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19 熱脱着 GC/MS による粘着テープ中の臭素系難燃剤 の簡易定量分析

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19 熱脱着 GC/MS による粘着テープ中の臭素系難燃剤 の簡易定量分析
2008 年
I− 19
第 13 回 高分子分析討論会
熱 脱 着 GC /MS に よ る 粘 着 テ ー プ 中 の 臭 素 系 難 燃 剤
の簡易定量分析法の検討
フロンティア・ラボ
ゆ ざ わ
てつろう
お だ ぎ り
か
よ
わたなべ
ちゅういち
1)
、愛知工大
つ
げ
2)
しん
○ 湯 沢 哲 朗 1)、 小 田 桐 佳 代 1)、 渡 辺 忠 一 1)、 柘 植 新 1),2)
[緒言]電気絶縁用のポリエステル粘着テープ中に含まれる臭素系難燃剤の定量分析
の前処理として、一般的にはソックスレー抽出法がよく用いられているが、操作が煩
雑で時間を要するため、より簡便な手法が求められている。演者らは、臭素系難燃剤
( P B D E s )の 簡 便 な 分 析 手 法 と し て 、熱 脱 着 ( T D ) - G C / M S 法 を 提 案 し 、ポ リ ス チ レ ン 中
の デ カ ブ ロ モ ジ フ ェ ニ ル エ ー テ ル ( DeBDE) 分 析 に 有 効 な こ と を 報 告 し て き た
1),
2)
。
本 報 で は 、そ の TD-GC/MS 法 を 応 用 し 、粘 着 テ ー プ 中 の 臭 素 系 難 燃 剤 の 定 性 定 量 分 析
を試みた。
[ 実 験 ]発 生 ガ ス 分 析( E G A - M S )お よ び T D - G C / M S の 測 定 シ ス テ ム は 、ダ ブ ル シ ョ ッ
ト ・ パ イ ロ ラ イ ザ ー ( フ ロ ン テ ィ ア ・ ラ ボ 社 製 ) を 、 GC / M S の ス プ リ ッ ト / ス プ リ ッ
ト レ ス 注 入 口 に 直 結 し て 構 成 し た 。熱 脱 着 温 度 条 件 を 検 討 す る た め の E G A 測 定 は 、試
料を昇温加熱することにより発生したガスを、不活性化処理したキャピラリー管を介
し て M S に 導 入 し て 分 析 し た 。 T D - G C / M S 測 定 で は 、 試 料 を 5 ℃ /mi n で 所 定 の 温 度 ま
で昇温加熱することにより目的成分を熱脱着し、分離カラム(ジメチルシリコーン;
U l t r a A L L O Y- P B D E 、長 さ 1 5 m、内 径 0 . 25 mm、膜 厚 0 . 0 5 µ m:同 社 製 )に 導 入 後 、GC / M S
分 析 を 行 な っ た 。 試 料 は 2 種 類 の ポ リ エ ス テ ル 粘 着 テ ー プ ( P e r ma c e l 社 製 の P 2 8 6 と
E C RW 5 0 7 A) を 、 0 . 5 mm 径 小 型 細 孔 器 ( ハ リ ス マ イ ク ロ パ ン チ ャ ー : 同 社 製 ) で 約 7 0
µ g を 切 り 採 り 、不 活 性 化 試 料 カ ッ プ( 内 径 4 mm、高 さ 8 m m )に 入 れ て 測 定 に 供 し た 。
含 有 さ れ る DeBDE の 定 量 値 は 、 DeBDE の 標 準 試 料 に よ る 検 量 線 を 用 い て 、 同 一 条 件
下 で TD-GC/MS 測 定 し た ピ ー ク 面 積 と の 比 較 に よ っ て 算 出 し た 。
[ 結 果 と 考 察 ] ポ リ エ ス テ ル 粘 着 テ ー プ ( P 2 8 6 )を E G A - M S 測 定 し た サ ー モ グ ラ ム を 図
1 の ( a ) に 示 す 。D e B D E の 特 徴 的 な イ オ ン で あ る m / z : 79 9 の マ ス フ ラ グ メ ン ト グ ラ ム か
ら 、D e B DE の 揮 発 は 約 3 00 ℃ か ら 始 ま り 、3 20 ℃ 付 近 で 最 大 値 を 示 し て 、約 3 5 0 ℃ で 終
了 す る こ と が 観 測 さ れ た 。一 方 、基 材 ポ リ マ ー の 熱 分 解 は 3 0 0 ℃ 付 近 を 開 始 温 度 と し 、
450℃ 付 近 で 終 了 と す る ピ ー ク と し て 観 測 さ れ た 。 こ の 結 果 を 勘 案 し 、 DeBDE を 十 分
に 熱 脱 着 し 、 か つ 素 材 ポ リ マ ー の 熱 分 解 の 関 与 を で き る だ け 抑 え る 条 件 と し て 、 30 0
か ら 38 0℃ を 熱 脱 着 の 昇 温 範 囲 と し た 。 こ の 条 件 で 試 料 を T D - G C / M S 測 定 し て 得 ら れ
た ク ロ マ ト グ ラ ム を 図 2 の (a)に 示 す 。 13 分 付 近 に DeBDE の ピ ー ク が 観 測 さ れ 、 こ の
フロンティア・ラボ株式会社
〒 963-8862
研究開発部
福 島 県 郡 山 市 菜 根 1-8-14
Te l : ( 0 2 4 ) 93 5 - 5 1 00 、 F a x : ( 0 2 4 ) 9 3 5 - 5 1 0 2
e - ma i l : y u z a w a @ f r o n t i e r- l a b . c o m
2008 年
ピーク面積の再現性は相対
1.6×106
第 13 回 高分子分析討論会
(a) P286
標 準 偏 差 で 2 .4 %( n = 3 ) で
あった。この測定により、
粘 着 テ ー プ 中 の DeBDE 含
有 量 は 7 .9 % と 推 定 さ れ 、
TIC
100
2000
こ の 定 量 値 は 、 P e rma c e l 社
200
300
500
600ºC
m/z: 799 (DeBDE)
0
10
20
が 公 表 し て い る 値 ( 2.5 %)
と比較して約3倍高い値で
400
30
40
50 min
熱脱着範囲
8×105
(b) ECRW507A
あったが、その理由は検討
中である。
TIC
次 に E C RW 5 0 7 A の 粘 着
テ ー プ に つ い て 、 EGA - M S
100
200
200
300
400
500
600ºC
m/z: 799 (DeBDE)
測定したサーモグラムを図
0
1 ( b ) に 示 す 。 m / z: 79 9 の マ
スフラグメントグラムでは、
10
20
30
40
50 min
図 1 :(a)テ ー プ P286 お よ び (b)テ ー プ ECRW507A の
サ ー モ グ ラ ム 、加 熱 炉 温 度 : 1 0 0 → 6 0 0 ℃ ( 1 0 ℃ / m i n ) 、
GC オ ー ブ ン :300℃
シグナルが観測されなかっ
た た め 、 テ ー プ P286 と 同
1.5×107
(a) P286
TD-GC/MS 測 定 し た ク ロ マ
ト グ ラ ム を 図 2 (b)に 示 す 。
13 分 付 近 に は DeBDE の
DeBDE
様 の 熱 脱 着 条 件 で
1×107
5×106
ピークは検出されなかった
0
が、その代替品と推測され
4
6
8
10
12
14
8
10
12
14
16 min
る 臭 素 系 難 燃 剤 で あ る 1 ,2 1×107
(b) ECRW507A
BPBPE
ビ ス (ペ ンタ ブ ロ モフェ ニ ル )
エ タ ン ( BPB P E ) の ピ ー ク
が 14 分 付 近 に 観 測 さ れ た 。
5×106
以 上 の こ と か ら 、
TD-GC/MS を 用 い る こ の 方
4
6
法が、粘着テープ中の臭素
系難燃剤を、簡便に定性・
定量分析するのに有効であ
ることが明らかになった。
図 2:TD-GC/MS に よ る ク ロ マ ト グ ラ ム (a)テ ー プ
P286、(b)テ ー プ ECRW507A、加 熱 炉 温 度 :200→
380 ℃ (5 ℃ /min) 、 GC オ ー ブ ン : :80 → 300 ℃
(20℃ /min, 6 min 保 持 )
1 ) A . H os a k a , C . Wa t a n a b e a nd S . Ts u g e , A n a l . S c i . , 2 0 0 5 , 2 1 , 11 4 5
2 ) T. Yu za w a , A . H o s a k a , C . Wa t a n a b e a n d S . Ts u g e , A n a l . S c i . , 2 0 0 8 , 2 4 , 9 5 3
16 min
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