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培養神経回路に嗅覚受容体たんぱく質を遺伝子発現させた匂いセンサー

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培養神経回路に嗅覚受容体たんぱく質を遺伝子発現させた匂いセンサー
培養神経回路 に嗅覚受容体たん ぱ く質 を遺伝子発現 させた匂 いセ ンサー
研究責任者
東京大学先端科学技術研究セ ンター
講
研究分担者
師
じめ に
橋
宏
知
東京大学先端科学技術研究セ ンター
特任 助教
1.は
高
櫻
井
健
志
に 、 生 体 の 嗅 覚 系 に は 遠 く及 ば な い 。 金 属 酸 化 半
味や 匂 い は、食 品 の品 質管 理 や評 価 にお い て、
導 体 は 、 感 度 こ そ 優 れ る も の の 、セ ン サ ー 部 の 感
最 重 要 項 目で あ る に もか か わ らず 、 現 在 で も 、 主
材 料 の 選 択 肢 が 少 な い 。 導 電 性 高 分 子 と水 晶 振 動
に 官 能 評 価 、す な わ ち 、 ヒ トの 感 覚 に よ る評 価 が
子 は 、 そ れ ぞ れ 、 セ ン サ ー 部 の 官 能 基 と有 機 高 分
普 及 して い る 。 官 能 評 価 の 問題 点 と して 、評 価 者
子 膜 の 設 計 次 第 で 、多 様 な セ ン サ ー を実 現 で き る
の 体 調 に 依 存 す る こ と、 臭 覚 疲 労 、 再 現 性 な どが
が 、 匂 い へ の 感 度 で 劣 る。 ま た 、 これ らの セ ン サ
挙 げ られ 、 客 観 的 な 分 析 を で き る匂 い セ ン サ ー が
ー は 、 分 子 の 吸 着 を利 用 して い る た め 、応 答 特 性
求 め られ て い る。ま た 、高感 度 な 匂 い セ ン サ ー は 、
も リア ル タ イ ム とは 言 え な い 。
生 活 環 境 ・工 場 環 境 の モ ニ タ リン グや 防 災 の た め
匂 い セ ンサ ー に お い て 、 感 度 、 多 様 性 、 リア ル
に も大 き な 需 要 が あ る 。さ らに 、口臭 や 体 臭 か ら、
タ イ ム 性 を 両 立 す るた め に 、実 際 の 生 体 材 料 を利
健 康 状 態 や 病 気 を診 断 す る試 み も研 究 され て い る。
用 す る こ とが魅 力 的 な ブ レー ク スル ー と して考
代 表 的 な 匂 い セ ンサ ー と して 、金 属 酸 化 半 導 体 、
え られ て い る。
導 電 性 高 分 子 、水 晶 振 動 子 な ど は す で に 実 用 化 さ
れ て い る 。 しか し、 これ ら の性 能 は 、 表1の
表1匂
よう
いセ ンサ ー の 比 較
種類
計測対象
セ ンサー の多様 性
感度
応答時間
(設計 の 対 象)
金属酸化半導体
電気伝導度の変化
○(数ppb)
×(感 材 料)
×(10分)
導電性高分子
電気伝導度の変化
△(数 百ppb)
△(官 能 基)
×(10分)
水晶振動子
圧電特性の変化
×(数ppm)
○(有 機 高 分 子 膜)
△(5分)
提案センサーの仕様
神経活動パターン
数ppb
嗅 覚受 容体
数秒
43
こ れ らの 生 体 材 料 を 用 い た 匂 い セ ンサ ー は 、 従
提 案 した セ ン サ ー で は 、 嗅 覚 受 容 体 を 導 入 す る
来 の匂 い セ ン サ ー と比 べ 、感 度 ・応 答 時 間 で 優 れ
培 養 細 胞 と して 、神 経 細 胞 の 初 代 分 散 培 養 系 を用
て い る が 、 セ ン サ ー 寿 命 が 数 時 間 ∼ 数 日程 度 と非
い る。 そ の利 点 と して 、 第 一 に 、 神 経 細 胞 は 、 嗅
常 に 短 い こ と に 欠 点 を 有 す る。 こ の 主 な 原 因 は 、
覚 受 容 体 が 発 生 した 微 弱 な イ オ ン電 流 か ら、 容 易
生 体材 料 で あ る細 胞 や組 織 の 寿命 が 短 い こ とに
に 計 測 で き る活 動 電 位 へ と、匂 い 信 号 を 増 幅 す る
あ る。
ア ン プ と して 利 用 で き る(図1(iii))。
こ こでの ア
ン プ と は 、従 来 測 定 す る こ と が 困 難 で あ っ た微 弱
2.神
経 細 胞 の 分 散 培 養 系 に 嗅 覚 受 容 体 を発 現 さ
せ た匂 いセ ンサー の提 案
な イ オ ン 電 流 を 、 容 易 に計 測 で き る 活 動 電 位 へ の
変 換 装 置 とい う意 味 で 用 い て い る。 第 二 の 利 点 と
本 研 究 で は 、 生 体 材 料 を 利 用 した 長 寿 命 の セ ン
サ ー を実 現 す る た め に 、 図1の
よ うに 、 昆 虫 の 嗅
して 、神 経 細 胞 の 初 代 分 散 培 養 系 、 す な わ ち 、 培
養 神 経 回 路 は 、匂 い 物 質 や そ の 刺 激 強 度 に応 じて 、
覚 受 容 体 を ラ ッ トの 培 養 神 経 細 胞 へ 発 現 させ る
多 様 な 神 経 活 動 パ タ ー ン を 生 成 で き る。 した が っ
こ と を提 案 す る1)。
て 、 培 養 神 経 回 路 は 、 刺 激 の 識 別 機 と して 利 用 で
昆 虫 の 嗅 覚 受 容 体 を 用 い る利 点 は 、 第 一 に 、容
き る 可 能 性 が あ る(図1(iv))。
第 三 の 利 点 と して 、
易 に機 能発 現 を実 現 で き る可 能性 が 高 い こ とに
神 経 細 胞 の 寿 命 は通 常 の 細 胞 よ り1∼2年
あ る(図1(i))。
た め5)、 セ ン サ ー の 寿 命 を長 期 化 で き る 可 能 性 が
これ は 、昆 虫 の 嗅 覚 受 容 体 が イ オ
と長 い
ン チ ャ ネ ル と 一 体 型 で あ る と い う最 近 の 知 見 に
あ る(図1(v))。
よ る2)・3)。
一 方 、哺 乳 類 の 嗅 覚 受 容 体 はGタ
ンパ
を 通 して 置 き換 わ ら な い た め 、 個 体 と 同程 度 の 寿
ク質 結 合 型 で 、匂 い 物 質 の 受 容 部 とイ オ ン チ ャ ネ
命 を有 す る。 一 方 、 通 常 の 細 胞 は 、 一 個 体 の 一 生
ル 部 が 分 離 して い る。 そ の た め 、 イ オ ンチ ャネ ル
を 通 して 何 度 も置 き 換 わ る た め 、数 日か ら数 週 間
を 開 く た め に は 、複 雑 な 細 胞 内 カ ス ケ ー ドを経 な
と比 較 的 短 い 寿 命 しか も た な い 。 これ ま で に も 、
く て は な ら な い4)。 第 二 に 、 多 様 な 嗅 覚 受 容 体 が
神 経 系 の細 胞 の分 散 培 養 系 を ア ンプ と して利 用
ス ク リー ニ ン グ され て お り、 そ れ ら を機 能 的 に利
し た バ イ オ セ ン サ ー は い くつ か 提 案 され て い る。
用 で き る(図1(ii))。
し か し、 嗅 覚 受 容 体 を遺 伝 子 工 学 的 に発 現 させ 、
なお 、本 研 究 は昆 虫 の嗅 覚
受 容 体 と して 、カ イ コガBombyxmoriの
フェ ロ
モ ン 受 容 体 に 注 目 した 。 同受 容 体 の 機 能 は 、 ア フ
リカ ツ メ ガ エ ル 卵 母 細 胞 で 詳 細 に調 べ ら れ て い
神 経 細 胞 の 多 く は 、一 個 体 の 一 生
通 常 で は反 応 し な い 物 質 に対 して 、 反 応 特 性 を持
たせ た試 み はない。
表1に
、既 存 の セ ンサ ー と対 比 して 、 提 案 セ ン
る。 カ イ コガ の フ ェ ロモ ン 受 容 体 はBmOR1と
サー の可能 性 を ま とめた。原理 的 に は、提案 セ ン
BmOR3の2種
サ ー は 、既 存 セ ン サ ー の 性 能 を 大 き く上 回 る 可 能
類 で 、 そ れ ぞ れ 、 フ ェ ロモ ン物 質
ボ ン ピ コー ル(BOL)と
ボ ン ビカ ー ル に 対 し て 高
い 選 択 性 を示 す 。 な お 、 これ らの 受 容 体 は 、 共 受
容 体 のBmorOrcoと
複 合 体 を 形 成 し、非 選 択 的 陽
イ オ ン チ ャネ ル と して働 く。
44
性 を秘 め て い る。
Dissociatedneuronalcultureofrodents
{i,Easyfunctionalexpression
Na+K+
Cast
{V〕Longlife・time
BmorDrco
BrnURl
婁/
lor■otroP忙odorantreceptors
ofinsects
{ii】V日rio閣Skindofreceptors臼vail臼bl已
`iii,Amplificationof
ゴ ドう
weakioniccurrent
ビ鰹
xxん
蛇 ん
、
OdorantB
幅
3.実
忍
■
●
°
一
r
⇔
蟹
、
図1培
■
亀
載
Div)Discriminationfromneuronalactivityp tterns
OdorantA
養 神 経 回 路 に 嗅 覚 受 容 体 た ん ぱ く質 を発 現 させ た 匂 いセ ンサ ー
験 方法
法 を 試 み た 。プ ラ ス ミ ドDNAとlipofectamine
本 研 究 で は 、 各 種 実 験 に よ り、 昆 虫 の 嗅 覚 受 容
2000(Invitrogen(株))を
それ ぞれ 低 血 清培 地
体 を ラ ッ トの 培 養 神 経 細 胞 へ 発 現 させ た 匂 い バ
Opti-MEM(Invitrogen(株))に
イ オセ ンサ ー の実 現可 能性 を示 す。 具 体 的 に は、
分 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。そ の 後 、そ れ ら を 混 合 し 、
ま ず 初 め に 、嗅 覚 受 容 体 が 細 胞 膜 上 で発 現 して い
さ ら に15分
る こ と を確 認 す る た め に 、 共 焦 点 顕 微 鏡(Zeiss、
神 経 細 胞 か ら6割
LSM510)に
とLipofectamine2000の
よ る 蛍 光 観 察 を行 っ た 。次 に 、免 疫 化
イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 培 養7日
学 染 色 を 用 い た 蛍 光 観 察 に よ っ て トラ ン ス フ ェ
た 。DNAベ
ク シ ョン 効 率 を見 積 も っ た 。 さ ら に 、RT-PCR反
pEF-DsRED-BmorOrcoは
応 に よ りm-RNAレ
ク シ ョ ン した 。
ベ ル で の 嗅 覚 受 容 体 の発 現 を
溶 解 し 、 室 温 で5
目の
の 培 地 を 取 り 除 き 、そ こ へDNA
混 合 液 を 滴 下 し 、撹 拝 し
ク タ ー 、pEF-EGFP-BmORIと
同 時 に トラ ン ス フ ェ
確 認 した 。 最 後 に 、Ca2+イ メ ー ジ ン グ に よ り、発
現 した 嗅 覚 受 容 体 が 機 能 的 で あ る か を調 べ た 。 さ
らに 、 このCa2+応
答 が 、活 動 電 位 と して 計 測 で き
る か を確 認 した 。
3.2DNAベ
クター 作成
終 始 コ ドン を 除 い たEGFPは
とNotIを
、制 限 酵 素EcoRI
含 む 特 異 的 プ ラ イ マ ー を 用 い てPCRに
よ り増 幅 し た 。 増 幅 し た 部 位 はEcoRIとNotIで
3.1ト
ラ ンス フ ェクシ ョン
トラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン に は リポ フ ェ ク シ ョ ン
切 り取 り 、pEF-EGFPの
制 限酵 素切 断部位 へ 導入
し た 。 続 い て 、BmOR1とBmorOrcoを
それ ぞれ
45
の 遺 伝 子 配 列 を 含 むpBluescriptSKか
素NotIとXbaIを
ら制 限 酵
含 む 遺 伝 子 特 異 的 フ゜ラ イ マ ー
を 用 い てPCRに
よ っ て 増 幅 し 、pEF-EGFPの
制
限 酵 素 切 断 部 位 へ 導 入 す る こ と で 、N末
端 に
EGFPタ
ンパ ク質 を融 合 させ たBmOR1とBmorOrco、
それ
ぞ れ 作 成 した 。
EcoRIとNotIを
(HamamatuPhtonics、C9100-02)で
計 測 した 。
計 測 視 野 は400×400オmで
pixelで
、 同 視 野 を500×500
計 測 し た 。 ま た 、 蛍 光 画 像 は2×2pixel毎
露 光 時 間 は1秒
測 定 し た 。 各 フ レー ム の
間 と し 、90秒
間 測 定 した 。カ ル シ
、制 限酵 素
8.1.0(HamamatuPhtonics)とPythonで
含 む 特 異 的 プ ラ イ マ ー を用 い て
た コ ー ドを 用 い て 解 析 し た 。
よ り増 幅 し た 。 増 幅 し た 部 位 は
EcoRIとNotlで
切 り取 り 、pEF-EGFPの
制 限酵
よ っ て 増 幅 し 、pEF-DsREDの
に 溶 解 し た フ ェ ロ モ ン 溶 液 をBSSで
3.4細
端 にDsREDタ
ン パ ク 質 を 融 合 さ せ たpEF-DsRED-BmorOrco
胞 外電 位計 測
細 胞 外 電 位 計 測 に は 、 先 端 径1オmの
を作 成 した 。
極 にBSS溶
pEF-BmOR1とpEF-BmorOrcoを
作 出す る た
コ ー ド領 域 を 制 限
含 む 遺 伝 子 特 異 的 プ ライ マ
ー を 用 い てPCRに
よ り増 幅 した 。 増 幅 し た 断 片
は 制 限 酵 素KpnIとXbaIで
間 投 与 した 。
制 限酵 素
切 断 部 位 へ 導 入 す る こ と で 、N末
酵 素KpnIとXbaIを
希 釈 し適 切
な 濃 度 に調 整 した 。 フ ェ ロモ ン物 質 は 、 マ イ ク ロ
ピ ペ ッ トの 先 端 か ら30秒
素 切 断 部 位 へ 導 入 し た 。 続 い て 、BmorOrcoを
め に 、BmOR1とBmorOrcoの
作成 し
フ ェ ロ モ ン 刺 激 に は 、実 験 直 前 に 、1MのDMSO
pCMVDsRed-ExpressVector(Takara,6324
処 理 し 、pEF-EGFP
取 り付 け た 。 電 極 ホ ル ダ ー は ア ン プ(Cygnus(株)、
ER-1)へ
接 続 し 、Hipass100Hz、gain200、Low
pass3kHzに
mm型
設 定 し た 。 計 測 実 験 で は 、 直 径35
ス ミ ロ ン セ ル タ イ トPL(住
(株))へ3×104の
DIV;20daysinvitro)の
3.3カ
4.実
ル シ ウ ム イ メー ジ ン グ
目 に 、BmOR1とBmorOrcoを
共発
ガ ラス電
液 を 先 端 に満 た し、 電 極 ホ ル ダ ー に
の 制 限 酵 素 切 断 部 位 へ 導 入 した 。
培 養10日
メ ラ
ウ ム 感 受 性 色 素 の 蛍 光 強 度 変 化 は 、HiPic
終 始 コ ド ン を 除 い たDsREDは
PCRに
冷 却CCDカ
に 平 均 し 、14bitcolorで
pEF・EGFP-BmOR1とpEF-EGFP-BmorOrcoを
16)をPCRに
(Olympus、UPlanF1)と
友 べ一 クライ ト
細 胞 を 播 種 し、 播 種 後20日(20
ウ ェル を 用 い た。
験結 果
図2(a)(i)と(ii)はpEF-EGFP-BmOR1と
現 し て い る 細 胞 が フ ェ ロ モ ン 物 質 に 対 し機 能 的
pEP-DsRED-BmorOrcoを
で あ る か ど うか 、 確 認 す る た め 、Ca2+イ
の 蛍 光 画 像 を 示 し た 。 重 ね 合 わ せ た 画 像 図2
グ を 行 っ た 。Ca2+感
メー ジ ン
受 性 色 素 と し て 、EGFPと
の
蛍 光 波 長 の 重 複 が 少 な いX-RhodlAM(Invitrogen(株)、X14120)を
(NaCl130mM、
で1
含 む 平衡塩 溶液
mM,CaC121.8mM,HEPES20mM,pH7.4)
X-Rhod1を
し 、 さ ら に37℃
Ca2+感
間後 、培 地 を
と交 換
イ ン キ ュベ ー トした 。
受 性 色 素 の 蛍 光 は 、 正 立 顕 微 鏡
(01ympus、BX51WI)に
46
で30分
BmOR1とBmorOrcoが
高確 率 で 共 発 現 して い る
こ と を 示 唆 す る 。 さ ら に 、共 焦 点 顕 微 鏡 を 用 い て 、
た と こ ろ(図2(b))、BmOR1とBmorOrcoの
含 ま な い 平 衡 塩 溶 液(BBS)へ
取 り付 け た10倍
蛍
トラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し た 細 胞 の 蛍 光 を 観 察 し
グ ル コ ー ス5.5mM、KC15.4
中 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。1時
蛍 光 パ タ ー ン と 、DsREDの
光 パ タ ー ン が ほ と ん ど一 致 して い る こ とを 示 し、
用 い た 。神 経 細 胞 を37℃
時 間 、4pMのX-Rhod-1AMを
(a)(iii)はEGFPの
共 導 入 した 神 経 細 胞
レンズ
共発
現 が 明 確 に 確 認 で き た 。 ま た 、 これ らの 受 容 体 は
細 胞 膜 上 へ 移 行 して い る こ とが 観 察 され 、機 能 的
に も 発 現 し て い る と 考 え られ る 。
図2(c)に
各DNAコ
ン ス トラ ク トの 導 入 効 率 を
示 す 。EGFP-BmOR1+BmorOrcoで
は8%、
BmOR1+EGFP-BmorOrcoで
は12%程
度 の導 入
効率 にな った。
図3(a)に
、Ca2+イ
メ ー ジ ン グ を行 っ た 分 散 培
養 系 の 実 験 試 料 の例 を示 す 。 同 図 に は 、位 相 差 顕
図2(d)と(e)は
、EGFP、BmOR1とBmorOrco
の 特 異 的 フ゜ラ イ マ ー に よ るRT-PCR反
微 鏡 画 像 とEGFPの
EGFP、BmOR1とBmorOrcoの
応 を示す 。
バ ン ドは ト ラ
る 。EGFP蛍
蛍 光画 像 を重 ね合 わせ て あ
光 陽 性 な 細 胞(細
胞#1)に
マ イ ク ロ ピ ペ ッ トで 局 所 的 に100オMのBOLを
ン ス フ ェ ク シ ョ ン し た 細 胞 に は 確 認 さ れ(図2
投 与 し た と こ ろ 、 図3(b)に
(d))、 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン し て い な い 細 胞 に は
が 誘 発 され た 。 ま た 、 図3(c)(i)の
確 認 さ れ な か っ た(図2(e))。
のBOLの
投 与 に 対 し て 、 細 胞#1は
で50%以
上 のCa2+応
BmOR1とBmorOrcoの
し た が っ て 、EGFP、
各 遺 伝 子 は 、 トラ ン ス フ
示 す よ う に 、Ca2+応
(c)(ii)のよ う に 、 通 常 のBssを
るこ とを示す 。
胞#1はCa2+応
隊マ
る と 、Ca2+応
{bl
{II}
'
図3(d)で
(#1)に
、
投 与 した 場 合 、 細
グル タ ミ ン酸 を投 与 す
答 は 機 械 刺 激 に よ る誘 発 反 応 で は
な く 、BOLに
{...y
、高い再 現性
答 が得 られ た 。 これ らの 結 果 は 、細
胞#1のCa2+応
・19鯉
よ うに 、複 数 回
答 を 示 さ な か っ た 。 ま た 、 図3
(c)(iii)のよ う に 、50一オMの
{旧1
答
答 を 示 し た 。 一 方 で 、 図3
ェ ク シ ョ ン した 細 胞 で の み 選 択 的 に発 現 して い
{司 〕
対 して 、
よ っ て 誘 発 され た こ と を示 す 。
は 、図3(b)のEGFP蛍
加 え 、EGFP蛍
か ら も 、Ca2+応
光 陽性 な 細 胞
光 陰 性 な 細 胞(#2∼#10)
答 の 経 時 的 な 変 化 を調 べ た 。 そ の
20オm
結 果 、EGFP蛍
00
4
0
ご ∈ 石 謹 o エ9 冒 2 固仁頸 ト
■ 達
2
(邑
{cy
BOLの
投 与 に 対 し て 、同 期 的 な カ ル シ ウ ム 応 答 を
得 た 。 こ の結 果 か ら、 嗅 覚 受 容 体 が 導 入 され た 神
経 細 胞(#1)の
活 動 が 、 シ ナ プ ス 結 合 を介 して 、
受 容 体 が 導 入 され て い な い 神 経 細 胞 へ 伝 播 し た
と推 測 で き る。
メ
〔dlτF
光 陰 性 な 細胞 か らも、複 数 回 の
(e}NT
〔ll{1■llllll
(iv〕 〔
り}{v■}
500b.p
図2嗅
(a)蛍
(iii)重
覚 受 容 体 の トラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン.
光 顕 微 鏡 像:(i)EGFP;(ii)DsRED;
畳 像.試
料 に は,pEF-EGFP-BmOR1と
pEF-DsRED-BmorOrcoの
共 焦 点 顕 微 鏡 像.(c)発
共 発 現 を 試 み た.(b)
現 効 率.(d)ト
ラ ン
ス フ ェ ク シ ョ ン さ れ た 細 胞(TF)のRT-PCR.
(e)ト
ラ ンス フ ェ ク シ ョ ン され て いな い細 胞
(NT)のRT-PCR:(i),(iv)BmOR1;(ii),(v)
BmorOrco;(iii),(vi)EGFP.
47
〔司DCM、E{ヨFP
〔[}
{d〕
lil100μM巳OL
D.8
1DQオAABQL
f
h
0.6
一
一
一
一
一
一
#1
圭0.4
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#4
Time(sec}
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L
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雌
#3
D
認7io、r']r
心.2
01020504050臼O
メ ー ジ ン グ.(a)試
空 間 パ タ ー ン.(c)各
(ii)非
料 の 一 例.位
る 細 胞#1-#10の
相 差 顕 微 鏡 像 と 蛍 光 顕 微 鏡 像 の 重 畳 像.カ
種 刺 激 物 質 に 対 す る 細 胞#1の
匂 い 物 質(BSS);(iii)神
ヨOTimesec)
Tim已`s已 〔}
,
図3Ca2+イ
・i
一
#7
圭o・4
〔b}100一 μMBOL
:1
#2
O
カ ル シ ウ ム 応 答 の 時 間 変 化.(i)匂
経 伝 達 物 質(50一
カ ル シ ウ ム 応 答 の 時 間 変 化.複
μMgIutamate).(d)匂
ル シウ ム 応 答 の
い 物 質(100μMBOL);
い 物 質(100μMBOL)に
対す
数 の 試 行 の 再 現 性 を 確 認 し た.
この 結 果 が 、 シ ナ プ ス結 合 を介 した神 経 活 動 の
消 失 し、EGFP蛍
光 陽性 細 胞(細
胞#1)の
みが明
伝 播 に起 因 して い る こ と を 示 す た め に 、 シ ナ プ ス
確 なCa2+応 答 を 示 した 。 な お 、 他 の試 料 で も同 様
伝 達 阻 害 剤(50オMAPV、10オMCNQX、100オM
の 実 験 結 果 が 得 られ た(n=3)。
BMI)の
存 在 下 と 非 存 在 下 で 、EGFP蛍
これ らの 結 果 は 、
光 陽 性細
直 接 、嗅 覚 受 容 体 を発 現 して い な い 細 胞 の カ ル シ
胞 に 対 して 匂 い 物 質 を 投 与 し た と き に得 られ る
ウ ム応 答 が 、 シ ナ プ ス 結 合 を介 して 、嗅 覚 受 容 体
神 経 応 答 を 比 較 し た 。 図4(a)に
を 導 入 し た 細 胞 に よ り誘 起 され て い る こ と を 示
す 。 図4(a)(i)の
試 料 の一 例 を示
す。
蛍 光 像 か ら 、試 料 中 のEGFP陽
性 細 胞 を 同 定 し、 こ の 細 胞 に匂 い 物 質 を 局 所 投 与
し た と き に 、 図4(a)(ii)中
のEGFP陰
性 細胞 の
Ca2+応 答 に 注 目 し た 。 そ の 結 果 、 図4(b)(i)に
示
す よ うに、 シナ プ ス プ ロ ッカ ー 非 存在 下 で は 、
EGFP蛍
光 陽 性 細 胞(細
細 胞(細
胞#2)の
胞#1)とEGFP蛍
両 方 が 、BOLに
現 性 で 同 期 し たCa2+応
対 して 、 高 い 再
答 を示 した 。 一 方 、 シ ナ プ
ス プ ロ ッ カ ー 存 在 下 で は 、 図4(b)(ii)に
に 、EGFP蛍
48
光陰性
光 陰 性 細 胞(細
胞#2)のCa2+応
示す よ う
答は
(a)
(日)
1.H
、4_ノ
ρ滋,
+τ∼'\
LLlw
LL
C-一
副
一Q .2
100オMBOL
2030405060
010
▼A"
へ●
飾
#1(GFP+)
、Q
o.2一
鴨
7
(ii)w/blocker
一一 」
.5-.
f
(b)(i)w/oblocker
\ ∼____∼
timesec}
lb}
111
△F/F'-
・㌧
・∴ 〆 。 ・ぺ
:Ⅲ■ 冊 ⅢⅢ
10
Time(sec)
匂 い 情 報 の シ ナ プ ス 伝 達.(a)試
図4
嗅 覚 受 容 体 発 現 細 胞(#1)に
た.(b)カ
1iTI叫 「
料 の 一 例.
#$
匂 い物 質 を局 所 投 与 し
ル シ ウ ム 応 答:(i)嗅
(#1)か ら 非 発 現 細 胞(#2)へ
冊 ト鳳ll
卓歯 曲
ぐ ・・も鴨
{c}
覚受容体発現細胞
の シ ナ プ ス 伝 達;(ii)
zoo
シ ナ プ ス 伝 達 阻 害 下 の 応 答.
器200
a
a150
これ ま で の 実 験 でCa2+応
答 と して 計 測 して き
董1・ ・
た 神 経 活 動 パ ター ン が 、細 胞 外 計 測 法 で 取 得 で き
G
sa
る か を検 証 す る た め に 、培 養 神 経 細 胞 の 自発 発 火
と カ ル シ ウ ム応 答 の 関係 を 調 べ た 。4つ
料 か ら任 意 に 合 計8個
5(a)と
図5(b)に
発 火 のCa2+応
a
の実験試
OO.20.40.bO.81Zz1!l
peak FfF
の神 経 細 胞 を選 び 出 し、図
、 そ れ ぞ れ 示 す よ うに 、 自発
答 と活 動 電 位 の ラ ス タ ー プ ロ ッ ト
を取 得 した 。 な お 、 こ の 実 験 で は 、Ca2+応 答 と活
図5Ca2+イ
(a)Ca2+の
メ ー ジ ン グ と 細 胞 外 電 位 の 同 時 計 測.
時 間 応 答.(b)活
グ.(c)Ca2+応
動 電 位 の 発 生 タ イ ミ ン
答 と 活 動 電 位 の 発 生 数 の 関 係.
動 電 位 は 同 時 に 計 測 して い る が 、 細 胞 ご との 計 測
は 逐 次 的 に 行 い 同 時 で は な い 。 図5(c)に
らの8個
の神 経 細 胞 か ら得 たCa2+応
、 これ
答 の最 大 蛍
5.お
わ りに
本 研 究 で は 、昆 虫 の 嗅 覚 受 容 体 を ラ ッ トの神 経
光 強 度 変 化(最 大 △FIF)と 全 ス パ イ ク数 との 関係
細 胞 へ 発 現 させ た 匂 い バ イ オ セ ン サ ー を 提 案 し 、
を 図 示 した 。 同 図 で は 、 少 な く と も△FIF>0.2の
そ の実 現 性 を検 証 した 。 本 研 究 で は 、初 め に 共 焦
と き に 、Ca2+応 答 と発 火 数 は 明 確 な 正 の 相 関 関係
点 顕 微 鏡 に よ っ て 、嗅 覚 受 容 体 が 細 胞 膜 へ 移 行 し
を示 して い る 。 した が っ て 、 これ ま で の 実 験 で 調
て い る こ と を示 した 。 第 二 に 、免 疫 化 学 染 色 を用
べ て き たCa2+応 答 と同 等 の 情 報 は 、細 胞 外 電 位 計
い た 蛍 光 観 察 に よ っ て トラ ン ス フ ェ ク シ ョン効
測 に よ り取 得 で き る と考 え る。
率 を8%程
度 と見 積 も っ た。 第 三 に 、RT-PCR反
応 に よ りm-RNAレ
ベ ル での嗅 覚受容 体 の発 現 を
確 認 した 。 最 後 に 、Ca2+イ メ ー ジ ン グ に よ り、発
現 した 嗅 覚 受 容 体 が 機 能 的 で あ る こ と を 示 した 。
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さ ら に 、Ca2+イ メ ー ジ ン グ と活 動 電 位 の 関 係 を 、
approachtoneuralcellcultureforlongtermstud-
神 経 細 胞 の 自発 発 火 か ら調 べ る こ とで 、嗅 覚 受 容
ies"J.Neurosci.Meth.,110,17-24
体 を 導 入 した 細 胞 が 活 動 電 位 を 生 成 して い る 可
能 性 が 高 い こ とを 示 した 。
こ れ らの 実 験 結 果 は 、
・ 昆 虫 の 嗅 覚 受 容 体 が ラ ッ トの 培 養 神 経 細 胞 に
発 現 し、 か つ 、 機 能 して い る こ と
・ 嗅覚 受容 体 で捉 えた匂 い信 号 が、活 動電位 を
発 生 させ 、 さ らに シナ プ ス 結 合 を介 して 、 培
養 神 経 回 路 の神 経 活 動 パ タ ー ン を変 化 させ る
こ と、
・ 将 来 的 に は 、 そ の神 経 活 動 パ タ ー ン を無 侵 襲
な 細 胞 外 電 位 計 測 法 に よ り神 経 細 胞 群 の 発 火
パ タ ー ン と して 読 み 出 せ る こ と
を示 して お り、 した が っ て 、提 案 した セ ン サ ー の
実 現 は 可 能 で あ る と考 え る 。
参 考 文 献
1)Tanada,N.,Sakurai,T.,Mitsuno,H.,
Bakkum,D.,Kanzaki,R.,Takahashi,H.
(2012):"Dissociatedneuronalcultureexpressing
ionotropicodorantreceptorsasahybridodorant
biosensor‐proof-of-conceptstudy‐",Analyst,
137,3452-3458
2)Sato,K.,Pellegrino,M.,Nakagawa,T.,
Vosshall,L.B.&Touhara,K.(2008),
"lnsectolfactoryreceptorsareheteromericlig
and-gatedionchannels"Nature,452,
1002-1006
3)Wicher,D.,Schafer.R.,Bauernfeind,R.,
Stensmyr,M.C.,Heller,R.,Heinemann,
S.H.&Hansson、B.S.(2008)、``Drosophila
odorantreceptorsarebothligandgakedandcy
clio-nucleotide-activatedcationchannels"Nature
452,1007-1011
4)Kaupp,U.B.&Seifert,R.(2002),"Cyclic
Nucleotide-GatedIonChannels"Physiol.Rev.
82,769-824
5)Potter,S&DeMarse,T(2001),"Anew
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