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1 保健体育科学習指導案 1 単元名 アルティメット 2 対 象 小学校5学年
保健体育科学習指導案 1 単元名 アルティメット 2 対 小学校5学年及び6学年 象 3 単元の目標 (1)ゴール型:アルティメットについて、楽しさや喜びに触れ、その技能を身に付けることができるよ うにする。簡易化されたゲームで、ボール(ディスク)操作やボール(ディスク)を受けるための 動きによって、攻防を展開できるようにする(技能) (2)アルティメットに積極的に取り組むとともに、フェアなプレーを守ろうとすること、分担した 役割を果たそうとすること、作戦などについての話合いに参加しようとすることなどや、健康・ 安全に気を配ることができるようにする。(態度) (3)自分のチームの特徴に応じた作戦を立てたりすることができるようにするとともに、空いてい るスペースを使ってパスをつなげる有効性を理解する。(思考・判断) 4 教材作成の意図 「ボールを持った児童が空いたスペースにパスを出し、ボールを持たない児童がそこに走り込んで パスを受ける」という動きは、攻防が入り乱れるゲームをする上で、有効な動き方である。ボール運 動の主な学習内容を「戦術学習」とした場合、「シュートにつながる意図的なコンビプレイを遂行す ること」を戦術(作戦)と位置づけ、子どもたちとともに学習をつくっていくことをねらう必要があ るだろう。ボールゲームでは、ボールを持たないときの動きが大切である。どこでパスをもらったら いいかを考えて動き、パスがつながって得点につながるとき、児童にとってはおおきな喜びとなる。 本単元では、このような「コンビプレイ」をどの子にも経験させることをねらい、意図的に動いたり パスを出したりしながら、パスやキャッチ、パスアンドランといった技能を効果的に発揮することを 指導内容に位置づけることとした。 ところで、児童はマークを外したり、空いているスペースに走り込んだりしてパスをもらうといっ た意図的なコンビプレイを遂行しシュートに結びついたとしても、得点に結びつかないと満足しない 傾向が見られる。つまり、動きがいくらよくても最後にシュートをミスしてしまえば、結果として満 足できないのである。ゲームは常に流れていくので、途中のプレーよりもシュート場面が印象に残り、 その成功に喜び失敗に悔やむ姿は、勝敗のあるゲームでは当たり前のことだろう。 そこで本単元では、「いい動きをした」ということを子どもたち自らが認識でき、得点するといっ た喜びに直結していく可能性があるゲームとして、フライングディスクを使用した「アルティメット」 を教材として選んだ。 アルティメットは、1968 年、アメリカのニュージャージー州コロンビア・ハイスクールで始められ たゲームである。フライングディスクをパスし合って、エンドゾーンに運び、その得点を競うゲーム である。パスを通す場合には、歩くことができない。オフェンスとディフェンスを繰り返し、コート 内でディスクパスをつなぎ、エンドゾーンにいる味方へのパスが成功すると得点になる。慣れてくる と思い通りにディスクを投げることができ、滞空時間も長くなる。このゲームの魅力は、この滞空時 間の長さにある。2 人組でパスをする際、ピンポイントでつなぐことができなくても、滞空時間の長 さが幸いして受け手が移動してキャッチすることが可能になる。「投げる」「とる」といった基礎技 能が身に付けば、比較的簡単にゲームをすることができる。さらに、チームで意図を明確にしながら 協力してゲームを組み立てていけると、より盛り上がり、美しいプレーが頻発するようになる。また エンドラインに走り込んでキャッチすると得点になるので、いい動きそのものが得点に結びつく。つ まり、アルティメットは、動き方を学ぶ戦術学習にふさわしいゲーム教材だと考えた。 1 5 学習活動に即した評価規準 関心・意欲・態度 ・アルティメットに積極的に取 り組もうとしている。 ・フェアなプレーを守ろうとし ている。 ・分担した役割を果たそうとし ている。 ・作戦などについての話合いに 参加しようとしている。 ・仲間の学習を援助しようとし ている。 ・健康・安全に気を配ろうとし ている。 ・チームで見合い、教え合うこ とを通して、お互いを認め合い 高め合う集団をつくる。 ・ディスクを投げたりキャッチ 思考・判断 ・ディスクル操作やディスク を持たないときの動きなど の技術を身に付けるための 運動の行い方のポイントを 見付けている。 ・自己やチームの課題を見付け ている。 ・提供された練習方法から,自 己やチームの課題に応じた 練習方法を選んでいる ・仲間と協力する場面で,分担 した役割に応じた協力の仕 方を見付けている。 ・学習した安全上の留意点を他 の練習場面や試合場面に当 てはめている。 したりしながら、ゴールに向 ・学習カードでゲームを分析し 事実からチームの課題を見つ かってコンビプレイを成功さ け、それに向かってチームの せることで 仲間とつながり、 練習を考えたり作戦を立てた アルティメットの楽しさ、運動 りすることができる。 することの楽しさを体感する。 ・ディスク投げ方や動き方のこ つを共有しあい、みんなでゲ ームを楽しむことができる。 運動の技能 ・味方が操作しやすい位置にデ ィスクをつなぐことができ る。 ・フライングディスクを遠くま で思いっきり投げたり、正確 にパスをしたり、飛んできた ディスクをキャッチする等の 基本的なディスク操作技能を 身につけ、ゲームに生かすこ とができる。 ・空いている空間(スペース) を見つけ、そこにディスクを 投げたり走り込んでキャッチ したりすることができる。 ・ゴールにつながる意図的なコ ンビネーションプレイの有効 性 に 気 づ き 、 仲 間 と と もに 動き方を工夫してチャンスを つくりだす作戦を考え、実行 するができる。 単元計画(第 1 学年:10 時間取り扱い) ⑤ 1 2 3 4 6 7 8 9 1.集合・あいさつ・健康観察・本時の確認・準備運動 5 オリエンテ 2.本時のねらいの確認・ドリルゲーム シュートにつながる意図的なコンビプレイをして、ゲームを楽しもう。 ーション 10 ドリルゲーム(投げ方、パスの仕方、キャッチの仕方、パス&ラン) グルーピ ○パスアンドラン、フラフープ通し、鳥かご、フライングドッグ ング 3.タスクゲーム 3.チーム練習 と作戦会議 ○連携プレイゲームⅠ ○連携プレイゲームⅡ ドリルゲ (ハーフコート2対1) (ハーフコート3対2) 4.メインゲーム ームの説 ※パスの連携 ※ディスクを持たない動 ■リーグ戦Ⅲ 明 きと状況判断 ※作戦実行 6 20 40 45 試しのゲ ーム 10 アルテ ィメッ ト大会 ■トーナ メント戦 ※スペースを有 効に使ってゲ 4.メインゲーム ・ ームを組み立 てる ■リーグ戦Ⅰ ■リーグ戦Ⅱ ※パスをつなげてゲーム ※どこにパスを出し、どこ をする で受けるといいか考えて 学習の プレーする まとめ 5.整理運動・本時の反省・次時の確認 2 7 本時の学習(5 時間目) (1) 本時の目標 ◎みんなで見つけた「いい動き方」をしてゲームを進めよう。 ○ドリルゲームやチーム練習、ゲームを通して楽しくアルティメットをするためのディスク操作技 能を身につける。(技能) ○正確にパスをつなぎながらゲームを進める。(技能) ○ディスク操作やディスクを持たないときの動きなどの運動の行い方のポイントを見付け(空いて いる空間にディスクを投げ、受け手はそこに走り込む)ゲームの中で実現させる。マークにつか れてもパスが通り、ゴールにつながるようになる。(思考・判断) ○「勝つ」という目標に向かい、チームで協力したり励まし合ったりして学習する。(態度) (2) 準備・資料 フライングディスク(ドッチビー),アルティメットコート2面,ビブス(6 色×7 枚), 学習カード,ホワイトボード (3) 展開(5 時間目) 学習活動 指導上の留意点(・)及び評価(◇) 1.集合する。 ・ゼッケンをつけてチーム毎に集合・整列させる。 ・児童の健康観察をする。 2 コート・用具の準備及び準備運動 ・ディスクはチームに3枚。 をする。 ・運動に備えて、体の各部位をほぐす。 3.チーム毎にドリルゲームをする。 ・本時のねらいにつながる基本練習 (ドリルゲーム)をする。①~④の 活動をそれぞれ行う。 ①2人組パス ②三角パス ③縦列でパスアンドラン ④フライングドック (資料1参照) ・練習に入る前に,パスとキャッチの技術的なポイント を確認する。 <パスの技術的ポイント> ○ディスクを投げた後、腕を振り切らずに相手に向けて止 めると、コントロールよく飛ばすことができる。手首の スナップをきかせてディスクに回転をつける。 <キャッチの技術的ポイント> ○上下でディスクを挟むようにキャッチする。低いディス クは腰を落としてキャッチする。 <予想される課題の例> ・パスとランのタイミングが合わない。 ○受け手が先に走り出してから、パスを出しているか。 ・キャッチミスをする。 ○ディスクの動きを予想して動いているか。 4.本時学習課題の確認をする。 みんなで見つけた「いい動き方」 (空いている空間にディスクを投げ、受け手はそこに走 り込んでキャッチする)をしながらゲームを進めよう。 発問:ディスクを持ったときにまず何をしますか? 応答:味方をさがして次のパスをしたりシュートをねらったりする。 発問:ディスクを持っているときにマークに付かれたらどうしますか? 応答:マークの延長線上にいない味方や、空いているスペースにパスを出す。 発問:ディスクを持っていないときにはどのようにうごきますか? 応答:次のパスがもらえる位置に動く。 発問:ディスクをもらえるのはどんなところですか? 応答:ディスクを持っている人と、自分の間に相手がいないところ。 発問:パスを受けるときにマークにつかれたらどうしますか。 応答:空いているスペースにパスを出してもらい、そこに走り込んでキャッチする。 3 5.タスクゲームをする。 <ルール> (資料2参照) ・ディスクを持っていないときにどこに動けば ・攻守交代制(オフェンス,ディフェンス各3 次のパス がもらえ るかを 考えな がら動く よ 分間) うに次の点を確認する。 ・オフェンス側のパスからスタート ○パスは、味方の胸元がいいか、スペースに投 ・オフェンスが攻撃し,エンドゾーンでディス げて方がいいかを、ディフェンスの位置を見 クをキャッチしたらオフェンスの得点 ながら判断する。 ・ディフェンスがパスカットしたり、オフェン ○受け手は、ディスクの動きを読みながら、走 スのパスミスがおきたりすればリスタート。 ってキャッチができるように動く。 6.チームタイム ・リーグ戦に備えて、メンバー確認や作戦の確認 ◇協力してチームの話し合いに参加している。 をする。 (態度) 7.メインゲーム(リーグ戦Ⅱ)をする。 ◇空いているスペースにパスを出したり、そこ <ルール> (資料 3 参照) に走り込んだりしながら得点を目指す。 ○ゲームは4人対4人 (技能) ○前半、後半3分ずつ。 ○オフィシャルは主審・アナウンサー・記録・得 点を行う。 8.チームミーティング ・今日のゲームのふり返りをする。 ・チーム毎に今日のゲームのふりかえりをする。 ◇チームや友達のプレーで気付いたことを発表 している。(思考・判断) 9.学習活動の反省と次時の課題を確認する。 ・全体で今日の学習のふりかえりをする。 ◇ディスク操作やボールを持たないときの動き などの運動の行い方のポイントを見付けてい る。(思考・判断) 10.後片付け・整理運動をする。 ・児童の健康観察をする。 ◇協力して行う。 4 資料 1.ドリルゲームの例 5 資料 2 タスクゲーム(課題練習)の行い方 6 7 資料 3.メインゲームの例 8 資料4 アルティメットで身につけたい技能と作戦 1.アルティメットの教材のよさ ・ディスクを飛ばすこと自体が大変おもしろい遊びである。 ・子ども向けのディスクを使用することによって、極めて容易に飛ばすことができる。 ・ボールに比べて誰もが長い距離を飛ばせる。 ・キャッチもボール以上に簡単である。 ・ディスクの飛ぶスピードが次第にゆっくりになるので、追いついてキャッチすることもできる。 ・技能的にやさしく、子どもが立てた作戦を成功することができる。 ・ディスクを持った者に対してディフェンスが直接触れることができないルールを適用することで、 ディスクを持った者はゆっくり状況判断でき、スペースを見つけ、余裕を持ってディスクを投げる ことができる。 ・ディスクを持たない者も、ディスクの飛ぶ距離が長く、スピードが遅いため、ディフェンスのいな いスペースをうまく創りだして駆けていくことができる。 2.身に付けさせたい技能 ■いろいろな投げ方■ ■キャッチ■ ・ディスクを投げた後、腕を振り切らずにパスをする相手に向けて止めると、コントロールよく飛ば すことができる。手首のスナップをきかせてディスクに回転をつけるとよく飛ぶ。 ・上下でディスクを挟むようにキャッチする。低いディスクは腰を落としてキャッチする。 3.ディスクについて 一般的に知られているフライングディスクはプ ラスチック製のものが多い。しかし、うまくな ってくるとかなりのスピードが出てキャッチが 難しくなる。そこで、小学生のここで紹介する 実践では「ドッジビー270 Hero 社製」(直径270㎝/ 85g)を使用した。外側はナイロン製、中はウレ タンでできており柔らかい感触で親しみやす い。また、風に左右されるのがフライングディスクの特性のひとつある。風でディスクが思い通りに 進まないことを子どもたちはむしろおもしろいと感じることもあるが、ある程度意図的なプレーを実 現させるためにも尐しの風でもまっすぐ飛ぶ工夫が必要となる。裏側の内径に合わせてウレタン素材 のマットを切り、マジックテープで着脱可能にした。これにより、ディスクの重さが増し多尐の風に は対応できるようになる。 引用参考文献 鈴木聡(2010) アルティメット, 高橋健夫・立木正・岡出美則・鈴木聡編著, 体育科教育別冊 新しいボールゲームの授 業づくり, 大修館書店, pp68-73 9