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環状流路の誘導型電磁ポンプの流量測定方法
電力中央研究所報告 原子力発電 環状流路の誘導型電磁ポンプの流量測定方法 キーワード:高速炉,電磁ポンプ,流量測定,実験,数値解析 背 報告書番号:N11001 景 高速炉の主循環ポンプには、これまでの実績から機械式ポンプが使われてきたが、数 百 m3/min の大容量ポンプ注 1)ではモーターと羽根車をつなぐシャフトが長尺化し、その シャフトの軸受の成立性が必ずしも明確になっていない。一方、高速炉での使用実績が ある電磁ポンプは補助系に用いられている高々数 m3/min の小容量ポンプであるが、最大 100 m3/min 程度までは実用化の可能性があると考えられる。そこで当所では単一のルー プに必要なナトリウム流量を確保するために、この電磁ポンプを並列に配置して数百 m3/min まで大容量化する方法を提案してきた(図 1) 。ただし並列配置した場合はポンプ の安定性の確保や計測制御の観点から各々のポンプのナトリウム流量を測定する必要が ある。通常、流量測定には電磁流量計などが使われるが、電磁ポンプの周辺には十分な 設置スペースがないため注 2)、よりコンパクトな流量測定装置が求められる。 目 的 大きいスペースを必要としない電磁ポンプの流量測定方法を考案して、その妥当性を 実験と解析によって検討する。 主な成果 1. 流量測定方法の考案 電磁ポンプの出口側端部の外側のダクト壁に磁場測定用のコイルを巻いて、ナトリウ ム中の誘導電流によって生じる漏れ磁場を測定し、その結果からナトリウム流量を換算 する省スペースの流量測定方法を考案した(図 2)。 2. 実験と解析の結果 ロシアのエフレモフ研究所で 7m3/min の小容量電磁ポンプを用いて実施した実験の結 果と当所が開発した電磁ポンプの電磁流体解析コード MHDFLOW-EMP2D-RZ による解 析の結果から、ポンプの出口側端部の外側ではナトリウム流量の増加に対応して漏れ磁 場はわずかに増加することがわかった(図 3)。 3. 本流量測定方法の小容量ポンプへの適用性 ポンプ出口側端部付近の漏れ磁場の平均値とナトリウム流量の相関は実験と解析の両 方でほぼ線形になることが示されるとともに、本流量測定方法の小容量電磁ポンプへの 適用性が示された(図 4)。 今後の展開 本流量測定方法の大容量並列型ポンプへの適用性を検討する。 図 1 並列配置の電磁ポンプ(概念図) 複数のポンプを並列に配置することによっ て大容量化を達成する。 図 3 ポンプ出口側端部付近の漏れ磁場分布 ポンプ端部(z*=0 m)の漏れ磁場はポンプ内部から 外部へ漏れ出る磁場であり、これは流量 Q が変化し てもほぼ一定であることがわかる。一方、ポンプ端 部の外側(z*>0 m)では、流量の増加に対応して漏 れ磁場はわずかに増加していることがわかる。 図 2 ポンプ出口側端部付近の漏れ磁場 コイル電流がつくる磁場 Ba はナトリウム中 の電流 Ji がつくる磁場 Bi によってポンプの 外側に漏れ出る。 図 4 漏れ磁場の平均値と流量の相関 漏れ磁場の平均値と流量の相関はほぼ線 形になっている。図 3 の結果でポンプ端部 の近傍(z*=0.008 m)では漏れ磁場の局所 の測定値にばらつきがあることから、ここ では単純平均値をプロットした。 注1)ポンプ 2 基で構成される出力 150 万 kWe の実用炉では、流量 630m3/min のポンプが必要となる。 注2)電磁流量計では、少なくとも配管の直径の 1/2 程度の大きさの磁石が必要である。 関連研究報告書 N05004「環状流路の誘導型電磁ポンプの効率の評価」(2005.10) 研究担当者 荒関 英夫(地球工学研究所 問い合わせ先 流体科学領域) (財)電力中央研究所 地球工学研究所 研究管理担当スタッフ Tel. 04-7182-1181(代) E-mail : [email protected] 報告書の本冊(PDF 版)は電中研ホームページ http://criepi.denken.or.jp/よりダウンロード可能です。 [非売品・無断転載を禁じる] ©財団法人電力中央研究所 平成23年9月発行 11−001