、肝細
胞癌は否定しました。
14
鑑別診断 2
肉眼
① 肝細胞腺腫
② 結節性過形成
単発
黄褐色ないし灰黄白色
直径 2~8 cm以上
多発
直径 0.2~3 cm
組織
境界明瞭・被膜あり
細胞
肝硬変のない肝臓
索状または腺房状配列
偽胆管の増生なし
中心静脈なし
グリソン鞘もなし
(三つ組み構造なし)
正常肝細胞類似
核の大小不同あり
核のクロマチンが豊富
境界明瞭・被膜なし
三つ組みが見られる
索状または密に配列
偽胆管の増生あり
中心静脈あり
③ 腺腫様過形成
被膜あり(まれ)
壊死・出血は見られな
い
直径1~3㎝
周囲とは肝硬変の線
維帯に境される
N/C比 高
正常肝細胞類似
細胞密度 高
細胞異型性なし
肝細胞腺腫、結節性過形成、腺腫様過形成の特徴をまとめた表です
肝細胞腺腫と結節性過形成は肉眼像、組織像、細胞学的特徴が類似し、境界
的な病変では鑑別が困難です。
肝細胞腺腫では、肝硬変が見られることはありません。
結節性過形成とされるのは、結節内に胆管や中心静脈の構造が認められる場
合に限ります。
周囲の正常肝組織はしばしば圧迫されて萎縮するが、結節周囲に被膜はない
という文献がありました。
腺腫様過形成は、早期の肝細胞癌と鑑別が困難で、肉眼的には慢性肝疾患、
特に肝硬変に生じた明らかな結節性病変であり、
周囲とは肝硬変の線維帯により境界されていることが多く、壊死・出血は見られ
ません。
ごくまれに、被膜に包まれていることがあります。
15
組織診断名
結節性過形成
今回認められた腫瘤は、それぞれの特徴を併せ持っていましたが、
胆管が増生していて、肝硬変も伴っていることなどから、
本症例は結節性過形成であると診断しました。
16
参 考 資 料
表1 年度別検査頭数
単位(頭)
畜種
年度
総数
肉用牛 乳用牛
子牛
馬
めん羊
山羊
豚
平成 11 192,301 19,211
977
18
36 172,059
12 193,956 19,694
708
7
173,547
13 193,952 18,017
206
2
175,727
14 193,878 16,076
177,802
15 195,283 12,847
202
182,234
16 186,411 12,280
1,366
3
172,762
17 171,574 11,301
989
1
159,283
18 164,038 14,127
1,481
148,430
19 145,022 14,524
1,935
128,563
20 141,234 13,950
2,101
125,183
図1 年度別検査頭数の推移
25,000
200,000
180,000
20,000
160,000
140,000
15,000
牛
頭
数 10,000
120,000
100,000 豚
頭
80,000 数
肉用牛
乳用牛
豚
5,000
60,000
40,000
20,000
0
0
平成 11 12
13
14
15
16
年度
17
18
19
20
表2 年度別病畜検査頭数
単位(頭)
畜種
年度
総数
肉用牛 乳用牛
豚
豚
(当才) (大貫)
子牛
平成 11
349
15
61
1
85
187
12
257
14
49
1
45
148
13
136
4
32
1
45
54
14
0
0
0
0
0
0
15
8
4
4
16
31
12
12
1
3
3
17
25
8
3
1
9
4
18
16
8
8
19
25
18
6
20
27
14
4
1
9
図2 年度別病畜検査頭数の推移
200
180
160
140
肉用牛
乳用牛
120
頭
数 100
80
豚 (当才)
豚 (大貫)
60
40
20
0
平成
11
12
13
14
15
16
年度
17
18
19
20
表3 月別検査頭数
単位(頭)
畜種
月
計
肉用牛
乳用牛
子牛
豚
4
11,999
1,201
198
10,600
5
11,483
1,170
214
10,099
6
10,286
951
242
9,093
7
10,712
1,122
198
9,392
8
9,376
11,222
107
193
8,185
9
1,084
1,029
10,000
10
13,602
1,041
175
12,386
11
12,084
1,441
179
10,464
12
13,779
1,479
144
12,156
1
13,039
1,098
140
11,801
2
11,800
1,100
166
10,534
3
11,852
1,234
145
10,473
合計
141,234
13,950
2,101
0
125,183
図3 月別検査頭数の推移
豚
20,000
2,000
17,500
1,750
15,000
1,500
12,500
1,250
頭
数 10,000
頭
数 1,000
7,500
750
5,000
500
2,500
250
0
牛
乳用牛
肉用牛
0
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
月
月
表4 とさつ禁止及び全部廃棄処分獣畜に認められた主要病変
[牛白血病及び白血病]
処分頭数
肉用牛
2
乳用牛
1
豚(当才)
4
病変の単位(件)
豚(大貫)
1
認められた病変
循環器系
心臓腫瘍
心冠部脂肪水腫
2
小計
2
1
1
小計
1
2
3
1
1
造血器系
脾腫瘍
リンパ節腫瘍
1
4
5
1
1
1
1
1
1
呼吸器系
肺腫瘍
肺気腫
胸膜水腫
1
小計
1
1
1
2
消化器系
肝腫瘍
肝出血
肝富脈斑
肝炎
化膿性肝炎
腸間膜水腫
化膿性腹膜炎
1
1
1
1
1
小計
1
3
3
内分泌系
胸腺腫瘍
1
1
小計
運動器系
横隔膜腫瘍
横隔膜水腫
2
小計
2
1
1
1
1
[豚丹毒]
肉用牛
乳用牛
処分頭数
豚(当才)
1
豚(大貫)
認められた病変
皮膚・皮下織・蹄
(丘疹性)皮膚炎
2
2
小計
[サルモネラ症]
肉用牛
処分頭数
乳用牛
豚(当才)
10
認められた病変
呼吸器系
カタル性肺炎
胸膜炎
小計
2
1
3
小計
9
10
19
消化器系
肝出血
肝壊死
豚(大貫)
[膿毒症]
肉用牛
処分頭数
乳用牛
豚(当才)
7
豚(大貫)
1
認められた病変
循環器系
心外膜炎
小計
1
1
小計
1
1
3
5
小計
1
2
2
1
6
呼吸器系
化膿性肺炎
カタル性肺炎
胸膜炎
消化器系
化膿性肝炎
間質性肝炎
肝包膜炎
腹膜炎
泌尿・生殖器系
腎炎
化膿性腎炎
カタル性膀胱炎
1
小計
1
小計
9
3
3
2
17
1
1
2
運動器系
化膿性筋炎
化膿性骨髄炎
化膿性関節炎
関節炎
4
4
[敗血症]
肉用牛
処分頭数
乳用牛
豚(当才)
19
豚(大貫)
2
2
1
1
14
18
2
2
認められた病変
循環器系
心冠部脂肪水腫
心臓肥大
心外膜炎
疣状性心内膜炎(菌有)
小計
造血器系
脾うっ血
脾炎
化膿性脾炎
リンパ節抗酸菌症
リンパ節炎
1
4
1
小計
4
2
11
1
小計
2
9
6
17
1
1
2
小計
1
2
1
2
1
1
8
呼吸器系
肺水腫
カタル性肺炎
胸膜炎
消化器系
肝うっ血
肝抗酸菌症
肝包膜炎
腸間膜水腫
腹膜・腸間膜黄染
腹膜炎
泌尿・生殖器系
腎出血
腎貧血性梗塞
腎炎
化膿性腎炎
1
4
7
小計
12
1
1
運動器系
化膿性筋炎
小計
1
1
[尿毒症]
処分頭数
肉用牛
1
乳用牛
豚(当才)
1
豚(大貫)
認められた病変
消化器系
肝脂肪変性
肝包膜炎
腹膜炎
腸出血
1
1
1
小計
1
2
小計
1
1
2
2
泌尿・生殖器系
腎炎
膀胱出血
カタル性膀胱炎
1
1
[黄疸]
処分頭数
肉用牛
1
認められた病変
循環器系
心膜黄染
動脈黄染
小計
1
1
2
小計
1
1
1
3
小計
1
1
消化器系
肝黄染
化膿性肝炎
腹膜・腸間膜黄染
皮膚・皮下織・蹄
皮下織黄染
乳用牛
豚(当才)
豚(大貫)
[水腫]
豚(当才)
10
豚(大貫)
2
小計
1
2
3
1
1
2
小計
1
1
処分頭数
肉用牛
3
乳用牛
認められた病変
循環器系
心冠部脂肪水腫
心外膜炎
造血器系
脾萎縮
呼吸器系
カタル性肺炎
胸膜水腫
胸膜炎
小計
1
1
1
3
3
1
5
8
1
2
2
1
1
1
2
1
消化器系
肝の発育不良
肝硬変
肝脂肪変性
肝炎
肝包膜炎
腹膜水腫
腸間膜水腫
腹膜炎
腸の発育不良
腸出血
カタル性腸炎
1
1
5
1
1
1
小計
2
1
15
2
泌尿・生殖器系
腎炎
1
1
小計
運動器系
筋肉水腫
筋炎
化膿性筋炎
化膿性骨髄炎
化膿性関節炎
横隔膜水腫
5
1
小計
2
8
小計
1
1
7
2
1
1
3
11
3
皮膚・皮下織・蹄
皮下織水腫
2
2
[腫瘍]
肉用牛
処分頭数
乳用牛
豚(当才)
1
認められた病変
循環器系
心臓腫瘍
小計
1
1
小計
1
1
2
小計
1
1
小計
1
1
2
小計
1
1
造血器系
脾腫瘍
リンパ節腫瘍
呼吸器系
胸膜炎
消化器系
胃腫瘍
肝腫瘍
泌尿・生殖器系
腎腫瘍
豚(大貫)
表5 器官別検出病変の詳細
循環器系
肉用牛
2
1
4
1
心臓腫瘍
心臓奇形
心筋出血
心筋梗塞
心筋水腫
心冠部脂肪水腫
心筋褐色萎縮
心筋黄染
心筋脂肪変性
心臓肥大
化膿性心筋炎
心膜出血
心膜水腫
心膜黄染
化膿性心外膜炎
心外膜炎
房室弁血腫
心内膜・弁膜水腫
心内膜・弁膜肥厚
疣状性心内膜炎(菌有)
動脈黄染
1
1
1
乳用牛
3
13
豚(当才)
1
2
13
豚(大貫)
1
1
5
1
1
137
1
1
1
2
1
1
141
1
1
小計
造血器系
1
158
肉用牛
1
脾腫瘍
脾捻転
脾外傷
脾血腫
脾うっ血
脾出血
脾萎縮
脾壊死
脾の抗酸菌症
脾炎
化膿性脾炎
脾包膜炎
リンパ節腫瘍
リンパ節抗酸菌症
リンパ節放線菌病
リンパ節炎
化膿性リンパ節炎
13
7202
20
108
3
2
16
3
137
7409
123
乳用牛
豚(当才)
3
7
豚(大貫)
117
1
1
1
1
49
2
1
8
21
1
3
63
1
1
1
小計
呼吸器系
気管支拡張症
肺のと殺性変化
肺腫瘍
肺気腫
肺の血液循環障害
肺水腫
肺色素沈着
豚胸膜肺炎
肺放線菌病
化膿性肺炎
カタル性肺炎
胸膜水腫
胸膜色素沈着
化膿性胸膜炎
胸膜炎
小計
3
1
19
2
10
44
1
肉用牛
399
393
1
138
1
1
4
乳用牛
50
48
9
29
264
7
1
13
3929
5189
2
9
1
1
5
510
1
8
6
11
606
1
102
豚(当才)
豚(大貫)
15592
1232
265
2
1
3
1
8
37
2
771
2
1174
70601
1
3
591
1005
106
41217
129467
3
13
363
1
1063
2676
消化器系
口腔・咽頭出血
化膿性咽頭炎
舌腫瘍
舌放線菌病
舌炎
化膿性舌炎
胃腫瘍
胃奇形
胃捻転
胃外傷
胃充血
胃出血
胃色素沈着
胃潰瘍
胃不全角化症
胃肥厚
胃はん痕形成
胃漿膜炎
化膿性胃炎
カタル性胃炎
肝のと殺性変化
肝の発育不良
肝腫瘍
肝のう胞
肝の血液循環障害
肝うっ血
肝出血
肉ずく肝
肝富脈斑
肝硬変
肝褐色萎縮
肉用牛
1
2
7
2
8
乳用牛
豚(当才)
1
豚(大貫)
1
1
1
1
6
1
2
15
20
1
22
2
1
5
7
1
7
1
1
1
14
9
1
5
1
2
4
2
1
4
2209
3
52
4
20
1
1
23
6
6
257
15
28
1
1
217
10
2
51
1
44
消化器系(つづき)
肝黄染
肝混濁腫脹
肝脂肪変性
肝色素沈着
肝壊死
増殖性好酸球性小葉間静脈炎
肝抗酸菌症
肝炎
化膿性肝炎
間質性肝炎
肝包膜炎
肝の肝蛭
胆管の不明病変
胆管結石
胆管の肝蛭
膵水腫
腹膜・腸間膜の血液循環障害
腹膜・腸間膜充血
腹膜・腸間膜出血
腹膜水腫
腸間膜水腫
腹膜・腸間膜黄染
腹膜・腸間膜色素沈着
腸間膜脂肪壊死
腸間膜化骨
腹膜炎
化膿性腹膜炎
腸の発育不良
腸腫瘍
腸奇形
ヘルニア
腸気腫
腸の充血・うっ血
腸出血
腸黄染
腸色素沈着
腸漿膜炎
化膿性腸炎
カタル性腸炎
腸の線虫
小計
肉用牛
1
1
385
乳用牛
1
豚(当才)
1
豚(大貫)
2454
29
720
121
283
1
37
15
3
814
2
187
1255
8
1
387
365
225
5
21
12
3
40
7072
13084
32
111
16
10
1
1
1
2
6
7
1
1
34
161
5
40
255
1
6
20
4
7364
1356
5
178
472
1
432
1
4
3
8
1
1
379
1
1452
3
32
131
6701
15
16
1
5
51
84
104
2
1
3
1243
25
33290
7
1
1
5
57
225
7
1
1
10
17
1038
泌尿・生殖器系
腎腫瘍
腎のう胞
腎出血
腎貧血性梗塞
腎周囲脂肪水腫
腎褐色萎縮
腎周囲脂肪壊死
腎炎
化膿性腎炎
腎孟・尿管の拡張
膀胱結石
膀胱出血
化膿性膀胱炎
カタル性膀胱炎
雄性生殖器の血液循環障害
卵巣腫瘍
半陰陽
卵巣のう腫
化膿性卵巣炎
子宮腫瘍
子宮奇形
子宮充血
子宮出血
子宮内膜炎
化膿性子宮内膜炎
妊娠子宮
後産停滞
胎児浸漬
乳房炎
化膿性乳房炎
肉用牛
乳用牛
1
1
6
2
1
2
1
5
727
2
20
豚(当才)
2
64
3
4
豚(大貫)
187
2
2
4
1
1
2
2
3
8
2
5
6
1
1
1
15
1
2
17
8
20
1
34
1
2
1
83
1
5
1
1
1
16
14
106
4
小計
内分泌系
胸腺腫瘍
小計
2
767
2
10
44
肉用牛
乳用牛
303
豚(当才)
1
1
2
305
豚(大貫)
運動器系
筋肉腫瘍
筋肉外傷
筋肉血腫
筋肉出血
筋肉水腫
筋肉脂肪変性
筋肉色素沈着
筋肉石灰化
筋肉蛋白変性
筋肉の進行性変化
筋肉はん痕形成
筋肉化骨
筋放線菌病
筋炎
化膿性筋炎
骨折
骨はん痕形成
骨放線菌病
化膿性骨髄炎
脱臼
化膿性関節炎
関節炎
横隔膜腫瘍
横隔膜の不明病変
横隔膜ヘルニア
横隔膜出血
横隔膜水腫
横隔膜脂肪変性
横隔膜炎
化膿性横隔膜炎
小計
皮膚・皮下織・蹄
肉用牛
1
1
140
781
88
3
1
40
乳用牛
豚(当才)
豚(大貫)
23
159
12
1
9
534
16
14
34
1
1
67
6
2
19
1
5
39
37
5
2
43
24
2
2
3
2
4
24
2
1
41
46
142
4
103
431
1962
9
肉用牛
皮膚腫瘍
皮下織血腫
皮下織出血
皮下織水腫
皮下織黄染
皮下織色素沈着
皮下織石灰化
皮膚はん痕形成
皮膚放線菌病
(丘疹性)皮膚炎
化膿性皮膚炎
2
29
14
1
2
6
4
10
47
4
6
52
402
82
3
8
101
4
97
7
36
251
1
64
2
6
6
18
1
18
79
401
3
7
1638
1
254
乳用牛
1
1
17
1
豚(当才)
2
1
12
2
10
4
豚(大貫)
2
5
4
小計
2
2
62
24
4
4
30
2
分離培養室
理化学測定室
理化学検査室
細 菌 室
洗浄滅菌室
病理検査室
洗浄室
食肉市場管理棟3階
室
衣
更
子
女
ロビー
所長室
浴室
男子
O.A
イ
レ
イ
レ
室
ト
衣
ト
子
子
更
女
男
室
子
務
男
事
庫
倉
図書室
研修資料
横浜市食肉衛生検査所平面図
女子シャワー室
庫
庫 倉
室
倉 議
会
室
房
厨
会 議 室
病畜解体室
(参考)
︵参考︶解体控室
︵参考︶ 冷蔵庫
消毒室
BSE
計測室
BSE
検査室
前室
BSE
BSE検査室平面図
病畜検査室
BSE
検査準備室
案
内
図
電車:JR鶴見駅(東口)・新子安駅より市営バス,食肉市場前下車1分
京浜急行生麦駅から徒歩15分
車
:横浜方面,首都高速横羽線生麦Rから1分
東京方面,首都高速湾岸線大黒町Rから5分
東京方面,首都高速横羽線汐入Rから5分
横浜
東京
国道1号線(第二京浜)
JR 新 子 安
川崎
JR
JR 鶴 見
京急新子安
京急鶴見
京浜急行
生麦
国道15号線(第一京浜)
子安R
守屋町R
汐入R
首都高速横羽線
生麦R
産業道路
鶴
食肉市場前
見
川
消
防
署
首
都
高
速
大
大 黒 I.C . 黒
線
大黒埠頭
ベイブリッジ
横浜市中央卸売市場
食肉市場
横浜市食肉衛生検査所
TEL.045(511)5812
平成 20 年度
事業年報
平成 21 年 8月 発行
編集発行 横浜市健康福祉局食肉衛生検査所
年報編集委員
電算担当
〒230-0053
横浜市鶴見区大黒町3番53号
TEL 045(511)5812
FAX 045(521)6031
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