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第 13 章 生活環境、教育
第 13 章 生活環境、教育 1.首都モスクワおよび地方での生活環境 首都モスクワの生活環境は、ソ連時 代や 1990 年代とは様変わりしており、 物の調達のために、列をなすなどの不 便を感じるということは殆どなくなっ た。24 時間営業のコンビニタイプの店 から、スーパーマーケット、超巨大な ハイパーマケット、高級ブティックな ど、 買い物には不自由することはない。 また、レストランも増加し、特に日本 食レストランはモスクワ市内に数百件 あるといわれ、普通のレストランでも すしあるいは刺し身などの日本食がメ 混雑するモスクワ郊外のハイパーマーケット (写真は IKEA) ニューにある。スーパーマーケットに も多少は日本食材が販売されている。 また、日本人に馴染みのある、ウラジオストック、ハバロフスクなどの極東、サンクトペ テルブルグでもモスクワの状況が徐々にではあるが波及しつつある。 2.治安情報 治安は非常に悪くはないが、犯罪、テロの危険性は日本よりも高く、治安対策には十分配 慮する必要がある。都市部では、右翼的な排外主義者のスキンヘッドグループの暴力沙汰、 強盗、窃盗、置き引き、また、チェチェン問題に関連するテロなどの可能性はあるので注意 が必要である。街中では、常に周辺に注意を払い、人込みにむやみに近づかないなどの配慮 および車のセキュリティにも十分配慮する必要がある。 住宅を選ぶ際は、警備員が常駐し、二重三重にセキュリティチェックのある住宅が望まし く、オフィスについても、入り口で厳しいチェック体制をとるオフィスビルが望ましい。ま た、車についても、窃盗が多いので、防犯対策を万全にする必要がある。 なお、セキュリティチェックの厳しい社会なので、外出の際は、常にパスポートを携帯す る必要があり、携帯していないと、オフィスにも入れない場合もある。 また、治安対策に関連して配慮すべき事項として、写真撮影がある。空港、鉄道、発電所 等、軍事的に重要な施設の写真撮影は禁止されており、最悪の場合にはカメラの没収という こともありうるので、写真撮影を試みる場合は、同行するロシア人や近くの警備員に尋ねた 上で写真を取った方が無難である。 113 3.住宅事情 ロシアでは、基本的に集合住宅に住むのが基本的であり、外国人もアパート(マンション) 住まいとなる。近年は、首都モスクワあるいはサンクトペテルブルグなどでは、セキュリテ ィが完備された新築の外国人あるいは富裕層向けのアパートの建設が進んでおり、住み心地 も快適と評判である。しかしながら、問題は価格の高騰であり、首都モスクワでは東京都と 同じ、あるいは東京よりも高い物件も多くなってきている。モスクワ以外であれば、住宅価 格は日本よりも安いが、質、セキュリティに問題がある物件も多い。 住宅を探す場合は、日本人社会の情報ネットワークの活用、あるいは欧米系などの世界的 な不動産会社に依頼するのがよい。 4.学校教育事情 モスクワには小学校1年生から中学校3年までを対象とした日本人学校が1校ある。 これ以 外に、ロシアには日本人学校はない(モスクワ、サンクトペテルブルグの学校事情は、各地 域編参照) 。 5.医療事情 ロシアの一般的な医療水準は高くない。ロシア企業および日系を含めた外資系企業では、 国家の行う強制医療保険以外に民間の医療保険に企業が加入し、医療保険の指定する医療機 関で受診するということが一般的に行われている(モスクワ、サンクトペテルブルグの医療 事情は、各地域編参照) 。 6.娯楽 モスクワ、サンクトペテルブル グをはじめ、ロシアはバレエ、ク ラシック音楽の盛んなところであ り、 催しものが随時開かれている。 また、ボリショイサーカスなどの サーカスも有名であり、家族連れ などに適当な娯楽もある。 また、サンクトペテルブルグの 世界三大美術館に数えられるエル ミタージュ美術館をはじめ、モス クワのトレチャコフ美術館、プー シキン美術館などでも名画も堪能 することができる。 ネヴァ川からエルミタージュ美術館を臨む (サンクトペテルブルグ市) 114 これらの伝統的な教養系の娯楽とは別に、資本主義社会の成熟に伴って、ボーリング場、 スイミングプール、スポーツジム、テニスなどスポーツ施設も充実してきており、ゴルフ場 はモスクワに限られるが、プレー可能である。 7.日本食 前述のように、ロシアでは日本食が広く普及しつつあり、モスクワなどでは欧米系、中東 系、中華のレストランにもすし、刺し身がメニューにあるなど一般的な料理として定着しつ つある。スーパーで手巻き寿司の道具や、のりが売られていたり、日本酒、梅酒が売られて いるなど、ロシア人にとっても日本食は身近になりつつある。しかしながら、これらの日本 食は日本人以外が料理しているケースも多く、お客もロシア人が多いため、日本人が食した 際にはやや違和感を感じる場合もある。また、レストラン一般が非常に高価になっており、 特に、日本食はその傾向が強いため、手軽においしい日本食を外食で食べられるまでには至 っていない。 8.その他 新聞・雑誌・テレビ等の情報収集については、日本語の新聞はモスクワでは 2~3 日遅れで 配達されるが、 現状ではインターネット経由での情報収集が主流になりつつある。 テレビは、 NHK のほか、英国の JSTV の視聴が可能である。 自家用車の運転については、運転手をつける企業・機関もあれば、自ら運転するところも ある。 115