Comments
Description
Transcript
CO2 や消費電力を劇的に削減してストレージ分野のグリーンIT を実現
エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 環境負荷を削減し企業価値を高める 「グリーンIT」への挑戦 CO2 や消費電力を劇的に削減して ストレージ分野のグリーン IT を実現 地球温暖化をはじめとした環境問 題へ関心が高まる中、ICT分野におい 性を高め、負荷分散を自動化するフ R 【3PAR ○ 】 ルメッシュ型のバックプレーンが特 パフォーマンスを維持しながら ストレージ資源を有効活用 ても環境問題を考慮した「グリーン IT」への取り組みが進んでいる。伊 R 長の3PAR InSpire○ アーキテクチャを 基盤としたInServストレージ・サー 藤忠テクノソリューションズ(CTC) 3PARは、ユーティリティ・コンピ バは、シンプルでありながら、拡張 は、グリーンITの実現に向けた取り ューティングのために設計された、 性に優れ、強力なストレージ・アレ 組みの一環として、データーセンタ 高度に仮想化された階層型のストレ イを構築するストレージ・サーバで ーのエネルギー効率改善を目的に発 ージ・アレイ「ユーティリティ・ス ある。その最大の特長が、独自のデ 足した米国IT業界の非営利団体「グ トレージ」のリーディング・プロバ ータ配置手法によって可能となった リーン・グリッド」への加入をはじ イダーである。3PAR ユーティリテ ストレージ資源の有効活用である。 め、ICTによるCO2 排出量の削減や省 ィ・ストレージの特長として「シン 従来のディスク・ストレージは、 エネルギー化に効果的なソリューシ プル」「効率性」「スケーラブル」の 物理ドライブを最小の単位として、 ョンを積極的に提供している。 3つがあげられる。図1は3PARが提 これらを RAID によって束ねて論理 R ○ 以下では、CTCがストレージ分野 供している3PAR InServ ストレー ドライブ(LUN)を構成している。 のグリーンITソリューションとして ジ・サーバ・ファミリーの概要であ ここで採用する物理ディスクや 注力している、3PAR と COPAN る。様々なシステム資源を統合する RAID レベルは、アプリケーション Systemsの製品を紹介する。 とともに、管理をシンプルに、可用 に必要なサービス・レベルに従って 決定される。しかし、高速な物理ド 同一アーキテクチャと機能を有した階層型ストレージ ライブやコントローラを搭載してい ても、RAID を構成する物理ドライ ブの台数が少なければ、データ転送 E200 コントローラ・ノード Fibre Channel ホスト・ポート iSCSI ホスト・ポート(オプション) ディスク・ドライブ S400 2 2−4 2−8 0 −12 0−4 0 −64 0−8 0 −128 0−16 16−128 16−640 16−1,280 147GB FC、300GB FC、 147GB FC、300GB FC、 750GB NL 750GB NL ドライブ・タイプ 最大容量 スループット/ IOPS(ディスクから) 147GB FC、300GB FC、 750GB NL 96TB 300TB 600TB 700(MB/s)/ 20,000 1,400(MB/s)/ 90,000 2,800(MB/s)/ 180,000 SPC-1 ベンチマーク結果 100,045 SPC-1 IOPS 図 1 3PAR InServ ストレージ・サーバ・ファミリーの概要 38 速度や I/O 性能を高めることはでき S800 ない。これに対して3PAR InSpireア ーキテクチャは、データを物理ディ スクに広く分散させることでアクセ ス性能を高めた。具体的には、物理 ディスクをさらに細かいチャンクレ ット(仮想物理ディスク)という単 位に分割する。そして、InServスト レージ・サーバの物理ディスクを 256MBの均一サイズのチャンクレッ ビジネスコミュニケーション 2008 Vol.45 No.2 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 従来型の(ファット)プロビジョニング −(容量)割当て中心 − 分は、全て無駄なコストである。一 3PAR Thin Provisioning −(データ)書き込み中心 − 10TB 方 3PAR Thin Provisioning は、 3PAR の dedicate-on-write(書き込 サーバからは24TB見える! ボリューム A ボリューム A み時供給)技術により、アプリケー 8TB 6TB ボリューム C ボリューム B 3TB 書き込まれ たデータ 8TB 2TB 書き込まれ たデータ ションのライフタイムに対して必要 ボリューム C な容量が、購入したストレージの共 ボリューム B 3TB 書き込まれ たデータ 購入される物理的キャパシティ 24TB *実際のボリューム当たりのサイズは、一般的なSCSIの制限を受けます 3TB 3TB +α(2TB) 書き込まれ たデータ 共通 バッファ プール 2TB 書き込まれ たデータ 書き込まれ たデータ 購入される物理的キャパシティ ¥ ¥ 8TB+α=10TB ¥¥ 有プールから自動供給される。つま り、アプリケーションに割り当てら れたボリューム内で実際に書き込ん だデータに必要な物理容量だけが共 通プールから支給されるため、無駄 なコストが生じないのである。これ 図 2 従来のプロビジョニングと 3PAR Thin Provisioning の違い により、従来システムに見受けられ トのプールとして仮想化する。この ジョニングを行うことや、ストレージ た割当容量と購入容量との関連付け チャンクレットを利用することで、 とプロセッサの使用率を向上するため が解消され、資源の過少利用の問題 強力な並列処理と柔軟かつ簡単なボ に部分的に最適化を繰り返すことが必 が解決された。それに加えて、バッ リューム構成が可能となり、ストレ 要だった。しかし、1つのコマンドで クアップ用の 3PAR Virtual Copy ージ資源の活用不足がなくなる。さ 無停止のまま簡単にサービス・レベル や 災 害 対 策 用 の 3PAR Remote らに、チャンクレット・レベルの資 を最適化するDynamic Optimization Copy を 3PAR Thin Provisioning と 源競合を回避する機能を持つ 3PAR を利用することで、過剰なプロビジョ 併用することにより、購入資源の利 System Tunerを利用して、パフォー ニングや部分最適を繰り返す必要がな 用効率はさらに高められる。 マンスを常に最適なレベルで維持す くなった。 また、高度に仮想化された 3PAR ユーティリティ・ストレージをサー ることができるようになる。 物理容量の無駄を省いて 資源の過少利用を解消 バ仮想化製品と組み合わせることで、 3PARの高度なプロビジョニング技 ティング・ソリューションを実現す 3PARでは、パフォーマンスを最適 術とシン・テクノロジーの基本とな ることができる。例えば、3PAR と なレベルに保ちながら、アプリケーシ っているのが3PAR Thin Provisioning VMwareを併用した場合、 「ストレー ョンとビジネス要件に最適なデータの である。 ジのTCOを50%以上削減(ストレー 運用コストとサービス・レベルの バランスを最適化 サービス・レベルと運用コストのバラ 従来型のプロビジョニングでは、 完全なユーティリティ・コンピュー ジの統合) 」 、 「サーバの TCO を70% ンスを調整する機能を持つ 3PAR アプリケーションが将来的に必要な も削減(サーバの統合) 」など、様々 Dynamic Optimizationを提供してい 物理容量を予想して割り当てるた なメリットが生じる。このように、 る。これまでは、ストレージ・アレイ め、後で容量を拡張する手間を回避 高精度なサーバとストレージの仮想 間のデータ移行によりサービス・レベ したり、途中でサービス・レベルが 化に基づき、シームレスな拡張性、 ルの最適化を図る手法であり、サービ 低下するのを恐れて、あえて過剰な シンプルな操作、ビジネスの敏捷性 ス停止を伴うだけでなく、時間がかか 容量を割り当てる(購入する)ケー の向上、および購入したリソースの り複雑なプロセスが求められるため、 スが多々ある。この場合、アプリケ 最大限活用が可能である。 ピーク時の要件に備えて過剰なプロビ ーションで使用されていない余剰部 ビジネスコミュニケーション 2008 Vol.45 No.2 39 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 環境負荷を削減し企業価値を高める 「グリーンIT」への挑戦 グリーン IT の一環として カーボン・オフセットを実施 3PAR がこれまでに出荷したシス テムの Thin Provisioning、Virtual 相殺するというものである。3PARは、 術である。COPAN Systems のソリ テラパス社から実際に販売した物理 ューションは、この MAID をエンハ テラバイトあたりのクレジット(排 ンスした技術(特許技術)を基に、 「Persistent data(長期保存型デー 出権取引額)を購入し、テラパス社 タ) 」向けに専用設計された業界唯一 を通じて投資を行っている。 CopyやRemote Copyなどを含む利用 3PAR は、「Think Thin. Think のプラットフォームである。これに 状況をもとに、従来型のストレー Green. Think 3PAR.」というメッ より、消費電力の劇的な削減、フロ ジ・アレイ技術を使ったと仮定して セージのもと、環境保全に関連した アスペースの大幅な節約、ドライブ 算出した場合、約60%の物理容量が 取組みも進めている。 の稼働寿命の劇的な延びを実現した。 削減できていることが分かる。仮に、 従来型ストレージ・アレイで出荷さ れる物理容量が30ペタバイトとする と、3PAR Thin Provisioningが適用 2002 年、COPAN Systems が設 【COPAN Systems】 立された当時「バックアップ・デー Enhanced MAID 技術に基づいた タに対して出来るだけオンラインで 長期保存型データ専用のソリューション 簡単にアクセスしたい」というニー された場合は、わずか12ペタバイト グリーンITの実現に向けて、スト ズが高まっていたが、「テープはバ の物理容量で30ペタバイト相当のシ レージ分野で注目されている技術に ックアップおよびリストアまでも時 ステムが運用されることになる。つ MAID(Massive Array of Idle Disks) 間がかかり、運用負荷も高い」、「有 まり、物理容量の購入量を約18ペタ がある。これは、Write Once Read 事にデータをキチンと戻せるか心 バイトも節約することができる。こ Infrequently(WORI)向けのアプリ 配」「ディスク・ソリューションは れにより、年間約 400 万ドル相当の ケーション(バックアップ & アーカ 高価でスケールアップが難しい」 電力コストが節約される。また、こ イブ)用に米国コロラド大学で開発 「電源容量もフロアスペースも不足」 れによる原油の節約量は、およそ されたもので、I/O要求(リード・ラ など、既存の技術では解決できない 74,000 バレルと推定され、自動車約 イト)のある時だけディスクを回転 状態だった。そのため「長期にわた 4,000台の1年分のガソリンに相当す させて(電源オン) 、アクセスが無い って確実に保持できる」アプリケー る。この原油の節約量により削減さ 時は無回転(電源オフ)とすること ション主導型の新たなアーキテクチ れる CO2 は約 32,500 トン。これは1 で消費電力を削減するストレージ技 ャが求められていた。COPAN 年間に8,000台以上の自動車が排出す るCO2 の量に匹敵する。 300T/TX VTL 300A Archiver 300M Native MAID さらに3PARでは、CO2 排出権取引 ビジネスを推進している米国テラパ ス社と協力して「カーボン・オフセ ット」に取り組んでいる。テラパス 社が推進している CO2 排出権取引ビ ジネスとは、例えば、個人の年間の 自動車走行により排出される CO2 を ・仮想テープ装置機能 ・ファイル・アーカイブ機能 計算して、個人がそれに見合った排 ・バックアップのためのディスク パフォーマンス ・直接のファイルアクセス 出権取引額を支払い、支払われた金 ・テープ・フォーマット ・Millennia Softwareポリシー 設定によるデータ・アーカイブの 自動化 ・シームレスな統合 額をテラパス社が風力発電やバイオ マス等に投資して、排出した CO2 を 40 ・10億のファイル ・ブロック・アクセス機能 ・SANの統合 ・ブロック・レベルのアプリケーション 統合 ・ダイナミックなストレージ ティアリング 図 3 Revolution300 シリーズ上で多目的機能を実現 ビジネスコミュニケーション 2008 Vol.45 No.2 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) Systems は、この課題を解 決するソリューションの開 発に取組み、MAID 技術に 情報を長期保存するための 特長を追加・改善した R ソフトウェア」 AEROBICS○ ストレージ・シェルフ内での“回転 などの技術を開発して(特 振動”を排除するための特許取得 許技術) 、一度書き込み、そ の搭載スキーム の後は頻繁では無いが必要 特許取得のキャニスター・テクノロ ジーで14のディスクドライブの効率 時にのみアクセスする、と Enhanced MAID アーキテ 的で迅速なサービスが可能に いう長期保存型データの特 クチャを開発。これを基盤 業界屈指のパッキング集積度 とした「Revolution300シリ ・1床面積に896のSATAドライブ このような特長を持つ ーズ」を発表した。MAID ・750GBドライブで容量672TB COPAN Systemsのソリュ 特許番号 7,145,770 技術をエンタープライズレ 図 4 COPAN Systems のキャニスター ベルで活用できる COPAN 性に対応している。 ーションは、スケーラビリ ティ、可用性、パフォーマ Systems のプラットフォームは、現 ユーザーのニーズや目的に合わせて ンス、コスト効率などの面から、従 在、医療、金融、通信、政府・官公 多機能で幅広い製品群を提供してい 来のテープやディスク・ベースのシ 庁、メディア、サービス等の幅広い る(図3参照) 。 ステムでは対応できない、データ量 業種の企業・組織において、バック 設置フロア面積を約 1/7 に 環境にやさしいエコ・ストレージ アップ、リストア、アーカイブ、災 害対策などの領域で活用されている。 の急速な増加という課題を解決し た、エンタープライズ市場向けに最 適な情報プラットフォームであり、 消費電力やフロアスペースを大幅に 消費電力と空調費を 約 85 %も削減 削減できる、環境にやさしい GREENエコ・ストレージである。 Enhanced MAIDアーキテクチャは、 また、Revolution300シリーズは、 長期保存型データがディスクに格納さ CTC は、3PAR 社と COPAN れている場合、そのアクセスの特性上、 SATA ディスク・ドライブを採用 Systems 社とのパートナーシップを 全てのディスクを常時回転させる必要 し、これを14個収容できる独自設計 より一層強化して、ストレージ分野 は無いというMAID技術の基本原則を のカートリッジ「キャニスター」に におけるグリーン IT の実現に向け 基に開発されていおり、その特長によ 組み込んでいる。この SATA ドライ た最新鋭のソリューションを積極的 り、次のようなことが可能となった。 ブとキャニスター・テクノロジーに に提供していく。 ・常時ストレージ全体の 25 %以下 より、スペース効率が大幅に向上し、 のドライブのみが電源オン(75% 従来のストレージ・システムの約 以上がオフ) 1/7 となるフロアスペース節約を実 ・業界 No.1 のストレージ高集積度 現した(図4参照) 。 と拡張性 さらに、Enhanced MAID技術によ ・85%以上の電力および空調費の削減 り適切なパフォーマンスを提供しな (熱がこもらない) がら発熱と振動を抑える「POWER ・85%以上のフロアスペースの削減 R ソフトウェア」 MANAGED RAID ○ 、 COPAN Systems は、Enhanced および予防/監視機能/ディスク MAID アーキテクチャを基盤とした (HDD)管理機能、によってHDDを Revolution300 シリーズを基本に、 常に最適な状態に保つ「DISK ビジネスコミュニケーション 2008 Vol.45 No.2 お問い合せ先 3PAR ㈱ TEL : 03-3221-3938(代表) URL : http://www.3per.jp/ COPAN Systems 日本支社 TEL : 03-6717-2701 URL : http://www.copansys.com/ 伊藤忠テクノソリューションズ㈱ テレコム企画開発部 TEL : 03-6203-5231 E-mail : [email protected] URL : http://www.ctc-g.co.jp/ 41