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進む人材流動化、変わる雇用システム
巻 頭 対 談 雇用の安定性と柔軟性の調和がカギ 進む人材流動化、変わる雇用システム 景気の回復と共に進む雇用情勢の改善は、新卒採用市場から中途採用市場にも及んでい る。こうした中途採用市場の活況からは人材流動化の広がりを垣間見ることができる。今回 はヘッドハンティング会社のラッセル・レイノルズ・アソシエイツ 輿石幸広氏を迎え、チー フエコノミスト・岩本洋が、企業がビジネスの拡大に資する人材を引きつけるための雇用シ ステムの方向性を考える。 ラッセル・レイノルズ・ アソシエイツ 輿石幸広 みずほ総合研究所 チーフエコノミスト 岩本 洋 パート比率が頭打ちになっていて、新規求人数が増 盛り上がりを見せる中途採用市場 えていることを見ますと、中途採用市場が活況を呈し ているのではないかと思われます。 岩本 本日は最近の雇用関係あるいは、これからの 輿石 私どもの仕事はエグゼクティブサーチやヘッドハ 企業の人材活用の方向性等について、ラッセル・レイ ンティングと言われますが、景気の山と谷から半年ほど ノルズ・アソシエイツの輿石さんと考えていきたいと思 遅れて影響を受けるビジネスです。2004年に入って雇 います。はじめに雇用情勢全般について、私から概 用が増加しているといったお話がありましたが、昨年の 略を話させていただきます。 10月、11月頃から求人を必要とする企業が増えてきたと ご承知のように、このところ雇用情勢は全般に回復 いう実感があります。 「ビジネスの拡大を考えているので の傾向にあります。この背景には、企業の業績改善や、 すが、このようなスペックの人材をヘッドハントできます バブル経済崩壊後に企業が雇用と賃金を抑制し続け か」 という問い合わせがこの頃から増えてきています。 てきた結果、過剰雇用の状態が解消してきていること 私どもの会社では人材をヘッドハントするセクター があると考えられます。3月の日銀短観を見ますと、雇 に応じて、金融、ハイテク、製造業、コンシューマー・ 用の過剰と不足の度合いを表す雇用判断DIが12年 ヘルスケアの四つに分類しています。ヘッドハンティン 振りに不足を表すマイナスとなりました。日本経済をマ グに関する需要はセクターごとにばらばらのことが多 クロで見れば、人手不足ということになります。 かったのですが、今回は四つのセクターとも同様に採 厚生労働省の統計でみると雇用者数は2004年以 用に対する意欲が活発化しています。 降、毎月前年比でプラスになっています。これまでパ 岩本 ート比率が長期間に渡り上昇し、結果として全体の賃 した場合に、どのような層に向けられたものが多いの 金を抑える役割を果たしてきましたが、それもここのと でしょうか。 ころ頭打ちになり、正社員を増やそうという動きが出 輿石 ています。 ばれる層で、証券業を中心に企業からの需要が非常 そうしたオーダーは、年齢やポジションで区分 最も注目されるのは20代後半の第二新卒と呼 その象徴となるのが、新卒採用に対する企業の積 に強くなっています。企業としては礼儀作法から考え 極的なスタンスです。2006年度の新卒採用計画は前 方まで社会人としての基礎トレーニングを一通り積ん 年度比20%増、大卒採用に絞りますと1979年以来26 でいて、これからプロフェッショナルへの道を踏み出そ 年振りの伸びになっているようです。 うとしている、指示命令に従い、よく働く人が欲しいと また、新規学卒者を除いた新規求人数も増加して いうことです。 おり、前年比高い伸びを続けていて、月によってはバ 岩本 ブル期並みの20%を超えるときもあります。 に企業が採用を手控えていた時期に就職した世代で 今お話いただいた若手の層は、バブル崩壊後 みずほリサーチ July 2005 1 の雇用慣行として新卒一括採用が基本であり、中途 採用は必ずしも一般的なものではありませんでした。 どちらかといえば中堅・中小企業のほうが、中途採用 に熱心だったのが今までの流れです。実際、経済産 業省の調査では中途採用の求人の約9割が従業員数 50人未満の企業からのものとなっています。ところが、 ここに来て大手企業も中途採用に真剣に取り組み始 めたように感じます。 輿石 大手企業でも新しいビジネス、−例えば企業 合併・買収(M&A)や不動産の証券化など−、に取 り組むことになると、その分野のプロフェッショナルが 輿石幸広[こしいし・ゆきひろ] ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ 慶応義塾大学経済学部卒業。ハーバード大学 ケネディ行政大学院修了。都市銀行勤務を経 て現職。 必要となります。人的リソースの問題として外部のプ ロフェッショナルに頼るケースが多くなるわけですが、 その際に企業内にプロフェッショナルがいないと外部 のプロフェッショナルを使いにくいのが現状です。 例えばM&Aの際、提示されるフィーが妥当な水準 なのか、提案内容が本当に企業にとってよいものな す。そうすると新卒時には希望した企業が扉を開けて のか、専門家でないとなかなか判断がつなかい場合 いなくて、第二志望、第三志望の企業や業種に就職し があるようです。そこで企業にプロフェッショナルを置 た人も少なからずいたのではないかと想像できます。 こうという話になります。 それが景気の回復により企業の求人が増え、チャンス しかしプロフェッショナルを自前で育てるのは時間 が巡ってきたと考えたのではないでしょうか。その層が とコストがかかるので、 「専門職」とか「プロフェッショ 中途採用の市場に出てきているように思われます。 ナル」 という名前で外部から雇い入れ、自社の給与体 輿石 系外で雇っています。 外資系金融業などではそのような傾向が多い ように見受けられます。外資系の企業で若手層と呼ば 岩本 れるのは30代前半なのですが、彼らの履歴を見ますと んね。 最初に就職したのは必ずしも金融機関あるいは外資 輿石 そうですね。外部人材を中途で会社に入れるこ 系企業というわけではありません。就職後数年を経て とになりますのでそうせざるを得ないようです。もちろん いわゆる 「日本的」なカルチャーが嫌になって外資系企 同じ社員だけれども、 「彼/彼女達は一年ごとに契約を 業に転じているというのが典型例です。外資系で働く 更新しているので退職金もない。だから給与は一般の 若手層は常にキャリアアップを考えていますので3∼4 社員よりも高くしている」 という理屈にしているようです。 年の勤務経験を積んだ後で、 「何か自分のスキルアッ 岩本 プあるいはキャリアアップとなる経験を積める面白い 場合は事情が異なっていて、一般的な社員としてその 仕事はないですか」 と私どものようなヘッドハンティング 会社の給与体系に無理なく組み入れられますね。希 会社を訪ねてこられるのが多いと思います。 望する会社や業種で働きたいという働く側の思いと、 やはり、そこは給与体系を別にせざるを得ませ その点、さきほどお話いただいた第二新卒の 中途採用市場に出てくるもう一つの層は、日本企業 人材が量的に不足している若手の層を厚くしたいとい にいる公認会計士などの資格を取得した人たちで、 う企業の事情が、現在の経済環境の中でうまく合致 次のステップアップを相談しにくるケースもあります。 することになります。 輿石 企業はプロフェッショナルを必要としている 確かにそうなります。第二新卒の方の場合に は、プロフェッショナルとしての職務経験がありません から、 「専門職」のような形では採用できませんので正 岩本 2 企業サイドを見てみると、大企業ではこれまで みずほリサーチ July 2005 社員として採用することとなります。ただ、一点気にな 巻 頭 対 談 ることとしては、第二新卒を採用した企業としては彼 らをプロフェッショナルとして育てていくわけですが、 企業が彼らにとって常に魅力的であり続けないと、彼 らが一人前になった数年後には外へ出ていってしま う可能性があります。そこをどう定着させていくのか、 企業としては重要なポイントになってくるでしょう。 社長より高い給料を出してでも プロフェッショナルを採るべき 岩本 視点を変えて、企業が中途採用者に何を求め るかについてですが、経済産業省のアンケート調査の 岩本 洋[いわもと・ひろし] 結果によれば、専門性や即戦力と同時に、基本的な みずほ総合研究所 チーフエコノミスト 能力や性格を重視している傾向が見られます。つま り新卒者に求めるポイントと同じような所も重視して いるという結果が出ています。 輿石 動化も進んでいくと思われます。 第二新卒など若手層のところはそうした面もあ こうしたときに企業側が認識しておくべきいくつか ると思いますが、基本的には性格とか基本動作など のポイントがあると思います。目先の話でいえば2007 に主眼を置いて採用すると、企業の発展に貢献する 年には団塊の世代が60代を迎え、一方で若年層はた という点では難しいのではないかと思います。私が だでさえ少なくなっているのに、加えてフリーターやニ 担当する金融セクターで言いますと、過去、市場に出 ートなどなかなか就職しない人が増えているという問 ていたのはMBAホルダーあるいは海外赴任経験者が 題などです。企業はこうした点にも目を配る必要があ 中心でした。外資系企業としても英語を話せるという るでしょう。 ことを優先して採用していたのが80年代の人材市場 輿石 といえるかも知れません。ところが、90年代後半に一 うなタイミングで就職するのか、実のところ私にもわか 部大手金融機関が倒れ、そこにいた人材が色々な企 りません。ただアメリカやヨーロッパの同僚の話を聞 業に散らばりその人達がその後活躍したことで、日本 いていますと、社会人としての基礎トレーニングを行 の企業には優秀で稼げる人達が抱え込まれているこ う訓練センターのような企業が出てくるように思いま とが分かり、そこから人材の流動化が更に進むことに す。日本でいえば大企業がそのような訓練センター的 なったのではないかと思います。新興の企業に元大 役割を行うこととなるのでしょうが、そこが新卒を一括 手金融機関の方がプロ職として多く採用されているよ 採用して社会人としての基本動作を教えます。そうい うに、新しいビジネスにチャレンジする企業は皆さん う人が一定のビジネス経験を積んでからビジネススク プロフェッショナルを採用されています。企業としてそ ールなどへ出て行き、そこでブラッシュアップされ、次 うしたプロフェッショナルをどのように魅了していくかが が初めての本格的な就職になっているのではないか 課題だと思います。よく 「社長の給料より高い人材は と思います。そのときには企業規模が就職先としての 採れない」という声が出ますが、その方がビジネスを 選択基準にはならず、自分が企業にどのような貢献が 大きくドライブするなら採用すべきなのです。 できるかしか考えません。そこで初めてプロフェッショ ニートやフリーターといわれる人たちがどのよ ナルの道を歩き出すことになるわけです。 ニート問題、団塊の世代と企業 日本もアメリカやヨーロッパと同じようになるのでは ないでしょうか。大企業が一括採用を行った新卒者 岩本 大企業が中途採用に踏み込んできていること にトレーニングを行い、そういう人たちは4∼5年後に もあり、中途採用はこれからも増えてくるし、人材の流 はビジネススクールなどへ出て行き、ビジネススクール みずほリサーチ July 2005 3 卒業後は企業規模・企業セクターにかかわらず幅広 ば、収益責任と運営責任を負っていた子会社の社長 い分野へ進むものと割り切って考えるべきでしょう。 の方を選ぶ傾向が見られます。 場合によっては再び大企業に戻る人も現れるでしょ 岩本 日本法人の社長に据えるとしても、その下にスタ う。人材のキャッチボールのようなものです。今は一 ッフを置くほどの余裕はないから、すべてを完結できる 度辞めた人を企業に戻す仕組みはありませんが、い 人材をヘッドに据えたいということですね。こうした考え ずれそういうことも行われるでしょう。 方は、日本の中堅・中小企業がマネジメントクラスの中途 人材を活用するという点では、団塊の世代も無視 採用を行うときにも通じる考え方のように思います。 できないのですが、実はこの世代が一番難しいと思 輿石 います。一般的にいうと、終身雇用が前提で働いてき 企業にとって大事な点があります。それは内部管理業 た方々なので、その企業のことしか知らない、いわゆ 務の部分です。急成長している企業は、営業を中心 るモノカルチャーであることが一番の問題です。勤務 として組織ができていることが多く、内部管理が手薄 先企業の礼儀作法などは身につけているのですが、 となっているケースがあります。ところが成長して上場 柔軟さに欠ける傾向があります。同時に典型的なサラ するような段階になると、企業としての社会的責任が リーマンで、会社を良くするより給料を長くコンスタン ありますから、そうした内部管理の部分も揃えていか トに貰いたいという考えがどうしても先に立つ方が多 なければなりません。しかし内部管理に精通した人 いように見受けられます。従って、摩擦を起こしてま 材を求めても、外から見たときに営業だけが幅を利か で会社を変革しようという気概に欠けているような気 せているとみられてしまうと、外部の人材としては内 がします。 部統制が利くのか危惧を覚えがちとなります。このと 岩本 きに経営トップが危機感を持ちコミットメントを出さな モノカルチャーとおっしゃいましたが、昨今の そうですね。さらに言えば、もう一つ中堅・中小 情勢では企業の合併や買収が増加していますから、 いと、税務や経理やコンプライアンスなどの内部管理 自分の勤める企業がある日突然変わってしまうことも の専門家を採ることは難しいでしょう。 それほど珍しくなくなってきているかもしれません。日 岩本 本企業のサラリーマンの転職に対する免疫も強まって 理は企業に特有なものでしょうから、その部分を外部 いるという捉え方もできると思います。 から招き入れるニーズは薄いでしょうし、企画管理を 経営そのものは別として、実務レベルの企画管 ところで転職の際には、企業も働く人を引きつける 担当する人は中途採用市場に出て行かないのでしょ 努力が要りますが、働く人の側も企業から魅力的だと う。経済産業省の調査でもありましたが、やはりマー 思ってもらえるようにアピールする必要がありますね。 ケティングや営業にかかわる方たちが、中途採用市場 では中心になっているようです。 マネジメントクラスを雇用する際の問題点 輿石 その機能だけで考えますと、内部管理もアウト ソーシングしていけば良いとは思うのですが、企業統 輿石 働く人のアピールは大切ですが、日本の企業は 治の根幹にかかわる部分と考えるのであれば、身内 基本的に集団体制なためなのでしょうか、責任と結果 で固めるべきだと思います。今、規制緩和が進んで が外部から見た場合において個人に明確に帰属して いますが、規制緩和が進むほど、コンプライアンスの いません。そうすると採用する企業から見ると、その 重要性が高まるものと考えます。従って、より企業を 採用候補者の人が仕事ができるのかできないのか分 適切に運営する仕組みが求められることになります。 かりにくいというのが現状のようです。外資系企業が その部分を担当する、いわゆる「ガバナンス」のプロ シニアの人材を求めるときの質問はシンプルで、 「収 フェッショナルはまだ日本には残念ながら少ないように 益責任を負っていたか、実際に指揮をとっていたか」 、 思うのですが……。 この二つだけを知ろうとします。 例えば日本のメーカーなどで事業本部長を務めて キャリア志向の人材をどう引きつけるか いる人と、その下で子会社の社長を務めている人と を比較して、どちらを外資系企業が欲しがるかと言え 4 みずほリサーチ July 2005 岩本 最後に企業、特に中堅・中小企業が人材を集 巻 頭 対 談 めるためにすべきことを考えたいと思います。 大切なのは、優秀な人材を自分の企業に引き つけるのは何かです。誰でもすぐに思いつくの はお金ですが、それだけではないと思います。 一方で働く人たちも、これは中小企業白書な どにも出ていたと思いますが、昔のようにひと つの企業に定年まで居つづけるという考えは 薄れているようです。またプライベートな時間に 対する意識も多様化しています。働き手のそう した要求をうまく取り込んだ企業が、必要とす る人材を確保できるのではないでしょうか。 輿石 人材マーケットにかかわっていますと、 確かに人は必ずしもお金で動くとは限らないことを感 人がマネジメントを担当し、マネジメントに適性がなくと じます。30代半ばまでの若年層が求めるものは二つ も収益を上げる人は更なる専門職へ進むわけです。 あります。 中堅・中小企業がお考えになればいいと思うこと 一つはプロフェッショナルとしての経験を積み、マー は、人材は入れ替わるという発想です。日本の企業で ケットで認められる実績を積み上げること。従って採 は採用者を抱え込む傾向が強いのですが、期待した 用する企業は、そうした訴求に応えられることが重要 成果をあげられない人には出て行ってもらわなくては です。良い例はIT(情報技術)やネット関連の新興企 いけませんし、その逆として優秀な人材を企業に引き 業です。彼らは今でこそ大企業になった会社もありま つけるためには相応の処遇やキャリアプランを提示し すが、そうなる前はどうやって人材を集めたかという なければならないと思います。 ことになると、そこにはやはりプロフェッショナルとして の職務経験が積めるということがあったと思います。 もう一つ、企業の中に、しっかりしたトレーニング・ プログラムがあることが必要でしょう。トレーニングを 二つめはマネジメント (経営層)になってみたいとい 受けることで、キャリアが形成できるものです。それは うことです。日本の大企業は年功序列が残っています 必ずしも自前のものでなく、色々なトレーニング会社を ので、マネジメントになるまでに時間がかかりますが、 上手に活用すれば良いのです。 もっと早くに経営に携わりたい人もいます。 岩本 以上の二つのキャリアへの道が分かるのであれば、 社内のトレーニング・プログラムのような情報を きちんと発信するのは、なかなか難しいでしょう。企 企業規模とは関係なく働きたいという人は多いのです。 業がどのような方法で人材を育成するかは、どうして 岩本 も外からは見えにくい状況があります。 中小企業はマネジメントの一歩手前で「社長の 右腕」として働ける専門知識をもった頼りになる人材 輿石 を求めているという調査結果も出ています。そうした がこの会社へ行った!」 という事例を作る演出もありま 人材は、専門知識は十分だけれども、マネジメントとし す。業界で有名な人が動けば、そこに人が集まってき ての経験は極めて少ない。従ってそうした人材を採用 て、評判になるということがあります。しかしこれは特 したら、専門性を踏まえ、経営の勉強をさせながら使 異なケースで、すべてうまくいくというものではないと うというやり方になりますね。 思います。 輿石 日本の大企業では、実態としては元々若手の頃 岩本 からマネジメント候補として人を選別して育てているの いますが、人材を集め・定着させる点では課題も残さ ではないでしょうか。これに対して外資系の企業では、 れています。企業にとっては、新卒採用と中途採用の 最初にプロフェッショナルとして外部人材を採用します。 バランス、言い換えれば雇用の安定性と柔軟性をどう その中でマネジメントにチャレンジさせ、選別するという 調和させるかというあたりがカギということになりそう 方法を採っているようです。マネジメントに適性のある です。お忙しいところありがとうございました。A 戦略的に採用するというのであれば、 「あの人 流動化する人材市場は様々な可能性を秘めて みずほリサーチ July 2005 5