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北原 正樹

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北原 正樹
“ひかり”時代のサービス・端末構成技術
主役登場
最高の映像品質の実現を
目指して
北原 正樹
NTTサイバースペース研究所
研究主任
近年は,地上デジタルTVやインターネットでの映像配
好な性能を実現させることが非常に重要でした.また,基
信の普及などがあり,映像符号化技術は生活において欠か
本となるアルゴリズムを検討するとともに,想定される多
せないものとなりました.今後,さらなる普及が期待され
数の条件を洗い出し,シミュレーションによってアルゴリ
る映像サービスにおいて,最高の映像品質を提供すべく,
ズムをブラッシュアップすることで,思いどおりの性能が
私たちは映像符号化技術の研究開発をしています.私自身
出るようになりました.
は,近年もっとも注目されている標準符号化方式である
このように,既存の標準エンコード技術について研究開
H.264のエンコード技術の研究開発に携わっています.
発を進めていく必要がある一方で,世の中の新たな要求に
最近では,映像サービスでの利用に向けたソフトウェアエ
こたえるために,既存の標準技術の性能限界を打開する新
ンコーダを開発しました.
しい符号化方式をつくり出すことも必要であると考えてい
H.264が策定された当時のエンコード技術では,高い
ます.例えば,ハイビジョンを超える解像度の映像を扱う
映像品質を実現するにはエンコードに膨大な処理時間がか
場合は,高い映像品質を実現するには,さらなる工夫が必
かりました.そこで,いかに映像品質を落とさずに高速な
要です.また,映像の視聴,撮影が可能なモバイル端末が
エンコードを実現するかが,研究者の腕の見せ所となりま
最近多く発売されていることや,IT,家電製品においても
す.私たちはH.264の策定以来,研究開発を進めてきた
環境負荷の低減が必要とされていることを考えると,高い
ため,NTTのエンコード技術は一定のレベルに到達して
映像品質を実現できると同時に,処理量が少ない符号化方
いましたが,映像が視聴される条件の多様化,周辺技術の
式が必要であると考えています.
高度化といった,外部的な変化に対応していく必要があり
ました.
映像符号化技術には長い歴史がありますが,前述のよう
な課題をはじめとして,まだ多くの課題があると考えてい
今回開発したソフトウェアエンコーダでは,近年の新し
ます.そして,デジタル映像を扱うほとんどの場面におい
いCPUアーキテクチャのポテンシャルを最大限に活用で
て符号化技術が必要であることから,良い符号化技術は世
きるようにアルゴリズムを設計し直すなどの改良を行い,
の中を大きく変えることができると考えています.今後も
大幅な性能向上を実現できました.映像サービスでは,
新しい技術をつくり出し,事業を通して世の中に広く普及
多種多様な条件(映像の内容,ビットレートなど)でエン
させるべく,研究開発を進めていきたいと思います.
コードが行われますので,このようなさまざまな条件で良
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NTT技術ジャーナル 2010.12
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