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香港の山案内 - アルパインツアーサービス

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香港の山案内 - アルパインツアーサービス
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平成24年12月10日 第341号
連載
第3回
〜 香港四大トレイルについて 〜
香港の山案内
執筆者のご紹介
金子 晴彦(かねこ はるひこ)
山形生まれの東京育ち。日本航空勤
務時代は香港支 店に5年間赴 任。ガ
イドブック
「香港アルプス」著者。一橋
さて、連載の最後はいよいよ香港の山案内で
大学山岳部OB。中学から登山をはじ
す。香港ではどの時期に、どんな服装、装備で
め、高校は丹沢、大学は南アルプス、
登るのがよいでしょう? 香港の季節は3月〜9
社会人になってからは冬山を中心に活動。香港お
月の「暑さと湿気のひどい夏」、10月〜2月の「涼
よび北京支店時代には、海外の登山・トレッキン
グへ。ネパール、インド、チベット、ブータンなどヒ
しくドライな冬」の2つに分かれますが、山登り
マラヤをはじめ、キナバルや台湾の玉山などアジ
に最適の時期は冬です。冬とは言っても最低温
アへも足跡を残す。
度は5度程度で、平均は15 度前後です。日本の
埠頭のある梅澳(Mui O)から大東山(Sunset
5月連休に低山散歩をする折の服装、装備で良
いでしょう。ただし、夜、街中を出歩く折には意
外に寒いこともあり、雨具兼用のウィンドブレー
カーが重宝するでしょう。万一の雨に備えて傘
は必携。靴はトレッキングシューズでもよいので
すがかなり急な斜面もあるので、踝までカバー
する軽登山靴が楽です。冬でも水は必携、昼食
は街のコンビニで好きなものを買ってゆくのが
ベスト。フルーツは冬でも豊富です。
香港の山案内は「XXトレイルのXXセクションか
ら登る」と言う具合に大抵トレイルとパッケージ
になっています。日本の登山が山を目指すこと
が主眼なのに対して、香港の場合は「若者のエ
ネルギーを発散させるためにカントリーパークと
トレイルを整備した」せいか、トレイルを歩くと
言う意識が先にたつようです。それだけにトレイ
ルを歩いて、
「ついでに」素晴らしい山を発見し
た喜びは新鮮で、これも山を楽しむひとつの方
法か?と思うほどです。従って、ここでは日本と
はちょっと趣向を代えて、香港の四大トレイル案
内を中心にします(詳細は著書『香港アルプス』
をどうぞ)。
マクリホース・トレイル
(全長100kmお勧め度1位)
香港のカントリーパーク生みの親、マクリホー
ス総督の大号令で1979年に整備されたトレイ
ル第1号で、香港のトレイルの王様です。香港の
東端、かつての中国本土との間の緩衝地帯への
入り口から始まります。まずは南シナ海を見はる
かす丘の上(ステイジ=S1,2)を行きます。次い
で山深い一帯(S3,4)を越え、かつての啓徳空
港を見下ろす九龍の裏山へ(S5,6)。そして、香港
最高峰・大帽山を辿り(S7,8)、緑深い森の中へ
▲マクリホーストレイル(ステイジ3)
【撮影:金子晴彦】
香港トレイル(全長50km)
Peak 934m,S3)に代表される巨大な山を越え、
稜線伝いに遥か西の果てまで行き、大澳で反転
スタート地 点は観 光客でごった返す香 港島
して、今度は海沿いの山腹を戻って来る周回ト
のビクトリアピークのトラム駅の横です。香港
レイルです。圧倒的な大自然ととことん親密な
と言う超 近代都市と亜熱帯の自然の極 端なコ
ふれあいのできるルートです。
ントラストを見せてくれるトレイルです。まずは
セントラルのビル群を見下ろしながらピークの
北面を半周、一旦香港の西の端へ出ます。次い
で南に下り、香港島の背骨のように連なる山々
を東に向かって下っては登り、登っては下りを
繰り返します。ある時は深い森の中、貯水池の
脇、高層マンションの隣、次 第にビル群は後
退し、香港 特有の山の景 色が広がります。最
後 はアジ アのハ イキングコースNo.1に選 ばれ
たドラゴンズバックと呼ばれる稜 線漫歩です。
ここでも3月上旬に50kmウォーク大会が開催
されます。コース上(あるいはそのそば)には
ビクトリアピーク(552m,セクション=S1)、渣
甸 山(Jardines Lookout 423m,S5)、 柏 架 山
(Mount Parker 532m,S5)、そして、シエッコー
ウィルソン・トレイル(全長78km)
1996年1月にできた 最も新しいトレイルで
す。最後の香港総督の一代前のウィルソン総督
の指令でできました。大変特異なコースで、ス
タートは香港島の南端のバスの峠道。そこから
一気に1362段・高度180mの階段を登り、以後
北へ向けて厳しい上下が続きます。途中、香港ト
レイルの一部を通り海沿いの太古(Tai Koo)の
街に下り、何と地下鉄で対岸の九龍の油塘(Yau
Tong)駅まで行き、そこから再び歩き始めます。
村を抜け、墓場を通り、山の中に入り、さらに北
へ向かうにつれ、当初の南欧風の味わいは消
え、最後の名峰・八仙嶺
(Pat Sing Leng 590m,
セクション=S9)では険しい断崖が壮大な景観
ピーク
(284m,S8)などが並びます。
を見せます。そこを北へ下れば中国大陸の重々
ランタオ・トレイル(全長75kmお勧め度2位)
やや難が有りますが、香港と言う街の多様性を
珠江の河口に最も近いランタオ島が香港最大
しい雰囲気が広がります。一本の道と言うには
体現したトレイルと言えるでしょう。
です。1998年に香港新空港が北側にできるま
では香港のチベットと言える辺境でした。それ
が今ではセントラルから直通電車が走り、終点
の東涌
(Tung Chun)からはケーブルカーで有名
な仏教の聖地・昴坪(Ngong Ping)までわずか
20分で登れます。一旦このトレイルに入れば今
でも荒々しい自然のままの風情が残っています。
トレイルはこの島のかつての表玄関でフェリー
▲ウィルソントレイル(セクション1)
(S9,10)。いくつかの地域をつなぐ流れはごく自
然で、一気に歩けばまるで四楽章の雄大なシン
【撮影:金子晴彦】
以 上、四大トレイルそれぞれに特 徴が有り
フォニーを聴いているかのような気になります。
ますが、まずはお勧めトレイルの一 部を歩い
そのせいか毎年11月、ここを舞台に開催される
て下さい。すると必ず次の新しい目標が生まれ
100kmウォークは大盛況です。コース上
(あるい
ます。それを繰り返せばあなたは確実に香港
はそのそば)にはシャープピーク(468m,ステイ
ウォーカーです。アルパインツアーの「香港の
ジ=S2)、馬鞍山(Ma On Shan 702m,S4)、ラ
山旅」ではきっとそのきっかけを作ってくれる
イオンロック
(495m,S5)、大帽山(Tai Mo Shan
957m,S8)と香港の名山が目白押しです。
Peak 869m,セクション=S2)、鳳凰山(Lantao
▲ランタオトレイル(セクション2)
【撮影:金子晴彦】
ことでしょう。
おわり
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